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JP4285721B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents
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JP4285721B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真感光材料の支持体や偏光板保護フィルムなどに使用されるポリマーフィルムを溶液製膜法により製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶液製膜法においては、その主原料であるポリマーはもとより、溶剤の循環再生利用が製造コスト上も環境上も重要である。溶剤ガスの回収、再生利用については多くの場合、凝縮回収および吸着回収が用いられている。例えば、特開平9−38451号公報には、溶剤濃度の異なる少なくとも3種類の溶剤含有排ガスから溶剤を吸着回収する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、吸着回収では希薄なガスを回収できる利点があるが、大量のエネルギーを消費するという欠点がある。これは活性炭などの吸着剤からの溶剤の脱着に大量のスチームや高温の窒素を使用し、さらに水分および成分の分離を蒸留などで行わなければならないからである。また、吸着回収方式では条件によっては有機溶剤を含む排ガスが大気に放出される危険もある。
【0004】
本発明の目的は、有機溶剤を用いる溶液製膜方法において、溶剤を循環再生利用しうる形で、エネルギー的にも有利で効率よく回収しうる方法を提供することにある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、ポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液を流延ダイから支持体上に流延し、流延されたフィルムを該支持体から剥ぎ取って少なくとも2以上の乾燥ゾーンで乾燥する溶液製膜方法において、該流延されたフィルムからそれが乾燥されるまでに放出される前記溶剤の80〜98%を最初の乾燥ゾーンで凝縮させて回収し、残余を2番目以降の乾燥ゾーンで吸着剤に吸着させて回収することを特徴とする溶液製膜方法によってかかる目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の溶液製膜法方法に用いるポリマー溶液の素材ポリマーとしては、セルロースアシレートが用いられる。セルロースアシレートの詳細について、以下に記載する。好ましいセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式▲1▼〜▲4▼の全てを満足するものである。
▲1▼ 2.6≦A+B≦3.0
▲2▼ 2.0≦A≦3.0
▲3▼ 0≦B≦0.8
▲4▼ 1.9<A−B
【0007】
ここで、式中A及びBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜5のアシル基の置換度である。セルロースには1グルコース単位に3個の水酸基があり、上記の数字はその水酸基3.0に対する置換度を表すもので、最大の置換度が3.0である。セルローストリアセテートは一般にAの置換度が2.6以上3.0以下であり(この場合、置換されなかった水酸基が最大0.4もある)、B=0の場合がセルローストリアセテートである。本発明の溶液製膜方法のポリマー溶液に用いるセルロースアシレートは、アシル基が全部アセチル基のセルローストリアセテート、及びアセチル基が2.0以上で、炭素原子数が3〜5のアシル基が0.8以下、置換されなかった水酸基が0.4以下のものが好ましく、置換度2.6〜3.0のセルローストリアセテートが特に好ましい。なお、置換度は、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜5の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
【0008】
アセチル基の他の炭素原子数3〜5のアシル基はプロピオニル基(CCO−)、ブチリル基(CCO−)(n−、iso−)、バレリル基(CCO−)(n−、iso−、sec−、tert−)で、これらのうちn−置換のものがフィルムにした時の機械的強さ、溶解し易さ等から好ましく、特にn−プロピオニル基が好ましい。また、アセチル基の置換度が低いと機械的強さ、耐湿熱性が低下する。炭素原子数3〜5のアシル基の置換度が高いと有機溶剤への溶解性は向上するが、それぞれの置換度が前記の範囲であれば良好な物性を示す。
【0009】
セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は200〜700が好ましく、特に250〜550のものが好ましい。粘度平均重合度(DP)は、オストワルド粘度計で求めることができ、測定されたセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式により求められる。
DP=[η]/Km(式中、Kmは定数6×10−4)
【0010】
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンターや木材パルプなどがあるが、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、また、これらを混合して使用してもよい。
【0011】
セルロースアシレートを溶解する有機溶剤の例には、炭化水素(例:ベンゼン、トルエン)、ハロゲン化炭化水素(例:メチレンクロライド、クロロベンゼン)、アルコール(例:メタノール、エタノール、ジエチレングリコール)、ケトン(例:アセトン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル)及びエーテル(例:テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ)などがあげられる。
【0012】
炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性、支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械強度等、光学特性等の物性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種、ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等があげられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0013】
また、酢酸メチル、ケトン類及びアルコールからなり、その溶剤比率が酢酸メチルが20〜90質量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコールが5〜30質量%である溶剤を用いることが好ましい。
【0014】
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、メチレンクロライドを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶剤として用いることができる。有機溶剤は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0015】
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールがあげられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンがあげられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートがあげられる。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールがあげられる。
【0016】
常温で容易に溶解し得ない系と、不溶解物の多くなる系では、溶解時に冷却又は加熱あるいは両者を組み合わせて用いると、良好なポリマー溶液が調製できる。冷却溶解法は、ポリマー中に溶剤を急速かつ有効に浸透せしめることにより溶解が促進される。有効な温度条件は−100〜−10℃であり、冷却後室温〜200℃に加熱することによってさらに良好な溶解性のポリマー溶液が得られる。
【0017】
以上のようなポリマー溶液を流延ダイからバンドやドラムの支持体上に流延し、流延されたフィルムを支持体から剥ぎ取って乾燥していく際に溶剤を含有するガス(一般的には空気又は窒素)が発生する。本発明では、この溶剤含有ガスのうち溶剤濃度が高い前半部分を凝縮により溶剤を回収し、後半部分は吸着剤で吸着させて回収するのである。
【0018】
この凝縮で回収する溶剤の量は乾燥によって除去される溶剤の全量の80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であり、吸着によって回収する溶剤の量は2%以上、好ましくは4%である。98%を超える溶剤を凝縮回収するには凝縮温度を極めて低く設定する必要があり、かえって不効率となる。
【0019】
凝縮による回収は通常の凝縮器を用いて行えばよく、温度は溶剤の種類にもよるが、メチレンクロライドを主溶剤とする場合には−40〜+10℃程度、好ましくは−30〜0℃程度、酢酸メチルを主溶剤とする場合には−30〜+20℃程度、好ましくは−20〜+10℃程度が適当である。
【0020】
凝縮後の排ガスは、再び乾燥風として加熱させて乾燥ゾーンへ供給される循環方式が通常使用される。
【0021】
吸着による回収は、吸着材として、活性炭、ゼオライト等を用いればよく、吸着材からの溶剤の脱着にはスチーム、高温窒素ガス等を利用できる。
【0022】
また、酢酸メチル、アセトンなどの可燃性溶剤を主溶剤とする場合には希薄ガスの一定量を燃焼処理することも消費エネルギー的に有利な場合がある。ただし燃焼処理は溶剤の回収再利用という点では不利であるため溶剤回収率を勘案して処理量を決定する必要がある。燃焼処理する溶剤の量は全体の5%未満であり、0.5〜2%程度が適当である。
【0023】
また、回収した溶剤から水分を分離すると同時に溶剤中に発生する微量の酸を除去することは溶剤の品位を保ち設備の腐食を抑制する意味で重要である。このために回収溶剤を脱酸剤にて処理する必要がある。脱酸剤としてはハイドロタルサイト系化合物などが使用できる。また、アルカリ水溶液との接触方式も用いることができる。
【0024】
本発明の溶液製膜方法に用いるポリマー溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、微粒子粉体、離型剤、光学特性調整剤、フッ素系界面活性剤)を加えることができる。またその添加する時期はポリマー溶液作製工程において何れでも添加しても良いが、ポリマー溶液調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0025】
前記可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルフォスフェート(TCP)、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ジフェニルビフェニルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート等があげられる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチルが含まれる。
【0026】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリメチルトリメリテート等のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどがある。
【0027】
以上に例示した可塑剤の中でも、トリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートらを用いることが好ましい。特にトリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルトリメリテートが好ましい。
【0028】
以上のような可塑剤は1種でもよいし2種以上併用してもよい。可塑剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が20質量%を超えると、フィルム表面にブリードアウトする場合がある。
【0029】
その他、本発明においてはその光学的異方性を小さくする可塑剤として、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類などが好ましく用いられる。
【0030】
前記紫外線吸収剤は、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができるが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系が好ましい。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等をあげることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等をあげることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等をあげることができる。これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールが特に好ましい。
【0031】
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不要な着色が少ないことから、好ましい。
【0032】
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。
【0033】
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、フィルム表面へ紫外線吸収剤がブリードアウトする場合がある。
【0034】
また、紫外線吸収剤はセルロースアシレート溶解時に同時に添加しても良いし、溶解後のポリマー溶液に添加しても良い。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にポリマー溶液に紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
【0035】
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止することができる。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物がある。
【0036】
このうち、ヒンダードアミン化合物の例としては、t−ブチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン等がある。また、グアニジン誘導体として、下記式(1a)、(1b)で示される化合物等がある。
【0037】
【化1】
Figure 0004285721
【0038】
劣化防止剤の添加量は、0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。添加量が0.001%未満であると添加効果が少なく、添加量が5%を超えると、原料コストが上昇して不利である。
【0039】
前記微粒子粉体としては、シリカ、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどを目的に応じ、任意に用いることができる。これら微粒子粉体はポリマー溶液に添加する前に、高速ミキサー、ボールミル、アトライター、超音波分散機等、任意の手段でバインダー溶液中に分散を行うことが好ましい。バインダーとしてはセルロースアシレートが好ましい。紫外線吸収剤等、他の添加物と共に分散を行うことも好ましい。分散溶媒は任意であるが、ポリマー溶液溶媒と近い組成であることが好ましい。
【0040】
微粒子粉体の数平均粒径は0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。上記の分散液はセルロースアシレート溶解工程に同時に添加しても良いし、任意の工程でポリマー溶液に添加できるが、紫外線吸収剤同様スタティックミキサ等を用い、流延直前に添加する形態が好ましい。
【0041】
微粒子粉体の含有量は、セルロースアシレートに対して0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。添加量が0.001質量%未満では添加効果を十分に発揮することができず、添加量が5質量%を超えると、外観面状が悪くなる場合がある。
【0042】
前記離型剤としては、界面活性剤が有効であり、リン酸系、スルフォン酸系、カルボン酸系、ノニオン系、カチオン系など特に限定されない。これらは、例えば特開昭61−243837号などに記載されている。離型剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0043】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0044】
アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルフォン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、α−スルフォン化脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などである。
【0045】
カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジュム塩などを挙げることができ、第一〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることが出来る。両性系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルフォベタインなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0046】
前記フッ素系界面活性剤を添加することにより、帯電防止効果を発揮することができる。フッ素系界面活性剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.002〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。添加量が0.002質量%未満であれば添加効果を十分に発揮することができず、添加量が2質量%を超えると、析出したり、不溶解物を生じたりすることがある。
【0047】
本発明においては、レターデーション上昇剤(光学特性調整剤)を添加することができる。レターデーション上昇剤を添加することにより、光学異方性をコントロールすることができる。レターデーション上昇剤は、セルロースアシレートフイルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を使用することが好ましい。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
【0048】
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0049】
本発明においては、着色剤を添加することができる。着色剤を添加することにより、感光材料支持体等に用いる場合、ライトパイピングを防止することができる。着色剤の添加量は、セルロースアシレートに対する重量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmが更に好ましい。
【0050】
また、本発明におけるポリマー溶液には、ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤などを、必要に応じて適宜添加することができる。
【0051】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムの光学特性について記す。まず、フィルムの面内のレターデーション(Re)について記すと、その測定法はエリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Re=(nx−ny)×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
【0052】
レターデーション(Re)は、小さいほど面内方向の光学異方性がないことを示し、0〜300nmの範囲で用途に応じて用いられる。又、フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)も重要であり、波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:横方向の屈折率
ny:縦方向の屈折率
nz:厚さ方向の屈折率
【0053】
厚さ方向の屈折率が小さいほど、厚さ方向の光学異方性がないことを示すが、その使用用途によって好ましい範囲は定まる。一般には、本発明により製造されたセルロースアシレートフィルムのRthは100μm当たり、0nm〜600nmであり、さらには0nm〜400nmで用いられる。
【0054】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムは、例えば、偏光板保護膜、光学補償シート、AR、LR、AG膜用支持体フィルム等の光学用途フィルム、写真感光材料用支持体フィルムとしても利用することができる。
【0055】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムを光学補償シートに利用する場合、フイルムそのものを光学補償シートとして用いることができる。なお、フイルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、偏光板の透過軸と、光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行または垂直になるように配置することが好ましい。このような偏光板と光学補償シートとの配置については、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、および該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。
【0056】
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0057】
光学補償シートは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明によるセルロースアシレートフィルムそのものを、光学補償シートとして用いることができる。さらに反射防止層、防眩性層、λ/4層や2軸延伸セルロースアシレートフィルムとして機能を付与してもよい。また、液晶表示装置の視野角を改良するため、本技術のセルロースアシレートフィルムと、それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフィルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。
【0058】
また、支持体の上に液晶性化合物(特にディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報記載)。本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムそのような光学補償シートの支持体としても用いることができる。
【0059】
前記偏光板の偏光素子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。いずれの偏光素子も、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、25〜350μmの厚さを有することが好ましく、40〜200μmの厚さを有することがさらに好ましい。液晶表示装置には、表面処理膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれる。
【0060】
前記光学的異方性層は、負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック液晶性分子を含む層であることが好ましい。ディスコティック液晶性分子を含む層が、円盤面と支持体面とのなす角が光学的異方性層の深さ方向において変化したハイブリッド配向していても構わないし、円盤面が支持体面と平行なホメオトロピック配向、円盤面が支持体面と垂直なホモジニアス配向、または、円盤面が光学的異方性層の深さ方向でねじれているツイスト配向を取っていても構わない。また、これらの配向が混在した配向(例えば、ハイブリッド配向+ツイスト配向)していても構わない。そのなかでもハイブリッド配向していることが好ましい。ディスコティック液晶性分子ひとつひとつの光軸は、円盤面の法線方向に存在する。しかし、ディスコティック液晶性分子がハイブリッド配向している層全体としては、光軸は存在しない。
【0061】
本発明の溶液製膜方法により製造されるフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0062】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをTNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、同6−148429号、同8−50206号、同9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。TN型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。
【0063】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをSTNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0064】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをVAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。VA型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−5nm〜5nmの範囲内にすることが好ましい。従って、二枚の光学補償シートのそれぞれの面内レターデーションの絶対値は、0〜5とすることが好ましい。VA型液晶表示装置に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーションを、−10nm〜10nmの範囲内にすることが好ましい。
【0065】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムを、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
【0066】
本発明の溶液製膜方法で製造されるフィルムをASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)外の論文(Kume et al.,SID 98 Digest 1089(1998))に記載がある。
【0067】
【実施例】
[実施例1]
溶剤含有量20重量%のセルロースアセテートを塩化メチレン、メタノール92:8の混合溶液とし支持体バンド上に流延し、熱風により乾燥し剥離した。剥離したフィルムの残留溶剤量が乾量基準で40重量%になるまでの乾燥排気ガスを−5℃で凝縮回収した。それ以降の乾燥ゾーンで発生した乾燥排気を活性炭吸着層によって回収し、回収した溶剤を蒸留により脱水分離し塩化メチレン、メタノール92:8の混合溶液を得た。
【0068】
[実施例2]
溶剤含有量20重量%のセルロースアセテートを塩化メチレン、メタノール92:8の混合溶液とし支持体バンド上に流延し、熱風により乾燥し剥離した。剥離したフィルムの残留溶剤量が乾量基準で10重量%になるまでの乾燥排気ガスを−5℃で凝縮回収した。それ以降の乾燥ゾーンで発生した乾燥排気を活性炭吸着層によって回収し、回収した溶剤を蒸留により脱水分離し塩化メチレン、メタノール92:8の混合溶液を得た。
【0069】
[実施例3]
酢酸メチル80、エタノール15、ブタノール5の混合溶剤に酢化度59.2%のセルロースアセテート17、トリフェニルフォスフェート3を分散したのち、−70℃に冷却し、しかるのちに120℃まで加熱して得た固形分濃度20重量%のポリマー溶液を支持体上に流延した。フィルム残留溶剤の量が80重量%になるまで乾燥した乾燥排気を0℃で凝縮回収し、フィルム残留溶剤の量が5%になるまでの乾燥排気を活性炭で吸着回収し、蒸留により分離精製した。また残りの乾燥ゾーンにおける乾燥排気を蒸熱方式の燃焼装置で燃焼処理した。
【0070】
分離精製した溶剤は協和化学工業社製「DHT−4A」を充填したカラムにて処理した。
【0071】
[比較例1]
溶剤含有量20重量%のセルロースアセテートを塩化メチレン、メタノール85:15の混合溶液とし支持体バンド上に流延し、熱風により乾燥し剥離した剥離したフィルムの残留溶剤量が乾量基準で100重量%になるまでの乾燥排気ガスを−5℃で凝縮回収した。それ以降の乾燥ゾーンで発生した乾燥排気を活性炭吸着層によって回収し、回収した溶剤を蒸留により脱水分離し塩化メチレン、メタノール92:8の混合溶液を得た。
【0072】
[比較例2]
酢酸メチル80、エタノール15、ブタノール5の混合溶剤に酢化度59.2%のセルロースアセテート17、トリフェニルフォスフェート3を分散したのち、−70℃に冷却し、しかるのちに120℃まで加熱して得た固形分濃度20重量%のポリマー溶液を支持体上に流延した。フィルム残留溶剤の量が120重量%になるまで乾燥した乾燥排気を0℃で凝縮回収し、残りのフィルム残留溶剤を乾燥した乾燥排気を活性炭で吸着回収し、蒸留により分離精製した。
【0073】
なお、実施例1〜3においては、凝縮回収する乾燥ゾーンの雰囲気の酸素濃度を5vol%にするために窒素ガスを注入した。比較例1、2においては、凝集回収する乾燥ゾーンの雰囲気は、通常の大気組成とした。
【0074】
その結果、実施例1〜3においては酸素濃度は5vol%に保たれ、安定に操業することができた。これに対し、比較例1〜2においては、乾燥ゾーン内の雰囲気が爆発下限界濃度と上限界濃度の間を通過することがあった。
【0075】
実施例1〜3の方法で製膜したフィルムを偏光板保護膜とする偏光板を作製し、耐久性を評価した。
【0076】
[偏光板の作成方法および評価方法]
偏光板サンプルはポリビニルアルコールを延伸してヨウ素を吸着させた偏光素子の両面にポリビニルアルコール系接着剤により貼合し作製した。この偏光板サンプルを60℃,90%RHの雰囲気下で500時間暴露した。いずれにおいても偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0077】
なお、偏光度は、分光光度計により可視領域における並行透過率(Yp)、直交透過率(Yc)を求め次式に基づいて偏光度Pを決定した。
【0078】
【数1】
Figure 0004285721
【0079】
【表1】
Figure 0004285721
【0080】
また、前記偏光板1組をTFT(薄膜トランジスター)方式の液晶表示装置に実装した結果、良好なコントラストを得ることができた。
【0081】
[実施例4]
<セルローストリアセテート溶液の作製>
攪拌羽根を有するステンレス性溶解タンクに、下記の溶剤混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加して仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時間,25℃にて放置し、セルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶剤である酢酸メチルとシクロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0082】
セルローストリアセテート 16質量部
(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
酢酸メチル 53質量部
シクロペンタン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 3質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 3質量部
微粒子粉体(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤a 0.1質量部
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)
紫外線吸収剤b 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)
紫外線吸収剤c 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール
1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0083】
なお、後述する冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は160Pa・S(45℃)であった。
【0084】
<セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は、静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このように調製したセルローストリアセテート溶液を、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)にて濾過した。
【0085】
<セルローストリアセテートフィルムの作製>
上述した溶解法で得られたセルローストリアセテート溶液を50℃にし、流延ギーザ−を通して鏡面ステンレスの流延支持体上に流延した。流延支持体温度は10℃であり、流延スピードは40m/分で、その塗布幅は100cmとした。乾燥は120℃の乾燥風を送風した。2分後に鏡面ステンレスの流延支持体から剥ぎ取り、その後、110℃、10分、さらに150℃で30分乾燥して、セルローストリアセテートフィルム(膜厚40μm)を得た。
【0086】
この時、フィルム残留溶剤の量が30重量%になるまで乾燥した乾燥排気を−5℃で凝縮回収し、フィルム残留溶剤の量が0.2%になるまでの乾燥排気を活性炭で吸着回収し、蒸留により分離精製した。また残りの乾燥ゾーンにおける乾燥排気を蒸熱方式の燃焼装置で燃焼処理した。この溶剤の回収率は、99.5%であった。
【0087】
<偏光板aの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように両側に貼り付けた。
【0088】
<偏光性の評価>
偏光板aを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0089】
<偏光板bの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように片側に貼り付けるとともに、上記セルローストリアセテートフィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。さらに、光学補償シート(富士写真フイルム(株)製,『WVフィルム』)をセルローストリアセテートフィルム側に、その遅相軸が互いに平行になるように粘着剤を用いて貼り付け、光学補償シートを貼合した偏光板を作製した。
【0090】
<液晶表示装置での評価>
上記偏光板a及び偏光板bをTFT(薄膜トランジスター)方式の液晶表示装置に実装した。その結果、良好な視野角およびコントラストを得ることができた。
【0091】
[実施例5]
<内層用セルローストリアセテート溶液の作製>
攪拌羽根を有するステンレス性溶解タンクに、下記の溶剤混合溶液によく攪拌しつつ、セルローストリアセテート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加して仕込んだ。添加後、室温(25℃)にて3時間放置し、セルローストリアセテートを膨潤させた。なお、溶剤である酢酸メチルとシクロペンタノン、アセトン、メタノール及びエタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
【0092】
セルローストリアセテート 16質量部
(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s)
酢酸メチル 53質量部
シクロペンタン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 3質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 3質量部
微粒子粉体(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
紫外線吸収剤a 0.1質量部
(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン)
紫外線吸収剤b 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)
紫外線吸収剤c 0.1質量部
(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール
1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
【0093】
なお、冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は60Pa・S(45℃)であった。
【0094】
<内層用セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このセルローストリアセテート溶液を絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)で濾過した。
【0095】
<外層用セルローストリアセテート溶液の調整>
上述した内層用セルローストリアセテート溶液において、セルローストリアセテートを19質量部、酢酸メチルを44質量部に変更した他は、同様に仕込んだ。なお、冷却溶解法で得られたこの溶液の粘度は25Pa・S(45℃)であった。
【0096】
<外層用セルローストリアセテート溶液の冷却溶解>
上述したセルローストリアセテート溶液をスクリュー押し出し機で送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒(3M社製,『フロリナート』)を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液は静止型混合器を設置した熱交換器により120℃まで温度を上昇させ、3分間保持した後、冷却し50℃としてステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間撹拌し脱泡を行った。このセルローストリアセテート溶液を絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製,『#63』)で濾過し、さらに、絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製,『FH 025』)で濾過した。
【0097】
<セルローストリアセテートフィルムの作製>
上述したセルローストリアセテート溶液を三層共流延ダイを用い、内層用セルローストリアセテート溶液が内側に、外層用セルローストリアセテート溶液が両外側になるように配置して、金属ならなる流延支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延膜を流延支持体から剥ぎ取り、乾燥して三層構造のセルローストリアセテートフィルム積層体(内層の厚さ:80μm、各表面層の厚さ:2μm)を作製した。
【0098】
この時、フィルム残留溶剤の量が45重量%になるまで乾燥した乾燥排気を5℃で凝縮回収し、フィルム残留溶剤の量が0.5%になるまでの乾燥排気を活性炭で吸着回収し、蒸留により分離精製した。また残りの乾燥ゾーンにおける乾燥排気を蒸熱方式の燃焼装置で燃焼処理した。この溶剤の回収率は、99%であった。
【0099】
流延支持体から剥ぎ取ったフィルムは、テンターにより搬送しつつ乾燥させ、100℃で3分、130℃で5分乾燥させた後、150℃で10分で段階的に乾燥させて溶剤を蒸発させてセルローストリアセテートフィルムを得た。
【0100】
<偏光板cの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように両側に貼り付けた。
【0101】
<偏光性の評価>
偏光板cを80℃、90RHの雰囲気下で500時間暴露し、上述した方法で偏光度を測定した。偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。
【0102】
<偏光板dの作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光素子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記セルローストリアセテートフィルムを、その遅相軸が偏光素子の透過軸と平行になるように片側に貼り付けるとともに、上記セルローストリアセテートフィルムにケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光素子の反対側に貼り付けた。さらに、光学補償シート(富士写真フイルム(株)製,『WVフィルム』)をセルローストリアセテートフィルム側に、その遅相軸が互いに平行になるように粘着剤を用いて貼り付け、光学補償シートを貼合した偏光板を作製した。
【0103】
<液晶表示装置での評価>
上記偏光板c及び偏光板dをTFT(薄膜トランジスター)方式の液晶表示装置に実装した。その結果、良好な視野角およびコントラストを得ることができた。
【0104】
【発明の効果】
本発明により、溶液製膜方法において、流延されたフィルムから発生する溶剤を効率よく回収して再利用することができる。

Claims (10)

  1. ポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液を流延ダイから支持体上に流延し、流延されたフィルムを該支持体から剥ぎ取って少なくとも2以上の乾燥ゾーンで乾燥する溶液製膜方法において、該流延されたフィルムからそれが乾燥されるまでに放出される前記溶剤の80〜98%を最初の乾燥ゾーンで凝縮させて回収し、残余を2番目以降の乾燥ゾーンで吸着剤に吸着させて回収することを特徴とする溶液製膜方法
  2. 回収した溶剤を脱酸剤に接触させることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法
  3. ポリマーと溶剤を−100〜−10℃に冷却し、この両者を混合状態で加熱してポリマー溶液とし、該ポリマー溶液を流延ダイから支持体上に流延し、流延されたフィルムを該支持体から剥ぎ取って乾燥することを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法
  4. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であって、その溶剤が酢酸メチル、ケトン類及びアルコール類からなり、その溶剤比率が酢酸メチルが20〜90質量%、ケトン類が5〜60質量%、アルコール類が5〜30質量%である請求項1、2又は3記載の溶液製膜方法。
  5. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有している請求項1、2、3又は4記載の溶液製膜方法。
  6. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有している請求項1、2、3、4又は5記載の溶液製膜方法。
  7. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有している請求項1、2、3、4、5又は6記載の溶液製膜方法。
  8. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有している請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の溶液製膜方法。
  9. 前記ポリマー溶液がセルロースアシレート溶液であり、かつ、少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.002〜2質量%含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の溶液製膜方法。
  10. 乾燥ゾーンの一部又は全ての雰囲気の酸素濃度を10vol%以下にした請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の溶液製膜方法。
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