JP4282885B2 - 電極被覆用低融点ガラスおよびプラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ITO(スズがドープされた酸化インジウム)または酸化スズ等の透明電極を絶縁被覆するのに適した低融点ガラス、およびプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型の平板型カラー表示装置が注目を集めている。このような表示装置においては、画像を形成する画素における表示状態を制御するために各画素に電極を形成しなければならない。画像の質の低下を防ぐために、前記電極として透明電極が用いられている。透明電極としては、ガラス基板上に形成されたITOまたは酸化スズの薄膜が多く用いられている。ここでいう酸化スズは、フッ素、アンチモン、等がドープされた酸化スズを含む。
【0003】
前記表示装置の表示面として使用されるガラス基板の表面に形成される透明電極は、精細な画像を実現するために細い線状に加工される。そして各画素を独自に制御するためには、このような微細に加工された透明電極相互の絶縁性を確保する必要がある。ところが、ガラス基板の表面に水分が存在する場合やガラス基板中にアルカリ成分が存在する場合、このガラス基板の表面を介して若干の電流が流れることがある。このような電流を防止するには、透明電極間に絶縁層を形成することが有効である。また、透明電極間に形成される絶縁層による画像の質の低下を防ぐためには、この絶縁層は透明であることが好ましい。
【0004】
このような絶縁層を形成する絶縁材料としては種々のものが知られているが、なかでも、透明であり信頼性の高い絶縁材料であるガラス材料が広く用いられている。
最近大型平面カラーディスプレイ装置として期待されているプラズマディスプレイ装置(以下PDPという。)においては、典型的には、表示面として使用される前面基板、背面基板および隔壁によりセルが区画形成されており、該セル中でプラズマ放電を発生させることにより画像が形成される。前記前面基板の表面には透明電極が形成されており、この透明電極をプラズマから保護するために、プラズマ耐久性に優れたガラスにより前記透明電極の被覆することが必須である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような電極被覆に用いられるガラスは、通常はガラス粉末にして使用される。すなわち、前記ガラス粉末に必要に応じてフィラー等を添加後ペースト化し、このようにして得られたガラスペーストを、透明電極が形成されているガラス基板に塗布、焼成することによって前記透明電極を被覆する。
【0006】
このような電極被覆用ガラスには、電気絶縁性の他に、軟化点がたとえば650℃以下であること、線膨張係数がたとえば80×10-7/℃程度であること、焼成して得られる電極被覆ガラス層の透明性が高いこと、等が求められており、種々のガラスが従来より提案されている。たとえば、特開平11−180726号公報には、質量百分率表示で、PbO+Bi2O3:52〜68%、B2O3:14〜28%、SiO2:0〜5%、ZnO:6〜23%、Al2O3:0〜8%、CeO2:0〜5%、SnO2:0〜5%、から実質的になる非結晶性ガラスが開示されている。
【0007】
しかし、PDPにおいては近年一層の画質向上が求められており、これに伴ない前記電極被覆ガラス層の透明性を一層高くすることが求められている。
本発明は、この課題を解決するための電極被覆用低融点ガラスおよびプラズマディスプレイ装置、を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記酸化物基準の質量百分率表示で、実質的に、PbO 25〜85%、B2O3 10〜60%、SiO2 2〜40%、Al2O3 0〜25%、Bi2O3 0〜35%、MgO 0〜40%、CaO 0〜40%、SrO 0〜40%、BaO 0〜40%、ZnO 0〜4%、Li2O 0〜20%、Na2O 0〜20%、K2O 0〜20%、CuO 0.2〜0.9%、からなり、MgO+CaO+SrO+BaOが0〜40%であり、MoおよびSbのいずれも含有しない電極被覆用低融点ガラス、を提供する。
【0009】
また、本発明は、前面基板を有するプラズマディスプレイ装置であって、該前面基板を構成するガラス基板上の透明電極が前記電極被覆用低融点ガラスにより被覆されているプラズマディスプレイ装置、を提供する。
【0010】
本発明者は、PDPにおける前記電極被覆ガラス層の透明性低下の原因の一つが、以下に述べる炭素含有不純物の前記電極被覆ガラス層への残留であると推定し、本発明に至った。
電極被覆用低融点ガラスは、通常は粉末状にして使用される。電極被覆用低融点ガラス粉末は、印刷性を付与するための有機ビヒクル等を用いてガラスペーストとし、このガラスペーストを、ガラス基板上に形成された電極上に塗布、焼成して電極を被覆する。
【0011】
焼成して得られたこの電極被覆ガラス層は、遷移金属等の着色成分を含有しない場合でも、茶色または黒色に着色することが多い。この現象は、有機ビヒクル等に含まれる炭素含有不純物が前記電極被覆ガラス層に残留し、この炭素含有不純物が電極被覆ガラス層を着色している現象であると考えられる。なお、前記茶色の着色によって典型的には波長400nmの光の透過率が低下する。
なお、この炭素含有不純物は、PDPにおいてプラズマが発生しているときに、電極被覆ガラス層に存在する水等と反応して炭酸ガスとして電極被覆ガラス層から放出され、これによりPDPの輝度も低下すると考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電極被覆用低融点ガラス(以下単に本発明のガラスという。)は、通常は粉末状にして使用される。本発明のガラスの粉末は、印刷性を付与するための有機ビヒクル等を用いてガラスペーストとされ、これを、ガラス基板上に形成された電極上に塗布、焼成して電極を被覆する。ここでいう有機ビヒクルは、エチルセルロース等のバインダをα−テルピネオール等の有機溶剤に溶解したものである。なお、本発明のガラスは、典型的には鉛ガラスまたは鉛ホウ酸塩ガラスである。
PDPにおいては、本発明のガラスは前面基板の透明電極の被覆に好適に使用される。
【0013】
前記粉末の平均粒径は0.5μm以上であることが好ましい。0.5μm未満では、焼成して得られた電極被覆ガラス層中の気泡が多くなり透明性が低下するおそれがあり、また、粉末状にするために要する時間が顕著に増加するおそれがある。より好ましくは0.7μm以上である。
【0014】
また、前記粉末の最大粒径は35μm以下であることが好ましい。PDPにおける前記電極被覆ガラス層の厚さは通常40μm以下であるが、前記最大粒径が35μm超ではこの電極被覆ガラス層の表面に凹凸が発生しPDPの画像がゆがむおそれがある。前記最大粒径は、より好ましくは20μm以下である。
【0015】
本発明のガラスの軟化点は450〜650℃であることが好ましい。理由を以下に述べる。
前記ガラス基板としては、通常、ガラス転移点が550〜620℃のものが用いられる。この場合、ガラス基板の変形を避けるために、前記ガラスペーストの焼成は620℃以下で行われる。焼成を620℃以下で行うためには、本発明のガラスの軟化点は650℃以下であることが好ましい。また、前記焼成時の早い段階で本発明のガラスが軟化流動して電極を完全に被覆することによって焼成時における電極の電気特性劣化を防止するためにも、軟化点は650℃以下であることが好ましい。より好ましくは640℃以下、特に好ましくは630℃以下である。
【0016】
一方、PDPの前面基板において、ITOまたは酸化スズ等の透明電極のみでは電気抵抗が高すぎる場合、これら透明電極上にAgやAlや三層構造のCr−Cu−Cr等の金属層(以下、この金属層を金属電極という。)を形成する場合がある。軟化点が450℃未満のガラスによりこれら金属電極を被覆すると、金属電極が侵食されたり、金属電極を介しての透明電極の侵食が促進されたりするおそれがある。特に、焼成が520℃以上で行われる場合、軟化点が450℃未満のガラスにより金属電極を被覆すると透明電極の侵食が顕著になる。また、この場合、軟化点が450℃以上520℃未満のガラスにより金属電極を被覆すると、透明電極の侵食はなくなるが、焼成時に電極被覆ガラス層中の気泡が大きくなり電極被覆ガラス層の透過率が減少する。
【0017】
本発明のガラスの軟化点は500℃以上であることがより好ましい。さらに好ましくは520℃以上、特に好ましくは550℃以上、最も好ましくは580℃以上である。
【0018】
また、軟化点が450℃以上であれば、焼成時にガラスの軟化流動が始まる前にガラスペースト中の有機ビヒクルは完全に揮発し、有機ビヒクル中の炭素含有不純物の電極被覆ガラス層への大量残存、それに伴なう電極被覆ガラス層の透過率低下、の防止も期待される。実際、有機ビヒクルの構成成分であるバインダとして使用されるエチルセルロースと、軟化点が600℃であり平均粒径が3μmであるガラス粉末とを乳鉢中で混合して得られた混合粉末を、毎分10℃で昇温しその重量減少率と温度の関係を調べたところ、450℃で該重量減少率は0となった。
【0019】
さらに、軟化点が520℃以上であれば電極被覆ガラス層を単層構造にできる。これに対し、軟化点が520℃未満では前記透明電極侵食現象のために単層構造とすることは困難になり、軟化点が520℃未満のガラスを上層、軟化点がたとえば520℃以上のより軟化点が高いガラスを下層とする非単層構造にしなければならなくなるおそれがある。ここでいう下層は透明電極と直接接する層である。
【0020】
前記ガラス基板としては、通常、50〜350℃における平均線膨張係数が80×10-7〜90×10-7/℃のものが用いられる。したがってこのようなガラス基板と膨張特性をマッチングさせ、ガラス基板のそりや強度の低下を防止するためには、本発明のガラスの前記平均線膨張係数は60×10-7〜90×10-7/℃であることが好ましく、70×10-7〜85×10-7/℃であることがより好ましい。なお、50〜350℃における平均線膨張係数を以下では単に膨張係数という。
【0021】
また、本発明のガラスの室温から400℃までの範囲における比抵抗、より典型的には室温から300℃までの範囲における比抵抗は、前記ガラス基板に用いられるガラスの前記温度範囲における比抵抗の0.1倍またはそれ以上であることが好ましい。この条件が満たされないと電気絶縁性が不足するおそれがある。
ガラス基板に用いられるガラスの150℃における比抵抗は典型的には1011Ω・cm程度である。このことから本発明のガラスの150℃における比抵抗は1010Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。
【0022】
本発明のガラスの比誘電率は18以下であることが好ましい。18超ではPDPのセルの静電容量が大きくなりすぎ、PDPの消費電力が増大するおそれがある。より好ましくは12以下、特に好ましくは10.5以下、最も好ましくは10以下である。
【0023】
本発明のガラスは焼成時に結晶化しないことが好ましい。この観点からは、本発明のガラスの結晶化温度Tcは焼成温度よりも高いことが好ましい。焼成温度より80℃以上高いことがより好ましい。ここでいう結晶化温度は示差熱分析(DTA)によって得られる結晶化ピーク温度であり、結晶化ピークが認められない場合は、Tc=∞とする。
【0024】
前記Tcは700℃以上であることが好ましい。700℃未満では、通常行われる500〜620℃での焼成においてガラスが結晶化し透明性が低下するおそれがある。より好ましくは750℃以上である。
【0025】
本発明のガラスは、MoおよびSbのいずれも含有しないが、Cuは必須成分として含有する。質量百分率表示で、CuOとして換算したCu含有量(以下、CuO含有量という。)が0.2%未満では、電極被覆ガラス層の透過率が低下する。好ましくは0.3%以上である。0.9%超ではCuに起因する着色が濃くなりすぎる。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.7%以下である。なお、以下では含有量は質量百分率で表す。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
次に、本発明のガラスの組成について説明する。なお、CuOについては先に述べたので省略する。
PbOは軟化点を低下させ、また膨張係数を大きくする効果を有し、必須である。25%未満では、前記効果が小さすぎる。好ましくは30%以上である。85%超では、比誘電率が大きくなりすぎる、または黄色着色が濃くなりすぎる。好ましくは83.8%以下、より好ましくは75%以下である。
【0032】
B2O3は必須である。ガラスを安定化させるために、または焼成時のガラス流動性を高め電極被覆ガラス層中の残存気泡を減少させて透過率を高くするために、60%まで含有してもよい。60%超では、軟化点が高くなりすぎたり、ガラスが分相したりするおそれがある。好ましくは55%以下である。B2O3は10%以上含有し、より好ましくは11%以上、最も好ましくは23%以上である。なお、前記残存気泡の大きさは典型的には30μmである。
【0033】
SiO2は必須である。ガラスを安定化させるために、または銀発色現象を抑制するために、40%まで含有してもよい。ここでいう銀発色現象は、PDP前面基板のガラス基板上に形成された銀含有バス電極をガラスで被覆した場合に、該ガラスに銀が拡散しガラスが茶色に着色しPDPの画質が低下する現象である。SiO2は前記銀の拡散を抑制する効果があると考えられる。SiO2含有量が40%超では、焼成時のガラス流動性が低下し電極被覆ガラス層中の残存気泡が増加して透過率が低下するおそれがある。SiO2含有量は、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは15%以下、最も好ましくは12%以下である。
【0034】
前記銀発色現象を特に抑制したい場合、SiO2含有量は5%以上であることが好ましい。より好ましくは6.6%以上である。また、この場合、PbO含有量は83.8%以下かつB2O3含有量は11%以上であることが好ましい。
【0035】
Al2O3は必須ではないが、ガラスを安定化させるために25%まで含有してもよい。25%超ではガラスが失透するおそれがある。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0036】
Bi2O3は必須ではないが、軟化点を低下させるために35%まで含有してもよい。35%超ではガラスが黄色に着色したり、比誘電率が大きくなりすぎたりするおそれがある。より好ましくは30%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0037】
MgO、CaO、SrOおよびBaOはいずれも必須ではないが、ガラスの耐水性を高めるために、またはガラスの分相を抑制するために、それぞれ40%まで含有してもよい。なお、ガラスの比誘電率を特に低下させたい場合はMgOを含有することが好ましい。これら成分のそれぞれの含有量が40%超では焼成時の結晶化が顕著となり透過率が低下するおそれがある。より好ましくは35%以下、特に好ましくは30%以下である。
【0038】
なお、MgOについては5%以下であることが最も好ましい。5%超では、焼成時のガラス流動性が低下し電極被覆ガラス層中の残存気泡が増加して透過率が低下するおそれがある。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計は40%以下であることが好ましい。より好ましくは35%以下である。
【0039】
ZnOは必須ではないが、軟化点を低下させるために4%までとされる。
【0040】
Li2O、Na2OおよびK2Oはいずれも必須ではないが、軟化点を低下させるために、それぞれ20%まで含有してもよい。20%超では、ガラスの耐水性が低下したり、膨張係数が大きくなりすぎたりするおそれがある。より好ましくはそれぞれ5%以下である。
Li2O、Na2OおよびK2Oの含有量の合計は20%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下である。
本発明のガラスは実質的に上記成分からなることが好ましいが、この他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で10%まで含有してもよい。
【0041】
本発明のプラズマディスプレイ装置(以下本発明のPDPという。)の前面基板においては、ガラス基板の上に透明電極が形成されており、該透明電極が形成されているガラス基板の表面が本発明のガラスにより被覆されている。
前面基板に用いられるガラス基板の厚さは通常2.8mmであり、このガラス基板自体の波長550nmの光に対する透過率(以下T550と記す。)は典型的には90%である。また、その濁度は典型的には0.4%である。
【0042】
また、透明電極は、たとえば幅0.5mmの帯状であり、それぞれの帯状電極が互いに平行となるように形成される。各帯状電極中心線間の距離は、たとえば0.83〜1.0mmであり、この場合、透明電極がガラス基板表面を占める割合は50〜60%である。
【0043】
本発明のPDPの前面基板については、T550は77%以上であることが好ましい。77%未満ではPDPの画質が低下するおそれがある。より好ましくは79%以上、特に好ましくは80%以上である。また、その濁度は21%以下であることが好ましい。21%超ではPDPの画質が低下するおそれがある。より好ましくは20%以上、特に好ましくは15%以下である。
【0044】
本発明のPDPは、たとえば交流方式のものであれば次のようにして製造される。
図1に示すように、ガラス基板1aの表面にパターニングされた透明電極2およびバス線(図示せず)を形成したのち、本発明のガラスの粉末を塗布・焼成してガラス層3を形成し、最後に保護膜として酸化マグネシウムの層(図示せず)を形成し、前面基板10とする。一方、ガラス基板1bの上には、パターニングされたアドレス用電極5を形成したのち、ストライプ状に隔壁6を形成し、さらに蛍光体層4を印刷・焼成して背面基板20とする。
【0045】
前面基板10と背面基板20の周縁にシール材(図示せず)をディスペンサで塗布し、透明電極2とアドレス用電極5が対向するように組み立てた後、焼成してプラズマディスプレイ装置とする。そしてプラズマディスプレイ装置内部を排気して、放電空間7にNeやHe−Xeなどの放電ガスを封入する。
なお、上記の例は交流方式のものであるが、本発明は直流方式のものにも適用できる。
【0046】
【実施例】
表のPbOからSb2O3までの欄に質量百分率で示す組成となるように、原料を調合して混合し、1300℃の電気炉中で白金ルツボを用いて1時間溶融し、薄板状ガラスに成形した後、ボールミルで粉砕し、ガラス粉末を得た。例1〜3、6〜10は実施例、例A1〜A7は比較例である。
【0047】
これらガラス粉末について、軟化点(単位:℃)、膨張係数(単位:10-7/℃)および比誘電率を以下に述べるようにして測定した。結果を表に示す。なお、比誘電率は例3、4、A2、7、8およびA5について測定した。
軟化点:示差熱分析計を用いて測定した。
膨張係数:ガラス粉末を成形後、表に示す焼成温度(単位:℃)で10分間焼成して得た焼成体を直径5mm、長さ2cmの円柱状に加工し、熱膨張計で50〜350℃の平均線膨張係数を測定した。
比誘電率:前記焼成体を50mm×50mm×厚さ3mmに加工し、その表面に電極を蒸着して周波数1MHzでの比誘電率を測定した。
【0048】
また、これらガラス粉末とエチルセルロースを質量比で100:5となるように計りとって混合し、得られた混合物2gを直径12mmの円柱状の型に入れて成形し円柱状試料とした。この円柱状試料を、ガラス粉末の軟化点で30分間焼成し、円盤状の焼成体を得た。この焼成体の色を表に示す。焼成体の色が茶色または黒色のものは焼成体中の炭素含有不純物の量が多いものと考えられる。したがって、例A2、A3、A5、A6、A7の焼成体の炭素含有不純物の量は多いと考えられる。
【0049】
さらに、これらガラス粉末100gを有機ビヒクル25gと混練し、ガラスペーストを作製した。前記有機ビヒクルは、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテートまたはα−テルピネオールにエチルセルロースを質量百分率表示で7〜18%溶解したものである。
【0050】
次に、大きさ10cm×10cm、厚さ2.8mmのガラス基板を用意し、このガラス基板の表面に、膜厚が200nmで幅が0.5mmのITO透明電極を、各ITO透明電極の中心線間距離が1.0mmとなるように平行に多数形成した。前記ガラス基板は、質量百分率で表わした組成が、SiO2:58%、Al2O3:7%、Na2O:4%、K2O:6.5%、MgO:2%、CaO:5%、SrO:7%、BaO:7.5%、ZrO2:3%、ガラス転移点が626℃、膨張係数が83×10-7/℃、であるガラスからなる。なお、前記ITO透明電極はガラス基板の片面に形成されている。
【0051】
ITO透明電極が形成されている30mm×30mmの部分に前記ガラスペーストを均一にスクリーン印刷後、120℃で10分間乾燥した。このガラス基板を昇温速度10℃/分で、表に示す焼成温度になるまで加熱し、さらにその温度に30分間保持して、焼成した。透明電極を被覆するガラス層の厚さは30μmであった。
【0052】
前記焼成後のガラス基板について、波長550nmの光の透過率(単位:%)および濁度(単位:%)を以下に述べるようにして測定した。結果を表に示す。
透過率:(株)日立製作所製の自記分光光度計U−3500(積分球型)を用いて波長550nmの光の透過率を測定した。サンプルのない状態を100%とした。
濁度:(株)スガ試験器製のヘーズメータ(ハロゲン球を用いたC光源)を使用した。ハロゲン球からの光をレンズを通して平行光線とし、サンプルに入射させ、積分球により全光線透過率Ttと拡散透過率Tdを測定した。濁度は、
濁度(%)=(Td/Tt)×100
により算出した。
【0053】
例1、2と例A1、例3、4、5と例A2、例6と例A3、例7と例A4、例8と例A5、例9と例A6、例10と例A7、を比較すると、CuOを0.1〜0.9%の範囲で含有することにより、透過率が高くなり、また濁度が低下していることがわかる。
【0054】
また、例3、4、A2、7、8およびA5について銀発色現象を次のようにして調べた。
先に使用したガラス基板と同じガラスからなる大きさ50mm×75mm、厚さ2.8mmのガラス基板上の45mm×45mmの部分にスクリーン印刷用銀ペーストを均一にスクリーン印刷後、120℃で10分間乾燥した。このガラス基板を昇温速度10℃/分で580℃まで加熱し、さらにその温度に15分間保持して、焼成し、厚さ5μmの銀焼成体を形成した。
【0055】
ガラス基板上に形成された銀焼成体の全面を覆うようにガラスペーストをスクリーン印刷し、乾燥、焼成して厚さ30μmのガラス層を形成した。前記乾燥および焼成の条件は先に述べたガラスペーストの場合と同じとした。
【0056】
ガラス基板上に銀焼成体、さらにその上にガラス層が形成されたサンプルについて、前記ガラス層側に光を入射するようにして、波長550nmの光の反射率R550(単位:%)と波長430nmの光の反射率R430(単位:%)とを前記自記分光光度計によって測定した。R550−R430(単位:%)を表の銀発色の欄に示す。波長として430nmを選択したのは、銀発色原因となる銀コロイドの吸収ピークに相当するからであり、一方、波長として550nmを選択したのは、銀コロイドの吸収ピークから充分離れているからである。
R550−R430が20%以上のものは銀発色現象が顕著であり好ましくない。より好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】
本発明のガラスを用いることにより、ガラス基板上の透明電極を被覆するガラス層の透明性を高くできる。また、前記ガラス層中の炭素含有不純物残存量が減少しPDPにおける輝度低下が起りにくくなる。さらに、ガラス基板上の銀電極を被覆するガラス層の銀発色現象を抑制できる。また、電極を被覆するガラス層の比誘電率を小さくできる。
【0060】
本発明のPDPにおいては、その前面基板の透過率が高く、画質が優れている。また、輝度低下が起りにくい。さらに、前面基板の銀電極を被覆するガラス層の銀発色現象を抑制でき、この点でも画質が向上する。また、消費電力も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマディスプレイ装置を示す断面図。
【符号の説明】
1a:ガラス基板
1b:ガラス基板
2:透明電極
3:ガラス層
4:蛍光体層
5:アドレス用電極
6:隔壁
7:放電空間
10:前面基板
20:背面基板
Claims (6)
- 下記酸化物基準の質量百分率表示で、実質的に、
PbO 25〜85%、
B2O3 10〜60%、
SiO2 2〜40%、
Al2O3 0〜25%、
Bi2O3 0〜35%、
MgO 0〜40%、
CaO 0〜40%、
SrO 0〜40%、
BaO 0〜40%、
ZnO 0〜4%、
Li2O 0〜20%、
Na2O 0〜20%、
K2O 0〜20%、
CuO 0.2〜0.9%、
からなり、MgO+CaO+SrO+BaOが0〜40%であり、MoおよびSbのいずれも含有しない電極被覆用低融点ガラス。 - PbOが83.8%以下、SiO2が5%以上かつB2O3が11%以上である請求項1に記載の電極被覆用低融点ガラス。
- 軟化点が450〜650℃の範囲にある請求項1または2に記載の電極被覆用低融点ガラス。
- 50〜350℃における平均線膨張係数が60×10-7〜90×10-7/℃の範囲にある請求項1、2または3に記載の電極被覆用低融点ガラス。
- 比誘電率が12以下である請求項1〜4のいずれかに記載の電極被覆用低融点ガラス。
- 前面基板を有するプラズマディスプレイ装置であって、該前面基板を構成するガラス基板上の透明電極が請求項1〜5のいずれかに記載の電極被覆用低融点ガラスにより被覆されているプラズマディスプレイ装置。
Priority Applications (1)
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