JP4290433B2 - 整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングの製造方法、整形外科用の人工器官、および人工器官の移植可能なベアリング - Google Patents
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Description
本出願が主張する優先権の基になる米国特許出願第10/058508号は、本出願と同じ出願人に譲渡され米国特許出願第10/058508号と同日に出願されたリチャード・キング、トッド・スミス、およびドナルド・マクナルティによる係属中の米国特許出願第10/058495(代理人整理番号265280−68002)「Composite Prosthetic Bearing Having a Crosslinked Articulating Surface and Method for Making the Same」との相互参照を行っている。
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は人工器官のベアリングに関し、より詳しくは、ポリエチレンとエチレン−アクリレートのコポリマーとから作られた複合体の人工器官のベアリング、およびその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
寛骨臼のベアリング(acetabular bearing)、関節窩のベアリング(glenoid bearing)、脛骨のベアリング(tibial bearing)、およびそれらに類似したものなどの移植可能な人工器官のベアリングは、典型的にはポリエチレンから作られている。さらに、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は人工器官のベアリングの関節面に関する好都合な特性を有するので、人工器官のベアリングを構成するのに広く用いられている。さらに、超高分子量ポリエチレンのいくつかの特性は超高分子量ポリエチレンをガンマ線のような放射線に曝露することによって増強されることが確かめられている。より詳しくは、超高分子量ポリエチレンを予め決められた線量の放射線に曝露すると超高分子量ポリエチレンが架橋結合(crosslink)されて超高分子量ポリエチレンの耐磨耗性が増加される。従来設計された人工器官のベアリングは、上記の利点を得るために架橋結合された超高分子量ポリエチレンで構成されてきた。超高分子量ポリエチレンを架橋結合させる、急冷する、またはその他の準備するための技術は、さまざまな米国特許に記載されている(例えば、特許文献1から特許文献8参照)。
【0004】
通常の(架橋結合されていない)超高分子量ポリエチレンも人工器官のベアリングの構成に関する複数の好ましい特性を有している。例えば、通常の超高分子量ポリエチレンは、延性(ductility)、靭性(toughness)、および耐クリープ性(creep resistance)という特性で他のポリマーより優れている。
【0005】
人工器官のベアリングは、典型的には、2つの主要な機能を果たす構造または形状を含むように設計されている。第一に、典型的な人工器官のベアリングの設計は、自然の骨の構造または人工器官のコンポーネントが関節として繋がれる(articulate)関節面またはベアリング面を含む。第二に、典型的な人工器官のベアリングの設計は、人工器官のベアリングを人工器官のアセンブリ(例えば、金属シェルまたはトレー)または骨自体に固定するためのまたはその他の保持するためのピン、タブ、先細りの支柱、またはそれらの類似物のような機構的な形態の固定形状をも含む。
【0006】
上述したように、いくつかのポリマーは、人工器官のベアリングの主要な機能(すなわち、関節面を提供する機能)のひとつに関する増強された特性を有し、他のいくつかのポリマーは、人工器官のベアリングの他の主要な機能(すなわち、人工器官のベアリングを他のコンポーネントまたは骨自体に固定する機能)に関する増強された特性を有する。しかし、人工器官のベアリングの主要な機能の両方に関する増強された特性を備えたポリマーから構成された人工器官のベアリングが必要とされている。
【0007】
移植可能な人工器官のベアリングに関する他の試みは、金属シェルまたはトレーを用いずに骨に直接固定するように設計されたベアリングの構成に関するものである。例えば、ポリエチレンで全体が設計された人工器官のベアリングは、最も広く用いられている骨セメントがポリエチレンに十分接着しないので、骨セメントを用いて骨に取り付けるのが難しい。この課題を克服するために複合材料(composite material)を用いた複数のベアリングがこれまで設計されてきた。例えば、超高分子量ポリエチレンの第1の層と、超高分子量ポリエチレンおよびポリメチルメタクリレート(PMMA)の混合物の第2の層とを含むベアリングがある(例えば、特許文献9参照)。ポリメチルメタクリレートは、多くのタイプの骨セメントに用いられている成分である。混合物うちのポリメチルメタクリレートの部分は、ポリメチルメタクリレートのホモポリマーまたはポリメチルメタクリレートのコポリマーであってよいことが開示されている。しかし、定義によれば、混合物は、同質ではなく(non-homogeneous)、したがって、好ましくないプロセスおよび製品のばらつきを起こし易い。したがって、移植された金属シェルまたはトレーを用いずに人工器官のベアリングが直接骨に固定される場合に、人工器官のベアリングの骨への付着の増強を容易にする人工器官のベアリングが必要とされている。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,728,748号明細書(第4−8欄)
【特許文献2】
米国特許第5,879,400号明細書(第3−8欄、第1図)
【特許文献3】
米国特許第6,017,975号明細書(第3−8欄)
【特許文献4】
米国特許第6,242,507号明細書(第3−8欄)
【特許文献5】
米国特許第6,316,158号明細書(第3−8欄)
【特許文献6】
米国特許第6,228,900号明細書(第3−15欄、第23A−23B図)
【特許文献7】
米国特許第6,245,276号明細書(第2−4欄)
【特許文献8】
米国特許第6,281,264号明細書(第4−10欄)
【特許文献9】
米国特許第5,645,594号明細書(第2欄、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術は以上のように構成されているので、人工器官のベアリングの主要な機能(すなわち、関節面を提供する機能)のひとつに関する増強された特性、および、人工器官のベアリングの他の主要な機能(すなわち、人工器官のベアリングを他のコンポーネントまたは骨自体に固定する機能)に関する増強された特性の両方を兼ね備えていないという課題があった。また、ベアリングを構成する混合物が同質ではないので、好ましくないプロセスおよび製品のばらつきを起こし易いなどの課題があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、人工器官のベアリングの主要な機能の両方に関する増強された特性を備えたポリマーから構成された人工器官のベアリングの製造方法、整形外科用の人工器官、および人工器官の移植可能なベアリングを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の層および第2の層を有する複合体の材料で作られた移植可能な人工器官のベアリングを提供する。第1の層には関節面が画定されていて、第2の層には他の人工器官のコンポーネントまたは骨自体と係合するための係合面が画定されている。ある実施の形態では、第1の層はポリエチレンまたは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のようなポリマーで作られていて、第2の層はエチレンとアクリレートのコポリマーで作られている。第2の層を作るのにそのようなコポリマーを用いることによって、骨セメントによって固定するように設計されたベアリングに関する移植が容易になる。より詳しく述べると、コポリマーのエチレン部分が第1の層のポリエチレンとの適合性を有してポリエチレンに対する接着を提供し、コポリマーのアクリレート部分が一般的に用いられている骨セメントに対する適合性を有して骨セメントに対する接着を提供する。
【0012】
ある例示的な実施の形態に基づけば、整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングの製造方法が提供される。その製造方法は、ポリエチレンのようなポリマーで作られた第1の層を提供する過程を有する。その製造方法はエチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層を提供する過程をも有する。その製造方法は第1の層を第2の層に固定して複合体を形成する過程をさらに有する。さらに、その製造方法は複合体に移植可能なベアリングの予め決められた形状を与える過程を含む。
【0013】
他の例示的な実施の形態に基づけば、整形外科用の人工器官が提供される。その人工器官は、(i)ポリマーで作られた第1の層をエチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層に固定して複合体を形成する過程と、(ii)複合体に予め決められた形状を与える過程とを有する方法によって準備された移植可能なベアリングを含む。
【0014】
他の例示的な実施の形態に基づけば、整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングが提供される。そのベアリングは、ポリマーの層と、ポリエチレン(ポリマー)の層に固定されたコポリマーの層とを含む。コポリマーはエチレンおよびアクリレートを含む。
【0015】
本発明の上述されたおよびその他の目的、特徴、および利点は、以下の記述および添付の図面から明らかとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明はさまざまな変形および変更が可能であるが、本発明の特定の実施の形態が図面に具体例として示され、以下に詳細に説明される。しかし、本発明を開示された特定の形態に限定することは意図されておらず、逆に、本発明は添付の特許請求の範囲の記載によって定義された本発明の真髄および範囲内の全ての変形および変更を包含することが理解されなければならない。
【0017】
本発明は、移植可能な人工器官のベアリングおよびその製造方法に関する。ここで、用語「ベアリング」は、任意のタイプ、状態、形状、または構成の整形外科用の移植可能な人工器官のベアリングを意味する。そのようなベアリングは、股関節、肩関節、膝関節、足関節、指関節、またはその他の関節に関連する外科的手技のようなさまざまな関節置換術または関節修復術(joint repair procedure)に用いられる。図1から図6を参照すると、患者(図示せず)の関節窩に移植するための関節窩のベアリング12、患者(図示せず)の寛骨臼に移植するための寛骨臼のベアリング14、および患者(図示せず)の脛骨に移植するための脛骨のベアリング16のような移植可能なさまざまな人工器官のベアリング10が示されている。人工器官のベアリング10の各々は、自然のまたは人工器官のコンポーネンが関節として繋がれる(bear on)関節面(またはベアリング面)18を含んでいる。例えば、関節窩のベアリング12の場合、自然のまたは人工器官の上腕骨頭(図示せず)が関節面18に関節として繋がれる。同様に、寛骨臼のベアリング14の場合、自然のまたは人工器官の大腿骨頭(図示せず)が関節面18に関節として繋がれる。さらに、脛骨ベアリング16の場合、一対の自然のまたは人工器官の大腿骨の顆(外側顆および内側顆)が関節面18に関節として繋がれる。
【0018】
人工器官のベアリング10の各々は、ベアリング10が移植される他の人工器官のコンポーネントまたは骨に係合するための複数の特徴が画定された係合面20をも含む。例えば、関節窩のベアリング12の場合、複数のピン(またはペグ)22が係合面20に画定されていてよい。ぺグ22は患者の関節窩の表面に形成された複数の対応する穴(図示せず)内に受容される。このピン22はプレス嵌めされるか骨セメントによって定位置に保持される。さらに、関節窩のベアリング12が移植された金属シェルと共に用いられる場合、ベアリング12の係合面20は、ベアリング12を金属シェルに固定するための先細りのポスト(図示せず)またはその類似物を有するように構成されてよい。
【0019】
寛骨臼のベアリング14の場合、複数の締結(keying)タブ24がベアリング14の外側環状面に沿って係合面20内に画定されている。締結タブ24は、寛骨臼の移植された金属シェル(図示せず)に画定された複数の対応する締結スロット(図示せず)内に受容されて、寛骨臼のベアリング14が移植された金属シェルに対して回転するのが防止される。寛骨臼のベアリング14が患者の寛骨臼に直接固定される(すなわち、金属シェルを用いない)場合、代わりにベアリング14の係合面20が、患者の寛骨臼に形成された複数の対応する穴に受容される複数のポストまたはペグ(図示せず)を有するように構成されてよい。その場合、ポストまたはペグはプレス嵌めされるか骨セメントによって定位置に保持される。さらに、寛骨臼のベアリング14は、ベアリング14の係合面20のポストまたはペグを用いずに患者の寛骨臼に直接プレス嵌めまたは骨セメントによって取り付けられてよいことが適切に理解されなければならない。
【0020】
脛骨のベアリング16の場合、ベアリング16の契合面20には先細りのポスト20が画定されている。先細りのポスト20は、膝の人工器官(図示せず)の移植された脛骨トレー(図示せず)に画定された対応する先細りのボア(図示せず)に受容される。脛骨のベアリング16の係合面20は移植された脛骨トレーを用いずに(例えば、骨セメントを用いて)ベアリング16が直接脛骨に取り付けられるようにするための特徴を有するように構成されてもよいことが適切に理解されなければならない。さらに、脛骨トレーと共に用いる脛骨ベアリングはポスト26を用いないように設計されてもよいことが適切に理解されなければならない。
【0021】
各ベアリングは、複数の層(層32および層34)を有する積層の複合体30から作られている。積層の複合体30の第1の層32は、関節面18を作るために用いるのに好ましい機械的特性(例えば、増強された耐磨耗性および耐酸化性)を有する材料で作られている。一方、第2の層34は、係合面20を作るために用いるのに好ましい機械的特性(例えば、増強された延性、靭性、および耐クリープ性)を有する材料で作られている。第2の層34を作るのに用いられる材料は、ベアリング10を固定する形態に応じて選択されてよいことが適切に理解されなければならない。より詳しく言うと、第2の層34を作るのに用いられる材料は、例えば、ベアリング10が移植された金属シェルと共に用いられるか、骨に直接(例えば骨セメントを用いて)取り付けられるかに応じて、変更されてもよい。
【0022】
本明細書中で用いられている「層」という用語は、ある「厚み」の材料が同様な寸法の「厚み」の他の材料と隣接して配置されたものに限定されることを意図しておらず、さまざまな構造、外形、および構成の材料を含むことを意図している。例えば、「層」という用語は、ある材料のある部分、領域、または構造が、異なる材料の他の部分、領域、または構造と隣接して配置されたものを含む。すなわち、ペグまたはペグと類似した構造がある材料の第1の「層」を画定し、ペグが成形される穴が画定されたベアリング本体が材料の第2の「層」を画定してよい。同様に、ベアリング本体の周縁部に沿って取り付けられたフランジが材料の第1の「層」を画定し、ベアリング本体自体が材料の第2の「層」を画定してよい。
【0023】
好ましくはポリマーが第1の層32および第2の層34を作るのに用いられる。ここで、用語「ポリマー」は患者の体に移植されてよい任意の医療用等級の高分子材料を意味することを意図している。そのようなポリマーの特定的な例が医療用等級のポリエチレンである。用語「ポリエチレン」は、本明細書で定義されているように、ポリエチレンのホモポリマー、高密度ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、高密度高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、または人工器官の移植片を作るために用いられる任意の他のタイプのポリエチレンのようなポリエチレンを含む。そのようなポリマーのより特定的な例は医療用等級の超高分子量ポリマーである。用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーの両方を含むことも意図しており、すなわち、「ポリマー」は、メチルメタクリレート、メリルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、およびブチルメタクリレートのようなエチレンおよびアクリレートを有するコポリマーを含む。用語「ポリマー」は、Kingらによる2001年9月24日に出願され本出願の出願人に譲渡された係属中の米国特許出願第09/961,842号「Oriented, Cross-Linked UHMWPE Molding for Orthopaedic Applications」に開示された材料のような配向材料(oriented material)をも含む。
【0024】
用語「ポリマー」は、耐熱性エンジニアリングポリマー(high temperature engineering polymer)を含むことも意図している。そのようなポリマーはポリアリールエーテルケトンの族およびポリイミドの族のメンバーを含む。特定的なポリアリールエーテルケトンの族のメンバーには、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルケトンエーテルケトンケトンが含まれている。
【0025】
ある例示的な実施の形態では、複合体30の第1の層32が架橋結合されたポリマーから作られ、複合体30の第2の層34が架橋結合されていないポリマーから作られた複合体30が用いられている。より特定的な例示的な実施の形態では、複合体30のポリマーの第1の層32および第2の層34の両方を作るのに用いられているポリマーがポリエチレンからなる。複合体30のポリマーの第1の層32および第2の層34の両方を作るのに用いられる特定的な有益なポリエチレンのひとつは超高分子重量ポリエチレンである。
【0026】
上述したように、ポリマーは、例えばガンマ線のような放射線に曝露することによって架橋結合されてよい。そのようにして、この例示的な実施の形態の複合体30の第1の層32(すなわち、架橋結合されたポリマーの層)は、ガンマ線に第1の層32を曝露することによって製造されてよい。そのようなガンマ線への曝露は10kGyから150kGyまでの例示的な範囲内(の線量)であってよい。この例示的な実施の形態の複合体30の第2の層(すなわち、架橋結合されていないポリマーの層)は、そのようなガンマ線への曝露がなされていない。その結果、この例示的な実施の形態に基づいて作られた複合体30は、架橋結合されたポリマーから作られた関節面18と、架橋結合されていないポリマーから作られた係合面20とを備えている。より特定的な例示的な実施の形態では、第1の層32は(したがって、第1の層32に形成された関節面18も含めて)、架橋結合された超高分子量ポリエチレンのような架橋結合されたポリエチレンから作られ、第2の層34は(したがって、第2の層34に形成された係合面も含めて)、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンのような架橋結合されていないポリエチレンから作られている。
【0027】
そのような複合体の構造は、人工器官のベアリング10の設計にさまざまな利点を提供する。例えば、上述したように、架橋結合されたポリエチレン(例えば、架橋結合された超高分子量ポリエチレン)のような架橋結合されたポリマーを用いることにより、関節面18に関するいくつかの好ましい機械的特性が強化される(例えば、高い耐磨耗性、および高い耐酸化性)。さらに、架橋結合されていないポリエチレン(例えば、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレン)のような架橋結合されていないポリマーを用いることにより、ベアリング10の他のコンポーネントまたは骨自体への固定たまは係合に関するいくつかの好ましい機械的特性が強化される(例えば、増加された延性、靭性、および耐クリープ性)。そのようにして、この例示的な実施の形態に基づいて作られた人工器官のベアリング10は、架橋結合されたポリマーに関連する好ましい機械的特性を有する関節面18と、架橋結合されていないポリマーに関連する好ましい機械的特性を有する係合面20(および、ペグ、ピン、ポストなどの関連する特徴部)とを有する。
【0028】
他の例示的な実施の形態では、複合体30の第1の層32が第1の程度で架橋結合されたポリマーから作られ、複合体30の第2の層34が第2の程度で架橋結合されたポリマーから作られた複合体30が用いられている。より詳しく述べると、第2の層34は、第1の層32を作るのに用いられているポリマーよりも低い程度で架橋結合されたポリマーから作られている。より詳しく述べると、通常、より大きい線量の放射線にポリマーが曝露される程、ポリマーが架橋結合される程度が高くなる。そのように、この例示的な実施の形態の複合体30では、第1の層32は第1の線量のガンマ線に曝露され、第2の層34は第2の(第1の線量とは異なる)線量のガンマ線に曝露されている。より特定的な例示的な実施の形態では、第2の層34が曝露されるガンマ線の線量は、第1の層32が曝露されるガンマ線の線量よりも小さい。
【0029】
したがって、この例示的な実施の形態の複合体30の特定的な実施例では、第1の層32は第1の線量のガンマ線に曝露された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンから作られてよい。一方、第2の層34は第2の(第1の線量と異なる)線量のガンマ線に曝露された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンから作られてよい。第2の層34のポリエチレンが曝露されるガンマ線の線量は、第1の層32のポリエチレンが曝露されるガンマ線の線量より小さいことが適切に理解されなければならない。
【0030】
この例示的な複合体30の第2の層34は、ある程度架橋結合されているが、第1の層32と同程度に架橋結合されたポリマーに比較して、上述した架橋結合されていないポリマーに関する好ましい機械的特性の多く(例えば、強化された延性、靭性、および耐クリープ性)を依然として有する。より詳しく述べると、第2の層34を第1の層32よりも低い程度で架橋結合することにより、第2の層34は、第1の層32と同程度に架橋結合した場合に比べて、係合面20に関する好ましい機械的特性をより多く保持する。
【0031】
これまでに言及したように、第2の層34が作られる材料は、そのベアリング10が他の移植された人工器官のコンポーネントと共に用いられるか、骨に直接(例えば、骨セメントを用いて)固定されるかに応じて選択されてよい。例えば、上述されたように、ポリエチレン(例えば超高分子量ポリエチレン)を第2の層34を作るのに用いることは(架橋結合されていないか、第1の層32よりも低い程度で架橋結合されているものであるが)、移植されたシェルコンポーネントまたはトレーコンポーネントと共に用いられるベアリング10の設計に関してとりわけ有益である。しかし、骨に直接取り付けられるベアリング10の設計に関しては、その他のタイプの材料がベアリング10の骨セメントに対する接着を増加するために望ましい。
【0032】
例えば、他の例示的な実施の形態では、第2の層34は、第1の層32および骨セメントの両方に対するポリマー(第2の層34)の接着を備えたコポリマーから作られてよい。すなわち、ポリエチレンのようなポリマーが第1の層32を作るのに用いられている場合では、エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーが用いられてよい。ここで用いられているように、用語「コポリマー」は、包括的に用いられた場合(特定の化合物またはモノマーの名称に関して用いられる場合とは対照的に)、α,β−不飽和(すなわち、2−不飽和)エステル部分(ester moiety)を有する任意の化合物を意味することが意図されていることが適切に理解されなければならない。そのようなα,β−不飽和エステルの例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの類似物がある。
【0033】
そのようなエチレン−アクリレートのコポリマーを用いることは複数の利点をもたらす。第1に、コポリマーのエチレン部分は、第1の層32と第2の層34が互いに融合する間での第1の層32のポリマー(例えば、ポリエチレン)に対する接着に特によく適している。一方、コポリマーのアクリレート部分は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む骨セメントのような骨セメントに対する接着に特によく適している。例示的な実施の形態では、エチレン−アクリレートのコポリマーは、質量ベース(molar basis)で5%から60%がアクリレートである。より特定的な例示的な実施の形態では、エチレン−アクリレートのコポリマーは、質量ベースで15%から35%がアクリレートである。
【0034】
ある特定的な例示的な実施の形態では、エチレン−メチルメタクリレートのコポリマーが、第2の層34を作るのに用いられてよい。他の特定的な例示的な実施の形態では、エチレン−メチルアクリレートのコポリマーが、第2の層34を作るのに用いられてよい。別の特定的な例示的な実施の形態では、エチレン−エチルアクリレートのコポリマーが、第2の層34を作るのに用いられてよい。さらに、他の特定的な例示的な実施の形態では、エチレン−ブチルメタクリレートのコポリマーが、第2の層34を作るのに用いられてよい。
【0035】
上述したように、複合体の人工器官のベアリング10は、他の移植された人工器官のベアリングコンポーネントにプレス嵌めされるように設計されてもよい。そのようなプレス嵌めの用途で用いるためには、ポリマーの第2の層34はそのような用途に望ましい特性を備えた材料を含んでよい。例えば、ポリマーの第2の層34は、超高分子量ポリエチレン、エチレンホモポリマー、またはエチレンコポリマーを含んでよい。しかし、本発明はポリマーの第2の層34に特定のポリマー材料を用いるように限定されず、特許請求の範囲に特定の材料が記載されていない限り、その用途に望ましい特性を備えた新たに開発される材料を用いることを包含してよいことが理解されなければならない。
【0036】
さらに、第2の層34を作るのに用いるための上述されたエチレン−アクリレートのコポリマーは任意の異なるタイプのポリエチレンベースの第1の層32と共に用いられてよい。例えば、ポリマーの第1の層32は超高分子量ポリエチレンから作られてよい。別の例として、架橋結合された超高分子量ポリエチレンで作られた第1の層32および第2の層34は米国特許出願第09/961,842号に記載された材料のように配向された(oriented)材料であってよい。ポリマーの第1の層32は、架橋結合されたエチレンホモポリマーを有してもよい。さらに、現在のところ架橋結合されたポリマーが整形外科用の移植片の関節面での最も優れた耐磨耗性および耐酸化性を提供するとされているが、将来に改善された特性を備えた新たな材料が開発されるかもしれない。したがって、本発明はどのような特定の材料にも限定されるものではなく、特許請求の範囲に特定の材料が記載されていない限り、新たに開発された材料をも包含してよい。ある特定的な例示的な実施の形態では、ベアリング10は、架橋結合された超高分子量ポリエチレンで作られた第1の層32と、エチレン−アクリレートのコポリマーで作られた第2の層34を有する複合体30で作られている。
【0037】
本発明の積層の複合体30は、上述した特徴を生み出す任意の技術によって製造されてよい。本発明の積層の複合体30を製造するためのひとつの例示的な方法は、圧縮成形技術を用いるものである。例えば、第1の層32が作られる材料が第2の層34が作られる材料と共に金型(mold)内に配置される。その後、第2の材料(すなわち、第2の層34が作られる材料)が溶解して第1の材料と融合し複合体30が形成されるようなプロセスパラメータのもとで、2つの材料が互いに圧縮成形される。金型は、2つの材料を互いに融合するように構成されているだけでなく、複合体30に人工器官のベアリング(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形を与えるようにも構成されていてよい。本質において、圧縮成形プロセスは積層の複合体30を生み出す(すなわち、2つの材料を互いに溶解する)だけでなく、形成される複合体30にベアリング10の望まれる予め決められた形を与えもする。
【0038】
成形プロセスで用いるための出発物質(例えば、ポリエチレンなどのポリマー)はさまざまな異なる形態で提供されてよい。例えば出発物質の各々が予備成形物(preform)として提供されてもよい。ここで、用語「予備成形物」は、ラム押出しまたは圧縮成形などによってポリマー樹脂の粒子をロッド、シート、ブロック、スラブ、またはそれらの類似物として固化した物品を意味する。用語「予備成形物」は、市販されている予備成形物を中間で機械加工して作られた予備成形物の「パック」をも含めて意味する。ポリエチレンの予備成形物などのポリマーの予備成形物は、さまざまな前処理されたまたは前準備された変形物としても提供される。例えば、架橋結合された、または架橋結合されていない(例えば、放射線に曝露された、または放射線に曝露されていない)予備成形物が用いられてよい。そのような予備成形物は急冷されていても急冷されていなくてもよい。
【0039】
出発物質(例えば、ポリマー、およびコポリマー)は、粉末として提供されてもよい。ここで用語「粉末」は、樹脂の粒子を意味する。予備成形物に関して上述されたのと同様に、粉末はさまざまな前処理されたまたは前準備された変形物としても提供される。例えば、架橋結合された、または架橋結合されていない(例えば、放射線に曝露された、または放射線に曝露されていない)粉末が用いられてよい。
【0040】
出発物質(例えば、ポリマー、およびコポリマー)は、多孔質構造として提供されてもよい。ここで用語「多孔質構造」は、(粉末)成形された粒子からなる構造を意味する。多孔質構造は、ブロック、またはパックを含む多くの形態であってよい。しかし、予備成形物とは異なり、多孔質構造は溶解されていない樹脂の粒子または部分的に溶解された樹脂の粒子からなる。多孔質構造は、さまざまな程度の多孔性を有してよく、架橋結合されたまたは架橋結合されていない(例えば、放射線に曝露された、または放射線に曝露されていない)樹脂の粒子を含んでよい。放射線に曝露されて架橋結合された多孔質構造の場合、樹脂の粒子は、典型的には、ガンマ線またはその他のタイプの放射線に曝露される前に(粉末)成形される。しかし、所望に応じて、粒子の樹脂は放射線に曝露された後に(粉末)成形されてもよい。
【0041】
出発物質(例えば、予備成形物、粉末、または多孔質構造)は、使用する前に「予め放射線に曝露」されても、「予め急冷」されても、またはその他の「前準備」をされてもよいことが適切に理解されなければならない。特に、人工器官のベアリングの製造者には、市場への供給者または他の製造者によって、「予め放射線に曝露」された、「予め急冷」された、または「前準備」された出発物質を購入することが好ましいことがある。そのような外部調達による前準備された出発物質を得るプロセスも本明細書に記載されるプロセスで用いられることが意図されている。
【0042】
上述された形態の出発物質に加えて、出発物質はシートまたはフィルムの形態であってよく、特に、ポリマーの層がエチレンとアクリレートのコポリマーからなるシートまたはフィルムの形態であってよい。
【0043】
ポリマーの第1の層32が架橋結合されたポリマーからなり、ポリマーの第2の層34が架橋結合されていないポリマーからなる複合体30の製造に関して、さまざまな製造プロセスが用いられてよい。第1に、架橋結合された(すなわち、放射線に曝露された)ポリマーの予備成形物が、架橋結合されていない(すなわち、放射線に曝露されていない)ポリマーの予備成形物と共に金型内に配置されてよい。その後、架橋結合されていないポリマーからなる予備成形物が溶解して架橋結合されたポリマーからなる予備成形物に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの予備成形物が互いに圧縮成形される。そのような圧縮成形プロセスの間に、2つの予備成形物を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよいことが適切に理解されるべきである。このプロセスの例示的な実施例では、架橋結合された超高分子量ポリエチレンのような架橋結合されたポリエチレンの予備成形物が、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンのような架橋結合されていないポリエチレンの予備成形物と圧縮成形される。
【0044】
そのような複合体30(すなわち、架橋結合されたポリマーで作られた第1の層32および架橋結合されていないポリマーで作られた第2の層34)は、ポリマーの粉末またはポリマーの多孔質構造を用いて製造されてもよい。例えば、架橋結合された(すなわち、放射線に曝露された)ポリマーの予備成形物が、架橋結合されていない(すなわち、放射線に曝露されていない)ポリマーの粉末と共に金型内に配置されてよい。その後、架橋結合されていないポリマーからなる粉末が溶解して架橋結合されたポリマーからなる予備成形物に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの材料(予備成形物および粉末)が互いに圧縮成形される。2つの材料(すなわち、架橋結合されたポリマーの予備成形物と架橋結合されていないポリマーの粉末)を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよいことが適切に理解されるべきである。このプロセスの例示的な実施例では、架橋結合されたポリマーの予備成形物は、架橋結合された超高分子量ポリエチレンの予備成形物のような架橋結合されたポリエチレンの予備成形物として提供されてよく、架橋結合されていないポリマーの粉末は、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンの粉末のような架橋結合されていないポリエチレンの粉末として提供されてよい。
【0045】
同様に、架橋結合された(すなわち、放射線に曝露された)ポリマーの多孔質構造が、架橋結合されていない(すなわち、放射線に曝露されていない)ポリマーの粉末と共に金型内に配置されてよい。その後、架橋結合されていないポリマーからなる粉末が溶解して架橋結合されたポリマーからなる多孔質構造に融合するようなプルセス変数のもとで、2つの材料(多孔質構造および粉末)が互いに圧縮成形される。2つの材料(すなわち、架橋結合されたポリマーの多孔質構造と架橋結合されていないポリマーの粉末)を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよいことが適切に理解されるべきである。このプロセスの例示的な実施例では、架橋結合されたポリマーの多孔質構造は、架橋結合された超高分子量ポリエチレンの多孔質構造のような架橋結合されたポリエチレンの多孔質構造として提供され、架橋結合されていないポリマーの粉末は、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンの粉末のような架橋結合されていないポリエチレンの粉末として提供される。
【0046】
さらに、架橋結合された(すなわち、放射線に曝露された)ポリマーの多孔質構造が、架橋結合されていない(すなわち、放射線に曝露されていない)ポリマーの予備成形物と共に金型内に配置されてよい。その後、架橋結合されていないポリマーからなる予備成形物が溶解して架橋結合されたポリマーからなる多孔質構造に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの材料(多孔質構造および予備成形物)が互いに圧縮成形される。2つの材料(すなわち、架橋結合されたポリマーの多孔質構造と架橋結合されていないポリマーの予備成形物)を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよいことが適切に理解されるべきである。このプロセスの例示的な実施例では、架橋結合されたポリマーの多孔質構造は、架橋結合された超高分子量ポリエチレンの多孔質構造のような架橋結合されたポリエチレンの多孔質構造として提供されてよく、架橋結合されていないポリマーの予備成形物は、架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンの予備成形物のような架橋結合されていないポリエチレンの予備成形物として提供されてよい。
【0047】
ポリマーの第1の層32が第1の程度で架橋結合されたポリマーからなり、ポリマーの第2の層34が(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーからなる複合体30の製造に関して、さまざまな製造プロセスが用いられてよい。第1に、第1の程度で架橋結合されたポリマーの予備成形物が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーの予備成形物と共に金型内に配置されてよい。その後、第2の程度で架橋結合されたポリマーからなる予備成形物が溶解して第1の程度で架橋結合されたポリマーからなる予備成形物に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの予備成形物が互いに圧縮成形される。上述されたのと同様に、2つの予備成形物を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよい。このプロセスの例示的な実施例では、第1の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの予備成形物が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの予備成形物と圧縮成形される。
【0048】
そのような複合体30(すなわち、第1の程度で架橋結合されたポリマーで作られた第1の層32および(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーで作られた第2の層34)は、ポリマーの粉末またはポリマーの多孔質構造を用いて製造されてもよい。例えば、第1の程度で架橋結合されたポリマーの粉末が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーの予備成形物と共に金型内に配置されてよい。その後、第2の程度で架橋結合されたポリマーからなる予備成形物が溶解して第1の程度で架橋結合されたポリマーからなる粉末に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの材料(すなわち、粉末および予備成形物)が互いに圧縮成形される。上述されたのと同様に、2つの材料を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよい。このプロセスの例示的な実施例では、第1の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの粉末が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの予備成形物と圧縮成形される。
【0049】
2つの材料の形態は交換されてもよいことが適切に理解されるべきである。より詳しく述べると、第1の程度で架橋結合されたポリマーの予備成形物が、上述されたのと同様に、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーの粉末と共に圧縮成形されてもよい。
【0050】
さらに、第1の程度で架橋結合されたポリマーの粉末が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーの多孔質構造と共に金型内に配置されてよい。その後、第2の程度で架橋結合されたポリマーからなる多孔質構造が溶解して第1の程度で架橋結合されたポリマーからなる粉末に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの材料(すなわち、粉末および多孔質構造)が互いに圧縮成形される。上述されたのと同様に、2つの材料を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよい。このプロセスの例示的な実施例では、第1の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの粉末が、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合された超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレンの多孔質構造と圧縮成形される。
【0051】
2つの材料の形態は交換されてもよいことが適切に理解されるべきである。より詳しく述べると、第1の程度で架橋結合されたポリマーの多孔質構造が、上述されたのと同様に、(第1の程度)より低い第2の程度で架橋結合されたポリマーの粉末と共に圧縮成形されてもよい。
【0052】
同様の製造プロセスが、ポリマー(例えばポリエチレン)で作られた第1の層32と、エチレン−アクリレートのコポリマーで作られた第2の層34とを有する複合体30の製造に関して用いられてもよい。より詳しく述べると、ポリマーの予備成形物がエチレン−アクリレートのコポリマーの予備成形物と共に金型内に配置される。その後、コポリマーの予備成形物が溶解してポリマーの予備成形物に融合するようなプロセスパラメータのもとで、2つの予備成形物が互いに圧縮成形される。上述したのと同様に、2つの予備成形物を互いに融合することによって形成される結果物としての複合体30が、同時に、人工器官のベアリング10(例えば、関節窩のベアリング12、寛骨臼のベアリング14、または脛骨のベアリング16)に関連した予め決められた形状を与えられてもよい。このプロセスの例示的な実施例では、ポリマーの予備成形物は(架橋結合されたまたは架橋結合されていない、急冷されたまたは急冷されていない)超高分子量ポリエチレンの予備成形物のようなポリエチレンの予備成形物として提供され、コポリマーの予備成形物は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の予備成形物またはポリメチルメタクリレート(PMMA)と同等の予備成形物として提供される。
【0053】
その他の形態の出発物質も、第1の層32がポリマー(例えばポリエチレン)で作られ、第2の層34がエチレン−アクリレートのコポリマーで作られた複合体34の製造に用いられてよいことが適切に理解されなければならない。例えば、予備成形物に加えて、ポリマーの第1の層32を作るのに用いられるポリマーは粉末または多孔質構造の形態で提供されてよい。同様に、コポリマーの第2の層34を作るのに用いられるコポリマーは粉末または多孔質構造の形態で提供されてよい。
【0054】
ここで、本発明では、複合体30は2つの層を有するものとして記載されていて、それによって有意な利点を有するが、その他の複合体の構成も考えられる。例えば、複合体30は、上述された2つの層の複合体で用いられた材料と同様の材料からなる2つの層を交互に配置した複数の層を含むように構成されてよい。すなわち、複合体30は、架橋結合された超高分子量ポリエチレンの層と架橋結合されていない超高分子量ポリエチレンの層を交互に配置した複数の(すなわち、2つより多くの)層を含むように構成されてよい。
【0055】
さらに、ある材料に対しては真空成形を用いることが望ましいことがある。例えば、真空成形は、ひとつまたは複数の層が急冷されていない材料で作られている場合に好ましいことがある。
【0056】
第1の層32および第2の層34の間の界面に関する引張特性は、第1の層32および第2の層34の各々の引張特性のうちの少なくとも小さい方よりも大きいことが好都合である。そのような界面の引張特性は、複合体の構造の完全性についての基準として、界面の引張試験によって評価されてよい。厚みが400μmのタイプVの引張試験片がさまざまな複合体から準備されてASTM D638スタンダードに基づいて試験された。界面の部分は引張試験の試験片の狭い部分のゲージ長内に配置された。
【表1】
【表2】
【0057】
表1および表2に示されているように、界面の引張強さのデータは、複合体30の界面が、全体的に固化された形態のまたは全体が融合した形態の出発物質(すなわち、第1の層32および第2の層34の各々を作っている材料)にほぼ匹敵するだけの結合性を有することを示している。さらに、複合体30の界面での対応する破壊点伸びのデータは、2つの出発物質のうちの少なくとも弱い方(の破断点伸びのデータ)と同等である。
【0058】
表1に示された複合体の構成では、ポリマーの2つの層(第1の層32および第2の層34)は、2つの層を複合体として圧縮成形する間に、2つの層を加熱して2つの層の隣接する部分の両方を溶解させることによって融合されている。その他のプロセスを用いてポリマーの層の間のそのような溶解されて融合した界面を生み出してもよいことも適切に理解されなければならない。例えば、溶接を用いて溶解されて融合した界面を生み出してよい。溶解して融合することによりポリマーの各層からのポリマーの鎖が混ぜ合わされてからみあい2つの層の間の結合を強くしながら強い界面が生み出されると考えられている。大まかに言って、「溶解および融合」および「溶解されて融合した」という表現はここではポリマーの2つの層の両方の一部が界面において融合したポリマーの層の間の界面を示すのに用いられている。
【0059】
いくつかの用途に対してポリマーの2つの層を取り付けるための他の方法を用いることが考えられる。例えば、溶解および融合の代わりに、ある用途に対して機械的な固着を用いることが考えられる。適切な材料およびプロセスを選択することによって、ポリマーの2つの層の間の機械的な固着によって、整形外科用の人工器官のための移植可能なベアリングとして用いられる複合体の適切な機械的および動的な特性を備えた界面が提供される。
【0060】
機械的な固着による用途に対しては、適切な界面の強度を備えた機械的な固着が、ポリアリールエーテルケトン族またはポリイミド族のうちのひとつのような耐熱性エンジニアリングポリマーの多孔質構造からなるポリマーの第2の層34を提供してプロセス変数を制御することにより、達成されることが考えられる。そのような用途では、架橋結合された超高分子量ポリエチレンの層が関節面のためのポリマーの第1の層32に用いられてよい。架橋結合された超高分子量ポリエチレンの層32が粉末または予備成形物の形態で超高分子量ポリエチレンの層32の少なくとも一部が溶解する温度で多孔質の耐熱性エンジニアリングポリマーの第2の層34に圧縮成形されてよく、超高分子量ポリエチレンが耐熱性エンジニアリングポリマーの孔に溶け込んで孔のいくつかを満たし、超高分子量ポリエチレンの材料が固化したとき、ポリマーの2つの層は機械的に結合される。
【0061】
圧縮成形は、超高分子量ポリエチレンの層を溶解するよう十分高くかつポリマーの第2の層34の溶融点よりも低い温度で行なわれる。その高い温度は第1の層32および第2の層34の界面に局在化されてよい。多孔質構造は最終的な形状に機械加工するための固化した部分を有してよい。この複合体の実施の形態の界面の構造的な結合性はポリマーの2つの層の機械的な固着に依存している。材料およびプロセスがポリマーの2つの層(第1の層32および第2の層34)の界面での望ましい強度を提供するように選択されるならば、さまざまな機械的な固着機構が用いられるということも考えられる。
【0062】
多孔質の耐熱性エンジニアリングポリマーの層は、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、またはポリイミドのようなエンジニアリングポリマーからなってよい。これらの材料は生体適合性を有し、有意な変形なしに超高分子量ポリエチレンの処理温度に耐えることができる。必要な予備成形物または多孔質構造は通常の処理技術を用いてこれらの原材料から容易に製造される。これらのポリマー材料は機械的な固着機構を用いたときポリマーの層のひとつとして有用であるが、本発明は特許請求の範囲にそれらの材料が記載されていない限り、それらの材料に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に特定のポリマーが記載されていない限り新たに開発されたポリマーをも包含する。
【0063】
さらに、ポリマーの2つの層を固定する機械的な固着はポリマーの2つの層を圧縮成形して形成されるが、高温均衡圧縮(hot isostatic pressing)が機械的な固着と共に2つの層(第1の層32および第2の層34)を固定するのに用いられてよい。さらに、新たなポリマー材料が開発された場合、そのポリマー材料の層を固定するための新たな方法も開発されるだろう。したがって、本発明はポリマーの層を固定するためのいずれか特定の手段に限定されるものではなく、特定の材料またはプロセスが特許請求の範囲に記載されていない限り、新たに開発された材料および固定手段を包含してよい。
【0064】
極限引張強さおよび伸びに加えて、複合体のベアリングの固定された2つの層の界面は、その2つの層の全体が融合された形態または全体が固化された形態のポリマー材料のうちの少なくとも弱い方のその他の機械的な特性と同等なその他の機械的および動的な特性をも有することが予期される。界面の機械的および動的な特性は、極限引張強さ、降伏強さ、破断点伸び(elongation to break)、および弾性率(modulus)だけでなく、(例えば、3点屈曲試験、引張試験、圧縮試験、および屈曲疲れ試験などのさまざまな形態の疲れ試験によって示される)耐酸化性、衝撃強さ、圧縮強さ、剪断強さ、疲れ強さをも含む。「同等な」は、例えば表1の粉末−予備成形物の複合体の構成と表2のラム押出しされた50kGyの線量で曝露された急冷されたGUR1050の極限引張強さの場合でのように、データ点が重なり合うことだけでなく、特性に統計的な相違がないということも含む。
【0065】
特定の機械的または動的な特性が特許請求の範囲に記載されていない限り、本発明はどのような特定の機械的または動的な特性を備えた界面を有する複合体にも限定されることを意図していないことが適切に理解されなければならない。複合体の物品は人工器官の移植片に適した特性を有しなければならないが、界面での特性はポリマーの層の全体が固化された材料の機械的または動的な特性と同等である必要はない。例えば、ポリマーの2つの層が十分大きい剪断強さを備えた材料から作られている場合、界面の剪断強さの重要度は低くてよい。
【0066】
溶解−融合プロセスで固定された層を有する複合体の物品は、機械的な固着によって固定された層を有する複合体の物品よりも好ましくてよい。溶解−融合プロセスの温度は、予め融合した界面での任意の汚染物質を破壊するのに十分なものでなければならない。さらに、溶解−融合は、滅菌に欠陥を生じさせるような病原体(agent)の侵入を許すことになる気孔(pore)、間隙(void)、ギャップ(gap)、亀裂(crack)、またははがれ(separation)なしにポリマーの2つの層が密着した界面をもたらす。したがって、表面の滅菌は溶解−融合されたポリマーの複合体の移植片を滅菌するのに十分適切である。放射線への曝露に代わって、ガスプラズマ滅菌法、および酸化エチレン滅菌法のような表面の滅菌法を用いることができるということは、超高分子量ポリエチレンがポリマーの層のひとつに用いられている場合には有利である。超高分子量ポリエチレンのガンマ線による滅菌は、遊離基を生み出すことがあり、超高分子量ポリエチレンからなる材料をより酸化され易いものにする。
【0067】
機械的な固着によって固定されたポリマーの層を備えたポリマーの複合体のベアリングに対しては、ポリマーの層の一方のみが溶解されるので、2つの層が固定された後も2つの層の間にはキャップまたははがれが存在し続けることがある。ギャップまたははがれが大きいと、滅菌に欠陥を生じさせるような病原体がギャップに侵入することがある。したがって、特別な処理技術を用いない場合には、滅菌するためにはポリマーの層の界面のレベルに到達するガンマ線への曝露が必要となる。さらに、ポリマーの2つの層が互いに固定された後も、いずれかのポリマーの層が多孔質構造として存在する場合には、適切に滅菌するためにはおそらくガンマ線への曝露が必要となるであろう。
【0068】
機械的に固定された複合体のガンマ線への曝露による滅菌を回避するのが望ましい場合には、クリーンルーム内での処理といった既知の特別な処理技術を用いて滅菌の環境を確保してもよい。
【0069】
さらに、新たな滅菌技術が用いられてもよく、新たな材料が開発されてもよく、またガンマ線への曝露による滅菌によって劣化しない材料が選択されてもよい。いずれにしても、機械的な固着によって固定されたポリマーの層は好ましいものであってよい。
【0070】
本発明の溶解−融合された複合体を表面滅菌できることに加えて、本発明の人工器官のベアリング10およびその製造方法は従来設計されたベアリングおよび関連する方法に比べてさまざまな利点を有する。例えば、ベアリングを複合体(すなわち複合体30)として製造することにより、複合体の各層に対して選択される材料は、望まれる機械的および動的な特性を提供するものが選択される。より詳しく述べると、上述されたように、ベアリング10の関節面18が画定される層は、関節面としての使用に適した機械的および動的な特性(すなわち、高い耐磨耗性および耐酸化性)を備えた材料で作られてよい。一方、係合面20が画定される層は、係合面としての使用に適した機械的および動的な特性(すなわち、高い延性、靭性、および耐クリープ性)を備えた材料で作られてよい。
【0071】
さらに、エチレン−アクリレートのコポリマーを下側層として用いることにより、本発明のベアリング10に従来設計された複合体のベアリングに優る利点が提供される。第1に、そのようなコポリマーは、(1)ポリエチレンベースの上側層への適切な接着を提供する、(2)骨セメントへの適切な接着を提供するという両方のための成分を有する。この機能を提供するためのその他の試みは、限定的にしか成功しておらず、その理由は、複数の理由がある中でも、(実際のコポリマーではなく)材料の乾燥した混合物を用いることを試みていて、その結果、プロセスおよび材料の両方のばらつきが生じているからである。
【0072】
本発明が、図面およびこれまでの記述によって例示されて詳細に説明されたが、そのような例示および説明は例示として理解され文字通りに限定的なものではなく、例示的な実施の形態が示されて説明されたのみであり、本発明の真髄内に包含される全ての変形および変更が保護されることが望まれることが理解される。
【0073】
本明細書に記載された人工器官のベアリングのさまざまな特徴から生ずる本発明の利点には複数のものがある。本発明の人工器官のベアリングの各々の各実施の形態は、記載された全ての特徴を含まなくても、それらの特徴の少なくとも一部からの利点を有することが注目される。当業者は、本発明のひとつまたは複数の特徴を組み込んでいると共に特許請求の範囲で定義された本発明の真髄および範囲に包含される人工器官のベアリングの独自の実施例を考案することができるであろう。
【0074】
例えば、本発明に関するさまざまな利点を有するプロセスである放射線への曝露によって架橋結合された材料が記載されているが。そのような利点のあるものは任意の適切な技術によって架橋結合された材料により達成されてもよいことが適切に理解されなければならない。さらに、架橋結合されたまたはより高い程度で架橋結合されたポリマーは、典型的には、架橋結合されていないまたは低い程度で架橋結合されたポリマーが係合面として用いられている複合体の関節面として用いられるが、架橋結合されたまたはより高い程度で架橋結合されたポリマーの層が係合面として用いられ、架橋結合されていないたまはより低い程度で架橋結合されたポリマーの層が関節面として用いられることが好ましい場合があってもよい。
【0075】
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(A)ポリマーで作られた第1の層を提供する過程と、
エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層を提供する過程と、
上記第1の層を上記第2の層に固定して複合体を形成する過程と、
上記複合体に、移植可能なベアリングの予め決められた形状を与える過程と
を有する、整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングの製造方法。
(1)第1の層をある線量の放射線に曝露して上記第1の層のポリマーを架橋結合する過程をさらに有する、実施態様(A)記載の製造方法。
(2)第2の層を提供する過程が、エチレンおよびメチルメタクリレートを有するコポリマーを提供する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(3)第2の層を提供する過程が、エチレンおよびメチルアクリレートを有するコポリマーを提供する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(4)第2の層を提供する過程が、エチレンおよびエチルアクリレートを有するコポリマーを提供する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(5)第2の層を提供する過程が、エチレンおよびブチルメタクリレートを有するコポリマーを提供する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
【0076】
(6)第2の層を提供する過程が、エチレンおよびエチルメタクリレートを有するコポリマーを提供する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(7)複合体を形成する過程と、形状を与える過程とが同時に行なわれる、実施態様(A)記載の製造方法。
(8)複合体を形成する過程が、第1の層および第2の層を互いに圧縮成形する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(9)形状を与える過程が、患者の寛骨臼内に移植されるように適合された寛骨臼のベアリングとして複合体を形成する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(10)形状を与える過程が、患者の関節窩内に移植されるように適合された関節窩のベアリングとして複合体を形成する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
【0077】
(11)形状を与える過程が、患者の脛骨内に移植されるように適合された脛骨のベアリングとして複合体を形成する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(12)形状を与える過程が、第1の層に関節面を形成する過程を含む、実施態様(A)記載の製造方法。
(B)(i)ポリマーで作られた第1の層を、エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層に固定して複合体を形成する過程と、(ii)上記複合体に予め決められた形状を与える過程とを有する方法によって準備された移植可能なベアリングを有する、整形外科用の人工器官。
(13)移植可能なベアリグを準備する方法が、第1の層をある線量の放射線に曝露して上記第1の層のポリマーを架橋結合する過程をさらに有する、実施態様(B)記載の人工器官。
(14)アクリレートはメチルメタクリレートを含む、実施態様(B)記載の人工器官。
(15)アクリレートはメチルアクリレートを含む、実施態様(B)記載の人工器官。
【0078】
(16)アクリレートはエチルアクリレートを含む、実施態様(B)記載の人工器官。
(17)アクリレートはブチルメタクリレートを含む、実施態様(B)記載の人工器官。
(18)アクリレートはエチルメタクリレートを含む、実施態様(B)記載の人工器官。
(19)複合体を形成する過程と、形状を与える過程とが同時に行なわれる、実施態様(B)記載の人工器官。
(20)複合体を形成する過程が、第1の層および第2の層を互いに圧縮成形する過程を含む、実施態様(B)記載の人工器官。
【0079】
(21)移植可能なベアリングが、患者の寛骨臼に固定されるように適合された寛骨臼のベアリングからなる、実施態様(B)記載の人工器官。
(22)移植可能なベアリングが、患者の関節窩に固定されるように適合された関節窩のベアリングからなる、実施態様(B)記載の人工器官。
(23)移植可能なベアリングが、患者の脛骨に固定されるように適合された脛骨のベアリングからなる、実施態様(B)記載の人工器官。
(24)移植可能なベアリングを準備する方法が、第1の層に関節面を形成する過程をさらに有する、実施態様(B)記載の人工器官。
(C)ポリマーの層と、
上記ポリマーの層に固定された、エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーの層と
を有する、整形外科用の人工器官の移植可能なベアリング。
(25)ポリマーの層およびコポリマーの層が互いに圧縮成形されている、実施態様(C)記載のベアリング。
【0080】
(26)アクリレートがメチルメタクリレートを含む、実施態様(C)記載のベアリング。
(27)アクリレートがメチルアクリレートを含む、実施態様(C)記載のベアリング。
(28)アクリレートがエチルアクリレートを含む、実施態様(C)記載のベアリング。
(29)アクリレートがブチルメタクリレートを含む、実施態様(C)記載のベアリング。
(30)アクリレートがエチルメタクリレートを含む、実施態様(C)記載のベアリング。
【0081】
(31)ポリマーの層には関節面が画定されていて、コポリマーの層には患者の寛骨臼内に移植されるように適合された係合面が画定されている、実施態様(C)記載のベアリング。
(32)ポリマーの層には関節面が画定されていて、コポリマーの層には患者の関節窩内に移植されるように適合された係合面が画定されている、実施態様(C)記載のベアリング。
(33)ポリマーの層には関節面が画定されていて、コポリマーの層には患者の脛骨内に移植されるように適合された係合面が画定されている、実施態様(C)記載のベアリング。
(34)ポリマーの層には関節面が画定されている、実施態様(C)記載のベアリング。
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ベアリングを2つの層からなる複合体で構成しているので、ベアリングの関節面に関する望ましい特性と係合面に関する望ましい特性の両方を増強できる効果がある。
【0083】
本発明によれば、複合体の2つの層を加熱して2つの層の隣接する部分の両方を溶解させて融合しているので、2つの層の界面が密着して形成され、表面の滅菌法が複合体の移植片を滅菌するのに十分適切であり、また、超高分子量ポリエチレンが2つの層のひとつに用いられている場合には、滅菌による遊離基の発生がなく、超高分子量ポリエチレンの酸化を防止できる効果がある。
【0084】
本発明によれば、エチレン−アクリレートのコポリマーを下側層として用いることにより、(1)ポリエチレンベースの上側層への適切な接着を提供し、(2)骨セメントへの適切な接着を提供できる効果がある。
【0085】
本発明によれば、材料の乾燥した混合物に代わってコポリマーを用いているので、プロセスおよび材料の両方のばらつきの発生を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴を組み込んだ移植可能な関節窩のベアリングの人工器官の斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】本発明の特徴を組み込んだ移植可能な寛骨臼のベアリングの人工器官の斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明の特徴を組み込んだ移植可能な脛骨のベアリングの人工器官の斜視図である。
【図6】図5の線6−6に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 人工器官のベアリング
12 関節窩のベアリング
14 寛骨臼のベアリング
16 脛骨のベアリング
18 関節面
20 係合面
22 ピン
24 締結タブ
26 ポスト
30 複合体
32 第1の層
34 第2の層
Claims (11)
- 整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングの製造方法において、
ポリエチレンで作られた第1の層を提供する過程と、
エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層を提供する過程と、
複合体を形成するように、上記第1の層を上記第2の層に固定する過程と、
上記複合体を、上記移植可能なベアリングの予め決められた形状に形作る過程と
を有する、製造方法。 - さらに、上記第1の層をある線量の放射線に曝露して上記ポリエチレンを架橋結合する過程を有する、請求項1記載の製造方法。
- 上記アクリレートは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、またはエチルメタクリレートを含む、請求項1記載の製造方法。
- 上記固定過程が、上記第1の層および上記第2の層を互いに圧縮成形する過程を含む、請求項1記載の製造方法。
- 整形外科用の人工器官において、
(i)複合体を形成するように、ポリエチレンで作られた第1の層を、エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーで作られた第2の層に固定する過程と、(ii)上記複合体を、予め決められた形状に形作る過程とを有する方法によって準備された移植可能なベアリングを有する、人工器官。 - 上記移植可能なベアリングを準備する方法が、さらに、上記第1の層をある線量の放射線に曝露して上記ポリエチレンを架橋結合する過程を有する、請求項5記載の人工器官。
- 上記アクリレートは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、またはエチルメタクリレートを含む、請求項5記載の人工器官。
- 上記固定過程が、上記第1の層および上記第2の層を互いに圧縮成形する過程を含む、請求項5記載の人工器官。
- 整形外科用の人工器官の移植可能なベアリングにおいて、
ポリエチレンの層と、
上記ポリエチレンの層に固定された、エチレンおよびアクリレートを有するコポリマーの層と
を有する、ベアリング。 - 上記ポリエチレンの層および上記コポリマーの層が互いに圧縮成形されている、請求項9記載のベアリング。
- 上記アクリレートは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、またはエチルメタクリレートを含む、請求項9記載のベアリング。
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