JP4283393B2 - 鋼管杭および鋼管杭連続壁工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤中に形成される連続壁を構成する鋼管杭およびこの鋼管杭を用いた鋼管杭連続壁工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば従来、地盤中に連続壁を構築する際、図8に示すように、隣設する鋼管矢板A、A間の隙間からの浸水を防ぐための止水効果を目的の一つとした継ぎ手B、Bがあらかじめ取付けられている。前記継ぎ手Bは、一部にスリットCが形成されており、該スリットCを係合するように前記継ぎ手B、Bを嵌合させて、隣設する鋼管矢板A、Aを接続するものである。
前記鋼管矢板Aは、少なくとも一つ以上の前記継ぎ手Bが外周面に設けられており、一方の鋼管矢板Aが地中に打ち込まれ埋設された後、他方の鋼管矢板Aを、該他方の鋼管矢板Aに設けられた前記継ぎ手Bと一方の鋼管矢板Aに設けられた前記継ぎ手Bとを係合させた状態で、地中に打ち込まれ埋設される。他方の鋼管矢板Aの埋設後、さらに別の鋼管矢板Aを、上記の方法と同様に地中に埋設させることで、所望の連続壁の構築が行われている。
【0003】
しかしながら、このような鋼管矢板Aは、外周面から外に向かって大きく突出する継ぎ手Bが設けられているため、該鋼管矢板Aを回転させながら地中に圧入することは不可能であった。そのため、上記に対応すべく鋼管杭として、特開平5−112928および特開平5−112929で提案されるものがあり、例えば、図5−a、5−bに示す鋼管杭D、Eが、回転させながら地中に圧入することが可能な鋼管杭として使用されている。
前記鋼管杭Dは、図9−aで示すように、該鋼管杭Dの内側に所望数の溝形鋼Fが溶接され、該溝形鋼Fが溶接された鋼管杭Dの側面にはスリットGが設けられている。したがって、前記鋼管杭Dは、その外周面の外側に突起状の継ぎ手が形成されていないため、回転させながら地中に圧入することが可能である。前記鋼管杭D、Dを地中に圧入後、断面H形の係合部材Hは、地上に露出した溝形鋼F、Fの上端部から、該係合部Hの両端部I、Iを係合しつつ挿入することで、地中に埋設される。したがって、前記係合部Hによって接合された鋼管杭D、Dは、連続壁を形成するとともに、該係合部HのウェブJが地面を二分するように遮断し浸水を防止するため、前記鋼管杭Dによって形成された連続壁は止水性を有することになる。
【0004】
また、前記鋼管杭Eは、図9−bで示すように、特別、継ぎ手として用いられる部材が外周面に突設されていないので、回転させながら地中に圧入することが可能である。そして、前記鋼管杭Eは、該鋼管杭Eの口径より小径の止水管K、Kが、地中に埋設され隣設する鋼管杭E、Eの両外周面に接するように地中に圧入されるので、該鋼管杭Eによって形成された連続壁は、隣設する鋼管杭E、E間の隙間が前記止水管Kによって遮断されるので、止水性を有することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように鋼管杭Dの内側に溝形鋼Fを溶接し、スリットGを設けるためには、手間とコストがかかるばかりか、該鋼管杭Dの地中への圧入の際、該スリットGを通じて土砂が該溝形鋼Fに流入する場合があった。
また、止水管Kを伴った鋼管杭Eは、該鋼管杭Eの地中への圧入後、該止水管K、Kと隣設する2本の鋼管杭E、Eによって取り囲まれた領域内へ止水材を充填する手間がかかるばかりか、該止水管Kと該鋼管杭Eがガイドされていないので、該鋼管杭Eから該止水管Kが離間してしまう可能性が生じるものであった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、地中に連続壁を施工する場合、連続壁に対して容易かつ確実に止水効果をもたらし、さらに、回転しながら地中に圧入することができる鋼管杭および鋼管杭連続壁工法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明の請求項1に記載された鋼管杭は、例えば図1から図7に示すように、杭本体となる鋼管2と、該鋼管2の外周面に接合された係合板3…とを備え、前記鋼管2を複数並べて埋設するとともに、隣り合う前記鋼管2、2どうしを前記係合板3に係合する接合部材4、11を介して接合することにより連続壁を構築する鋼管杭1、10であって、前記係合板3が前記鋼管2の外周面に沿うとともに、上下方向に延在するように設けられ、該係合板3の左右側縁部のうちの一方の側縁部5が前記鋼管2に接合され、かつ、該係合板3の他方の側縁部6が前記鋼管2から取り外し自在に接合されており、他方の側縁部6を前記鋼管2から外した間に、前記接合部材4、11の側縁部が挟持されるようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
前記鋼管2は、例えば、長尺な円筒状である。
前記係合板3は、前記鋼管2の外周面に接合することで、前記接合部材4、11を挟持することができるものであり、例えば、前記鋼管2の表面において上下方向垂直に連続的に延在される板状の鋼材が望ましい。また、前記係合板3は、前記鋼管2の外周面に沿うように、断面が円弧状となっていることが望ましい。さらに、前記係合板3は、必要に応じて前記鋼管2の表面に複数個設けられる。前記接合部材4、11は、前記鋼管2とほぼ同じ長さを持つことが好ましく、隣接する前記鋼管2の外周面に設けられたそれぞれの係合板3…に係合可能なものであれば良く、例えば、前記係合板3の他方の側縁部6によって挟持される挟持部8(フランジ)と、これら挟持部8、8間に形成される止水部9(ウェブ)とで構成されているのが望ましい。
【0009】
請求項1記載の鋼管杭によれば、
前記鋼管2に設けられる前記係合板3…は縦長の板状のものであるので最小限に安価で構成することが出来るばかりか、該係合板3…を該鋼管2の外周面に接合しても、大きく突出することがないので、前記鋼管杭1、10を容易に回転しながら圧入することが出来る。
また、隣り合う鋼管2、2は、前記係合板3…に前記接合部材4、11を嵌合することで連続壁を構築することができるので、容易に前記鋼管2、2間の隙間に止水効果をもたらすことが出来る。
【0010】
請求項2記載の鋼管杭連続壁工法は、例えば図2〜図5、および図7に示すように、請求項1記載の鋼管杭を用いた鋼管杭連続壁工法であって、前記鋼管杭1、10を一列に並べて埋設し、隣り合う鋼管杭1、1、10、10それぞれの前記係合板3…の上端部において、該係合板3の他方の側縁部6と前記鋼管2との間に、前記接合部材4、11の側縁部の下端部を挟持させた状態とした後に、該接合部材4、11を下方に押し下げた際に、前記鋼管2と前記係合板3の他方の側縁部6との係合を下方に向かって外しながら、前記鋼管2と前記係合板3の他方の側縁部6との間に、前記接合部材4、11の側縁部を下方に向かって挟持させていくことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の鋼管杭連続壁工法によれば、請求項1記載の鋼管杭から得られる効果と同様な効果を得ることが出来る。
特に、前記係合板3の他方の側縁部6が前記鋼管2に、該鋼管2から取り外し自在に接合されているので、前記鋼管杭1を埋設する際に前記係合板3のめくれを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る鋼管杭における実施の形態例を、図1〜図7に基づいて説明する。
【0015】
(第1の実施の形態例)
本例の鋼管杭1は、図1〜図5で示すように、隣り合う鋼管2、2どうしを係合板3、3に係合する接合部材4を介して接合することにより連続壁を構築するものであって、杭本体となる前記鋼管2と、該鋼管2の外周面に接合された前記係合板3、3とを備えて構成されている。
【0016】
前記鋼管2は、中空の長尺な筒体でありその横断面は円形に形成されている。また、前記鋼管2は、必要な垂直支持強度が得られるように、所要深さまで回転圧入されるが、全長が長くなるときは、複数本の単位長さの鋼管2を現場溶接その他の方法で順次接続して回転圧入される。
前記係合板3は、折り曲げ可能な縦長な鋼板から構成されており、前記鋼管2の中心を挟んで対向する外周面2か所において、上下方向に沿って延在するように配置され、前記係合板3の左右側縁部のうちの一方の側縁部5は前記鋼管2に強固に接合(溶接)されるとともに、この係合板3の他方の側縁部6は、前記鋼管2から取り外し可能となるように、前記鋼管2に断続溶接(図4参照)され接合されている。
【0017】
また、前記係合板3の側縁部6の上端部と前記鋼管2との間には、図4で示すように、その上端部が前記鋼管2に接合されずに該鋼管2から離れるように曲げられた間隙部7が形成されている。さらに、前記鋼管2と前記側縁部6との断続溶接前に、この側縁部6と該鋼管2の外周面の間には、焼付き防止用の乾式潤滑材、もしくは止水を兼ねたベントナイト粉が塗布されている。したがって、前記鋼管杭1の圧入後、前記側縁部6と前記鋼管2とに施された断続溶接は、前記接合部材4の挿入によって容易に切り離すことが出来る。
そして、前記係合板3は、前記鋼管杭1を地中へ回転させながら圧入する際、前記鋼管2の外周面から大きく張り出さないように接合されているので、前記係合板3が邪魔にならないばかりか、該係合板3の一方の側縁部5は、前記他方の側縁部6に対して前記鋼管杭1の回転の前側となる方向に回転させられるので、旋回圧入時の前記係合板3のめくれは防止され、前記鋼管杭1そのものを回転させながら圧入させることができる。
【0018】
前記接合部材4は、隣接する鋼管杭1、1の両係合板2、2における側縁部6、6に挟持することが可能なように、略断面Z型状に形成されており、その両側縁部にそれぞれ上下方向に延在する板状の挟持部8、8と、これら挟持部8、8間に設けられ上下方向に延在する板状の止水部9とで構成されている。
【0019】
前記接合部材4は、該接合部材4の大きさに対応した間隔おきに、所定深さまで一列に並べられて圧入された隣り合う前記鋼管杭1…どうしを接合する場合、まず、該接合部材4の挟持部8、8の下端部が、隣接する前記鋼管杭1、1の係合板3、3の上端部と前記鋼管2との間に設けられた間隙部7、7に各々挿入される。その後、前記接合部材4を下方に圧入すると、前記側縁部6は前記鋼管2と断続接合されているので、該側縁部6の断続的な接合は下方に向かって外され、前記挟持部9は前記鋼管2と該係合板3の他方の側縁部6との間に密着して挟持され、前記止水部9は隣接する鋼管2、2間を遮断するので、該鋼管2、2間の隙間に止水効果をもたらすことが出来る。
また、前記接合部材4は、前記鋼管杭1…間の止水効果を得るために、地盤から止水効果を得ることの出来る深さまで圧入されるが、勿論、該接合部材4は必要に応じて単位長さのものを溶接などにより順次接続しながら圧入され、その上端部は、前記鋼管杭1の上端部と略同一レベルの位置にされる。
【0020】
次に、前記鋼管杭1を用いた鋼管杭連続壁工法について説明する。
まず、複数の鋼管杭1…を、施工現場において、適当間隔おきに所定深さまで圧入し、隣接する鋼管杭1、1の表面上に設けられた係合板3、3がほぼ向き合うように前記鋼管杭1、1を調整する。その後、前記接合部材4の挟持部8、8の下端部を、隣接する前記鋼管杭1、1の係合板3、3の上端部に設けられた間隙部7、7に各々挿入した後、前記鋼管2と前記係合板3の他方の側縁部6との断続的な係合を下方に向かって外しながら垂直に圧入する。
【0021】
したがって、本例の鋼管杭による鋼管杭連続壁工法では、前記鋼管杭1は、前記鋼管2の外周面に大きく突出しない前記係合板3が設けられているため、容易に回転しながら圧入することができる。また、前記鋼管杭1、1間は、前記鋼管2の外周面に設けられた前記係合板3と前記接合部材4を使用して確実に連結することが出来るので、強度の高い連続壁を構築する事が出来るとともに、前記鋼管杭1…間に止水効果をもたらすことが出来る。
【0022】
(第2の実施の形態例)
本例の鋼管杭10は、図6および図7で示すように、隣り合う鋼管2、2どうしを係合板3…に係合する接合部材11を介して接合することにより連続壁を構築するものであって、杭本体となる前記鋼管2と、該鋼管2の外周面に接合された前記係合板3…とを備えて構成されている。
【0023】
前記鋼管杭10および該鋼管杭10を用いた鋼管杭連続壁工法が、前記鋼管杭1および該鋼管杭1を用いた鋼管杭連続壁工法と異なる点は、前記係合板3の取付位置、および接合部材11の形状であり、その他の点は同様である。よって前記鋼管杭10の各構成要素のうち、前記鋼管杭1と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0024】
前記係合板3は、図6で示すように、前記鋼管2の中心を挟んで対向する外周面4か所において、上下方向に沿って延在するように配置され、近傍に隣接する係合板3、3の外側の側縁部5、5は前記鋼管2に強固に接合され、この係合板3、3の内側の側縁部6、6は、前記鋼管2から取り外し可能となるように、前記鋼管2に断続溶接され接合されている。
【0025】
前記接合部材11は、略断面H型に形成された鋼材からなり、前記接合部材11のフランジ12、12の側縁部を、隣り合う鋼管2、2の前記係合板3…の側縁部6…に嵌合されることで、前記鋼管杭10を接合することが出来るとともに、前記接合部材11のウェブ13は、隣接する鋼管2、2間を遮断するので止水効果をもたらすことが出来る。この際、前記係合板3…に前記接合部材11を嵌合することで発生する空間には、グラウト材など止水材14を充填しても良い。
【0026】
したがって、本例の鋼管杭による鋼管杭連続壁工法では、前記鋼管杭10は、前記鋼管2の外周面に大きく突出しない前記係合板3が設けられているため、容易に回転しながら圧入することができる。また、前記鋼管杭10、10間は、前記鋼管2の外周面に設けられた前記係合板2と前記接合部材11を使用して確実に連結することが出来るので、強度の高い連続壁を構築する事が出来るとともに、前記鋼管杭10…間に止水効果をもたらすことが出来る。
【0027】
なお、前記係合板3は、必要に応じて前記鋼管2の外周面のいずれかの位置に複数個設けられる。したがって、連続壁を円弧状、曲線状に設ける場合においても、その都度、前記鋼管杭1、10は前記係合板3…に前記接合部材4、11を嵌合することで容易に接合することが出来るとともに、前記鋼管杭1…、10…間に止水効果をもたらすことが出来る。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の鋼管杭によれば、
前記鋼管に設けられる前記係合板は縦長の板状のものであるので最小限に安価で構成することが出来るばかりか、該係合板を該鋼管の外周面に接合しても、大きく突出することがないので、前記鋼管杭を容易に回転しながら圧入することが出来る。また、回転せずに圧入する場合のセクション部(係合板)の圧入抵抗を最小限に抑えることができる。更に、隣り合う鋼管は、前記係合板に前記接合部材を嵌合することで連続壁を構築することができるので、容易に前記鋼管間の隙間に止水効果をもたらすことが出来る。
【0029】
請求項2記載の発明に係わる鋼管杭連続壁工法によれば、請求項1と同様の効果を得ることができる。
また、前記係合板の他方の側縁部が前記鋼管に、該鋼管から取り外し自在に接合されているので、前記鋼管杭を埋設する際に前記係合板のめくれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる鋼管杭の一例を示す横断面図である。
【図2】本発明に係わる鋼管杭が接合部材によって接合された状態の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に係わる鋼管杭における係合板の接合状態を示す平面図である。
【図4】本発明に係わる鋼管杭の上端部を示す要部正面図である。
【図5】本発明に係わる鋼管杭における係合板と接合部材とが嵌合した状態を示す要部平面図である。
【図6】本発明に係わる鋼管杭の他の例を示す横断面図である。
【図7】本発明に係わる鋼管杭が接合部材によって接合された状態の他の例を示す平面図である。
【図8】従来の鋼管杭連続壁工法の一例を示す要部平面図である。
【図9】同、他の例を示す要部平面図である。
【符号の説明】
1.10 鋼管杭
2 鋼管
3 係合板
4.11 接合部材
5 一方の側縁部
6 他方の側縁部
Claims (2)
- 杭本体となる鋼管と、該鋼管の外周面に接合された係合板とを備え、前記鋼管を複数並べて埋設するとともに、隣り合う前記鋼管どうしを前記係合板に係合する接合部材を介して接合することにより連続壁を構築するための鋼管杭であって、
前記係合板が前記鋼管の外周面に沿うとともに、上下方向に延在するように設けられ、該係合板の左右側縁部のうちの一方の側縁部が前記鋼管に接合され、かつ、該係合板の他方の側縁部が前記鋼管から取り外し自在に接合されており、他方の側縁部を前記鋼管から外した間に、前記接合部材の側縁部が挟持されるようになっていることを特徴とする鋼管杭。 - 請求項1記載の鋼管杭を用いた鋼管杭連続壁工法であって、
前記鋼管杭を一列に並べて埋設し、隣り合う鋼管杭それぞれの前記係合板の上端部において、該係合板の他方の側縁部と前記鋼管との間に、前記接合部材の側縁部の下端部を挟持させた状態とした後に、前記接合部材を下方に押し下げた際に、前記鋼管と前記係合板の他方の側縁部との係合を下方に向かって外しながら、前記鋼管と前記係合板の他方の側縁部との間に、前記接合部材の側縁部を下方に向かって挟持させていくことを特徴とする鋼管杭連続壁工法。
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