JP4284015B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療診断用、工業写真用、印刷用、COM用等として好適に用いることができる熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に感光層を有し、画像露光することで画像形成を行う感光材料が、数多く知られている。その中には、環境保全に寄与し画像形成手段を簡易化できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技術がある。
【0003】
熱現像により画像を形成する方法は、例えば米国特許第3,152,904号明細書、同第3,457,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Klosterboer)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。このような熱現像感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有する。感光材料は常温で安定であるが、露光後に高温(例えば、80℃以上)に加熱したときに、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光により形成された潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色になり、非露光領域と対照をなすことから画像の形成がなされる。
【0004】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が開示されている。例えば、特開昭46−6074号公報、同47−1238号公報、同47−33621号公報、同49−46427号公報、同49−115540号公報、同50−14334号公報、同50−36110号公報、同50−147711号公報、同51−32632号公報、同51−1023721号公報、同51−32324号公報、同51−51933号公報、同52−84727号公報、同55−108654号公報、同56−146133号公報、同57−82828号公報、同57−82829号公報、特開平6−3793号公報、米国特許第3,667,9586号明細書、同第3,679,426号明細書、同第3,751,252号明細書、同第3,751,255号明細書、同第3,761,270号明細書、同第3,782,949号明細書、同第3,839,048号明細書、同第3,928,686号明細書、同第5,464,738号明細書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許公開第692,732号公報などに開示されている還元剤が挙げられる。
【0005】
これらの既知の還元剤の中でも、ヒンダードフェノール化合物やビスフェノール化合物が広く用いられている。しかし、これらの還元剤を用いた熱現像感光材料は、十分な画像濃度を得るためには現像に時間が必要であったり、また、現像の温度に対する感度変動が大きいといった問題が発生する場合があり、これらを解決するための技術が検討されている。
【0006】
これらの問題を解決する手段として、現像促進剤を使用することが行われており、なかでも、還元性を有する化合物が用いられている。例えば、特開平10−221806号公報にはスルホンアミドフェノール化合物が記載されている。一方、熱現像感光材料における既知の還元性化合物としては、印刷製版用に用いられる熱現像感光材料において、ヒドラジン誘導体を使用することにより超硬調な性能を得ることが、例えば、US5496695号、特開平9−304875号などに開示されている。
【0007】
しかしながら、これらに開示された化合物を超硬調な写真特性を必要としない医療画像用途などの熱現像感光材料に添加すると、著しい被りを生じたり、階調が硬調すぎたり、画像再現性が低下するなどの問題を生じて商品として供しうるものを得ることはできない。
【0008】
このように、上記のような既知の現像促進剤あるいは既知のヒドラジン誘導体を用いた場合は、現像促進効果が十分ではなかったり、階調が硬調すぎたり、画像再現性が低下したり、さらには、感光材料時の保存時の安定性が十分でないといった問題が、他の添加剤との組み合わせや感光材料の製造条件、現像温度、時間の経過などのさまざまな要因によって発生する場合があり、熱現像感光材料を設計する上での大きな課題となっていた。それゆえ、これらの課題を解決する新規な熱現像感光材料が要望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、画像色調にほとんど影響を与えず、高感度でかつカブリが少なく、現像進行が速く、熱現像温度の変動による性能の変化が少ない、新規な熱現像感光材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体の同一面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、還元可能な銀塩、およびバインダーを有する熱現像感光材料において、特定の構造を有する還元性化合物(ヒドラジン系現像主薬と総称される化合物)と、フェノールまたはナフトール化合物とを使用することによって、所望の効果を奏する優れた熱現像感光材料を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の熱現像記録材料は、支持体の同一面上に、少なくとも、(a)感光性ハロゲン化銀と、(b)還元可能な銀塩と、(c)下記一般式(1)で表される化合物と、(d)バインダーと、(e)下記一般式(2)または(3)で表される化合物と、(f)下記一般式(4)で表される化合物と、を含有し、且つ現像後に前記一般式(1)で表される化合物と、前記一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像の吸収極大波長における最高濃度の総和が0.01未満であることを特徴とする。
【0012】
【化2】
【0013】
(一般式(1)において、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5〜7員の不飽和環を表し、V1はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。一般式(2)および(3)において、X1およびX2はそれぞれ独立にアルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。mおよびpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。一般式(4)において、V2〜V9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Lは−CH(V10)−または−S−なる連結基を表し、V10は水素原子または置換基を表す。)
【0014】
一般式(1)で表される化合物におけるV1、カルバモイル基を表すことが好ましい。また、Q1は、キナゾリニル基を表すことが好ましい。
一般式(2)または(3)で表される化合物おけるX1およびX2は、それぞれ独立にアルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。また、一般式(2)で表される化合物は、2−カルバモイル基を有することが好ましく、より好ましくは2−アリールカルバモイル基を有することである。
【0015】
本発明の熱現像感光材料は、支持体に対して前記成分(a)〜(f)を含有する面と同一面上に、さらに(g)下記一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物を含有することが好ましい。また、同様にさらに(h)超硬調化剤を含有することが好ましい。
【0016】
一般式(5) Q2−(Y)n−CZ1Z2X
(一般式(5)において、Q2は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱現像感光材料について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後に記載される数値を最小値および最大値として含む範囲である。
【0018】
本発明の熱現像感光材料は、支持体の同一面上に、少なくとも、感光性ハロゲン化銀と、還元可能な銀塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、バインダーと、下記一般式(2)または(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物と、を含有し、現像後に一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像の吸収極大波長における最高濃度の総和が0.01未満であることを特徴とする。
【0019】
本発明の熱現像感光材料は、還元可能な銀塩(有機銀塩)のための還元剤として、下記一般式(1)で表される化合物と、バインダーと、下記一般式(2)または(3)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物とを併用し、且つ現像後に一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像の吸収極大波長における最高濃度の総和が0.01未満であるので、画像色調にほとんど影響を与えず、高感度でかつカブリが少なく、現像進行が速く、熱現像温度の変動による性能の変化が少ない。これは以下に示すように推測される。
一般式(1)で表される化合物は、熱現像されると、一般式(4)で表される化合物と共に高活性な還元剤として作用して銀画像を形成するのに寄与し、それ自身は酸化体となる。この一般式(1)で表される化合物は高活性であるが、添加量を多くすると被りを生じやすい傾向がある。一方、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物は、本発明の熱現像感光材料を熱現像すると、一般式(4)で表される化合物と共に高活性な還元剤として作用して銀画像を形成するのに寄与し、それ自身は酸化体となるが、一般式(4)で表される化物との酸化還元反応により再還元されて再び還元剤として作用する場合がある。この一般式(2)または(3)で表される化合物は添加量を多くしても被りは生じにくいが、一般式(1)で表される化合物に比べて活性は低い傾向がある。このため、これら一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)または(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物とを併用することで、還元剤としての高活性と被りを両立させることができる。また、本発明の熱現像感光材料おいては、現像後における一般式(1)で表される化合物と一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像の吸収極大波長における最高濃度の総和は0.01未満(好ましくは0.005未満であり、より好ましくは0.001未満)であるので、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)または(3)で表される化合物とが、実質的に色素を形成されず、熱現像感光材料の画像色調にほとんど影響を与えないことがない。
【0020】
本発明の熱現像感光材料の好ましい形態は、支持体上に還元可能な銀塩として有機銀塩およびバインダーを含有する画像形成層を有し、この画像形成層側に感光性ハロゲン化銀を含有する感光性ハロゲン化銀乳剤層(感光性層)を有する形態である。好ましくは、画像形成層が感光性層である形態である。そして、特に好ましい形態は、画像形成層側に現像主薬を含有し、好ましくはさらに超硬調化剤を含有する超硬調感光材料である。特に、このような熱現像感光材料では、下記一般式(1)または(3)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを併用することで、より好適に、最高濃度(Dmax)および感度が低下したり、未露光部のカブリ(Dmin)が増大したりすることなく、良好な色素画像を得ることができる。
【0021】
まず、一般式(1)〜(4)で表される化合物について説明する。
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0022】
【化3】
【0023】
一般式(1)において、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5〜7員の不飽和環を表し、V1はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。
【0024】
一般式(1)において、Q1で表される5〜7員の不飽和環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが挙げられ、これらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
【0025】
一般式(1)において、V1で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数2〜40、特に好ましくは炭素数2〜11であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
V1で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。
V1で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
V1で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40であり、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。
V1で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
V1で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40であり、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。
【0026】
一般式(1)において、V1で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
一般式(1)において、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5−7員の複素環、または環置換基のハメットσp値の合計が1.6以上の置換フェニル基であることが好ましく、より好ましくは、Q1は、環置換基のハメットσp値の合計が1.6以上の置換フェニル基、キナゾリン環(基)、ピリミジン環(基)、1,2,3−トリアゾール環(基)、1,2,4−トリアゾール環(基)、テトラゾール環(基)、1,3,4−チアジアゾール環(基)、1,2,4−チアジアゾール環(基)、1,3,4−オキサジアゾール環(基)、1,2,4−オキサジアゾール環(基)、チアゾール環(基)、オキサゾール環(基)、イソチアゾール環(基)、イソオキサゾール環(基)、もしくは不飽和ヘテロ環(基)と縮合した環であり、更に好ましくは、キナゾリン環、および環置換基のハメットσpの合計が1.6以上のベンゼン環であり、キナゾリン環が特に好ましい。Q1は電子吸引的な基を少なくとも一つ有していることがさらに好ましく、好ましい置換基としては、フルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基)、シアノ基、ハロゲン原子(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、4−(メタンスルホニルアミノ)フェニルスルホニル基)、ニトロ基を挙げることができ、特に好ましい置換基としてはトリフルオロメチル基を挙げることができる。
Q1が置換ベンゼン環であるとき、環置換基のハメットσpの合計が1.6以上のベンゼン環の好ましい例としては、3,4−ジシアノ−6−(プロパンスルホニル)フェニル基、3,4−ジシアノ−6−(メタンスルホニル)フェニル基、3,4,6−トリ(メタンスルホニル)フェニル基、および、3,4−ジシアノ−6−(4−(メタンスルホニルアミノ)フェニル)スルホニル)フェニル基などを挙げることができる。
【0028】
一般式(1)において、V1はカルバモイル基であることが好ましい。特に好ましくは、V1は−C=O−NH−V21で表される置換カルバモイル基であり、かつ、V21が炭素数1ないし10のアルキル基またはアリール基を表す。
【0029】
一般式(1)において、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5−7員の複素環または、環置換基のハメットσp値の合計が1.6以上の置換フェニル基であることが好ましい理由については完全には明らかではないが、一般に還元性化合物においは酸解離平衡定数が小さいほど還元性は増大することが知られている。好ましくは、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5−7員の不飽和環であり、なかでも、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5−7員の複素環または、環置換基のハメットσp値の合計が1.6以上の置換フェニル基であることが更に好ましい。
【0030】
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体例によって限定されるものではない。
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
【化16】
【0044】
【化17】
【0045】
【化18】
【0046】
【化19】
【0047】
一般式(1)で表される化合物の合成は、特開平9−152702号公報、同8−286340号公報、同9−152700号公報、同9−152701号公報、同9−152703号公報、および同9−152704号公報等に記載の方法に従って実施することができる。
【0048】
一般式(1)で表される化合物の添加量は範囲が広いが、好ましくは銀イオンに対して0.01〜100モル倍、さらに好ましくは0.1〜10モル倍である。
【0049】
一般式(1)で表される化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化物、オイルプロテクト分散物などいかなる方法で塗布液に添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0050】
以下、一般式(2)および(3)で表される化合物について説明する。
【0051】
【化20】
【0052】
一般式(2)および(3)において、X1およびX2はそれぞれ独立して、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、又はアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)である。
【0053】
一般式(2)または一般式(3)において、X1,X2 はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基を表し、好適に現像後に色素像を実質的に形成せず、熱現像感光材料の画像色調にほとんど影響を与えない観点から好ましい。また、X1およびX2で表される置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよく、写真性能を悪化させないものであれば一般に知られているどのような置換基でもよい。
【0054】
一般式(2)および(3)において、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。mおよびpはそれぞれ独立して0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。
R1〜R3で表される置換基としては、写真性へ悪影響のないものであればどのような置換基を用いてもよい。例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれら組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−オクチル、n−アミル、tert−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、ピロリジル等)等が挙げられる。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
R1〜R3で表される置換基として好ましいものは、上記の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、スルホニル基、スルファモイル基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ヘテロ環基である。
【0055】
一般式(2)で表される化合物は、2−位にカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、 N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、 N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、 N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等)を有することが更に好ましく、2−位にアリールカルバモイル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、さらに好ましくは7〜12であり、例えば、N−フェニルカルバモイル、 N−(2−クロロフェニル)カルバモイル、 N−(4−クロロフェニル)カルバモイルN−(2,4−ジクロロフェニル)カルバモイル、 N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバモイル等)を有することが特に好ましい。
【0056】
以下に、一般式(2)および(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体例によって限定されるものではない。なお、例示化合物番号(A−1)〜(A−34)は、一般式(2)で表される化合物の具体例を示し、例示化合物番号(A−101)〜(A−211)は、一般式(3)で表される化合物の具体例
【0058】
【化22】
【0059】
【化23】
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0064】
【化28】
【0066】
【化30】
【0067】
【化31】
【0068】
【化32】
【0073】
【化37】
【0079】
一般式(2)および(3)で表される化合物は写真業界で公知の方法によって容易に合成することができる。一般式(2)および(3)で表される化合物は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
あるいは、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート、ジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいはよく知られている固体分散法に従って、ボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーまたは超音波によって、化合物の粉末を水の中に分散し、用いることができる。
【0080】
一般式(2)および(3)で表される化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。一般式(2)および(3)で表される化合物の添加量は、銀1モル当たり0.2〜200ミリモルが好ましく、より好ましくは0.3〜100ミリモルであり、さらに好ましくは0.5〜30ミリモルである。本発明の一般式(2)および(3)で表される化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0081】
以下、一般式(4)で表される化合物を説明する。
【0082】
【化43】
【0083】
一般式(4)において、V2〜V9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。V2〜V9で表される置換基は同一でも異なっていてもよく、好ましい例として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれらの組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、ピロリジル等)等が挙げられる。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
V2〜V9で表される置換基として特に好ましいものは、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル等)である。
【0084】
一般式(4)において、Lは−CH(V10)−または−S−なる連結基を表し、V10は水素原子または置換基を表す。V10で表される置換基の好ましい例として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖、分岐、環状またはそれらの組み合わせのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜13であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜13であり、例えば、アセチルアミノ、トリデカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ブタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、カルバメート基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、カルボキシル基、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、トシル等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜12であり、例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは2〜12であり、例えば、ピリジル、イミダゾイル、ピロリジル等)等が挙げられる。これらの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。
V10で表される置換基の特に好ましい例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、t−オクチル、n−アミル、n−オクチル、t−アミル、n−ドデシル、n−トリデシル、シクロヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル等)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等)、アリール基(例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ等)等が挙げられる。
【0085】
以下に、一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0086】
【化44】
【0087】
【化45】
【0088】
【化46】
【0089】
【化47】
【0090】
【化48】
【0091】
【化49】
【0092】
一般式(3)で表される化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。一般式(3)で表される化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0093】
本発明の熱現像感光材料においては、一般式(1)〜(4)で表される化合物の他に、さらに他の還元可能な銀塩(有機銀塩)のための還元剤を含んでいてもよい。他の還元可能な銀塩(有機銀塩)のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤の他に、ヒンダードフェノール還元剤も好ましい例として挙げることができる。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して5〜50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は支持体に対して画像形成層側のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1モルに対して10〜50モル%と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0094】
本発明の熱現像感光材料において、還元剤(一般式(1)〜(3)で表される化合物)は、芳香族性の水酸基(−OH)を有するビスフェノール類であるので、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物(以下、水素結合性の化合物という)を併用することが好ましい。水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−R(RはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
水素結合性の化合物として特に好ましい例としては、特願2000−74278号広報などに記載のホスフィンオキシド化合物を挙げることができる。
水素結合性の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができる。水素結合性の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と水素結合性の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と水素結合性の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
水素結合性の化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは30〜100モル%の範囲である。
【0095】
次に、感光性ハロゲン化銀について説明する。
感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができる。
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号明細書に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特願平11−98708号明細書、同11−84182号明細書に記載の方法も好ましい。
【0096】
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0097】
感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など粒子形状の特徴については、特開平11−119374号公報の段落番号0225に記載されているものと同じである。また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0098】
感光性ハロゲン化銀粒子としては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ru(CN)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(CN)6]3-、[Ir(CN)6]3-、[Cr(CN)6]3-、[Re(CN)6]3-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい
。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、感光性ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である
。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0099】
感光性ハロゲン化銀粒子の粒径分布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1〜20%であり、さらに5〜15%である。ここで単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率(%)(変動係数)として定義されるものである。なおハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板状など)は投影面積円相当直径で算出する。
感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH4)3Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8モル〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関しては、特開平11−119374号公報の段落番号0227〜0240に記載されている。
【0100】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0101】
感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感することが好ましい。化学増感については、特開平11−119374号公報の段落番号0242〜0250に記載されている方法を用いることが好ましい。感光性ハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0102】
感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)に含有するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であり、好ましくは分子量1,000〜40,000である。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。また、粒子形成時は通常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよい。分散媒の濃度は0.05〜20質量%にすることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
【0103】
感光性ハロゲン化銀粒子を分光増感させる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素および添加法については、特開平11−65021号公報の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号公報の式(II)で表される化合物、特開平11−119374号公報の一般式(I)で表される色素および段落番号0106、米国特許第5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書実施例5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭59−48753号公報に開示されている色素が挙げられ、また欧州特許公開第0803764A1号公報の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特願2000−86865号明細書、特願2000−102560号明細書、特願2000−205399号明細書等に記載されている。
例えば、550nm〜750nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10−186572号公報の式(II)で表される色素が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II−15、II−18、II−23、II−25の色素を好ましい色素として例示することができる。また、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平11−119374号公報の式(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、(30)、(32)、(36)、(37)、(41)、(49)、(54)の色素を好ましい色素として例示することができる。さらに、J−bandを形成する色素として、米国特許第5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2−96131号公報、特開昭59−48753号公報に開示されている色素を好ましい色素として例示することができる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
【0104】
感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)に、増感色素を添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成の開始前までの時期である。増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
【0105】
感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)には、分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号公報、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,873,184号明細書、特開平5−341432号公報、同11−109547号公報、同10−111543号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0106】
感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることも好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号公報等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号公報段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号公報中の式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0107】
感光性ハロゲン化銀粒子の化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。特に分光増感後に行われることが好ましい。本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95℃程度である。
【0108】
感光性ハロゲン化銀粒子(乳剤)は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号公報、同53−106125号公報、同47−3929号公報、同48−55730号公報、同46−5187号公報、同50−73627号公報、同57−150841号公報などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0109】
感光性ハロゲン化銀粒子の使用量としては有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル〜0.5モルが好ましく、0.02モル〜0.3モルがより好ましく、0.03モル〜0.25モルが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀粒子と還元可能な銀塩(有機銀塩)の混合方法および混合条件については、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得られる限り特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0110】
次に、還元可能な銀塩(以下、非感光性銀塩ということがある)について説明する。
還元可能な銀塩としては有機銀塩が好ましく、この有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量%を構成することができる。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的には、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。
【0111】
これらの有機酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75モル%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸銀含有率85モル%以上の有機酸銀を用いることがさらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることができる。
【0112】
有機酸銀は、上記の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させることにより調製されることが特に好ましい。これらの調製方法については、特願平11−104187号明細書の段落番号0019〜0021に記載の方法、欧州特許公開第0962812A1号に記載の方法を用いることができる。本発明においては、液体を混合するための密閉手段(気液界面を有しない混合手段)の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を好ましく用いることができる。具体的には、特願平11−203413号明細書、特願2000−195621号明細書に記載されている方法を用いることができる。
【0113】
有機酸銀の調製時に、硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。ここで用いる分散剤の種類および使用量については、特願平11−115457号明細書の段落番号0052に具体例が記載されている。
【0114】
有機酸銀は第3アルコールの存在下で調製することが好ましい。第3アルコールとしては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好ましく、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げられるが、本発明で使用することができる第3アルコールはこれに限定されない。この第3アルコールの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでもよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜10の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範囲で使用することが好ましい。
【0115】
有機銀塩の形状やサイズは特に制限されないが、特願平11−104187号明細書の段落番号0024に記載のものや欧州特許公開第0962812A1号に記載のものを用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。粒子サイズの単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。測定方法としては、例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ましい。より好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0μm、さらに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜2.0μmである。
【0116】
有機銀塩は、脱塩したものであることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法については、特願平11−115457号明細書、特願2000−90093号明細書に記載の方法を用いることができる。本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散方法については特願平11−104187号明細書の段落番号0027〜0038に記載の方法を用いることができる。
【0117】
有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。このような有機銀塩固体微粒子分散物は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜15質量%の範囲が好ましい。また、有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0118】
次に、バインダーについて説明する。
バインダーは、支持体上、感光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面の画像形成層(感光性層、乳剤層)に用いられるものであり、具体的には、よく知られている天然または合成樹脂、例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなどから任意のものを選択することができる。当然ながら、コポリマーおよびターポリマーも含まれる。好ましいポリマーは、ポリビニルブチラール、ブチルエチルセルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレンおよびブタジエンスチレンコポリマーである。必要に応じて、これらのポリマーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。そのようなポリマーは、成分をその中に保持するのに十分な量で使用される。すなわち、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で使用される。効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は、15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。
【0119】
本発明においては、画像形成層のうち少なくとも1層は、バインダーとして以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50質量%以上含有することが好ましい。(以降この画像形成層を「本発明における画像形成層」、バインダーに用いるポリマーラテックスを「本発明で用いるポリマーラテックス」と表す。)また、ポリマーラテックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、保護層やバック層にもポリマーラテックスを用いる必要がある。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なお本発明で用いるポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0120】
本発明で用いるポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明で用いるポリマーラテックスのポリマーのガラス転移温度(Tg)は、保護層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促すため、40℃以下であり、20〜40℃が好ましく、23〜40℃がより好ましく、さらには30〜40℃が好ましい。保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触するために25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。
【0121】
本発明で用いるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0122】
本発明における画像形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。また、このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA4635,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以上三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いてもよい。
【0123】
本発明における画像形成層は全バインダーの50質量%以上として上記ポリマーラテックスを用いることが好ましいが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスを用いることがより好ましい。
本発明における画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0124】
本発明における画像形成層には必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、さらには15質量%以下が好ましい。
【0125】
本発明における画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては、水のほか、以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%を表す。)
【0126】
次に、支持体について説明する。
支持体には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などが挙げられる。可撓性基材、特に、バライタおよび/または部分的にアセチル化されたα−オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2〜10のα−オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。このような支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。これらのうちでも75〜200μm程度の2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
【0127】
一般に、プラスチックフィルムを80℃以上の処理の熱現像機に通すと一般にフィルムの寸法が伸縮する。処理後の材料を印刷製版用途として使用する場合、この伸縮は精密多色印刷を行う時に重大な問題となる。よって、本発明では二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなくす工夫をした、寸法変化の小さいフィルムを用いることが好ましい。例えば、感光性ハロゲン化銀乳剤(熱現像写真用乳剤)を塗布する前に100℃〜210℃の範囲で熱処理したポリエチレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。ガラス転移温度の高いものも好ましく、ポリエーテルエチルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート等が使用できる。
【0128】
医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号公報の実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号公報の水溶性ポリエステル、同10−186565号公報のスチレンブタジエン共重合体、特願平11−106881号明細書段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。また、帯電防止層若しくは下塗りについて特開昭56−143430号公報、同56−143431号公報、同58−62646号公報、同56−120519号公報、特開平11−84573号公報の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号明細書、特開平11−223898号公報の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
【0129】
次に、その他、添加剤や層構成について説明する。
本発明の熱現像感光材料において、感光性ハロゲン化銀および/または還元可能な銀塩は、既知のカブリ防止剤、安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対してさらに保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化させることができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書および同第2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細書および同第2,444,605号明細書に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号明細書および同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細書および同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書および同第4,137,079号明細書、同第4,138,365号明細書および同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0130】
カブリ防止剤として好ましくは有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−119624号公報、同50−120328号公報、同51−121332号公報、同54−58022号公報、同56−70543号公報、同56−99335号公報、同59−90842号公報、同61−129642号公報、同62−129845号公報、特開平6−208191号公報、同7−5621号公報、同7−2781号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,340,712号明細書、同第5,369,000号明細書、および同第5,464,737号明細書に開示されているような化合物が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物が特に好ましい。
【0131】
一般式(5) Q2−(Y)n−CZ1Z2X
【0132】
一般式(5)において、Q2は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
Q2で表されるアルキル基は、直鎖、分岐、環状またはそれらの組み合わせのアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。例えば、メチル、エチル、アリル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ペンチル、イソペンチル、t−ペンチル、t−オクチル、1−メチルシクロヘキシル等が挙げられる。好ましくは3級のアルキル基である。
Q2で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む、例えばモルホリノ基)、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、ニトロ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、スルファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、カルボキシル基またはその塩、スルホ基またはその塩、リン酸基、ヒドロキシ基、4級アンモニウム基等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
Q2で表されるアリール基は単環または縮合環のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは6〜10であり、フェニル基またはナフチル基が好ましい。
Q2で表されるアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わないが、例えば前述のアルキル基の置換基と同様の基が挙げられる。
Q2で表されるヘテロ環基は、ヘテロ環が窒素、酸素および硫黄原子からなる群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含む、5〜7員の飽和または不飽和の単環または縮合環であるものが好ましい。ヘテロ環の例としては、好ましくはピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げられ、さらに好ましくはピリジン、キノリン、ピリミジン、チアジアゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましくは、ピリジン、キノリン、ピリミジンである。
Q2で表されるヘテロ環基は置換基を有してもよい。
【0133】
一般式(5)において、Q2は、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、キノリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基であり、特に好ましくは、フェニル基、ナフチル基、キノリル基、ピリジル基、ピリミジル基である。
また、Q2の置換基として、拡散性を低下させるために写真用素材で使用されるバラスト基や銀塩への吸着基や水溶性を付与する基を有していてもよいし、互いに重合してポリマーを形成してもよいし、置換基どうしが結合してビス型、トリス型、テトラキス型を形成してもよい。
【0134】
一般式(5)において、Yは2価の連結基を表すが、好ましくは−SO2−、−SO−、−CO−であり、特に好ましくは−SO2−である。
一般式(5)において、nは0または1を表すが、好ましくは1である。
一般式(5)において、Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を表すが、Z1およびZ2は両方とも臭素原子であることが最も好ましい。
【0135】
一般式(5)において、Xは水素原子または電子求引性基を表す。Xで表される電子求引性基は、ハメットの置換基定数δpが正の値を取りうる置換基であり、具体的には、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、アシル基、ヘテロ環基等が挙げられる。Xは好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、最も好ましくは臭素原子である。
【0136】
一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物としては、例えば米国特許第3,874,946号明細書、同第4,756,999号明細書、同第5,340,712号明細書、同第5,369,000号明細書、同第5,464,737号明細書、特開昭50−137126号公報、同50−89020号公報、同50−119624号公報、同59−57234号公報、特開平7−2781号公報、同7−5621号公報、同9−160164号公報、同10−197988号公報、同9−244177号公報、同9−244178号公報、同9−160167号公報、同9−319022号公報、同9−258367号公報、同9−265150号公報、同9−319022号公報、同10−197989号公報、同11−242304号公報、特願平10−181459号明細書、同10−292864号明細書、同11−90095号明細書、同11−89773号明細書、同11−205330号明細書等に記載された化合物が挙げられる。
【0137】
一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。使用量は、熱現像感光材料1m2当たりの塗布量として、1×10-6〜1×10-2mol/m2が好ましく、より好ましくは1×10-5〜5×10-3mol/m2であり、さらに好ましくは2×10-5〜1×10-3mol/m2である。
【0138】
一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0139】
一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。あるいは、既によく知られている乳化分散法に従って、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテート、ジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。または、よく知られている固体分散法に従って、ボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーまたは超音波によって、有機ポリハロゲン化合物の粉末を水の中に分散して用いることができる。
【0140】
以下に、一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物の好ましい例を挙げるが、本発明に用いる有機ポリハロゲン化合物はこれらに限定されるものではない。
【0141】
【化50】
【0142】
【化51】
【0143】
【化52】
【0144】
【化53】
【0145】
また、本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は酢酸水銀および臭化水銀である。
【0146】
さらに、高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本発明に用いられる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,939号明細書、同第4,152,160号明細書、特開平9−329865号公報、特開平9−329864号公報、特開平9−281637号公報などに記載の化合物が挙げられる。
安息香酸類の添加量は、いかなる量でもよいが、銀1モル当たり1ミリモル〜2モルが好ましく、より好ましくは1ミリモル〜0.5モルである。安息香酸類の添加法としては、粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加してもよい。安息香酸類の添加時期は、塗布液調製のいかなる工程でもよく、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でもよいが、有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類は熱現像感光材料のいかなる部位に添加してもよいが、画像形成層である感光層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。
【0147】
本発明の熱現像感光材料においては、「色調剤」と呼ばれる化合物が、銀画像の像密度(画像濃度)、銀の色調および熱現像性を改良する目的で、感光材料中に必要により添加させることができる。
特に、有機銀塩を利用した本発明の熱現像感光材料においては広範囲の色調剤を使用することができる。例えば、特開昭46−6077号公報、同47−10282号公報、同49−5019号公報、同49−5020号公報、同49−91215号公報、同49−91215号公報、同50−2524号公報、同50−32927号公報、同50−67132号公報、同50−67641号公報、同50−114217号公報、同51−3223号公報、同51−27923号公報、同52−14788号公報、同52−99813号公報、同53−1020号公報、同53−76020号公報、同54−156524号公報、同54−156525号公報、同61−183642号公報、特開平4−56848号公報、特公昭49−10727号公報、同54−20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,510,236号明細書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書、特公平1−25050号公報などに開示されている。
【0148】
これらの色調剤は、求められる性能(像密度、銀色調、熱現像改良)、感光材料外への揮発性、昇華性などの特性、カブリ防止剤などの他の添加剤と組み合わせたときの感光材料の特性などの観点から探索が進められ、多数の色調剤が報告されている。なかでもフタラジン類とフタル酸誘導体との組み合わせが優れていることが知られている。
フタラジン化合物およびその製造方法の好適な例としては、特開平10−339928、同10−339930号公報、同10−339931号公報、同10−332234号公報、同11−52511号公報、13−2660号公報、13−19679号公報などに開示されている。
フタラジン化合物の使用量は、銀1モル当たり10-4〜1モルであることが好ましく、より好ましくは10-3〜0.3モルであり、さら好ましくは10-4〜0.3モルである。
フタラジン化合物は、溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化物、オイルプロテクト分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
フタラジン化合物は、支持体上、感光性ハロゲン化銀および還元可能な銀塩と同一の面であればいずれの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀を含む層またはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
【0149】
本発明の熱現像感光材料には、一般に写真感光材料の処理において必要とする塩基をさまざまな塩基供給方法により供給することができる。例えば、感光材料側に塩基発生機能を与える場合、塩基プレカーサーとして感光材料中に導入することが可能である。このような塩基プレカーサーとしては、例えば熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位またはベックマン転位によりアミン類を放出する化合物などがある。この例については、米国特許第4,514,493号明細書、同第4,657,848号明細書等に記載されている。
【0150】
本発明の熱現像感光材料には、超硬調化剤を用いることが好適である。本発明で用いる超硬調化剤の種類は特に限定されないが、好ましい超硬調化剤として、特願平11−87297号明細書に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体(具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジン誘導体)、特開平10−10672号公報、特開平10−161270号公報、特開平10−62898号公報、特開平9−304870号公報、特開平9−304872号公報、特開平9−304871号公報、特開平10−31282号公報、米国特許第5,496,695号明細書、欧州特許公開第741,320号公報に記載のすべてのヒドラジン誘導体を挙げることができる。
また、特開2000−284399に記載の一般式(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物、さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)または式(B)で表される環状化合物、具体的には同明細書の化8〜化12に記載の化合物1〜72も用いることができる。さらに、これら超硬調化剤を複数併用してもよい。
【0151】
超硬調化剤は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコ−ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、超硬調化剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散して用いることもできる。
超硬調化剤は、支持体に対して画像形成層側のいずれの層に添加してもよいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。
超硬調化剤の添加量は銀1モルに対し1×10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1モルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も好ましい。
【0152】
超硬調化剤としては、上記化合物の他に、米国特許第5,545,515号明細書、同第5,635,339号明細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO97/34196号公報、米国特許第5,686,228号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11−119372号公報、特開平11−133546号公報、特開平11−119373号公報、特開平11−109546号公報、特開平11−95365号公報、特開平11−95366号公報、特開平11−149136号公報に記載の化合物を用いてもよい。
【0153】
本発明の熱現像感光材料においては、超硬調画像形成のために、超硬調化剤とともに硬調化促進剤を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5、米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、米国特許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国特許第5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−297368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14などを用いることができる。
【0154】
本発明の熱現像感光材料においては、蟻酸あるいは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下であることが好ましい。
【0155】
本発明の熱現像感光材料には、五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を超硬調化剤と併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加されることが好ましい。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0156】
本発明の熱現像感光材料には、現像を抑制または促進させて現像を制御すること、分光増感効率を向上させること、現像前後の保存性を向上させることなどを目的として、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
メルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM0、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、M0は水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレンもしくはテルル原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、複素芳香環はベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、カルバゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。
この複素芳香環は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン(例えば、臭素および塩素)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜4)、アルコキシ(例えば、炭素数1以上、好ましくは炭素数1〜4)、およびアリール(置換基を有していてもよい)が挙げられる。メルカプト置換複素芳香族化合物の例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2−ジチオビスベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプト−ピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプトテトラゾール)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N−[3−(5−メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾール、N−[3−(メルカプトアセチルアミノ)プロピル]カルバゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
メルカプト化合物の添加量は、画像形成層中の銀1モル当たり0.0001〜1モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは銀1モル当たり0.001〜0.3モルである。
【0157】
本発明の熱現像感光材料において、画像形成層(感光性層)には、可塑剤および潤滑剤として、多価アルコール(例えば、米国特許第2,960,404号明細書に記載された種類のグリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号明細書および同第3,121,060号明細書に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061号明細書に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0158】
本発明の熱現像感光材料において、画像形成層には、色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。これらの染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラーインデックス記載の顔料や染料が用いられ、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。好ましい染料としては、アントラキノン染料(例えば特開平5−341441号公報記載の化合物1〜9、特開平5−165147号公報記載の化合物3−6〜18および3−23〜38等)、アゾメチン染料(特開平5−341441号公報記載の化合物17〜47等)、インドアニリン染料(例えば特開平5−289227号公報記載の化合物11〜19、特開平5−341441号公報記載の化合物47、特開平5−165147号公報記載の化合物2−10〜11等)、およびアゾ染料(特開平5−341441号公報記載の化合物10〜16等)が挙げられる。
染料および顔料の使用量は、目的の吸収量によって決められるが、一般的に感光材料1m2当たり1mg〜1gの範囲が好ましい。染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でもよい。
【0159】
本発明の熱現像感光材料においては、画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。
表面保護層のバインダーとしてはいかなるポリマーでもよいが、カルボン酸残基を有するポリマーを100mg/m2〜5g/m2含むことが好ましい。ここでいうカルボン酸残基を有するポリマーとしては、天然高分子(ゼラチン、アルギン酸等)、変性天然高分子(カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等)、合成高分子(ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアルキルメタクリレート/アクリレート共重合体、ポリスチレン/ポリメタクリレート共重合体等)などが挙げられる。このようなポリマーのカルボキシ残基の含有量としては、ポリマー100g当たり10mmol〜1.4molであることが好ましい。また、カルボン酸残基はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機カチオンなどと塩を形成してもよい。
表面保護層には、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などが挙げられる。また、表面保護層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0160】
本発明の熱現像感光材料において、画像形成層もしくは画像形成層の保護層には、米国特許第3,253,921号明細書、同第2,274,782号明細書、同第2,527,583号明細書および同第2,956,879号明細書に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書に記載のように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量は、露光波長での吸光度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0161】
本発明の熱現像感光材料において、感光性層またはそれに隣接する非感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについては国際公開WO98/36322号公報、特開平10−268465号公報、同11−338098号公報等に詳細に記載されている。
【0162】
本発明の熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤を含む感光性層(好ましくは画像形成層)を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
バック層は、所望の範囲での最大吸収が約0.3以上2.0以下であることが好ましい。所望の範囲が750〜1400nmである場合には、750〜360nmにおける光学濃度が0.005以上0.5未満であることが好ましく、さらに光学濃度が0.001以上0.3未満のハレーション防止層であることが好ましい。所望の範囲が750nm以下である場合には、画像形成前の所望範囲の最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成後の360〜750nmの光学濃度が0.005以上0.3未満になるようなハレーション防止層であることが好ましい。画像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方法としては特に制限はないが、例えば、ベルギー特許第733,706号明細書に記載されたように、染料による濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記載の、光照射による消色で濃度を低下させる方法等が挙げられる。
【0163】
ハレーション防止層については特開平11−65021号公報の段落番号0123〜0124、特開平11−223898号公報、同9−230531号公報、同10−36695号公報、同10−104779号公報、同11−231457号公報、同11−352625号公報、同11−352626号公報等に記載されている。
【0164】
ハレーション防止染料を使用する場合、こうした染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でもよい。例えば以下に挙げるものが開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料としては、特開昭59−56458号公報、特開平2−216140号公報、同7−13295号公報、同7−11432号公報、米国特許5,380,635号明細書、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目〜同第14頁左下欄9行目、特開平3−24539号公報第14頁左下欄〜同第16頁右下欄記載の化合物が挙げられ、処理で消色する染料としては、特開昭52−139136号公報、同53−132334号公報、同56−501480号公報、同57−16060号公報、同57−68831号公報、同57−101835号公報、同59−182436号公報、特開平7−36145号公報、同7−199409号公報、同11−231457号公報、特公昭48−33692号公報、同50−16648号公報、特公平2−41734号公報、米国特許4,088,497号明細書、同4,283,487号明細書、同4,548,896号明細書、同5,187,049号明細書に記載の化合物が挙げられる。
【0165】
バック層の好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、具体的には、天然ポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体が用いられ、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類が挙げられる。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0166】
本発明の熱現像感光材料は、搬送性改良のために、感光性層(好ましくは画像形成層)の表面保護層および/またはバック層或いはバック層の表面保護層にマット剤を添加してもよい。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤、同1,260,772号、同2,192,241号、同3,257,206号、同3,370,951号、同3,523,022号、同3,769,020号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界でよく知られたものを用いることができる。マット剤として用いることのできる有機化合物の具体例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなどが挙げられる。無機化合物の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などが挙げられる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明では、0.1μm〜30μmの粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くてもよい。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0167】
マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。また、乳剤面保護層のマット度は星屑故障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度が500〜10,000秒が好ましく、特に500〜2,000秒が好ましい。
本発明において、熱現像感光材料が片面感光材料であり、バック層にマット剤を添加するのは好ましい態様である。バック層のマット度としてはベック平滑度が10〜1200秒が好ましく、さらに好ましくは50〜700秒である。
【0168】
本発明の熱現像感光材料において、感光性ハロゲン化銀乳剤(熱現像写真用乳剤)は、支持体上に一またはそれ以上の層を構成することができるが、一層の構成の場合、例えば有機銀塩、ハロゲン化銀、現像剤およびバインダー、ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料をふくむことができる。二層の構成の場合、第1乳剤層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2層または両層中にいくつかの他の成分を含むことができる。しかし、全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像感光材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号明細書に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像感光材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号明細書に記載されているように、各乳剤層(感光性層)の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0169】
米国特許第4,460,681号明細書および同第4,374,921号明細書に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistiveheating layer)を感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。本発明の熱現像感光材料において、画像形成層(感光性層)、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としては、T.H.James著"THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION"(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許第4,281,060号明細書、特開平6−208193号公報等に記載のポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042号明細書等に記載のエポキシ化合物類、特開昭62−89048号公報等に記載のビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0170】
本発明の熱現像感光材料においては、塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62−170950号公報、米国特許第5,380,644号明細書等に記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60−244945号公報、同63−188135号公報等に記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3,885,965号明細書等に記載のポリシロキサン系界面活性剤、特開平6−301140号公報等に記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0171】
本発明の熱現像感光材料は、帯電防止のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明細書および同第3,206,312号明細書などに記載のイオン性ポリマー、または米国特許第3,428,451号明細書等に記載の不溶性無機塩、特開昭60−252349号公報、同57−104931号公報に記載されている酸化スズ微粒子などを含む層を有してもよい。
【0172】
本発明の熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては、特開平7−13295号公報10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889号明細書、米国特許第3,432,300号明細書、同第3,698,909号明細書、同第3,574,627号明細書、同第3,573,050号明細書、同第3,764,337号明細書および同第4,042,394号明細書に例示されている。
【0173】
本発明の熱現像感光材料において、感光性ハロゲン化銀乳剤(熱現像写真用乳剤)は、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号明細書に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作により被覆することができる。所望により、米国特許第2,761,791号明細書および英国特許第837,095号明細書に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
【0174】
本発明の熱現像感光材料には、追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。
【0175】
本発明の熱現像感光材料は、その感光材料一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感光材料とならないことが好ましい。
【0176】
次に、本発明の画像形成方法を説明する。
本発明の熱現像感光材料は、露光後、熱現像することにより画像を形成することができる(本発明の画像形成方法)。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして、特公平5−56499号公報、特許第684453号明細書、特開平9−292695号公報、特開平9−297385号公報、同11−133572号公報および国際公開WO95/30934号公報に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして、特開平7−13294号公報、国際公開WO97/28489号公報、同97/28488号公報および同97/28487号公報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃であり、より好ましくは100〜130℃であり、特に好ましくは100〜117℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0177】
熱現像時における熱現像感光材料の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃未満(好ましくは113℃以下)の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以上(好ましくは130℃以下)で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用することが有効である。
【0178】
本発明の熱現像感光材料は、いかなる方法で露光されてもよいが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
【0179】
本発明の熱現像感光材料は、露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開平5−113548号公報などに開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754号などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0180】
本発明の熱現像感光材料を、露光するにはSPIE vol.169 Laser Printing 116 128頁(1979)、特開平4−51043号公報、国際公開WO95/31754号公報などに開示されているようにレーザー光が重なるように露光し、走査線が見えないようにすることが好ましい。
【0181】
ここで、本発明の熱現像感光材料の熱現像処理に用いられる熱現像機の一例を示す。図1の熱現像機は熱現像感光材料10を平面状に矯正および予備加熱しながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(下部ローラーがヒートローラー)と熱現像後の熱現像感光材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対12を有する。熱現像感光材料10は搬入ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱現像感光材料10を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のローラー13が設置され、その反対側のバック面が接触する側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン(R)から成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置される。熱現像感光材料10は画像形成層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動により、バック面は平滑面14の上を滑って搬送される。加熱手段はローラー13の上部および平滑面14の下部に熱現像感光材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像感光材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは0〜1mmである。
【0182】
ローラー13の表面の材質および平滑面14の部材は、高温耐久性があり、熱現像感光材料10の搬送に支障がなければ何でもよいが、ローラー表面の材質はシリコーンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドまたはテフロン(R)(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度を自由に設定することが好ましい。
なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像処理部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像感光材料10中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定することが望ましく、熱現像感光材料10の支持体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定することが好ましい。
【0183】
熱現像処理部Bの下流にはガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、冷却は徐々に行うのが好ましい。
【0184】
以上、図に従って説明したが、これに限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のものなど、本発明に用いられる熱現像機は種々の構成のものであってもよい。また、本発明において好ましく用いられる多段加熱方法の場合は、加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度で加熱するようにすればよい。
【0185】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。しがたって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0186】
(PET支持体の作製)
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
【0187】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0188】
(表面コロナ処理)
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0189】
(下塗り支持体の作製)
(1)下塗層塗布液の作製
処方▲1▼(感光層側下塗り層用)
・高松油脂(株)製ペスレジンA−515GB 234g
(30質量%溶液)
・ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル 21.5g
(平均エチレンオキシド数=8.5)10質量%溶液
・綜研化学(株)製 MP−1000 0.91g
(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
・蒸留水 744ml
【0190】
処方▲2▼(バック面第1層用)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32)
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−
・トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g
・ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
・蒸留水 854ml
【0191】
処方▲3▼(バック面側第2層用)
・SnO2/SbO 84g
(9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物)
・ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
・信越化学(株)製メトローズTC−5(2質量%水溶液) 8.6g
・綜研化学(株)製MP−1000 0.01g
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
・NaOH(1質量%) 6ml
・プロキセル(ICI社製) 1ml
・蒸留水 805ml
【0192】
(下塗り支持体の作製)
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光性層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2になるように塗布して180 ℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0193】
(バック面塗布液の調製)
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物11を64g、ジフェニルスルフォンを28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN 10gを蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μmの塩基プレカーサー化合物の固体微粒子分散液(a)を得た。
【0194】
(染料固体微粒子分散液の調製)
シアニン染料化合物13を9.6gおよびp−ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4Gallonサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散して平均粒子径0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0195】
(ハレーション防止層塗布液の調製)
ゼラチン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料固体微粒子分散液56g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)1.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.03g、ポリエチレンスルフォン酸ナトリウム2.2g、青色染料化合物14を0.2g、黄色染料化合物15を3.9g、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗布液を調製した。
【0196】
(バック面保護層塗布液の調製)
容器を40℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム0.2g、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド) 2.4g、t−オクチルフェノキシエトキシエタンスルフォン酸ナトリウム1g、ベンゾイソチアゾリノン30mg、フッ素系界面活性剤(F−1:N−パーフルオロオクチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム塩)37mg、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平均重合度15])0.15g、フッ素系界面活性剤(F−3) 64mg、フッ素系界面活性剤(F−4)32mg、アクリル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5/95)8.8g、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を950ml混合してバック面保護層塗布液とした。
【0197】
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンツイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
【0198】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10-3モル加え、1分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Bをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。N,N'−ジヒドロキシ−N"−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンヅイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モルおよび1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
【0199】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0200】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.5×10-4モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル当たり1.1×10-4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感および5−メチル−2−メルカプトベンヅイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0201】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10-3モル、テルル増感剤Bの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変えた以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0202】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した。
【0203】
《脂肪酸銀分散物の調製》
COGNIS DEUTSCHLAND GmbH製ベヘン酸(製品名EDENOR C22−85JP GW)87.6Kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、tert−ブタノール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのtert−ブタノールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0204】
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。その際、電導度低下を促す為に、ウエットケーキに純水を加えスラリー状にする操作を3回実施した。得られた脂肪酸銀のウエットケーキを遠心力Gが700の状態で1時間振り切った。尚Gは、1.119×10-5×容器の半径(cm)×回転数(rpm)2であらわされる。この様にして得られた脂肪酸銀ウエットケーキの固形分含量(ウエットケーキ1gを110℃で2h乾燥して測定する)は44%であった。
【0205】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0206】
乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0207】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0208】
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤―1(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン:一般式(4)で表される化合物(I−1))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgに、水16kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.42μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0209】
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤―2(2,2'−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェノール):一般式(4)で表される化合物(I−2)))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgに、水16Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤―2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0210】
《還元剤錯体−3分散物の調製》
還元剤錯体―3(2,2'−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)とトリフェニルホスフィンオキシドの1:1錯体:(一般式(4)で表される化合物(I−35)とトリフェニルホスフィンオキシドの1:1錯体)10Kg、トリフェニルホスフィンオキシド0.12Kgおよび変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水7.2Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤錯体―3分散物を得た。こうして得た還元剤錯体分散物に含まれる還元剤錯体粒子はメジアン径0.46μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤錯体分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0211】
《還元剤−4分散物の調製》
還元剤―4(2,2'−ブチリデン−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール):一般式(3)で表される化合物(I−36))10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水6Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤―4分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0212】
《一般式(1)、(2)、(3)で表される化合物の分散物調製》
一般式(1)で表される化合物(種類は表1に記載)(10Kg)と変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水6Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて標準時間として3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて化合物(1)の濃度が15質量%になるように調製し、一般式(1)で表される化合物の分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる化合物の粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
一般式式(2)、(3)で表される化合物(種類は表1に記載)の分散物も上記一般式(1)で表される化合物の分散物と同様に調整した。それぞれの化合物の粒子径はメジアン径0.38μmになるように分散時間を調整した。
【0213】
《水素結合性化合物−2分散物の調製》
水素結合性化合物−2(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が22質量%になるように調製し、水素結合性化合物―2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.35μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0214】
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(2−トリブロモメタンスルホニルナフタレン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203:一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物P−3)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水16Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が23.5質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0215】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203:一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物P−1)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0216】
《有機ポリハロゲン化合物−3分散物の調製》
有紀ポリハロゲン化合物―3(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンズアミド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203:一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物P−28)の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水8Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―3分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0217】
《フタラジン化合物−1溶液の調製》
8Kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57Kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15Kgとフタラジン化合物―1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28Kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質量%溶液を調製した。
【0218】
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0219】
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物―1(3−(3−メチルウレイド)フェニル−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2質量%の水溶液とした。
【0220】
《顔料−1分散物の調製》
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0221】
《SBRラテックス液の調製》
Tg=23℃のSBRラテックスは以下により調整した。
重合開始剤として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界面活性剤を使用し、スチレン70.5質量、ブタジエン26.5質量およびアクリル酸3質量を乳化重合させた後、80℃で8時間エージングを行った。その後40℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、さらに三洋化成(株)製サンデットBLを0.22%になるように添加した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH8.3とし、さらにアンモニア水によりpH8.4になるように調整した。このとき使用したNa+イオンとNH4 +イオンのモル比は1:2.3であった。さらに、この液1Kg対してベンゾイソチアゾリンノンナトリウム塩7%水溶液を0.15ml添加しSBRラテックス液を調製した。
【0222】
(SBRラテックス:−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス) Tg23℃
平均粒径0.1μm、濃度43質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(43質量%)を25℃にて測定)、pH8.4
Tgの異なるSBRラテックスはスチレン、ブタジエンの比率を適宜変更し、同様の方法により調整した。
【0223】
《乳剤層(感光性層)塗布液−1の調製》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水125ml、還元剤−1分散物113g、還元剤−2分散物91g、顔料−1分散物27g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物82g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物40g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:20.5℃)液1082g、本発明の一般式(1)と(2)あるいは(3)で表される化合物(種類と量は表1に記載)、メルカプト化合物−1水溶液9gを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A158gを添加して良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0224】
上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で85[mPa・s]であった。
【0225】
レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ1500、220、70、40、20[mPa・s]であった。
【0226】
《乳剤層(感光性層)塗布液−2の調製》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水104ml、顔料−1分散物30g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物21g、有機ポリハロゲン化合物−3分散物69g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRラテックス(Tg:23℃)液1082g、還元剤錯体−3分散物258g、本発明の一般式(1)と(2)あるいは(3)で表される化合物(種類と量は表1に記載)、メルカプト化合物−1溶液9gを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A110gを添加し良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0227】
《乳剤層(感光性層)塗布液−3の調製》
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水114ml、還元剤−4分散物149g、顔料−1分散物30g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物21g、有機ポリハロゲン化合物−3分散物69g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRコアシェル型ラテックス(コアTg:20℃/シェルTg:30℃=70/30重量比)液1082g、水素結合性化合物−2分散物106g、本発明の一般式(1)と(2)あるいは(3)で表される化合物(種類と量は表1に記載)、メルカプト化合物−1溶液9g、メルカプト化合物−2溶液3gを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A110gを添加し良く混合した乳剤層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0228】
《乳剤面中間層塗布液の調製》
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)の10質量%水溶液772g、顔料の20質量%分散物5.3g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液226gにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を2ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を10.5ml、総量880gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、10ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で21[mPa・s]であった。
【0229】
《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液80g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で17[mPa・s]であった。
【0230】
《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1:N−パーフルオロオクチルスルフォニル−N−プロピルアラニンカリウム塩)の5質量%溶液を3.2ml、フッ素系界面活性剤(F−2:ポリエチレングリコールモノ(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−プロピル−2−アミノエチル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15])の2質量%水溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で9[mPa・s]であった。
【0231】
《熱現像感光材料−1の作製》
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
【0232】
バック面と反対の面に下塗り面から乳剤層、中間層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料−1(試料101〜103)を作製した。このとき、乳剤層と中間層は31℃に、保護層第一層は36℃に、保護層第一層は37℃に温度調整した。
乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0233】
ベヘン酸銀 6.19
還元剤−1 0.67
還元剤−2 0.54
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.032
ポリハロゲン化合物−1 0.46
ポリハロゲン化合物−2 0.25
フタラジン化合物−1 0.21
SBRラテックス 11.1
一般式(1)の化合物:種類と量は表1に記載
一般式(2)あるいは(3)の化合物:種類と量は表1に記載
メルカプト化合物−1 0.002
ハロゲン化銀(Agとして) 0.145
【0234】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
【0235】
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0236】
《熱現像感光材料−2の作製》
熱現像感光材料−1に対して、乳剤層塗布液−1を乳剤層塗布液−2に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化合物15を除いた他は熱現像感光材料−1と同様にして熱現像感光材料−2(試料201〜203)を作製した。
このときの乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0237】
ベヘン酸銀 6.19
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−2 0.13
ポリハロゲン化合物−3 0.41
フタラジン化合物−1 0.21
SBRラテックス 11.1
還元剤錯体−3 1.54
一般式(1)の化合物:種類と量は表1に記載
一般式(2)または(3)の化合物:種類と量は表1に記載
メルカプト化合物−1 0.002
ハロゲン化銀(Agとして) 0.10
【0238】
《熱現像感光材料−3の作製》
熱現像感光材料−1に対して、乳剤層塗布液−1を乳剤層塗布液−3に変更し、さらにハレーション防止層から黄色染料化合物15を除いた。また、保護層第二層およびバック面保護層のフッ素系界面活性剤F−1、F−2、F−3およびF−4をそれぞれ同重量のF−5、F−6、F−7およびF−8に変更した。その他は熱現像感光材料−1と同様にして熱現像感光材料−3(試料301〜313)を作製した。
このときの乳剤層の各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りである。
【0239】
ベヘン酸銀 5.57
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.032
還元剤−4 0.76
ポリハロゲン化合物−2 0.12
ポリハロゲン化合物−3 0.37
フタラジン化合物−1 0.19
SBRラテックス 10.0
水素結合性化合物−2 0.59
一般式(1)の化合物:種類と量は表1に記載
一般式(2)または(3)の化合物:種類と量は表1に記載
メルカプト化合物−1 0.002
メルカプト化合物−2 0.001
ハロゲン化銀(Agとして) 0.09
【0240】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0241】
【化54】
【0242】
【化55】
【0243】
【化56】
【0244】
【化57】
【0245】
【化58】
【0246】
(写真性能の評価)
得られた熱現像感光材料を用い、以下に示す(1)〜(3)の現像処理を行い、得られた画像濃度をマクベス濃度計(マクベス社)により測定し、熱現像感光材料−1系試料101の標準現像したときの値を100として相対値で表し、感度について評価した。この相対値が大きい方が高感である。また、同様に、非画像部(未露光部)についても相対値で表し、カブリについて評価した。さらに一般式(1)で表される化合物と一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像による発色濃度について調べた。なお、熱現像条件を変更するために、熱現像機の改造を行って実験を行った。
【0247】
(1)標準現像
富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて写真材料を露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータ)し、熱現像感光材料−1、2系は熱現像時間24秒、熱現像感光材料−3系は熱現像時間14秒で処理した。
【0248】
により行った。
(2)−3℃高温現像
上記の標準現像と同様の条件で処理を行ったが、熱現像部を109℃−116℃−118℃−118℃にパネルヒータ4枚を設定して評価した。
(3)短時間現像
上記の標準現像と同様の条件で処理を行ったが、熱現像時間を短くし、標準現像時間が24秒の場合は19秒で処理、標準現像時間が14秒の場合は11秒で処理して評価を行った。
【0249】
−発色濃度の測定−
全面露光した熱現像感光材料を熱現像し、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素を10%含水メタノールに25℃で1時間浸して抽出した。島津製作所製UV−3100PC型分光光度計にて溶液の吸収スペクトルを測定し、500〜600nm間の吸収の最大値を熱現像感光材料の透過吸収に換算した。
【0250】
【表1】
【0251】
表1の結果から、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)または(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物とを併用した熱現像感光材料は、画像色調にほとんど影響を与えず、高感度でカブリが少なく、さらに現像時間が短く、現像温度が高い等の処理条件の変化に対して、性能変動が少ないことがわかる。
【0252】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、画像色調にほとんど影響を与えず、高感度でかつカブリが少なく、現像進行が速く、熱現像温度の変動による性能の変化が少ない、新規な熱現像感光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成方法に適用される熱現像機の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 熱現像感光材料
11 搬入ローラー
12 搬出ローラー
13 ローラー
14 平滑面
15 加熱ヒーター
16 ガイド板
A 予備加熱部
B 熱現像処理部
C 徐冷部
Claims (8)
- 支持体の同一面上に、少なくとも、(a)感光性ハロゲン化銀と、(b)有機銀塩と、(c)下記一般式(1)で表される化合物と、(d)バインダーと、(e)下記一般式(2)または(3)で表される化合物と、(f)下記一般式(4)で表される化合物と、を含有し、且つ現像後に前記一般式(1)で表される化合物と、前記一般式(2)または(3)で表される化合物と、により形成される色素像の吸収極大波長における最高濃度の総和が0.01未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
(一般式(1)において、Q1は炭素原子でNHNH−V1と結合する5〜7員の不飽和環を表し、V1はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。一般式(2)および(3)において、X1およびX2はそれぞれ独立にアルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。mおよびpはそれぞれ独立に0〜4の整数、nは0〜2の整数を表す。一般式(4)において、V2〜V9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Lは−CH(V10)−または−S−なる連結基を表し、V10は水素原子または置換基を表す。) - 前記一般式(1)で表される化合物におけるV1が、カルバモイル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物におけるQ1が、キナゾリニル基を表すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物におけるV 1 が、−C=O−NH−V 21 で表される置換カルバモイル基であり、該V 21 が炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を表すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(2)で表される化合物が、2−カルバモイル基を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記一般式(2)で表される化合物が、2−アリールカルバモイル基を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
- 前記支持体に対して前記成分(a)〜(f)を含有する面と同一面上に、さらに(g)下記一般式(5)で表される有機ポリハロゲン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
一般式(5) Q2−(Y)n−CZ1Z2X
(一般式(5)において、Q2は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。) - 前記支持体に対して前記成分(a)〜(f)を含有する面と同一面上に、さらに(h)超硬調化剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
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