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JP4258609B2 - 脂環式テトラカルボン酸の製造法 - Google Patents
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JP4258609B2 - 脂環式テトラカルボン酸の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂環式テトラカルボン酸の製造法に関する。さらに詳しくは、無触媒でヒドロキシ−ジシクロペンタジエンの溶媒存在に硝酸酸化することを特徴とする1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタン(TCMPと略記する。)の製造法に関する。
【0002】
TCMPは、ポリイミドの原料及びエポキシ樹脂の硬化剤等として耐熱性、光透過性及び電気特性(絶縁性、誘電率)等の点で電子材料分野に有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
従来、TCMPの製造法としては、ジシクロペンタジエン(DCPDと略記する。)を水和して得られるヒドロキシ−ジシクロペンタジエン(HDCPと略記する)を触媒存在下に硝酸酸化する方法が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。しかし、いずれの方法も(1)大量の硝酸中にHDCPを滴下仕込みするために、激しい発熱と脱ガスが起こり、原料仕込み時の温度制御が反応規模が大きくなる程困難になる上に急激な発熱に伴う脱炭酸した1,2,3,4−テトラカルボキシシクロペンタン(TCPと略記する)の副生が増大する。更に硝酸が分解したNOガスの反応槽からの飛散が激しくなりそのロス(そのため仕込み量を大過剰にする必要あり)及び吸収塔での捕集の問題があった。
(2)触媒としてメタバナジン酸アンモンニウムを使用しているために、反応後高濃度の硝酸溶液中から晶析させた生成物TCMP結晶は、有機溶媒による洗浄でもバナジウム金属の混入が見られ、電子材料等モノマー分野で問題視されていた。
【0004】
【特許文献1】
西独国特許出願公告第1,078,120号明細書
【特許文献2】
特開昭60−13740号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
反応条件の温和な条件への改良による温度制御の管理が容易で、副生物の抑制に伴う目的物収率の向上や副生NO2ガス発生の減少、更に目的物中への不純金属の混入のない工業的製造法を提供することを課題とする。
【0006】
【発明が解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、無触媒下原料であるHDCPを有機溶媒中に存在させて硝酸を滴下して分割仕込むことにより、工業的に操作面で実施可能な温和な反応条件で、目的物収率上及び精製上有利で経済的な製造方法を見い出した。
【0007】
即ち,本発明は、以下の(1)から(6)の発明に関する。
(1)式[1]
【0008】
【化3】
Figure 0004258609
【0009】
で表されるヒドロキシ−ジシクロペンタジエンを溶媒存在下、無触媒で硝酸酸化することを特徴とする式[2]
【0010】
【化4】
Figure 0004258609
【0011】
で表される1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
(2)前記式[1]で表されるヒドロキシ−ジシクロペンタジエンと溶媒の混合液に、硝酸を分割滴下する前記(1)に記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
(3)溶媒が脂肪族ハロゲン化炭化水素化合物、脂肪族ニトロ化合物、脂肪族カルボン酸化合物及び脂肪族スルホン化合物の中から選ばれる少なくとも1種の溶媒である前記(1)又は(2)に記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
(4)溶媒が1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン、酢酸及びスルホランの中から選ばれる少なくとも1種の溶媒である前記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
(5)反応温度が45〜70℃である前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
(6)前記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法において、得られた1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの再結晶溶媒として、1,4−ジオキサンとアセトニトリル又は1,4−ジオキサンとアセトニトリル及び酢酸エチルの混合溶媒を用いることを特徴とする1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のTCMPの製造法は、下記のルートで表される。
【0014】
【化5】
Figure 0004258609
【0015】
原料のHDCPは、DCPDを硝酸や硫酸の水溶液中で加温することにより容易に製造できる。又、市販品をそのまま使用することもできる。
【0016】
本発明の第一は、溶媒の使用である。HDCPと硝酸の反応は、無溶媒下では極めて激しい発熱を伴い、反応温度の制御がむずかしい。この急激な昇温による脱炭酸したTCPの副生が増加する。又、発生した炭酸ガスや硝酸の分解NOガスの飛散に伴う硝酸のロスが大きく、大過剰の硝酸が必要になる。
【0017】
そこで、溶媒を存在させることにより、急激な昇温が緩和される。また、溶媒中への硝酸の保持作用による飛散に伴う硝酸のロスが減少する。溶媒の種類としては、例えば、硝酸中で安定な化合物が好ましく、具体的には脂肪族ハロゲン化炭化水素化合物、脂肪族ニトロ化合物、脂肪族カルボン酸化合物及び脂肪族スルホン化合物等が挙げられる。更に具体的には、脂肪族ハロゲン化炭化水素化合物としては、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン及び1,2,3−トリクロロプロパン、脂肪族ニトロ化合物としては、ニトロメタン、ニトロエタン及びニトロプロパン、脂肪族カルボン酸化合物としては、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸、脂肪族スルホン化合物としては、ジメチルスルホキシド及びスルホラン等が一例として挙げられる。特には、1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン、酢酸及びスルホランが好ましい。これらの溶媒の中から選ばれた少なくとも1種類の溶媒を用いることができる。
【0018】
溶媒量は、多くなると硝酸の滴下に伴う発熱が温和になるが、反応進行が遅くなる傾向にある。従って、原料HDCPに対して1〜10モル質量倍が好ましく、特には1〜5質量倍が好ましい。この溶媒の存在によって、工業的な安定操業が可能となり、且つ目的物TCMP収率が向上する。
【0019】
本発明の二つ目は、無触媒下でも反応が可能であることを見出した。従来のメタバナジン酸アンモニウム等を使用する場合は、反応後高濃度の硝酸溶液中から晶析させた生成物TCMP結晶は、有機溶媒による洗浄でもバナジウム金属の混入が見られ、電子材料等モノマー分野で問題視されていた。そこで、所定の反応温度、硝酸量及び溶媒量等の設定により、本反応は、無触媒下でも従来の触媒存在時とほぼ同程度の速度で進行することをガスクロマトグラフィー(GC)による反応液の追跡から確認した。このことにより目的生成物中への重金属の混入が回避された。よって、微量の金属の混入が問題視される精密工業分野への用途が可能になった。
【0020】
本反応では、炭素−炭素結合を開裂してジカルボン酸にする酸化剤として安価な硝酸を用いるのが好ましい。その濃度は、低濃度の場合は中間体類の副生が多くなりテトラカルボン酸類の選択性が低くなるので60〜90%の高濃度が好ましい。仕込み量は、少ない場合は、原料や中間体類が残余し、温度を上げると副生物のTCPが増加するので好ましくない。一方、多い方が反応が速くなるが反応後の残余硝酸の除去が煩雑になる。従って、HDCPに対して8〜20モル当量が好ましく、更には10〜12モル当量が経済的で好ましい。
【0021】
本発明の三つ目は、仕込み順序である。即ち、原料のHDCPと有機溶媒を反応槽に仕込んだ後、攪拌しながら所望の温度で硝酸水溶液を滴下する方法である(順滴下法)。滴下は、硝酸水溶液の滴下と同時に反応を進行させながら、その発熱による昇温を制御しつつ行う必要があり、一般に反応規模が大きくなるほど滴下時間も長くなる傾向にある。通常は、2〜10時間かけて行うことが好ましい。
【0022】
本発明で重要なのが反応温度の設定である。高温ほど反応が速いが脱炭酸したTCPの副生を伴うので、通常45〜70℃の範囲が好ましく、特には50〜65℃の範囲が好ましい。
【0023】
反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)や液体クロマトグラフィー(LC)で反応追跡して決定することができるが、通常4〜30時間で終了させることができる。本反応は、常圧又は加圧で行うこともでき、又回分式又は連続式でも可能である。
【0024】
反応生成物の単離は、反応終了後反応液の生成物濃度を約45質量%付近まで濃縮してから15〜30℃で15時間以上、通常15時間〜30時間静置又は攪拌せることにより、結晶が析出するのでこれを濾過により分離した後、水及びトルエンで洗浄・乾燥させることによりTCMPの白色結晶が得られる。また、生成物の結晶を加えてから晶析操作を行うことにより結晶の析出を促進させることもできる。
【0025】
更に、高純度品を得る場合は、TCMP粗結晶を1,4−ジオキサンに加温溶解後、濃縮しながらアセトニトリル又はアセトニトリルと酢酸エチルの混合液を加えて室温付近に冷却することにより再結晶させて精製させることができる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例で用いた分析法は以下の通りである。
[1] ガスクロマトグラフィー(GC)
機種 : 島津製作所社製 商品名 GC-17A:カラム:キャピラリカラムCBP1-W25-100(25m X 0.53mmφ X 1μm)、カラム温度: 100℃(保持 2min.)〜290℃(保持10min.)、8℃/min.(昇温速度)、注入口温度:290℃、検出器温度:290℃、キャリアガス:ヘリウム、検出法:FID法.
[2] バナジウム定量分析
サンプルを硫酸、硝酸で加熱分解後、ICP-AES測定した。
ICP-AES:セイコーインスツルメンツ社製 商品名 VISTA PRO:波長:213.618nm、検量線:絶対検量線法
【0027】
実施例1
300ml耐熱ガラス製4つ口反応フラスコにHDCP15.0g(0.10mol)、1,2−ジクロロエタン(EDC)45.0g(3重量倍)を仕込んだ。続いて攪拌しながら50℃に昇温してから、73%硝酸95g(1.10mol)を滴下開始した。滴下に伴い内温は最高55℃まで昇温し、50〜55℃間で2時間かけて滴下した。その後徐々に60℃に昇温させて22時間攪拌を継続した。反応液の一部を採り、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析の結果、未反応HDCPは消失し、TCMP77.2面積%、TCP14.9面積%であった。 そこで反応を停止させ、反応液を反応生成物濃度が約45%付近になるまでそのまま濃縮し、更に室温(25℃)で24時間攪拌すると結晶が析出した。この結晶を濾過し、更に水洗及びトルエン洗浄した後乾燥すると白色結晶が16.8g(TCMP90.2面積%、TCP9.8面積%)(TCMP収率58.3%)得られた。
【0028】
この結晶に1,4−ジオキサン84gを加えて70℃に加温溶解後、濃縮してから得られた油状物にアセトニトリル30gを加えて加温再溶解した後、氷冷下で1時間攪拌してから室温(25℃)で20時間攪拌しながら再晶析させた。得られた結晶を濾過し、アセトニトリル洗浄した後乾燥することにより、白色結晶13.0g(TCMP100面積%)(TCMP収率50.1%)
【0029】
実施例2
1000ml耐熱ガラス製4つ口反応フラスコにHDCP45.0g(0.30mol)、1,2−ジクロロエタン(EDC)45.0g(1重量倍)を仕込んだ。続いて攪拌しながら50℃に昇温してから、70%硝酸297g(3.30mol)を滴下開始した。滴下に伴い内温は最高55℃まで昇温し、50〜55℃間で4時間かけて滴下した。その後徐々に60℃に昇温させて24時間攪拌を継続した。反応液の一部を採り、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析の結果、未反応HDCPは消失し、TCMP72.1面積%、TCP17.8面積%であった。そこで反応を停止させ、反応液を反応生成物濃度が約45%付近になるまでそのまま濃縮し、更に室温(25℃)で24時間攪拌すると結晶が析出した。そこでこの結晶を濾過し、更に水洗及びトルエン洗浄した後乾燥すると白色結晶が48.6g(TCMP86.3面積%、TCP13.7面積%)(TCMP収率53.8%)得られた。
【0030】
この結晶に1,4−ジオキサン200gを加えて70℃に加温溶解後、濃縮してから得られた油状物にアセトニトリル100gを加えて加温再溶解した後、アセトニトリル約50gを留去してから酢酸エチル50gを加えて氷冷下で1時間攪拌してから室温(25℃)で20時間攪拌し再晶析させた。得られた結晶を濾過し、アセトニトリル洗浄した後乾燥することにより、白色結晶38.7g(TCMP98.1面積%、TCP1.9面積%)(TCMP収率48.7%)が得られた。
【0031】
比較例1
1000ml耐熱ガラス製4つ口反応フラスコに72%硝酸289g(3.30mol)とメタバナジン酸アンモニウム65mg(0.143質量%)を仕込んだ。続いて攪拌しながら50℃に昇温してからHDCP45.0g(0.30mol)の滴下を開始した。注意深く滴下したにもかかわらず激しい発熱に伴い褐色ガスが飛散し内温は60℃〜70℃を超えた。50℃に戻るのを待って、50〜60℃間で滴下終了まで8時間を要した(その温度制御が難しかった)。その後60℃で24時間攪拌を継続した。反応液の一部を採り、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析の結果、未反応HDCPは消失し、TCMP60.7面積%、TCP28.3面積%であった。そこで反応を停止させ、反応液を反応生成物濃度が約45%付近になるまでそのまま濃縮し、更に室温(25℃)で24時間攪拌すると結晶が析出した。そこでこの結晶を濾過し、更に水洗及びトルエン洗浄した後乾燥すると白色結晶が38.4g(TCMP81.1面積%、TCP16.2面積%)(TCMP収率39.9%)得られた。
【0032】
この結晶に1,4−ジオキサン200gを加えて70℃に加温溶解後、濃縮してから得られた油状物にアセトニトリル100gを加えて加温再溶解した後、アセトニトリル約50gを留去してから酢酸エチル50gを加えて氷冷下で1時間攪拌してから室温(25℃)で20時間攪拌し再晶析させた。得られた結晶を濾過し、アセトニトリル洗浄した後乾燥することにより、白色結晶23.6g(TCMP92.1面積%、TCP7.9面積%)(TCMP収率24.9%)が得られた。
[バナジウム定量分析]
次に、この結晶の0.1gを採取し、0.1M硝酸で10gとし、これをICP−AESで定量測定を行った。2回実施した分析値の平均値からバナジウムが1.40ppm含有していることが判明した。
【0033】
以上から、公知の製造法では、結晶中のTCP含量が高く更に重金属の混入が避けられなかった。
【0034】
【発明の効果】
反応条件の温和な条件への改良による温度制御の管理が容易で、副生物の抑制に伴う目的物収率の向上や副生NO2ガス発生の減少、更に目的物中への不純金属の混入のない工業的製造法を提供できる。

Claims (4)

  1. 式[1]
    Figure 0004258609
    で表されるヒドロキシ−ジシクロペンタジエンを、脂肪族ハロゲン化炭化水素化合物、脂肪族ニトロ化合物及び脂肪族スルホン化合物の中から選ばれる少なくとも1種の溶媒存在下、無触媒で硝酸を滴下して酸化することを特徴とする式[2]
    Figure 0004258609
    で表される1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
  2. 溶媒が1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン及びスルホランの中から選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1に記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
  3. 反応温度が45〜70℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の製造法により1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンを製造し、次いで再結晶溶媒として、1,4−ジオキサンとアセトニトリル又は1,4−ジオキサンとアセトニトリル及び酢酸エチルの混合溶媒を用いて精製することを特徴とする1,2,4−トリカルボキシ−3−カルボキシメチルシクロペンタンの製造法。
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