JP4294808B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1の回転軸からの駆動力をクラッチを介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸に伝達される動力伝達装置に関する。
特に、トランスファーからの駆動力を受けて左右の駆動輪に伝達する後輪あるい前輪デフとして採用されるのを好適とするが、他の動力伝達部分にも適用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
第1の回転軸からの駆動力をクラッチを介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸に伝達される動力伝達装置として、例えば、トランスファーからの駆動力を受けて左右の駆動輪に伝達する後輪デフとして採用された例として図2に示すような特開平9−328021号公報に開示された差動装置がある。
この差動装置を簡単に説明すると、トランスファーからの駆動力が入力軸20によりリングギヤを介して駆動部材21に伝達され、該駆動部材21の左右端部に配設された互いに独立して動作する車軸クラッチ22、23の断接制御にて、左右駆動輪24、25の駆動トルクの制御あるいは二輪−四輪駆動制御等が行われるように構成されたものである。なお、前記車軸クラッチ22、23は電磁コイルによって制御される。
また、同様に、トランスファーからの駆動力を受けて左右の駆動輪に伝達する後輪デフとして、駆動部材からの駆動力を左右の駆動軸との間にそれぞれ配設された粘性流体クラッチの差動機能を利用したものも提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の動力伝達装置において、前者の例では、左右独立して断接制御されるクラッチの存在によって駆動トルクの制御あるいは二輪−四輪駆動制御等さらにはデフロック等が可能となったものの、左右のクラッチをそれぞれ独立して制御するため制御が複雑となる他、駆動部材21の左右端部に配設された互いに独立して動作する車軸クラッチ22、23は、左右にそれぞれ独立して配設する必要があって、そのためのデフケースのスペースを要する上、これらの車軸クラッチ22、23を制御する電磁コイル等のスペースがさらに必要となって、部品点数の増加および装置の肥大化さらにはコストアップは免れないものであった。
また、後者の例では、格別の制御装置を必要とせず、装置がコンパクトでありながら、左右駆動輪の差動作用、デフロック等が可能となったものの、依然として左右の駆動軸にそれぞれ粘性流体クラッチを分離して配設しているため、僅かながらもそのためのデフケースのスペース増大を要した。
そして、粘性流体クラッチの特性上、常時駆動力を伝達しているため二輪−四輪駆動制御は不可能であった。
【0004】
そこで本発明では、前記従来動力伝達装置における諸課題を解決して、部品点数が少なくコンパクトでありながら、単純な制御により断接および駆動トルク調整が可能な動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、第1の回転軸からの駆動力をそれぞれのクラッチを介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸に伝達される動力伝達装置において、前記第2の回転軸と第3の回転軸との対向部位近傍に配設された前記それぞれのクラッチを1つのアクチュエータで同時に接続するように構成し、前記アクチュエータは、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸とを接続可能に設けられたパイロットクラッチとボールカムによる増幅機構とを備え、前記パイロットクラッチの押圧力を制御し、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間の相対回転によらず、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸との間の相対回転に伴って、前記増幅機構のカム作用により前記それぞれのクラッチを締結することを特徴とするもので、これを課題解決のための手段とするものである。
【0006】
【実施の形態】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の動力伝達装置の1実施の形態を示す。
本発明は、第1の回転軸1からの駆動力をクラッチ2、3を介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸4、5に伝達される動力伝達装置において、前記第2の回転軸4と第3の回転軸5との対向部位近傍に配設されたそれぞれのクラッチ2、3を1つのアクチュエータ6〜11で同時に接続するように構成したことを特徴とする。
本実施の形態は、動力伝達装置が図示省略のトランスファーからの駆動力を受けて回転するデフケース1の駆動力を左右の出力軸4、5に結合される図示省略の左右の駆動輪に伝達する後輪デフとして使用される例である。
トランスファーからの駆動力を受けて回転するデフケース1は、袋状の右デフケース1Bとこれを蓋状に閉塞して一体に締結される左デフケース1Aとから構成され、デフケース1の回転軸と同軸でデフケース1の内側にて左右に対向配置された第2回転軸を構成する左出力軸4および第3の回転軸を構成する右出力軸5とが配設される。
【0007】
右デフケース1Bの内周と左右の出力軸4、5の対向部位近傍外周との間にはそれぞれクラッチ2および3が配設される。これらのクラッチ2および3としては適宜のクラッチが採用されるが、好適には多板クラッチが採用される。
多板クラッチ2は、デフケース1Bとのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のアウタープレート2Bと、該アウタープレート2Bと交互に配設されて左出力軸4とのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のインナープレート2Aとから構成され、同様に多板クラッチ3は、デフケース1Bとのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のアウタープレート3Bと、該アウタープレート3Bと交互に配設されて左出力軸5とのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のインナープレート3Aとから構成される。
左右の出力軸4、5の対向部位近傍に配設されたクラッチ2と3は、隣接して近接配置されるため、必要なら仕切板13が介設される。
【0008】
また、本実施の形態では、多板クラッチ群からなるクラッチ2および3を軸方向に押圧して接続するためのアクチュエータとして、ボールカムによる増幅機構を備えたパイットクラッチからなる電磁クラッチが採用される。電磁クラッチに代えて油圧や電気モータ等の動力が採用されてもよい。
静止部材に設置された電磁コイル6の内周側に、ベアリング15を介してデフケース1と一体に回転するロータ12が配設され、ロータ12の径大部の内周には多板クラッチからなりパイロットクラッチとしての電磁クラッチ7が配設される。
電磁クラッチ7は、ロータ12とのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のアウタープレート7Bと、該アウタープレート7Bと交互に配設されて右出力軸5の外周に嵌合軸支されたカムリング9とのみ回転をともにして軸方向に摺動自在な多数のインナープレート7Aとから構成される。
【0009】
カムリング9とクラッチ3との間にはカムプレート11が配設され、カムプレート11とカムリング9との間にはカムボール10が配設される。これらカムリング9、カムボール10およびカムプレート11が増幅機構を構成して、パイロットクラッチである電磁クラッチ7の小さな締結力をロータ12の回転駆動力によるカム作用によってクラッチ3(および2)への大きな締結力を得ることができる。
前記電磁クラッチ7に関して電磁コイル6と反対側にはアーマチャ8が配設され、電磁コイル6の励磁によりアーマチャ8が吸引されると、前記電磁クラッチ7が接続されてロータ12とカムリング9とが連れ回りし、カムプレート11との間に発生した相対回転に伴ってカムボール10を介するカム作用によってカムプレート11を左方に軸動させてクラッチ3を押圧するように構成される。
符号14はカムリング9の背面に配設されたニードルベアリングを示す。
【0010】
このように構成したことにより、クラッチ2および3が切断された状態では、図示省略のトランスファーからの駆動力を受けてデフケース1が回転するものの、左右の出力軸4および5には駆動力が伝達されない二輪駆動状態を維持する。
次いで、電磁コイル6を所定の電磁力にて励磁してアクチュエータである電磁クラッチ7を所定の接触圧にて接続すると、ロータ12と連れ回るカムリング9とカムプレート11との間に発生した相対回転に伴ってカムボール10を介するカム作用によって、カムプレート11を左方に軸動させてクラッチ3が押圧されて所定の接触圧にて摺接される。
この所定の接触圧はクラッチ3のみならず、仕切板13を介してクラッチ2へも同時に及ぶ。
【0011】
このように前記電磁コイル6の電磁力を制御することで、クラッチ2および3への接触圧を制御して、デフケース1からの入力駆動トルクを左右の駆動軸4、5に適宜の駆動トルクとして配分することが可能となる。しかも、その際、クラッチ2および3へは所定の接触圧が作用していることによって、左右の駆動軸4、5間の差動作用を伴った駆動力の配分伝達も可能となり、いわゆるセンターデフ機能を有しているので、格別にセンターデフを設置する必要もない。
さらに、前記電磁コイル6の電磁力を最大とすることによって、クラッチ2および3を完全に締結してデフロック状態を現出させることも可能となる。
【0012】
なお、本発明では、アクチュエータとして前述したような電磁力、油圧力や電気モータ等の動力による制御型のものに限らず、皿ばね等のイニシャルトルクを発生させる予圧により一定の接触圧によりクラッチ2および3が常時摺接するように構成されるものも含まれる。
この場合は、皿ばねによるイニシャルトルクによって、デフロック機能および二輪駆動機能はないものの、イニシャルトルクの範囲内にて左右の駆動軸4、5間の差動作用を伴った所定の駆動力の配分伝達は可能となる。もし、クラッチ2および3として粘性流体クラッチを採用すればデフロック機能を持たせることも可能である。
また、アクチュエータとしての電磁クラッチ7等をクラッチ3の側方に配設しているが、配設スペースが許容されるなら、アクチュエータをクラッチ2と3との間に配設してもよいことは言うまでもない。
【0013】
以上本発明の実施の形態を述べてきたが、本発明の趣旨の範囲内にて、前輪あるいは後輪デフ部以外の動力伝達部にも適用可能であり、入力軸である第1の回転軸の形状、第2および第3の回転軸の形状、およびそれらの間の配置関連構成、クラッチの形状、形式、アクチュエータである電磁クラッチ等パイロットクラッチおよび増幅機構の形状、形式等については適宜採用できる。
【0014】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、第1の回転軸からの駆動力をそれぞれのクラッチを介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸に伝達される動力伝達装置において、前記第2の回転軸と第3の回転軸との対向部位近傍に配設された前記それぞれのクラッチを1つのアクチュエータで同時に接続するように構成し、前記アクチュエータは、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸とを接続可能に設けられたパイロットクラッチとボールカムによる増幅機構とを備え、前記パイロットクラッチの押圧力を制御し、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間の相対回転によらず、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸との間の相対回転に伴って、前記増幅機構のカム作用により前記それぞれのクラッチを締結することにより、第2の回転軸と第3の回転軸とに配設されたそれぞれのクラッチが隣接して近接配置されるので、クラッチの配設スペースが小さくて済み、デフケースがコンパクトになる他、部品点数を少なくでき、装置が軽量化される。
しかも、単純な1つのアクチュエータの制御によって、隣接して近接配置された2つのクラッチへの接触圧を同時に制御して、第1の回転軸からの入力駆動トルクを第2の回転軸と第3の回転軸とに差動作用を伴った所定の駆動トルクとして配分することが可能となり、格別にセンターデフを設置する必要がない。
【0015】
このように、第1の回転軸からの入力駆動トルクを第2の回転軸と第3の回転軸とに差動作用を伴った適宜大きさに調整された駆動トルクとして配分することができる他、アクチュエータの操作力を最大とすることによって、クラッチを完全に締結してデフロック状態を現出させることも可能となる。
さらに、パイロットクラッチ自体を小容量のものとすることができるので、装置がよりコンパクトとなる。
このように、本発明によれば、部品点数が少なくコンパクトでありながら、単純な制御により断接および駆動トルク調整が可能な動力伝達装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達装置の1実施の形態を示す断面図である。
【図2】従来の動力伝達装置の全体断面図である。
【符号の説明】
1 デフケース(第1の回転軸)
1A 左デフケース
1B 右デフケース
2 左クラッチ
3 右クラッチ
4 左出力軸(第2の回転軸)
5 右出力軸(第3の回転軸)
6 電磁コイル
7 電磁クラッチ
8 アーマチャ
9 カムリング(増幅機構)
10 カムボール(増幅機構)
11 カムプレート(増幅機構)
6〜11 アクチュエータ
12 ロータ
13 仕切板
14 ニードルベアリング
15 ベアリング
Claims (1)
- 第1の回転軸からの駆動力をそれぞれのクラッチを介して同軸で左右に対向配置された第2および第3の回転軸に伝達される動力伝達装置において、前記第2の回転軸と第3の回転軸との対向部位近傍に配設された前記それぞれのクラッチを1つのアクチュエータで同時に接続するように構成し、前記アクチュエータは、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸とを接続可能に設けられたパイロットクラッチとボールカムによる増幅機構とを備え、前記パイロットクラッチの押圧力を制御し、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間の相対回転によらず、前記第1の回転軸と前記第3の回転軸との間の相対回転に伴って、前記増幅機構のカム作用により前記それぞれのクラッチを締結することを特徴とする動力伝達装置。
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