JP4288766B2 - 天井クレーンの制振構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場、原子炉建屋等の構造物の天井に据え付けられて屋内の荷役を行う天井クレーンの制振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工場等においては、屋内での荷役を行うための天井クレーンを装備する場合が多く、こうした天井クレーンは、一般に図9に示すような構造のものが多用されている。
【0003】
図9に示す天井クレーンは、屋内の天井付近に固定された一対のレール1,1間に、断面矩形で内部中空のガーダ2を走行車輪3を介して走行自在に架け渡し、更に、このガーダ2に、昇降用フック4を備えたトロリ5をガーダ2の長手方向に沿って走行自在に備えたものである。ガーダ2は、上板材6と下板材7、及び左右の縦梁9とにより内部が中空に形成されており、ガーダ2の内部には、長さ方向に沿って複数に区画するようにした仕切り板8が設けられている。
【0004】
ガーダ2側に備えた図示しない駆動手段によりその両端の走行車輪3を駆動することでガーダ2を図9の紙面と直角な方向に走行させると共に、トロリ5をガーダ2に沿って矢印で示すように走行させることで、昇降用フック4の位置をレール1,1間に形成される平面の任意の位置に移動させることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した天井クレーンは、ガーダ2の両端部の走行車輪3がレール1,1上に乗ることのみによって支持されていることから、鉛直方向の地震が作用して上下方向に大きな揺れが加わりその応答が大きくなると、上下方向の減衰比が小さいために、図10に示すようにその中央部が大きく撓み、その勢いで走行車輪3がレール1,1から浮き上がって脱輪してしまう虞れがある。
【0006】
そのため、従来では、ガーダ2の両端に外れ防止用のクランプ具や、フック(図示せず)等を取付けることが考えられているが、その場合には、ガーダ2の上下方向の揺れによってクランプ具やフック及びレール側に過大な応力が加わり、その固定部が破損したり、レールを支持している構造物(建屋)が湾曲する等の問題が考えられる。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題を有効に解決すべくなしたもので、小型の構成にて大きな免震耐荷力を備えて天井クレーンの振動を抑制し、走行車輪がレールから脱輪するような問題を防止できる天井クレーンの制振構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、天井に固定されたレール間に走行自在に掛け渡された上板材と下板材及び左右の縦梁とを有する内部中空のガーダに、その内部を長さ方向に沿って区画する複数の仕切り板を備えている天井クレーンにおいて、仕切り板の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材を固定し、ダンパ支持部材の先端と上板材及び下板材との間に、上下方向の振動を抑制するダンパを備えたことを特徴とする天井クレーンの制振構造、に係るものである。
【0009】
上記手段において、ダンパ支持部材が、仕切り板の上下中間位置から横方向に延びる横材と、仕切り板の上端部及び下端部と横材の先端部との間を連結する斜材とから構成されていてもよい。
【0010】
本発明によれば、仕切り板の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材を固定し、このダンパ支持部材の先端と、上板材及び下板材との間に、上下方向の振動を抑制するダンパを設けた構成としているので、上下振動によってガーダが上下に湾曲したときのダンパ作動量を大きくとることができ、よって、特殊なダンパを用いることなしに従来から一般的に用いられているダンパを利用しても、大きな減衰力が得られ、小型の装置にて上下方向の高い耐震性と高い信頼性とが備えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図4は、本発明の天井クレーンの制振構造の形態の一例を示したものであり、図中図9と同一のものには同一の符号を付することにより説明を省略する。
【0013】
天井クレーンは、天井に固定されたレール1,1間に走行自在に掛け渡された内部中空のガーダ2を備えており、ガーダ2は、図4に示すように、上板材6と、下板材7と、左右の縦梁9とで矩形断面形状に形成されており、その内部には長さ方向に沿って区画する複数の仕切り板8が備えられている。
【0014】
上記天井クレーンにおいて、仕切り板8の上下中間位置に、先端が隣接する仕切り板8に近付くように横方向に延びたダンパ支持部材10を固定している。
【0015】
図2、図3に示すダンパ支持部材10は、仕切り板8の上下中間位置から横方向に延びた横材11と、仕切り板8の上端部及び下端部と横材11の先端部近傍との間を連結するように設けた斜材12とにより構成している。
【0016】
そして、上記ダンパ支持部材10の先端部と、上板材6及び下板材7との間に、上下方向の振動を抑制するベローズダンパ等のダンパ13,14を設けている。
【0017】
図5はダンパ13,14の一例であるベローズダンパを示しており、このようなベローズダンパは、原子力施設等の大口径配管や機器の制振部材として既に採用されているものであり、メカニカルギャップがなく、振幅1mm以下の微小振幅振動も制振可能であり、粘性流体、ノズル形状等を選定することにより大きな減衰力が得られる特長を有しているものである。
【0018】
図5は上側のダンパ13のベローズダンパを示したものであり、上板材6に一端が固定されたロッド体15と、ダンパ支持部材10の横材11の先端に一端が固定されたロッド体16との間に設けられている。
【0019】
ベローズダンパは、ロッド体15,16の各他端に固定された一対のフランジ17,17と、一方のフランジ17側に設けられた伸縮自在な金属ベローズ18と、他方のフランジ17側に設けられたノズル部材19とにより構成されている。そして、金属ベローズ18内には粘性流体20が封入されており、この粘性流体20が、振動によりガーダ2が曲ることによってフランジ17,17間の距離が変化する際に金属ベローズ18の中央部に位置するノズル部材19のノズル19aを通過し、このときの抵抗によってロッド体15,16即ち、このロッド体15,16が固定された上板材6に対して制振作用を与えるようになっている。また、下板材7とダンパ支持部材10との間に設けられるダンパ14であるベローズダンパも同様に構成されている。
【0020】
以下に、上記形態例の作用を説明する。
【0021】
仕切り板8の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材10が固定され、このダンパ支持部材10の先端部と、上板材6及び下板材7との間に、上下方向の振動を抑制するダンパ13,14が設けられ天井クレーンのガーダ2に鉛直方向の振動が加わって、ガーダ2が図3に示すように鉛直下方に撓むと、ダンパ支持部材10より上側のダンパ13には引張荷重が加わると同時に、ダンパ支持部材10より下側のダンパ14には圧縮荷重が加わり、また図3と反対に天井クレーンのガーダ2が鉛直上方に撓むと、ダンパ支持部材10より上側のダンパ13には圧縮荷重が加わると同時に、ダンパ支持部材10より下側のダンパ14には引張荷重が加わることになるが、圧縮荷重及び引張荷重のいずれもダンパ13,14により制振されて大きな減衰力が得られ、鉛直方向の振動が効果的に抑制されることになる。なお、図面では説明を分かり易くするために、ガーダ2の撓み及びダンパ13,14の動きを誇張して表現したが、実際にはその動きは数ミリ程度の小さな動きとなることは言うまでもない。
【0022】
また、図4ではガーダ2内の左右に2箇所にダンパ13,14を備えた場合を示しているが、ダンパの設置数や設置場所は任意に選定し得る。
【0023】
上記した本発明のように、仕切り板8の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材10を固定し、このダンパ支持部材10の先端と、上板材6及び下板材7との間に、上下方向の振動を抑制するダンパ13,14を設けた天井クレーンによれば、振動によってガーダ2が曲った際のダンパ13,14の作動量を大きく取ることができ、よって図5に示したようなベローズダンパのような特殊なダンパ以外にも従来から用いられている一般的なダンパを利用することもできる。
【0024】
以下に、本発明における天井クレーンの制振構造におけるダンパ作動量δと減衰比ηについて説明する。
【0025】
図6において、上下振動によってガーダ2が曲ったときの圧縮応力σuとその撓みεu、及び引張応力σdとその撓みεdは
【数1】
σu=−M/Z,εu=σu/E=−M/EZ
σd=+M/Z,εd=σd/E=+M/EZ
E:ヤング率
Z:断面係数
である。
【0026】
また、図7に示すように、上下振動によってガーダ2が曲ったときのダンパ支持部材10が固定された仕切り板8と、ダンパ支持部材10へのダンパ13,14の固定部との間の距離lに対する圧縮側距離luと引張側距離ldと撓み角θは
【数2】
H:ガーダの高さ寸法
である。
【0027】
ダンパ作動量δ1は
【数3】
である。
【0028】
また、減衰比ζは
【数4】
Δe:減衰エネルギー
e:振動系の全エネルギー
C:ダンパ減衰容量
K:クレーン撓み剛性
ω:固有角振動数
m:クレーン撓み振動モードの有効質量
X:クレーン撓み量
δ1:ダンパ作動量
である。
【0029】
一方、図8に示すように上下振動によってガーダ2が下側に湾曲したときには、仕切り板8,8間の距離lが、上側と下側とで変化するので、仕切り板8,8の上部間と下部間とに水平方向の距離の変化を抑制するダンパDを設けて制振する方法がある。
【0030】
このような水平方向のダンパDを設けた場合のダンパ作動量δ2は、
【数5】
である。
【0031】
従って、この水平方向のダンパDを設けた場合のダンパ作動量δ2を、本発明の図2に示したダンパ13,14の場合のダンパ作動量δ1と比較すると
【数6】
となる。
【0032】
通常は、ガーダ2の高さ寸法Hより仕切り板間距離lのほうが大きく、H<lであるので、本発明の方がダンパ作動量が大きくなる。
【0033】
このように、ダンパ作動量が大きいと、ダンパ13,14による制振効果を容易に高めることができ、よって特殊なダンパを用いることなしに従来から一般的に用いられているダンパを利用しても、大きな減衰力が得られ、鉛直方向の振動が効果的に抑制できるようになる。
【0034】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、ダンパ支持部材の形状は種々変更し得ること、種々のダンパが採用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿論である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、仕切り板の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材を固定し、このダンパ支持部材の先端と、上板材及び下板材との間に、上下方向の振動を抑制するダンパを設けた構成としているので、上下振動によってガーダが上下に湾曲したときのダンパ作動量を大きくとることができ、よって、特殊なダンパを用いることなしに従来から一般的に用いられているダンパを利用しても、大きな減衰力が得られ、小型の装置にて上下方向の高い耐震性と高い信頼性とを備えた天井クレーンの制振構造を安価に提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の天井クレーンの制振構造の形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1のガーダの一部を拡大して示した正面図である。
【図3】図2のガーダが曲った状態を示す正面図である。
【図4】図1のIV−IV方向拡大矢視図である。
【図5】ダンパの一例を示す正面図である。
【図6】曲ったガーダの応力と撓みを説明するための線図である。
【図7】本発明のダンパ作動量を説明するための線図である。
【図8】本発明とは異なるダンパ設置方式の場合におけるダンパ作動量を説明するための正面図である。
【図9】従来の天井クレーンの制振構造の一例を示す正面図である。
【図10】上下振動によってガーダが上下に撓む状態を示した正面図である。
【符号の説明】
1 レール
2 ガーダ
6 上板材
7 下板材
8 仕切り板
9 縦梁
10 ダンパ支持部材
11 横材
12 斜材
13 ダンパ
14 ダンパ
Claims (2)
- 天井に固定されたレール間に走行自在に掛け渡された上板材と下板材及び左右の縦梁とを有する内部中空のガーダに、その内部を長さ方向に沿って区画する複数の仕切り板を備えている天井クレーンにおいて、仕切り板の上下中間位置に横方向に延びるダンパ支持部材を固定し、ダンパ支持部材の先端と上板材及び下板材との間に、上下方向の振動を抑制するダンパを備えたことを特徴とする天井クレーンの制振構造。
- ダンパ支持部材が、仕切り板の上下中間位置から横方向に延びる横材と、仕切り板の上端部及び下端部と横材の先端部との間を連結する斜材とからなることを特徴とする請求項1記載の天井クレーンの制振構造。
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| JP18631399A JP4288766B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 天井クレーンの制振構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP18631399A JP4288766B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 天井クレーンの制振構造 |
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| JP4288766B2 true JP4288766B2 (ja) | 2009-07-01 |
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ID=16186155
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP18631399A Expired - Lifetime JP4288766B2 (ja) | 1999-06-30 | 1999-06-30 | 天井クレーンの制振構造 |
Country Status (1)
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|---|---|---|---|---|
| CN112744699B (zh) * | 2019-10-31 | 2025-05-06 | 华电蓝科科技股份有限公司 | 一种用于高速岸桥小车的避振系统 |
-
1999
- 1999-06-30 JP JP18631399A patent/JP4288766B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JP2001010779A (ja) | 2001-01-16 |
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