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JP4259191B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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JP4259191B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用自動変速機の変速制御装置に関し、特に、その工場出荷時やディーラでのメンテナンス時における学習に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、車両用自動変速機は、製造段階において必然的に生じる個体間のばらつきにより、油圧式摩擦係合装置に油圧を供給するための指令値と、その指令値により実現されるその油圧式摩擦係合装置のトルク容量との相関関係が必ずしも一様ではなく、変速に際してエンジンが吹け上がったりダブルロックによる負トルクが発生したりする可能性があることから、学習によりその防止を図っている。例えば、変速時に発生するタービン回転速度の変化率等に応じて油圧レベルを学習補正していたが、斯かる技術では走行中に変速が実行されるまで学習補正が進まないため、ユーザの手に渡るまで学習が完了しないという弊害があった。そこで、この弊害を解消するための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された自動変速機の油圧制御特性の学習方法がそれである。この技術によれば、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において車両用自動変速機の学習が可能とされる。
【0003】
しかし、上記従来の技術は、車両用自動変速機に備えられた油圧式摩擦係合装置を係合させるための油圧シリンダのピストンストロークを詰めるファーストフィル(クイックアプライ)制御の補正ができないという不具合を残すものであった。また、特許文献2に記載された技術は、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において車両用自動変速機の油圧式摩擦係合装置を係合させるための油圧シリンダのピストンストロークを記録するものであるが、実際の油圧制御で必要とされるのはそのピストンストロークを詰めるためのファーストフィル時間であり、そのファーストフィル時間は、油圧制御装置の管路抵抗値等の要素により変化するものであることから、ピストンストロークの値を記録するだけでは不十分であった。すなわち、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できる車両用自動変速機の変速制御装置は、未だ提供されていないのが現状である。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−86351号公報
【特許文献2】
特開2003−14119号公報
【特許文献3】
特開平11−201314号公報
【特許文献4】
特開平11−182660号公報
【特許文献5】
特開昭63−231041号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できる車両用自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、車両用自動変速機に備えられた油圧式摩擦係合装置を係合させるための油圧シリンダのピストンストロークを詰めるファーストフィル制御を実行する車両用自動変速機の変速制御装置であって、車両停止時或いはテストモードにおいて、前記油圧式摩擦係合装置を完全解放させた後に所定のファーストフィル油圧を所定時間供給する制御をその時間を漸減させつつ繰り返して、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生しなくなったときの該時間をファーストフィル時間として検出するファーストフィル時間検出手段を含むことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の効果】
このようにすれば、車両停止時或いはテストモードにおいて、前記油圧式摩擦係合装置を完全解放させた後に所定のファーストフィル油圧を所定時間供給する制御をその時間を漸減させつつ繰り返して、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生しなくなったときの該時間をファーストフィル時間として検出するファーストフィル時間検出手段を含むことから、走行中に変速が実行されずともファーストフィル制御を踏まえた学習が可能とされる。すなわち、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できる車両用自動変速機の変速制御装置を提供することができる。
【0008】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記ファーストフィル油圧を前記ファーストフィル時間検出手段により求められたファーストフィル時間供給した後にそのファーストフィル油圧よりも小さい所定の待機油圧まで降下させて待機させ、前記油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生するまでの時間を待機時間として検出する待機時間検出手段を含むものである。このようにすれば、前記ファーストフィル制御に続いて所定の待機油圧にて所定の待機時間維持する待機油圧制御を実行する車両用自動変速機の変速制御装置に関して、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0009】
また、好適には、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生する最低油圧を前記待機油圧として検出する待機油圧検出手段を含むものである。このようにすれば、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0010】
また、好適には、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、その油圧式摩擦係合装置が完全係合させられる最低油圧及びその時点における入力トルクを検出する完全係合油圧・トルク検出手段と、予め定められた関係から前記待機油圧検出手段により検出された待機油圧と、前記完全係合油圧・トルク検出手段により検出された最低油圧及び入力トルクとに基づいて前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧とトルク容量との相関関係を算出する相関関係算出手段とを、含むものである。このようにすれば、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0011】
また、好適には、前記油圧式摩擦係合装置は、前記自動変速機のクラッチツウクラッチ変速に用いられるものであって、その係合に際して前記ファーストフィル油圧を前記ファーストフィル時間供給された後、前記待機油圧にて前記待機時間待機させられ、次いで前記相関関係に基づいて決定された油圧に従って係合圧が増加させられるものである。このようにすれば、エンジンが吹け上がったりダブルロックによる負トルクが発生しがちなクラッチツウクラッチ変速に関して、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例である車両用自動変速機の変速制御装置が適用される駆動力伝達装置10を説明する図である。この動力伝達装置10は、横置き型自動変速機16を有するものであって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものである。この駆動力伝達装置10において、走行用の駆動力源であるエンジン12により発生させられた駆動力は、トルクコンバータ14、自動変速機16、図示しない差動歯車装置、及び一対の車軸等を介して左右の駆動輪へ伝達されるようになっている。
【0014】
上記エンジン12は、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ14は、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車18と、上記自動変速機16の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、一方向クラッチを介して上記自動変速機16のハウジング(変速機ケース)24に連結されたステータ翼車26とを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車18及びタービン翼車22の間にはロックアップクラッチ28が設けられており、係合状態、スリップ状態、或いは解放状態とされるようになっている。このロックアップクラッチ28が完全係合状態とされることにより、上記ポンプ翼車18及びタービン翼車22が一体回転させられるようになっている。
【0015】
前記自動変速機16は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置30を主体として構成されている第1変速部32と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置34及びダブルピニオン型の第3遊星歯車装置36を主体として構成されている第2変速部38とを同軸線上に有し、上記入力軸20の回転を変速して出力歯車40から出力する。この出力歯車40は、図示しないカウンタ軸を介して或いは直接的に差動歯車装置と噛み合わされている。なお、前記自動変速機16は中心線に対して略対称的に構成されていることから、図1では中心線の下半分が省略されている。
【0016】
上記第1変速部32を構成している上記第1遊星歯車装置30は、サンギヤS1、キャリアCA1、及びリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が前記入力軸20に連結されて回転駆動されると共に、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能に前記ハウジング24に固定されることにより、キャリヤCA1が中間出力部材として前記入力軸20に対して減速回転させられる。また、上記第2変速部38を構成している上記第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36では、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1乃至RM4が構成されている。具体的には、上記第3遊星歯車装置36のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、上記第2遊星歯車装置34のリングギヤR2及び第3遊星歯車装置36のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、上記第2遊星歯車装置34のキャリアCA2及び第3遊星歯車装置36のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、上記第2遊星歯車装置34のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。すなわち、上記第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36は、キャリアCA2及びCA3が共通の部材にて構成されていると共に、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されており、且つ上記第2遊星歯車装置34のピニオンギヤが上記第3遊星歯車装置36の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
【0017】
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は、中間出力部材である前記第1遊星歯車装置30のキャリアCA1に一体的に連結されており、第1ブレーキB1によって選択的に前記ハウジング24に連結されて回転停止させられる。上記第2回転要素RM2(リングギヤR2及びR3)は、第2クラッチC2を介して選択的に前記入力軸20に連結される一方、第2ブレーキB2によって選択的に前記ハウジング24に連結されて回転停止させられる。上記第3回転要素RM3(キャリアCA2及びCA3)は、前記出力歯車40に一体的に連結されており回転を出力するようになっている。上記第4回転要素RM4(サンギヤS2)は、第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸20に連結される。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3は、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置である。
【0018】
図2は、前記自動変速機16の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、空欄は解放をそれぞれ表している。この図2に示すように、前記自動変速機16において、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2が共に係合させられることにより第1変速段が成立させられる。第1速変速段から第2速変速段への1→2変速は、前記第2ブレーキB2が解放されると共に前記第1ブレーキB1が係合させられることにより達成される。第2変速段から第3変速段への2→3変速は、前記第1ブレーキB1が解放されると共に前記第3ブレーキB3が係合させられることにより達成される。第3変速段から第4変速段への3→4変速は、前記第3ブレーキB3が解放されると共に前記第2クラッチC2が係合させられることにより達成される。第4変速段から第5変速段への4→5変速は、前記第1クラッチC1が解放されると共に前記第3ブレーキB3が係合させられることにより達成される。第5変速段から第6変速段への5→6変速は、前記第3ブレーキB3が解放されると共に前記第1ブレーキB1が係合させられることにより達成される。そして、前記第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3が共に係合させられることにより後退変速段が成立させられる。すなわち、前記自動変速機16は、前進変速の何れにおいても解放側の油圧式摩擦係合装置を解放させるのと並行して係合側の油圧式摩擦係合装置を係合させるクラッチツウクラッチ変速を実行する。なお、各変速段の変速比は、前記第1遊星歯車装置30、第2遊星歯車装置34、及び第3遊星歯車装置36の各ギヤ比ρ1、ρ2、及びρ3によって適宜定められる。例えばρ1≒0.45、ρ2≒0.38、ρ3≒0.41とすれば、図2に示す変速比が得られ、ギヤ比ステップ(各変速段間の変速比の比)の値が略適切であると共にトータルの変速比幅(=3.62/0.59)も6.1程度と大きく、後退変速段の変速比も適当で、全体として適切な変速比特性が得られる。
【0019】
図3は、前記駆動力伝達装置10を制御するために車両に設けられた電気系統を説明するブロック線図である。この図3に示す電子制御装置42は、例えばCPU、ROM、RAM、インターフェース等を含む所謂マイクロコンピュータであって、予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理することで様々な制御を実行する。上記電子制御装置42には、イグニションスイッチからのスイッチオン・オフ信号、エンジン回転センサからのエンジン回転速度Nを示す信号、エンジン水温センサからのエンジン水温Tを示す信号、エンジン吸気温度センサからのエンジン吸気温度Tを示す信号、エンジン吸気量センサからのエンジン吸気量Qを示す信号、スロットル開度センサからのスロットル開度θTHを示す信号、アクセル開度センサからのアクセル開度θACを示す信号、ブレーキスイッチからのブレーキ操作を示す信号、車速センサからの車速Vを示す信号、シフトレバー位置センサからのシフトレバーの前後位置を示す信号、シフトレバー位置センサからのシフトレバーの左右位置を示す信号、タービン回転センサからの前記タービン翼車22の回転速度である入力回転速度NINを示す信号、前記自動変速機16の出力歯車40の回転速度である出力回転速度NOUT を示す信号、油温センサからの前記自動変速機16へ供給される作動油の油温TATを示す信号、変速パターン切換スイッチの操作位置を示す信号、ABS用電子制御装置からの信号、VSC/TRCの用電子制御装置からの信号、A/C用電子制御装置からの信号等が入力される。一方、上記電子制御装置42から、燃料噴射弁44への燃料噴射信号、イグナイタ46への点火信号、スタータへの駆動信号、シフトポジション表示器への表示信号、ABS用電子制御装置への信号、VSC/TRC用電子制御装置への信号、A/C用電子制御装置への信号等がそれぞれ出力される。また、前記自動変速機16の作動を制御するための油圧制御回路48に備えられた電磁制御弁であるリニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、SL5、SLU、及びSLTの駆動を制御するための信号が出力される。
【0020】
図4は、上記油圧制御回路48の要部を簡単に説明する図である。この図4に示す油圧ポンプ50は、例えば前記エンジン12の回転駆動に従ってストレーナ52に還流した作動油を所定の油圧にて圧送する機械式油圧ポンプである。第1レギュレータ弁54は、上記油圧ポンプ50から供給される油圧を元圧としてライン圧Pを調圧する。ソレノイドモジュレータ弁56は、上記第1レギュレータ弁54から供給されるライン圧Pを元圧としてモジュレータ圧Pを調圧して前記リニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、及びSL5等へ供給する。それ等のリニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SL4、SL5は、前記電子制御装置42からの指令値に従い上記ソレノイドモジュレータ弁56から供給されるモジュレータ圧Pを元圧としてそれぞれ第1クラッチ制御圧PC1、第2クラッチ制御圧PC2、第1ブレーキ制御圧PB1、第2ブレーキ制御圧PB2、第3ブレーキ制御圧PB3を調圧して前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3へ供給する。すなわち、前記自動変速機16に備えられた油圧式摩擦係合装置は、何れも専用の電磁制御弁装置により直接圧制御される。
【0021】
図5は、前記自動変速機16に備えられた油圧式摩擦係合装置の一例として前記第3ブレーキB3の構成を概略的に示す断面図である。この図5に示すように、前記第3ブレーキB3は、ハウジング側板状部材として機能する複数枚(図5では4枚)のブレーキプレート58と、リングギヤ側板状部材として機能する複数枚(図5では4枚)のブレーキディスク62とを備え、そのブレーキプレート58とブレーキディスク62とが交互に軸心方向に重ねられた状態で配設されている。それぞれのブレーキプレート58の外周側には複数の嵌合突起60が形成されており、それら複数の嵌合突起60が前記ハウジング24の内周側に形成された複数の嵌合溝66と嵌め合わされることにより、そのハウジング24に対して軸心方向に相対移動可能且つ相対回転不能に設けられている。また、それぞれのブレーキディスク62の内周側には複数の嵌合突起64が形成されており、それら複数の嵌合突起64が前記リングギヤR1の外周側に形成された複数の嵌合溝68と嵌め合わされることにより、そのリングギヤR1に対して軸心方向に相対移動可能且つ相対回転不能に設けられている。また、上記ブレーキプレート58とブレーキディスク62とが重ねられた一端にはバッキングプレート70が配設されており、他端にはそのバッキングプレート70との間に上記ブレーキプレート58及びブレーキディスク62を挟圧して前記第3ブレーキB3を係合させるための油圧シリンダ72が設けられている。その油圧シリンダ72は、前記ハウジング24の一部に形成された作動油室74と、その作動油室74に供給された油圧を受けて上記バッキングプレート70との間に上記ブレーキプレート58及びブレーキディスク62を挟圧するピストン76とから構成されている。
【0022】
図6は、前記電子制御装置42の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図6に示す待機油圧検出手段80は、前記油圧式摩擦係合装置に所定の油圧を所定時間供給する制御をその油圧を漸増させつつ繰り返して、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生する最低油圧を待機油圧PWAとして検出する。例えば、フットブレーキ等の制動装置により車両停止させられ且つ前記自動変速機16に備えられた油圧式摩擦係合装置のうち前記第1クラッチC1のみが係合させられた状態において、前記第3ブレーキB3の作動油室74に所定の制御油圧PB3を所定時間供給する制御をその制御油圧PB3を漸増させつつ繰り返して、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生する最低油圧を前記第3ブレーキB3の待機油圧PWAB3として検出する。ここで、入力回転速度NINの変化とは、後述する図7のタイムチャートにて「×」印以降に示すように、エンジン回転速度Nに対する比例関係(ニュートラル状態)から逸脱した変化を指し、以下の説明についても同様である。
【0023】
完全係合油圧・トルク検出手段82は、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、その油圧式摩擦係合装置が完全係合させられる最低油圧PST及びその時点における入力トルクTSTを検出する。例えば、フットブレーキ等の制動装置により車両停止させられ且つ前記自動変速機16に備えられた油圧式摩擦係合装置のうち前記第1クラッチC1のみが係合させられた状態において、前記第3ブレーキB3の作動油室74へ供給される制御油圧PB3を漸増させて、前記自動変速機16の入力回転速度NINが零となる最低油圧PSTB3と、その時点におけるエンジン吸気量Qや前記トルクコンバータ14の入出力速度比等から推定される前記自動変速機16の入力トルクTSTB3とを検出する。
【0024】
相関関係算出手段84は、予め定められた関係から前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧PWAと、前記完全係合油圧・トルク検出手段82により検出された最低油圧PST及び入力トルクTSTとに基づいて前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧とトルク容量との相関関係を算出する。例えば、次の(1)式に示す関係から前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧PWAB3に対応する指令値pWAB3と、前記完全係合油圧・トルク検出手段82により検出された最低油圧PSTB3に対応する指令値pSTB3及び入力トルクTSTB3とに基づいて、制御油圧PB3に対応する指令値pB3と、その指令値pB3により実現される前記第3ブレーキB3のトルク容量との相関係数K1及びK2を算出する。なお、この(1)式に示すαは、第3変速段における前記第3ブレーキB3のトルク分配率(既知の値)である。
【0025】
IN×α=K1×pB3−K2・・・(1)
【0026】
図7は、前記電子制御装置42による車両用自動変速機の制御装置の学習作動を説明するタイムチャートである。ファーストフィル時間検出手段86は、前記油圧式摩擦係合装置を完全解放させた後に前記待機油圧PWAよりも大きい所定のファーストフィル油圧PFFを所定時間供給する制御をその時間を漸減させつつ繰り返して、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生しなくなったときのその時間をファーストフィル時間(ピストンストローク時間)tFFとして検出する。例えば、フットブレーキ等の制動装置により車両停止させられ且つ前記自動変速機16に備えられた油圧式摩擦係合装置のうち前記第1クラッチC1のみが係合させられた状態において、前記第3ブレーキB3を完全解放させた後に所定のファーストフィル油圧PFFB3を前記作動油室74へ所定時間供給する制御をその時間を漸減させつつ繰り返して、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生しなくなったときのその時間を図5に示す前記油圧シリンダ72のピストンストロークSを詰めるファーストフィル制御の継続時間であるファーストフィル時間tFFB3として検出する。
【0027】
待機時間検出手段88は、前記ファーストフィル油圧PFFを前記ファーストフィル時間検出手段86により求められたファーストフィル時間tFF供給した後に前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧PWAまで降下させて待機させ、前記油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生するまでの時間を待機時間tWAとして検出する。例えば、前記第3ブレーキB3の作動油室74へ前記ファーストフィル油圧PFFB3を前記ファーストフィル時間検出手段86により求められたファーストフィル時間tFFB3供給した後に前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧PWAB3まで降下させて待機させ、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生するまでの時間を待機時間tWAB3として検出する。
【0028】
前述したように、前記自動変速機16による前進変速は、その何れもが解放側の油圧式摩擦係合装置を解放させるのと並行して係合側の油圧式摩擦係合装置を係合させるクラッチツウクラッチ変速であり、第2変速段から第3変速段への2→3変速、第4変速段から第5変速段への4→5変速、第4変速段から第3変速段への4→3変速、及び第6変速段から第5変速段への6→5変速においては、前記第3ブレーキB3が係合側の油圧式摩擦係合装置として機能する。変速制御手段90は、前記相関関係算出手段84により算出された相関関係に基づいて前記油圧制御回路48に備えられたリニアソレノイド弁SL1乃至SL5等を介して前記自動変速機16の変速を制御するものであり、前記第3ブレーキB3を係合側の油圧式摩擦係合装置とするクラッチツウクラッチ変速においては、前記リニアソレノイド弁SL5へ前記ファーストフィル油圧PFFB3に対応する指令値pFFB3を前記ファーストフィル時間検出手段86により求められたファーストフィル時間tFFB3供給するファーストフィル制御を実行する。それに続いて、前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧PWAB3まで降下させてその待機油圧PWAB3にて上記待機時間検出手段88により検出された待機時間tWAB3維持する待機油圧制御を実行する。更に続いて、前記リニアソレノイド弁SL5へ供給する指令値pB3を漸増させることにより前記第3ブレーキB3の係合圧をスイープアップさせるスイープアップ制御を実行し、その第3ブレーキB3が完全係合した後に指令値pB3を最大値とする。クラッチツウクラッチ変速では、係合側の油圧式摩擦係合装置の係合制御と並行して解放側の油圧式摩擦係合装置の解放制御が実行されるため、架け替えのタイミングがずれることにより前記エンジン12が吹け上がったりダブルロックによる負トルクが発生しがちであるが、ファーストフィル時間tFF及び待機時間tWAの学習を工場出荷時やディーラでのメンテナンス時に完了しておくことで、斯かる弊害の発生を初期から好適に防止できるのである。
【0029】
図8は、前記電子制御装置42による車両用自動変速機の制御装置の学習作動の要部を説明するフローチャートであり、数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
【0030】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、フットブレーキ等の制動装置により車両停止させられ或いはT端子が短絡させられてテストモードが実行される等して学習が開始された後、S2において、学習補正の対象となる油圧式摩擦係合装置例えば前記第3ブレーキB3が完全解放させられる。次に、S3において、前記第3ブレーキB3へ所定の制御油圧PB3が供給されて所定時間待機させられた後、S4において、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生したか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合には、S5において、前記第3ブレーキB3へ供給される制御油圧PB3が微少圧増加させられた後、S3以下の処理が再び実行されるが、S4の判断が肯定される場合には、S6において、その時点での指令値pB3が前記待機油圧PWAB3に対応する待機油圧指令値pWAB3として記憶された後、S7において、前記第3ブレーキB3へ供給される油圧のスイープアップが実行される。次に、S8において、前記自動変速機16の入力回転速度NINが零となったか否かが判断される。このS8の判断が否定される場合には、S7以下の処理が再び実行されるが、S8の判断が肯定される場合には、S9において、その時点での指令値pSTB3と、エンジン吸気量Qや前記トルクコンバータ14の入出力速度比等から推定される前記自動変速機16の入力トルクTSTB3とが記憶された後、前記相関関係算出手段84に対応するS10において、前述した(1)式からS6にて記憶された指令値pWAB3、S9にて記憶された指令値pSTB3、及び入力トルクTSTB3に基づいて制御油圧PB3に対応する指令値pB3と、その指令値pB3により実現される前記第3ブレーキB3のトルク容量との相関係数K1及びK2が算出される。以上の制御において、S2乃至S6が前記待機油圧検出手段80に、S7乃至S9が前記完全係合油圧・トルク検出手段82にそれぞれ対応する。
【0031】
次に、S11において、前記第3ブレーキB3が完全解放させられた後、S12において、前記第3ブレーキB3へS6にて記憶された待機油圧PWAB3よりも大きいファーストフィル油圧PFFB3が所定時間供給される。次に、S13において、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生したか否かが判断される。このS13の判断が肯定される場合には、S14において、前記第3ブレーキB3が再び完全解放させられた後、ファーストフィル油圧PFFB3が供給される時間が微少時間短く設定された後、S12以下の処理が再び実行されるが、S13の判断が否定される場合には、S15において、その時点でのファーストフィル油圧PFFB3の供給時間がファーストフィル時間tFFB3として記憶された後、S16において、前記第3ブレーキB3へ供給される制御油圧PB3がS6にて記憶された待機油圧PWAB3まで降下させられて待機させられる。次に、S17において、前記自動変速機16の入力回転速度NINに変化が発生したか否かが判断される。このS17の判断が否定される場合には、S16以下の処理が再び実行されるが、S17の判断が肯定される場合には、S18において、前記第3ブレーキB3へ供給される制御油圧PB3がS6にて記憶された待機油圧PWAB3まで降下させられてからその時点までの時間が前記待機時間tWAB3として記憶された後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S11乃至S15が前記ファーストフィル時間検出手段86に、S16乃至S18が前記待機時間検出手段88にそれぞれ対応する。
【0032】
このように、本実施例によれば、前記油圧式摩擦係合装置を完全解放させた後に所定のファーストフィル油圧PFFを所定時間供給する制御をその時間を漸減させつつ繰り返して、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生しなくなったときのその時間をファーストフィル時間tFFとして検出するファーストフィル時間検出手段86(S11乃至S15)を含むことから、走行中に変速が実行されずともファーストフィル制御を踏まえた学習が可能とされる。すなわち、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できる車両用自動変速機の変速制御装置を提供することができる。
【0033】
また、前記ファーストフィル油圧PFFを前記ファーストフィル時間検出手段86により求められたファーストフィル時間tFF供給した後にそのファーストフィル油圧PFFよりも小さい所定の待機油圧PWAまで降下させて待機させ、前記油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生するまでの時間を待機時間tWAとして検出する待機時間検出手段88(S16乃至S18)を含むものであるため、前記ファーストフィル制御に続いて所定の待機油圧にて所定の待機時間維持する待機油圧制御を実行する車両用自動変速機の変速制御装置に関して、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0034】
また、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、その油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生する最低油圧に対応する指令値を前記待機油圧指令値pWAとして検出する待機油圧検出手段80(S2乃至S6)を含むものであるため、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0035】
また、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、その油圧式摩擦係合装置が完全係合させられる最低油圧に対応する指令値pST及びその時点における入力トルクTSTを検出する完全係合油圧・トルク検出手段82(S7乃至S9)と、予め定められた関係から前記待機油圧検出手段80により検出された待機油圧指令値pWAと、前記完全係合油圧・トルク検出手段82により検出された指令値pST及び入力トルクTSTとに基づいて前記油圧式摩擦係合装置を制御するための電磁制御弁装置へ供給される指令値とトルク容量との相関関係を算出する相関関係算出手段84(S10)とを含むものであるため、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時において更にきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0036】
また、前記油圧式摩擦係合装置は、前記自動変速機16のクラッチツウクラッチ変速に用いられるものであって、その係合に際して前記ファーストフィル油圧PFFを前記ファーストフィル時間tFF供給された後、前記待機油圧PWAにて前記待機時間tWA待機させられ、次いで前記相関関係に基づいて決定された油圧に従って係合圧が増加させられるものであるため、エンジンが吹け上がったりダブルロックによる負トルクが発生しがちなクラッチツウクラッチ変速に関して、工場出荷時やディーラでのメンテナンス時においてきめ細かな学習を実行できるという利点がある。
【0037】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0038】
例えば、前述の実施例では、専ら前記第3ブレーキB3を対象とする学習について説明したが、学習の対象となる油圧式摩擦係合装置がその第3ブレーキB3に限定されないことは言うまでもなく、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、或いは第2ブレーキB2を対象としても同様の学習が実行される。また、単板式やベルト式の油圧式摩擦係合装置を対象とする学習にも本発明は好適に適用される。
【0039】
また、前述の実施例では特に言及していないが、本発明の車両用自動変速機の変速制御装置による学習は、前記自動変速機16の車載前・車載後の何れの段階において実行されるものであっても構わない。
【0040】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用自動変速機の変速制御装置が適用される駆動力伝達装置を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表である。
【図3】図1の駆動力伝達装置を制御するために車両に設けられた電気系統を説明するブロック線図である。
【図4】図3の油圧制御回路の要部を簡単に説明する図である。
【図5】図1の自動変速機に備えられた油圧式摩擦係合装置の一例として第3ブレーキの構成を概略的に示す断面図である。
【図6】図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図7】図6の電子制御装置による車両用自動変速機の制御装置の学習作動を説明するタイムチャートである。
【図8】図6の電子制御装置による車両用自動変速機の制御装置の学習作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
16:自動変速機
72:油圧シリンダ
76:ピストン
80:待機油圧検出手段
82:完全係合油圧・トルク検出手段
84:相関関係算出手段
86:ファーストフィル時間検出手段
88:待機時間検出手段
C1:第1クラッチ(油圧式摩擦係合装置)
C2:第2クラッチ(油圧式摩擦係合装置)
B1:第1ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
B2:第2ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
B3:第3ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)

Claims (5)

  1. 車両用自動変速機に備えられた油圧式摩擦係合装置を係合させるための油圧シリンダのピストンストロークを詰めるファーストフィル制御を実行する車両用自動変速機の変速制御装置であって、
    車両停止時或いはテストモードにおいて、前記油圧式摩擦係合装置を完全解放させた後に所定のファーストフィル油圧を所定時間供給する制御を該時間を漸減させつつ繰り返して、該油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生しなくなったときの該時間をファーストフィル時間として検出するファーストフィル時間検出手段を含むことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記ファーストフィル油圧を前記ファーストフィル時間検出手段により求められたファーストフィル時間供給した後に該ファーストフィル油圧よりも小さい所定の待機油圧まで降下させて待機させ、前記油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生するまでの時間を待機時間として検出する待機時間検出手段を含むものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、該油圧式摩擦係合装置にトルク伝達が発生する最低油圧を前記待機油圧として検出する待機油圧検出手段を含むものである請求項2の車両用自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧を漸増させて、該油圧式摩擦係合装置が完全係合させられる最低油圧及びその時点における入力トルクを検出する完全係合油圧・トルク検出手段と、
    予め定められた関係から前記待機油圧検出手段により検出された待機油圧と、前記完全係合油圧・トルク検出手段により検出された最低油圧及び入力トルクとに基づいて前記油圧式摩擦係合装置へ供給される油圧とトルク容量との相関関係を算出する相関関係算出手段と
    を、含むものである請求項3の車両用自動変速機の変速制御装置。
  5. 前記油圧式摩擦係合装置は、前記自動変速機のクラッチツウクラッチ変速に用いられるものであって、その係合に際して前記ファーストフィル油圧を前記ファーストフィル時間供給された後、前記待機油圧にて前記待機時間待機させられ、次いで前記相関関係に基づいて決定された油圧に従って係合圧が増加させられるものである請求項1から4の何れかの車両用自動変速機の変速制御装置。
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