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JP4298404B2 - 定着部材の製造方法 - Google Patents
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JP4298404B2 - 定着部材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に備えられる定着装置を構成する、耐久性に優れた離型層を表面に有するローラ、ベルト等の定着部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる画像形成装置は一般に、電子写真方式等の作像プロセス機構により、シート状の記録媒体である用紙上に未定着トナー像を担持させるようになっているが、この未定着トナー像のトナーは簡単に剥がれ落ちるので、トナーに熱や圧力を加えることによりトナーを融解させ変形させた後、冷却凝固させて、用紙表面に永久的に固着させることが必要となる。この工程は定着工程と呼ばれ、かかる画像形成装置はこれを行う定着装置を備えている。
【0003】
定着装置としては、加熱手段としてのヒータにより加熱される加熱ローラともいわれる定着ローラと、この定着ローラに当接し定着ローラとの当接領域であるニップ部において定着ローラと同方向に回転する加圧ローラ等を構成要素とし、かかるニップ部に、両ローラの回転により、トナーを定着される用紙を搬送して通過させ、加熱及び加圧してトナー像を定着する熱ローラ対タイプの定着装置が知られている。
【0004】
また定着装置としては、加熱手段としてのヒータにより加熱され、トナーを定着されるシート状の記録媒体を搬送するための回転する無端の定着ベルト、定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラ、定着ベルトを介して定着ローラに対向して配置される加圧部材としての加圧ローラ等を構成要素とし、定着ベルトと加圧ローラとによって形成される当接領域であるニップ部に、これらの回転により、トナーを定着される用紙を搬送して通過させ、加熱加圧してトナー像を定着するタイプのいわゆるベルト定着装置が知られている。
【0005】
このような定着装置は、定着ローラ、定着ベルト、加圧ローラ等の回転体で、未定着のトナー像が転写された用紙たる画像担持体を挟持して定着を行う、圧着加熱方式を採用している。この方式は、回転体の表面と画像担持体たる被定着シート上のトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行なうことができ、高速度の画像形成装置において非常に有効である。
【0006】
上述のいずれのタイプの定着装置においても、定着の際に、定着ローラ、定着ベルト、加圧ローラ等の定着部材にトナーや用紙が付着することを防止するため、かかる定着部材は一般に、トナーや用紙との離型性を有する、主にフッ素樹脂等の材料によって構成された表層を備えている。
【0007】
しかしながら、かかる表層は、圧力を受けながら被定着シートと擦れるために摩耗する。また、定着部材の近傍に被定着シートの巻き付き防止用の分離爪が接触状態で配設されていて、この分離爪が定着部材の表面に強く当たった場合、表層が剥がれることがある。特に表層がフッ素樹脂によって形成されている構成にあっては、フッ素樹脂が離型性を有することからその下層との接着性が低いため、剥がれが生じやすい傾向にある。このような問題に対応するために、従来は、フッ素樹脂層とその下層との間にプライマー層を入れ、プライマー層によって接着性を向上させていたが、フッ素樹脂やプライマー層が薄膜状をなし上下に積層され接着された構成では、やはり外力により剥がれが起こることがある。このような表層の剥がれを防止するために、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕に開示されているように、表層を構成する樹脂と、耐久性と密着性に優れた樹脂とを混合したものを用いて成膜することが行われてきた。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−298411号公報
【特許文献2】
特許第3261166号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように混合剤を用いて成膜したものは、製造条件によっては、表面構造にムラができやすく、品質が安定せず、製品ごとに寿命が変動し安いという問題があった。また、〔特許文献1〕記載の技術では、製造工程における加熱によって、フッ素樹脂が表面に浮いていてくることで表層をフッ素樹脂により形成しているが、かかるフッ素樹脂層にはフィラーが含まれていないため耐摩耗性が悪く、またそのフッ素樹脂層が薄いため、炭酸カルシウムなどが多い紙を10万枚程度通すと失われてしまう。フッ素樹脂層が失われる結果として、その内層を構成している離型性が悪いポリイミド層が露出し、トナー付着の核になり、さらには定着部材への被定着シートの巻き付き等によりジャムの原因となる可能性がある。
【0010】
本発明は、耐久性に優れた離型層を表面に有するローラ、ベルト等の定着部材の製造方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基材上に第1の組成物を複数付着させる第1の工程と、前記第1の工程により形成された組成物と基材とを覆うように第2の組成物を付着させる第2の工程とを有し、前記第1の組成物は少なくともフッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記第2の組成物は少なくともフッ素樹脂を含む定着部材の製造方法にある。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の定着部材の製造方法において、前記第1の組成物はポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択されることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の定着部材の製造方法において、前記第1の組成物に熱変形温度が200℃以上のものを用いることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第2の工程において、少なくとも第1の組成物と第2の組成物とを、第1の組成物の融点と第2の組成物の融点とのうち高い方の温度よりも高い温度に加熱することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、熱伝導性フィラーを含むものを用いることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、導電性フィラーを含むものを用いることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第2の組成物により構成される面の表面粗さRzを5μm以下とすることを特徴とする
【0027】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用した実施の形態に係る画像形成装置を示す。本実施形態において画像形成装置はレーザープリンタであるが、本発明を適用する画像形成装置としては、レーザープリンタの他、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等、何れの装置であってもよい。図1に示す画像形成装置1は単色画像を形成するものであるが、2色画像、フルカラー画像等のカラー画像を形成することが可能なものであっても良い。
【0028】
画像形成装置100は、給紙部114と、レジストローラ対106と、像担持体としての感光体ドラム108と、転写手段110と、定着装置1等を備えている。給紙部114は、シート状の記録媒体である画像担持体としての被定着シートたる用紙136が積載状態で収容される給紙トレイ114aと、給紙トレイ114aに収容された用紙136を最上のものから順に給送する給紙コロ116及び分離部材117等を備えている。
【0029】
給紙コロ116によって送り出された用紙136はレジストローラ対106で一旦停止され、斜めずれを修正された後、感光体ドラム108の回転に同期するタイミングで、すなわち、感光体ドラム108上に形成される未定着現像剤像としてのトナー像の先端と用紙136の搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングでレジストローラ対106により転写部位Nへ送り出される。
【0030】
感光体ドラム108の周囲には、矢印で示す回転方向順に、帯電手段としての帯電ローラ118と、図示しない露光手段の一部を構成するミラー120と、現像剤としてのトナーを静電潜像に供給する現像ローラ122aを備えた現像手段122と、転写手段110と、クリーニングブレード124aを備えたクリーニング手段124が配置されている。帯電ローラ118と現像手段122の間において、ミラー120を介して感光体ドラム108上の露光部126に露光光103が照射されて走査されるようになっている。
【0031】
画像形成装置100における画像形成動作は従来と同様に行われる。感光体ドラム108が図示しない駆動手段によって回転されると、感光体ドラム108の表面が帯電ローラ118により均一に帯電され、画像情報に基づいて露光光103が露光部126において感光体ドラム108に照射、走査されて感光体ドラム108上に作成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム108の回転により現像手段122へ移動し、現像ローラ122aによりトナーが供給されて可視像化され、未定着のトナー像が形成される。
【0032】
感光体ドラム108上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部位Nに進入してきた用紙136上に転写手段110による転写バイアス印加により転写される。トナー像を担持した用紙136は定着装置1へ向けて搬送され、定着装置1で定着された後、図示しない排紙トレイへ排出・スタックされる。
【0033】
転写部位Nで転写されずに感光体ドラム108上に残った残留トナー等の異物は、感光体ドラム108の回転に伴ってクリーニング手段124に至り、このクリーニング手段124を通過する間にクリーニングブレード124aにより掻き落とされて清掃される。その後、感光体ドラム108上の残留電位が図示しない除電手段により除去され、次の作像工程に備えられる。
【0034】
図2に示すように、定着装置1は、回転体としての定着部材である定着ローラ2と、定着ローラ2に圧接する回転体としての定着部材であり加圧部材である加圧ローラ3と、定着ローラ2と加圧ローラ3の外周面に対向して配設され、各ローラの表面温度を検知する温度検知手段としての温度センサ25,35と、定着ローラ2に離型剤を塗布するための図示しない離型剤塗布手段とを備えている。
【0035】
定着ローラ2、加圧ローラ3はそれぞれ、その中心に配設された金属製、具体的にはアルミ製で円筒状の基材としての芯金21,31と、芯金21,31の内部に配設された熱源としてのハロゲンヒータ24,34とを有している。定着ローラ2は図示しない駆動手段によって、図1において時計周りで回転駆動され、加圧ローラ3は定着ローラ2の回転に伴い従動回転する。
【0036】
定着装置1は、定着ローラ2と加圧ローラ3との圧接部40にて単色で固体のトナー5で形成されたトナー像を担持した用紙136を矢印7で示す方向に挟持搬送することにより、トナー像を符号6で示すように用紙136上に定着させるものである。離型剤塗布手段は、定着ローラ2に当接した離型剤塗布部材と、離型剤塗布部材に離型剤たるシリコンオイルを供給する離型剤供給部とを有し、離型剤塗布部材により、定着ローラ2の回転に伴ってシリコンオイルを定着ローラ2の表面に塗布するようになっている。
【0037】
定着の際、定着ローラ2、加圧ローラ3はそれぞれ、温度センサ25,35によって温度が計測され、計測された温度に基づいて定着ローラ2、加圧ローラ3の温度が定着に適した200℃程度の温度に保たれるようハロゲンヒータ24,34が点灯されるフィードバック制御が行われる。図1において、符号4はトナー5に含有されている離型剤としての固形状のワックスを示している。このワックス、シリコンオイルにより、定着ローラ2、加圧ローラ3に対するトナー5、用紙136の離型性が向上し、これらが定着ローラ2、加圧ローラ3に付着したり巻き付いたりすることを抑制する。
【0038】
定着ローラ2及び加圧ローラ3は、芯金21,31の外周面に離型層としての高分子組成層である樹脂製の表層23,33をそれぞれ備えている。本形態の表層23,33は、少なくとも樹脂(フッ素樹脂を除く)を含む第1の組成物と、少なくともフッ素樹脂を含む第2の組成物とにより構成され、第1の組成物に含まれる樹脂(フッ素樹脂を除く)により構成される第1の相と、少なくとも第2の組成物に含まれるフッ素樹脂により構成される第2の相との2相以上で構成される。
【0039】
このような構成は、第1の組成物を芯金21,31に付着させる第1の工程と、第2の組成物を第1の工程により形成された面すなわち第1の組成物または芯金21,31によって形成される面に付着させる第2の工程とにより形成され、これにより耐久性が向上している。第1の組成物に芯金21,31への結合力の高い素材を用い、第2の組成物に第1の組成物への結合力の高い素材を用いるため、第1の相が芯金21,31に強く接着し、第2の相が第1の相に強く接着するとともに芯金21,31に接着する。
【0040】
第1の組成物を構成する樹脂(フッ素樹脂を除く)としては、熱変形温度(ASTM:D648、1.82KPa)が200℃以上の樹脂が選択され、耐熱性を有するとともに、金属である芯金21,31上に接着性を有するものが好ましく、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。またこれらの耐熱樹脂は、これを芯金21,31に付着させる第1の工程において、前駆体の溶液に溶かして、または樹脂そのものの粉体として、あるいは樹脂そのものを溶液に溶かし溶液化して用いる。
【0041】
第1の組成物は、少なくとも樹脂(フッ素樹脂を除く)を含むものであり、フッ素樹脂を含んでいても良く、フッ素樹脂を含ませる場合、かかる溶液には簡単にフッ素樹脂粉末が混合・分散が容易であり、浸漬や塗布により簡便に芯金21,31上に表面平滑性よく被覆可能である。第1の組成物を形成させる樹脂が熱可塑性の場合は溶剤を蒸発させるだけで、また、同樹脂が熱硬化性の場合は溶剤を蒸発させた後に熱硬化させることによって芯金21,31上に耐熱樹脂層23,33を形成することができる。
【0042】
ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)の前駆体溶液は知られており、さらに、ポリベンゾイミダゾール(PBI)はジメチルアセトアミド(DMA)に溶解、ポリエーテルスルホン(PES)は、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、N−メチル−2−ピロリドンに可溶であることが知られており、第1の工程ではこれらの溶液を用いることができる。
【0043】
また、第2の組成物を構成するフッ素樹脂や、第1の組成物がフッ素樹脂を含む場合にそのフッ素樹脂として用いられるフッ素樹脂としては、焼成による溶融成膜性のよい、比較的融点の低いもの、好ましくは250〜300℃の融点を有するものが好ましく、具体的には、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアアルキアルビニルエーテル共重合体(PFA)の微粉末等が挙げられる。
【0044】
低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末としては、ルブロンL−5、L−2(ダイキン工業)、MP1100、1200、1300、TLP−10F−1(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粉末としては、532−8000(デュポン)が知られている。テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)としては、MP−10、MP102、(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。
【0045】
第1の組成物、第2の組成物の少なくとも何れか一方には、熱伝導性フィラーを含ませ、熱伝導性層としての機能を持たせることができる。熱伝導性フィラーとしては、10−3cal/s・cm・℃以上の伝熱係数を有する材料が使用できる。具体的にはダイヤモンド、銀、銅、アルミニウム、大理石、ガラス等あるが、実用的にはシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウムが挙げられる。
【0046】
また例えばポリイミド系樹脂、PES系樹脂等の複合材において熱伝導を左右する要因としてはかかるフィラーの充填量、形状、サイズ、分散形態等あるが、充填量はポリイミド系樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部が好ましい。0.1重量部未満だと、熱伝導効果が十分発揮できない傾向があり、また50重量部を超えると、バインダーとなる例えばポリイミド系樹脂等との接着面積が減少し、強度の低下が激しくなる傾向があるからである。
【0047】
第1の組成物、第2の組成物の少なくとも何れか一方には、導電性フィラーを含ませ、導電性層としての機能を持たせることができる。導電性フィラーとしては、1010Ω・cm以下の体積抵抗率を有する材料が使用できる。具体的には、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマー、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンやグラファイト、銀、ニッケル、銅等の金属やこれら合金及びマイカ、カーボン、ガラス等にメッキした複合金属、酸化錫、酸化インジウム等の酸化金属、アニオン、カチオン、ノニオン、両性を有する界面活性剤が挙げられる。なお、一般に電気伝導性の高い物性を有するものは、熱伝導性の高い物性を有すると考えられ、熱伝導性フィラーを導電性フィラーとして用い、導電性フィラーを熱伝導性フィラーとして用いることも可能である。これらフィラーは耐磨耗性向上の観点からも含有されることがある。
【0048】
第1の組成物と第2の組成物との接着を強固に行い、第1の相と第2の相とが強固に結着した表層23,33を得る観点から、第2の工程においては、第1の組成物の融点と第2の組成物の融点とのうち高い方の温度よりも高い温度に加熱を行う。なお、一般にフッ素樹脂は400℃を超えると分解が始まるため、この温度を超えないよう加熱する。また上述した例を含め、フッ素樹脂か否かによらず、樹脂の融点は一般に300℃程度である。よって、かかる加熱はおよそ300℃から400℃までの範囲で行うことが好ましい。表層23,33の表面すなわち第2の組成物により構成される面の表面粗さは、離型性及び画質の向上の観点から5μm以下とすることが望ましく、さらに同観点から後述する実施例のように2μm以下とすることが好ましい。
【0049】
(実施例1)
図3又は図4に示すように、本実施例は、表層23,33を、PESにより構成した第1の組成物を芯金21,31に付着させた第1の相Xと、耐磨耗性向上の観点からケッチェンブラック3wt%を分散したPFAにより構成した第2の組成物を第1の相X又は芯金21,31に付着させた第2の相Yとで構成したものである。
【0050】
第1の相Xは、住友化学工業製のPESの粉体を用い、この粉体を、φ5〜15μmまで機械的に粉砕し、静電塗装により、φ40mmで、定着に使用される部分の厚さが1.5mmの芯金21,31に、芯金21,31の表面積に対して面積比50%で表面を覆う状態につけ、これを380℃で10分ほど加熱し、表面に接着させる第1の工程により形成した。
【0051】
第2の相Yは、第1の相Xの形成後、三井デュポン製のケッチェンブラック含有PFA樹脂を全面に静電塗装し、380℃で30分加熱し、加熱路の外で強送風により急冷する第2の工程により形成した。その後、テープ研磨装置にかけ、コランダムの♯800,♯1500にて研磨して、第2の相Yの表面の表面粗さをRzで、2μm以下とし、厚さ20μmの表層23,33を有する定着ローラ2、加圧ローラ3を得た。研磨は、定着ローラ2、加圧ローラ3の周方向に行った。
【0052】
図3に示すように、アルミ地金の芯金21,31に第1の組成物たるPESによって構成された第1の相Xが接着しており、それらに接するように第2の組成物たるPFAによって構成された第2の相Yが覆っている。この構造のため剥離時の強度が、PFAのみの場合に比べ5倍程度になり、耐久性が向上している。なお剥離時の強度は、90度剥離により測定した。
【0053】
(実施例2)
本実施例では、第1の組成物を構成する樹脂として熱硬化性の樹脂を用い、第2の組成物としてフッ素樹脂系の樹脂を用いて、表層23,33を構成するものであり、これらの樹脂により密着した界面を作製する観点から、第1の組成物を構成するための剤として、固形分20重量部のポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド80重量部に溶解したものと、三井デュポン製グラファイトを3wt%含有するフッ素樹脂粉体とを混合したものを用いた。
【0054】
第1の相は、かかる混合剤を作成し、この混合剤をホモジェナイズドミキサーで均一に撹拌して塗工液を得、芯金21,31である直径20mmの素管表面に、この塗工液を霧吹き法により塗布し、次いで、塗膜を320℃にて焼成せしめる第1の工程により形成し、これにより膜厚10ミクロン程度のPBI膜を得た。なお、本実施例においては、第1の組成物にフッ素樹脂が含まれているため、第1の工程により、第1の相のみならず第2の相の一部も形成される。
【0055】
第2の相の残りの部分を形成する第2の工程は実施例1と同様であり、静電塗装により膜付けした後380℃で焼成し、これにより上部層をなす第2の相を、第1の工程で形成された下部層をなす第1の相および第2の相の一部一体化した。構成は、図4に示した実施例1と同様の断面形状となる。ただし、本実施例においては、第1の組成物が芯金21,31全面を覆い、第1の組成物中に含まれるフッ素樹脂でない樹脂が、図4における符号Xで示した位置を占める。この実施例でも剥離時の強度が、PFAのみの場合に比べ5倍程度になっている。なお剥離時の強度は、90度剥離により測定した。
【0056】
通常、本実施例の第1の工程のように第1の組成物を溶媒によるものの塗布を行って付着させる場合は、気泡が発生しやすいが、第2の工程においてケッチェンブラック3wt%を分散したPFAを上部層として形成するため、薄くてよく、このため気泡の発生はほとんどなかった。なお、比較例として、本実施例の第1の工程と同様にし、ディッピングで、第1の組成物による下地層のみの厚さ20μmの表層を形成したところ、その比較例の表面粗さはRzで1.5μm程度であった。
【0057】
(実施例3)
図5に示すように、本実施例は、表層23,33を、PEEKにより構成した第1の組成物を芯金21,31に付着させた第1の相Xと、ケッチェンブラック3wt%を分散したPFAにより構成した第2の組成物を第1の相X又は芯金21,31に付着させた第2の相Yとで構成したものである。
【0058】
第1の相Xは、VICTREX製のPEEKの粉体を用い、この粉体を、φ5〜15μmまで機械的に粉砕し、静電塗装により、φ40mmで、定着に使用される部分の厚さが1.5mmの芯金21,31に、芯金21,31の表面積に対して面積比50%で表面を覆う状態につけ、これを380℃で10分ほど加熱し、表面に接着させる第1の工程により形成した。
【0059】
第2の相Yは、第1の相Xの形成後、三井デュポン製のケッチェンブラック含有PFA樹脂を静電塗装し、300,320,340,360,380,400℃でそれぞれ30分加熱し、加熱炉の外で強送風により急冷する第2の工程により形成した。その後、テープ研磨装置にかけ、コランダムの♯800,♯1500にて研磨して、第2の相Yの表面の表面粗さをRzで、2μm以下とし、表層23,33を有する定着ローラ2、加圧ローラ3を得た。研磨は、ローラの周方向に行った。
【0060】
第2の工程を上記の各温度で加熱して形成した表層23,33ごとに、10mm幅の90度剥離力(N)と剥離モードとをまとめたものを表1に示す。剥離モードとは剥離がどのように起こっているかを意味する。界面部分剥離とは一般に界面剥離といわれ、凝集剥離と対をなすものであり、離型層破れは凝集剥離によって生じている。表1から、380℃で加熱した場合に剥離力が最も高いという結果が得られる。
【0061】
【表1】
Figure 0004298404
【0062】
上述したように、400℃以上ではフッ素樹脂層の分解が生じる。したがって、表層23,33の形成を、第2工程において380℃で加熱して行うことが耐久性向上に適しているということがわかる。フッ素樹脂層の分解が生じない範囲かつ第1の組成物の融点及び第2の組成物の融点以上の範囲で、より高温で加熱するほど、第1の組成物の融点と第2の組成物との結着すなわち第1の相Xと第2の相Yとの結着が強固になるためと考えられる。これは、320℃以下では界面剥離が起こり、340℃以上では凝集剥離が起こっていることからも分かる。
【0063】
なお、図5において、符号Zで示す太線部分は、第1の組成物が芯金21,31と結着し、強く接着されている部分を示している。第2の組成物たるフッ素樹脂は、芯金21,31に対する接着力が弱いが、表層23,33の全体では、芯金21,31に対する接着力が強く、剥がれにくい。これは、太線部分においては第1の組成物と芯金21,31とが強く接着されており、第1の相Xと第2の相Yとの境界部分すなわち第1の組成物と第2の組成物との接着部分では、第1の組成物と第2の組成物とが強く接着されていることから、第2の組成物が太線部分において芯金21,31に対し直接接着しようとする接着力よりも、第1の組成物を介して接着しようとする接着力のほうが、かかる太線部分とかかる境界部分との面積の差によって大きくなっているため、強い接着力を確保しているからである。
【0064】
(実施例4)
本実施例は、実施例1とほぼ同様であるが、第1の組成物を、PESのみならず、PESにケッチェンブラック3wt%を分散して構成した点、またこの混合物を、芯金21,31に、芯金21,31の表面積に対して面積比50%で表面を覆う状態につけたものの他、面積比30%、40%、60%、70%で表面を覆う状態につけたものも作成した点で異なる。その他の点は実施例と同様であるので説明を省略する。
【0065】
上記の各面積比で作成した定着ローラ2、加圧ローラ3を、(株)リコー製 MF4570に組み込み、10万枚の画像形成を行い、10mm幅の90度剥離力(N)と剥離モードとをまとめたものを表2に示す。表2においては、芯金21,31の表面積に対するかかる混合物の付着面積比を、PES初期付着面積として表している。表2には比較として、PFAにケッチェンブラック3wt%を加えて作成した組成物のみを芯金21,31に付着させたローラを用いた場合を示している。
【0066】
【表2】
Figure 0004298404
【0067】
表2から、かかる面積比が50%以下で作成した定着ローラ2、加圧ローラ3であれば、10mm幅の90度剥離力が比較的高く、安定して使用できると考えられる。なお、表2に示していないが、PFAのみで作成した組成物のみを芯金21,31に付着させたローラを用いた場合は、10mm幅の90度剥離力は10(N)程度であった。
【0068】
(実施例5)
本実施例では、実施例4における面積比40%で作成した定着ローラ2、加圧ローラ3と、上述の比較例により作成した定着ローラ、加圧ローラとを、それぞれ、(株)リコー製 MF4570に組み込み、定着ローラ2に対する加圧ローラ3の加圧力、定着ローラに対する加圧ローラの加圧力を変えて、10万枚の画像形成を行い、定着ローラ2、定着ローラへのトナーの付着を調べたものである。その結果を表3に示す。なお、表3において、定着ローラ2、加圧ローラ3を組み込んだ実施例5の結果は中欄に、比較例の定着ローラ、加圧ローラを組み込んだ場合を右欄に記入している。
【0069】
【表3】
Figure 0004298404
【0070】
加圧力が2.0[kgf/cm]より大きいと、トナーの付着が顕著となり、一方、加圧力が0.5[kgf/cm]より小さいと、定着性が非常に悪なる。したがって、画像形成装置100における定着装置1においては、定着ローラ3と加圧ローラ3との加圧力を、0.5[kgf/cm]以上、2.0[kgf/cm]以下の範囲とし、定着性が良好でかつトナーの付着を防止した画像形成を行うようにしている。比較例では、1.5[kgf/cm]以上で、定着ローラへのトナー付着が見られた。したがって、比較例の構成では、線速が遅く、ニップ圧の小さいものでないと使用できないと考えられる。
【0071】
以上本発明について説明したが、本発明は、上述の定着装置1すなわち熱ローラ対タイプの定着装置のみならず、ベルト定着装置にも適用することができる。ベルト定着装置は、たとえば、加熱手段としてのヒータにより加熱され、トナーを定着されるシート状の記録媒体を搬送するための回転する回転体たる無端の定着ベルト、定着ベルトを巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラ、定着ベルトを介して定着ローラに対向して配置される回転体たる加圧部材としての加圧ローラ等を構成要素とし、定着ベルトと加圧ローラとによって形成される当接領域であるニップ部に、これらの回転により、トナーを定着される用紙を搬送して通過させ、加熱加圧してトナー像を定着するものである。
【0072】
このようなベルト定着装置に本発明を適用する場合、かかる定着ベルト、加圧ローラ、加熱ローラ及び定着ローラ等を定着部材とし、この製造方法に上述の定着ローラ2、加圧ローラ3の製造方法を適用することができる。またこのような製造方法を適用して製造した定着ベルト、加圧ローラ、加熱ローラ及び定着ローラ等の定着部材、この定着部材を備えた定着装置、この定着装置を用いた定着方法、かかる定着装置を備えた画像形成装置、かかる定着方法により画像形成を行う画像形成装置、かかる定着方法を用いて画像形成を行う画像形成方法も本発明の適用の対象である。
【0073】
【発明の効果】
本発明は、基材上に第1の組成物を複数付着させる第1の工程と、前記第1の工程により形成された組成物と基材とを覆うように第2の組成物を付着させる第2の工程とを有し、前記第1の組成物は少なくともフッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記第2の組成物は少なくともフッ素樹脂を含む定着部材の製造方法にあるので、耐久性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができる。
【0074】
第1の組成物に熱変形温度が200℃以上のものを用いることとすれば、定着時の一般的温度である200℃で変形せず、剥がれにくい、耐久性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができる。
【0075】
第2の工程において、少なくとも第1の組成物と第2の組成物とを、第1の組成物の融点と第2の組成物の融点とのうち高い方の温度よりも高い温度に加熱することとすれば、第2の組成物の流動性が適度に上がり第2の組成物第1の組成物に隙間なく密着すること等により、基材と第1の組成物第2の組成物とを三次元的な界面で互いに強固に結着させ、耐久性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができる。
【0076】
第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、熱伝導性フィラーを含むものを用いることとすれば、熱伝導性が向上し全体として熱応答性に優れるとともに耐久性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができ、また、何れか一方のみに熱伝導性フィラーを含ませることにより、当該一方の組成物に熱伝導機能を担わせ、他の組成物に離型性等を担わせることができる定着部材の製造方法を提供することができる。
【0077】
第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、導電性フィラーを含むものを用いることとすれば、導電性が向上し全体として導電性に優れるとともに耐久性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができ、また、何れか一方のみに導電性フィラーを含ませることにより、当該一方の組成物に導電機能を担わせ、他の組成物に離型性等を担わせることができる定着部材の製造方法を提供することができる。
【0078】
第2の組成物により構成される面の表面粗さRzを5μm以下とすることとすれば、表面が滑らかであるため、光沢度が向上し、ベタ画像に良好に対応した、高画質の定着に寄与できるとともに、耐久性及び離型性に優れた離型層を表面に有する定着部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた定着装置の模式図である。
【図3】図2に示した定着装置に備えられた定着部材の表層を示す平面図である。
【図4】図3に示した表層の側断面図である。
【図5】他の例の表層の側断面図である。
【符号の説明】
1 定着装置
2,3 定着部材
3 加圧部材
100 画像形成装置

Claims (7)

  1. 基材上に第1の組成物を複数付着させる第1の工程と、
    前記第1の工程により形成された組成物と基材とを覆うように第2の組成物を付着させる第2の工程とを有し、
    前記第1の組成物は少なくともフッ素樹脂以外の樹脂を含み、前記第2の組成物は少なくともフッ素樹脂を含む定着部材の製造方法。
  2. 請求項1記載の定着部材の製造方法において、前記第1の組成物はポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択されることを特徴とする定着部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の定着部材の製造方法において、前記第1の組成物に熱変形温度が200℃以上のものを用いることを特徴とする定着部材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第2の工程において、少なくとも第1の組成物と第2の組成物とを、第1の組成物の融点と第2の組成物の融点とのうち高い方の温度よりも高い温度に加熱することを特徴とする定着部材の製造方法。
  5. 請求項1ないし4の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、熱伝導性フィラーを含むものを用いることを特徴とする定着部材の製造方法。
  6. 請求項1ないし5の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第1の組成物と第2の組成物の少なくとも何れか一方に、導電性フィラーを含むものを用いることを特徴とする定着部材の製造方法。
  7. 請求項1ないし6の何れか1つに記載の定着部材の製造方法において、第2の組成物により構成される面の表面粗さRzを5μm以下とすることを特徴とする定着部材の製造方法。
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