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JP4299741B2 - ヘア発生を防止する製缶装置及び製缶方法 - Google Patents
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本発明は、金属材料からなる基材の少なくとも片面に有機被膜層を形成された板材より缶体を成形する製缶装置及び製缶方法に関するものであり、更に詳しくは基材の少なくとも片面に有機被膜層を形成された板材を素材として一次絞り成形体(カップ)、再絞り成形缶、再絞り−しごき成形缶を製造する際に発生する塗膜ヘアやフィルムヘアを防止する製缶装置及び製缶方法に関するものである。
炭酸飲料缶、ジュース缶、コーヒー飲料缶あるいはゼリー等の固形食品缶等の食品缶詰等に用いられる、絞り成形缶(例えば特許文献1参照)、薄肉化再絞り成形缶(例えば特許文献2、3参照)、薄肉化再絞り−しごき成形缶(例えば特許文献4参照)等のシームレス缶、および缶蓋(例えば特許文献5参照)等を形成する場合に、金属層の少なくとも片面(通常は両面)に有機被膜層を形成された板材よりパンチとダイの協同によりブランクを打抜き、直ちに同じ工程で絞り加工を行って、一次絞り成形体(以下カップとよぶ)を形成してから、次工程でシームレス缶体や缶蓋を形成する方法が採用されている。
このようにして形成されたシームレス缶体や缶蓋の端縁(シームレス缶体の場合はフランジ部の端縁、缶蓋の場合はカール部の端縁)に、毛髪状の有機被膜片(以下有機被膜ヘアとよぶ:通常長さが約10mm以上)が多数発生し易い(特許文献6参照)。この有機被膜ヘアは端縁から剥離し、缶内面に付着残留して、内容物を充填密封して缶詰となった後、異物として発見された時、無害ではあるが、不衛生物として疑われて苦情の対象となり易い。そのため全数検査により有機被膜ヘアが発見された缶はリジェクトしている。従って製品歩留まりが低下するという問題を生ずる。なお缶蓋の有機被膜ヘアは、密封の際に缶内に入るおそれがある。 また、製缶の加工工程で脱落して、ツールと缶体の間に入り込み、皮膜欠陥を生じる原因となることもあり、缶体や缶蓋の品質低下の問題も引き起こす。
有機被膜ヘアの発生原因については特許文献7に記載のとおりであり、薄肉化再絞り−しごき成形缶の製造を例にとり詳細に説明されている。
ヘアの防止方法としてブランクに打抜く方法において、少なくとも板材とパンチが接触して打抜きを始める時点において、パンチと接触する有機被膜層と、パンチの切刃を通る、パンチ端面の切刃近傍周辺部の接線とのなす角度が、3〜60度になるように設定したツールの提案(特許文献7参照)があるが、切刃が磨耗してきたり、特に有機皮膜が厚い場合や、柔らかい場合にはこれらの提案では完全にヘアが防止できないのが実情である。
また、製缶素材へのレーザ照射を提案した例として、本発明者らは溶接缶用の素材の樹脂不用部に赤外パルスレーザを照射して不用樹脂を除去する発明(特許文献8参照)を開示した。
レーザによる樹脂除去の原理は、樹脂の蒸発・気化によるものであり、従って樹脂蒸気が発生することは避けられない。樹脂蒸気がレーザ光軸上を浮遊するとレーザ光を吸収して異常な発熱反応を起こす。その結果、除去する必要のない樹脂が溶融したり、あるいは煤状に表面に付着する問題が発生する。そこで、蒸発した樹脂粒子は速やかにレーザ光軸上から除去する必要がある。しかし、除去された樹脂蒸気の粒子がカップ表面に再付着すると、臭いや表面のすべり性等に影響を与える可能性がある。特に臭いがカップに付着すると飲料缶や食料品缶には使用できないという問題がある。またすべり性等の表面性状が変化すると、後の深絞り工程で表面疵、変形が発生する可能性が高くなり歩留まりが低下する問題がある。従ってレーザ照射部で発生した樹脂蒸気を速やかに且つ鋼板表面に触れることなく除去する加工装置が必要とされる。除去する方法として、高圧のガスを加工部に直接吹き付けることが容易に考えられるが、単純なガスの吹き付けでは、飛散する蒸気が鋼板に再付着しないようなガス流の制御や完全な回収は困難である。またレーザ照射部がカップ内壁の端縁部等の特殊な形状に対して、樹脂蒸気の付着を確実に防止する装置が必要であった。
また、レーザ加工装置において、溶融物が周囲に飛散することを防止するために、被加工物に向かってシールドガスを供給し、レーザ光を照射することにより発生する物質を吸引するノズル体を具備するレーザ加工装置が特許文献9に開示されている。しかし、特許文献9に開示された発明はノズルの周囲に吸引路を設けたものであり、飲料缶や食料品缶に使用する缶端部にレーザを照射することについては何も記載されていない。
特公昭60−11576号公報 特開平3−155419号公報 特開平4−324826号公報 特開平7−275961号公報 特公平3−58814号公報 特開昭58−16848号公報 特開2000−167625号公報 特開平7−290258号公報 特開平8−192289号公報
本発明の課題は、基材の少なくとも片面に有機被膜層を形成された板材を素材として、カップ成形、再絞り成形缶、再絞りしごき成形缶を製造する際に発生する塗膜ヘアやフィルムヘアを防止するため、レーザ照射によりヘアの素になる樹脂層の一部を蒸発気化して除去する装置及び方法において、特に、気化した樹脂蒸気が板材表面に再付着することを防止して、樹脂蒸気に起因する臭いや表面性状の変化が発生しない製缶装置及び製缶方法を提供することにある。
(1)少なくとも片面を樹脂被膜で被覆された金属板を円盤状に切断し、カップ成形、絞りしごき成形を行い金属容器を製造する装置において、カップ端縁部の内壁にレーザを照射する装置と、カップ底部に向かってガスを供給するガス噴射ノズルと、当該カップ底部から当該カップ端縁部に流れる当該ガスを吸引・排出するガス吸引・排出ノズルを備え、当該ガス噴射ノズル及び当該ガス吸引・排出ノズルは同心円筒形状であり、ガス噴射ノズルの直径は前記カップの直径より小さくであり、ガス吸引・排出ノズルの直径は前記カップの直径以上であることを特徴とする樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
(2)前記レーザ照射装置が回転ミラーであり、当該回転ミラーは前記同心円筒形状のガス噴射ノズルおよびガス吸引・排出ノズルの中心軸上で、且つ前記ガス噴射ノズルの内部に配置されたことを特徴とする(1)記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
(3)前記同心円筒形状のガス噴射ノズル及び/又はガス吸引・排出ノズルの一部にレーザ光透過窓を備えることを特徴とする(1)又は(2)記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
(4)前記レーザ光透過窓の少なくとも一枚がfθレンズ集光機能を兼ね備えることを特徴とする(3)記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
(5)前記ガス噴射ノズル及び/又はガス吸引・排出ノズルの一部又は全部がレーザ光吸収素材からなることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
(6)少なくとも片面を樹脂被膜で被覆された金属板を円盤状に切断し、カップ成形後、カップ底部に向かってガスを供給して、当該カップ底部からカップ端縁部に向かってガス形成しながらカップ端縁部の内壁にレーザを照射して、カップ端縁部近傍の樹脂被覆を蒸発させると共に、蒸発した前記樹脂被覆を外部に排出した後、金属容器を製造することを特徴とする樹脂ヘア発生を防止する製缶方法。
本発明により、樹脂被覆金属板の製缶装置において、レーザ照射によるヘアの素となる樹脂除去が可能であることはもとより、樹脂の蒸気が鋼板表面に再付着することを極力防止できるため、缶の臭い等の問題を引き起こすことのない安定した製缶が実施できる。
以下実施例を用いて本発明を説明する。
図1、2はカップ形成後にヘアの素になるカップ端縁部の樹脂の一部をレーザ照射により除去するレーザ照射装置の説明図である。図1は回転ミラーを用いる場合の例である。図1において、図示されないレーザ装置から出力されたレーザビーム1は集光レンズ2により集光され、ミラー支持円筒3内を通過して円筒内に固定されたミラー(レーザを照射する装置)4で反射される。レーザビームは円筒体3のレーザ通過開口または透過窓17を通過する。円筒体3を回転させることによりレーザビームは中心軸12を中心に放射状に反射され、カップ6の内壁の端縁部7に照射される。レーザ光を吸収した樹脂は瞬時に蒸発気化して、一部またはほぼすべてが除去される。
図2はレーザ照射装置として振動ミラー14とfθレンズ16を用いる場合の例である。fθレンズは振動ミラー等によって走査されたレーザビームが同一平面上に集光点を持つように設計されたレンズである。図2においてレーザビーム1は2枚の振動ミラー14により反射される。振動ミラーは図示されないガルバノメータモータで振動する。各ミラーは互いに直交する方向に振動することで反射ビームを円環状にスキャンする。スキャンされたビームはfθレンズ16で集光され、カップ6の内壁の端縁部7に照射される。レーザ光を吸収した樹脂は瞬時に蒸発気化して、一部またはほぼすべてが除去される。
本発明者らは、カップ内壁の端縁部の樹脂除去に関して、特に製缶後に食品や飲料に直接接触するカップ内壁に蒸発樹脂の粒子が完全に接触しない装置を検討した。その結果、カップ内部が周囲より高圧になるように、即ち、端縁部からカップ外部に向けて負圧になるように、カップ形状を利用して常にカップの底部から端縁部に向かってガスの流れ形成する装置及び方法を発明した。
図3は本発明の第1の実施例である。レーザビーム1は図示されないレーザ装置から出力され、レンズ2で集光された後、円筒体3内を通過して回転ミラー4により反射後、円筒体3に設けたレーザ通過用開口または窓17を通過して、カップ内壁へ放射状に照射される。その結果、カップ内壁端縁部7の樹脂が蒸発除去される。回転ミラー4は円筒体3に固定され、円筒体3はベアリング5を介して固定され、図示されないモータで回転する。円筒体3、ガス噴射ノズル8、ガス吸引・排出ノズル9はカップ中心軸12、即ち回転ミラー4を中心として同心円筒状に配置されている。ガスは例えば高圧空気であり、ガス導入口10よりガス噴射ノズル8内を通り、カップ底部、カップ内壁部の底部からカップ端縁部7に向かって、さらにガス吸引・排出ノズル9を通過してガス排出口11から排出される。排出口は図示されない真空ポンプ等のガス排出装置に接続され、噴射ガス圧力と吸引力のバランスにより、レーザ照射部でガス流が一定速以上となるよう調節される。また円筒体3にもガス導入口10を設けて円筒体3内部にガスを導入し、ガスの円筒体3へのガス流入を防止することが好ましい。
本発明の装置においては、カップ内部が大気圧以上の高圧(>1.02×10Pa)となるため、端縁部で発生する樹脂蒸気がカップ内部に流れ込まず、またガス噴射ノズル8の直径がカップ6の直径より小さく、ガス吸引・排出ノズル9の直径がカップ6の直径以上となるように設定することで、ガス流はカップ形状にほぼ沿った流れとなる。その結果、カップ内部を完全に樹脂蒸気から遮断し、蒸発した樹脂の再付着を防止することが可能となる。
また図3に図示するように、カップ端縁部7に照射されたレーザビームの一部は樹脂に吸収されずに反射する。この反射レーザビーム13がカップ底部に照射されると樹脂にダメージを与える問題が発生する。本発明の装置においてカップ内部に置かれたガス噴射ノズル8や回転円筒体3等の一部又は全部にレーザ光吸収素材(レーザ光無反射材)を用いるとこの様な問題を解決できるので好ましい。レーザ光無反射材としては、表面に黒アルマイト処理したアルミ材、あるいは黒色ペイント等が適当である。またカップ端縁部に照射されずに透過したレーザビームもガス吸引・排出ノズル9を同様の素材で製作することで、カップ外の不要な部分へのレーザ照射を防止できるので好ましい。
図4は本発明の第2の実施例である。レーザビームの導入経路は実施例1に同じである。高圧ガスはガス導入口10から円筒体3の内部を通過して、更に回転ミラー4の下部に設けたガス噴射ノズル8まで導入され、カップ内壁部の底部からカップ端縁部7に向かって流れる。すなわち構造的には円筒体3がガス噴射ノズル8を兼ねる。端縁部7を通過したガスとレーザ照射で発生した樹脂蒸気はガス排出口11から吸引・排出される。ガス排出口11は実施例1と同じく排気装置に接続されている。尚、円筒体3はベアリング5により保持されている。本装置ではカップ内壁部の底部からカップ端縁部へのガス流れがより確実に形成され、効果的にカップ内壁が樹脂蒸気と接触することを防止し、蒸発した樹脂の再付着を防止できる。
本実施例では、円筒体3内部のガスの流れを妨げないようにレーザ透過窓17は密閉式の窓材が好ましい。窓材は使用するレーザの波長によって選択する。例えばCOレーザを使用する場合は無反射コート付きZnSe、YAGレーザを使用する場合は無反射コート付き石英ガラス等が適当である。
また実施例1と同様に、本実施例においても円筒体3、およびガス吸引・排出ノズル9の素材を、レーザ光無反射材とすることで不要な部分へのレーザ照射を防止することが可能である。
図5は本発明の第3の実施例である。ノズル形状は第1、2の実施例と同様にガス噴射ノズル8とガス吸引・排出ノズル9は同心円筒形状である。更に本発明の装置では図示されるように各ノズルにはレーザ光を透過し、且つ密閉性のあるレーザ透過窓15を備えている。レーザ透過窓としてはレーザとして、例えばCOレーザを用いる場合は素材としてZnSeを用いて表面に無反射コーティングを施したもの、YAGレーザを用いる場合は石英ガラスに無反射コーティングを施したものが適当である。レーザビームはレンズ2で集光された後、2枚の振動ミラー14で円環状に走査され、レーザ透過窓15を透過してカップ端縁部7に照射される。この装置構成においてガス流は図示されるように噴射ノズル8を通過してカップ底部を通過してガス吸引・排出ノズル9から排出され、前述の実施例と同様に発生した樹脂蒸気がカップ内部に付着することを防止することができる。またレーザ照射装置はガス噴射ノズル及びガス吸引・排出ノズルと独立しているため、レーザ照射装置としては回転ミラーに限られず、図5に示す方法や、図2で示したfθレンズを用いる方法等、レーザビームを円環状に照射する方法ならばすべて用いることができる。
また前記実施例と同様に、本実施例においても円筒体3、およびガス吸引・排出ノズル9の素材を、レーザ光無反射材とすることで不要な部分へのレーザ照射を防止することが可能である。
図6は本発明の第4の実施例である。本実施例は前記実施例3の別の形態に相当する。本実施例ではレーザ照射装置として振動ミラー14とfθレンズ16を用いる装置である。この装置ではレーザ透過窓15の一枚をfθレンズ16で兼用することで装置の簡略化が可能であり、レーザ透過窓が少ない分、僅かであるが窓で生じるレーザパワー損失を減らすことも可能である。
カップの内壁に回転ミラーを用いてレーザを照射して不要樹脂を除去する方法の説明である。 カップの内壁に振動ミラーとfθレンズを用いてレーザを照射して不要樹脂を除去する方法の説明である。 本発明装置の第1の例を示す図である。 本発明装置の第2の例を示す図である。 本発明装置の第3の例を示す図である。 本発明装置の第4の例を示す図である。
符号の説明
1 レーザビーム
2 集光レンズ
3 ミラー支持円筒(円筒体)
4 回転ミラー(レーザを照射する装置)
5 ベアリング
6 樹脂を皮膜した鋼板を成型したカップ
7 レーザ照射部(カップ端縁部)
8 ガス噴射ノズル
9 ガス吸引・排出ノズル
10 ガス導入口
11 ガス排出口
12 カップ中心軸(同心円筒形状ノズルの中心軸)
13 カップ端縁部からの反射レーザビーム
14 振動ミラー
15 レーザ光透過窓
16 fθレンズ
17 レーザ通過開口または窓

Claims (6)

  1. 少なくとも片面を樹脂被膜で被覆された金属板を円盤状に切断し、カップ成形、絞りしごき成形を行い金属容器を製造する装置において、カップ端縁部の内壁にレーザを照射する装置と、カップ底部に向かってガスを供給するガス噴射ノズルと、当該カップ底部からカップ端縁部に流れる当該ガスを吸引・排出するガス吸引・排出ノズルを備え、当該ガス噴射ノズルと当該ガス吸引・排出ノズルは同心円筒形状であり、ガス噴射ノズルの直径は前記カップの直径より小さく、ガス吸引・排出ノズルの直径は前記カップの直径以上であることを特徴とする樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
  2. 前記レーザ照射装置が回転ミラーであり、当該回転ミラーは前記同心円筒形状のガス噴射ノズルおよびガス吸引・排出ノズルの中心軸上で、且つ前記ガス噴射ノズルの内部に配置されたことを特徴とする請求項1記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
  3. 前記ガス噴射ノズル及び/又はガス吸引・排出ノズルの一部にレーザ光透過窓を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
  4. 前記レーザ光透過窓の少なくとも一枚がfθレンズ集光機能を兼ね備えることを特徴とする請求項3記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
  5. 前記ガス噴射ノズル及び/又はガス吸引・排出ノズルの一部又は全部がレーザ光吸収素材からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂ヘア発生を防止する製缶装置。
  6. 少なくとも片面を樹脂被膜で被覆された金属板を円盤状に切断し、カップ成形後、カップ底部に向かってガスを供給して、当該カップ底部からカップ端縁部に向かってガス形成しながらカップ端縁部の内壁にレーザを照射して、カップ端縁部近傍の樹脂被覆を蒸発させると共に、蒸発した前記樹脂被覆を外部に排出した後、金属容器を製造することを特徴とする樹脂ヘア発生を防止する製缶方法。
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