JP4265257B2 - 露光装置及び露光方法、フィルム構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等の電子デバイスを製造するための露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や液晶表示素子等の電子デバイスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に、パターンが形成されたマスクあるいはレチクル(以下、レチクルと称する)のパターン像を投影光学系を介して感光材(レジスト)が塗布された基板上の各投影(ショット)領域に投影する投影露光装置が使用されている。電子デバイスの回路は、上記投影露光装置で被露光基板上に回路パターンを露光することにより転写され、後処理によって形成される。
【0003】
近年、集積回路の高密度集積化、即ち、回路パターンの微細化が進められている。そのため、投影露光装置における露光用照射ビーム(露光光)が短波長化される傾向にある。即ち、これまで主流だった水銀ランプに代わって、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)といった短波長の光源が用いられるようになり、更に短波長のArFエキシマレーザ(193nm)を用いた露光装置の実用化も最終段階に入りつつある。また、高密度集積化をめざして、F2レーザ(157nm)を用いた露光装置の開発が進められている。
【0004】
一般に、波長約190nm以下のビームは真空紫外領域に属し、真空紫外光と呼ばれ、空気中を透過しないという性質を有している。これは、空気中に含まれる酸素分子・水分子・二酸化炭素分子などの物質(以下、吸光物質と称する)によってビームのエネルギーが吸収されるからである。また、真空紫外光を用いて、十分な生産性(スループット)を確保しつつ半導体製造作業を行うためには、吸光物質の濃度を数ppm以下に抑制しなければならない。上記のように真空紫外光を用いた露光装置では、より微細な遮光パターンの転写が可能な一方で、吸光物質の排除を行う必要がある等、取り扱いが容易ではない。
【0005】
このため真空紫外光を用いた露光装置においては、レチクルステージ系やウエハステージ系等を気密性の高いチャンバ等にそれぞれ収納し、また、照明光学系を筐体に収納し、また、投影光学系を鏡筒に収納し、それらの内部空間の吸光物質を低減もしくは排除している。さらに、筐体及び鏡筒と、レチクルステージ系を収容するチャンバとの間、及び鏡筒とウエハステージ系等を収容するチャンバとの間に関しては、一枚のフィルム状のベローズ機構で取付けられている(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第00/74120号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなベローズ機構に用いられるフィルムは、その種類によって好適に遮蔽する吸光物質の種類が異なる。このフィルムからなるベローズ機構を上記の露光装置に取付けた場合には、遮蔽されなかった吸光物質が露光装置内に侵入し、真空紫外光のエネルギーが吸収され、良好な露光を行うことができず、即ち、十分な生産性が確保された半導体製造を行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑み、露光装置内の所定の空間が外気から隔離し、所定の空間の内部を所望の雰囲気に保つことを可能とする露光装置及び露光方法、フィルム構造体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1から図9に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光装置(10)は、マスク(R)のパターンを基板(W)に転写する露光装置本体と、露光装置本体内の所定の空間(S1)を外気から隔離する隔離機構(71)とを備える露光装置(10)において、隔離機構(71)は、所定の空間(S1)側に配置される第1の薄膜部材(72a)と、第1の薄膜部材(72a)に対して所定間隔離して設けられ、外気に含まれる複数の物質のうち、少なくとも1つの物質が透過可能な特性を有する第2の薄膜部材(72b)と、第1の薄膜部材(72a)と第2の薄膜部材(72b)との間の空間(S3)に封入され、所定の空間(S1)に対し、第2の薄膜部材(72b)を透過した物質の侵入を抑制する気体とを有することを特徴とする。
従って、本発明の露光装置では、隔離機構(71)によって外気の空間(S1)への侵入が抑制される。具体的には、空間(S3)に気体が封入されているので、外気が隔離機構(71)の第2フィルム(72b)を透過した場合であっても、当該外気の空間(S1)への侵入が抑制される。また、空間(S3)内に外気が侵入したとしても、隔離機構(71)は更に第1フィルム(72a)を有しているので、所定の空間(S1)内への侵入を防止できる。即ち、所定の空間(S1)は気密な状態に保たれ、露光光のエネルギーが外気によって吸収されることなく、良好な露光を行うことができる。また、第1の薄膜部材(72a)及び第2の薄膜部材(72b)は、可撓性を有する材料より形成されているため、露光装置(10)を構成する要素間の振動伝播が抑制され、安定した光学特性を得ることができる。
【0010】
また、本発明の露光方法は、上記の露光装置(10)を用いて、マスクパターンを基板(W)に転写することを特徴とする。
従って、本発明の露光方法では、上記の露光装置(10)と同様の効果が得られると共に、パターン精度の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明のフィルム構造体(71)は、マスク(R)のパターンを基板(W)に転写する露光装置本体内における所定の空間(S1)を外気から隔離するフィルム構造体(71)であって、フィルム構造体(71)は、所定の空間(S1)側に配置される第1の薄膜部材(72a)と、第1の薄膜部材(72a)に対して所定間隔離して設けられ、外気に含まれる複数の物質のうち、少なくとも1つの物質が透過可能な特性を有する第2の薄膜部材(72b)と、第1の薄膜部材(72a)と第2の薄膜部材(72b)との間の空間(S3)に封入され、所定の空間(S1)に対して、第2の薄膜部材(72b)を透過した物質の侵入を抑制する気体とを有することを特徴とする。
従って、本発明のフィルム構造体では、上記の露光装置(10)と同様の効果が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明に係る露光装置の一実施の形態について説明する。本例は、露光用のエネルギービームとして真空紫外光を用いるステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置に本発明を適用したものである。
【0013】
図1は、本例の露光装置10の概略構成を示す図であって、露光装置10の一部を切り欠いた構成図である。
図1に示すように露光装置10の構成は、照明光学系21と、レチクル操作部(要素)22と、投影光学系(要素)PLと、ウエハ操作部(要素)23とに大別することができる。このうち、照明光学系21とレチクル操作部22と投影光学系PLは、それぞれ箱状の照明系チャンバ25とレチクル室(要素)26と鏡筒(要素)27の内部に、外気(ここでは後述のチャンバ内の気体)から隔離されて密閉度が高められた状態で収納されており、露光装置10は、全体として内部の気体の温度が所定の目標範囲内に制御された環境チャンバ(不図示)の内部に収納されている。露光装置10において露光光ILが通過する光路空間には、透過性ガス(気体)が供給されるようになっている。
【0014】
ここで、本例の露光光ILは波長157nmの真空紫外光であるため、その露光光ILが透過する気体(エネルギー吸収がほとんど無い物質)としては、窒素ガス(N2)、水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)よりなる希ガスがある。以降、この窒素ガス及び希ガスをまとめて「透過性ガス」と呼ぶことにする。一方、露光光ILを吸収する気体としては、酸素(O2)、水(水蒸気:H2O)、一酸化炭素(CO)、炭素ガス(二酸化炭素:CO2)、有機物、及びハロゲン化物等がある。以降、このような物質を「吸光物質」と呼ぶことにする。
【0015】
照明光学系21は、ミラー30と、ビーム整形光学系31と、フライアレイレンズ32と、ミラー34と、リレーレンズ35と、視野絞り機構36(レチクルブラインド)と、リレーレンズ37と、ミラー38と、コンデンサレンズ系39とを備えており、これらの機器は、露光光源20から発せられる露光光ILの光路上に配置され、露光光ILに対して後述する所定の処理を施すものである。
【0016】
露光光源20は、真空紫外域の波長157nmのパルスレーザ光を発生するF2レーザ光源からなるものであって、前述した露光光ILを発生させるものである。ビーム整形光学系31は、露光光源20から発せられミラー30によって上方に反射された露光光ILに対して、照明系の断面形状の整形と光量制御とを行うものである。フライアレイレンズ32は、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)として構成されたものであって、露光光ILの強度分布を一様化するものである。また、ビーム整形光学系31の前段には、振動等による光軸ずれを位置合わせる自動追尾部(不図示)が設けられている。
【0017】
視野絞り機構36は、その配置面が露光対象であるレチクルRのパターン面と光学的にほぼ共役となるように設定されたものであって、そのパターン面における細長い長方形(スリット)状に形成された照明領域の形状を規定する固定ブラインドと、走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するためにその照明領域を閉じる可動ブラインドとを備えている。この視野絞り機構36は、ミラー34によってほぼ水平方向に反射された露光光ILに対して、その前後段に配置されたリレーレンズ35、37を介してレチクルRのパターン面における長方形状に形成された照明領域を均一な照度分布で照明するためのものである。コンデンサレンズ系39は、ミラー38によって下方に反射された露光光ILに対して、むらのない平行光線を作り出すものである。
【0018】
このような照明光学系21により所定の処理を施した露光光ILをレチクルRに照射すると、レチクルRの照明領域内のパターン像が投影光学系PLを介して投影倍率β(βは例えば1/4、1/5等)で、感光材(フォトレジスト)が塗布されたウエハW上に投影される。ここで、ウエハWは、例えば半導体(シリコン等)又はSOI(Silicon On Insulator)等の円板状の基板である。
【0019】
また、本例のように露光光ILがF2レーザ光である場合には、透過率の良好な光学硝材は蛍石(CaF2の結晶)、フッ素や水素等をドープした石英ガラス、及びフッ化マグネシウム(MgF2)等に限られるため、投影光学系PLを屈折光学部材のみで構成して所望の結像特性(色収差特性等)を得るのは困難である。そこで、本例の投影光学系PLでは、屈折光学素子としての屈折光学部材と反射光学素子としての反射鏡とを組み合わせた反射屈折系を採用しており、これらの屈折光学部材や反射鏡は鏡筒27に収容されている。
以下の説明では、投影光学系PLの光軸AX(図2参照)と交差して、図1の紙面内を左側から右側へ向かう方向をX軸とし、図1の紙面を垂直に貫いて表側から裏側へ向かう方向をY軸とする。また、本例のレチクルR上の照明領域はX軸方向に細長い長方形であり、露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向はY軸方向である。
【0020】
レチクル操作部22は、レチクルRと、レチクル室26と、レチクルステージ40と、レチクルベース(不図示)と、レチクル搬送路28と、レチクルロードロック室(要素)29とを備えている。レチクルRは、レチクルロードロック室29に配置された複数のレチクル群RXのうちいずれかが選択されたものであり、レチクル搬送路28を介して搬送された後に、レチクルステージ40上に保持される。レチクルステージ40はレチクルベース上でウエハステージ(後述)と同期してY軸方向にレチクルRを連続移動させると共に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸の回りの回転方向に同期誤差を低減させるようにレチクルRを微小駆動させるものである。この際のレチクルステージ40の駆動は、レチクルステージ40の位置及び回転角の計測値と主制御系(不図示)からの制御情報とに基づいて行われ、この位置及び回転角は、レーザ干渉計(不図示)によって高精度に計測される。また、レチクルロードロック室29からレチクル搬送路28を介してレチクル室26内に搬送される場合においても、主制御系の制御情報に基づいて行われる。ここで、主制御系とは装置全体の動作を統括制御するコンピュータからなるものである。
【0021】
ウエハ操作部23は、ウエハホルダ45と、ウエハステージ46とを備えており、ウエハホルダ45は、その載置面にウエハWが吸着保持された状態で、ウエハステージ46上に固定されている。ウエハステージ46は、ウエハベース(不図示)上で前述したレチクルステージ40と同期してY軸方向にウエハWを連続移動させると共に、X軸方向及びY軸方向にウエハWをステップ移動させるものである。また、ウエハステージ46は、オートフォーカスセンサ(不図示)によって計測されるウエハW表面の光軸AX(図2参照)方向の位置(フォーカス位置)に関する情報に基づいて、オートフォーカス方式でウエハWの表面を投影光学系PLの像面に合焦させるものである。ウエハステージ46のX軸方向、Y軸方向の位置、及びX軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、Z軸の回りの回転角(ヨーイング量)は、レーザ干渉計(不図示)によって高精度に計測されるようになっており、この計測値及び主制御系からの制御情報に基づいて、ステージ駆動系(不図示)を介してウエハステージ46が駆動されるようになっている。また、移動鏡47aは、ウエハステージ46(ウエハホルダ45)に取付けられ、レーザ干渉計からのレーザビーム(測長ビーム)を反射するものであり、当該移動鏡47aの構成は、一体型のL字型のミラーや、ウエハステージ(ウエハホルダ)の側面を鏡面加工したミラー等、様々の構成が適用され得る。このL字型ミラーを別々の角柱ミラーで構成してもよい。また、ウエハホルダ45、ウエハステージ46、及びウエハベース等によりウエハ操作部23が構成されており、ウエハ操作部23の側方に搬送系としてのウエハローダ等(不図示)が配置されている。
【0022】
更に、本例の露光装置10は、露光光ILの光路上の空間、即ち、照明系チャンバ25、レチクル室26、及び鏡筒27の各内部に、真空紫外域のビームに対してエネルギー吸収の少ない上記透過性ガスを供給して満たし、その気圧を大気圧と同程度もしくはより高く(例えば、大気圧に対し0.001〜10%の範囲内で高く)するガス供給・排気系(ガス供給機構)50を備えている。ガス供給・排気系50は、排気用の排気ポンプ51A、51B及び51C、透過性ガスが高純度の状態で圧縮又は液化されて貯蔵されたボンベ53、及び開閉制御されるバルブ52A、52B及び52C等を含む。なお、これらの数及び設置場所については図に示したものに限定されない。窒素ガスは、波長が150nm程度以下の光に対しては吸光物質として作用し、ヘリウムガスは、波長100nm程度まで透過性ガスとして使用することができる。また、ヘリウムガスは、熱伝導率が窒素ガスの約6倍であり、気圧変化に対する屈折率の変動量が窒素ガスの約1/8であるため、特に高透過率と光学系の結像特性の安定性や冷却性とで優れている。なお、ヘリウムガスは高価であるため、露光光の波長がF2レーザのように150nm以上であれば、運転コストを低減させるためにその透過性ガスとして窒素ガスを使用してもよい。
【0023】
図2は、図1の投影光学系PLの下端部とウエハ(基板)Wとの間、即ち、ワーキング・ディスタンス部WDの断面拡大図である。
ワーキング・ディスタンス部WDには、投影光学系PLの光軸AXを囲み、かつ、投影光学系PLから射出される露光光ILが通過する開口部70aが形成されたパージガイド板70が配置される。パージガイド板70は、排気装置64及び給気装置67とを有しており、コラム(不図示)に設けられている。また、パージガイド板70と鏡筒27との間には、露光光ILを囲むように隔離機構(フィルム構造体)71が設けられている。
【0024】
パージガイド板70は、ステンレス鋼、あるいはセラミックスによって形成される。ここで、パージガイド板70と鏡筒27との間に設けられた空間、すなわち投影光学系PLから開口部70aまでの間を空間S1とし、パージガイド板70とウエハWとの間を空間S2とする。
【0025】
排気装置64は、排気用の排気ポンプ60と、排気配管61と、排気口66とから構成されており、排気配管61及び排気口66を介して、空間S1内の気体を排気ポンプ60によって排気するようになっている。給気装置67は、バルブ63と、ガス供給配管62と、ガス供給口65とから構成されており、ボンベ53(後述)から空間S1に光透過性ガスが供給されるようになっている。更に、排気口66から排気される光透過性ガスの排気量よりも、ガス供給口65から供給される光透過性ガスの供給量が多くなるように設定されている。
【0026】
隔離機構71は、隔離機構71の内側(空間S1側)に位置する第1フィルム(第1の薄膜部材)72aと、その外側(大気側)に位置する第2フィルム(第2の薄膜部材)72bと、第1及び第2フィルム72a、72bを保持する保持部材73とから構成されている。
この保持部材73は、鏡筒27に取付けられる取付け面を備える第1の保持部材(第1保持部)73aと、パージガイド板70に取付けられる取付け面を備える第2の保持部材(第2保持部)73bとを有する。この第1の保持部材73a及び第2の保持部材73bは、それぞれ枠状に形成される。
第1の保持部材73aは、上記取付け面とは反対側の面に、第1フィルム72a及び第2フィルム72bが取付けられる取付部を有する。そして、筒状に構成された第1フィルム72a及び筒状に構成された第2フィルム72bは、互いに所定間隔離した状態で、第1フィルム72aの一端部及び第2フィルム72bの一端部が取付部に取付けられる。
また、第2の保持部材73bは、上記取付け面とは反対側の面に、第1フィルム72a及び第2フィルム73bが取付けられる取付部を有する。そして、筒状に構成された第1フィルム72a及び筒状に構成された第2フィルム72bは、所定間隔離した状態で、第1フィルム72aの他端部及び第2フィルム72bの他端部が取付部に取付けられる。
第1の保持部材73a及び第2の保持部材73bの材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼等が採用され、加工性が優れる材料が好適である。
このように、第1フィルム72a及び第2フィルム72bの一端部及び他端部のそれぞれを、第1の保持部材73a及び第2の保持部材73bで保持することによって、空間S3が形成される。
なお、本実施形態のおいては、鏡筒27の一部に形成された凹部に第1の保持部材73aのうち、取付面が形成された側の一部を埋設してもよく、また、鏡筒27の一部に、第1の保持部材73aが取付けられるフランジ部を設け、このフランジ部に保持部材73を締結してもよい。
【0027】
また、第1の保持部材73aは、空間S3に透過性ガスを供給するガス供給口(気体供給口)76を有し、また、第2の保持部材73bは、空間S3内の気体(ガス供給口から供給される透過性ガスに数%の吸光物質が含まれた混合ガス)を排気するガス排気口(気体排気口)77を有する。ガス供給口76は、第1の保持部材73aに対して、一つ、若しくは等間隔置きに複数個設けられる。また、ガス排気口77は、第2の保持部材73bに対して、一つ、若しくは等間隔置きに複数個設けられる。なお、本実施形態では、ガス供給口76とガス排気口77とは互いに対向して設けられているが、この構成に限られず、互いに対向していなくともよい。
さらに、ガス供給口76及びガス排気口77の両方を第1の保持部材73a(あるいは第2の保持部材73b)にのみ形成してもよい。この場合、第1の保持部材73aに対して、ガス供給口76とガス排気口77とが交互に複数設けられることが望ましい。また、ガス供給口76、ガス排気口77の少なくとも一方を第2フィルム72bに設けてもよい。
【0028】
ガス供給口76には、ガス供給配管75が接続され、当該ガス供給管の任意の位置にバルブ63が設けられ、ボンベ53から供給される透過性ガスが空間S3に供給されるようになっている。また、ガス排気口77は、パージガイド板70の一部と貫通するように設けられており、空間S3内の透過性ガスが露光装置10の外部に排気される。ここで、空間S3に供給される透過性ガスは、露光光ILの光路上の空間に供給される透過性ガスと同種類であることが好ましい。この場合、異種類ガスの混合による屈折率の変化が生じることがなく、干渉計に対する揺らぎ等を防止することが可能になり、正確な計測を実施することができる。なお、鏡筒27内の空間と空間S1とが空間的に隔離されている場合には、鏡筒27内の空間に供給される透過性ガスと、空間S1に供給される透過性ガスとは、互いに種類が異なっていてもよい。例えば、鏡筒27内の空間にHeガスを供給し、空間S1にN2ガスを供給してもよい。
また、ガス供給口76、又はガス排気口77の少なくとも一方には、塵埃を除去するパーティクルフィルタや、有機物質(吸光物質)を除去するケミカルフィルタを設けることが望ましい。
また、本実施形態においては、透過性ガスがガス排気口77から排気されるようになっているが、ガス排気口77を設けずにガス供給口76から供給された透過性ガスを空間S3内に封入し、密閉状態としてもよい。また、ガス排気口77から露光装置10の外部に排気される透過性ガスを排気ポンプ60により回収してもよい。
【0029】
また、第1フィルム72a及び第2フィルム72bの一端部及び他端部は、第1の保持部材73aの突出部及び第2の保持部材73bの突出部に対して、Oリングやクランプ部材(例えば、ホースクランプ)などの締結部材、又は吸光物質の発生が抑制された接着剤等を用いて固定される。ここで、当該締結部材や接着剤等は、空間S1の外部に配置されることが好ましく、より好ましくは露光装置10外に配置されることが好ましい。この場合、Oリングや接着剤等から放出されるガスの空間S1内への侵入を防止することができる。
【0030】
このように、第1及び第2フィルム72a、72bは、保持部材73を介して鏡筒27及びパージガイド板70に締結されるので、鏡筒27の歪みの発生を防止することが可能になる。
ここで、第1及び第2フィルム72a、72bは可撓性材料からなるので、鏡筒27とパージガイド板70との距離を柔軟かつ容易に変位させることが可能になる。
なお、第1及び第2フィルム72a、72bを蛇腹状に折り曲げてもよい。
【0031】
第1フィルム72aは、露光光ILの光路空間に侵入する吸光物質を遮蔽する薄膜材料(第2材料)により形成された遮蔽フィルム(第2の薄膜)を有している。このような薄膜材料としては、例えば、エバール(株式会社クラレ製)、カプトン(デュポン社製)、マイラー(デュポン社製)等が好ましく、本例においてはエバールが採用される。また、第1フィルム72aは、当該遮蔽フィルムのみからなる単層構造に限らず、遮蔽フィルムを有すると共に複数のフィルムからなる積層構造であってもよい。積層構造の場合には、吸光物質を遮蔽する薄膜材料(第2材料)の外面に、接着剤を介して伸縮性を有した薄膜材料(第1材料)により形成された伸縮フィルム(第1の薄膜)を被着し、さらに薄膜材料(第1材料)の内面に金属薄膜(金属膜)をコーティングして形成される。ここで、伸縮フィルムの材料としてはポリエチレンやポリウレタン等が採用される。また、金属薄膜の材料としては、Al(アルミニウム)等の無機物が採用され、当該金属薄膜は真空装置による蒸着法によって形成されることが好ましい。このような積層構造によれば、吸光物質の侵入を遮蔽するだけでなく、柔軟に伸縮が可能で、強度及び耐紫外線性に優れた第1フィルム72aとなる。
【0032】
このように構成された第1フィルム72aを円筒状に閉じるために、フィルムの端部を互いに伸縮フィルムが対向するように折り曲げた後、溶着性にも優れている伸縮フィルム同士を溶着して、第1フィルム72aを円筒状に形成することができる。このように円筒状に形成された第1フィルム72aの内面は、金属薄膜で覆われることになる。第2フィルム72bも第1フィルム72aと同様な遮蔽フィルムで構成され、かつ円筒状に閉じられる。
【0033】
第1フィルム72a及び第2フィルム72bとしては、吸光物質の全てを遮蔽する遮蔽フィルムを用いて形成することが望ましい。
しかしながら、本実施形態の第1フィルム72a及び第2フィルム72bとして、吸光物質の全てを遮蔽する特性を有する遮蔽フィルムを用いずに次のように構成してもよい。
例えば、第1フィルム72aを形成する遮蔽フィルムとして、吸光物質のうち、酸素を透過し難いが、水蒸気を透過する特性を有するものを使用し、また、第2フィルム72bを形成する遮蔽フィルムとして、水蒸気を透過し難いが、酸素を透過する特性を有するものを使用してもよい。このように、特性が異なる遮蔽フィルムで、第1フィルム72a、第2フィルム72bを形成したとしても、それぞれのフィルムに不足する特性を互いに補うことによって、空間S1に対する吸光物質の侵入を抑制することが可能になる。
また、第1フィルム72a及び第2フィルム72bとして、吸光物質のうち、酸素を透過し難いが、水蒸気を透過する特性を有するものを使用してもよい。このように、同じ特性をもつ遮蔽フィルムを用いた場合、水蒸気は、第2フィルム72bを透過して空間S3に侵入する。しかしながら、空間S2に侵入した水蒸気は、空間S3に供給される透過性ガスと共に、ガス排気口77から排出することができるので、第1フィルム72aを透過して空間1に侵入することがほとんどない。
【0034】
このように構成された露光装置10においては、パージガイド板70に設けられた給気装置67が透過性ガスを空間S1内に供給し、排気装置64が空間S1に存在していた吸光物質を透過性ガスと共に排気するので、空間S1が透過性ガスで満たされる。また、排気装置64の排気量よりも給気装置67の透過性ガスの供給量が多く設定されているので、空間S1内に透過性ガスが供給されてから所定時間が経過すると、空間S1内には透過性ガスが充填され、開口部70aを介して空間S2にも透過性ガスが供給される。なお、空間S2内に対する空間S1内からの透過性ガスの供給は、空間S1に透過性ガスが完全に充填されてから始まるものではなく、空間S1に透過性ガスを供給すると同時に、開口部70aから空間S2内に透過性ガスが供給される。
【0035】
更に、隔離機構71においては、透過性ガスがボンベ53からガス供給配管75及びガス供給口76を介して空間S3内に供給され、当該透過性ガスがガス排気口77から排気される。従って、空間S1内に新たに侵入しようとする気体は、隔離機構71の第2フィルム72bを透過しても、空間S3を流動する透過性ガスと共にガス排気口77から排気される。また、第1フィルム72aを形成する遮蔽フィルムとして、吸光物質のうち、酸素を透過し難いが、水蒸気を透過する特性を有するものを使用し、また、第2フィルム72bを形成する遮蔽フィルムとして、水蒸気を透過し難いが、酸素を透過する特性を有するものを使用した場合、空間S3内の酸素濃度が高くなったとしても、空間3内を流動する透過性ガスと共に、ガス排気口77から排気される。さらに、第1フィルム72aを形成する遮蔽フィルムが、酸素を透過し難い特性を有するので、空間S3内に対する酸素の侵入を防止することができる。
なお、第1フィルム72a、第2フィルム72bの構成の他の例として、第1フィルム72aを上述したエバール等の遮蔽フィルムと、伸縮フィルムと、金属薄膜との積層構造とし、第2フィルム72bを伸縮フィルムで構成してもよい。この場合、第2フィルム72bは、吸光物質を遮蔽する特性を持たないので、吸光物質の全てが、第2フィルム72bを透過して空間S3に侵入する。しかしながら、第2フィルム72bを透過した吸光物質は、空間S3に供給される透過性ガスと共に、ガス排気口77から排気され、かつ第1フィルム72bの一部を構成する遮蔽フィルムによって遮蔽されるので、空間S1への侵入が抑制される。
【0036】
更に、露光光ILはレチクルRを照射し、レチクルRのパターン像は投影光学系PLに入射すると共に所定の投影倍率によって縮小されてウエハWに転写される。ここで、ワーキング・ディスタンス部WDにおいて吸光物質が排除されているので、吸光物質による露光光ILのエネルギーが吸収されることなく、良好に露光を行うことができる。
【0037】
なお、本例においては、ウエハWの中央付近を露光する時と、ウエハWの端部を露光する時とで、ガス供給口65からの透過性ガスの供給量や排気口66からの気体の排気量を変化させてもよい。ウエハWの交換時においても同様である。また、ワーキング・ディスタンス部WDの吸光物質の濃度を計測する濃度計を設置し、その計測結果に基づいて透過性ガスの供給量や排気量を調整するなど、濃度管理を行ってもよい。また、透過性ガスの流れを所望の状態にするために、整流板やガイドなどを適宜設けるとよい。
【0038】
また、ウエハW上に塗布された感光材(フォトレジスト)からの吸光物質を含む脱ガスは、感光材の種類や温度等によって量、種類共に異なる。この場合、感光材からの脱ガスの量、種類を予め調査しておき、感光材によって透過性ガスの供給量を調整するとよい。これにより、ワーキング・ディスタンス部WDからの確実に吸光物質を排除する一方で、一般に高価な透過性ガスの消費量を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0039】
また、露光光ILの光路上から吸光物質を排除するには、予め構造材料表面からの脱ガス量を低減する処置を施しておくことが好ましい。例えば、(1)構造材料の表面積を小さくする、(2)構造材料表面を機械研磨、電解研磨、バフ研磨、化学研磨、又はGBB(Glass Beads Blasting)といった方法によって研磨し、構造材料の表面粗さを低減しておく、(3)超音波洗浄、クリーンドライエア等の流体の吹き付け、真空加熱脱ガス(ベーキング)などの手法によって、構造材料表面を洗浄する、(4)炭化水素やハロゲン化物を含む電線被膜物質やシール部材(Oリング等)、接着剤等を光路空間に可能な限り設置しない、等の方法がある。
【0040】
また、照明系チャンバ25からウエハ操作部23のカバーを構成する筐体(筒状体等も可)や、透過性ガスを供給する配管は、不純物ガス(脱ガス)の少ない材料、例えばステンレス鋼、チタン合金、セラミックス、四フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン−テルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペン共重合体等の各種ポリマーで形成することができる。
【0041】
また、各筐体内の駆動機構(レチクルブラインドやステージ等)などに電力を供給するケーブルなども、同様に上述した不純物ガス(脱ガス)の少ない材料で被覆することが望ましい。
【0042】
第1実施形態では、フィルム構造体としての隔離機構71を鏡筒71とパージガイド板70との間に配置する構成について説明した。しかしながら、隔離機構71を鏡筒71とパージガイド板70との間に配置する構成に限らず、露光装置本体内で、所定の空間を外気から隔離する必要がある箇所に適宜使用することが可能である。
以下に、露光装置本体内で、隔離機構71を用いたほかの実施形態、即ち、第2から第5実施形態について説明する。
ここでは、図1及び図2に示した第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
なお、フィルム構造体の構成は、第1実施形態で説明した構成と同じ構成であるので、ここではフィルム構造体の説明は省略する。
【0043】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態を示す投影光学系PLの断面拡大図である。
本例においては、投影光学系PLが光軸AX方向に積み重ねられた複数の分割鏡筒100a〜100kを備えており、フランジFを介して鏡筒定盤(不図示)に支持されている。また、複数の分割鏡筒100a〜100kのうち、分割鏡筒100b、100d、100e、100f、100gにより支持されているレンズ素子101b、101d、101e、101f、101gは、光軸AX方向(Z方向)に移動可能かつX方向又はY方向を軸として傾斜(チルト)可能な可動レンズ素子となっている。
【0044】
レンズ素子101b、101d、101e、101f、101gを保持している分割鏡筒100b、100d、100e、100f、100gの構成について分割鏡筒100bの構成を代表して説明する。なお、他の分割鏡筒100d、100e、100f、100gの構成については、分割鏡筒100bの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
分割鏡筒100bは、分割鏡筒100bの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒100a、100cと接続される外側環102bと、レンズ素子101bを保持するレンズ保持部103bとを備えている。このレンズ保持部103bは、外側環102bに対して光軸AX方向(Z方向)に移動可能かつX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りでチルト可能となるように、外側環102bに駆動機構(ピエゾ素子等)を介して連結されている。
【0045】
また、図3に示した分割鏡筒100a〜100kのうち、分割鏡筒100a、100c、100h、100i、100j、100kにより支持されているレンズ素子101a、101c、101h、101i、101j、101kは、固定レンズとなっている。例えば、分割鏡筒100cは、分割鏡筒100cの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒100b、100dと接続される外側環102cと、外側環102cに取付けられてレンズ素子101cを保持するレンズ保持部103cとを備えて構成される。なお、上記レンズ素子101a〜101kは単一のレンズ素子から構成されることもあり、複数のレンズ素子を組み合わせたレンズ群からなることもある。
【0046】
また、更に投影光学系PLは、隔離機構71を有しており、当該隔離機構71は光軸AXを囲むように分割鏡筒100a〜100kが積み重ねられる部分に配置されている。また、分割鏡筒100a〜100kには、隔離機構71の第1の保持部材73aの取付け面及び第2の保持部材73bの取付け面が取付けられる締結部Tが形成されており、隔離機構71の締結に伴う外側環102a〜102k及びフランジFの歪みの発生を防止している。
【0047】
このように構成された分割鏡筒100a〜100kにおいては、隔離機構71を備えているので、分割鏡筒100a〜100kの相互間の隙間からの吸光物質の侵入を抑制することが可能になり、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
次に、第2実施形態の変形例を説明する。
図4は、分割鏡筒を備えた投影光学系PLを示す断面拡大図である。
本変形例においては、図3と図4との相違点についてのみ説明し、他の構成は上記第2実施形態と同様である。図3に示した隔離機構71は、分割鏡筒100a〜100k及びフランジFが積み重ねられる部分に配置された構成となっているが、本変形例の隔離機構71は、外側環102a〜102kの全体を被覆するように配置されている。ここで、分割鏡筒100a、100k及びフランジFには、隔離機構71の第1の保持部材73aの取付け面、及び第2の保持部材73bの取付け面が取付けられる締結部Tが形成されており、上述と同様に外側環102a、102kの歪みの発生を防止している。
このように構成された投影光学系PLにおいては、上記同様の効果を奏すると共に、分割鏡筒71が外側環102a〜102kの全体を被覆することにより締結部Tの箇所数が減少するので、締結部Tと隔離機構71との接合面からの吸光物質の侵入を抑制することが可能になる。
【0049】
次に、第2実施形態の別の変形例を説明する。
図5は、分割鏡筒を備えた投影光学系PLのうち分割鏡筒100b、100cを示した断面拡大図である。図5に示す分割鏡筒100b、100cは投影光学系PLの一部を代表して示したものであり、他の分割鏡筒については同様の構成であるので説明を省略する。
本変形例においては、図3と図5との相違点についてのみ説明し、他の構成は上記第2実施形態と同様である。図3に示した分割鏡筒100bは分割鏡筒100cに積み重ねられた構成となっているが、図5に示した分割鏡筒100b、100cは、接触することなく隔てて配置されており、分割鏡筒100b、100cの相互間の空間を囲むように隔離機構71が設けられている。
このように構成された投影光学系PLにおいては、隔離機構71の第1フィルム72a及び第2フィルム72bが伸縮性を有しているので、分割鏡筒100b、100cのいずれか一方の位置を変更した場合でも、他方の位置ズレが生じず、また、振動が伝達されない。従って、本変形例においては、上記同様の効果を奏すると共に、投影光学系PLの光学調整を行う場合には必要な分割鏡筒のみを調整することが可能になり、高精度に光学調整を行うことができる。
【0050】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態を示すレチクル操作部22と投影光学系PLとの間の断面拡大図である。
本例においては、レチクル室26が露光光ILが通過する開口部26aを有しており、開口部26aと鏡筒27との間には、露光光ILを囲むように隔離機構71が設けられている。
このような構成においては、上記同様の効果を奏すると共に、レチクル操作部22で生じる振動、例えばレチクルステージ40の駆動やレチクルRの搬送に伴うレチクル室26の振動等が鏡筒27に伝達されない。従って、鏡筒27を通過することにより所定の投影倍率によって縮小されたレチクルRのパターン像にブレが生じることなくウエハWに転写され、良好な露光を行うことができる。
なお、本例においては、開口部26aに窓材を嵌め込んで露光光ILが当該窓材を透過するようにしてもよい。
【0051】
次に、第3実施形態の変形例を説明する。
図7は、レチクル操作部22と投影光学系PLとの間の断面拡大図である。
本変形例においては、レチクル室26及び鏡筒27が締結部Tを有すると共に、隔離機構71が締結部Tに設けられた構成となっている。隔離機構71と締結部Tとの間には、脱ガス性が低いOリングORが配置されると共に、OリングORの外側に配置されたネジSCが隔離機構71と締結部Tとを締結している。ここで、隔離機構71と締結部Tの締結はホースクランプのようなもので締め付けることで密封は可能であるが、この場合には、光軸AXに対して直角方向(X方向、Y方向)に締め付け力が働いてしまい、レチクル室26や鏡筒27に除去不可能な歪みが生じ、光軸AXがずれてしまい、所望の露光特性が得られない。本変形例では、ネジSCが隔離機構71と締結部Tとを締結することにより、締め付け力が光軸AXの軸方向(Z方向)に働くようになっている。なお、ネジSCを用いて締結することを限定せず、締め付け力がZ方向に働くのであれば、クロークランプ等の他の締結部材を用いてもよい。また、ネジSCが配置されるネジ穴は未貫通ネジ穴が好ましく、この場合には高い密閉度が得られる。
このような構成においては、上記同様の効果を奏すると共に、OリングORが配置されているので、隔離機構71と締結部Tとの接合面からの吸光物質の侵入を抑制することが可能になる。また、ネジSCの締め付け力がZ方向に働くので、当該締め付け力に伴う鏡筒27の歪みを最小限に抑制されるので、レチクルRのパターン像の位置精度を損なうことなく、所望の露光を行うことができる。
【0052】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態を示すレチクル操作部22の側面拡大図である。
本例においては、レチクル搬送路28が隔離機構71に被覆されており、当該隔離機構71がレチクル室26及びレチクルロードロック室29との間に配置されている。
このように構成されたレチクル操作部22においては、上記同様の効果を奏すると共に、レチクルRの搬送に伴う振動がレチクル室26に伝達されない。従って、移動鏡(不図示)に対するレーザ干渉計の誤差が生じることがなく、レチクルRの微小駆動及びその位置精度が高精度に保たれるので、良好な露光を行うことができる。
【0053】
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態を示すウエハ操作部23の断面拡大図である。
本例においては、ウエハ操作部23がウエハWを密閉状態に維持するチャンバ201と、チャンバ201内にウエハステージ46を具備するステージ定盤203と、ステージ定盤202に伝達する振動を排除する反力キャンセラ203とを備えた構成となっている。チャンバ201には、上述のボンベ53、ガス供給配管62、バルブ63、排気ポンプ60、排気配管61、が設けられており、チャンバ201内を気密に保持した状態で光透過性ガスが供給されるようになっている。チャンバ201の開口部201aには、隔離機構71が設けられており、投影光学系PLとウエハ操作部23との間からの吸光物質の侵入を抑制している。反力キャンセラ203がチャンバ201へ挿入される部位Qには、隔離機構71が設けられており、隔離機構71の一方の保持部材73dはチャンバ201の外部に、他方の保持部材73eは反力キャンセラ203に固定されている。
このように構成されたウエハ操作部23においては、部位Qに隔離機構71が設けられているので、反力キャンセラ203による振動の排除と共にチャンバ201内が光透過性ガスで気密に充填されるので、上記同様の効果を奏する。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0055】
なお、本発明においては、隔離機構71が設置される位置は上記実施形態に示しただけに限定せず、露光装置10が備える複数の構成要素のうち、振動伝達が抑制された構成要素の相互間に配置してもよい。
【0056】
また、本発明は、走査露光型の投影露光装置のみならず、一括露光型(ステッパー型)の投影露光装置等にも適用できることは明らかである。これらに備えられる投影光学系は、反射屈折系のみならず、屈折系や反射系であってもよい。さらに、投影光学系の倍率は縮小倍率のみならず、等倍や拡大であってもよい。
【0057】
また、本発明はエネルギービームとして、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を使用する場合や、Kr2レーザ光(波長146nm)、Ar2レーザ光(波長126nm)、YAGレーザ等の高調波、又は半導体レーザの高調波等の波長が200nm〜100nm程度の真空紫外光にも適用できる。
また、本発明は、真空紫外光の露光装置に限らず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いた露光装置においても使用することができる。投影光学系としては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合には、硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、X線を用いる場合は反射系の光学系にし(レチクルも反射型タイプのものを用いる)、また、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
【0058】
また、エキシマレーザやF2レーザ等の代わりに、DFB(Distributed feedback:分布帰還型)半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)との両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高波長を用いてもよい。
【0059】
また、露光装置の用途としては、半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートの液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0060】
また、ウエハステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0061】
また、ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0062】
また、ウエハステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0063】
また、レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0064】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0065】
半導体デバイスは、図10に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ301、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ302、デバイスの基材である基板を製造するステップ303、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ304、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)305、検査ステップ306等を経て製造される。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の露光装置によれば、フィルム構造体を備えるので、露光装置内部への吸光物質の侵入を抑制することができると共に、露光装置を構成する要素間の振動伝播が抑制されるので、安定した光学特性を得ることができる。また、本発明の露光方法によれば、パターン精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態として示した露光装置の構成図である。
【図2】 本発明の第1実施形態として示した露光装置のワーキング・ディスタンス部の断面拡大図である。
【図3】 本発明の第2実施形態として示した露光装置の投影光学系の断面拡大図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の変形例として示した露光装置の投影光学系の断面拡大図である。
【図5】 本発明の第2実施形態の別の変形例として示した露光装置の投影光学系の断面拡大図である。
【図6】 本発明の第3実施形態として示した露光装置のレチクル操作部と投影光学系との間の断面拡大図である。
【図7】 本発明の第3実施形態の変形例として示した露光装置のレチクル操作部と投影光学系との間の断面拡大図である。
【図8】 本発明の第4実施形態として示した露光装置のレチクル操作部の側面拡大図である。
【図9】 本発明の第5実施形態として示した露光装置のウエハ操作部の断面拡大図である。
【図10】 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
10 露光装置
22 レチクル操作部(要素)
23 ウエハ操作部(要素)
26 レチクル室(要素)
27 鏡筒(要素)
29 レチクルロードロック室(要素)
50 ガス供給・排気系(ガス供給機構)
71 隔離機構(フィルム構造体)
72a 第1フィルム(第1の薄膜部材)
72b 第2フィルム(第2の薄膜部材)
73a 第1の保持部材(第1保持部)
73b 第2の保持部材(第2保持部)
76 ガス供給口(気体供給口)
77 ガス排気口(気体排気口)
R レチクル(マスク)
S1 空間
S3 空間
Claims (11)
- マスクのパターンを基板に転写する露光装置本体と、前記露光装置本体内の所定の空間を外気から隔離する隔離機構とを備える露光装置において、
前記隔離機構は、前記所定の空間側に配置される第1の薄膜部材と、該第1の薄膜部材に対して所定間隔離して設けられ、前記外気に含まれる複数の物質のうち、少なくとも1つの物質が透過可能な特性を有する第2の薄膜部材と、前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材との間の空間に封入され、前記所定の空間に対し、前記第2の薄膜部材を透過した前記物質の侵入を抑制する気体とを有することを特徴とする露光装置。 - 前記隔離機構は、前記第1の薄膜部材の一端部及び前記第2の薄膜部材の一端部を保持する第1保持部と、前記第1の薄膜部材の他端部及び前記第2の薄膜部材の他端部を保持する第2保持部と、前記第1保持部又は前記第2保持部のいずれか一方に設けられ、前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材との間の空間に前記気体を供給する気体供給口とを備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記第1の保持部又は前記第2の保持部のいずれか一方は、前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材との間の空間に供給された前記気体を排気する気体排気口を備えることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
- 前記所定の空間内に、前記マスクのパターンを前記基板に転写するための露光光を透過する気体を供給するガス供給機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記所定の空間内に供給される気体と、前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材との間の空間に封入される気体とは、同じであることを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材とは、前記所定の空間に対し、前記外気に含まれる複数の物質のうち、互いに異なる物質を遮断する特性を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記第1の薄膜部材は、伸縮性を有する第1材料よりなる第1の薄膜と、前記所定の空間に対する前記外気の侵入を遮断する第2材料よりなる第2の薄膜と、金属膜とで形成され、
前記第2の薄膜部材は、前記第1の薄膜で形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の露光装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の露光装置を用いて、前記マスクパターンを前記基板に転写する露光方法。
- マスクのパターンを基板に転写する露光装置本体内における所定の空間を外気から隔離するフィルム構造体であって、
前記フィルム構造体は、前記所定の空間側に配置される第1の薄膜部材と、該第1の薄膜部材に対して所定間隔離して設けられ、前記外気に含まれる複数の物質のうち、少なくとも1つの物質が透過可能な特性を有する第2の薄膜部材と、前記第1の薄膜部材と前記第2の薄膜部材との間の空間に封入され、前記所定の空間に対して、前記第2の薄膜部材を透過した前記物質の侵入を抑制する気体とを有することを特徴とするフィルム構造体。 - 前記第1の薄膜部材と、前記第2の薄膜部材とは、複数の薄膜が積層して形成されることを特徴とする請求項9に記載のフィルム構造体。
- 前記第1の薄膜部材と、前記第2の薄膜部材とは、積層する薄膜の種類が異なることを特徴とする請求項9又は10に記載のフィルム構造体。
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