JP4282066B2 - 自動注湯制御方法および取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents
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Description
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、予めプログラムを設定されたコンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけることが可能な、取鍋の傾動による自動注湯の制御方法および取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体を提供することにある。
またなお、本発明において取鍋として縦断面形状が扇形を成しかつその重心位置で傾動可能に支持されたものを使用することにより、多品種少量生産に好適に対応しかつ設備自体も小型にすることができる。
ここで、フィードフォワード制御とは、制御対象に加える操作量を予め決められた値に調節することにより、出力が目標値になるようにする制御法であって、制御対象の入出力関係や外乱の影響などが明確な場合には性能の良い制御を行うことができる。
またなお、本発明において、注湯の立ち上げの終了時点後から取鍋を掛堰の反対側へ傾動させる時点までの間を、フィードバック制御系をフィードフォワード制御系に付加した2自由度制御系によって制御することにより、外乱による影響で掛堰内の溶湯の上面位置が変動するのを低減することができる。
ここで、フィードバック制御とは、制御対象からの出力と目標値とを比較してその差を打ち消すようにその操作量を調節していくる制御法であって、制御対象に関する知識が完全でない場合や、未知の外乱がある場合にも有効な制御を行うことができる。
ここで、ハイブリッド整形法とは、コントロールシステムを単純な要素の集合として限定し、時間特性および周波数特性の定量的な設計仕様をハイブリッドに制御系設計に取り込み、振動のオンライン計測やフィードバックを行わず、残留振動を発生させないように物体を位置制御するものである。
ここで、予測制御とは、現時点までの過去の制御入力と、過去の出力を用いて、将来の出力がどのように挙動するかを予測し、その予測値が目標値になるように、現在の制御入力を決める制御のことである。最適化制御の制御対象の特性がまえもって分かっていてかなり正確な数学モデルが作成されている場合に用いられる制御方式である。
ここで、Kmはモータゲイン、Tmは時定数であり、これらは、前記T軸、X軸、Y軸およびZ軸の各ACサーボモータにステップ状の入力を加え、シミュレーション結果と実験結果とが等しくなるようにして求める。
また、前記扇形取鍋1には溶湯の挙動を測定するセンサとして直径2mmの2本のステンレス線で成る電極が装着してあって、溶湯の上面位置変化を両ステンレス線間の抵抗の変化として捉えることにより、溶湯の上面位置を検出するようになっている。
また、前記コントロールシステム7には、前記ACサーボモータ2および前記3組のボールねじ機構3〜5の駆動により扇形取鍋1を傾動させて、モデル法を利用した注湯プロセスを遂行させるプログラムおよびデータが記憶してある。
ここで、uは扇形取鍋1の傾動入力、yは式yT=〔θ M
hc〕(4)で与えられる観測出力、wは外生外乱、σは式σT=〔σ1 σ2〕(5)で与えられる切換信号である。ただし、θは扇形取鍋1の傾動角度、
Mは扇形取鍋1内の溶湯重量、hcは扇形取鍋1内の溶湯の上面レベルである。
ここで、H∞ロバスト制御とは、定評のある公知の高度な制御である。以下、簡単に説明する。プロセスの数学モデルがパラメータなどに不正確さをもち、設計者が考えたモデルと現実の現象が食い違うことはよくあることであるが、そのモデル化誤差の最大(最悪ケース)を設計仕様にいれ、考えたモデルと、実際の現象が、その最大誤差の範囲の中で変動しても、安定性をそこなわず、かつ、ある程度の制御性能が得られる制御のことである。ロバストとは、実際のプロセス現象が、考えた数学モデルとある範囲内でくい違っていても、制御性能が、ある範囲内に収まる強靭な(robust)制御のことを言う。
この場合、上述のスーパーバイザリ制御を適用すると、扇形取鍋1に係る掛堰9側への傾動から反掛堰9側への傾動の切換のタイミングは、目標充填量に対して過不足なく注湯するように、掛堰9内の溶湯の重量情報と扇形取鍋の掛堰側への傾動角度情報とをもとに扇形取鍋1からの溶湯の後追い流出量を予測し、最終的に注湯される溶湯重量を予測制御することにより決定する。
一方、本自動注湯装置においては、扇形取鍋1が重心位置を中心にして傾動するため、傾動の際に生じるY軸方向およびZ軸方向における扇形取鍋1の注湯口先端位置のずれyn、znを保証するため、図3に示すように、T軸方向の回転にあわせ、扇形取鍋1をY軸方向およびZ軸方向へ移動させ、扇形取鍋1の注湯口先端を鋳型8の上方位置に固定するように位置決め制御する。
ここで、θ0は扇形取鍋1の注湯口先端が水平面と成す初期角度、θは扇形取鍋1の傾動角度、rは扇形取鍋1の回転中心と扇形取鍋1の注湯口先端との距離である。
また、扇形取鍋1の傾動による注湯作業中は、扇形取鍋1内の溶湯が振動しないためスロッジング抑制が考慮されず、フィードバック制御により注湯口位置だけの制御を行う。
なお、注湯プロセスの説明に用いる模式図の概略は図5に示すとおりである。
ここで、ω(t)は扇形取鍋1の傾動角速度、q(t)は扇形取鍋1から掛堰9への注湯流量、hC(t)は掛堰9内の溶湯の上面レベル、hm(t)は鋳型8内の溶湯の上面レベル、ACは掛堰9の断面積、AMは鋳型8の断面積、AGは堰部8の断面積である。
なお、ACサーボモータに関するモデルは、上述したように、式(1)で示すとおりである。
ここで、Kfは流量ゲイン〔m3/deg〕、Tfは時定数〔s〕である。これらパラメータの同定に関しては、T軸のACサーボモータ2にステップ状の入力電圧を与え、その時の流出流量を計測することにより求める。
図5において、扇形取鍋1からの注湯流量q(t)が掛堰9内に流入し、掛堰9から流量qG(t)が鋳型8に流出している。その時、掛堰9内の溶湯の上面レベルが微少時間ΔtでΔhC(t)だけ上昇するときの物質収支式は、式 ACΔhC(t)={q(t)−qG(t)}Δt(7)のようになる。
さらに、Δt→0とすることにより、掛堰内8の溶湯の上面位置変化は、式(8)のようになる。
なお、図5に示すような鋳型8を考えた場合、鋳型8への流出流量qG(t)に関しては、鋳型8内の溶湯の上面レベルモデルは堰部を境にして、落とし込み鋳込みと押し上げ鋳込みの場合の2つに分けて考える必要がある。ベルヌーイの式および連続の式を用いて、落とし込み鋳込みの場合の流量qGdown(t)および押し上げ鋳込みの場合の流量qGup(t)を求めると、
式(10)および式(11)のようになる。
ここで、cは流量係数、gは重力加速度である。
そして最終的に、式(10)を式(8)および式(9)にそれぞれ代入することにより、落とし込み鋳込みの場合の掛堰9内の溶湯の上面レベルhCおよび鋳型8内の溶湯の上面レベルhmのモデル式が、式(12)、式(13)と求まる。
また同様に、式(11)を式(8)および式(9)にそれぞれ代入することにより、押し上げ鋳込みの場合の掛堰9内の溶湯の上面レベルおよび鋳型2内の溶湯の上面レベルのモデル式が、式(14)、式(15)と求まる。
ここで同定するパラメータは流量係数cである。流量係数は、溶湯が掛堰9から湯道を流れ鋳型8内へ充填されるときの流れの効率を表す。流量係数が1のとき、掛堰9から湯道への流入流量と堰部の流出流量は等しくなり、流れの損失は全くないことになる。しかし、現実的には流量係数が1になることはなく、何らかの損失が存在し、一般的に流量係数は0.2から0.8程度である。
(16)のように表現される。
なお、対象とする鋳型が、落とし込み鋳込み方案または押し上げ鋳込み方案の場合は、それぞれのモデルだけを適用すればよい。これに対して図5に示すように、鋳型8が中段鋳込み方案の場合には、落とし込み鋳込みモデルと押し上げ鋳込みモデルを切り替えることにより、トータルプロセスのモデルが得られる。
(1)流量は、注湯の立ち上がり終了時において平衡流量である。
(2)溶湯の上面レベルは、注湯の立ち上がり終了時において目標レベルである。
(3)注湯の立ち上がりにおいて、平衡溶湯の上面レベルを超えない。
ここで、本実施例で扱う鋳型8は、押し上げ部が落とし込み部と比較して容積が非常に大きくて支配的であり、中段鋳込みとした場合と押し上げ鋳込みとした場合のシミュレーション結果もほとんど同様の結果を示すことから、算出が容易な押し上げ部だけを考慮して溶湯の平衡流量q(t)を導出する。つまり、平衡溶湯上面レベルhC(t)=hrefのときの流量q(t)は、式(14)から、式(20)を得る。
最終的に扇形取鍋1の掛堰2側への傾動時に関する制御入力は、上述の流量カーブを式(1)、式(6)の逆モデルに代入することにより導出される。求まった溶湯の上面レベルを考慮した扇形取鍋1傾動入力を式(16)の溶湯の上面レベルモデルに適用した制御シミュレーション結果を図7に示す。図中には、入力電圧、扇形取鍋1傾動角度、注湯流量、掛堰2内溶湯上面レベルを示す。
結果として、図2に示すような理想的な注湯流量カーブが得られ、かつ掛堰2内の溶湯の上面レベルがすばやく目標レベルまで立ち上がった後、目標レベルで溶湯の上面レベルを一定に保持できいてることが確認できる。
ところで、上述したように、何らかの外乱による影響で掛堰2内の溶湯の上面が変動を起す場合には、2自由度制御系を用いる。そして、コントロールシステム7における2自由度制御システムのブロック図は図8に示すとおりである。
図8において、uffはフィードフォード入力、ufbはフィードバック制御入力であり、掛堰9内の溶湯の目標上面レベルhrefを参照入力とし、掛堰9内の溶湯の上面レベルhcを出力とする。また、フィードバック制御系には、H∞制御理論の一般法であるループ整形法を適用した。
なお、ループ整形法とは、周波数領域での設計法で、閉ループ制御系の周波数特性を、設計者が望む周波数特性になるよう、コントローラを決定する方法である。
コントロールシステム7では、式 |hc(t)−href|>he(t≧t2)
(21)で示す条件を満たしたとき、切換信号σ1を送る。
ここで、heは溶湯の目標レベルに対する溶湯の上面レベルの許容誤差である。
ここで、Wi(s)およびWo(s)は重み関数、P(s)は制御対象であり、K∞(s)は、Wi(s)P(s)Wo(s)に対するH∞制御である。実際の制御は図9に示すように、
K(s)=−Wo(s) K∞(s)Wi(s)となる。
なお、設計時において、式(16)の無駄時間部分は二次のパデ近似として式(22)のように表現される。
重みの設計に関しては、Wi(s)が感性特性の改善に対し低周波帯域でゲインを大きく、Wo(s)がノイズ除去や高次モード低減化に対し高周波帯域でゲインを小さくするように、プラントP(s)に対して重み付けを行なう。そして、式(23)を満たすH∞制御コントローラのK(s)を設計する。
ここで、制御対象Pm(s)は式(1)で表現される駆動系を示し、
K(s)は扇形取鍋1の駆動用コントローラである。
この場合、扇形取鍋1に係る掛堰9側への傾動から反掛堰9側への傾動の切換のタイミングを、掛堰9内の溶湯の重量情報と扇形取鍋1の掛堰9側への傾動角度情報とをもとに扇形取鍋1からの溶湯の後追い流出量を予測する予測制御によって行う。
ここでは、角速度ωは0[rad/s]であるので、この時の過積重量は式M1(t)=M1(t0)e−αt(27)のように変動すると考えられる。
離散時間で考えると、式(27)は式M1[k+j]=Cd1Ad1 jxd1[k](28)とおくことができる。
ここで、Ad1、Cd1は流量モデルから得られる離散時間状態方程式パラメータであり、A1=e−αt、C1=1、xd1[k]=M1[k]となる。
上述のハイブリット整形法による制御によって傾動される扇形取鍋1は、図10における目標値rから出力y(=扇形取鍋1の傾動角度θ)までの閉ループ系のシステムGclを式(29)のようにおき、このシステムの離散方程式を
式xd2[k+1]=Ad2xd2[k]+Bd2ud2[k]
(30)および式θ[k]=Cd2xd2[k](31)のように表現する。
式(30)および式(31)から、θ[k+1]は式θ[k+1]=Cd2xd2[k+1]=Cd2(Ad2xd2[k]+Bd2ud2[k])(32)となり、
そして最終的に、反掛堰9側への傾動時の軌跡θ[k+j]は、式(33)のようになる。
平衡重量の増加分M2[k+j]は、反掛堰9側への傾動時の軌跡θ[k+j]と流量ゲイン1000Kfを乗ずることにより求めるため、式(34)と表現できる。
ここで、反掛堰9側への傾動中の扇形取鍋1の注湯口先端より上部にある溶湯の重量はM1(t)とM2(t)の差となる。これらの差が時刻tnで等しくなると考えると、時刻tn以降は、これ以上反掛堰9側への傾動を行っても、溶湯は流出しなくなる。したがって、次式に示す時刻tnまでの流出量が後追い流れの予測値Qp(to)は、Qp(to)=M1(to)−M2(to)(35)となる。
ここで、M(to)は時刻toまでに流出した総重量、Qrefは目標注湯量である。
図中上から、制御入力、扇形取鍋1の傾動角度、掛堰9内の溶湯の上面レベル、
注湯量であり、実線は後追い流れ量を予測して湯切りを行った結果を示し、破線は注湯量が目標量になったとき湯切りを開始した結果である。
Claims (3)
- 注湯プロセスを遂行するためにモデル法を利用しかつスーパーバイザリ制御を適用した制御系を用いたプログラムを予め記憶したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて、掛堰からの溶湯の溢れや鋳型に注入される溶湯の流量不足を回避すべく前記取鍋から前記掛堰への自動注湯を制御する方法であって、
溶湯入りの前記取鍋を前記掛堰側へ傾動させて前記掛堰から溶湯が溢れ出ない範囲で素早くその上面を目標レベルまで上昇させるようにして溶湯を注入して注湯を立ち上げ、注湯を立ち上げるとともに掛堰内の溶湯の上面位置をほぼ一定に維持する工程にフィードフォワード制御系を採用し、注湯の立ち上げの終了時点後から前記取鍋を前記掛堰の反対側へ傾動させる時点までの間を、フィードバック制御系を前記フィードフォワード制御系に付加した2自由度制御系によって制御し、前記注湯の立ち上げの終了時に前記取鍋から流出する溶湯量と前記鋳型に流入する溶湯量とをほぼ等しくしかつ前記掛堰内の溶湯の上面位置をほぼ一定に維持するようにして溶湯を前記掛堰に注入すべく前記取鍋の前記掛堰側への傾動を続け、前記取鍋に係る前記掛堰側への傾動から反掛堰側への傾動の切換のタイミングを、前記掛堰内の溶湯の重量情報と前記取鍋の前記掛堰側への傾動角度情報とをもとに前記取鍋からの溶湯の後追い流出量を予測して最終的に注湯される溶湯重量を予測制御することにより決定し、その後、前記取鍋の反掛堰側への傾動をハイブリット整形法により制御して前記取鍋内の溶湯がスロッシングを発生させないようにして前記取鍋を前記掛堰の反対側へ傾動させて湯切りを行い注湯を終了することを特徴とする自動注湯制御方法。 - 請求項1に記載の自動注湯制御方法において、
前記取鍋として縦断面形状が扇形を成しかつその重心位置で傾動可能に支持されたものを用いることを特徴とする自動注湯制御方法。 - モデル法を利用しかつスーパーバイザリ制御を適用した制御系を用いたプログラムを予め記憶したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて、掛堰からの溶湯の溢れや鋳型に注入される溶湯の流量不足を回避すべく前記取鍋から前記掛堰への自動注湯を制御するための制御プログラムを記憶した記憶媒体であって、
溶湯入りの前記取鍋を前記掛堰側へ傾動させて前記掛堰から溶湯が溢れ出ない範囲で素早くその上面を目標レベルまで上昇させるようにして溶湯を注入して注湯を立ち上げ、注湯を立ち上げるとともに掛堰内の溶湯の上面位置をほぼ一定に維持する工程にフィードフォワード制御系を採用し、注湯の立ち上げの終了時点後から前記取鍋を前記掛堰の反対側へ傾動させる時点までの間を、フィードバック制御系を前記フィードフォワード制御系に付加した2自由度制御系によって制御し、前記注湯の立ち上げの終了時に前記取鍋から流出する溶湯量と前記鋳型に流入する溶湯量とをほぼ等しくしかつ前記掛堰内の溶湯の上面位置をほぼ一定に維持するようにして溶湯を前記掛堰に注入すべく前記取鍋の前記掛堰側への傾動を続け、前記取鍋に係る前記掛堰側への傾動から反掛堰側への傾動の切換のタイミングを、前記掛堰内の溶湯の重量情報と前記取鍋の前記掛堰側への傾動角度情報とをもとに前記取鍋からの溶湯の後追い流出量を予測して最終的に注湯される溶湯重量を予測制御することにより決定し、その後、前記取鍋の反掛堰側への傾動をハイブリット整形法により制御して前記取鍋内の溶湯がスロッシングを発生させないようにして前記取鍋を前記掛堰の反対側へ傾動させて湯切りを行い注湯を終了することを特徴とする取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体。
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