JP4285935B2 - 液晶ゲル組成物とそれを用いた表示媒体及び表示装置並びに表示体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ゲル組成物とこれを用いた表示媒体及び表示装置並びに表示体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の従来の液晶表示素子として、これまで種々の方式のものが提案され、実用化されている。その代表的な方式が、ツイストした液晶分子層を二枚の偏光板で挟持した透過型(S)TN方式である。これらの方式では、偏光板を、カラー表示にはカラーフィルターと偏光板を使用するため、より明るい表示を得るためには強力なバックライトが必要となる。この消費電力と明るさの関係から、バックライトを必要としない反射型の(S)TN方式、あるいは偏光板を使用しない方式が提案されている。
【0003】
偏光板を使用しない方式による代表的な表示素子として、高分子分散型液晶(PDLC)素子が挙げられる。PDLC素子は、互いに同程度の屈折率を有する高分子マトリックス材料と正の誘電率異方性液晶材料を用い、高分子マトリックス中に液晶が直径数ミクロンのドロプレット状に分散された調光層からなり、その高分子マトリックスと液晶の屈折率差を利用して表示する。すなわち、電圧無印加時の液晶分子は歪んだ配列を有しているため、液晶ドロプレットとマトリックスの間に屈折率差が生じ、調光層に入射した光は散乱する。一方、電圧を印加すると、液晶分子は電圧方向に配向し、ドロプレットとマトリックスの屈折率は同じになり、調光層に入射した光は透過する。
【0004】
偏光板を利用しないもう一つの代表的な表示素子として、液晶性ゲルからなる調光層を用いた素子が提案されている(特開平11−52341号公報、特開平11−256164号公報、特開2000−239663号公報、特開2000−305087号公報)。液晶性ゲルは、本来流動性を有する液状の液晶性化合物の流動性を実質上消失させた、液晶性を示すゲル状物質である。
【0005】
この特開平11−52341号公報に記載の表示素子は、ゲル化剤として分子結合が可能な基及びアルキレン基を一分子中それぞれ2個以上有する化合物を用いることを特徴とし、従来の高分子分散型液晶より簡単な工程で製造可能な、コントラストに優れた素子を提供することを目的としている。液晶、ゲル化剤及び有機溶媒からなる溶液をドラフト内で風乾させて調光層を形成する方法が例示されており、製造工程の簡略化の点で目的は確かに達成されている。
【0006】
また、液晶化合物と、−NH−CH(−R)−CO−で表される2価の骨格を含む有機基を有するゲル化剤からなるゲル状物質、及びそれを用いた表示素子が、特開平11−256164号に提示されている。具体的には、ラビング処理したポリイミド配向膜を有する二枚のITO電極間に、ゲル状物質からなる調光層を設けて形成されたTN型素子が示されている。このTN型セルは、電界応答性の点で、ゲル化されていない液晶化合物を用いる場合より優れている。
【0007】
また、特開2000−239663号公報によれば、前記と同様のゲル化剤と液晶化合物を用いて、ネマチック相、スメクチック相又はカイラルスメクチック相を示す液晶ゲル、あるいはスメクチック相又はカイラルスメクチック相を示す強誘電性または反強誘電性液晶ゲルを調光層とする表示素子が提供される。例示された強誘電性液晶ゲルから構成される素子は、耐ショック性に優れた高安定性を有している。
【0008】
さらに、特開2000−305087号公報に記載の表示素子では、スイッチング特性の改善と、コントラストの増大及び階調表現の実現を目的として、配向処理を施した一対の基板間に、液晶物質とゲル化剤を含有する液晶組成物を、配向処理方向に対して平行又は垂直に配列する方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PDLC素子を用いて屈折率差による光散乱を利用した方法は、偏光板が必要ないものの、散乱強度がそれほど強くないため、十分に明るくコントラストの高い表示は得られないという問題があり、特開平11−52341号公報に記載の光散乱型の素子は、コントラストの点で、前記のPDLC方式と同様に、十分な水準に達してない。又、特開平11−256164号公報に記載の表示素子は、電圧無印加時の光透過率が小さいため、十分なコントラストが得られないという欠点を有し、特開2000−239663号公報に記載の光散乱型素子及びTN型素子では、視認性に優れたコントラストが得られないという欠点を有している。
【0010】
更に、特開2000−305087号公報に記載の方法は、水平配向から垂直配向へのスイッチングをスムーズに行うが、コントラストの点で前記の素子と同様に十分な水準に達していないという問題がある。
【0011】
そこで本発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、視認性に優れた高コントラストの表示が可能な表示媒体に有効な液晶ゲル組成物を提供し、更に、液晶ゲル組成物を用いた表示媒体及び表示装置並びに表示体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、液晶性化合物と式(1)
【化2】
(式(1)中、Xは炭素数1以上20以下の有機基、Yは炭素数1以上20以下のアルキレン基、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、又はアルキルエステル基、nは1〜5の整数である)で表される構造単位を有するゲル化剤からなることを特徴とする液晶ゲル組成物を最も主要な特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の液晶ゲル組成物と、該液晶ゲル組成物を一対の電極を有する基板間に挟持した基板からなる表示媒体を主要な特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明では、前記表示媒体の少なくとも一部分に保護層を設ける請求項2記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明では、前記表示媒体の少なくとも一部分、及び/又は保護層上の少なくとも一部分に、印刷層を設ける請求項3記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明では、前記印刷層上に印刷保護層を設ける請求項4記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明では、前記表示媒体において、情報記録部を設ける請求項2記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明では、前記情報記録部が磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部である請求項6記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明では、前記情報記録部が集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ、又は光メモリーである請求項6記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明では、前記情報記録部が光の作用により情報記録の読み出しが可能な透明な記録部であることを特徴とする請求項6記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明では、前記情報記録部の情報が、表示媒体の表裏を示す情報及び/又は表示媒体の位置を示す情報である請求項6〜9の何れかに記載の表示媒体を主要な特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明では、請求項2記載の表示媒体と、画像信号に応じて表示媒体に電界を印加することのできるスイッチング素子からなる表示装置を主要な特徴とする。
【0023】
請求項12記載の発明では、前記表示媒体、前記スイッチング素子、及び該スイッチング素子に形成された液晶ゲル組成物の状態を保持する保持手段からなる請求項11記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0024】
請求項13記載の発明では、前記表示装置の少なくとも一部分に保護層を設ける請求項11又は12記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0025】
請求項14記載の発明では、前記表示装置の少なくとも一部分、及び/又は保護層上の少なくとも一部分に、印刷層を設ける請求項13記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0026】
請求項15記載の発明では、前記印刷層上に印刷保護層を設ける請求項14記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0027】
請求項16記載の発明では、前記表示装置において、情報記録部を設ける請求項11又は12記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0028】
請求項17記載の発明では、前記情報記録部が磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部である請求項16記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0029】
請求項18記載の発明では、前記情報記録部が集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ、又は光メモリーである請求項16記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0030】
請求項19記載の発明では、前記情報記録部の情報が、表示媒体の表裏を示す情報及び/又は表示媒体の位置を示す情報である請求項16〜18の何れかに記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0031】
請求項20記載の発明では、前記画像信号に応じて前記表示装置に電界を印加することのできるスイッチング素子が、薄膜トランジスタである請求項11又は12記載の表示装置を主要な特徴とする。
【0032】
請求項21記載の発明では、請求項1〜20の何れかに記載の表示媒体又は表示装置が、その一部又は全てを占める表示体を主要な特徴とする。
【0033】
請求項22記載の発明では、前記表示体が、表示カード、表示シート、表示ディスプレイ又は表示型看板である請求項21に記載の表示体を主要な特徴とする。
【0034】
請求項23記載の発明では、表示カード、表示シート、表示ディスプレイ又は表示型看板が、可撓性を有する請求項22に記載の表示体を主要な特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決するために、特にゲル化剤に着目して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0036】
本発明にはゲル化剤を使用しており、使用するゲル化剤は、式(1)
【化3】
で表される構造単位を有し、式(1)中、Xは炭素数1以上好ましくは1〜20の有機基、Yは炭素数1以上好ましくは1〜20の炭化水素基、R2は水素原子又は炭素数1以上好ましくは1〜20の有機基、nは1以上の整数である。
【0037】
上記式(1)の構造単位を有するゲル化剤は、液晶性化合物との共存下、コア部の−CO−C−N−H基とそのコア部に連結した枝状構造部が三次元的に、水素結合及びファンデルワールス力などを主体とした分子間相互作用により、自己集合して繊維集合体を形成し、液晶ゲル組成物を形成する。
【0038】
特に、枝状構造部はコア部の水素結合を補完する作用をも有しているため、構造単位として必要不可欠な要素である。よって、nは大きいほど好ましい。しかし、nが大きいほど製造工程数が増すため、好ましくは2〜3である。
【0039】
また、枝状構造部の連結基Yは、枝状構造部が一定の三次元的広がりをもたらす基であれば特に限定されない。すなわち、枝状構造部は、連結基Yにより枝状構造部の周辺がコア部方向に折れ畳んだ構造を有さないことが好ましい。よって、連結基Yは炭素数の少ないアルキレン基などが好ましい。
【0040】
更に、枝状構造部の周辺が水素結合性基を有している場合、コア部と水素結合してしまうため、置換基R2としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、又はアルキルエステル基などの非水素結合性置換基が好ましい。
【0041】
一方、コア部の置換基R1はコア部の水素結合性を立体障害的に阻害しなければ特に限定されない。好ましくは製造の簡便さから水素原子である。
【0042】
液晶ゲル組成物は、液晶性化合物とゲル化剤からなる熱溶解を調製し、室温まで冷却し、場合によっては長時間放置する方法、又はその熱溶液に超音波をあてる方法により得られる。液晶/ゲル化剤の熱溶液は、液晶性化合物にゲル化剤を加え、加熱撹拌する方法、あるいはゲル化剤を溶解可能な溶媒に室温又は加熱溶解し、その溶液を加熱液晶性化合物に加える方法により得られる。
【0043】
液晶分子は、このような自己組織化されたゲル組成物中で配向性が制御され、優れた電気光学効果を示す。液晶性化合物としては、従来の液晶素子などで使用されている、ネマチック液晶、カイラルネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、フェリ強誘電性液晶などの液晶性化合物を使用することができる。
【0044】
本発明の表示媒体は、上記液晶ゲル組成物と、該液晶ゲル組成物を一対の電極を有する基板間に挟持した基板からなる。
【0045】
基板はガラス板かプラスチックフィルムからなる、透明又は着色した基板であり、少なくとも一方は透明な基板である。基板の厚さは約10μm〜1mm、好ましくは25〜200μmである。電極は、金属、ITO、SnO2、ZnO:Alなどの導電体薄膜からなる、透明又は着色した電極であり、少なくとも透明基板側には透明電極を用い、スッパタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法などにより形成する。液晶の駆動方法に対応して電極をスリット状などにパターン化することも可能である。
【0046】
また、場合によっては、液晶配向性の向上と制御のために、物理吸着法、化学吸着法、プラズマ重合法、又は変形配向処理法などにより電極上に液晶配向膜を設け、ラビング処理することも可能である。
【0047】
本発明の表示媒体は、液晶ゲル組成物からなる溶液を一方の基板上にバーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、又はスピンコーターなどの塗布機を用いて塗布し、冷却してゲル化させた後、対向基板を張り合わせる方法、あるいはギャップ剤を介して一対の基板を張り合わせた後、液晶ゲル組成物からなる溶液を基板間に注入し、冷却し、ゲル化させる方法により形成される。
【0048】
本発明の表示装置は、上記表示媒体と、画像信号に応じて表示媒体に電界を印加することのできるスイッチング素子からなる。
【0049】
スイッチング素子は液晶を駆動する素子であり、ダイオード型、MIM(Metal−Insulator−Metal)型又はZnOバリスター型などの二極端子型駆動素子、あるいはCdSe TFT(薄膜トランジスタ)、a−SiTFT(非晶性シリコンTFT)又はp−Si TFT(多結晶シリコンTFT)などを用いた三極型駆動素子を使用する。好ましくは、大面積の薄膜素子の作製が容易なTFTである。
【0050】
また、本発明の表示装置は、上記表示媒体とスイッチング素子、及び該スイッチング素子により形成された液晶ゲル組成物の状態を保持する保持手段からなる。
保持手段は強誘電体の分極状態のメモリ性を利用した手段であり、スイッチング素子により形成された液晶分子の配向状態を保持する。保持手段として、強誘電性絶縁膜からなるコンデンサ、又は該コンデンサと常誘電体絶縁膜からなるコンデンサとを組合せたコンデンサなどを使用することができる。
【0051】
本発明の表示媒体及び表示装置において、表示基板面の物理的及び化学的な損傷から保護し、視認性を保持するために保護層を設ける。
【0052】
保護層は、保護層材料と場合によってはその材料を溶解、分散、懸濁又は乳化する媒体、硬化剤、触媒及び/又は助触媒を加えた保護層材料組成物を、表示基板上にワイヤーバーコート、ロールコート、ブレードコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、又はグラビアコートなどの塗布方法、又はスパッタリング及び化学的気相法などの気相方法により形成する。保護層の厚さは、基板を保護する機能を有する範囲内で可能な限り薄いほうが望ましく、約0.1〜100μm、より好ましくは0.3〜30μmである。
【0053】
保護層材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン、熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化樹脂、あるいはそれらの混合物からなる。
【0054】
また、本発明において、上記の表示基板面の少なくとも一部分及び/又は保護層上の少なくとも一部分に印刷層を設けること、上記の印刷層上に印刷保護層を設けること、液晶ゲル組成物からなる表示層以外に情報記録部を設けること、上記の情報記録部が磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部であること、上記の情報記録部が集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ又は光メモリーであること、上記の情報記録部が光の作用により情報記録の読み出しが可能な透明な記録部であること、上記の情報記録部の情報が表示媒体の表裏を示す情報及び/又は表示媒体の位置を示す情報であることが好ましい。
【0055】
本発明の表示媒体に用いる印刷層は、表示媒体の使用目的に応じて、保護層上の少なくとも一部分に公知のオフセット印刷、グラビア印刷及びスクリーン印刷により形成することができる。
【0056】
また、本発明の表示媒体に用いる印刷保護層は、印刷層と同様に、公知の方法により形成することができ、また、印刷保護層は、保護層上に設けることも可能である。
【0057】
本発明の表示媒体に用いる磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部、集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ又は光メモリー情報記録部は、従来の記録技術を用いて作製することができる。
【0058】
また、本発明の表示媒体に用いる光の作用により情報記録の読み出しが可能な透明な記録部は、上記の記録部と異なり書き込みが不可能な読み取り専用の記録部であり、近赤外蛍光体や紫外蛍光体から形成する。
【0059】
この記録部は、液晶の駆動電界に影響されないため、液晶ゲル組成物により表示された画像の表示内容とその透明な記録部の情報とを組合せて、可逆非可逆の情報記録媒体として利用することができる。
【0060】
また、本発明の上記の表示媒体及び表示装置は、その表示媒体又は表示装置が一部分又は全てを占める表示体として各種の形態で用いることができる。
【0061】
それらの一例を挙げると、本発明の表示媒体又は表示装置が名刺やクレジットカードのような小型のカードの一部、又は全ての部分を構成することで、情報の書き換が可能なカードが作製され、各種ポイントカードや会員カードとして使用できる。この様な携帯性に優れる小型のカードのサイズを大きくすることで、一般のオフィス等で使用されるディスプレイや記録紙(複写機、プリンター等の出力紙)の代用表示体として、可逆表示シートを作製することもできる。この様な可逆表示シートは、繰り返し使用することができるので、省資源、省エネルギーの観点からも優れた表示媒体である。また、家電製品をはじめとする各種物品に本発明の表示媒体を組み込むことにより、従来の液晶モニターの代わりに情報を提供することが可能となる。さらに、本発明の表示媒体又は表示装置を各種の広告や看板などの用途で用いることも可能である。この場合にも全面を表示媒体又は表示装置で構成することもできるが、ポスターなどの一部分に組み込むことで効果的な表示を実現することも可能である。
【0062】
また、本発明の表示媒体及び表示装置は、基板をはじめとする構成により媒体に可撓性を付与させるが可能であることから、前記のカード、シート、ディスプレイ、看板、広告をはじめとする各種用途において形状による制約を受けることがなく、非常に幅広い用途に対応することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
【0064】
参考例1
〈ゲル化剤の合成〉
式(2)
【化4】
(式(2)中、TBDMSClはt−ブトキシジメチルクロロシラン、TBDMSはt−ブトキシジメチルシリル基を示す)に従ってデンドロンモノマーを合成した後、
式(3)
【化5】
(式(3)中、18−C−6は18−クラウン6−エーテル、PPh3はトリフェニルホスフィンを示す)に従って、デンドロン(MeO2C)L2−Br、(MeO2C)L3−Br、又は(MeO2C)L4−Brを得た。さらに、デンドロン(MeO2C)L2−Br、(MeO2C)L3−Br、又は(MeO2C)L4−Brをt−Boc−(L)−Tyr−(L)−Alaと反応させて、ゲル化剤G1(式(1)中のR1がH、R2が−COOCH3、Xが−CH2−p−Ph−O−CH2−、Yが−CH2−、nが1である構造単位を有する化合物、また−p−Ph−はp−フェニレン基を示す)、ゲル化剤G2(式(1)中のR1がH、R2が−COOCH3、Xが−CH2−p−Ph−O−CH2−、Yが−CH2−、nが2である構造単位を有する化合物)、又はゲル化剤G3(式(1)中のR1がH、R2が−COOCH3、Xが−CH2−p−Ph−O−CH2−、Yが−CH2−、nが3である構造単位を有する化合物)を得た。
【0065】
[実施例1]
15.0mgのゲル化剤G2と1.00gのネマチック液晶MX1543(メルクジャパン社製)を5mLの容器に加え、ゲル化剤が溶解するまで撹拌しながら加熱して、透明な等方性溶液を調製した。超音波発生装置の水槽に等方相溶液の入った容器を浸し、約1分間超音波を照射した。容器を取り出し、約3時間静置して、流動性のない液晶ゲル組成物を得た。
【0066】
調製した液晶ゲル組成物の相状態を、10℃から5℃/minで昇温しながら偏光顕微鏡及び示差走査型熱量計(DSC)により観察した(図1)。その結果、液晶ゲル組成物は105℃付近まで液晶相を示し、その後、等方相を示しながら、125℃付近から流動性が観察された。よって、105℃までは液晶ゲル相、約105〜125℃までは等方性ゲル相、約125℃以上では等方性液相であることが判明した。
【0067】
[実施例2]
51mgのゲル化剤G3と1.00gの4−シアノ−4’−n−ペンチルビフェニル(東京化成社製)を5mLの容器に加え、ゲル化剤が溶解するまで撹拌しながら加熱して、透明な等方性溶液を調製した。撹拌を停止して、約3時間放置して、流動性のない液晶ゲル組成物を得た。
【0068】
[実施例3]
厚さ3mmの透明ガラス板の片側表面に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極を設けた透明基板を二枚用意し、両基板の電極面上に配向剤AL1254(JSR社製、濃度2.5%)を塗布した。80℃で1分間乾燥した後、180℃で5分間焼成して液晶配向膜を設け、ラビング処理した。相互のラビング方向が90°となるように両基板を対向配置し、樹脂スペーサーにより約18μmの電極面間距離を有する内部空間を形成して、表示セルを得た。
【0069】
27mgのゲル化剤G2を用いる以外は実施例2と同様にして調製した液晶ゲル組成物を再度加熱し、得られた透明な溶液を上記の表示セルの内部空間に注入した。約12時間放置した後、接着剤でセルを封止し、表示媒体を作製した。
【0070】
[比較例1]
10.3mgのゲル化剤N−カルボベンジルオキシ−L−バリルアミノオクタデカンを用いる以外は実施例3と同様にして表示媒体を作製した。
【0071】
[実施例4]
実施例3と比較例1で作製した表示媒体を用いて、配向膜のラビング方向と偏光板の偏光方向が平行となるように、二枚の偏光板と表示媒体をLCD評価装置(大塚電子(株)社製、LCD−5000)に設置し、0.05V毎に印加電圧を増大させながら光透過率を測定した。得られた電圧と光透過率の関係を図2に示す。また、(1)駆動電圧と(2)コントラスト比を以下の方法により求め、比較した。
【0072】
駆動電圧
光透過率の基準として、光電圧無印加時の表示デバイスの光透過率(T0)を100%、光透過率が変化しなくなった時の光透過率(T1 00)を0%として、光透過率が90%時(10%減少時)の印加電圧V1 0及び光透過率が10%時(90%減少時)の印加電圧V90を求めた。
【0073】
コントラスト比
光透過率の基準として、光源と受光部の間に一枚の偏光板を設置して光源を点灯時の光透過率を100%、消灯時を0%として、光電圧無印加時の表示デバイスの光透過率T0、印加電圧V90時の透過率T90、及び光透過率が変化しなくなった時の光透過率T1 00を測定し、コントラスト比T0/T90とT0/T1 00を算出した。
【0074】
駆動電圧とコントラスト比を表1に示す。この表から明らかなように、本発明の液晶ゲル組成物からなる表示媒体は、従来の表示媒体に較べ、低電圧で駆動させることが可能で、コントラスト比の高い表示が得られることがわかる。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例5]
実施例5を図3により説明する。表示面30側の基板1上にITOからなる対向電極2をスパッタリングにより設け、その対向電極2面上に配向膜4をスピンコート法により設けた。表示面30側の基板1のもう一方の面には保護層25を塗工した後、印刷層20と印刷保護層21を順に設けた。
【0077】
また、非表示面40側の基板1上に磁気記録23と集積回路24を接着した後、第二保護層22を設けた。非表示面40側の基板1のもう一方の面には、スイッチング素子10の構成に対応したパターン状の、ITOからなる画素電極3を設け、その画素電極3面のスイッチング素子10上には、絶縁層を介して配向膜4を設けた。両配向膜4は、ラビング装置を用いてラビング処理した。得られた配向膜/電極/基板の配向膜4上に、液晶5とゲル化剤6からなる液晶ゲル組成物の溶液を塗布し、12時間静置してゲル化させた。形成された表示層7上に、上記の配向膜/スイッチング素子/画素電極/基板を貼り合わせて、表示装置を得た。
【0078】
[実施例6]
実施例6を図4、図5により説明する。ここで、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。表示面30側の基板1には実施例5と同様に対向電極2と配向膜4を設け、第二表示面側35の基板1上には、スイッチング素子10と配向保持手段11の構成に対応したパターン状の、ITOからなる画素電極3を設け、その素子10と画素電極3面上には、絶縁層を介して配向膜4を設けた。第二表示面側35の基板もう一方の面には、透明な記録部26を格子状に設けた。形成された行xnと列ymの交差点(xn,ym)は、読み出し/書き込み情報として固有化して、デジタル情報として利用することができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、調光素子に多種応用可能な液晶ゲル組成物が提供されると共に、低電圧駆動が可能な高コントラスト比を有する表示媒体、表示装置、及び表示体が提供され、さらには、デジタル情報付加機能を有する表示媒体、表示装置、及び表示体が提供され、液晶を用いた表示分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶ゲル組成物の相状態を示すDSC曲線である。
【図2】液晶ゲル組成物の電圧と光透過率の関係を示すである。
【図3】本発明による表示装置の一例を示す断面図である。
【図4】本発明による表示装置の別の一例を示す断面図である。
【図5】図4に示す表示装置の別の一例を示す上面透視図である。
【符号の説明】
1 基板
2 対向電極(電極)
3 画素電極(電極)
6 ゲル化剤
10 スイッチング素子
11 配向保持手段(保持手段)
20 印刷層
21 印刷保護層
22 第二保護層(保護層)
23 磁気記録部(記録部)
24 集積回路メモリ
25 保護層
26 記録部
Claims (23)
- 請求項1記載の液晶ゲル組成物と、該液晶ゲル組成物を一対の電極を有する基板間に挟持した基板からなることを特徴とする表示媒体。
- 前記表示媒体の少なくとも一部分に保護層を設けることを特徴とする請求項2記載の表示媒体。
- 前記表示媒体の少なくとも一部分、及び/又は保護層上の少なくとも一部分に、印刷層を設けることを特徴とする請求項3記載の表示媒体。
- 前記印刷層上に印刷保護層を設けることを特徴とする請求項4記載の表示媒体。
- 前記表示媒体において、情報記録部を設けることを特徴とする請求項2記載の表示媒体。
- 前記情報記録部が磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部であることを特徴とする請求項6記載の表示媒体。
- 前記情報記録部が集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ、又は光メモリーであることを特徴とする請求項6記載の表示媒体。
- 前記情報記録部が光の作用により情報記録の読み出しが可能な透明な記録部であることを特徴とする請求項6記載の表示媒体。
- 前記情報記録部の情報が、表示媒体の表裏を示す情報及び/又は表示媒体の位置を示す情報であることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の表示媒体。
- 請求項2記載の表示媒体と、画像信号に応じて表示媒体に電界を印加することのできるスイッチング素子からなることを特徴とする表示装置。
- 前記表示媒体、前記スイッチング素子、及び該スイッチング素子に形成された液晶ゲル組成物の状態を保持する保持手段からなることを特徴とする請求項11記載の表示装置。
- 前記表示装置の少なくとも一部分に保護層を設けることを特徴とする請求項11又は12記載の表示装置。
- 前記表示装置の少なくとも一部分、及び/又は保護層上の少なくとも一部分に、印刷層を設けることを特徴とする請求項13記載の表示装置。
- 前記印刷層上に印刷保護層を設けることを特徴とする請求項14記載の表示装置。
- 前記表示装置において、情報記録部を設けることを特徴とする請求項11又は12記載の表示装置。
- 前記情報記録部が磁気の作用により情報記録の書き込みと読み出しが可能な記録部であることを特徴とする請求項16記載の表示装置。
- 前記情報記録部が集積回路メモリ、非接触集積回路メモリ、又は光メモリーであることを特徴とする請求項16記載の表示装置。
- 前記情報記録部の情報が、表示媒体の表裏を示す情報及び/又は表示媒体の位置を示す情報であることを特徴とする請求項16〜18の何れかに記載の表示装置。
- 前記画像信号に応じて前記表示装置に電界を印加することのできるスイッチング素子が、薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項11又は12記載の表示装置。
- 請求項1〜20の何れかに記載の表示媒体又は表示装置が、その一部又は全てを占めることを特徴とする表示体。
- 前記表示体が、表示カード、表示シート、表示ディスプレイ又は表示型看板であることを特徴とする請求項21に記載の表示体。
- 表示カード、表示シート、表示ディスプレイ又は表示型看板が、可撓性を有することを特徴とする請求項22に記載の表示体。
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