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JP4274480B2 - R−t−b系焼結磁石 - Google Patents
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JP4274480B2 - R−t−b系焼結磁石 - Google Patents

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Description

本発明は、R−T−B(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)系焼結磁石に関し、特に着磁特性の高いR−T−B系焼結磁石に関する。
希土類磁石の中でもR−T−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種電気機器に採用されている。
これまで、R−T−B系焼結磁石の磁気特性、具体的には残留磁束密度、保磁力あるいは最大エネルギー積の向上のための研究、開発が主になされてきた。しかし、近時、着磁特性に着目した研究、開発が行なわれている。R−T−B系焼結磁石は、フェライト磁石に比べて高い着磁磁界を必要とする。例えば、リング状のR−T−B系焼結磁石をモータの回転子として用いる場合に、モータにR−T−B系焼結磁石を組み込んだ後にリング状のR−T−B系焼結磁石に捲き回したモータ用コイルを用いて着磁させることがある。モータが小型の場合には所定の捲き回し数を得るためにコイルの線径が細くなり、大電流を流すことができず、そのためにR−T−B系焼結磁石に対して十分な着磁磁界を印加することができない。したがって、以上のような用途に用いられるR−T−B系焼結磁石としては、低い着磁磁界で可能な限り高い着磁特性を有することが要求される。
例えば、特開2002−356701号公報(特許文献1)には、着磁特性の優れるR−T−B系焼結磁石として、主相の平均組成が、(LR1-xHRx214A(Tは、Fe、又はFeとFe以外の遷移金属元素の少なくとも1種との混合物、Aはボロン又はボロンと炭素との混合物、LRは軽希土類元素の少なくとも1種、HRは重希土類元素の少なくとも1種、0<x<1)で表される希土類合金焼結体であって、(LR1-pHRp214A(0≦p<x)で表される組成の第1の主相と、(LR1-qHRq214A(x<q≦1)で表される組成の第2の主相との少なくとも一方を複数有する結晶粒を含んでいる希土類合金焼結体が開示されている。
また、特開2003−217918号公報(特許文献2)には、着磁特性の向上を目的として、重量%で、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Rに占めるNdが50原子%以上である):25〜35%、B:0.8〜1.5%、必要によりM(Ti、Cr、Ga、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Alから選ばれる少なくとも1種):8%以下、及び残部T(Fe又はFe及びCo)、ならびに不可避的不純物を含有し、80at%以上をFeACo1-AとするFe相が0.01〜300μmの大きさで焼結体中に残存している結晶組織を有する希土類焼結磁石において、残留磁束密度で評価される着磁率Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)が59%以上、フラックスで評価される着磁率Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m)が4%以上であることが開示されている。
特開2002−356701号公報 特開2003−217918号公報
特許文献1に開示された技術によれば、磁気特性を低下させることなく着磁特性を改善することができる。しかし、50%程度の着磁率を得るために0.8MA/m(10kOe)程度の着磁磁界が必要であり、さらに低い着磁磁界で50%程度の着磁率を得ることが望まれる。また、特許文献2における残留磁束密度で評価される着磁率Br(0.2MA/m)/Br(2.0MA/m)が59%以上、フラックスで評価される着磁率Φ(0.3MA/m)/Φ(4.0MA/m)が4%以上という値は、着磁特性が良いとはいえない。
一方で、本発明者等の検討によると、低い磁界でより高い着磁率が得られるR−T−B系焼結磁石は、着磁率の着磁磁界による変動を表す着磁特性曲線がなだらかな傾斜を示す傾向にある。つまり、着磁率特性曲線が緩やかなため100%近傍の着磁率に到達するまでに、より大きな着磁磁界が必要であった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、低い着磁磁界でより高い着磁率を得るとともに、100%近傍、例えば85%程度の着磁率に到達するまで、より着磁率の立ち上がりが早いR−T−B系焼結磁石を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者が、R14B結晶粒からなる主相を備える焼結体からなる磁石について検討を行なったところ、焼結体中に比較的粗大なR14B結晶粒を所定量存在させることにより着磁特性の高いR−T−B系焼結磁石が得られた。
すなわち本発明のR−T−B系焼結磁石は、R14B結晶粒(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素。以下同じ。)からなる主相を備え、R:25〜35wt%、B:0.5〜4wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.02〜1.5wt%、Co:0.5〜5wt%以下、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなり、R14B結晶粒の平均粒径が10μm以下であり、かつ15μm以上の粒径を有するR14B結晶粒の焼結体における存在比率が1〜8%であり、焼結体の酸素量が4500〜6000ppmであることを特徴とする。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上という優れた着磁特性を得ることができる。
ところで従来から、R−T−B系焼結磁石は、高い保磁力を得ようとする場合には残留磁束密度が低くなり、逆に高い残留磁束密度を得ようとする場合には保磁力が低くなることが知られている。例えば、希土類元素として含有される重希土類元素(典型的には、Dy及び/又はTb)の量を調整すること、具体的には高保磁力を得たいときには重希土類元素の量を増やし、高残留磁束密度を得たいときには重希土類元素の量を減らすことにより、所望する特性を得ていた。そして、保磁力の低いタイプのR−T−B系焼結磁石は、着磁特性が低いことが概念的には知られていた。ところが、従来、着磁特性を向上させる有効な手段は見出されていなかった。
ところが、本発明によると、保磁力(HcJ)が1600kA/m(20kOe)以下の低保磁力タイプのR−T−B系焼結磁石においても低い着磁磁界における着磁特性を向上させることができるという利点がある。このR−T−B系焼結磁石は、残留磁束密度(Br)が1.3T以上の特性を確保することができる。
本発明のR−T−B系焼結磁石において、焼結体中の酸素量が4500〜6000ppmの範囲にあることが、以上の優れた着磁特性に寄与する。さらに、焼結体中にZr、Nb、Hfが分散していることが、本発明にとって好ましい。
R−T−B系焼結磁石としては、さらに上記組成にBi及びGaの1種又は2種を0.01〜0.2wt%含有する組成が好ましい。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Rとして0.5〜12wt%の重希土類元素を含むことができる。重希土類元素としては、Dy及び/又はTbを含むことが好ましい。
また、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、種々の形態の磁石に用いることができるが、多極着磁される磁石に用いた場合にその効果を顕著に発揮することができる。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、高い磁気特性を有するためには、焼結体中の窒素量を20〜600ppm、炭素量を1500ppm以下に規制することが好ましい。
本発明によれば、400kA/m(5.1kOe)程度の低い着磁磁界での着磁率が向上されるとともに、600kA/m(7.6kOe)以上の着磁磁界における着磁率も向上されたR−T−B系焼結磁石を提供する。このような着磁特性に優れたR−T−B系焼結磁石は、多極着磁磁石に用いた場合には、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。このようなリング磁石を用いたモータは、高い回転性能を保持することができる。また、着磁率の高い磁石は、材質的に高コストで高磁気特性であるが着磁率の低い磁石に比べて、実際に発生するトータルフラックスが多い場合がある。したがって、本発明は、所定のトータルフラックスを低コストの磁石で実現することができる。または磁石のサイズを小型化することができる。
以下、本発明によるR−T−B系焼結磁石及びその製造方法について詳細に説明する。
<焼結体組織>
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、よく知られているように、R214B結晶粒(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを主体とする遷移金属元素の1種以上)からなる主相を含む。またこの主相の他に粒界相を含む。この粒界相は、Rの含有量が主相よりも多い。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、焼結体中に15μm以上の粒径を有するR214B結晶粒(以下、単に結晶粒ということがある)が1〜8%存在することが重要である。後述する第1実施例で説明するように、焼結体中に15μm以上の粒径を有する結晶粒が1%未満では着磁率向上を図ることができない。また、焼結体中に15μm以上の粒径を有する結晶粒が8%を超えて存在すると、高い着磁率を得ることができるものの、保磁力の低下が顕著となる。したがって本発明では、15μm以上の粒径を有する結晶粒を1〜8%、好ましくは2〜7%、さらに好ましくは3〜6%存在させる。
本発明において、15μm以上の粒径を有する比較的に粗大な結晶粒が存在することにより優れた着磁特性が得られる理由は明らかでない。しかし、このような粗大な結晶粒ほど磁区の回転が容易であり、この粗大粒の磁区の回転が周囲の微小粒の磁区の回転を誘起したために着磁特性が向上したものと解される。
15μm以上の粒径を有する結晶粒が1〜8%存在する焼結体を得る方法を本発明は問わない。なお、磁場中成形に供される微粉砕粉の粒度分布、焼結条件を操作することにより、15μm以上の粒径を有する結晶粒が1〜8%存在する焼結体を得ることが可能である。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、R214B結晶粒の平均粒径を10μm以下とする。平均粒径が10μmを超えると保磁力の低下が顕著となるためである。ただし、本発明は15μm以上の粒径を有する結晶粒を意識的に存在させるため、結晶粒の平均粒径を10μm以下の範囲内では大きめに設定することが有利である。そのため本発明では、結晶粒の平均粒径は6〜9μmの範囲とすることが好ましい。
<着磁特性>
本発明は、Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上である。さらに、本発明のR−T−B系焼結磁石は、790kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf4とすると、着磁率c(=f4/f3×100)が95%以上となり、極めて着磁率が高い。なお、本発明におけるPcは、「焼結磁石」俵好夫、大橋健共著(森北出版)第146頁の図5−4に基づいて定めている。また、着磁率は以下によって測定した。評価する磁石をポールピースに挟み込んで閉磁路を形成した後、電磁石に電流を流し着磁を行なった。この場合、印加磁場=有効磁場となる。着磁後、フラックスメータによりトータルフラックスを測定した。
ここで着磁特性についていえば、前述したように、低磁界でより大きな着磁率を有し、かつ着磁率の立ち上がり急峻であることが理想的である。ところが、従来、保磁力(HcJ)が1600kA/m以下の低保磁力タイプのR−T−B系焼結磁石は、この両者を満足することは容易ではなかった。しかるに、本発明は、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上、さらには着磁率c(=f4/f3×100)が95%以上という、従来にはない低磁界において高着磁率を有し、かつ着磁率の立ち上がりの早いR−T−B系焼結磁石を提供する。
次に、本発明のR−T−B系焼結磁石の好ましい化学組成について説明する。この化学組成は、主相及び粒界相全体としてのものである。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Rを25〜35wt%含む。Rの量が25wt%未満だと、R−T−B系焼結磁石の主相となるR14B結晶粒の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が35wt%を超えると主相を構成するR14B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRの量が35wt%を超えるとRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜35wt%とする。望ましいRの量は26〜33wt%、さらに望ましいRの量は27〜32wt%である。
RとしてDy及び/又はTbを含む場合には、Dy及び/又はTbと他のRとの合計を25〜35wt%とする。そして、この範囲において、Dy及び/又はTbの量は0.1〜8wt%とすることが好ましい。Dy及び/又はTbは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDy及び/又はTbの量を0.1〜3.5wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDy及び/又はTbの量を3.5〜8wt%とすることが望ましい。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、Bが4wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Coを必須元素とするが、その量は0.5〜5wt%とする。Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果があり、この効果を得るために0.5wt%以上とすることが好ましい。また、Cuと複合添加することにより、高い保磁力が得られる時効処理温度範囲が拡大するという効果をも有する。しかし、過剰の添加は保磁力の低下を招くとともに、コストを上昇させるため上限を5wt%とする。望ましいCoの含有量は0.5〜3wt%、さらに望ましいCoの含有量は0.8〜2.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%の範囲で含有する。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.3wt%以下(ただし、0を含まず)、望ましくは0.2wt%以下(ただし、0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.15wt%である。Al及びCuの1種又は2種は、主相及び粒界相のいずれに含有されていても本発明の効果に悪影響を与えることはない。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.2〜1.5wt%含有する。R−T−B系焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Zr、Nb及びHfは焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Zr、Nb及びHfは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上の望ましい量は0.05〜1.3wt%、さらに望ましい量は0.08〜1.0wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、保磁力向上のためにBi及びGaの1種または2種を含有することが有効である。Bi及びGaの1種または2種は0.01〜0.2wt%の範囲で含有することが好ましい。Bi及びGaの1種または2種のさらに好ましい範囲は0.03〜0.15wt%、より好ましい範囲は0.05〜0.12wt%である。Bi及びGaは、主相及び粒界相のいずれに含有されていても本発明の効果に悪影響を与えることはない。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、その酸素量を4500〜6000ppmとすることが好ましい。酸素量が多いと非磁性成分である酸化物相が増大して、磁気特性を低下させる。一方、酸素量を低くすると焼結過程で結晶粒の成長を抑制する働きを有する酸化物相の量が減る。本発明は上述したように、比較的粗大な結晶粒を生成させることによる着磁特性向上効果を期待するものであり、酸化物相の増大をも考慮して、焼結体に含まれる酸素量を4500〜6000ppmとする。
<多極着磁磁石>
本発明は、多極着磁が施される磁石に適用することが好ましい。
多極着磁される磁石としては、モータ用に用いられるラジアル異方性又は極異方性リング状磁石、CD、DVD等の機器のピックアップ駆動用に用いられる直方体状磁石、VCM(Voice Coil Motor)用の扇状磁石がある。これらの多極着磁磁石は、N・Sの極性を複数有している。
以上の多極着磁磁石に本発明のR−T−B系焼結磁石を適用すると、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができる。そのために、トータルフラックス量が増加し、例えばモータに用いるものであればモータの特性を向上させることができる。ここで、ニュートラルゾーンとは、磁石を着磁した際に、極性(N・S)が反転する境界においてN又はSのどちらにも着磁されない領域をいう。特に、サイズの小さな磁石や極数の多い磁石においては、ニュートラルゾーンの占める割合が増大する。したがって、本発明による着磁特性の優れるR−T−B系焼結磁石を多極着磁に供することにより、ニュートラルゾーンの幅を狭くすることができ、ひいては当該磁石が用いられるモータの特性を向上することができる。
<製造方法>
次に、本発明によるR−T−B系焼結磁石の好適な製造方法について説明する。
本実施の形態では、単一の原料合金を用いて製造する方法について示す。ただし、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、R214B結晶粒を主体とする合金と、この合金よりRを多く含む合金とを用いる混合法により製造することができることはいうまでもない。
はじめに、真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより、所定組成の原料合金を得る。
原料合金が作製された後、原料合金は粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、それぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが好ましい。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させた後、粗粉砕を行なうことが効果的である。また、水素吸蔵自体を粗粉砕として位置づけることもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕は、主にジェットミルが用いられる。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の粉砕助剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。
次いで、微粉末を磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。この磁場中成形は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)前後の磁場中で、0.3〜3.0ton/cm2(30〜300MPa)前後の圧力で行なえばよい。また、印加する磁場は静磁場の他に、パルス状の磁場でもよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜5時間程度焼結すればよい。焼結工程の前に成形体に含まれている粉砕助剤、ガスなどを除去する処理を行なってもよい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、500℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、500℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、500℃近傍の時効処理を施すとよい。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
<第1実施例>
ストリップキャスト法により、表1に示す組成(wt%)の原料合金を作製した。
得られた原料合金に対して室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう、水素粉砕処理を行なった。
高磁気特性を得るべく、本実験では焼結体酸素量を4500〜6000ppmに制御するため、水素粉砕(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の酸素濃度を200〜500ppmの範囲に制御している。
水素粉砕された合金に粉砕助剤としてステアリン酸を0.1%添加し、ジェットミルにて微粉砕を行なって、5種類の微粉末を得た。なお、5種類の微粉末は、ジェットミルによる粉砕時間を変えることにより得た。
得られた微粉末を1320kA/m(16.5kOe)の磁場中で加圧成形を行って成形体を得た。成形体の密度は4.2Mg/m3である。
得られた成形体を真空中において1040℃で4時間焼結した後、急冷した。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と530℃×2.5時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
Figure 0004274480
得られたR−T−B系焼結磁石についてB−Hトレーサにより磁気特性を測定するとともに、焼結体の平均結晶粒径、粒径が15μm以上の結晶粒の比率、密度、酸素量、窒素量及び炭素量を測定した。その結果を表2に示す。表2において、dは焼結体の平均結晶粒径、A1は粒径が15μm以上の結晶粒の比率(粗大粒比)、ρは焼結体の密度、Brは残留磁束密度、HcJは保磁力を示す。焼結体の平均結晶粒径dは、焼結体の研磨面を簡易偏光顕微鏡(オリンパス光学工業(株)製BX60M)で観察し、それを画像処理装置(旭化成工業(株)製IP−1000)にて評価した。この評価により、各結晶粒の面積が得られるので、それを円相当径に換算して結晶粒径とした。粗大粒比A1を求める基準となる15μmという粒径は簡易偏光顕微鏡にて観察した1視野480μm×540μmの焼結体組織の破断面写真から長径が15μm以上の粗大粒の面積比率を求め、5視野の粗大粒子の面積比率を平均して求めた値を用いた。
表2に示すように、試料No.5を除くいずれのR−T−B系焼結磁石も1.3T以上の残留磁束密度(Br)、1300kA/m以上の保磁力(HcJ)を有していることがわかる。
また、R−T−B系焼結磁石の酸素量が、5300〜5700ppmの範囲、窒素量が100ppm以下、炭素量が800ppm以下であり、窒素量、炭素量が低いレベルにあることがわかる。
Figure 0004274480
次に、試料No.1〜5のR−T−B系焼結磁石について、着磁率(Pc=2)を測定した。その結果を表3に示す。表3に示すように、粗大粒比A1が0.83%と最も小さい試料1のR−T−B系焼結磁石は、400kA/mの着磁磁界で35%未満の着磁率しか得られないことがわかる。一方で、粗大粒比A1が大きくなると着磁率が向上することがわかる。ただし、表2に示したように、粗大粒比A1が8.66%に達すると保磁力(HcJ)の低下が無視できなくなる。
Figure 0004274480
以上より、焼結体の粗大粒比A1(15μm以上の結晶粒の存在比率)を1〜8%とすることにより、400kA/mという低い着磁磁界で35%以上の着磁率を得ることができるとともに、600kA/mの着磁磁界で85%以上、さらには790kA/mの着磁磁界で95%以上の着磁率を得ることができる。このように本発明によるR−T−B系焼結磁石は、着磁率の立ち上がりが早い。
<第2実施例>
微粉末を作製する際のジェットミル中の粉砕ガス(窒素)の酸素含有量を制御することによって最終の焼結体の酸素含有量を変動させた以外は第1実施例と同様にして4種類のR−T−B系希土類永久磁石(試料No.6〜9)を得た。得られたR−T−B系焼結磁石について、第1実施例と同様に磁気特性等を測定した。その結果を表4に示す。なお、表4中の記号は表2と同様である。
表4に示すように、酸素量(O2)が低いほど焼結体の平均結晶粒径d及び粗大粒比A1が大きくなることがわかる。このように粗大粒比A1が大きいと、第1実施例で示したように、着磁率向上を望めない。また、酸素量が本発明の範囲を超えると、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)ともに低下してしまう。以上より、本発明では酸素量を4500〜6000ppmとする。
Figure 0004274480
次に、以上の焼結体について、着磁率(Pc=0.5、1.0、2.0)を測定した。その結果を表5に示すが、Pcが小さくなるにつれて着磁率は低下する傾向にある。400kA/mの着磁磁界において、Pc=0.5の着磁率が29%以上、Pc=1.0の着磁率が35%以上と低磁界で高い着磁率を示している。また、790kA/mの着磁磁界において、Pc=0.5の着磁率が85%以上、Pc=1.0の着磁率が95%以上の着磁率を示していることがわかる。
Figure 0004274480

Claims (4)

  1. 14B結晶粒(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素。以下同じ。)からなる主相を備え、R:25〜35wt%、B:0.5〜4wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.02〜1.5wt%、Co:0.5〜5wt%以下、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなり、
    前記R14B結晶粒の平均粒径が10μm以下であり、かつ15μm以上の粒径を有する前記R14B結晶粒の前記焼結体における存在比率が1〜8%であり、
    前記焼結体の酸素量が4500〜6000ppmであることを特徴とするR−T−B系焼結磁石。
  2. Pc(パーミアンス係数)が2において、400kA/mの有効磁場(ただし、有効磁場=印加磁場−反磁場)を印加したときのトータルフラックスをf1、600kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf2、2000kA/mの有効磁場を印加したときのトータルフラックスをf3とすると、着磁率a(=f1/f3×100)が35%以上、かつ、着磁率b(=f2/f3×100)が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石。
  3. 前記R14B結晶粒の平均粒径が6〜9μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−T−B系焼結磁石。
  4. 前記焼結体は、Bi及びGaの1種又は2種を0.01〜0.2wt%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石。
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