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JP4288672B2 - 粒子凝集と希釈による親和性物質の測定方法 - Google Patents
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粒子凝集と希釈による親和性物質の測定方法 Download PDF

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本発明は担体粒子の凝集反応を利用した親和性物質の測定方法、および装置に関する。
親和性物質の存在を検出または測定する方法としては、例えば、酵素免疫測定法、あるいは放射線免疫測定法などが従来から用いられている。いずれの方法においても、親和性物質をその結合パートナーと結合させ、両者の結合レベルに基づいて、親和性物質が測定される。これらの方法は高感度であり精度も高い。しかし酵素、あるいは放射性同位元素を標識として使用するため試薬が不安定である。また放射性同位元素の利用にあたっては、保管および保存上の規制があることから、測定において細かい配慮や技術を要求される。そのため、より簡便な測定方法が求められていた。またこれらの方法は測定に比較的長時間を要するため、緊急な検査に対応することが難しい。これらの背景のもとで、高感度且つ迅速な測定方法が盛んに研究されるようになった。
1970年以降、親和性物質と結合パートナーとの結合を担体粒子の凝集を指標として測定する分析方法が実用化された。この方法は、担体粒子の凝集の程度を光学的に測定することによって、定量的な分析を可能とした。たとえば担体粒子としてラテックス粒子を利用した、免疫学的粒子凝集反応を光学的に測定する方法は、ラテックス凝集比濁法(Latex Agglutination Turbidimetry)と呼ばれている。これらの分析方法における反応温度は、一般的には37〜45℃の範囲で行われ、撹拌翼などによって撹拌することにより特異的凝集反応が進行する。このとき測定(反応)に要する時間は、およそ10〜20分で、酵素免疫測定法、あるいは放射線免疫測定法に比べ迅速である。一方、測定感度、あるいは測定範囲については、酵素免疫測定法等に比べ劣るといわれている。
ラテックス凝集法における粒度分布測定法も公知である(非特許文献1/カムビアソら, J. Immunol. Methods 18, 33, 1977、非特許文献2/松沢ら,化学と工業, 第36巻, 第4号, 1982)。ラテックス凝集比濁法が、粒子懸濁液の光の透過度を測定するのに対して、粒度分布測定法においては分散した個々の粒子の状態や数が測定される。カンビアソらの報告においては、粒子径0.8μmのラテックスに抗体を結合させた試薬と抗原とを37℃で20分間反応させた。反応後の粒子数を計数し、凝集による粒子数の減少のレベルに基いて抗原を測定した。粒子数は、レーザー散乱光を原理とした計数機で測定した。
一方、松沢らは、粒子径1μmのラテックス粒子に抗体を結合させた試薬を抗原と6時間反応させた。反応後、電気抵抗法により平均粒子容積を計測して、抗原を測定した。しかし、実用化されて普及したのはシースフローによるレーザー散乱法を用いたPAMIAシステム(株式会社シスメックス)のみである。PAMIAでは、粒子径0.78μmのラテックス粒子が使用されている。45℃で15分間の反応後にラテックス粒子を計数して免疫測定を行うものである。PAMIAは、ラテックス凝集比濁法に比べ高感度化されているが、放射免疫測定法(RIA)や酵素免疫測定法(EIA)といった高感度免疫測定に比べると感度は劣るといわれている。
ラテックス凝集比濁法においては、一般に粒子径0.05〜0.6μmのラテックス粒子が用いられている。ラテックス凝集粒度分布解析法の場合は、このように小さい粒子では、測定妨害物質の影響を受けやすい。たとえば、血液や尿などの体液中には、脂質、蛋白、血球成分などが共存する。これらの共存物質は担体粒子との識別が難しい。そのため担体粒子を正しく計数できない場合がある、これらの測定妨害物質の影響を避けるために、比較的大きい粒子が使用されてきた。一方で、松沢らのように1μm程度の粒子径になると、凝集反応が起こりにくくなるため、0.8μm程度のラテックス粒子が用いられていた。また、松沢らが平均粒子容積を計測するのに使用したアパーチャー(細孔)の口径は30μmである。このサイズではアパーチャーの詰まりの影響を受けやすい。しかし、これより大きい口径のアパーチャーでは0.8〜1μmの粒子の検出はできなくなる。
更に、親和性物質と結合パートナーの結合に基づく担体粒子の凝集を促進し、また形成される凝集塊の検出を容易にするために、反応系に交流電圧を印加する方法が公知である(特開平7−83928号/特許文献1)。この方法は、担体粒子の凝集により親和性物質の存在を検出又は測定する方法であって、10mM以上の塩の共存下に5〜50V/mmの電界強度になるように交流電圧を該反応系に印加することを特徴とする。
結合パートナーを保持した担体粒子は、電場に置かれると電場に沿ってに並ぶ(パールチェイン化)。その後電場を停止すると並んでいた担体粒子が再分散する。パールチェイン化の際に親和性物質が存在すると、結合パートナーが親和性物質と結合する。その結果、電場を停止後も担体粒子の再分散が起こらず、パールチェイン化した担体の存在がなおも認められる。前記測定方法は、この現象を利用している。すなわち、電場においては、親和性物質の反応が促進される。そして電場を停止後に担体粒子を再分散させれば、反応生成物である担体粒子の凝集塊を検出することができる。
特開平7−83928号 カムビアソら, J. Immunol. Methods 18, 33, 1977 松沢ら,化学と工業, 第36巻, 第4号, 1982
上記のように、担体粒子の凝集を計数して親和性物質を測定する方法においては、凝集塊と凝集しなかった担体粒子の識別結果が、測定結果に大きな影響を与える。しかし担体粒子が凝集塊を形成していない場合でも、粒子同士が重なって見える位置関係にあると、凝集塊として計数されてしまう可能性がある。本発明者らは、粒子の三次元情報に基づいて、凝集粒子を計数することによって、粒子間の重なりの問題が解消できることを確認した。しかし、三次情報に基づく解析においてもなお、粒子濃度が濃い状態では複数の粒子が同時に検出されることがある。すなわち、凝集していない複数の担体粒子が凝集塊として計数される場合があることが確認された。
予め粒子濃度を低く設定しておけば、凝集粒子の識別における粒子の重なりを避けられるかもしれない。しかし粒子濃度が低い条件下では、パールチェイン化が困難である。パールチェイン化による粒子凝集反応のためには、ある程度の粒子濃度が必要である。つまり、パールチェインの形成工程においては粒子濃度を高くし、次に凝集粒子の検出工程においては粒子濃度を低くすることができれば理想的である。粒子濃度を低くするためには、たとえば担体粒子を含む反応液を希釈すればよい。
しかし実際には、反応液の希釈によって、免疫学的な結合によって形成された凝集塊が崩壊する。その結果、凝集粒子の数が実際よりも低く計数される。つまり希釈によって負誤差が生じることになる。本発明の課題は、パールチェイン化によって形成された凝集塊の検出にあたり、希釈の影響を受けにくい、親和性物質の測定方法と、そのための装置の提供である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、担体粒子の凝集塊の検出工程について検討を重ねた。そして、パールチェイン化後の反応液を希釈する工程において、凝集塊を形成する結合を強化することができる手段を利用すれば、希釈にともなう不利益を解消できると考えた。更に、希釈による不利益の防止に有効な手段を明らかにして、その効果を確認し本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の測定方法、および測定装置に関する。
〔1〕次の工程(1)-(3)または(1’)-(3’)を含む、親和性物質の測定方法において、工程(3)または(3’)の前に、親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合を強化する手段により反応液を希釈する工程を含む方法。
(1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合した反応液に、電圧パルスを印加する工程、
(2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および
(3)工程(2)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程、または
(1')測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合した反応液に電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集が阻害される工程、
(2')工程(1')の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および、
(3')工程(2')の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
〔2〕反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合する工程である〔1〕に記載の方法。
〔3〕電圧パルスが交流電圧である〔2〕に記載の方法。
〔4〕交流電圧が2KHz〜20MHzの周波数である〔3〕に記載の方法。
〔5〕反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合後、電場を停止後に更に付加的に担体粒子を希釈する工程を含む〔2〕に記載の方法。
〔6〕反応液を希釈する工程が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加した後に反応液と混合するか、あるいは前記結合強化剤を含む希釈液で反応液を希釈する工程である、〔2〕に記載の方法。
〔7〕反応液を希釈する工程が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加した後に反応液を希釈液と混合するか、あるいは前記結合強化剤を含む希釈液で反応液を希釈する工程である、〔1〕に記載の方法。
〔8〕測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合が免疫学的な結合である〔7〕に記載の方法。
〔9〕抗原が蛋白質抗原であり、結合強化剤がグルタルアルデヒド、およびカルボジイミドから選択されるいずれか、または両方の化合物である〔8〕に記載の方法。
〔10〕反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合する工程である〔7〕に記載の方法。
〔11〕工程(1)または(1’)における電圧パルスが交流電圧パルスである〔1〕に記載の方法。
〔12〕工程(1)または(1’)において、電圧パルスを複数回与えることを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔13〕工程(1)または(1’)において、電圧パルスを印加後に、担体粒子を分散させてから次の電圧パルスを印加する工程を含む、〔12〕に記載の方法。
〔14〕複数回の電圧パルスが、異なる方向の電圧パルスである〔12〕に記載の方法。
〔15〕担体粒子の平均粒子径が、1μm以上である〔1〕に記載の方法。
〔16〕担体粒子の平均粒子径が、1μm〜20μmである〔15〕に記載の方法。
〔17〕工程(2)または(2’)において、凝集塊および凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれか、または両方を、その三次元情報を指標として計数する〔1〕に記載の方法。
〔18〕工程(2)または(2')において、凝集塊または担体粒子の三次元情報を、物理的に測定する〔17〕に記載の方法。
〔19〕三次元情報を物理的に測定するための方法が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法である〔18〕に記載の方法。
〔20〕以下の要素を含む、測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質との結合を、前記担体粒子の親和性物質または凝集試薬による凝集を指標として測定するための測定装置。
a:測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質を含む試料を含む反応液、または更に付加的に凝集試薬含む反応液を保持するための空間、
b:反応液に電圧パルスを印加するための手段、
c:反応液を希釈するための手段、および
d:反応液に含まれる担体粒子と担体粒子の凝集塊のいずれか、または両方を計数するための手段
〔21〕反応液を希釈するための手段が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合するための手段である〔20〕に記載の装置。
〔22〕反応液を希釈するための手段が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加するための手段を含む、〔20〕に記載の装置。
電圧パルスを印加した反応液において、担体粒子に保持された結合パートナーと親和性物質(あるいは凝集試薬)との結合反応によって凝集塊が形成される。本発明においては、凝集塊の検出にあたり、この結合反応を強化する手段によって反応液を希釈した後に、凝集塊が検出される。結合反応を強化する手段としては、電圧パルス印加条件下における反応液の希釈、あるいは結合強化剤を用いることができる。結合反応を強化する手段の採用によって、凝集塊の希釈に伴う種々の障害を避けることができる。
すなわち、希釈された担体粒子は、互いに重なって検出される可能性が小さい。その結果、粒子の重なりを誤って凝集塊として検出する誤差を防ぐことができる。一方、凝集塊の構造は結合の強化によって維持される。そのため、希釈に伴って凝集塊が崩壊して検出できなくなる問題を避けることができる。こうして、本発明によって、再現性と感度の向上を実現することができる。
本発明によって、たとえば、担体粒子の凝集を指標とする免疫学的結合反応を利用した測定方法の感度の上昇、あるいは再現性の向上を実現することができる。本発明は、上記反応の最適化に貢献する。
本発明は、次の工程(1)-(3)または(1')-(3')を含む、親和性物質の測定方法において、工程(3)または(3’)の前に、親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合を強化する手段により反応液を希釈する工程を含む方法である。
(1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合した反応液に、電圧パルスを印加する工程、
(2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および
(3)工程(2)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程、または
(1')測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合した反応液に電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集が阻害される工程、
(2')工程(1')の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および、
(3')工程(2')の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
本発明における反応液の希釈工程は、前記工程(3)または(3')の前に、親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合を強化することができる任意の手段によって実施することができる。たとえば、反応液を電圧パルスの印加条件下で希釈する方法は、本発明における好ましい希釈方法である。より具体的には、電圧パルスを印加した希釈液に、反応液を添加することにより、希釈が行われる。希釈液は電極の間に配置され、電圧パルスが印加される。言い換えれば、対向する電極間に希釈液が配置される。
本発明の希釈工程は、反応液に電圧パルスが印加された条件下で希釈される限り、電極の大きさや電極の間隔は特に限定はされない。すなわちパールチェイン化後の反応液と希釈液との初期の接触が対向電極を挟む電界の中で行われることを特徴とする。例えば、図6(B)に示す希釈方式では、電極の大きさは(幅)2〜12mm×(長さ)10〜50mm×(厚さ)0.01〜0.04mm、電極間距離は5〜20mmでほぼ同等の効果が確認されている。
また、電圧パルスは交流電圧が好ましい。電圧パルスの印加条件は、反応液および希釈液の電気分解を誘発しない任意の条件とすることができる。電圧パルスの電圧は、例えば0.1Vから1.2V、より好ましくは0.3から0.9Vである。電圧パルスの周波数はたとえば2KHzから20MHz、より好ましくは10KHzから500KHzである。電圧パルスには、任意の波形を用いることができる。具体的には、方形波、正弦波、三角波などがを示すことができる。より好ましい電圧パルスは、方形波である。本発明においては、少なくとも反応液と希釈液が接触する瞬間を含む時間帯において、電圧パルスが印加されていることが望ましい。印加時間はごく短時間であっても希釈における結合の強化作用を期待することができる。より具体的には、0.5−30秒、通常1−10秒、たとえば1−5秒である。
希釈液には、塩を含む溶液を用いることができる。具体的には、50mMから600mMの塩が添加された、生理食塩水、グリシン緩衝液、りん酸緩衝液などを用いることができる。塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどを示すことができる。希釈液には、アジ化ナトリウムなどの防腐剤やTriton X-100などの界面活性剤、グリセリン、ショ糖などが含まれていてもよい。
本発明においては、凝集塊を構成する親和性物質(または凝集試薬)と結合パートナーの結合反応は強化される。電圧パルスによってもたらされた電界によるダイポールモーメント効果が、両者の結合を強化するためと考えられた。いずれにせよ、電圧パルス印加条件下での希釈により、凝集塊の崩壊は抑制され、凝集塊を維持したまま反応液の希釈を実現できることが確認された。
あるいは、親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合を強化することができる希釈手段として、両者の結合を強化しうる結合強化剤を利用することができる。本発明において結合強化剤とは、反応液への添加によって、両者の結合を強化することができる成分を言う。たとえば、蛋白質間の結合は、グルタルアルデヒドあるいはカルボジイミドなどの化合物の添加によって強化される。したがって、蛋白質抗原と抗体との免疫学的な結合は、グルタルアルデヒドあるいはカルボジイミドなどによって強化することができる。これらの化合物は、本発明における結合強化剤として好ましい。
結合強化剤は、親和性物質と結合パートナーの官能基に作用して両者を化学的に結合する。あるいは凝集阻止反応系においては、凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する。その結果、両者の結合によって形成された凝集塊が、物理的に高度な安定性を獲得する。例えば、親和性物質あるいは凝集試薬、および結合パートナーが蛋白質であれば、分子内にはアミノ基やカルボシキル基がある。これらの官能基は、グルタルアルデヒドやカルボジイミドなどの化学物質で架橋される。
反応液中における結合強化剤の濃度は、結合強化剤の種類に応じて適宜設定することができる。より具体的には、例えばグルタルアルデヒドの場合、反応液における終濃度は、通常0.1〜25%、好ましくは0.2〜18%である。結合強化剤は、親和性物質と結合パートナーとの結合体を含む反応液の希釈前に、反応液に添加すればよい。結合強化剤の添加後の反応液は、好ましくは37℃で数秒〜20秒程度、好ましくは2〜10秒、あるいは2〜5秒のインキュベート後、希釈することができる。結合強化剤にグルタルアルデヒドあるいはカルボジイミドを用いた場合には、反応液に添加後、直ちに希釈することもできる。
結合強化剤の添加は、本発明における希釈工程として有効である。本発明においては、更に、先に述べた電圧パルス印加条件下での希釈工程に、結合強化剤を組み合わせることもできる。すなわち、反応液に結合強化剤を添加した後に、先に述べた条件に従って、電圧パルス印加条件下で、反応液を希釈することができる。あるいは、結合強化剤を添加された希釈液を利用して、先に述べた条件に従って、電圧パルス印加条件下で、反応液を希釈することもできる。両者を組み合わせることによって、結合の強化作用が強められる。
本発明において、反応液の希釈とは、反応液と希釈液との混合によって、反応液中における担体粒子の濃度を低下させることを言う。反応液における担体粒子の濃度は、試料の量と試薬として供給される担体粒子の量によって決定される。更に本発明においては、反応液における担体粒子の濃度は、通常、パールチェイン化によって担体粒子の凝集を促進することができる範囲に設定される。具体的には、反応液における担体粒子の濃度は、通常0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。これに対して、たとえば100倍以上、通常1000倍以上、具体的には1000〜100000倍、好ましくは2000〜40000倍に希釈することができる。希釈後の担体粒子の濃度は0.1×10−5〜0.005重量%、好ましくは0.00001〜0.001重量%である。
本発明において親和性物質、および親和性物質との結合活性を有する結合パートナーとは、結合反応を構成することができるあらゆる物質の組み合わせを含む。すなわち、ある物質とある物質とが結合するとき、一方が親和性物質であり、他方は結合パートナーである。本発明における親和性物質および結合パートナーは、天然の物質であることもできるし、人工的に合成された化合物であってもよい。また親和性物質および結合パートナーは、精製された物質であることもできるし、不純物の共存も許容される。更に、親和性物質および結合パートナーは、細胞やウイルスの表面に存在していてもよい。
本発明において、親和性物質と結合パートナーとの結合反応の例として、たとえば次のような反応を示すことができる。これらの反応を構成する物質は、いずれも本発明における親和性物質または結合パートナーとすることができる。
抗原またはハプテンと抗体との反応(免疫反応)
相補的な塩基配列を有する核酸間のハイブリダイゼーション
レクチンとそのレセプターとの反応
レクチンと糖鎖の反応
リガンドとレセプターの反応
DNAと転写調節因子の反応
上記結合反応の中で、本発明における好ましい結合反応として、たとえば免疫反応を示すことができる。免疫反応を構成する抗原として、次のような物質を示すことができる。これらの抗原は、抗原分子そのもののみならず、その断片や、細胞表面に存在した状態であっても良い。なおこれらの物質は抗原物質の例であり、これら以外の抗原物質に本発明を応用できることは言うまでも無い。たとえば、ラテックス、血球等を担体として使用する免疫学的凝集反応に基づく測定が可能な抗原性物質は、いずれも本発明における親和性物質とすることができる。
腫瘍マーカー:
AFP、CEA、CA19−9、PSA等
凝固線溶糸マーカー:
プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン(AT)III、FDP、FDP−D−ダイマー等
感染症マーカー:
CRP、ASO、HBs抗原等
ホルモン:
甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン、インシュリン等
組織成分:
ミオグロビン、ミオシン、ヘモグロビン等
その他:
DNA等の核酸など
抗原性物質とそれを認識する抗体は、いずれかを親和性物質として、そして他方を結合パートナーとして利用することができる。本発明において親和性物質とは、当該物質を測定対象とするときに、親和性物質と呼ぶ。他方、結合パートナーとは、親和性物質を測定するためにプローブとして利用することができる、当該親和性物質に対する結合活性を有する物質を言う。したがって、抗原を測定するときには、抗体を結合パートナーとして利用することができる。逆に、抗体を測定するときには、該抗体が認識する抗原を結合パートナーとして利用することができる。たとえば、ラテックス、血球等を担体として使用する免疫学的凝集反応に基づく測定が可能な抗体は、いずれも本発明における親和性物質とすることができる。HBs(B型肝炎ウイルス表面抗原)、HBc(B型肝炎ウイルスコア抗原)、HCV(C型肝炎)、HIV(AIDSウイルス)、TP(梅毒)等に対する抗体が、免疫学的凝集反応によって測定されている。
親和性物質と結合パートナーとの反応を担体粒子の凝集を指標として測定するためのいくつかの反応原理が公知である。これらの反応原理は、いずれも本発明に応用することができる。以下に担体粒子の凝集を指標とする、親和性物質と結合パートナーとの反応を利用した測定原理を例示する。
直接凝集反応:
測定対象物質と担体粒子上の結合パートナーとの反応による、担体粒子の凝集が検出される。たとえば、抗原分子を結合パートナーである抗体によって測定する場合が、この原理に含まれる。あるいは逆に、抗原を結合した担体粒子の凝集を指標として、親和性物質である抗体を測定する場合も、この原理に含まれる。直接凝集反応においては、通常、凝集粒子のレベルと測定対象物質である親和性物質の量は正比例する。すなわち、凝集塊の形成レベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)が高い。逆に、凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)は低い。
凝集阻止反応:
ハプテンと呼ばれる低分子抗原は、担体粒子の凝集に必要な抗原を介した架橋構造を作りにくい。そのため、直接凝集反応の原理ではハプテンを検出することができない。そこで、複数分子のハプテンまたはそのエピトープを含む断片を担体に結合したポリハプテンと、担体粒子上の抗体との結合による凝集反応が利用される。ポリハプテンは、複数の抗体分子を架橋することができるので、担体粒子を凝集させる。しかしハプテンが存在すると、ポリハプテンと抗体との反応が阻止され、担体粒子の凝集が阻止される。凝集阻止のレベルは、ハプテンの存在と正比例する。言い換えれば、測定対象物質の量と、凝集反応のレベルは逆比例する。すなわち、凝集塊の形成レベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)が低い。逆に、凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルが高いときには、親和性物質のレベル(すなわち濃度)は高い。
ハプテンに分類される測定対象抗原には、以下のような成分が挙げられる。
ホルモン:
エストロゲン、エストラジオール
薬剤:
テオフィリン
本発明においてハプテンを凝集阻止反応の原理に基づいて測定するためには、ハプテンに対する抗体を結合した担体粒子を凝集させることができる成分が必要である。ハプテンに対する抗体を結合した担体粒子を凝集させることができる成分を、本発明においては凝集試薬と言う。凝集試薬は、抗体との特異的な親和性を有し、かつ抗体との結合によって担体粒子を架橋する作用を有する試薬と定義される。先に述べたポリハプテンは、ハプテンの測定において凝集試薬として用いることができる。
直接凝集反応であれ、凝集阻止反応であれ、予め一定量の親和性物質を含む標準試料について同じ反応系で測定して、凝集塊あるいは凝集しなかった担体粒子のレベルを測定して標準曲線、または回帰式を作成しておくことができる。試料の測定によって得られた凝集塊の形成レベルおよび凝集しなかった担体粒子のレベルのいずれかを、標準曲線あるいは回帰式に適用すれば、試料中の親和性物質のレベルを決定することができる。
本発明において、結合パートナーは、担体粒子に結合して用いられる。本発明の担体粒子としては、ラテックス粒子、カオリン、金コロイド、赤血球細胞、ゼラチン、リポソーム等が挙げられる。ラテックス粒子としては、凝集反応において一般に用いられているものが使用できる。ポリスチレン系ラテックス、ポリビニルトルエン系ラテックス、ポリメタクリレート系のラテックス粒子が公知である。好ましい粒子担体はポリスチレン系ラテックス粒子である。官能基を有するモノマーの共重合によって、ラテックス粒子表面に官能基を導入したラテックス粒子を用いることもできる。たとえば、−COOH、−OH、−NH2 、−SO3等の官能基を有するラテックス粒子が公知である。官能基を有するラテックス粒子には、結合パートナーを化学的に結合させることができる。
担体粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、0.3〜20μmが好ましい。平均粒径が0.3μm以下、または20μm以上であるとパールチェインが形成されにくく好ましくない。担体粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、さらに好ましくは2〜10μmである。また、誘電分極が大きい楕円形粒子を用いることにより、より小さい担体粒子を使用することもできる。
このように、公知のラテックス凝集比濁法における担体粒子が0.05〜0.6μmであるのと比べ、本発明の方法においては1μm以上の大きなサイズの粒子を利用することができる。電圧パルスを印加する工程の利用によって凝集反応が促進される結果、大きなサイズの粒子であっても短時間で十分な反応が進行するためである。担体粒子が大きいことは、以下のような利点につながる。まず、粒子を計測するためのアパーチャーサイズを大きくすることができる。その結果、アパーチャーが詰まりにくくなる。また、担体粒子が大きくなることによって、体液に含まれる測定妨害物質との識別が容易になる。その結果、測定精度が向上する。
結合パートナーと粒子担体は、それぞれの素材に応じた方法によって結合させることができる。当業者は、両者の結合方法を適宜選択することができる。たとえばラテックス粒子には、抗原や抗体、あるいはそれらの断片などの蛋白質を物理吸着することができる。表面に官能基を有するラテックス粒子においては、当該官能基との共有結合が可能な置換基を化学的に結合させることができる。たとえば、−COOHを有するラテックスには、蛋白質の−NH2を結合させることができる。
結合パートナーを結合させた担体粒子は、必要に応じてブロッキングすることができる。具体的には、担体粒子表面を不活性蛋白質で処理することによって、担体粒子表面に対する非特異的な蛋白質の結合を防止することができる。不活性蛋白質としては、ウシ血清アルブミンや脱脂粉乳などを用いることができる。更に、担体粒子の分散性を向上させるために、分散媒に界面活性剤や糖類を加えることができる。また、微生物の繁殖を防ぐために、粒子担体に抗菌剤を添加することもできる。
本発明は、親和性物質と結合パートナーを結合した担体粒子を含む反応液に電圧パルスを印加する工程を含む。反応液に電圧パルスを印加して、凝集反応を行わせる方法は公知である(特開平7−83928号)。電圧パルスの印加によって担体粒子が電界に沿って整列し、親和性物質と担体粒子上の結合パートナーとの結合反応が促進される。
このとき、凝集阻止反応の原理を利用する場合には、親和性物質と担体粒子は、凝集試薬の共存下で整列させられる。凝集試薬は、担体粒子と測定対象親和性物質との接触の後に接触させることができる。あるいは予め測定対象親和性物質と凝集試薬を混合した後に担体粒子を添加することによって、3つの成分を同時に接触させることができる。そして、凝集試薬と結合パートナーとの反応によって凝集塊が形成され、親和性物質は両者の結合を阻害する。
電圧パルスには交流成分、または直流成分を利用することができる。両者を任意に組み合わせることもできる。反応液は電気分解を起こしやすいので交流電圧が好ましい。交流電圧には、方形波、矩形派、あるいは正弦波等を用いることができる。反応液(試薬)のイオン強度により、交流電圧の電源周波数を任意に設定することができる。交流電圧は波高値で示したとき、5〜50V/mmの電解強度が得られるように印加する。電解強度が5V/mmよりも小さいと担体のパールチェイン化が起こりにくく、したがって凝集反応の促進が不十分となる。電解強度が50V/mmを超えると反応液の電気分解が起こりやすく、凝集反応の測定が困難となる。より好ましくは10〜20V/mmの電界強度が得られるように印加する。交流の周波数は10KHz〜10MHzの周波数が好ましい。より好ましくは50KHz〜1MHzの周波数である。
本発明において、工程(1)または(1')の反応液に電圧パルスを印加する回数は制限されない。すなわち、1回以上、たとえば1〜20回、通常1〜10回、あるいは1〜5回、断続的に電圧パルスを印可することができる。断続的な印加によって、担体粒子の分散と整列が繰り返される。その結果、担体粒子上の結合パートナーと親和性物質、あるいは凝集試薬との接触の機会が増える。すなわち、断続的な電圧パルスの印加によって反応促進効果が期待できる。本発明において、電圧パルスを複数回印加するとき、反応液に対して異なる方向から電圧パルスを印加することができる。具体的には、複数組の電極を反応液内に配置し、通電する電極を変えることによって、反応液に対して異なる方向の電圧パルスを与えることができる。あるいは、反応液内の電極を移動させ、電圧パルスの方向を変化させることもできる。電極を固定し、反応液を収容した空間を動かすことによって、同様の効果を得ることもできる。
更に複数回の電圧パルスの印加の間に、担体粒子を分散させることもできる。分散工程を介在させることによって、結合パートナーと親和性物質、あるいは凝集試薬との接触の機会を、更に増加させる効果が期待できる。反応液の攪拌、振とう、あるいは反応液に振動を与えることにより、電圧パルスの印加の間に担体粒子を分散させることができる。
反応系中の担体粒子の濃度が高いほどパールチェインが形成されやすいので凝集反応が促進される。また、担体粒子の濃度が高いほど親和性物質が存在しない場合に再分散したときの担体粒子の凝集率が大きくなる傾向がある。反応系中の担体粒子の濃度は、例えばラテックス粒子の場合、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明において、反応液には凝集反応を促進する塩を添加することができる。たとえば、10mM以上の比較的高い濃度で塩を添加することにより、凝集反応を促進することができる。ただし塩の濃度が反応系中に600mM以上の濃度で存在すると反応液の電気分解が起こり易くなるので好ましくない。より好ましい塩の濃度は10〜300mM、最も好ましい塩の濃度は25〜150mMである。生体試料自身が凝集反応を促進する塩を含有している可能性がある場合には、反応液中の最終塩濃度が上記の範囲に入るように試薬の塩濃度を調整すると良い。なお電圧パルスとして直流成分を用いる場合では約6mMの塩濃度の反応液でも電気分解が起こるため、塩の存在下では生物学的特異的凝集反応の測定は困難である。
本発明における塩は、生物学的特異的凝集反応を促進するものの中から選択され得る。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウムが挙げられるがこれに限定されるものではない。モル電気伝導度が10mM、25℃の水溶液において100cm2/(Ω・mol)以上の値を示す塩は、本発明に用いる塩として好ましい。より具体的には、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化アンモニウム等を好ましい塩として示すことができる。
また、本発明は、測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合した該反応液に電圧パルスを印加してパールチェイン化することにより、特異的な反応によって凝集塊を形成し、電圧パルスを停止してもこれらの再分散はおこらないが、比較的強度の物理的な外力が加わると凝集塊が崩壊することがあり、正確な測定ができないことから、この特異的な反応により形成された凝集塊を安定化するため、これを形成する担体粒子に付着するタンパクの官能基に対して、更にこれらを化学的な結合で補強することを特徴とする。本発明による操作は担体粒子を希釈する前の工程で実施することが好ましい。
本発明において、親和性物質を含む検体は制限されない。すなわち、測定対象である親和性物質を含む任意の試料を検体として利用することができる。たとえば、血液試料、咽頭などの局所から採取された試料、唾液、喀痰、尿、あるいは便は代表的な生体試料である。その他、生体から採取されるあらゆる生体材料は、生体物質測定用の検体として本発明に利用することができる。更に、これらの生体試料を培養することによって得ることができる培養物も、本発明の検体として利用することができる。生体材料は、そのまま、あるいは必要に応じて処理した後に、検体とすることができる。たとえば、生体材料は分画、希釈、溶解、抽出などの処理を経て、検体とすることができる。
また本発明は、以下の要素を含む、測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質との結合を、前記担体粒子の親和性物質または凝集試薬による凝集を指標として測定するための測定装置を提供する。本発明の測定装置の構成例を図1に示した。
a:測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質を含む試料を含む反応液、または更に付加的に凝集試薬含む反応液を保持するための空間、
b:反応液に電圧パルスを印加するための手段、
c:反応液を希釈するための手段、および
d:反応液に含まれる担体粒子と担体粒子の凝集塊のいずれか、または両方を計数するための手段
本発明において、a:反応液を保持するための空間は、反応液を保持するための任意の空間を利用することができる。微量の試料を反応させるためには、小容量の空間であることが有利である。たとえば1μL〜10mL、好ましくは10〜500μL程度の空間を利用することができる。この空間は、必要に応じて、試料や試薬の供給手段、あるいは後に述べる担体粒子の計測手段を装備することもできる。空間に収容される反応液は、測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象である親和性物質を含む試料で構成される。あるいは凝集阻止反応系においては、更に凝集試薬成分が添加される。
次に本発明におけるb:反応液に電圧パルスを印加するための手段について説明する。電圧パルスは、反応液に接触した電極を通じて印加される。担体粒子を電場に整列されるための電極は、たとえば先に記載した先行技術文献においても利用されている。これら公知の電極を、本発明に利用することができる。本発明の装置には、電極に電圧を供給するための電源を装備することができる。
本発明の装置における電圧パルスを印加するための電極は、少なくとも1組(2つ)の電極で構成される。複数の異なる方向の電圧パルスを与えるために、3以上の電極を備えることもできる。たとえば、3つの電極A、B、Cを配置し、A−B間、B−C間、およびA−C間の3つの方向の電圧パルスを印加することができる。この他、2組(4つ)の電極を配置し、直行する電圧パルスを印加することもできる。
更に、異なる方向の電圧パルスを印加するために、電極を駆動する機構を備えることができる。たとえば、反応液の中で電極を回転させることにより、複数の異なる方向から電圧パルスを印加することができる。更に本発明の装置は、反応液をかくはんする手段、反応液を振とうする手段、あるいは反応液に振動を与える手段を備えることができる。これらの手段は、いずれも、複数回の電圧パルスの間に担体粒子を分散させるための手段として有用である。
本発明の装置は、c:反応液を希釈するための手段を有する。本発明において、反応液を希釈する手段を、以下、希釈手段と記載することがある。希釈手段は、たとえば、希釈液を保持し、反応液の少なくとも一部を採取して、希釈液と混合するための機構によって構成される。また希釈手段は、所定の希釈倍数を与える希釈液を収容できる空間から構成される。本発明における希釈倍数は、たとえば100倍以上、通常1000倍以上、具体的には1000〜100000倍、好ましくは2000〜40000倍である。
本発明の希釈手段は、好ましくは、凝集塊を形成している結合を強化することができる機構を備えることが望ましい。具体的には、電圧パルス印加条件下で、反応液と希釈液を混合できる希釈手段は、本発明において好ましい希釈手段である。
たとえば、前記希釈液を保持する空間に、希釈液に対して電圧パルスを印加するための電極を配置することができる。あるいは本発明における希釈手段は、反応液に結合強化剤を添加するための機構を含むことができる。これらの凝集塊を形成している結合を強化するための構成は、単独で、あるいは両者を組み合わせて装備することができる。
更に本発明の装置は、d:反応液に含まれる担体粒子と担体粒子の凝集塊のいずれか、または両方を計数するための手段を含む。該計数手段は、たとえば、希釈された反応液に含まれる担体粒子を解析するための機構を含む。あるいは希釈液を保持する空間から希釈された反応液を取り出して計数手段に導入した後に、粒子を計数することもできる。担体粒子あるいは凝集塊は、二次元的な画像情報、あるいは三次元的な物理的な情報に基づいて解析することができる。
三次元情報を指標として凝集した、またはしなかった担体粒子を計数する手段としては、コールター原理、あるいはレーザー回析散乱法を利用した計測手段を利用することができる。コールター原理のためには、たとえば前記空間内の反応液を、コールター原理のための電極を備えたアパーチャーに導入して、必要な解析が行われる。レーザー回析散乱法を利用する場合も同様に、解析のための光学セルに反応液を導入して解析すればよい。三次元情報を指標とする担体粒子および/または凝集塊の解析機構は、本発明における計数手段として好ましい。
本発明において、電場においてパールチェイン化された担体粒子は、必要に応じて再分散させた後に、計数することができる。本発明の装置には、担体粒子の再分散のための機構を装備することができる。担体粒子は、希釈や超音波処理によって再分散することができる。
本発明の装置を構成する上記(a)-(d)の要素は、1つの連続する流路内に配置することができる。あるいは、各要素を不連続な空間として構成し、各要素の間を反応液を移動させることによって、本発明の測定方法を実施することもできる。
本発明の装置には、上記測定方法を実施するための付加的な機構を組み合わせることができる。本発明の装置に組み合わせることができる付加的な機構を、以下に例示する。
試料の分取機構
試料の希釈機構
測定結果の記録機構
測定結果の表示機構
測定結果の印刷機構
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
0.1mgの抗AFP抗体(ダコ社製)を1mLのグリシン緩衝液(50mMグリシン、50mM塩化ナトリウム、0.09%アジ化ナトリウム含有、以下GBSと略す)に溶解し、2.06μmのラテックス(ポリサイエンス社製、固形分1.0%懸濁液)1mLを加えて37℃で2時間攪拌した後、感作したラテックスを遠心分離して上清を除去した。沈殿を0.5%牛血清アルブミンのグリシン緩衝液(0.5%BSA-GBS)1mLに懸濁させ、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1(A)の装置を使用して、生物学的特異的凝集反応(抗原抗体反応)を測定した。検体と試薬1(緩衝液:2試薬系の場合に適用。1試薬系/ラテックス試薬のみの場合は不要)を分注して混合し、更に試薬2(ラテックス試薬)を分注して混合するための分注・攪拌槽温度コントロール機構1を備え、次に反応槽(パルス印加槽)3に反応液を移動させ、電極4を介して電圧パルスを数秒から数十秒間印加して、パールチェイン化させる。反応液はパールチェイン化された後、希釈(希釈槽5)され、粒度分布計6を用いて担体の凝集状態を測定する。(温度コントロール機構1及び2はOFF設定とした。)
図1(B)は、希釈槽5の概略を示す図である。希釈容器103に希釈液が分注され、対向電極101の間に反応液を分注する。
(3)測定方法
AFPコントロール血清L(16ng/mL)、M(125ng/mL)、H(1000ng/mL)及びフリー血清(0ng/mL)を検体液として測定した。検体3μLと前述した抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μLを試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液を生理食塩水に希釈した。希釈は、図1(B)に示す装置を用いて、希釈液に電極を介して周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±0.7V を印加しながら反応液を加えた後、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
(4)結果
結果を図2に示した。
〔比較例1〕
実施例1の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例1とほぼ同様に測定した。パールチェイン形成後に反応液を希釈する工程において電場は印加せずに希釈した以外は、実施例1と同様に行った。結果を図2に示した。
図2に示すように、AFP 1000ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法53.4%に対して対照である従来法は40.9%である。つまり本発明の方法においては、従来法に比べ、反応液を希釈するときに崩壊する凝集塊、すなわち特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を約20%軽減することができた。またAFP 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法7.4%に対して対照として従来法は10.6%である。0ng/mLの試料を測定したときの凝集率は、非特異的な凝集に伴うバックグランドと考えることができる。つまり、本発明の方法によれば、非特異的な凝集が抑制される。以上の結果から、本発明の測定方法は、凝集率の傾きが大きく直線性が良好である。したがって、本発明によって、高感度に、かつ広い濃度範囲の測定が可能である。
〔実施例2〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例1と同様にして、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
AFPコントロール血清L(16ng/mL)及びフリー血清(0ng/mL)を検体液として測定した。検体3μLと前述した抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μLを試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液を生理食塩水20mLに希釈した。希釈は、図1(B)に示す装置を用いて、希釈液に電極を介して周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±0.7V を印加しながら反応液を加えた後、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
前述の操作を同様に5回繰り返して測定を行い、測定結果の平均値および平均値±2SDを求めた。
(1)結果
結果を図3に示した。
〔比較例2〕
実施例2の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例2とほぼ同様に測定した。パールチェイン形成後に反応液を希釈する工程において電場は印加せずに希釈した以外は、実施例2と同様に行った。結果を図3に示した。
〔比較例3〕
実施例2の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例2とほぼ同様に測定した。反応液の希釈液に予め実施例2と同じ条件の電場を印加したものを希釈液として使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を図3に示した。
図3に示すように、AFP 15.6ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法35.7%に対して対照である従来法は32.6%である。つまり本発明の方法においては、従来法に比べ、反応液を希釈するときに崩壊する凝集塊、すなわち特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を約10%軽減することができた。またAFP 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法5.6%に対して従来法は11.1%である。0ng/mLの試料を測定したときの凝集率は、非特異的な凝集に伴うバックグランドと考えることができる。つまり、本発明の方法によれば、非特異的な凝集が抑制される。さらにAFP 15.6ng/mLを5重測定したときのCV値は、本法1.16%に対して従来法は4.28%であり、測定の再現性も著しく向上した。したがって、本発明によって高感度かつ高精度な測定が可能である。
〔実施例3〕 抗原抗体反応の促進化
(1)抗PSA抗体感作ラテックス試薬(試薬2)の調製
0.1mgの抗PSA抗体(ダコ社製)を1mLのグリシン緩衝液(50mMグリシン、50mM塩化ナトリウム、0.09%アジ化ナトリウム含有、以下GBSと略す)に溶解し、2.06μmのラテックス(ポリサイエンス社製、固形分1%懸濁液)1mLを加えて37℃で2時間攪拌した後、感作したラテックスを遠心分離して上清を除去した。沈殿を0.5%牛血清アルブミンのグリシン緩衝液(0.5%BSA-GBS)1mLに懸濁させ、抗PSA抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)Tris塩酸緩衝液(試薬1)の調製
0.5%牛血清アルブミンの50mM−Tris塩酸緩衝液(50mM Tris、50mM塩化ナトリウム、0.09%アジ化ナトリウム含有、pH8.4)にポリエチレングリコール(分子量20000、以下PEG20000と略す)を0.25%含有する反応促進試薬を調製した。
(3)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(4)測定方法
PSAコントロール血清L(9.5ng/mL)、M(32ng/mL)及びフリー血清(0ng/mL)を検体液として測定した。検体1μLと前述したTris塩酸緩衝液及び抗PSA抗体感作ラテックス試薬3μLを試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液をGBS 20mLに希釈した。このときの希釈倍率は、約3300倍である。希釈は、図1(B)に示す装置を用いて、希釈液に電極を介して周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±0.7V を印加しながら反応液を加えた後、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
(5)結果
結果を図4に示した。
〔比較例4〕
実施例3の各検体とTris緩衝液及び抗PSA感作ラテックス試薬を使用して、実施例2とほぼ同様に測定した。パールチェイン形成後に反応液を希釈する工程において電場は印加せずに希釈した以外は、実施例1と同様に行った。結果を図4に示した。
〔比較例5〕
実施例3の各検体とTris緩衝液及び抗PSA感作ラテックス試薬を使用して、実施例2とほぼ同様に測定した。反応液の希釈液に予め実施例3と同じ条件の電場を印加したものを希釈液として使用した以外は、実施例2と同様に行った。結果を図4に示した。
図4に示すように、PSA 32ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法35.7%に対して対照である従来法は30.3%である。つまり本発明の方法においては、従来法に比べ、反応液を希釈するときに崩壊する凝集塊、すなわち特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を約20%軽減することができた。またPSA 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法1.73%に対して従来法は2.45%である。0ng/mLの試料を測定したときの凝集率は、非特異的な凝集に伴うバックグランドと考えることができる。つまり、本発明の方法によれば、非特異的な凝集が抑制される。以上の結果から、本発明の測定方法は、凝集率の傾きが大きく直線性が良好である。したがって、本発明によって、高感度に、かつ広い濃度範囲の測定が可能である。
〔実施例4〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例1と同様にして、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。但し、2.0μmのラテックス(積水化学工業社製)、3μm(ポリサイエンス社製)及び4.5μm(ポリサイエンス社製)を固形分1.0%懸濁液として使用して、3種類の抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
前述した3種類のラテックス試薬を使用して、実施例1と同様に測定した。
(4)結果
結果を図5、図6及び図7に示した。
〔比較例6〕
実施例4の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例4とほぼ同様に測定した。パールチェイン形成後に反応液を希釈する工程において電場は印加せずに希釈した以外は、実施例4と同様に行った。結果を図5、図6、及び図7に示した。
図5に示すように、AFP 15.6ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法35.8%に対して対照である従来法は24.1%であり、特異的に凝集した凝集塊の崩壊を30%軽減することができた。また図5において、AFP 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法5.3%に対して従来法は8.0%である。図6では、AFP 15.6ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法29.5%に対して対照である従来法は23.6%であり、特異的に凝集した凝集塊の崩壊を20%軽減することができた。また、図6において、AFP 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法13.6%に対して従来法は17.8%である。さらに図7では、AFP 15.6ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法11.5%に対して対照である従来法は3.0%であり、特異的に凝集した凝集塊の崩壊を70%軽減することができた。また、図7において、AFP 0ng/mLの測定結果(凝集率)は、本法4.1%に対して従来法は2.5%である。すなわち、本発明は従来法に比べ特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を軽減できる。さらに、希釈の際に生じる非特異的な凝集も抑制することができた。したがって、本発明によって高感度な測定が可能である。
〔実施例5〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
2.2mgの抗AFP抗体(ダコ社製)0.1mLと1.716μmのラテックス(ポリサイエンス社製、固形分2.5%懸濁液)0.5mL及びカルボジミドキット(ポリサイエンス)を使用し、キットのマニュアルに従って操作を行い、抗AFP抗体とラテックス粒子とを化学結合させて抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
AFPコントロール血清H(1000ng/mL)を検体液として測定した。検体3μLと前述した抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μL試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液にグルタルアルデヒド0.25%〜25%液(以下GA液と略す)16μLを加え、37℃で60秒間インキュベーションした後、生理食塩水20mLに希釈した。この反応希釈液について、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
次に反応希釈液の残りに超音波を30秒、60秒と印加した後、同様に操作して粒度分布を測定した(崩壊性過酷試験)。
(4)結果
結果を図8に示した。
〔比較例7〕
実施例5の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例5とほぼ同様に測定した。GAを含まない生理食塩水に希釈した以外は、実施例5と同様に行った。結果を図8に示した。希釈直後の凝集率を比較すると、GA処理を行ってから希釈したものは21%の凝集率であったのに対し、GA未処理では16%と、5%の崩壊が認められた。更に崩壊性過酷試験では、25%GA処理では顕著に崩壊性が改善されたのがわかる。以上のことから、本発明は従来法に比べ特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を軽減でき、高感度に測定できることがわかる。
〔実施例6〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例5と同様にして、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
AFPコントロール血清H(1000ng/mL)を検体液として測定した。検体3μLと前述した抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μL試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液にグルタルアルデヒド25%液(以下GA液と略す)16μLを加え、37℃で0〜60秒間インキュベーションした後、生理食塩水に希釈した。この反応希釈液について、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
次に反応希釈液の残りに超音波を30秒、60秒と印加した後、同様に操作して粒度分布を測定した(崩壊性過酷試験)。
(4)結果
結果を図9に示した。
〔比較例9〕
実施例6の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例6とほぼ同様に測定した。GAを含まない生理食塩水に希釈した以外は、実施例6と同様に行った。結果を図9に示した。希釈直後の凝集率を比較すると、25%GA処理を行ってから希釈したものは処理時間(15秒、30秒、60秒)に関わらず21%の凝集率であったのに対し、処理時間0秒(混ぜた直後に希釈)では18%、GA未添加のものは16%の凝集率であった。更に崩壊性過酷試験においても、25%GA処理(処理時間15〜60秒)ではほぼ同等に崩壊性が改善されたのがわかる。以上のことから、本発明は従来法に比べ特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を軽減でき、高感度に測定できることがわかる。
〔実施例7〕
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例1と同様にして、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。但し、2.0μmのラテックス(積水化学工業社製)、2.8μm(ポリサイエンス社製)及び1.7μm(ポリサイエンス社製)を固形分1.0%懸濁液として使用して、3種類の抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
前述した3種類のラテックス試薬を使用して、実施例6と同様に測定した。
(4)結果
結果を図10、図11及び図12に示した。
〔比較例10〕
実施例7の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例7とほぼ同様に測定した。GAを含まない生理食塩水に希釈した以外は、実施例6と同様に行った。結果を図10、図11及び図12に示した。以上、図10、図11及び図12から、本発明は従来法(結合強化剤を含まない希釈液)に比べ特異的に凝集した担体粒子の凝集塊の崩壊を軽減でき、高感度に測定することができることがわかる。
〔実施例8〕 同時再現性試験
(1)抗AFP抗体感作ラテックス試薬の調製
実施例5と同様にして、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を調製した。
(2)測定装置
図1の装置を使用して、親和性物質(抗原抗体反応)を測定した。
(3)測定方法
AFPコントロール血清L及びMを検体液として測定した。検体3μLと前述した抗AFP抗体感作ラテックス試薬3μL試験管にとり、混和し、直ちに電極付き反応セルに注入して、前述の装置を用いて、周波数200KHzの交流電圧(矩形波)±12V/mmの電解強度で30秒間印加しパールチェインを形成させた。この30秒間の印加後、直ちに電場を切り反応液にグルタルアルデヒド25%液(以下GA液と略す)16μLに加え、37℃で0〜60秒間インキュベーションした後、生理食塩水に希釈した。この反応希釈液について、コールター・マルチサイザーを使用してラテックス粒子の粒度分布を測定し、ラテックスの凝集率(AR)を、以下の式により求めた。
AR=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
前述の操作を10回繰り返して測定し再現性試験を行った。
(4)結果
結果を表1に示した。
〔比較例11〕
実施例8の各検体と抗AFP感作ラテックス試薬を使用して、実施例8とほぼ同様に測定した。GAを含まない生理食塩水に希釈した以外は、実施例8と同様に行った。結果を表1に示した。本発明では同時再現性のCV値は2%前後であったが、対照法のCV値は7〜11%とばらつきが大きい。以上のことから、本発明は対照法に比べ再現性良く測定することができることがわかる。
Figure 0004288672
本発明の測定方法、あるいは測定装置は、親和性を有するあらゆる物質の測定に有用である。具体的には、生体から採取された試料の解析によって、様々な疾患の診断に有用な情報を得ることができる。より具体的には、ホルモン、腫瘍マーカー、酵素、薬剤、感染性病原体、あるいはそれらに対する抗体は、医療機関において、日常的に測定されている。これらの測定対象成分は、いずれも本発明における親和性物質に含まれる。あるいは生体試料や食品、あるいは環境から採取された試料に含まれる微生物や薬剤などを本発明によって測定、あるいは検出することもできる。
図1(A)は、担体の凝集状態を測定するための装置の概略を示す図である。図1(B)は、図1(A)の希釈槽5の概略を示す図である。 図2は、AFPコントロール血清を検体液とし、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体として反応を行った場合の、担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒菱形、印加せず希釈した場合の凝集率を白四角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はAFPの濃度を示す。 図3は、AFPコントロール血清を検体液とし、抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体として反応を行った場合の、担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒丸、印加せず希釈した場合の凝集率を白四角、予め印加しておいた希釈液で希釈した場合の凝集率を黒三角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はAFPの濃度を示す。 図4は、PSAコントロール血清を検体液とし、抗PSA抗体感作ラテックス試薬を担体として、反応促進試薬を添加して反応を行った場合の担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒菱形、印加せず希釈した場合の凝集率を黒四角、予め印加しておいた希釈液で希釈した場合の凝集率を白三角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はPSAの濃度を示す。 図5は、2.0μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた場合の、担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒菱形、印加せず希釈した場合の凝集率を白四角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はAFPの濃度を示す。 図6は、3μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた場合の、担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒菱形、印加せず希釈した場合の凝集率を白四角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はAFPの濃度を示す。 図7は、4.5μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた場合の、担体の凝集率を示すグラフである。印加して希釈した場合の凝集率を黒菱形、印加せず希釈した場合の凝集率を白四角で示す。縦軸は凝集率を示し、横軸はAFPの濃度を示す。 図8は、AFPコントロール血清と抗AFP抗体感作ラテックス試薬を反応させた後、0.25%、2.5%、または25%のグルタルアルデヒドを加えて超音波処理を行った場合、およびグルタルアルデヒドを加えずに超音波処理を行った場合の担体の凝集率を示すグラフである。縦軸は凝集率を示し、横軸は超音波処理時間を示す。 図9は、AFPコントロール血清と抗AFP抗体感作ラテックス試薬を反応させた後、グルタルアルデヒドを加えて0秒、15秒、30秒または60秒間インキュベートしてから超音波処理を行った場合、およびグルタルアルデヒドを加えずに超音波処理を行った場合の担体の凝集率を示すグラフである。縦軸は凝集率を示し、横軸は超音波処理時間を示す。 図10は、2.0μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた後、グルタルアルデヒドを加えてインキュベートした場合、およびグルタルアルデヒドを加えなかった場合の担体の凝集率を示すグラフである。縦軸は凝集率を示し、横軸は超音波処理時間を示す。 図11は、2.8μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた後、グルタルアルデヒドを加えてインキュベートした場合、およびグルタルアルデヒドを加えなかった場合の担体の凝集率を示すグラフである。縦軸は凝集率を示し、横軸は超音波処理時間を示す。 図12は、1.7μmの抗AFP抗体感作ラテックス試薬を担体としてAFPコントロール血清と反応させた後、グルタルアルデヒドを加えてインキュベートした場合、およびグルタルアルデヒドを加えなかった場合の担体の凝集率を示すグラフである。縦軸は凝集率を示し、横軸は超音波処理時間を示す。

Claims (22)

  1. 次の工程(1)-(3)または(1’)-(3’)を含む、親和性物質の測定方法において、工程(3)または(3’)の前に、親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合を強化する手段により反応液を希釈する工程を含む方法。
    (1)測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを混合した反応液に、電圧パルスを印加する工程、
    (2)工程(1)の後に、測定対象である親和性物質との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質と結合せず凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および
    (3)工程(2)の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程、または
    (1')測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定対象親和性物質とを、凝集試薬成分と混合した反応液に電圧パルスを印加する工程であって、前記担体粒子は凝集試薬によって凝集し、かつ測定対象親和性物質によってその凝集が阻害される工程、
    (2')工程(1')の後に、凝集試薬との結合によって形成された担体粒子の凝集塊、および測定対象である親和性物質との結合によって凝集を阻害された担体粒子のいずれかまたは両方を計数する工程、および、
    (3')工程(2')の後に、凝集塊の形成レベル、および凝集塊を形成しなかった担体粒子のレベルのいずれか、または両方に基づいて測定対象物質のレベルを決定する工程
  2. 反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合する工程である請求項1に記載の方法。
  3. 電圧パルスが交流電圧である請求項2に記載の方法。
  4. 交流電圧が2KHz〜20MHzの周波数である請求項3に記載の方法。
  5. 反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合後、電場を停止後に更に付加的に担体粒子を希釈する工程を含む請求項2に記載の方法。
  6. 反応液を希釈する工程が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加した後に反応液と混合するか、あるいは前記結合強化剤を含む希釈液で反応液を希釈する工程である、請求項2に記載の方法。
  7. 反応液を希釈する工程が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加した後に反応液を希釈液と混合するか、あるいは前記結合強化剤を含む希釈液で反応液を希釈する工程である、請求項1に記載の方法。
  8. 測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーとの結合が免疫学的な結合である請求項7に記載の方法。
  9. 抗原が蛋白質抗原であり、結合強化剤がグルタルアルデヒド、およびカルボジイミドから選択されるいずれか、または両方の化合物である請求項8に記載の方法。
  10. 反応液を希釈する工程が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合する工程である請求項7に記載の方法。
  11. 工程(1)または(1’)における電圧パルスが交流電圧パルスである請求項1に記載の方法。
  12. 工程(1)または(1’)において、電圧パルスを複数回与えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 工程(1)または(1’)において、電圧パルスを印加後に、担体粒子を分散させてから次の電圧パルスを印加する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 複数回の電圧パルスが、異なる方向の電圧パルスである請求項12に記載の方法。
  15. 担体粒子の平均粒子径が、1μm以上である請求項1に記載の方法。
  16. 担体粒子の平均粒子径が、1μm〜20μmである請求項15に記載の方法。
  17. 工程(2)または(2’)において、凝集塊および凝集塊を形成しなかった担体粒子のいずれか、または両方を、その三次元情報を指標として計数する請求項1に記載の方法。
  18. 工程(2)または(2')において、凝集塊または担体粒子の三次元情報を、物理的に測定する請求項17に記載の方法。
  19. 三次元情報を物理的に測定するための方法が、電気抵抗法、レーザー回析散乱法、および三次元画像解析法からなる群から選択されたいずれかの方法である請求項18に記載の方法。
  20. 以下の要素を含む、測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質との結合を、前記担体粒子の親和性物質または凝集試薬による凝集を指標として測定するための測定装置。
    a:測定対象親和性物質との結合活性を有する結合パートナーを結合した担体粒子と、測定すべき親和性物質を含む試料を含む反応液、または更に付加的に凝集試薬含む反応液を保持するための空間、
    b:反応液に電圧パルスを印加するための手段、
    c:反応液を希釈するための手段、および
    d:反応液に含まれる担体粒子と担体粒子の凝集塊のいずれか、または両方を計数するための手段
  21. 反応液を希釈するための手段が、電圧パルスの印加条件下で反応液と希釈液を混合するための手段である請求項20に記載の装置。
  22. 反応液を希釈するための手段が、測定対象親和性物質と結合パートナー、または凝集試薬と結合パートナーの間の結合を強化する結合強化剤を反応液に添加するための手段を含む、請求項20に記載の装置。
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