JP4291976B2 - ブラシレス・センサレスdcモータの起動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレス・センサレスDCモータの起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレス・センサレスDCモータは、永久磁石を組込んだ回転子と界磁巻線を組込んだ固定子からなり、界辞巻線に誘起した電圧波形を比較、若しくは演算処理を行うことにより回転子磁極位置を検出し、固定子への通電位相の制御を行っている。
【0003】
ブラシレス・センサレスDCモータは、回転数が非常に低い起動時では界磁巻線に誘起した電圧波形から回転子磁極位置の検出を行うことが困難であるので、インバータ回路により強制的に転流タイミングを決めて固定子への通電位相を制御する同期運転を行って回転子を回転・加速し、その後、回転子の位置検出が可能な速度に達すると、回転子位置を検出して通電位相を制御する位置検出回転に切換える起動方法が用いられている。
【0004】
上記同期運転時には、回転子磁極位置が検出出来ない為、インバータ回路から出力される周波数と電圧は、負荷に応じて適切な値になる様に予め設定してある。
【0005】
慣性が大きい負荷を駆動する場合など、回転子磁極位置によっては同期運転が円滑に行えないことがあり、同期運転前に回転子の磁極位置を予め定めた位置まで移動させておく位置決め処理を行う。この位置決め処理は、通常、同期運転の通電開始相のみを通電して行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通電開始相のみ通電して位置決め処理を行うと、回転子にトルクが作用し、回転子磁極位置は位置決め位置(その範囲内では回転子に作用するトルクが小さく回転子はその場に留まるが、回転子がその範囲から電気角で遅れ、若しくは進み方向に僅かでも移動すると、回転子に作用するトルクによりその範囲まで回転子が戻るような範囲を示す)まで移動するが、位置決め位置から電気角で180°進んだ位置でも、位置決め処理により回転子磁極位置が移動出来ないという問題がある。この状態で同期運転を開始すると、起動開始後1回目の転流時点で回転子に負トルクが作用し、以降加速途中で振動することがあり、同期運転から外れてしまうこともあり円滑な起動が出来ない。
本発明では、回転子磁極位置を位置決め位置に確実に移動させること、若しくはそれと同等の効果を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(第1の発明)
位置決め処理前に、通電開始相から電気角で60°、120°、240°、300°進んだ何れかの相を位置決め処理と同じ電圧で同じ時間通電することを特徴とする。
(第2の発明)
位置決め処理時に、固定子の通電開始相と電気角で60度遅れた相を時間的にずらして、交互に少なくとも各1回以上通電することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0009】
図1は、ブラシレス・センサレスDCモータの駆動方法を示す構成図である。図1に示すように、インバータ回路1は、スイッチング素子Tu、Tv、Tw、Tx、Ty、Tz及び整流素子Du、Dv、Dz、Dx、Dy、Dvからなり、ブラシレス・センサレスDCモータ2(以下DCモータ2)を駆動する。このインバータ回路1において、直流電源の+側に接続されている各素子を「上アーム部5」、−側に接続されている各素子を下アーム部6と呼ぶ。このDCモータ2は、永久磁石を組込んだ回転子と界磁巻線を組込んだ固定子から構成されている。そして、DCモータ2の界磁巻線の端子電圧は、位置検出回路3へ送られる。この位置検出回路3は、上記界磁巻線の端子電圧を比較処理して回転子の位置を検出し、その検出信号を制御回路4へ出力する。
【0010】
制御回路4は、位置検出回路3からの回転子位置信号に基づいてインバータ回路1の各スイッチング素子に制御信号を供給し、インバータ回路1の動作を制御する。上記制御回路4は、回転子の位置検出が困難なモータの起動時には、インバータ回路1の転流タイミングを強制的に切替える同期運転を行ってDCモータ2を回転・加速し、その後位置検出回路3により回転子の位置検出が可能な状態に達すると、この位置検出信号に従って通電位相を制御する位置検出回転に切換える。
【0011】
又、制御回路4は、慣性が大きい負荷を駆動する場合など、回転子磁極位置によっては 「同期運転」が円滑に行えないことがあり、同期運転前にインバータ回路1の特定の相(通常は同期運転時の通電開始相)のみ通電し、同期運転前に回転子の磁極位置を予め定めた位置まで移動させておく「位置決め処理」を行う。
【0012】
図2は、インバータ回路1のスイッチング素子の通電順序を説明したものである。図2の7は上アーム部5の通電タイミングを、8は図1の下アーム部6の通電タイミングを示す。記号9は各スイッチング素子の通電相を示す。「同期運転」を始める相をT1(上アームTu相、下アームTZ相)とし、以下T2、T3〜T6と順に通電相を変えて(転流して)いくものとする。
【0013】
図3は、T1〜T6それぞれの通電相における回転子磁極位置と回転子へ作用するトルクの関係をグラフ化したものであり、各グラフの右上に通電相を示している。
【0014】
図3の縦軸は、回転子に作用するトルクを示し、横軸との交点をトルク0の位置とし矢印方向を正とする。正トルクとは、回転子に対し電気角で進み方向に作用するトルクとする。図3の横軸は、回転子磁極位置を電気角で示しており、通電相がT1の状態で位置決めされる範囲(位置決め位置)をA1として一転鎖線で示し、その中で回転子に作用するトルクが0となる点を0°としている。A1から電気角で60°進んだ範囲をA2とし、以下同様に60°ずつ進んだ範囲をA3〜A6と表わす。
【0015】
位置決め処理の際に界磁巻線に印可する電圧は、位置決め処理により回転子が回転し続けたり、位置決め位置を往復振動し続けることなく、回転子磁極位置が位置決め位置に速やかに静止出来る大きさとし、回転子磁極位置が位置決め位置に移動するには充分な値とする。又通電時間は、回転子磁極位置を位置決め位置に移動後静止させる為に充分な時間とする。
【0016】
通常、位置決め処理は同期運転の通電開始相(通電相T1)でを行う為、図3の左上段のグラフにて位置決め処理を説明する。
【0017】
位置決め処理前に回転子磁極位置がA1より遅れ位置(0°〜−180°でA4を除く範囲)にある場合、位置決め処理により回転子は正トルクを受ける為、A1まで移動する。又、位置決め処理前に回転子磁極位置がA1より進み位置(0°〜180°でA4を除く範囲)にある場合、回転子は負トルクを受ける為、同様にA1まで移動する。回転子の位置がA1にある場合は、回転子に作用するトルクは0若しくは微少である為、A1に留まる。位置決め処理前に回転子磁極位置がA4の範囲にある場合、A1にある場合と同様に回転子磁極位置はA4に留まる。
【0018】
回転子磁極位置がA1にある状態で同期運転を始めた場合、通電開始相(T1)では、回転子に作用するトルクは0若しくは微少なので、回転子はその位置に留まるか僅かに移動する。通電相がT2に転流すると、正トルクを受け回転子は電気角で進み方向に回転する。以降、次の転流時に回転子が適切なトルクを得る様に電圧と通電時間を設定し、円滑な同期運転を行う。
【0019】
しかしながら、位置決め処理時に回転子磁極がA4にある状態で同期運転を行うと、通電相がT1では回転子に作用するトルクが0若しくは微少であり、回転子はその場に留まるか僅かに移動する。通電相がT2では逆方向のトルクが作用し電気角で遅れ方向に移動してしまう。同期運転の制御仕様は、回転子磁極がA1にあり進み方向へ回転・加速して行くことを前提に決めている為、A4からの起動には適応しておらず、同期運転の際に大きく振動してしまってり同期外れを起こすなど円滑な起動が出来ない場合がある。
【0020】
第1の発明は、位置決め処理の前に位置決め処理と同じ電圧、同じ時間で、T2、T3、T5、T6の何れかの相に予め通電する位置決め前処理を行うものである。以下、図3のグラフを用いて説明する。例えばT2で位置決め前処理を行った場合、図3の2段目に示すようなトルクが作用し、回転子磁極位置は、A2に移動するかA5に留まる為、A4位置に留まることは無い。同様に通電相T3で位置決め前処理を行えばA3に移動若しくはA6に留まり、T5で位置決め前処理を行えばA5に移動若しくはA2に留まり、T6で位置決め前処理を行えばA6に移動若しくはA3に留まる為、いずれもA4位置に留まることはない。以上の通り、位置決め前処理を行うことで、回転子の磁極位置をA4以外の位置に移動させる為、位置決め処理により確実に回転子磁極位置をA1位置に移動出来る。
【0021】
第2の発明は、通電相がT1及びT2による位置決め処理を時間的にずらして交互に行うものである。以下、図3のグラフを用いて説明する。例えばT1で通電を始めた場合、回転子磁極位置はA1に移動、若しくはA4に留まる。次にT2で通電することで回転子磁極位置がA4位置にある場合は、逆方向トルクを受けてA2位置まで移動し、A1にある場合もA2に移動する。再び回転子磁極位置がA1の状態で通電した場合、回転子磁極位置はA2にある為、A1に移動する。これを繰返せば回転子磁極位置はA1、A2を交互に移動することになり、位置決め処理を止めればA1、若しくはA2に停止する。
【0022】
回転子磁極位置がA1にある状態で同期運転を始めた場合、回転子に作用するトルクは0若しくは微少であり、その場に留まるか僅かに移動する。A2に転流すると、正トルクを受け電気角で進み方向に回転する。
【0023】
回転子磁極位置がA2にある状態で同期運転を始めた場合、通電開始相T1で正トルクを受けるが、このトルクの大きさは回転子磁極位置がA1で同期運転を始めた場合のT2時に作用するトルクと大きさ、方向共に同じである。このことから、A1、A2どちらで同期運転を始めても全く同じ条件で起動出来ることになる。交互に通電する合計時間を充分長くすれば、回転子磁極位置は徐々にA1、A2位置に移動することになる為、 T1、T2への1回の通電時間が短い場合でも、又、非通電時間を設けたと場合でも、本発明の効果には特に問題は無い。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法で位置決め処理を行うことで、同期運転が円滑に行え、確実に起動出来るようになり、製品の信頼性が向上した。更に、慣性が大きい負荷を駆動することも容易となった。又、同期運転失敗時に、再度同期運転を行うことが無くなり、システム全体の処理時間が短縮でき、商品性も向上した。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラシレス・センサレスDCモータ駆動回路の構成図である。
【図2】スイッチング素子に通電するタイミングを示す図である。
【図3】回転子の磁極位置と回転子に作用するトルクの関係を示す図である。
【符号の説明】
1…インバータ回路、2…ブラシレス・センサレスDCモータ、3…位置検出回路、4…インバータ制御回路、5…インバータ回路の上アーム部、6…インバータ回路の下アーム部、7…上アーム部の通電タイミング、8…下アーム部の通電タイミング、9…通電相を表わす記号、
Claims (1)
- 複数のスイッチング素子と整流素子で構成されたインバータ回路と、ブラシレス・DCモータの誘起電圧を検出してその回転子磁極位置を検出する位置検出回路とインバータ制御部とで構成されるブラシレス・センサレスDCモータの駆動システムにおいて、
位置決め処理前に、位置決め処理時に通電する相と電気角度で60°、120°、240°、300°進んだ何れかの相を「位置決め処理」と同じトルクで同じ時間通電することを特徴とするブラシレス・センサレスDCモータの起動方法。
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