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JP4291985B2 - 圧電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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JP4291985B2 - 圧電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

圧電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータ及びその製造方法並びにインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電体の圧電効果を利用して記録を行うインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
この種のインクジェットヘッドは、共通電極層とPZT層と複数の個別電極及び複数の個別電極用配線を有する個別電極層とが順に積層されてなる圧電アクチュエータと、圧力室が形成されたインク流路基板とを備えている。圧電アクチュエータの一方の面には振動板が設けられている。この振動板はインク流路形成基板上に接着材で接着されている。各個別電極は各個別電極用配線を介して、ドライバIC等と接続される複数の電圧入力端子につながっている。そして、インクを吐出する際には、共通電極層と個別電極層とに電圧が印加され、それによりPZT層が伸縮する。その伸縮が振動板に拘束されることにより、圧電アクチュエータは積層方向にたわみ変形する。そのたわみ変形により圧力室の容積が変化し、圧力室内のインクがノズルから吐出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクジェットヘッド駆動時には、各個別電極に印加する電圧のon/offの切換は個々に制御している。そのため、ある個別電極に電圧が印加されている時に、隣の個別電極には電圧が印加されず、グランドに接地されている状態が起こりうる。このとき、隣り合う個別電極間には電位差が生じ、各個別電極用配線間においてマイグレーションが発生する場合がある。これは以下の理由によるものと考えられる。インクジェットヘッドの製造工程において、基板上に形成された個別電極層上にPZT層を形成したとき、PZT層の個別電極層側の表層に個別電極層の材料が拡散する場合がある。また、PZT層の組成率は本来Pb:(Zr+Ti):O=1:1:3となるはずである。しかしながら、個別電極層上にPZT層を形成する際の焼成工程においてPZT層の結晶の粒界にPbOが析出し、PZT層の組成率がPb:(Zr+Ti):O=1.5:1:3.6となり、Pbの組成率が高くなっている。ここで、上述のようなインクジェットヘッドの両電極層に電圧を印加する、あるいは、各個別電極に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極間に電位差が生じると、PZT層の個別電極層側の表面に個別電極層の材料又はPbが析出する。そして、この析出した個別電極層の材料又はPbを原因として、各個別電極用配線間でマイグレーションが発生するのである。そして、マイグレーションが進行すると個別電極用配線間でショートが発生し、インクジェットヘッドの信頼性が低下する。
【0005】
また、同様に、共通電極層と個別電極層との間にマイグレーションが発生する場合がある。そして、マイグレーションが進行すると共通電極層と個別電極層との間でショートが発生し、インクジェットヘッドの信頼性が低下する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電アクチュエータにおけるマイグレーションの発生を防ぐ技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電アクチュエータは、第1電極層と、該第1電極層上に形成された圧電層と、該圧電層上に形成され、上記第1電極層とともに上記圧電層に電圧を印加する第2電極層とを備える圧電アクチュエータであって、上記圧電層が、上記第1電極層上に形成され、Pbを含む第1電極層側圧電層と、該第1電極層側圧電層上に形成され、Pbを含むとともにPbの組成率が上記第1電極層側圧電層より低い第2電極層側圧電層とを有するものである。
【0008】
これにより、第2電極層側圧電層が第1電極層側圧電層よりPbの組成率が低いため、両電極層間に電圧を印加したときに、第2電極層側圧電層の第2電極層側の表面にPbが析出しにくい。したがって、本発明によれば、第1電極層及び第2電極層間のマイグレーションを防ぐことができるとともに、インクジェットヘッドの信頼性の向上を図ることができる。
【0009】
本発明に係る圧電アクチュエータは更に、第1電極層が共通電極層を有し、第2電極層が、個別化された複数の個別電極と、該各個別電極と上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子とを繋ぐ複数の個別電極用配線とを有するものである。
【0010】
これにより、第2電極層側圧電層が第1電極層側圧電層よりPbの組成率が低いため、両電極層間に電圧を印加したとき、あるいは、各個別電極に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極間に電位差が生じたときに、圧電層の第2電極層側、つまり、個別電極及び個別電極用配線側の表面にPbが析出しにくい。したがって、本発明によれば、各個別電極用配線間のマイグレーションを防ぐことができる。
【0011】
本発明に係るインクジェットヘッドは、請求項1記載の圧電アクチュエータを備えるものである。
【0012】
本発明に係るインクジェットヘッドは、請求項2記載の圧電アクチュエータと、該圧電アクチュエータの第1電極層側の面又は第2電極層側の面の上に形成され、複数のノズルと該各ノズルに連通する複数の圧力室とが形成されたインク流路形成部材とを備え、上記各個別電極が上記各圧力室に対応する部分に位置しているものである。
【0013】
本発明に係るインクジェット式記録装置は、請求項3又は4記載のインクジェットヘッドを備えるものである。
【0014】
本発明に係る圧電アクチュエータの製造方法は、第1基板上に個別電極層を形成する工程と、該個別電極層上にPbを含む個別電極層側圧電層を形成する工程と、該個別電極層側圧電層上に、Pbを含むとともにPbの組成率が上記個別電極層側圧電層より高い共通電極層側圧電層を形成する工程と、該共通電極層側圧電層上に共通電極層を形成する工程と、該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、上記第1基板を除去する工程と、上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、を備えるものである。
【0015】
本発明に係る圧電アクチュエータの製造方法は、基板上に振動板を形成し、且つ、該振動板上に共通電極層を形成する工程又は基板上に振動板を兼ねる共通電極層を形成する工程と、上記共通電極層上にPbを含む共通電極層側圧電層を形成する工程と、該共通電極層側圧電層上に、Pbを含むとともにPbの組成率が上記共通電極層側圧電層より低い個別電極層側圧電層を形成する工程と、該個別電極層側圧電層上に個別電極層を形成する工程と、該個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、を備えるものである。
【0016】
本発明に係る圧電アクチュエータの製造方法は、第1基板上に個別電極層を形成する工程と、該個別電極層上に圧電層を形成する工程と、該圧電層上に共通電極層を形成する工程と、該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、上記第1基板を除去する工程と、上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、上記各個別電極及び各個別電極用配線に対応する部分以外の部分に位置する上記圧電層の上記個別電極層側の表層を除去する工程と、を備えるものである。
【0017】
本発明に係る圧電アクチュエータの製造方法は、第1基板上に個別電極層を形成する工程と、該個別電極層上に圧電層を形成する工程と、該圧電層上に共通電極層を形成する工程と、該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、上記第1基板を除去する工程と、上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、上記圧電層の上記各個別電極及び各個別電極用配線に対応する部分を個別化する工程と、を備えるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る圧電アクチュエータによれば、第2電極層側圧電層が第1電極層側圧電層よりPbの組成率が低いため、両電極層間に電圧を印加したときに、第2電極層側圧電層の第2電極層側の表面にPbが析出しにくい。したがって、第1電極層及び第2電極層間のマイグレーションを防ぐことができるとともに、インクジェットヘッドの信頼性の向上を図ることができる。
【0019】
本発明に係る圧電アクチュエータによれば、個別電極層側圧電層が共通電極層側圧電層よりPbの組成率が低いため、共通電極層と個別電極層との間に電圧を印加したとき、あるいは、各個別電極に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極間に電位差が生じたときに、個別電極層側圧電層の個別電極層側の表面にPbが析出しにくい。したがって、各個別電極用配線間のマイグレーションを防ぐことができる。また、インクジェットヘッドの信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、インクジェット式記録装置としてのインクジェットプリンタ3に組み込まれ、吐出したインク滴を紙等の記録媒体5に着弾させて記録を行うものである。
【0021】
インクジェットヘッド1は、キャリッジ軸7に沿って往復移動するキャリッジ9に搭載され、キャリッジ9とともに主走査方向Xに往復運動を行う。ローラ10は、キャリッジ9が主走査方向Xに一走査分移動するごとに、記録媒体5を副走査方向Yに搬送するように構成されている。
【0022】
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、共通インク室11と複数の圧力室19と複数のノズル15とが形成されたヘッド本体部17と、圧力室19内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ21とを備えている。
【0023】
ヘッド本体部17の圧力室19は、副走査方向Yに沿って所定間隔毎に配設されている。圧力室19は、開口断面(XY断面)が主走査方向Xに細長い略矩形状に形成されている。圧力室19の底部における長手方向の一端(図2の右側端)には、共通インク室11につながっているインク供給口23が形成され、その他端(図2の左側端)には、ノズル15につながっているインク流路25が形成されている。
【0024】
図2〜図4に示すように、圧電アクチュエータ21は、2μmのCrからなる振動板26と、振動板26上に形成された厚さ5.5μmのCuからなる共通電極27と、共通電極27上に形成された厚さ3μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29と、圧電体29上に形成された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極33と、圧電体29上に形成されるとともに個別電極33に接続された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極用配線34(図2では個別電極用配線を省略)とを有している。なお、本発明で言うところの第1電極層及び共通電極層は共通電極27によって構成され、第2電極層及び個別電極層は個別電極33及び個別電極用配線34によって構成されている。
【0025】
圧電体29は下部圧電体29aと上部圧電体29bとによって構成されている。下部圧電体29aは共通電極27上に形成されている。上部圧電体29bは下部圧電体29a上に形成され、Pbの組成率が下部圧電体29aのPbの組成率より低い。なお、本発明で言うところの共通電極層側圧電層は下部圧電体29aによって構成され、個別電極層側圧電層は上部圧電体29bによって構成されている。
【0026】
個別電極用配線34は、各個別電極33の一端と各個別電極33のそれぞれに電圧を印加する電圧入力端子部(図示せず)とに接続されている。
【0027】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図5及び図6を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。以下に示すインクジェットヘッド1の製造方法は、転写工法と呼ばれるものである。
【0028】
まず、図5(a)に示すように、MgO基板47上にスパッタリングや蒸着等によりPtからなる上部電極49を形成する。なお、本発明で言うところの第1基板はMgO基板47によって構成されている。
【0029】
次に、図5(b)に示すように、上部電極49上にスパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる上部圧電体29bを成膜する。上部圧電体29bの成膜温度は590℃である。ここで、上部圧電体29bの成膜温度が後述する下部圧電体29aの成膜温度より高いため、上部圧電体29bのPbの組成率が下部圧電体29aのPbの組成率より低くなる。
【0030】
次に、図5(c)に示すように、上部圧電体29b上にスパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる下部圧電体29aを成膜する。下部圧電体29aの成膜温度は540℃である。なお、下部圧電体29aをペロブスカイト型構造で成長させるためには、下部圧電体29aの成膜温度は540℃以上であることが好ましい。
【0031】
次に、図5(d)に示すように、下部圧電体29a上にCuからなる共通電極27を形成する。
【0032】
次に、図6(a)に示すように、共通電極27上にスパッタリングや蒸着等によりCrからなる振動板26を形成する。
【0033】
次に、図6(b)に示すように、振動板26上に圧力室19が形成されたヘッド本体部17を電着する。なお、本発明で言うところの第2基板はヘッド本体部17によって構成されている。
【0034】
次に、図6(c)に示すように、MgO基板47をエッチング等により除去する。
【0035】
最後に、図6(d)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する部分にあたる上部電極49をエッチング等によって個別化することにより、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する。
【0036】
(インクジェットヘッドの動作方法)
ここで、本実施形態に係るインクジェットヘッド1の動作方法を説明する。まず、共通電極27と個別電極33とに電圧が印加される。両電極27,33に電圧が印加されたことにより、圧電体29が伸縮する。その伸縮が振動板26に拘束されることにより、圧電アクチュエータ21は積層方向にたわみ変形する。そのたわみ変形により圧力室19内の容積が変化し、圧力室19内のインクがインク流路25を介してノズル15から吐出される。
【0037】
本実施形態によれば、上部圧電体29bのPbの組成率が下部圧電体29aのPbの組成率より低いため、両電極27,33に電圧を印加したとき、あるいは、各個別電極33に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極33間又は個別電極用配線34間に電位差が生じたときに、上部圧電体29bの上面にPbが析出しにくい。したがって、共通電極27と個別電極33及び個別電極用配線34との間のマイグレーションを防ぐことができるとともに、インクジェットヘッド1の信頼性の向上を図ることができる。
【0038】
また、上部圧電体29bのPbの組成率が下部圧電体29aのPbの組成率より低いため、両電極27,33に電圧を印加したとき、あるいは、各個別電極33に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極33間又は個別電極用配線34間に電位差が生じたときに、上部圧電体29bの上面にPbが析出しにくい。したがって、各個別電極用配線34間のマイグレーションを防ぐことができる。
【0039】
なお、本実施形態によれば、圧電体29がPb(Zr,Ti)O3によって構成されているが、Pbを含む圧電体、例えば、PbTiO3やPMN−PZT等によって構成されても良い。
【0040】
(実施形態2)
本実施形態に係る圧電アクチュエータは、いわゆる直接工法で製造されたものであり、実施形態1の圧電アクチュエータとほぼ同様の構成をとる。以下、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0041】
図7に示すように、圧電アクチュエータ21は、2μmのCrからなる振動板26と、振動板26上に形成された厚さ5.5μmのCuからなる共通電極27と、共通電極27上に形成された厚さ50nmのTiからなる接着層32と、接着層32上に形成された厚さ0.2μmのPt−Ti合金層36と、Pt−Ti合金層36上に形成された厚さ50nmのPLT層28と、PLT層28上に形成された厚さ3μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29と、圧電体29上に形成された厚さ0.2μmのPtからなる個別電極33及び個別電極33に接続された個別電極用配線34とを有している。
【0042】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図8及び図9を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。以下に示すインクジェットヘッド1の製造方法は、直接工法と呼ばれるものである。
【0043】
まず、図8(a)に示すように、Si基板48上にCrからなる振動板26を形成する。
【0044】
次に、図8(b)に示すように、振動板26上にCuからなる共通電極27を形成する。
【0045】
次に、図8(c)に示すように、共通電極27上にTiからなる接着層32を形成する。
【0046】
次に、図8(d)に示すように、接着層32上にPt−Ti合金層36を形成する。
【0047】
次に、図8(e)に示すように、Pt−Ti合金層36上にPLT層28を形成する。
【0048】
次に、図9(a)に示すように、PLT層28上に、スパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる下部圧電体29aを成膜する。下部圧電体29aの成膜温度は540℃である。
【0049】
次に、図9(b)に示すように、下部圧電体29a上に、スパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる上部圧電体29bを成膜する。上部圧電体29bの成膜温度は590℃である。
【0050】
次に、図9(c)に示すように、上部圧電体29b上に、スパッタリングや蒸着等によりPtからなる上部電極49を形成する。
【0051】
次に、図9(d)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する部分にあたる上部電極49をエッチング等によって個別化することにより、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する。最後に、Si基板48を加工し、圧力室19が形成されたヘッド本体部17を形成する。なお、Si基板48を加工し圧力室19を形成する際における振動板26の損傷を防ぐために、Si基板48と振動板26との間にストッパー層(図示せず)を設けても良い。
【0052】
なお、本実施形態においても、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0053】
(実施形態3)
本実施形態に係る圧電アクチュエータは、個別電極及び個別電極用配線に対応した部分以外の圧電体の表層を除去したものであり、実施形態1の圧電アクチュエータとほぼ同様の構成をとる。以下、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0054】
図10に示すように、圧電アクチュエータ21は、2μmのCrからなる振動板26と、振動板26上に形成された厚さ5.5μmのCuからなる共通電極27と、共通電極27上に形成された厚さ3μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29と、圧電体29上に形成された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極33と、圧電体29上に形成されるとともに個別電極33に接続された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極用配線34とを有している。
【0055】
圧電体29の個別電極33側の表層部は電極材料拡散層30を構成している。電極材料拡散層30とは、Ptからなる上部電極49上にPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29を形成したときに上部電極49の材料であるPtが拡散した層である。電極材料拡散層30における個別電極33及び個別電極用配線34に対応した部分以外は除去されている。なお、本発明で言うところの第1圧電層は電極材料拡散層30以外の圧電体29によって構成され、第2圧電層は電極材料拡散層30によって構成されている。
【0056】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図11及び図12を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
【0057】
まず、図11(a)に示すように、MgO基板47上にスパッタリングや蒸着等によりPtからなる上部電極49を形成する。
【0058】
次に、図11(b)に示すように、上部電極49上にスパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29を形成する。また、このとき、圧電体29の上部電極49側の表層部には上部電極49の材料であるPtが拡散する。そして、この表層部が電極材料拡散層30を構成する。
【0059】
次に、図11(c)に示すように、圧電体29上にCuからなる共通電極27を形成する。
【0060】
次に、図11(d)に示すように、共通電極27上にスパッタリングや蒸着等によりCrからなる振動板26を形成する。
【0061】
次に、図12(a)に示すように、振動板26上に圧力室19が形成されたヘッド本体部17を電着する。
【0062】
次に、図12(b)に示すように、MgO基板47をエッチング等により除去する。
【0063】
次に、図12(c)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する部分にあたる上部電極49をエッチング等によって個別化することにより、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する。
【0064】
最後に、図12(d)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34に対応する部分以外の部分に位置する圧電体29の個別電極33側の表層部、すなわち、電極材料拡散層30をドライエッチングにより除去する。電極材料拡散層30の厚さは100nmである。
【0065】
本実施形態によれば、上部電極49上に圧電体29を形成するときに圧電体29の個別電極33側の表層部に上部電極49の材料のPtが拡散したとしても、個別電極33及び個別電極用配線34以外の部分に位置する電極材料拡散層30が除去されているため、両電極27,33に電圧を印加しても、あるいは、各個別電極33に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極33間又は個別電極用配線34間に電位差が生じても、圧電体29の上面における各個別電極用配線34間にPtが析出しない。また、電極材料拡散層30、つまり、圧電体29の表面のみを除去しているため、エッチングによるサイドエッチやエッチング残差物の影響が少ない。したがって、各個別電極用配線34間のマイグレーションを防ぐことができるとともに、エッチングによる信頼性の低下を防ぐことができる。
【0066】
なお、本実施形態によれば、インクジェットヘッド1は転写工法で製造されているが、直接工法で製造されても良い。
【0067】
また、圧電体29を共通電極27上に形成された第1圧電体と、該第1圧電体上に形成するとともに、Pbの組成率が上記第1圧電体のPbの組成率よりも低い第2圧電体とによって構成しても良い。
【0068】
(実施形態4)
本実施形態に係る圧電アクチュエータは、個別電極及び個別電極用配線に対応した部分に位置する圧電体を個別化したものであり、実施形態3の圧電アクチュエータとほぼ同様の構成をとる。以下、実施形態3と異なる構成について説明する。
【0069】
図13に示すように、圧電アクチュエータ21は、2μmのCrからなる振動板26と、振動板26上に形成された厚さ5.5μmのCuからなる共通電極27と、共通電極27上に形成された厚さ3μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29と、圧電体29上に形成された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極33と、圧電体29上に形成されるとともに個別電極33に接続された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極用配線34とを有している。圧電体29は個別電極33及び個別電極用配線34に対応した部分に位置するように個別化されている。
【0070】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図14及び図15を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
【0071】
まず、図14(a)に示すように、MgO基板47上にスパッタリングや蒸着等によりPtからなる上部電極49を形成する。
【0072】
次に、図14(b)に示すように、上部電極49上にスパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29を形成する。また、このとき、圧電体29の上部電極49側の表層部には上部電極49の材料であるPtが拡散する。そして、この表層部が電極材料拡散層30を構成する。
【0073】
次に、図14(c)に示すように、圧電体29上にCuからなる共通電極27を形成する。
【0074】
次に、図14(d)に示すように、共通電極27上にスパッタリングや蒸着等によりCrからなる振動板26を形成する。
【0075】
次に、図15(a)に示すように、振動板26上に圧力室19が形成されたヘッド本体部17を電着する。
【0076】
次に、図15(b)に示すように、MgO基板47をエッチング等により除去する。
【0077】
次に、図15(c)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する部分にあたる上部電極49をエッチング等によって個別化することにより、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する。
【0078】
最後に、図15(d)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34に対応した部分に位置する圧電体29をウェットエッチングにより個別化する。
【0079】
本実施形態によれば、上部電極49上に圧電体29を形成するときに圧電体29の個別電極33側の表層部に上部電極49の材料のPtが拡散したとしても、個別電極33及び個別電極用配線34以外の部分に位置する圧電体29が除去されているため、両電極27,33に電圧を印加したとき、あるいは、各個別電極33に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極33間又は個別電極用配線34間に電位差が生じたときに、圧電体29の上面における各個別電極用配線34間にPtが析出しない。また、各個別電極33及び各個別電極用配線34に対応した箇所にしか圧電体29が存在しないため、電圧印加時に圧電体29全域が一様に変位し、変位しない部分が存在しない。よって、電圧印加時に圧電体29にクラックが生じにくい。したがって、各個別電極用配線34間のマイグレーションを防ぐことができ、また、圧電体29のクラックの発生による信頼性低下を防ぐことができる。
【0080】
なお、本実施形態によれば、インクジェットヘッド1は転写工法で製造されているが、直接工法で製造されても良い。
【0081】
また、圧電体29を、共通電極27上に形成された下部圧電体と、該下部圧電体上に形成するとともにPbの組成率が上記下部圧電体のPbの組成率よりも低い上部圧電体とによって構成しても良い。
【0082】
参考例
参考例に係る圧電アクチュエータは、上部電極を個別電極及び個別電極用配線に個別化した後に上記個別電極及び個別電極用配線上に圧電体を形成したものであり、実施形態3の圧電アクチュエータとほぼ同様の構成をとる。以下、実施形態3と異なる構成について説明する。
【0083】
図16に示すように、圧電アクチュエータ21は、2μmのCrからなる振動板26と、振動板26上に形成された厚さ5.5μmのCuからなる共通電極27と、共通電極27上に形成された厚さ3μmのPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29と、圧電体29上に形成された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極33と、圧電体29上に形成されるとともに個別電極33に接続された厚さ0.1μmのPtからなる個別電極用配線34とを有している。
【0084】
圧電体29の上面には電極用凹部(図示せず)及び配線用凹部31が形成されている。電極用凹部には個別電極33が配設され、配線用凹部31には個別電極用配線34が配設されている。圧電体29の上面、個別電極33の上面、及び個別電極用配線34の上面は同一平面上にある。
【0085】
圧電体29における個別電極33及び個別電極用配線34の周囲部は電極材料拡散層30を構成している。
【0086】
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、図17及び図18を参照しながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
【0087】
まず、図17(a)に示すように、MgO基板47上にスパッタリングや蒸着等によりPtからなる上部電極49を形成する。
【0088】
次に、図17(b)に示すように、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する部分にあたる上部電極49をエッチング等によって個別化することにより、個別電極33及び個別電極用配線34を形成する。
【0089】
次に、図17(c)に示すように、個別電極33、個別電極用配線34及びMgO基板47上にスパッタリングや蒸着等によりPb(Zr,Ti)O3からなる圧電体29を形成する。また、このとき、圧電体29における個別電極33及び個別電極用配線34の周囲部には、個別電極33及び個別電極用配線34の材料であるPtが拡散する。そして、この周囲部が電極材料拡散層30を構成する。
【0090】
次に、図17(d)に示すように、圧電体29上にCuからなる共通電極27を形成する。
【0091】
次に、図18(a)に示すように、共通電極27上にスパッタリングや蒸着等によりCrからなる振動板26を形成する。
【0092】
次に、図18(b)に示すように、振動板26上に圧力室19が形成されたヘッド本体部17を電着する。
【0093】
最後に、図18(c)に示すように、MgO基板47をエッチング等により除去する。
【0094】
参考例によれば、上部電極49を個別化することにより個別電極33及び個別電極用配線34を形成した後に、個別電極33、個別電極用配線34及びMgO基板47上に圧電体29を形成するため、圧電体29における個別電極33及び個別電極用配線34の周囲部にだけ個別電極33及び個別電極用配線34の材料であるPtが拡散する。よって、両電極27,33に電圧を印加しても、あるいは、各個別電極33に印加する電圧を個々に制御することで隣り合う個別電極33間又は個別電極用配線34間に電位差が生じても、圧電体29の上面における各個別電極用配線34間にPtが析出しない。したがって、各個別電極用配線34間のマイグレーションを防ぐことができる。
【0095】
なお、圧電体29を、共通電極27上に形成された下部圧電体と該下部圧電体上に形成するとともにPbの組成率が上記下部圧電体のPbの組成率よりも低い上部圧電体とによって構成しても良い。
【0096】
また、上記各実施形態及び参考例によれば、振動板26と共通電極27とが別個に設けられているが、共通電極27が振動板を兼ねても良い。
【0097】
また、上記各実施形態及び参考例によれば、圧電体29がPb(Zr,Ti)O3によって構成されているが、実施形態1及び2を除いて、圧電特性を有する材料ならば如何なるもので構成されても良い。また、上記各実施形態及び参考例と異なる厚みの圧電体を使用しても良い。
【0098】
また、共通電極27、個別電極33、ヘッド本体部17等は、上記各実施形態及び参考例と異なる材料や厚みのものを使用しても良い。
【0099】
また、上記各実施形態及び参考例によれば、ヘッド本体部17上に共通電極27が形成されているが、ヘッド本体部17上に個別電極33が形成されても良い。このとき、共通電極27は圧電体29上に形成される。
【0100】
また、上記各実施形態及び参考例によれば、圧電アクチュエータ21がインクジェットヘッド1に用いられているが、これに限らず、他の機械装置に用いられても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態及び参考例に係るインクジェット式記録装置の概略構成図である。
【図2】 実施形態及び参考例に係るインクジェットヘッドの一部を破断して示す斜視図である。
【図3】 実施形態及び参考例に係るインクジェットヘッドの平面図である。
【図4】 図3のA−A線の断面図である。
【図5】 (a)〜(d)は、実施形態1に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図6】 (a)〜(d)は、実施形態1に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図7】 実施形態2に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図8】 (a)〜(e)は、実施形態2に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図9】 (a)〜(d)は、実施形態2に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図10】 実施形態3に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図11】 (a)〜(d)は、実施形態3に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図12】 (a)〜(d)は、実施形態3に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図13】 実施形態4に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図14】 (a)〜(d)は、実施形態4に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図15】 (a)〜(d)は、実施形態4に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図16】 参考例に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図17】 (a)〜(d)は、参考例に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【図18】 (a)〜(c)は、参考例に係るインクジェットヘッドの製造工程の一部である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
17 ヘッド本体部
27 共通電極(第1電極層)
29 圧電体
29a 下部圧電体
29b 上部圧電体
30 電極材料拡散層
33 個別電極(第2電極層)
34 個別電極用配線(第2電極層)

Claims (9)

  1. 第1電極層と、該第1電極層上に形成された圧電層と、該圧電層上に形成され、上記第1電極層とともに上記圧電層に電圧を印加する第2電極層とを備える圧電アクチュエータであって、
    上記圧電層は、上記第1電極層上に形成され、Pbを含む第1電極層側圧電層と、該第1電極層側圧電層上に形成され、Pbを含むとともにPbの組成率が上記第1電極層側圧電層より低い第2電極層側圧電層とを有する圧電アクチュエータ。
  2. 第1電極層は共通電極層を有し、
    第2電極層は、個別化された複数の個別電極と、該各個別電極と上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子とを繋ぐ複数の個別電極用配線とを有する請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  3. 請求項1記載の圧電アクチュエータを備えるインクジェットヘッド。
  4. 請求項2記載の圧電アクチュエータと、
    該圧電アクチュエータの第1電極層側の面又は第2電極層側の面の上に形成され、複数のノズルと該各ノズルに連通する複数の圧力室とが形成されたインク流路形成部材とを備え、
    上記各個別電極は上記各圧力室に対応する部分に位置しているインクジェットヘッド。
  5. 請求項3又は4記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット式記録装置。
  6. 第1基板上に個別電極層を形成する工程と、
    該個別電極層上にPbを含む個別電極層側圧電層を形成する工程と、
    該個別電極層側圧電層上に、Pbを含むとともにPbの組成率が上記個別電極層側圧電層より高い共通電極層側圧電層を形成する工程と、
    該共通電極層側圧電層上に共通電極層を形成する工程と、
    該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、
    上記第1基板を除去する工程と、
    上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、
    を備える圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 基板上に振動板を形成し、且つ、該振動板上に共通電極層を形成する工程又は基板上に振動板を兼ねる共通電極層を形成する工程と、
    上記共通電極層上にPbを含む共通電極層側圧電層を形成する工程と、
    該共通電極層側圧電層上に、Pbを含むとともにPbの組成率が上記共通電極層側圧電層より低い個別電極層側圧電層を形成する工程と、
    該個別電極層側圧電層上に個別電極層を形成する工程と、
    該個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、
    を備える圧電アクチュエータの製造方法。
  8. 第1基板上に個別電極層を形成する工程と、
    該個別電極層上に圧電層を形成する工程と、
    該圧電層上に共通電極層を形成する工程と、
    該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、
    上記第1基板を除去する工程と、
    上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、
    上記各個別電極及び各個別電極用配線に対応する部分以外の部分に位置する上記圧電層の上記個別電極層側の表層を除去する工程と、
    を備える圧電アクチュエータの製造方法。
  9. 第1基板上に個別電極層を形成する工程と、
    該個別電極層上に圧電層を形成する工程と、
    該圧電層上に共通電極層を形成する工程と、
    該共通電極層上に第2基板を固着する工程と、
    上記第1基板を除去する工程と、
    上記個別電極層を複数の個別電極と複数の個別電極用配線とに個別化する工程と、
    上記圧電層の上記各個別電極及び各個別電極用配線に対応する部分を個別化する工程と、
    を備える圧電アクチュエータの製造方法。
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