JP4257987B2 - 携帯無線装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話などの移動体携帯無線機の、電磁シールド技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話などの移動体無線機は、一般に送信のためのRF(高周波)回路と、受信のためのデジタル回路からなる。送受信が同時に行われるタイプの無線機では、受信部と送信部の相互干渉、受信部デジタル制御回路からのEMI(Electromagnetic Interference 電磁干渉)抑制のため、電磁シールドが必要となる。また、現在日本の携帯電話の主流であるPDC(Personal Digital Communications)方式のように、送受信が同時に行われないタイプの無線機においても、送信波が、RF回路内の変調回路のPLL(Phase Locked Loop)などに回り込むことによる変調度の劣化を防ぐため、電磁シールドが必要となる。また、変調回路は、その性格上長い伝送路を用いることができないため、アンテナのできるだけ近くに配置するため、シールドに要求される仕様も、より厳しいものとなっている。
【0003】
図6は従来の携帯無線装置としての携帯電話の内部を示す概略図であり、1はシールドケース、2は送信回路や受信回路が組み込まれた基板、3は回路基板上に設けられた接地パターン、4はシールドケース1から引き出されたアンテナ、5は電気接触子である。
【0004】
シールドケース1は、板金、または、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)材のようなプラスチックに、Cu、Niなどの金属膜を無電解メッキ、蒸着などで積んだ「箱形」に形成され、このシールドケース1を基板2の送信回路等の高周波RF回路がある部分を覆うようにかぶせて用いている。この場合、ただかぶせただけでは、シールドケース1は、フローティングで浮いた形となり、シールドとして動作しない。電磁シールドとしては、RF部ののっている基板の縁にある接地パターン3と電気的接触を取り、回路を覆うようにする必要がある。一般に、シールドケースに用いる薄い板金や、金属膜を均一に基板の導電部と接触させることは不可能であり、突起やバネなどの電気接触子5を用いて、定点で確実に電気接続を採る方法が用いられている。その中でも、バネを用いて接触をとる方法は、最も確実な方法として、多くの携帯機で用いられている。また、電気接触子5の配置は、図6に示すように、従来は、アンテナの近くはより密に、アンテナから遠い部分は疎に配置している。1
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電磁シールドをするためには、シールドケースと下の基板との電気的な接続を何カ所かとり、隙間から電磁波が漏れないようにする必要がある。従来は、シールド金属に流れる誘導電流の方向を考えずに、闇雲に、ほぼ等間隔に、あるいは、アンテナに近い部分を集中的に電気接触子を配置して電気接触をとっていた。特にアンテナから遠い下端では、電気接触子を減らしていた。このため、シールド効果が弱くなることもあった。
【0006】
また、シールドケースをプラスチックに金属薄膜をコーティングしたものを用いる場合、金属膜として、センダスト(FeAlSi)磁性粉体などを塗布した例はあるが、これらの磁性体は、現在の携帯電話が用いている1GHz近傍もしくはそれ以上の高周波では、比透磁率はほとんど1であり、効果を発揮しない。
【0007】
この発明は上記のようなシールドに関する問題点を解決するために行われたもので、確実なシールドを簡単な構成で得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る携帯無線装置においては、アンテナから電波を放射する時にシールドケースに誘起される高周波誘起電流のうち、シールドケースから上記基板の接地パターンに流れる電流成分の電流密度が高い部分で上記電気接触子の配置密度を高くしたものである。
【0009】
また、アンテナがシールドケースから引き出される位置の近傍、およびアンテナがシールドケースから引き出される位置から遠い部分で上記電気接触子の配置密度を高くしたものである。
【0010】
さらに、シールドケースは樹脂表面に導電性膜を形成した部材で構成され、導電性膜上にさらに異方性磁性膜を積層し、この異方性磁性膜の磁化容易軸方向をアンテナに流れる電流と同じ方向にしたものである。
【0011】
また、異方性磁性膜を異方性グラニュラー膜としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す概略図である。図5の従来のものと、構成はほぼ同じであり、1はシールドケース、2は送信回路、受信回路や論理回路等が組み込まれた基板、3は基板2上に設けられた接地パターン、4はシールドケース1から引き出されたアンテナ、5は電気接触子である。ここで、電気接触子5はアンテナに近い上部と、アンテナから遠い下部でその配置密度を高く配置している。このように配置する理由は、発明者らが電磁波解析した結果、アンテナの鏡像電流の流れる方向である上下端に重点的に、シールドケース1から電気接触子5を通じて接地パターン3へ流れる電流が阻止されないように電気接触をとることで、内部回路への送信波の回り込みを減少できることがわかったためである。アンテナに近い上端だけでなく、従来は電気接触の強化を図っていなかったアンテナと反対側である下端でも、電気接触を良くする手段をとることで、脇からの電磁回り込みを減少させる。
【0013】
電気接触子5をこのように配置することで、電気接触子5の数を従来のものと同じにしても、シールド効果が高いものが得られる。また、電気接触子5の数を減らしても従来と同じシールド効果が得られることになる。なお、ここでは側方には電気接触子5を設けないものを示しているが、もちろん側方にも少量の電気接触子を設けても良く、特にアンテナに近い側方上部に設けるのは効果があるのは言うまでもない。
【0014】
図2は電気接触子5の例を示すものである。電気接触子として、バネ性の金属5を基板2の接地パターン3にハンダ51等で電気接触を確実にして固着したもので、シールドケース1を基板2にネジ(図示しない)等で基板側に押し付けるようにして、電気接触子であるバネ性の金属5をシールドケース1の金属膜1aと確実に接触させる。このようにして確実に電気接触を確保するが、ここで、電気接触子5の数は少ないほど重量が軽くなり、組立て工程も単純となり、コストも低減できる。携帯電話等の携帯無線装置にあっては、少しでも重量を軽く、コストを安く、という要求が強く、これらの効果は非常に大きい。本発明によれば、シールド効果の高い部分に重点的に電気接触子5を配置することで、より少ない数の電気接触子でより大きなシールド効果が得られるものである。なお、電気接触子5としてここではバネ性の金属のものを示したが、これに限られるものではなく、接地パターン上に金属の突起を設けたようなものでも良く、接地パターン3とシールドケースの金属部分とが良好に電気接触する手段を設けたものであれば良い。
【0015】
以上の効果を、解析結果を用いて説明する。図3はシールドケースと基板の電気接触状態を3種類変えて、シールドケース内部の基板2上での電界強度分布を3次元有限要素法電磁界解析で計算したものである。図3(a)は、シールドケースを基板に載せただけで、基板との電気接触がとれていない場合、(b)は、シールドボックスの左右の側方のみ電気接触を取った場合、(C)は、上下部分も電気接触を取った場合を示しており、斜線部分は、電界強度の値がある値よりも高い領域を示す。図3(b)は図3(a)と比較して、斜線部の面積はほとんど変わっていない、すなわち側方での電気接触はほとんど効いていないことがわかる。これに対し、図3(c)では斜線部分の面積が大幅に減少しており、上下方向の電気接続は極めて良く効いていることがわかる。
【0016】
以上は、アンテナからの送信波により誘起されるシールドケースの表面電流(高周波誘起電流)は、主にアンテナの電流が流れる方向、すなわち、シールドケースの上下方向に流れるよう誘起されるためであり、アンテナから遠い、シールドケース下端でもシールドケースから接地パターンに流れるように、すなわち接触部を横切るように高周波誘起電流が流れており、この部分に重点的に電気接触を取れば、シールド効果が高くなるからと考えられる。またシールドケース側方では接触部を横切る高周波誘起電流は少ないため、電気接触はシールドにほとんど影響せず、電気接触を良くする手段を多く設ける必要はない。このように、シールド効果を上げるためには、高周波誘起電流と直交する方向に接触面がある場合、この部分が細くて長いスリットにならないよう電気接触を良くする手段を設けることがシールド効果向上に不可欠である。
【0017】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2を説明する携帯無線装置の内部概略図である。図4において、シールドケース1aは、CuやAlなどの導電性金属シールド膜上に、Niなどの磁性膜を積層し、しかも図中6の矢印で示すように、磁性膜の磁化容易軸方向を上下方向、すなわち高周波誘起電流と同じ方向にしている。このようにすることで、横方向での高周波透磁率を高く保つことができ、電波の反射係数を大きくする、すなわち高いシールド効果が得られる。
【0018】
ここで、Niのように一般によく用いられる磁性膜は、携帯電話で使用されている数100MHz〜数GHzといった高い周波数では透磁率が低くなり、上記効果が小さくなる。このような膜であっても、異方性を付加すれば、その磁化困難軸方向では高周波領域での透磁率の低下が小さくなり、上記効果が得られる。また、異方性FeAlOグラニュラー系軟磁性膜(異方性グラニュラー膜)のような異方性磁性膜であれば、磁化困難軸(磁化容易軸と直交方向)の透磁率は、1GHz以上でも、高い透磁率が得られる。すなわち、異方性グラニュラー膜であれば、磁化容易軸方向を高周波誘起電流と同じ方向にすることで、携帯電話で使用されている、数100MHz〜数GHzといった高い周波数でも良好な磁性膜として用いることができ、本実施の形態による効果が顕著となる。
【0019】
図5は、磁性による3次元有限要素法電磁界解析を用い、CuやAlなどの導電性金属シールド膜上に、比透磁率100の磁性膜を100オングストロームの厚さで積層した場合について、周波数940MHzの高周波において、アンテナ電流の値を0dBとして、基板上の長さ10mmのマイクロストリップ線路に対し、−80dBのアイソレーションがとれる領域がどれだけ広がるかを計算したものである。ここでは、基板がシールドされている部分が、より実際の携帯無線装置に近い形状で計算している。図4(a)は磁性膜がない場合、図4(b)は磁性膜がある場合の計算結果を示す。図の斜線部分が、アイソレーションが−80dBよりも低い領域を示す。磁性膜が有る場合には斜線部はほとんどなく、本発明により、シールド特性は格段に向上することが明らかにされた。このように、わずか100オングストロームの磁性膜でもシールド効果としては非常に大きな効果があることが、本発明者らにより明らかにされた。
【0020】
なお、ここで異方性の磁性膜にあっては、その膜厚が磁化困難軸方向の透磁率を考慮した磁性膜固有の高周波の表皮深さの、50分の1以上、より好ましくは20分の1以上あれば、シールド効果を示すと考えられる。
【0021】
【発明の効果】
この発明に係る携帯無線装置においては、アンテナから電波を放射する時にシールドケースに誘起される高周波誘起電流のうち、シールドケースから上記基板の接地パターンに流れる電流成分の電流密度が高い部分における電気接触が、他の部分の電気接触よりも良くなる手段を設けたので、確実に電磁シールド効果を高めることができる。
【0022】
また、アンテナがシールドケースから引き出される位置の近傍、およびアンテナがシールドケースから引き出される位置から遠い部分で電気接触が良くなる手段を設けたので、より簡単な構造で電磁シールド効果の高いものが得られる。
【0023】
また、電気接触を複数の電気接触子により形成し、高周波誘起電流の、シールドケースから基板の接地パターンに流れる電流成分の電流密度が高い部分で、電気接触子の配置密度を大きくしたので、電気接触子の数が少なくても、電磁シールド効果の高いものが得られる。
【0024】
さらに、シールドケースは樹脂表面に導電性膜を形成した部材で構成され、導電性膜上にさらに異方性磁性膜を積層し、この異方性磁性膜の磁化容易軸方向をアンテナに流れる電流と同じ方向にしたので、薄い磁性膜でも電磁シールド効果の高いものが得られる。
【0025】
また、異方性磁性膜を異方性グラニュラー膜としたので、より高い電磁シールド効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 この発明の実施の形態1の携帯無線装置の内部を示す概略図である。
【図2】 電気接触子の一例を示す断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の効果を説明する図である。
【図4】 この発明の実施の形態2の携帯無線装置の内部を示す概略図である。
【図5】 この発明の実施の形態2の効果を説明する図である。
【図6】 従来の携帯無線装置の内部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0027】
1 シールドケース
2 基板
3 接地パターン
4 アンテナ
5 電気接触子
6 磁性膜の磁化容易軸方向
Claims (4)
- 基板上の少なくとも送信回路が構成された部分を覆うシールドケースが上記基板の接地パターンと電気接触するよう設けられ、上記シールドケースの外部に上記送信回路からの電波を放射するためのアンテナを備えた携帯無線装置において、上記アンテナから電波を放射する時に上記シールドケースに誘起される高周波誘起電流のうち、上記シールドケースから上記基板の接地パターンに流れる電流成分の電流密度が高い部分で上記電気接触子の配置密度を高くしたことを特徴とする携帯無線装置。
- 上記アンテナが上記シールドケースから引き出される位置の近傍、および上記アンテナが上記シールドケースから引き出される位置から遠い部分で上記電気接触子の配置密度を高くしたことを特徴とする請求項1記載の携帯無線装置。
- 基板上の少なくとも送信回路が構成された部分を覆うシールドケースを設け、このシールドケースの外部に上記送信回路からの電波を放射するためのアンテナを備えた携帯無線装置において、上記シールドケースは樹脂表面に導電性膜を形成した部材で構成され、上記導電性膜上にさらに異方性磁性膜を積層し、この異方性磁性膜の磁化容易軸方向を上記アンテナに流れる電流と同じ方向にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯無線装置。
- 上記異方性磁性膜を異方性グラニュラー膜としたことを特徴とする請求項3記載の携帯無線装置。
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