JP4293798B2 - マルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法及びマルチキャリア受信機 - Google Patents
マルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法及びマルチキャリア受信機 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(OFDM)受信機のようなマルチキャリアシステムに関する。詳細には、本発明は、たとえば、特に無線伝送のマルチパス干渉に起因して送信機出力と受信機入力との間で生じる可能性があるマルチキャリア伝送の歪みを補正できるようにするために、伝送のチャネル伝達関数を推定することに関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDMを用いる場合、各サブキャリア上の個々の変調シンボルはそれぞれ長い持続時間を有する。このようにして、反射された信号を受信する特定の受信機によって引き起こされるチャネルの劣化、いわゆるマルチパス歪みおよびチャネル遅延スプレッドが大きく低減される。これは、各サブキャリア上のデータシンボルの持続時間が反射によって引き起こされる遅延スプレッドよりも非常に長いときに、反射されたパスからの遅延信号上のデータが、直接パス上で以前に伝送されたデータとほとんど重複しないために生じる。しかしながら、反射された信号が存在する場合には、チャネルの周波数応答が影響を及ぼされ、OFDM信号内の個々のサブキャリアが減衰される可能性がある。チャネル推定器は、この影響を計算し、歪みを補償できるようにする。
【0003】
データ速度を高めるために、多くの場合に同期変調が用いられる。同期変調は、データを搬送するために、振幅および位相の絶対値を利用する。これにより、その信号はチャネルの劣化に対して非常に影響を受けやすくなる。このため、同期変調されたOFDMを用いるとき、受信機によって知られている変調値を有する「パイロット」サブキャリアが通常、主要信号とともに送信される。その後、受信されたパイロットは、受信されるはずのパイロットと比較され、その差を用いてチャネル歪みが推定され、除去される。この手順は等化と呼ばれる。
【0004】
たとえば地上波デジタルビデオ放送(DVB−T)、地上波統合サービスデジタル放送(ISDB−T)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:HIPERLAN/2、IEEE802.11a、MMAC)およびデジタルオーディオ放送(DAB)などの現在の無線伝送方式は全て、マルチパス信号の影響を解消できるようにするために、パイロットサブキャリアを利用する。DVB−T、ISDB−Tおよび無線LANの場合には、パイロットは、ある一定の時間にある一定のサブキャリア上でのみ送信される。DVB−TおよびISDB−Tの場合、パイロットサブキャリアは各OFDMシンボル上で送信されるが、そのサブキャリアのうちのいくつかにおいてのみ送信される可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
既知のパイロット間のデータサブキャリア上のチャネルによって引き起こされる信号歪みを補正できるようにするために、現在の受信機は、フィルタおよび/または線形補間回路を用いて、パイロット間を補間し、その補間された結果を用いて、そのチャネルを補正する。多くの場合に、いくつかのパイロットが用いられ、周波数方向および時間方向においてフィルタリングを行い、雑音の影響を除去する。しかしながら、反射された二次的な信号がメインパスOFDM信号のシンボル持続時間に対して相対的に長い時間にわたって遅延される場合に生じることになるように、サブキャリア方向(すなわち、周波数方向)におけるチャネルの変動が急速である場合には、正確に補間することは難しい。さらに、フィルタに基づくチャネル等化のアプローチでは、信号スペクトルの縁部にあるサブキャリアを取り扱うことは難しい。低周波数の縁部では、スペクトルの縁部より下側で用いることができるパイロットが存在しない。同様に、高周波数の縁部では、それより高い周波数のパイロットサブキャリアが存在しない。これにより、フィルタを実装するのがより複雑になる。
【0006】
本発明の目的は、チャネル推定のための改善された信号処理を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の種々の態様が併記の特許請求の範囲に記載される。
【0008】
別の態様によれば、信号が伝送されるチャネルの特性が、送信されたサブキャリア、詳細にはパイロットを用いることにより新しい態様で特定される。その特定は、隣接するパイロットサブキャリアの歪み値間で、チャネルによって導入される位相の特徴的な変化の値を求めることによりなされる。
【0009】
その後、そのチャネル応答を等化することにより、チャネル歪みを補償することができる。このシステムは一般に、マルチパス遅延スプレッドがOFDMシンボル長のより長い部分になるのにつれて、技法が徐々に劣化していく従来の補間あるいはフィルタリングよりも優れた結果を生み出す。これは、マルチパスチャネルによって引き起こされる信号スペクトルのリップルが、パイロット間隔に比べて密な間隔を有するようになるためである。その際、フィルタリングあるいは補間された推定値は厳密さを欠くようになる。
【0010】
種々の代替の実現可能性が想定される。
【0011】
たとえば、本発明は、2相位相変調あるいは4相位相変調システムにおいて、送信されたデータの信号コンスタレーションがわかっている場合には、パイロットを用いないマルチキャリアシステムに適用することもできる。したがって、データに基づく判定手順を用いることができ、少なくともいくつかのサブキャリアの場合に、導出された複素データ値を用いて、1組の所定の取り得るデータ値のうちの、最も近い値が選択される。その後、導出された複素値と選択された所定の値とを比較することにより、データ歪み値を判定することができる。これにより、他のサブキャリアの場合の歪み推定値を判定できるようになる。したがって、いくつかのサブキャリアによって搬送されるデータを判定できるものと仮定すると、他のサブキャリアによって搬送される値の判定を困難にする雑音を補償することができる。
【0012】
本発明は主に、チャネル等化の目的を果たすための推定されたチャネル伝達関数に関連して記載されることになるが、それとは別に、あるいはそれに加えて、マルチキャリア信号の2つのバージョン間の遅延を測定するための技法を用いることができる。これは、種々のサブキャリアの歪み値間の位相変化がこの時間遅延に依存し、それゆえ、位相が変化する速度を判定することにより、時間遅延を計算することができるためである。したがって、本発明は、時間遅延が、その一方が信号を反射する物体の位置であり、もう一方が別の反射物体の位置あるいはマルチキャリア信号の信号源(その信号の受信機の位置の可能性もある)である、2つの場所の間の距離を表す距離測定あるいは物体検出システムに適用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
ここで本発明を具現する構成を、添付の図面を参照しながら例を用いて記載する。
【0014】
OFDM受信機2が図1に示される。OFDM信号は、マルチパス反射を受けている可能性があり、アンテナ4で受信され、ダウンコンバータ6によって適当な中間周波数(IF)にダウンコンバートされる。その後、その信号はサンプリングされ、それ自体でよく知られている方法を用いて、IF/ベースバンドコンバータ8によって同相および直交成分(複素数)に変換される。その後、このサンプリングされた時間領域信号は、受信機の高速フーリエ変換(FFT)信号処理部10によって周波数領域に変換される。受信機が、サンプルクロック及び周波数同期部12、並びにシンボル同期部14を用いて、その信号に正確に同調され、かつ同期される場合には、高速フーリエ変換信号処理部10の出力は、キャリア間干渉(ICI)がない、受信OFDMサブキャリアである。その後、これらのOFDMサブキャリアは、送信されたOFDMシンボル内のパイロット位置において得られるサンプリングされたチャネル周波数応答に基づいて、データサブキャリアの位置においてチャネル歪みを推定するために、かつチャネル推定結果を利用することによりデータサブキャリアの歪みを除去あるいは低減し、改善されたシステム性能を達成するために、チャネル推定及び等化部16に供給される。
【0015】
その後、等化されたデータサブキャリアは、復調及びデータ復号部18に供給される。ここまでに記載された技法は当分野において知られている。
【0016】
図2を参照すると、周波数に関してチャネル応答特性Rの急速な変動を引き起こすマルチパス干渉を受ける信号内の種々の周波数におけるパイロットサブキャリアの振幅の典型的なプロットが示される。従来技術による技法は、隣接するパイロットサブキャリアの対間を補間することにより、その応答特性Rを決定しようと試みる。
【0017】
こうして、各パイロットサブキャリアの場合に、たとえば、サブキャリアnのチャネル伝達関数のための値Pnを得るために、受信された信号と既知の変調値との比をとることにより、パイロット歪み値が計算される。図3を参照すると、周波数に対するチャネル伝達関数Tがプロットされる。線形補間を用いることにより、隣接するパイロットサブキャリア(実線で示される)間のデータサブキャリア(破線で示される)のためのチャネル伝達関数T値を概ね判定することができることは理解されよう。パイロットサブキャリアは、k番目のサブキャリア毎にパイロットサブキャリアになるように、等間隔で配置されるものと仮定される。間に現れるデータサブキャリアは、パイロットに対して指数iだけオフセットされる。ただしi=1、...、(k−1)である。線形補間のための従来技術の技法は、データサブキャリア(n+i)の場合に、以下の式のチャネル伝達関数を与える。
chn+i=Pn−(Pn−Pn+k)i/k
【0018】
しかしながら、そのように補間されたデータ歪み推定値は、図3から明らかなように、特にそのチャネル伝達関数Tの頂部と谷部の領域において不正確である可能性が高い。
【0019】
本発明によれば、チャネル推定及び等化部16のチャネル推定プロセスの場合に以下に記載される技法を用いることにより、これらの問題が低減される。以下の説明では、システムが最も効率的に動作するために、通常は受信される信号のメインあるいは直接波に関連付けられる成分である、そのチャネルの最も強いパスに受信機2が同期するものと仮定される。
【0020】
マルチパス歪みの結果として、主要応答あるいはチャネル振幅頂部領域に同期する受信機では、低周波数サブキャリアにおけるチャネル応答のサンプルのある特定の対間の差の位相が、高周波数のサブキャリアの別の特定の対の位相よりも大きくなる傾向があることが観測されている。それはチャネル内の総遅延量であり、それによって、周波数が高くなるのに応じて位相値が落ち込むようになる。この位相の動きは、位相回転変数αを確立するために利用することができ、結果として、根底をなすマルチパスチャネル応答の位相特性を近似する2パスモデルが生成される。実際に、最も強い2つのパスが支配的である。したがって、サブキャリア周波数に対してこの位相が変動する範囲αを判定することにより、データ歪み推定値を得るために、パイロット歪み値間のより正確な補間を実行することができる。
【0021】
受信機が直接波で受信される信号に対して同期し、τの遅延を有する単一の遅延反射信号が存在するものと仮定すると、2つのサブキャリア周波数におけるチャネル応答Pn、Pn+k間の差δPnの位相φnは、速度α=−δωτでサブキャリア周波数に対して変動するであろう。ここで、δωはサブキャリア間の角周波数の増分である。2パスシステムは、この位相の線形な変化を生み出すであろう。すなわちαは定数になるであろう。3つ以上のパスを有する典型的なマルチパスチャネルの場合、位相を周波数に対してプロットするとき、図4に示されるように、傾向としては直線が支配的であるが、それに沿ってある変動量のリップルが見られ、全てのパスからの総合的な影響を反映する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、周波数に対する位相φnの変動が、たとえば直線であるものと仮定し、その線の傾きαを決定することにより計算され、これが実際にサンプリングされたチャネル応答の位相特性を近似する等価2パスモデルを表す。これは、それ自体が知られているようにして導出されることができる、以下の線形回帰関数を用いて行うことができる。
ここで、Σの範囲はn=0〜N−2であり、nはサブキャリア指数であり、Nは用いられるパイロットの数であり、kはパイロット間隔であり、n0は最も低い周波数のパイロットのキャリア位置である。
【0023】
別法では、αが一定ではなく、さらに複雑になる状況において、より高い精度を与えるために、サブキャリア周波数に対して、δPnの位相φnの変化を表す非線形関数を導出することができるであろう。
【0024】
2パスの状況の場合、各パスからの信号がλ0およびλ1であり、その間の時間遅延はτであり、さらにOFDM受信機内のFFT窓がλ0に同期する場合には、そのキャリア位置におけるチャネルの周波数応答は以下のように表されることができることが明らかである。
Pn=λ0+λ1e-j ω n τ (2)
chn+i=λ0+λ1e-j( ω n+i δω /k) τ (3)
Pn+k=λ0+λ1e-j( ω n+ δω ) τ (4)
したがって、以下の式が成り立つ。
δPn=Pn−Pn+k=λ1e-j ω n τ(1−e-j δωτ) (5)
Pn−chn+i=λ1e-j ω n τ(1−e-j δω /k) (6)
【0025】
式(5)を編成し直し、α=−δωτを代入すると、以下の式が生成される。
chn+i=Pn−λ1e-j ω n τ(1−e-j ω /k) (7)
【0026】
式(5)および(7)を組み合わせると、データキャリア位置n+iにおけるチャネル応答は以下のようになる。
chn+i=Pn−(Pn−Pn+k)(1−ej ω /k)/(1−ej α) (8)
【0027】
式(8)はi<0かつ0<i<kの場合に有効であることは理解されよう。類似のアプローチにしたがって、以下の式は、i>kかつ0<i<kの場合に有効であることは理解されよう。
【0028】
式(8)および(9)は全体的に厳密な2パスチャネルの場合にのみ有効である。他のさらに一般的なマルチパスの状況の場合、それらの式は、チャネル利得に対する局部的な小信号の近似とみなされることになり、主要な場所を中心にした等価2パスモデルとして表される。
【0029】
図5は、これらの手法を用いて動作するチャネル推定及び等化部16の構成ブロック図である。高速フーリエ変換信号処理部10(図1)におけるFFT演算の後に、OFDMサブキャリアは入力端子50から選別部51に供給され、選別部51は、どのサブキャリアがパイロットであるかを指示する、パイロットセレクタ52からの制御出力に基づいて、データサブキャリアからパイロットを分離する。その後、パイロットは除算器53に供給され、そこで、これらのパイロットサブキャリア上の既知の変調されたデータ(パイロットデータ源(アンテナ)4から得られる)54と比較することにより、そのパイロット位置におけるチャネル応答サンプルが求められる。
【0030】
除算器53からの出力は、チャネル応答サンプルのシリアルデータ列である。これらのサンプルは、一般にシンボルの境界においてグループ化し直され、フィルタ55内で遅れずに(in time)フィルタリング操作をするためのフレーム化されたデータが形成される。
【0031】
フィルタ55からのフィルタリングされたチャネルサンプルPnは、k分の1に間引かれたチャネルスペクトルを表しており(ただしkはフィルタリングされたチャネル応答サンプルの間隔である)、δPn=Pn−Pn+kを計算するために、遅延部56および減算器57にシリアルに供給される。
【0032】
減算器57の出力は位相計算器58に供給される。位相計算器58において、値δPnの位相値φnが逆三角関数を用いて計算される。その後、一連の位相値は、位相アンラッパ59において位相をアンラップするためにグループ化される。
【0033】
位相計算関数には固有の2πの曖昧さが存在するので、結果φnは、回転変数αの値を確立するために調整される(「位相アンラッピング」と呼ばれる)ことが必要な可能性がある。これは、n=n0+kから開始して、φnをφn-kとシリアルに比較し、φnがφn-k以上である場合には、その結果がφn-kより小さくなるまで、φnから2πを繰返し減算していくことにより行われる。
【0034】
所望により、この手順は、雑音に起因して誤りを生じる可能性を避けるように改良されることができる。たとえば、φnから何度も2πを減算することにより、アンラップされた値φnが変化する量が一様な傾向になるように制御することができる。たとえば、雑音による外乱を最小限に抑えるために、アンラップされた系列[...、φn-k、φn、φn+k、...]からの全てのφn−φn-kの平均値、すなわちδφnを計算することができ、第2段階において、その平均値δφnが、φnの最後の2π調整(アンラップ)が避けられることになるか否かを判定する際の指針として用いられる。その概念は、φn-k+δφnによって示されるようなφnの予測される直線上の傾向点にどの値、すなわちφnあるいはφn+2πのいずれが近いかを比較し、φnのために、より近い値のものを用いることである(正味の効果は、φnに関する最後の2π調整を継続するか、中止するかを決定することである)。しかしながら、これにより、構成がある程度複雑になり、パイプライン実装時にある余分な時間遅延が生じるようになる。
【0035】
アンラップされた位相系列はその後、評価(evaluation)部60に移送され、そこでパラメータα、すなわち回転変数が式(1)に従って求められる。その結果は、1組のデータサブキャリアチャネル応答補間利得を計算するために補間器61に供給され、その利得は、各データサブキャリアの場合に、
(1−ej ω /k)/(1−ej α)
あるいは
(1−ej ω /k)/(1−e-j α)である。
【0036】
k=3であり、全てのデータサブキャリアが2つのパイロット間に配置されるものと仮定すると、それぞれ2つの各データサブキャリア位置に対応して、利得の組においてk−1(すなわち2)個の複素利得が存在することになる。その組の利得要素はその後、減算器57から受信されるδPnによって乗算する、複素乗算器62に連続して供給される。その出力は、フィルタ55からPnも受信する加算器63に供給され、こうして、式(8)および(9)によって表されるような、データサブキャリア位置におけるチャネル応答の補間値が出力される。それは、nが最も近いパイロットである場合に式(8)が用いられ、n+kが最も近いパイロットであり、少なくとも信号スペクトルの縁部付近にあるデータサブキャリア位置の場合に、すなわちキャリアが一対のパイロット間に存在しない場合に式(9)が用いられるように構成される。他のデータサブキャリアの場合には、式(8)あるいは(9)のいずれか一方を用いることができる。
【0037】
データサブキャリアにおいてチャネル応答が補間された後に、加算器63からの出力は、複素除算器64に供給される。複素除算器64に対する他方の入力は、シリアルストリームでそれぞれ受信されるデータサブキャリアのFFT結果であり、その対応するチャネル応答によるこのストリームの除算の結果として、等化されたデータサブキャリアのストリームが生成され、チャネル歪みが除去あるいは低減される。この等化されたデータサブキャリアは、チャネル推定及び等化部16の出力端子66に現れ、復調及びデータ復号部18において、送信されたデータを再生するために復調される状態になっている。
【0038】
パラメータαが所定の閾値より小さい場合には、線形補間が用いられる。すなわち、(1−ej ω /k)/(1−ej α)および(1−ej ω /k)/(1−e-j α)がそれぞれi/kおよび−i/kによって置き換えられる。閾値は、特定の実施態様によって採用されるシステム設計および数値計算分解能に依存する。たとえば、固定小数点計算(整数による代数計算)を用いるアルゴリズムが実施されるものと仮定すると、閾値として、1−e-j αの大きさが、振幅が0ではなく、最下位ビット(LSB)を1つだけ有するようになる値が用いられる可能性がある。この状況は、たとえば、チャネルが1つの電波からなるとき(すなわち、マルチパス干渉が生じないフラットチャネル応答の場合)に生じるであろう。
【0039】
フィルタ55によって実行される遅れのないフィルタリングは、おそらく種々のシンボル内のパイロットが種々のサブキャリアに配置され(その場合、パイロットセレクタ52がシンボル間で異なるように動作する必要があるであろう)、および/またはおそらく各シンボル内の同じサブキャリアにおいて複数のパイロットを組み合わせることにより、補間の精度を改善することが、パイロットキャリアが複数のシンボルにわたって分布することに基づく場合に特に重要である。たとえば、DVB−TおよびISDB−Tシステムでは、シンボル内の規定されたパイロット分布よりも高い密度を得る唯一の可能性はいくつかの連続したシンボルをフィルタリングすることによる。DVB−T標準規格では、パイロットは、図6の「分散パイロット」と呼ばれるシステムに示されるようにローテーションしながら12番目のサブキャリア毎に送信される。たとえばサンプル・アンド・ホールド技法を用いて、遅れることなくサブキャリアをフィルタリングすることにより、4つのOFDMシンボル系列上の3番目のサブキャリア毎にチャネルの推定値を得ることができる。ISDB−T標準規格の場合、信号スペクトルは13個のセグメントに分割され、それらは全てが同期変調を含み得るとは限らない。同期セグメントの場合、パイロットサブキャリアはDVB−Tの場合と同じように、分散パイロットとして規定される。
【0040】
別法では、フィルタリングは、パイロットが同じサブキャリア位置において繰り返される一群の連続したシンボルの中で線形補間することにより達成されることができる。DVB−TおよびISDB−Tの場合には、これは、性能の改善を達成することはできるが、7シンボルにわたってフィルタリングする必要があるであろう。
【0041】
しかしながら、現在のOFDMシンボル内のパイロットのみを用いて補間することができる。これは、マルチパスフェージングが非常に高速であり、結果として、時間方向に沿ったフィルタリングが有効でなくなる、いくつかのチャネル条件の場合に適している可能性がある。周波数領域においてサンプリング距離が大きくなることに関する主な問題点は、対応することができるマルチパス遅延時間スプレッドが小さくなることを含む。原理的には、そのアルゴリズムによって取り扱うことができる時間遅延スプレッドは、以下の式のように、kと、OFDMサブキャリア間隔周波数δfOFDMとによって決定される。
時間スプレッド=1/(kδfOFDM)
【0042】
別の実施態様では、OFDMキャリアスペクトルが多数のセクションに分割され、補間が各セクションにおいて別々に実行される。セクションに基づくモデリングは、ISDB−Tのようなセグメントに基づくOFDM送信方式において、いくつかの固有の利点を有する。この別の実施態様では、雑音の影響の増加を招き、システム性能を低下させる可能性があるので、セクションが、あまりにも小さく、多数のサンプリングされた周波数応答点を有する部分に分割されるのを避けるように注意を払わなければならない。
【0043】
さらに別の実施態様は、回転角度変数αを遅れずにフィルタリングし、フィルタ出力を用いて、位相角アンラッピング操作を誘導することを含む。セクションへの分割に基づく実施態様では、以前のセクションからのα値を用いて、現在のセクションの位相アンラッピング操作を誘導することもできる。これらの別の実施態様によって、パイプライン形成を簡単にし、スループットの待ち時間を短縮できるようになる。
【0044】
本発明の別の実施態様では、マルチキャリア信号の2つのバージョン間の時間遅延が決定される。これは、上記のようにして位相回転変数αを計算し、その後、時間遅延τ=α/(−δω’)を計算することにより達成される。ここでδω’はサブキャリア間の角周波数の増分である。この場合に、全てのサブキャリアが、既知のデータ値を搬送するパイロットとして用いられる可能性があり、等化(および後続の補間)は必要とされない可能性がある。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、直交周波数分割多重(OFDM)受信機のようなマルチキャリアシステムにおいて、チャネル推定のための改善された信号処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の技法を適用することができるOFDM受信機のブロック図である。
【図2】 2つのパスチャネルから生じる信号のパイロットサブキャリアのスペクトルを示す図である。
【図3】 従来の線形補間技法から生じる補間誤差を示すための図である。
【図4】 マルチパス干渉を受ける信号のサブキャリアの歪みの変化を表す値の位相の典型的な傾向を示す図である。
【図5】 本発明によるチャネル推定および等化システムのブロック図である。
【図6】 OFDMシンボルの中のパイロットの分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
2 OFDM受信機、4 アンテナ、6 ダウンコンバータ、8 IF/ベースバンドコンバータ、10 高速フーリエ変換信号処理部、12 サンプルクロック及び周波数同期部、14 シンボル同期部、16 チャネル推定及び等化部、18 復調及びデータ復号部、50 入力端子、51 選別部、52 パイロットセレクタ、53 除算器、54 既知の変調データ、55 フィルタ、56遅延部、57 減算器、58 位相計算器、59 位相アンラッパ、60 評価部、61 補間器、62 複素乗算器、63 加算器、64 複素除算器。
Claims (12)
- マルチキャリア信号の各サブキャリアから複素値を導出する受信機を用いてマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法であって、
少なくともいくつかのサブキャリアの前記複素値は、そのサブキャリアのための歪み値を決定するために所定の値と比較され、前記方法は、
複数対の歪み値の各々について、歪み値の対の間の差を計算するステップであって、この計算した差の各々は関連した位相を持つ、該ステップと、
該計算した差の位相がサブキャリア周波数によって変動する速度を判定するステップと
を含む方法。 - 前記判定された速度に従って、前記歪み値を補間することにより他のサブキャリアのためのデータ歪み推定値を判定するステップをさらに含む
請求項1に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記マルチキャリア送信は、OFDM送信である
請求項1又は2に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記OFDM送信は、同期送信である
請求項3に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記歪み値は、既知のデータ値を搬送するパイロットサブキャリアに対して判定される
請求項1又は2に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記歪み値は、複数のマルチキャリアシンボルの中に分布するパイロットサブキャリアから導出される
請求項5に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記パイロットサブキャリアは、種々のシンボル内に種々の周波数で配置される
請求項6に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記パイロット歪み値の少なくともいくつかは、同じ周波数の複数のパイロットサブキャリアから導出される
請求項6又は7に記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - 前記歪み値は、各サブキャリアの場合に、前記サブキャリアから導出された前記複素値に対して、1組の所定の取り得る値のうちの最も近い値を選択し、前記導出された複素値と前記選択された値とを比較することにより判定される
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のマルチキャリア信号を搬送するチャネルの伝達関数を推定する方法。 - マルチキャリア受信機内の歪みを補正する方法であって、前記方法は、請求項2又はその従属請求項に記載の方法を用いてチャネルの伝達関数を推定するステップと、
その後、サブキャリアのためのデータ歪み推定値に従って、他のサブキャリアの複素値の振幅を調整するステップと
を含む方法。 - マルチキャリア信号の2つのバージョン間の時間遅延を推定する方法であって、前記方法は、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の方法を用いてチャネルの伝達関数を推定するステップと、
その後、前記判定された速度から前記遅延を計算するステップと
を含む方法。 - 請求項1から請求項11までのいずれかに記載の方法を実行するように構成される手段を有するマルチキャリア受信機。
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