JP4256013B2 - 環境調和型水素製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は環境調和型水素製造方法に関し、詳しくは、加熱炉式水蒸気改質反応器が水素膜分離方式であり、副生二酸化炭素分離が冷却法気液分離式であり、且つ加熱炉燃料が生成水素と酸素であり、水素を効率的に生成しながら系外に二酸化炭素、NOX等の環境影響物質や環境汚染物質を排出しない環境調和型水素製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
加熱炉式水蒸気改質反応器を用いて原料軽質炭化水素を水蒸気改質反応させ高純度水素を製造する水素製造方法は、従来からよく知られている。図2は、従来の水素製造装置の概略説明図である。図2において、原料から製品の高純度水素ガスまでの流れを太線ラインL11で示した。このラインL11に沿って説明する。メタン主体の天然ガス、C3〜C4留分(LPG)、ナフサ等の原料軽質炭化水素は、昇圧、脱硫された後、装置内の排熱と熱交換して昇温気化された後、水蒸気改質反応に要する所定量の高温スチームがラインL12から分岐して供給され軽質炭化水素・水蒸気混合物として加熱炉式水蒸気改質反応器(以下、水蒸気改質炉とする)54の煙道熱回収部55の予熱器(熱交換域)56に導入される。予熱器56で約450℃〜550℃に昇温された後、水蒸気改質炉54の輻射部57に配設された管型水蒸気改質反応器58に供給される。
【0003】
水蒸気改質炉54の管型水蒸気改質反応器58には、通常、ニッケル系触媒が充填される。反応器58では、供給された軽質炭化水素・水蒸気混合物による水蒸気改質反応(吸熱反応)とCO転化反応(発熱反応)が同時に進行し、改質反応器58全体としては吸熱となる。そのため改質反応に必要な熱量は、輻射部57を構成する改質加熱炉での燃料の燃焼により与えられる。燃料はラインL13により供給される。燃料としては、下記するように一般に改質反応器から排出される粗改質ガスから製品水素と分離される未反応原料炭化水素を含むパージガスが用いられる。また、通常、必要に応じて原料炭化水素等を燃料として供給される。燃焼のための空気は、ラインL14により水蒸気改質炉54の煙道熱回収部55で煙道ガスと熱交換され予熱された後、改質炉バーナーに供給される。
【0004】
一方、輻射部57で加熱される管型改質反応器58の内部では、そのほぼ全域が約800℃〜950℃の等温に維持され、この温度下で水蒸気改質反応が進行し、結果として水素ガスと一酸化炭素ガスを含む粗改質ガスが生成される。管型改質反応器58で生成され排出する高温粗改質ガス(通常、約800〜950℃)は、熱交換され約20〜40気圧の中圧の水蒸気発生に有効に利用されて約200℃〜400℃に冷却された後、含有する一酸化炭素ガスを水素に転換するためCO転化反応器59へ供給される。高温粗改質ガスとの熱交換で発生した水蒸気の一部は水蒸気改質反応器58に導入される。CO転化反応器59に供給された粗改質ガスはCO転化処理され水素含有量の増大したCO転化ガスとなる。
【0005】
上記のCO転化反応器59からのCO転化ガスは、CO転化反応は発熱反応であることから供給温度より50〜70℃上昇して排出され、粗改質ガスと同様に熱交換により中圧の水蒸気発生やボイラー給水の予熱に有効利用される。CO添加ガスは、最終的に空気及び/または冷却水で常温まで冷却されてPSA(圧力スウィング式)ガス精製装置62へ供給され精製されて製品高純度水素となる。CO転化ガスの冷却過程で生じるプロセス凝縮水は、要すれば気液分離器60等で気液分離処理する。PSAガス精製装置では、通常、80%〜90%程度の回収率で高純度水素ガスが製品として得られる。一方、PSAガス精製装置で吸着除去され、その後パージされ主に一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、例えばメタンガス等の原料炭化水素及び製品として回収できなかった水素ガスを含有するパージガスは、PSAガス精製装置から排出され、ラインL15を経て水蒸気改質反応器で必要とされる燃料の一部として予熱炉51及び水蒸気改質炉57のバーナーで燃焼される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の水蒸気改質反応による水素製造方法においては、原料炭化水素に起因して副生する二酸化炭素はPSAパージガス経由で改質炉の燃料に使用され煙道ガスの成分として大気中に放出される。また、従来の加熱炉式水蒸気改質反応器で必要とする熱量はPSAパージガスのみでは十分でないため、不足分は通常原料炭化水素類の一部を燃料とする。これに起因する二酸化炭素も煙道ガスの成分として大量に大気に排出される。しかし、近年、地球温暖化の原因として問題視され世界的に二酸化炭素の排出規制が表面化してきている。また、燃焼に空気を使用することから、排出ガス中にNOX等の大気汚染物質を含むことになる。
【0007】
本発明は、上記した従来の加熱炉式水蒸気改質反応器を用いる水素製造方法の現状を鑑み、主に(1)原料炭化水素に起因する二酸化炭素を煙道ガスとして排出しないこと、(2)燃料燃焼による煙道ガスからの二酸化炭素の排出を避けること、更に(3)NOX等の大気汚染物質の排出を抑制することの3点を満たす加熱炉式水蒸気改質反応器を用いた水素製造方法の確立を目的とする。
【0008】
発明者らは、上記目的達成のため鋭意検討した結果、水蒸気改質反応器を水素分離膜を隔壁に用いる二重管型として生成水素を反応域より連続的に取出す一方、原料炭化水素に起因する二酸化炭素を反応域から排出させ冷却して水と気液分離させ回収すること、燃料として生成水素の一部を使用すること、空気に替えて酸素を供給して燃焼させることを総体的に組合せることで、投入熱量と反応に要する熱量とをバランスさせて水蒸気改質反応を効率的に進行させ得ることを知見し本発明を完成した。本発明は、上記3要件を総合的に組合せることにより、二酸化炭素及びNOXの発生を抑制して低減でき、且つ、改質反応に支障を生じることなく反応温度を低下させて水素製造に要する総熱量を低減できる環境に調和した加熱炉式水蒸気改質反応水素製造方法を提供する。また、本発明では、反応で発生した二酸化炭素を高純度で簡便に分離でき、二酸化炭素を外気に排出することなく逆に利用できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、原料軽質炭化水素の水蒸気改質反応による水素製造方法において、加熱炉式で所定の水素分離膜を有する隔壁で仕切られた二重管型水蒸気改質反応器を用い、二重管の一方の管内に触媒を充填して原料軽質炭化水素及び水蒸気を供給して改質反応させ、一方の管内から排出されるガスを冷却して二酸化炭素を主成分とするガス相と水分からなる液相とに気液相分離してそれぞれを取出すと共に、生成水素を水素分離膜を介して他方の管内に連続的に流出させて取出し、同時に生成水素の一部を酸素と共に加熱炉に供給し燃焼させて改質反応器に熱を与えることを特徴とする環境調和型水素製造方法が提供される。本発明の環境調和型水素製造方法において、前記生成水素と共に加熱炉に供給する酸素が圧力スウィング式分離により製造することが好ましい。
【0010】
本発明の環境調和型水素製造方法は上記のように構成されて、二重管型水蒸気改質反応器のいずれかの管内に水蒸気改質用触媒を充填して原料炭化水素及びスチームを供給して改質反応させながら、二重管の水蒸気改質反応器の内外管の境界部に配設した水素透過性分離膜を用いて生成水素を反応域より連続的に抜出すことから、平衡反応である改質反応、例えばメタンを原料とした場合の下記化学式(1)において、逆反応を抑制して水素生成の吸熱反応を促進でき反応温度を従来より低下させることができる。従って、改質反応に供する原料ガス等の昇温温度が低下するため反応に要する総熱量が低減できると同時に相対的に加熱炉の熱効率も向上する。また、燃料として生成水素の一部用いて酸素により燃焼させることから燃焼により二酸化炭素及びNOXが生じることがない。更に、改質反応器の改質反応域から排出される反応生成物の二酸化炭素は冷却により水分と相分離できる上、比較的高純度で回収できることから従来の外気に廃棄して地球温暖化に荷担するのに対し逆に回収して利用に供することができる。また、仮に従来の改質反応器から排出される粗改質ガスから二酸化炭素を分離回収する場合には、塩基性溶媒を用いる吸収・再生によることになり、分離のために多大なエネルギーを要し操作も煩雑となることに比し、操作が単なる冷却のみで簡便である点においても優れる。
CH4+2H2O=CO2+4H2 ΔHR=11.2[kcal/gmol-H2](1)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。図1は本発明の環境調和型水素製造方法に用いる水素製造装置の概略フロー説明図である。なお、図1はフローを中心に示し、付帯機器類等の詳細は省略する。また、下記図1に示した本発明の一実施例は、二重管型水蒸気改質器の外管側に触媒を充填させ改質反応域としたものであるが、もちろん内管側に触媒を充填して改質反応域とするができる。二重管の内外管のいずれを改質反応域とするかは、原料炭化水素、装置の規模や適用材料、設置環境等の設計条件により適宜選択する。図1において、水蒸気改質反応器1は外管11と内管12とからなる二重管型であり、内外管の境界面は少なくともその一部を水素選択的透過性の分離膜で形成して生成水素を連続的に内管12側に流出させるように構成される。水素選択的透過性分離膜としては、反応条件下で使用可能なものであれば特に制限されない。例えば、従来公知のパラジウム合金膜、多孔質体の表面にパラジウム等をコーティングした膜が使用される。外管11内には、従来と同様に公知のニッケル系触媒を充填して用いる。上記水蒸気改質反応器1は改質炉2の輻射部21に所定に配設されて改質炉2における燃焼熱により反応に要する熱量を付与される。また、改質炉1は、従来と同様に高温の燃焼排ガスを有効に利用する煙道熱回収部22を有し原料ガス等の加熱やスチーム発生に適用する。
【0012】
原料の軽質炭化水素としては、従来と同様にメタン主成分の天然ガス、C3〜C4留分(LPG)、ナフサ等が用いられる。昇圧脱硫された原料はラインL1から導入され、スチームはラインL2から導入される。上記したようにスチームは、図示していないが改質炉2の煙道熱回収部22で熱回収して系内で発生させてもよいし、環境条件によっては外部で発生させ導入してもよい。改質反応器1の外管11では触媒の存在下で改質反応により水素と二酸化炭素を生成され、水素は隔壁の水素透過性分離膜から内管12側に流入する。生成水素は内管12からラインL3で抜出され一部をラインL4で分岐して改質炉2のバーナ23に燃料として供給し、残部は熱交換、冷却され最終的に製品水素として取出される。一方、外管11からは未反応原料ガス、生成二酸化炭素及び水分がラインL5で抜出され、同様に熱交換、冷却されて最終的に主成分が二酸化炭素のガス相と水分の液相とに気液相分離され取出される。また、改質炉2のバーナ23にはラインL6により燃焼用酸素が供給される。酸素は図1に鎖線で示したように系内にPSA装置を設置して空気から製造して用いることもできるし、外部から供給してもよい。
【0013】
次いで、図1において、原料から高純度水素ガスまでの流れを太線ラインで示したラインL1に沿って具体的数値に基づき説明する。例えば原料メタン(CH4)から二酸化炭素0.3モル%含有する純度99.7モル%の高純度水素を2000Nm3/時で製造する例を説明する。純度100%のメタンを圧力10Kg/cm2G、30℃でラインL1から652Nm3/時で供給し、熱交換器HE1で、二重管改質器1の内管12から抜出されラインL3で送られる6Kg/cm2G、約600℃の水素ガスと、熱交換して550℃に昇温する。一方、温度300℃、圧力10Kg/cm2Gの中圧スチームは、ラインL2から1.57トン/時で送入され昇温後のメタンガスと合流する。メタンガスとスチームは混合により温度388℃のメタン・スチーム混合ガスとなり、更に、二重管改質器1の外管11からラインL5で抜出される9Kg/cm2G、約600℃の反応副生物の二酸化炭素・水及び未反応ガスの混合物と熱交換器HE2で熱交換され約490℃に昇温される。次いで、水蒸気改質炉2の煙道熱回収部22で煙道ガスと熱交換されて600℃、スチーム/カーボン比3で二重管型改質反応器1の外管11に供給される。
【0014】
改質器1は、改質炉2のバーナ23での燃焼による輻射部21からの熱により例えば600℃程度に保持されて前記化学式(1)の水蒸気改質反応が進行する。生成水素は、内管12の出口において二酸化炭素を0.3モル%を含有し温度600℃、圧力6Kg/cm2GでラインL3から2564m3/時で抜出される。また、ラインL3からラインL4に約1/4.5を分岐し改質炉2のバーナ23に564m3/時で送入する。残部はラインL3を2000m3/時で流通して熱交換器HE1に送入されて原料メタンを加熱して316℃となり、更に熱交換器HE3で冷却水等で冷却され40℃、6Kg/cm2Gで純度99.7モル%の水素として流出する。一方、外管11出口からは、温度600℃、圧力9Kg/cm2Gで反応副生物の二酸化炭素・水及び未反応ガスの混合物がラインL5で抜出され、前記したように熱交換器HE2で原料メタン・スチーム混合物を加熱して404℃となり、更に熱交換器HE4で冷却水等で9Kg/cm2Gで40℃に冷却され、水分が凝縮し気液混相で気液分離器3に送入されて相分離され、上部からは二酸化炭素94.5モル%、水素3.8モル%、水分0.8モル%、メタン0.9モル%のガス相が677m3/時で流出し、下部からは531kg/時でほぼ純水が取出される。ここで流出する二酸化炭素は高純度であり外気に廃棄することなくドライアイスに利用でき、また、近年のメタノール合成等のC1化学への適用の可能性がある。
【0015】
また、ラインL3からラインL4に分岐されバーナ23に送入された生成水素ガスは、ラインL6から332m3/時で送入される30℃の窒素約5モル%含有の純度約95モル%の酸素ガスにより断熱的に燃焼され、温度4926℃の高温に達する。この燃焼熱は改質反応器1の外管11における改質反応に使われ、約1050℃の煙道ガスが煙道熱回収部に排出する。煙道ガスは前記のように原料メタン・スチーム混合ガスを600℃まで加熱して約545℃となって、含有成分水分91.6モル%、酸素5.5モル%、窒素2.7モル%、二酸化炭素0.2モル%の排ガスとして615m3/時で排出される。これらの操作結果に基づく改質炉熱効率は、必要熱量(改質反応器1に送入される原料メタン・スチーム混合ガスの熱量と改質反応器1から流出する水素ガス及び副生二酸化炭素等の混合ガスが有する熱量の差)を燃料発熱量で除して得られ約89.2%である。一方、前記図2に示した従来の水素製造装置における改質炉熱効率は、一般に50%前後であることはよく知られている。従って、本願発明の水素製造方法が改質炉熱効率に優れることが明らかである。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明の環境調和型水素製造方法は、改質炉式であり水素分離膜を隔壁に用いる二重管型水蒸気改質器を用いて改質反応させることにより、改質反応域から生成水素を連続的に抜出す一方、改質反応副生物の二酸化炭素を排ガスとして大気に廃棄せずに高濃度で回収して利用に供することができる。更に、改質炉の燃料として生成水素を用いて酸素により燃焼させることからNOXの排出もなく環境に及ぼす影響が極めて少なく地球規模の環境保全に寄与できる。また、改質反応温度を従来より低温の約600℃で行なうことができ投入総熱量を低減でき改質炉熱効率も向上し工業的にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素製造方法の一実施例の概略フロー説明図
【図2】従来の水素製造装置の概略説明図
Claims (2)
- 原料軽質炭化水素の水蒸気改質反応による水素製造方法において、加熱炉式で所定の水素分離膜を有する隔壁で仕切られた二重管型水蒸気改質反応器を用い、二重管の一方の管内に触媒を充填して原料軽質炭化水素及び水蒸気を供給して改質反応させ、該一方の管内から排出されるガスを冷却して二酸化炭素を主成分とするガス相と水分からなる液相とに気液相分離してそれぞれを取出すと共に、生成水素を該水素分離膜を介して他方の管内に連続的に流出させて取出し、同時に生成水素の一部を酸素と共に加熱炉に供給し燃焼させて該改質反応器に熱を与えることを特徴とする環境調和型水素製造方法。
- 前記生成水素と共に加熱炉に供給する酸素が圧力スウィング式分離により製造される請求項1記載の環境調和型水素製造方法。
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