JP4259289B2 - 複合重合方法 - Google Patents
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一方、重合体分離後には、通常、未反応単量体及び重合反応工程で副生したオリゴマーのほか、重合反応工程で使用した重合溶媒、触媒不活性化剤、老化防止剤等の副資材等(以下、「回収留分」という)が残る。
例えば、特許文献1では、イソプレンの連続重合方法において、重合阻害物質であるシクロペンタジエンを含有するイソプレンを重合した後、回収留分に含まれるシクロペンタジエンを特定の方法で除去して、重合系に供給するイソプレン中のシクロペンタジエンの濃度が一定値以上にならないようにしながら、未反応イソプレン及び重合溶媒を再使用している。
不純物を特定の化合物と反応させて除去する場合、得られた反応生成物の処理に新たな問題が生じることがある。また、蒸留による場合において、特に、分離回収したい目的化合物と除去したい化合物との沸点が近いときには、分離が容易ではなく、強いて分離をしようとすると、装置面からも操作の面からも経済的に非常に不利になる。また、不純物を分離除去しないままで、回収された単量体や溶媒を再使用していくと、それらの中に微量に存在する不純物が次第に蓄積していき、不純物が重合阻害性化合物である場合には、重合の進行を阻害する、異常反応が起きる、目的の諸特性を有する重合体を得ることができなくなる、等の問題を引き起こす。
更に、本発明の複合重合方法は、第二の重合反応工程(III)の後、重合反応生成物から重合阻害性化合物(A)を分離回収する分離工程(IV)を有していてもよい。
本発明の複合重合方法においては、第一の重合反応工程(I)における重合転化率αが90重量%以下であることが好ましい。
また、本発明の複合重合方法においては、第二の重合反応工程(III)における重合転化率βが95重量%以上であることが好ましい。
本発明の複合重合方法は、重合阻害性化合物(A)がシクロペンタジエンであり、原料単量体(M1)がイソプレンである。
また、本発明の複合重合方法は、第一の重合反応工程がチーグラーナッタ型触媒を用いるイソプレン重合反応工程であり、第二の重合反応工程がアルキルリチウム触媒を用いるスチレン−イソプレンブロック共重合反応工程である。
先ず、第一の重合反応工程(I)において、第一の原料単量体(M1)が重合される。ここで、第一の原料単量体(M1)は、単一の単量体である必要はなく、複数の単量体の混合物であってもよい。
この第一の原料単量体(M1)は、それ(M1)に対する濃度が一定値以上となったときにその重合を阻害し得る重合阻害性化合物(A)を、第一の原料単量体(M1)の重合を実質的に阻害しない程度に、含有する。重合阻害性化合物(A)は、第一の重合反応工程では、重合触媒の活性低下成分として機能し、触媒不活性化剤で処理した後、元の重合阻害性化合物(A)に戻り重合反応液中に存在する。
重合阻害性化合物は、一種類であっても二種類以上の混合物であってもよい。
複合重合方法において、使用できる重合方法は、特に限定されないが、第一の重合反応工程(I)が溶液重合工程であることが好ましい。
重合方法が溶液重合法である場合に、使用される重合溶媒に、特に限定はなく、使用される単量体、重合触媒等に応じて適宜選定することができる。その具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;等を挙げることができる。
また、複合重合方法において、単量体濃度、重合温度、重合時間、撹拌条件、反応雰囲気等の各種重合条件にも特に限定はなく、使用される単量体、重合触媒、重合溶媒、所望の重合体の特性等に応じて適宜選定すればよい。
この重合反応停止時の重合転化率が低い場合に、重合阻害性化合物(A)を含有する未反応の第一の原料単量体を重合後に回収再使用する必要性が高いので、複合重合方法が有利である。
αは、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下である。
分離工程(II)では、先ず、第一の重合反応工程(I)で得られた重合反応生成物から、重合体(P1)を分離する。重合体分離の方法は、特に限定されず、スチームストリッピング、フラッシュ蒸留等の従来公知の方法でよい。
次に、重合体(P1)を分離した後に得られる回収留分を、水洗、遠心分離、蒸留等の工程に付して、触媒不活性化剤や老化防止剤等の再利用不要ないし不可能な微量成分を、必要に応じて除去して、重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分が得られる。なお、上記の微量成分は、次の第二の重合反応工程(III)で行われる第二の重合反応を阻害しなければ、敢えて除去するには及ばない。
第二の重合反応工程(III)においては、第二の原料単量体(M2)を使用する。第二の原料単量体(M2)としては、第一の原料単量体(M1)と同様の単量体を使用することができる。
第二の重合反応工程(III)においては、上記のようにして得られた重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分を使用することができる。即ち、重合阻害性化合物(A)を含有する未反応の第一の原料単量体(M1)以外に、第一の重合反応工程で使用した溶媒等も第二の重合反応工程(III)で使用することができる。このとき、重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分に含有される第一の原料単量体(M1)は、第二の重合反応工程(III)で使用する第二の原料単量体(M2)の一部として使用されることになる。即ち、第一の原料単量体(M1)と第二の原料単量体(M2)との組成は、同一である必要はない。
ここで、分離工程(II)で得られた重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分は、そのまま、第二の重合反応工程(III)において使用してもよいが、蒸留等に付して、重合阻害性化合物(A)を濃縮したのち、第二の重合反応工程(III)に供してもよい。
また、重合阻害性化合物(A)の種類や含有量が異なる2以上の留分に分割することも可能である。
なお、重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分は、支障のない範囲内において、第一の重合反応工程(I)において使用することができる。
βは、95重量%以上であることが好ましく、99重量%以上であることが更に好ましい。
しかしながら、いわゆる重合禁止剤は、通常、高沸点であって、原料単量体との沸点差が比較的大きく、或いは水洗等による分離ができる場合等があって、原料単量体からの分離がさほど困難ではないことから、複合重合方法は、第一の原料単量体(M1)の沸点と重合阻害性化合物(A)の沸点とが近い場合に、特に、上記の大気圧下における沸点差が20K以下である場合に好適である。
一般に、重合体の原料単量体としては、石油由来の炭化水素単量体が使用されることが多い。この炭化水素単量体は、構造が似通い、近似した性状を有するもの、特に沸点が近い重合性単量体及び非重合性化合物の混合物から、蒸留等の方法によって、成分毎に分離されたものである。従って、沸点が近い場合は、分離が容易でなく、主成分単量体に少量の他の重合性単量体や非重合性化合物等を含有する。これらの他の重合性単量体や非重合性化合物が重合に影響しない場合は、得られる重合体の特性への影響を別として、操業上にそれほど重大な問題を引き起こすことはない。ところが、それらが重合に影響する場合、特に重合を阻害する場合は、問題を引き起こす。
複合重合方法によれば、第一の重合反応工程(I)から発生する、重合阻害性化合物(A)を含有する未反応の第一の原料単量体(M1)を、第一の重合反応工程(I)に再使用する必要がないので、上記のような反応異常や生成する重合体の特性値の異常を引き起こすことがない。
重合阻害の程度が小さいとは、原料単量体に対する重合阻害性物質の濃度が同一である場合に、意図的に重合を停止しないときの最終重合転化率がより高くなることをいう。
即ち、複合重合方法は、第一の重合反応工程(I)及び分離工程(II)を経て得られた重合阻害性化合物(A)を含有する回収単量体等成分を、原料単量体(M1)に対して同一の重合阻害性化合物濃度で、第二の重合反応工程(III)に使用したとき、第二の重合反応の最終重合転化率が第一の重合反応の最終重合転化率よりも高くなるような場合に好適に適用できる。
第一の重合反応の最終重合転化率αと第二の重合反応の最終重合転化率βとの差が5ポイント以上であることが、より好ましい。
また、複合重合方法を適用可能な重合阻害性化合物(A)の一例として、シクロペンタジエンを挙げることができる。
本発明の複合重合方法は、重合阻害性化合物がシクロペンタジエン(大気圧下における沸点41.5〜42℃)であり、第一の重合反応がチーグラーナッタ触媒を用いるイソプレン(同34℃)の重合反応であり、第二の重合反応がアルキルリチウム触媒を用いるスチレン(同145℃)−イソプレンブロック共重合反応である複合重合方法である。本発明では、第一の原料単量体(M1)は、2−メチル−1,3ブタジエン(イソプレン)であり、第二の原料単量体(M2)は、2−メチル−1,3ブタジエン(イソプレン)及びスチレンである。
このとき、第二の重合反応における最終重合転化率が高いので、重合阻害性化合物(A)を分離するのに未反応の第二の原料単量体(M2)の損失が少なくて済む。特に、重合転化率が実質的に100%に近い場合には、未反応の第二の原料単量体(M2)が実質的に存在しないので、重合阻害性化合物(A)を分離する際の未反応の第二の原料単量体(M2)の損失が無い。
図1において、単量体精製工程で第一の原料単量体(M1)を含有する粗原料単量体混合物を精製して得られた、微量の重合阻害性化合物(A)を含有する第一の原料単量体(M1)に、重合溶媒を添加して、第一の原料単量体(M1)、微量の重合阻害性化合物(A)及び重合溶媒からなる第一の原料単量体(M1)組成物を得た。これに触媒を添加して、重合を行い、重合転化率αの時点で、重合停止剤を添加して重合を停止する。分離工程(II)において、第一の原料単量体(M1)の重合体(P1)を得、重合体(P1)分離後に得られた回収留分を蒸留等に付して回収単量体等成分(未反応の第一の原料単量体(M1)、重合阻害性化合物(A)及び溶媒の混合物=留分B)を得る。この回収単量体等成分を第二の重合反応工程(III)の第二の原料単量体(M2)の一部として使用する。また、上記留分Bから、重合阻害性化合物(A)の含有量の異なる二つの留分(含有量の高い留分D及び含有量の低い留分C)を得て、留分Dを第二の重合反応工程(III)に供給し、留分Cを第一の重合反応工程(I)に戻して使用することも可能である。第二の重合反応工程(III)における重合転化率βを高く設定することにより、第二の重合反応工程(III)後の回収単量体等成分における重合阻害化合物(A)の濃度を高くすることができ、その分離が容易になる。第二の重合反応工程(III)における転化率を実質100重量%とすれば、重合阻害化合物(A)の分離が非常に容易である。
なお、特に言及しない限り、[部]及び[%]は、重量基準である。
また、各図中、CPDはシクロペンタジエンであり、数値は部数を示す。
単量体精製工程におけるC5留分(「炭素数5の炭化水素留分」をいう)の精製によって得られたシクロペンタジエン含有量1ppmのイソプレン(以下、「フレッシュイソプレン」という)167部に、ブタン556部を添加して、第一の原料単量体(M1)組成物を得た。これにトリイソブチルアルミニウム及び四塩化チタンから本質的になるチーグラーナッタ型触媒(以下、単に「チーグラー触媒」という)を添加して、第1回目の第一の重合反応工程(I)を行い、重合転化率60%の時点で、メタノールを1.7部添加して重合を停止し、分離工程(II)において、ポリイソプレン100部と、イソプレン67部、シクロペンタジエン0.000167部及びブタン556部からなる回収単量体等成分(留分B)とを得た。
以下、同様に、この回収単量体等成分(留分B)をフレッシュイソプレン100部に添加して重合する第一の重合反応工程(I)を繰り返した。
この繰り返しにより、第一の重合反応工程(I)に供されるイソプレン中のシクロペンタジエン濃度が上昇していき、シクロペンタジエン濃度が5ppmに達した段階では、最終重合転化率は40%にまで低下し、生成したポリイソプレンのムーニー粘度は、当初の85から70にまで低下した。
フレッシュイソプレン167部に、ブタン556部を添加して、第一の原料単量体組成物(M1)を得た。これにチーグラー触媒を添加して、第1回目の第一の重合反応工程(I)を行い、重合転化率60%の時点で、重合を停止し、分離工程(II)において、ポリイソプレン100部と、イソプレン67部、シクロペンタジエン0.000167部及びブタン556部からなる回収単量体等成分(留分B)とを得た。(ここまでの操作は、比較例1における第1回目の第一の重合反応工程(I)及びその後の分離操作に同じである。)
この回収単量体等成分(留分B)を、蒸留に付して、ブタン556部、イソプレン65部及びシクロペンタジエン0.000067部からなる留分C、並びに、イソプレン2部及びシクロペンタジエン0.0001部とからなる留分Dを得た。この留分Dを抽出蒸留によるシクロペンタジエン除去工程に付して、シクロペンタジエンを除去して、イソプレン2部(留分E)を回収した。
以下、同様に、この回収単量体等成分(留分B)から得られる留分C及び留分Eをフレッシュイソプレン100部に添加して第一の重合反応工程(I)を繰り返した。
この繰り返しの間、重合に供されるイソプレン100部あたりのシクロペンタジエンの量は、0.0001部に維持され、重合転化率は60%に保つことができ、生成したポリイソプレンのムーニー粘度も、当初の85を維持することができた。
フレッシュイソプレン167部に、ブタン556部を添加して、第一の原料単量体(M1)組成物を得た。これにチーグラー触媒を添加して、第1回目の第一の重合反応工程(I)を行い、重合転化率60%の時点で、重合を停止し、分離工程(II)において、ポリイソプレン100部と、イソプレン67部、シクロペンタジエン0.000167部及びブタン556部からなる回収単量体等成分とを得た。(ここまでの操作は、比較例1における第1回目の第一の重合反応工程(I)及びその後の分離操作に同じである。)
この回収単量体等成分を、蒸留に付して、ブタン556部、イソプレン65部及びシクロペンタジエン0.000067部からなる留分C、並びに、イソプレン2部及びシクロペンタジエン0.0001部からなる留分Dを得た。
以下、同様に、この回収単量体等成分(留分B)を蒸留に付して得られる、ブタン556部、イソプレン65部及びシクロペンタジエン0.000067部からなる留分Cをフレッシュイソプレン102部に添加して重合する第一の重合反応工程(I)を繰り返した。
この繰り返しの間、重合に供されるイソプレン100部に対するシクロペンタジエンの量は0.0001部に維持され、重合転化率は60%に保つことができ、生成したポリイソプレンのムーニー粘度も、当初の85を維持することができた。
他方、イソプレン2部及びシクロペンタジエン0.0001部からなる留分Dを、そのまま(即ち、シクロペンタジエン除去工程に付することなく)、フレッシュイソプレン98部(このものは、シクロペンタジエン0.000098部を含んでいる。)及び溶媒であるシクロヘキサン200部と混合して、第二の単量体(M2)混合物[イソプレン100部、シクロヘキサン200部及びシクロペンタジエン0.000198部からなる。]を得、これをアルキルリチウム触媒を用いて第二の重合反応工程(III)であるスチレン17部とのブロック共重合に供した。重合は、重合転化率100%まで進行した。重合反応生成物を分離工程(IV)に付して、スチレン/イソプレンブロック共重合体117部を得た。また、スチレン/イソプレンブロック共重合体の回収後に得られた、シクロペンタジエンを含有するシクロヘキサン(常圧における沸点81℃)を蒸留に付して、シクロペンタジエンとシクロヘキサンとに分離し、シクロペンタジエンは系外に排出した。また、シクロヘキサンは、第二の重合反応工程(III)に繰り返し使用した。
また、本発明の複合重合方法によれば、比較例2に示すような、イソプレン/シクロペンタジエン混合物(両成分の沸点差は、約8〜9℃である。)(留分D)からシクロペンタジエンを分離する工程を必要とせず、混合物のまま、第二の重合反応工程において使用することができるので、装置上の負担が少なく、操作上も簡便であって、経済的である。
更に、本発明の複合重合方法によれば、重合阻害性化合物(A)は、第二の重合反応工程(III)後、沸点差の大きい溶媒から分離すればよく(シクロヘキサン及びシクロペンタジエン両成分の沸点差は、約39〜40℃である。)、装置上の負担が少なく、操作上も簡便であって、経済的である。
Claims (5)
- シクロペンタジエンである重合阻害性化合物(A)を含有するイソプレンである第一の原料単量体(M1)を重合転化率がαとなるまで重合させる、チーグラーナッタ型触媒を用いるイソプレン重合反応工程である第一の重合反応工程(I)、第一の重合反応工程(I)で得られた重合反応生成物から重合体(P1)と回収留分とを得、次いで、該回収留分を蒸留して重合阻害性化合物(A)を含有する未反応の第一の原料単量体(M1)を回収する分離工程(II)、及び分離工程(II)で得られた、重合阻害性化合物(A)を含有する未反応の第一の原料単量体(M1)を、イソプレンおよびスチレンである第二の原料単量体(M2)の一部として使用し、第二の原料単量体(M2)の重合転化率がβ(但し、β>αである。)となるまで重合させる、アルキルリチウム触媒を用いるスチレン−イソプレンブロック共重合反応工程である第二の重合反応工程(III)を有する複合重合方法。
- 分離工程(II)で得られた重合阻害性化合物(A)の実質的に全量を、第二の重合反応工程(III)に供給することを特徴とする請求項1記載の複合重合方法。
- 第二の重合反応工程(III)の後、重合反応生成物から重合阻害性化合物(A)を分離回収する分離工程(IV)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の複合重合方法。
- 第一の重合反応工程(I)における重合転化率αが90重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合重合方法。
- 第二の重合反応工程(III)における重合転化率βが95重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合重合方法。
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