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JP4285172B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents
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JP4285172B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ディスクなどの光記録媒体に記録し、または再生を行う光ヘッド装置に関する。
近年、光ディスク等の光記録媒体の記録密度を高めるために、光源からの出射光の波長を短くし、対物レンズの開口数を大きくする方法が実用化されてきた。しかし、出射光の波長を短くし、対物レンズの開口数を大きくすることは、光記録媒体からの情報の読み書きに及ぼすコマ収差や球面収差等の影響を深刻化した。
光記録媒体に情報を記録し、または再生する際のコマ収差や球面収差等を補正する方法の一つとして、対物レンズと光源との間に位相補正素子を設けてコマ収差や球面収差等の波面収差を補正する方法がある。位相補正素子を用いる補正方法では、位相補正素子に設けられた電極を複数に分割し、分割して得られた電極の各々の電位を制御することによって液晶等の複屈折材料に印加される電圧を制御して屈折率を変化させ、光源からの出射光の波面収差を補正するようにしていた。
しかし、このように位相補正素子に設けられた電極を分割する方法では、電極ごとに通過する光の波面の変化量が決まってしまい、隣り合う電極間で波面を連続的に変化させることが困難であった。そこで、複数の給電部を配置し、給電部間で電位降下を生じさせ電圧分布を生じさせる方法をとることによって、波面収差の変化量が大きい領域の波面を連続的に変化させる技術が開発された(例えば、特許文献1参照。)。そして、位相補正素子を構成する電極の材料としては、主にガリウムをドープした酸化亜鉛(GZO)薄膜や酸化スズ薄膜などが用いられている。
特開2003−228871号公報
しかし、このような従来の光ヘッド装置では、GZOを電極の材料として用いた場合、電極の電気抵抗値(以下、単に抵抗値という。)が経時変化して装置の故障が生じやすい問題があり、酸化スズ膜を用いた場合、形成される電極の抵抗値制御が困難であり特性のばらつきが生ずる問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、位相補正素子を構成する電極の抵抗値の経時変化を低減させ、性能のばらつきを抑えることが可能な光ヘッド装置を提供するものである。
以上の点を考慮して、請求項1に係る発明は、光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、前記出射光の波面を変化させる位相補正素子と、前記位相補正素子を制御して前記出射光の波面を変化させるための制御電圧を発生する制御電圧発生手段とを備えた光ヘッド装置において、前記位相補正素子は、一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持され前記出射光の波面を変化させるための異方性光学媒質と、前記異方性光学媒質の一つの側面近傍に設けられた共通導電体と、前記共通導電体が近傍に設けられた前記異方性光学媒質の側面に対向する側面近傍に設けられた給電側導電体と、前記共通導電体と前記給電側導電体との間に前記制御電圧を印加可能に設けられた複数の給電部とを有し、少なくとも前記給電側導電体は、SnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成されており、前記給電部は導電性薄膜によって形成され、前記給電側導電体を形成するSn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜のシート抵抗値が、前記給電部を形成する導電性薄膜のシート抵抗値の10 倍以上10 10 倍以下である構成を有している。
この構成により、給電側導電体がSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜によって形成されるため、位相補正素子を構成する電極の抵抗値の経時変化を低減させ、性能のばらつきを抑えることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、給電側導電体を形成するSn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜のシート抵抗値が、給電部を形成する導電性薄膜のシート抵抗値の10 倍以上10 10 倍以下になるようにしたため、給電部内での電位降下の影響を良好に軽減でき、性能を向上することが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、請求項に係る発明は、請求項1において、前記給電側導電体に設けられた複数の給電部が、前記給電側導電体を複数の領域に分割するように設けられ、前記給電側導電体に設けられた複数の給電部のうちの予め決められた給電部が薄膜抵抗を介して相互に導電可能に接続されている構成を有している。
この構成により、請求項1の効果に加え、給電側導電体に設けられた所定の給電部が薄膜抵抗を介して導電可能に接続されるため、薄膜抵抗の抵抗値を所定範囲内に調整することによって、部分給電側導電体に印加する制御電圧の端子の数を低減することが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、請求項に係る発明は、請求項において、前記薄膜抵抗がSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜によって形成されている構成を有している。
この構成により、請求項の効果に加え、少なくとも給電側導電体および薄膜抵抗が、SnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜によって形成されているため、材料の抵抗値がロット毎にばらつく場合でもばらつきの影響が相殺され、性能の均一性を向上させることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、請求項に係る発明は、請求項1または2において、少なくとも前記給電側導電体が窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成され、前記窒素がこの薄膜の抵抗値を制御するために含有される構成を有している。
この構成により、請求項1または2の効果に加え、少なくとも給電側導電体が、窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成されているため、含有する窒素の量を調整することによって薄膜の抵抗値を制御できるため、より性能の均一性を向上させることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、請求項に係る発明は、請求項において、少なくとも前記給電側導電体および前記薄膜抵抗が窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成され、前記窒素がこの薄膜の抵抗値を制御するために含有される構成を有している。
この構成により、請求項の効果に加え、少なくとも給電側導電体および薄膜抵抗が、窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成されているため、材料の抵抗値がロット毎にばらつく場合でもばらつきの影響が相殺されると共に、含有する窒素の量を調整することによって薄膜の抵抗値を制御できるため、より性能の均一性を向上させることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
以上説明したように、本発明は、給電側導電体がSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜等によって形成されるため、位相補正素子を構成する電極の抵抗値の経時変化を低減させ、性能のばらつきを抑えることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置は、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズとの間に設けられ、出射光の波面を変化させる位相補正素子と、位相補正素子を制御して出射光の波面を変化させるための制御電圧を発生する制御電圧発生手段とを備えた構成を有する。
ここで、光源は、例えば半導体レーザ等によって構成される。また、光記録媒体とは、例えば光ディスクやDVD等の光源からの光を照射して読み書きする記録媒体をいう。以下では、「光ディスク」という場合は、特に断る場合を除き、光記録媒体を代表しているものとする。
なお、光ヘッド装置の光学系を、光源からの出射光と光記録媒体からの反射光を分離するための偏光ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタを通過した光を平行光にするコリメートレンズ、往復透過することで偏光方向を90°変えるための4分の1波長板を含むように構成するのでもよい。このような構成の場合、光源(例えば、半導体レーザ)から出射された直線偏光の出射光は、偏光ビームスプリッタを通過した後、コリメートレンズによって平行光とされ、位相補正素子、4分の1波長板を順次透過し、対物レンズにより光ディスク上に集光される。
そして、情報の記録は、光ディスクに集光する光の強度を、例えば符合化された情報(例えば、「0」、「1」)に応じて変化させることによって行われる。また、情報の再生は、光ディスク上に集光された光が光ディスクで反射され、対物レンズ、4分の1波長板、位相補正素子、コリメートレンズを順次、情報の記録の場合とは逆向きに通過し、偏光ビームスプリッタにより振り分けられて光検出器に入射する。
制御電圧発生手段は、光ディスクに情報を正確に記録したり、記録された情報を正確に再生したりできるよう位相補正素子を制御する信号(以下、単に「制御信号」という。)を発生し、制御信号の電圧(制御電圧)を介して位相補正素子を制御するようになっている。この制御電圧は、光ディスクのチルトや対物レンズのシフトにより発生した収差に応じて制御電圧発生手段によって調整される。
位相補正素子は、光記録媒体からの情報の読み書きを正確に行うことができるように光の位相や収差を補正するように設けられたものであり、印加される制御電圧に応じて収差等の補正量を変えるように制御される。具体的には、光ディスクに集光する光の例えばスポット径を最適化するように、または光検出器に入射する光強度を最適化するように、制御される。
位相補正素子における光の位相を変化させる媒質は異方性光学媒質であり、異方性光学媒質は、外部より印加される電圧により、再現性よくかつ電圧の大きさに対して連続的に屈折率を変化できるものがよい。異方性光学媒質としては、ニオブ酸リチウムの単結晶、液晶などが使用できるが、低い電圧で屈折率を変化できかつ位相補正素子の生産性が高いことから液晶が好適である。以下では、特に断る場合を除き、異方性光学媒質を液晶として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を構成する位相補正素子の断面構造を示す図である。図1において、位相補正素子100は、一対の基板11、17と、一対の基板11、17間に挟持され、出射光の波面を変化させるための異方性光学媒質(液晶)14と、一対の基板11、17と共に異方性光学媒質(液晶)14を保持し、密閉するシール材18、19と、配向板13、15と、異方性光学媒質(液晶)14の一つの側面近傍に設けられた共通導電体12と、共通導電体12が近傍に設けられた異方性光学媒質(液晶)14の側面に対向する側面近傍に設けられた給電側導電体16と、給電側導電体16に制御電圧を印加可能に設けられた複数の給電部20(図1の紙面と垂直な方向に他の給電部が設けられている。)と、共通導電体12との導通をとるための給電部22とを含むように構成される。
基板11、17は、使用する光の波長に対して透明であればよく、ガラス、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが使用できるが、耐久性、コストや加工の容易さの観点からガラスが好適である。なお、図示していないが、基板11、17の外側の面、すなわち、異方性光学媒質(液晶)14に面していない側の面に反射防止コートが施されているのでもよい。
配向板13は、基板11または共通導電体12と異方性光学媒質(液晶)14とに挟まれた位置に配置され、配向板15は、基板17または給電側導電体(部分給電側導電体)16と異方性光学媒質(液晶)14とに挟まれた位置に配置され、異方性光学媒質(液晶)14に制御電圧が印加されていない場合等に液晶分子を所定の方向に配向させるために設けられている。
シール材18には図1に概念的に示すように導電性ビーズ21が含まれ、導電性ビーズを介して給電部22と共通導電体12とが電気的に導通が確保されている。ここで、導電性ビーズは、例えば、樹脂ビーズの表面に金属を被覆する等によって形成できる。
共通導電体12と給電側導電体16との間には、給電部20、22経由で制御電圧が印加されるようになっており、給電側導電体16と共通導電体12は、例えば透明導電膜によって構成される。その際、少なくとも給電側導電体16は、SnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜(以下、SSO薄膜という。)として形成されているものとする。そして、共通導電体12もSSO薄膜として形成されるのでもよい。
また、SSO薄膜の代わりに窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜(以下、SSON薄膜という。)を用いるのでもよい。窒素の含有量を調整することによって、薄膜のシート抵抗を所望の値に制御できるからである。給電側導電体16や共通導電体12を形成するための薄膜(例えば、SSO薄膜、SSON薄膜等)は、例えばスパッタ法によって形成するのでもよいが、その他の方法でもよい。
各給電部20と給電部22との間にそれぞれ異なる制御電圧を印加すると、隣り合う給電部20との間に生じた電位差により給電側導電体16内に電流が流れ、給電側導電体16内に電位分布が発生する。その結果、給電側導電体16と共通導電体12との間に印加される電圧が電圧分布を有し、この電圧分布に応じて異方性光学媒質(液晶)14の屈折率の分布が決定されることになる。
したがって、この屈折率の分布は、複数の給電部20に印加する制御電圧を調整することによって制御できることとなり、異方性光学媒質(液晶)14を通過する光の波面は、異方性光学媒質(液晶)14の屈折率に応じて変化するため、制御電圧を介して異方性光学媒質(液晶)14を通過する光の波面収差を補正できる。
一般に、位相補正素子100では、給電部20内で発生する電位降下が給電側導電体16内で発生する電位降下に比して無視できるほど少ないようにしたい。そのためには、給電側導電体16のシート抵抗ρTと給電部20のシート抵抗ρSとの比ρT/ρSが10以上1010以下であることが好ましい。ρT/ρSが1000未満の場合、給電部20内で電圧降下が発生し、給電側導電体16内で所望の電位分布を得ることが困難になる。また、比ρT/ρSが1010を超えて給電側導電体16のシート抵抗ρTが高すぎると、給電側導電体16の導電性が低くなり、適切な電位分布を発生することが困難になる。したがって、給電部20のシート抵抗ρSをできるだけ低くする方が望ましく、具体的には、0.1〜10Ω/□程度とするのがよく、これに対応して給電側導電体16のシート抵抗ρTは、100〜100kΩ/□程度とするのがよい。
このように、給電側導電体16用の薄膜としては、透明でありかつシート抵抗が上述のρTの範囲のものであればよいが、このような範囲のシート抵抗の実現の容易性や、薄膜形成後のシート抵抗の経時変化の少なさの観点から、給電側導電体16用の薄膜としては、上記のSSO薄膜、または上記のSSON薄膜を用いるのが好適である。
給電部20としては、ρSが0.1〜10Ω/□の透明薄膜であればよく、Cr、Ag、Alなどの金属は耐久性がよいという点で好ましく、低抵抗のSSO薄膜、SSON薄膜、低抵抗ITO薄膜等の透明電極は遮光部分が発生せず光の透過率が向上するという点で好ましい。
図2は、対物レンズの開口数NAが0.65、光源からの出射光の波長が0.4μmの光学系において、厚さの設計値が0.6mmの光ディスクの厚さが0.03mm厚くなった場合に発生する波面収差(球面収差)のパターンを示す図である。光ディスクが設計値より厚い場合は、有効瞳の中心部A(右傾斜のハッチング)および周辺部C(左傾斜のハッチング)に比べて、その両方の部分に挟まれた中間部B(垂直のハッチング)の位相が進んだ状態となる。図2に、位相のずれを「nm」を単位とする距離として示す。
図3は、図2に示すようなパターンの球面収差を補正するために形成された給電側導電体16および給電部20の配置パターン(以下、単に「配置パターン」という。)の一例を示す平面図である。図3において、斜線部はほぼ円形の給電側導電体16が形成された部分を示し、給電部20は、中心部分(この部分の給電部の符号は201)とこれを同心円状に取り巻くように3つの環状部分(各給電部の符号をそれぞれ、202、203、204とする。)とによって構成され、給電側導電体16は、給電部202〜204によって環状の領域に分割されている。以下では、給電部201〜204以外の給電部20に属する部分を配線という。
図3に示すように、給電部201〜204には、配線31〜33経由で制御電圧が印加されるようになっている。ここで、配線31〜33は、給電部201〜204との接合部付近以外では、給電側導電体16から電気的に絶縁され、同心円状の電位分布を変えないようになっている。
配線31〜33にそれぞれ異なる制御電圧V1、V2、V3を印加して給電側導電体16の面内で電位降下を発生させることによって、ほぼ同心円状の連続的な電位分布が発現する。この同心円状の連続的な電位分布の動径方向の分布を、給電部201〜204に印加する電圧を調節することによって、球面収差等を補正できるようになる。図6は、波面収差量と補正量とを位相補正素子の切断面において比較した図であり、制御電圧V1、V2、V3を適切に設定することよって実線で示した電位分布を実現し、位相補正素子によって補正される位相量を、破線で示した収差分布形状に一致させることができる。
図1に示す構成のように、対抗する一対の基板11、17のうちのいずれか(図1では、基板17)に複数の給電部20が設けられている場合、予め決められた給電部20間を、薄膜抵抗を介して導電接続することにより、以下に示すように、制御電圧発生手段から出力され位相補正素子に印加される制御電圧を分圧し、分圧後の電圧を別の制御電圧として用いるのでもよい。このようにすることによって、制御電圧発生手段から出力すべき制御電圧の出力数が少なくできて好ましい。
図4は、図3に示す配線31と配線32との間に導電性薄膜よりなる薄膜抵抗42が設けられた構成を示す図である。このような構成にすることによって、薄膜抵抗42を経由して給電部202に電流が流れると、給電部201と給電部202との間に電位差が発生し、薄膜抵抗42の抵抗値を調整することによってこの電位差を調整できる。そのため、図3に示す配線32を介して印加していた制御電圧を図に示す構成では省略できる。
図5は、図4に示す位相補正素子の構成部分の等価回路を示す回路図である。点51〜54はそれぞれ給電部201〜204に相当し、抵抗R1、R2、R3はそれぞれ給電部201と給電部202、給電部202と給電部203、給電部203と給電部204との間の給電側導電体16による等価抵抗を表している。また、抵抗RSは薄膜抵抗42の等価抵抗を表しており、点52の位置で所望の電位になるように、点55に印加される制御電圧V1を分圧する。以下では、点53および点55の電位をそれぞれV、V1とする。このとき、点52の位置における電位V3は、オームの法則により、以下の式(1)によって表される。
Figure 0004285172
ここで、抵抗R1、R2および電位V1、Vが既知ならば、抵抗RSを適切に設定することによって電位V3を所定の値に設定できる。このように薄膜抵抗42を設け、薄膜抵抗42の抵抗値を適切に設定することによって、給電部202を電位V3にできるために、別途、制御電圧を印加する必要がなく好ましい。
ここで、給電側導電体16および薄膜抵抗42を形成する薄膜は、上記の式(1)に示す電位V3の値が所望の値となるように、抵抗値R1、R2、R3が実現されなければならない。また、一般に光ヘッド装置に用いる薄膜の抵抗値を100〜1000kΩの範囲内にすることは、作製が容易であり好ましい。さらに、給電側導電体16および薄膜抵抗42を形成する薄膜を同じ材料を用いて製造することは、材料の抵抗値がロットによりバラついても、その影響が式(1)に示すように分母・分子間で相殺されるため、ばらつきが電位V3に与える影響を大幅に軽減でき、好ましい。
したがって、給電側導電体16および薄膜抵抗42を共に、SSO薄膜によって形成することが好ましい。さらに、窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜(上記のSSON薄膜)を給電側導電体16および薄膜抵抗42に用いることは、窒素の含有量を調整することによって薄膜の抵抗値の制御が容易になり好ましい。
本実施例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚さムラにより生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えている。この位相補正素子の素子構造は、図1に示したものと同じである。本実施例における位相補正素子の給電側導電体16および給電部20の配置パターンは、図4に示すものであり、等価回路は図5に示したものである。
図4において、給電側導電体16(斜線部)は、SSO薄膜で形成され、給電部201〜204(環状のグレイの領域)はクロム薄膜の成膜の後にエッチング技術を用いて形成されたものである。配線31、33やその他の配線は、給電部が形成された基板面と同一の基板面上に、給電部の形成方法と同様の方法で形成されたものである。
また、薄膜抵抗42は、給電部が形成された基板面と同一の基板面上に、SSO薄膜で形成されている。給電部201〜204には、クロム薄膜の配線を介して制御電圧が印加される。なお、給電部202には、クロム薄膜の配線31とSSO薄膜で形成された薄膜抵抗42とを介して制御電圧が印加されるようになっている。
ここで、給電部202〜204の線幅はほぼ100μmであり、給電部202〜204の平均直径はそれぞれほぼ0.5、1.5、2.2mmであり、給電部201は直径がほぼ50μmの円形であった。
上記の給電側導電体16、給電部201〜204等の配置パターンを、以下のように形成した。まず、スパッタ法によってガラス基板上にクロム膜を堆積させ、その後、エッチング技術を用いて配置パターンとして残す部分以外の不要部分を除去し、給電部201〜204を形成した。配線についても同様である。
次に、給電部201〜204を形成した基板上に、スパッタ法によりSSO薄膜を成膜し、フォトレジストによるリフトオフ法により不要部分を除去することにより、給電側導電体16および薄膜抵抗42を形成した。給電側導電体16および薄膜抵抗42のシート抵抗と、給電部201〜204に使用した薄膜のシート抵抗は、それぞれ100kΩ/□、1Ω/□であった。
給電部201〜204間にある給電側導電体16の電気抵抗(図5に示す等価抵抗R1、R2、R3に相当)の値は、それぞれ50、28、20kΩであった。
ここで、薄膜抵抗42の抵抗値および形状は、以下のようにして決めた。給電部201、204の電位V1を2V、給電部202の電位V2を3Vとし、図5に示す点52に相当する給電部202の電位を約2.15Vとすると、薄膜抵抗の抵抗値RSは、式(1)に基づいて5.48kΩと決まる。また、シート抵抗ρLは100kΩ/□であるので、薄膜抵抗の線幅Wを100μmとすると、長さLはRS=ρL×L/Wの関係式により約5.5μmと決まる。このようにして、本実施例では幅100μm、長さ5.5μmの薄膜抵抗を形成し、抵抗値5.5kΩを得た。
次に、給電側導電体16や薄膜抵抗42等が形成された基板上に、ポリイミドをスピンコートし、300℃で1時間加熱して降下させ、配向膜を形成した。もう一方の基板に配向膜を形成する場合も同様である。基板上に形成したポリイミド膜をラビング法により配向処理をした後、エポキシ樹脂を基板に印刷してシール材を形成した。
上記の各処理を施して得られた基板を、この基板と同様の処理を施した対向する基板とをアライメントして重ねた後、0.06MPaの圧力で圧着するとともに、170℃で加熱し、シール材を硬化させて空のセルを作成した。シール材を印刷するとき、予め作成しておいた注入口より液晶を真空注入法で注入し、UV硬化型のアクリル樹脂からなる封止材を用いて注入口を封止し、位相補正素子を完成させた。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置は、給電側導電体をSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜や窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜で形成するようにしたため、良好な波面収差補正性能を得ることができ、位相補正素子を構成する電極の抵抗値の経時変化を低減させ、性能のばらつきを抑えることが可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、給電側導電体を形成するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜のシート抵抗値が、給電部を形成する導電性薄膜のシート抵抗値の10倍以上1010倍以下になるようにしたため、給電部内での電位降下の影響を良好に軽減でき、性能を向上できる。
また、所定の給電部間を、薄膜抵抗を介して導電可能に接続し、制御電圧発生手段からの制御電圧を分圧し、薄膜抵抗を介して接続された所定の給電部に印加できるようにしたため、制御電圧発生手段から出力すべき制御電圧の出力数を低減できる。
また、少なくとも給電側導電体および薄膜抵抗を、SnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜によって形成するようにしたため、材料の抵抗値がロット毎にばらつく場合でもばらつきの影響が相殺され、性能の均一性を向上させることができる。
また、少なくとも給電側導電体を、窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成するようにしたため、含有する窒素の量を調整することによって薄膜の抵抗値を制御できるため、より性能の均一性を向上させることができる。
さらに、少なくとも給電側導電体および薄膜抵抗を、窒素を含有するSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成するようにしたため、材料の抵抗値がロット毎にばらつく場合でもばらつきの影響が相殺されると共に、含有する窒素の量を調整することによって薄膜の抵抗値を制御できるため、より性能の均一性を向上させることができる。
本発明に係る光ヘッド装置は、給電側導電体がSnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜等によって形成されるため、位相補正素子を構成する電極の抵抗値の経時変化を低減させ、特性のばらつきを抑えることができるという効果を有し、光を利用して情報の読み書きを行う光ヘッド装置の産業分野等での用途にも適用できる。
本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を構成する位相補正素子の原理的な構成の一例を示す概念的断面図。 光ディスクの厚さが設計値より0.03mm厚くなった場合に発生する波面収差を示す図。 本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を構成する位相補正素子に形成された給電側導電体および給電部の配置パターンの一例を示す図。 本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を構成する位相補正素子に形成された給電側導電体および給電部の配置パターンの他の一例を示す図。 図4に示す位相補正素子の等価回路を示す回路図。 本発明の実施の形態に係る光ヘッド装置を構成する位相補正素子を用いて発生させた位相変化量の一例を示す図。
符号の説明
11、17 基板
12 共通導電体
13、15 配向板
14 異方性光学媒質(液晶)
16 給電側導電体
18、19 シール材
20、22 給電部
21 導電性ビーズ
31、32、33 配線
42 薄膜抵抗
51〜54 等価回路における給電部201〜204に対応する点
100 位相補正素子
201〜204 給電部

Claims (5)

  1. 光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ、前記出射光の波面を変化させる位相補正素子と、前記位相補正素子を制御して前記出射光の波面を変化させるための制御電圧を発生する制御電圧発生手段とを備えた光ヘッド装置において、
    前記位相補正素子は、一対の基板と、前記一対の基板の間に挟持され前記出射光の波面を変化させるための異方性光学媒質と、前記異方性光学媒質の一つの側面近傍に設けられた共通導電体と、前記共通導電体が近傍に設けられた前記異方性光学媒質の側面に対向する側面近傍に設けられた給電側導電体と、前記共通導電体と前記給電側導電体との間に前記制御電圧を印加可能に設けられた複数の給電部とを有し、
    少なくとも前記給電側導電体は、SnSi(1−x)(ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成されており、
    前記給電部は導電性薄膜によって形成され、前記給電側導電体を形成するSn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜のシート抵抗値が、前記給電部を形成する導電性薄膜のシート抵抗値の10 倍以上10 10 倍以下であることを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 前記給電側導電体に設けられた複数の給電部は、前記給電側導電体を複数の領域に分割するように設けられ、前記給電側導電体に設けられた複数の給電部のうちの予め決められた給電部が薄膜抵抗を介して相互に導電可能に接続されている請求項1に記載の光ヘッド装置。
  3. 前記薄膜抵抗は、Sn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜によって形成されている請求項2に記載の光ヘッド装置。
  4. 少なくとも前記給電側導電体は、窒素を含有するSn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成され、前記窒素は、この薄膜の抵抗値を制御するために含有される請求項1または2に記載の光ヘッド装置。
  5. 少なくとも前記給電側導電体および前記薄膜抵抗は、窒素を含有するSn Si (1−x) (ただし、0.5≦x<1、1<y≦2である)薄膜として形成され、前記窒素は、この薄膜の抵抗値を制御するために含有される請求項2に記載の光ヘッド装置。
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