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JP4275638B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents
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JP4275638B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機の駆動力を車両左右の車軸に差動装置を介して伝達する車両の駆動装置に関し、特に、車軸駆動用の電動機と、差動装置を含む動力伝達機構が車軸と同軸に配置された車両の駆動装置に関するものである。
車両の駆動装置として、車両左右の車軸を差動装置に連結するとともに、一方の車軸の外周に同軸に配置した電動機によって差動装置に駆動力を伝達するようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
この駆動装置は、車軸駆動用の電動機と、その電動機の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機が一方の車軸の外周側に同軸に配置され、電動機と遊星歯車式減速機と差動装置が一体のハウジングに収容されている。遊星歯車式減速機は、一方の車軸の外周に配置された電動機のロータにサンギヤが連結され、そのサンギヤと、ハウジングに固定のリングギヤにプラネタリギヤが噛合されるとともに、プラネタリキャリアが差動装置のディファレンシャルケースに連結されている。したがって、電動機の駆動力は、設定減速比に減速されてプラネタリキャリアを通して差動装置に入力され、その差動装置を介して車両左右の車軸に出力される。
この駆動装置は、車軸駆動用の電動機と遊星歯車式減速機が一方の車軸上に同軸に配置されているため、装置全体を車軸回りにコンパクトに配置することができる。
米国特許第4418777号明細書
しかし、この従来の車両の駆動装置においては、電動機のロータと差動装置が遊星歯車式減速機を介して常時一定減速比になるように連結されているため、車両の走行時に車軸の回転に応じて電動機のロータが常に回転することとなり、例えば、車軸の回転速度が電動機の駆動範囲よりも速い状況下においてはロータが車軸側の回転によって強制的に回される。
このような状況下においては、電動機のロータが高回転で強制的に回転させられるため、電動機の損失が大きくなるとともに、車軸に本来望まないフリクションが作用することがある。
そこでこの発明は、装置の大型化を招くことなく電動機と車軸の間の動力の断接を任意に制御できるようにして、電動機の過剰回転の防止と車軸フリクションの低減を、コンパクト構造を維持したまま実現可能な車両の駆動装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車軸駆動用の電動機(例えば、後述の実施形態における電動機2)と、この電動機の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機(例えば、後述の実施形態における遊星歯車式減速機12)と、この遊星歯車式減速機の出力を車両左右の車軸(例えば、後述の実施形態における車軸10A,10B)に分配する差動装置(例えば、後述の実施形態における差動装置13)と、を備え、前記差動装置に連結された一方の車軸の外周側に、前記遊星歯車式減速機と電動機が同軸に配置された車両の駆動装置において、前記遊星歯車式減速機のサンギヤ(例えば、後述の実施形態におけるサンギヤ21)とプラネタリキャリア(例えば、後述の実施形態におけるプラネタリキャリア23)を、前記電動機のロータ(例えば、後述の実施形態におけるロータ15)と差動装置のディファレンシャルケース(例えば、後述の実施形態におけるディファレンシャルケース31)に夫々接続するとともに、前記遊星歯車式減速機のリングギヤを、車体固定のハウジング(例えば、後述の実施形態におけるハウジング11)内に回転可能に収容し、前記リングギヤとハウジングの間に、リングギヤとハウジングを係合してリングギヤに制動力を付与する制動手段(例えば、後述の実施形態における油圧クラッチ28)を設け、この制動手段を油圧クラッチによって構成して、オイルポンプ(例えば、後述の実施形態におけるオイルポンプ40)から吐出されたオイルを、アキュムレータ(例えば、後述の実施形態におけるアキュムレータ42)を介して前記油圧クラッチに供給し、前記アキュムレータを前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置するようにした。
この発明の場合、制動手段によってリングギヤに制動力を付与すると、リングギヤがハウジングに固定され、電動機のロータからサンギヤに入力された駆動力は遊星歯車式減速機で設定減速比に減速されて差動装置のディファレンシャルケースに伝達される。ディファレンシャルケースに伝達された駆動力は差動装置によって車両左右の車軸に分配される。また、制動手段からの制動力の付与が遮断されると、リングギヤがハウジングに対して自由に回転するようになる。したがって、例えば、車軸の回転速度が電動機の駆動要求よりも速い状況下において制動手段による制動力付与が遮断されると、車軸側の余剰回転に応じてリングギヤがハウジング内で空転し、車軸側の回転が電動機側に入力されなくなる。
また、この場合、装置の径方向外側への張り出しスペースを大きくすることなく、充分な容積のアキュムレータを設置することが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記遊星歯車機構のプラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態におけるプラネタリギヤ22)を、サンギヤに噛合される大径の第1ギヤ(例えば、後述の実施形態における第1ギヤ26)の軸方向側部に小径の第2ギヤ(例えば、後述の実施形態における第2ギヤ27)が一体に設けられた構成とし、前記第2ギヤの外周側に前記リングギヤを配置して両ギヤを噛合するとともに、このリングギヤの側部と前記ハウジングの間に前記制動手段を配置するようにした。
この場合、リングギヤは、プラネタリギヤの小径の第2ギヤの外周側に配置されるため、サンギヤに直接噛合される第1ギヤの外周側に配置するときに比較して外径を小さくすることができる。したがって、リングギヤを収容するハウジングの外径を小さく維持したまま、リングギヤとハウジングの間に制動手段を配置することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記オイルポンプを前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置するようにした。
この場合、装置の径方向外側への張り出しスペースを大きくすることなく、充分な容量のオイルポンプを設置することが可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記オイルポンプを駆動するための電動機(例えば、後述の実施形態におけるポンプ駆動用の電動機41)を前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置するようにした。
この場合、装置の径方向外側への張り出しスペースを大きくすることなく、ポンプ駆動用の電動機を設置することが可能になる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記車軸駆動用の電動機と遊星歯車式減速機と差動装置を連続した共通のハウジング内に収容し、前記ハウジングに、前記電動機と遊星歯車式減速機と差動装置の各下位領域に跨る連続したオイル貯留部(例えば、後述の実施形態におけるオイル貯留部70)を設け、このオイル貯留部に貯留されたオイルを前記電動機の冷却用及び/またはアクチュエータ作動用の油圧回路(例えば、後述の実施形態における油圧回路39)に供給するようにした。
この場合、連続したオイル貯留部が電動機と遊星歯車式減速機と差動装置の各下位領域に跨って設けられているため、ハウジングの外側に専用のオイルパンを別に設けることなく潤滑やアクチュエータ作動のための充分な量のオイルを貯留することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記油圧回路を前記ハウジングの壁(例えば、後述の実施形態における端部壁17)に一体に形成するようにした。
この場合、ハウジングの壁を利用して油圧回路を形成しているため、油圧回路を形成するための部材を別途追加する必要がなく、その分、装置全体を小型化することができる。
この発明によれば、リングギヤとハウジングの間に介装した制動手段によってリングギヤの固定と自由回転を切り換え、それによって電動機と車軸の間の動力の断接を制御することが可能であるため、装置のコンパクト構造を維持したまま、電動機の過剰回転の防止と車軸フリクションの低減を図ることができる。また、この発明によれば、アキュムレータが一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置されるため、装置の径方向外側への張り出し量を大きくすることなく、充分な蓄圧容量を確保することができる。
以下、この発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
この発明にかかる駆動装置1は、電動機2を車軸駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図2に示すような駆動システムの車両3に用いられる。
図2に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動ユニット6を有するハイブリッド車両であり、この駆動ユニット6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wf側に伝達される一方で、この駆動ユニット6と別に設けられたこの発明にかかる駆動装置1の動力が後輪Wr側に伝達されるようになっている。駆動ユニット6の電動機5と後輪Wr側駆動装置1の電動機2は、PDU8(パワードライブユニット)を介してバッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、各電動機5,2からバッテリ9へのエネルギー回生がPDU8を介して行われるようになっている。
図1は、駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、同図において、10A,10Bは、車両の後輪側の左右の車軸である。駆動装置1のハウジング11は、両車軸10A,10Bのほぼ中間位置から一方の車軸10Bの外周側を覆うように設けられ、車両3(図2参照)の後部下方に車軸10Bとともに支持固定されている。また、ハウジング11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の電動機2と、この電動機2の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12と、この減速機12の出力を左右の車軸10A,10Bに分配する差動装置13が車軸10Bと同軸になるように収容配置されている。
ハウジング11の車輪側(図1中の右側)の端部内周には、電動機2のステータ14が固定設置され、このステータ14の内周側に環状のロータ15が回転可能に収容配置されている。ロータ15の内周部には車軸10Bの外周側を囲繞する円筒軸16が結合され、この円筒軸16が車軸10Bと同軸となるようにハウジング11の一方の端部壁17(壁)と中間壁18に軸受19を介して支持されている。また、円筒軸16の一端側の外周とハウジング11の端部壁17の間には、ロータ15の回転位置情報を電動機2の制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20が設けられている。
また、遊星歯車式減速機12は、サンギヤ21と、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22と、これらのプラネタリギヤ22を支持するプラネタリキャリア23と、プラネタリギヤ22の外周側に噛合されるリングギヤ24とを備え、サンギヤ21から電動機2の駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23を通して出力されるようになっている。
サンギヤ21は、車軸10Bの外周側に同軸に配置されたスリーブ25の外周に一体に形成され、このスリーブ25の一端側が電動機2側の円筒軸16に一体回転可能に結合されている。また、プラネタリギヤ22は、サンギヤ21に直接噛合される大径の第1ギヤ26と、この第1ギヤ26よりも小径の第2ギヤ27を有し、これらの第1ギヤ26と第2ギヤ27が同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。リングギヤ24は、ハウジング11内の第1ギヤ26の軸方向側方位置に回転可能に配置され、その内周面が小径の第2ギヤ27に噛合されている。この実施形態の場合、リングギヤ24の最大半径は、第1ギヤ26の車軸10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。リングギヤ24は後述する油圧クラッチ28の回転ドラム29に一体回転可能に保持され、この回転ドラム29を介してハウジング11内に回転可能に支持されている。
一方、差動装置13は、内面側に回転可能なピニオン30が突設されたディファレンシャルケース31と、このディファレンシャルケース31内においてピニオン30,30に噛合される一対のサイドギヤ32a,32bを備え、これらの各サイドギヤ32a,32bが左右の車軸10A,10Bに夫々結合されている。ディファレンシャルケース31の外側面には、遊星歯車式減速機12の前述のプラネタリキャリア23が一体に延設されている。この実施形態においては、プラネタリキャリア23がディファレンシャルケース31に一体に形成されているが、プラネタリキャリア23とディファレンシャルケース31は別体部品から構成して、両者をボルト結合等によって結合しても良い。なお、ディファレンシャルケース31は軸受33を介してハウジング11の車体中心側の端部壁34と中間壁18に支持されている。
ところで、ハウジング11内の前記リングギヤ24と端部壁34の間には円筒状の空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24に対する制動手段を構成する前記の油圧クラッチ28が配置されている。油圧クラッチ28は、図3にも示すようにハウジング11の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、回転ドラム29の一端側外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって圧接及び解除操作されるようになっている。ピストン37は、ハウジング11の端部壁34に形成された環状のシリンダ室38に進退自在に収容されており、シリンダ室38への高圧オイルの導入によってピストン37を前進させ、シリンダ室38からオイルを排出することによってピストン37を後退させる。なお、油圧クラッチ28は図5に示す油圧回路39に接続されているが、この油圧回路39については後に詳述する。
また、さらに詳細には、図3に示すように、ピストン37は、軸方向前後に第1ピストン壁63と第2ピストン壁64を有し、これらのピストン壁63,64が円筒状の内周壁65によって連結されている。したがって、第1ピストン壁63と第2ピストン壁64の間には径方向外側に開口する環状空間が形成されているが、この環状空間は、シリンダ室38の外壁内周面に固定された仕切部材66によって軸方向前後に仕切られている。ハウジング11の端部壁34と第2ピストン壁64の間は高圧オイルが直接導入される第1作動室67とされ、仕切部材66と第1ピストン壁63の間は、内周壁65に形成された貫通孔68を通して第1作動室67と導通する第2作動室69とされている。第2ピストン壁64と仕切部材66の間は大気圧に導通している。
この油圧クラッチ28では、第1作動室67と第2作動室69に高圧オイルが導入され、第1ピストン壁63と第2ピストン壁64に作用するオイルの圧力によって固定プレート35と回転プレート36を相互に圧接する。したがって、軸方向前後の第1,第2ピストン壁63,64によって大きな受圧面積を稼ぐことができるため、ピストン37の径方向の面積を抑えたまま固定プレート35と回転プレート36に対する大きな圧接力を得ることができる。
この油圧クラッチ28の場合、固定プレート35がハウジング11に回転を係止される一方で、回転プレート36がリングギヤ24を一体に支持しているため、両プレート35,36がピストン37によって圧接されると、両プレート35,36間の摩擦係合によってリングギヤ24に制動力が作用し、その状態からピストン37による圧接が解除されると、リングギヤ24の自由な回転が許容される。
一方、ハウジング11の車輪側の端部壁17の外側には、図1,図4に示すように油圧クラッチ28やハウジング11内の潤滑系にオイルを供給するためのオイルポンプ40と、このオイルポンプ40を駆動するためのポンプ駆動用の電動機41と、油圧クラッチ28に供給する前段階のオイルを蓄圧状態で貯留するアキュムレータ42が設けられている。これらは、一体ブロック状になってカバー43内に収容され、カバー43とともに端部壁17に固定されている。
電動機41は、図4に拡大して示すように環状のロータ44を有するブラシレスモータが用いられ、ロータ44よりも一回り大きい環状のステータ45がブラケット46を介して端部壁17の外面に固定されると共に、ロータ44の内周面に固定されたスリーブ47が端部壁17とブラケット46に軸受48を介して支持されている。ロータ44とステータ45は、この状態において車軸10Bの外周側に同軸に配置されている。
オイルポンプ40は、外接形ギヤポンプが用いられ、ポンプ作用を成すギヤ49の対が電動機41の外周側に並列に並んで配置されている。そして、このオイルポンプ40の一方のギヤ49には、歯車伝達機構50を介して電動機41の回転が伝達されるようになっている。
また、アキュムレータ42は、軸方向に奥行きを持つ円環状の容積室51がカバー43の端部内周縁に一体に形成されている。この容積室51内には、環状のピストン52が進退自在に収容され、このピストン52が蓄圧用のスプリング53によって付勢されている。
ここで、図5に示すこの駆動装置1の油圧回路39について説明する。
この油圧回路39は、オイルポンプ40から吐出されたオイルを、操作ソレノイド55と切換えバルブ56を介して潤滑側油路57とクラッチ側油路58に切り換えられるようになっており、潤滑側油路57は電動機2や減速機12、差動装置13等の潤滑を要する部位にオイルを供給するためにハウジング11内の適宜位置に連通している。また、クラッチ側油路58には、クラッチ操作用の開閉弁59が介装されるとともに、開閉弁59よりも上流側にアキュムレータ42と導通する分岐油路60が設けられている。アキュムレータ42は油圧クラッチ28を操作するときの圧力を安定させるために設けられている。なお、図5中、61は、アキュムレータ42側から切換えバルブ56へのオイルの逆流を防止する逆止弁であり、62は、アキュムレータ42の圧力をコントローラ(図示せず)にフィードバックするための圧力センサである。
この実施形態の場合、油圧回路39の主要部39A(図5参照)は、ハウジング11の端部壁17に一体に形成されている。したがって、別途回路を設けるための専用部材を付加する場合に比較して駆動装置1全体を小型化することができる。
また、ハウジング11内には、図1に示すように電動機2と遊星歯車式減速機12と差動装置13の各下位領域に跨るようにオイル貯留部70が設けられている。また、この実施形態においては、ハウジング11の内部が中間壁18によって軸方向に二分されているが、この中間壁18には貫通孔71,72が形成され、夫々オイルと空気が自由に流通し得るようになっており、また、貫通孔71は電動機2のステータ14がオイルに浸かり、ロータ15に接触しない位置までオイルが満たされるように形成されている。したがって、ここでは略円形断面のハウジング11の底部のほぼ全域がオイルの貯留部として機能するため、別途オイルパンを設けることなく充分なオイルを溜めておくことができる。
なお、この実施形態の場合、ハウジング11内の車軸駆動用の電動機2の上方には、図1に示すように潤滑オイルの供給部a,b,cが設けられているが、電動機2のステータ14の上方側には複数の滴下孔(図示省略)を有するカバー部材73が設置され、潤滑オイルが一定箇所に集中することなく複数の滴下孔を通してステータ14上に均一に滴下するように工夫されている。
以上の構成において、駆動装置1によって後輪Wr側の車軸10A,10Bを駆動する場合には、オイルポンプ40の油圧を油圧クラッチ28に供給して同クラッチ28をオンにし、固定プレート35と回転プレート36を摩擦係合させることによってリングギヤ24をハウジング11に対して固定する。こうしてリングギヤ24が固定されると、遊星歯車式減速機12は減速比が固定され、サンギヤ21とプラネタリキャリア23の間でロスなく駆動力が伝達されるようになる。したがって、このとき電動機2の駆動力は、遊星歯車式減速機12によって設定減速比に減速され、差動装置13を通して車両左右の車軸10A,10Bに伝達される。
また、この駆動装置1による走行が行われているときに、例えば、下り坂等で後輪Wrの回転速度が電動機2の駆動要求速度よりも大きくなった場合には、油圧クラッチ28内のオイルを排出することによって同クラッチ28をオフにし、それによってリングギヤ24の制動を解放する。こうしてリングギヤ24の回転が自由になると、車軸10A,10B側の余剰回転に応じてリングギヤ24がハウジング11内で空転するようになり、その結果、電動機2のロータ15が車軸10A,10B側の回転力によって強制的に回されることがなくなる。
したがって、この駆動装置1においては、装置の大幅な体積増加を招くことなく、電動機2の過剰回転の防止と、車軸フリクションの発生防止を図ることができる。
特に、この駆動装置1においては、遊星歯車式減速機12のプラネタリギヤ22を、サンギヤ21に噛合される大径の第1ギヤ26とこの第1ギヤ26よりも小径の第2ギヤ27を同軸に設けた構造とし、第2ギヤ27の外周側にリングギヤ24を配置して、そのリングギヤ24を第2ギヤ27に噛合するようにしているため、サンギヤ21と噛合するプラネタリギヤ22のギヤ部の径を大きく維持したまま、リングギヤ24の外径を充分に小さくすることができる。このため、リングギヤ24と油圧クラッチ28を収容するケーシング11の外径を小さく維持し、駆動装置1の径方向外側方向への張り出しを少なくすることが可能である。したがって、この駆動装置1を採用した場合には、車軸10B回りの地上高を容易に高めることができる。
また、この駆動装置1においては、油圧クラッチ28の供給圧を蓄圧するアキュムレータ42が車軸10Bの外周側に環状にかつ同軸に配置されているため、装置の径方向外側への張り出し量を大きくすることなく、充分な蓄圧容量を確保することができる。さらに、この駆動装置1の場合、ポンプ駆動用の電動機41も同様に車軸10Bの外周側に環状にかつ同軸に配置されているため、必要なポンプ駆動力を確保しつつ電動機41の径方向外側への張り出しを充分に小さく抑えることができる。
つづいて、図6,図7に示すこの発明の他の実施形態について説明する。なお、上記の実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する部分については説明を省略するものとする。
この実施形態の駆動装置101は、上述の実施形態と基本的な構成はほぼ同様であるが、オイルポンプ140の構成とその配置が上記の実施形態のものと異なっている。
オイルポンプ140は、トロコイド形のポンプによって構成され、ポンプ駆動用の電動機41とともに車軸10Bの外周側に軸方向に並んで設けられている。具体的には、オイルポンプ140は、カバー43内に固定された板状のケーシング80内に、相互の中心o,o´がオフセットしたアウタロータ81とインナロータ82が回転可能に収容され、インナロータ82の回転に伴う両ロータ81,82間の歯面間容積の変化によって連続したポンプ作用が為されるようになっている。インナロータ82はスリーブ47の外周に嵌合固定され、電動機41の駆動力を受けて車軸10Bの外周側で回転する。なお、図7中、83,84は、ケーシング80に形成された吸入ポートと吐出ポートを示す。
この駆動装置101は、基本的に前記の実施形態と同様の作用効果を得ることができるが、オイルポンプ140としてトロコイド形のポンプを採用して、ポンプ駆動用の電動機41と軸方向に並べて配置したため、第1の実施形態のものに比較して装置の外径をより小さくすることができる。オイルポンプ140は、トロコイド形のポンプ以外のポンプであっても車軸10Bの外周側に環状にかつ同軸に配置し得るものであれば、径方向のコンパクト化を図ることができるが、この実施形態のようにトロコイド形のポンプを採用した場合には、ポンプ全体を薄肉化し易いため、駆動装置101の軸長も容易に短縮化することができる。
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、以上の実施形態においては、この発明にかかる駆動装置を後輪側に採用したが、同様に前輪側に採用することも可能である。
また、上記の実施形態では、多板式の油圧クラッチをリングギヤの制動手段として用いたが、単板式の油圧クラッチや電磁式のクラッチを制動手段として用いることも可能である。
この発明の一実施形態の駆動装置を示す縦断面図。 同実施形態の駆動装置を適用する車両のレイアウトを示す概略構成図。 同実施形態を示す図1の一部を拡大した断面図。 同実施形態を示す図1の別の一部を拡大した断面図。 同実施形態を示す油圧回路図。 この発明の他の実施形態を示す図3に対応する断面図。 同実施形態を示すオイルポンプの概略側面図。
符号の説明
1,101…駆動装置
2…車軸駆動用の電動機
10A,10B…車軸
11…ハウジング
12…遊星歯車式減速機
13…差動装置
15…ロータ
17…端部壁(壁)
21…サンギヤ
22…プラネタリギヤ
23…プラネタリキャリア
24…リングギヤ
26…第1ギヤ
27…第2ギヤ
28…摩擦クラッチ(制動手段)
31…ディファレンシャルケース
39…油圧回路
40,140…オイルポンプ
41…ポンプ駆動用の電動機
42…アキュムレータ
70…オイル貯留部

Claims (6)

  1. 車軸駆動用の電動機と、
    この電動機の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機と、
    この遊星歯車式減速機の出力を車両左右の車軸に分配する差動装置と、を備え、
    前記差動装置に連結された一方の車軸の外周側に、前記遊星歯車式減速機と電動機が同軸に配置された車両の駆動装置において、
    前記遊星歯車式減速機のサンギヤとプラネタリキャリアを、前記電動機のロータと差動装置のディファレンシャルケースに夫々接続するとともに、
    前記遊星歯車式減速機のリングギヤを、車体固定のハウジング内に回転可能に収容し、
    前記リングギヤとハウジングの間に、リングギヤとハウジングを係合してリングギヤに制動力を付与する制動手段を設け、
    この制動手段を油圧クラッチによって構成して、オイルポンプから吐出されたオイルを、アキュムレータを介して前記油圧クラッチに供給し、
    前記アキュムレータを前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置したことを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記遊星歯車機構のプラネタリギヤを、サンギヤに噛合される大径の第1ギヤの軸方向側部に小径の第2ギヤが一体に設けられた構成とし、
    前記第2ギヤの外周側に前記リングギヤを配置して両ギヤを噛合するとともに、
    このリングギヤの側部と前記ハウジングの間に前記制動手段を配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動装置。
  3. 前記オイルポンプを前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の駆動装置。
  4. 前記オイルポンプを駆動するための電動機を前記一方の車軸の外周側に環状にかつ同軸に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両の駆動装置。
  5. 前記車軸駆動用の電動機と遊星歯車式減速機と差動装置を連続した共通のハウジング内に収容し、
    前記ハウジングに、前記電動機と遊星歯車式減速機と差動装置の各下位領域に跨る連続したオイル貯留部を設け、
    このオイル貯留部に貯留されたオイルを前記電動機の冷却用及び/またはアクチュエータ作動用の油圧回路に供給するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の駆動装置。
  6. 前記油圧回路を前記ハウジングの壁に一体に形成したことを特徴とする請求項5に記載の車両の駆動装置。
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