JP4301544B2 - 画像表示装置の製造方法、画像表示装置および粘着型光学フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示欠陥となる傷を有する、画像表示パネルに適用される画像表示装置の製造方法および当該製造方法により得られる画像表示装置に関する。画像表示装置としては液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどに適用できる。また本発明は、前記画像表示装置の製造方法に用いられる、光学フィルムの片面に画像表示パネルのパネル基板に貼着するための粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムに関する。前記光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、防眩シートまたはこれらが複数積層されているものがあげられる。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その画像形成方式から液晶パネルの最表面を形成するガラス基板等のパネル基板の両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが液晶パネルの最表面に貼着されている。また液晶パネルの最表面には偏光フィルムの他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学フィルムが用いられるようになってきている。例えば、着色防止としての位相差フィルム、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
液晶表示パネルに用いられるガラス基板表面には物理的な傷が生じる場合がある。かかる傷は、光学フィルムを粘着剤層を介し接着した場合に空隙が介在して散乱輝点等の表示欠陥となる。ガラス基板の傷は、輸送中に生じやすい。発生した傷が、きわめて大きな場合は、当該ガラス基板は不良品となる。また液晶表示パネルを薄型化するために、ガラス基板を化学的処理したり、研磨処理したりすることにより、傷が拡大することがある。かかるガラス基板の傷が、軽度で、所定レベル以下のものであれば、研磨や表面処理で再生できる場合がある。
【0004】
一方、ガラス基板を液晶表示パネルとして組み込んだ後に、輸送や処理工程中でガラス基板表面に傷がついた場合は、上記のような再生は困難である。しかし、液晶表示パネルは、ガラス基板に透明電極や配向膜等を付設して付加価値を高めたもであり、その再利用方法が検討されている。たとえば、粘着クリープ特性を制御した粘着型光学部材により、液晶表示パネル上の表示欠陥となる傷を、補填補修できることが記載されている(たとえば、特許文献1参照。)。特許文献1の粘着型光学部材によれば、ある程度の表示欠陥となる傷を、補填補修可能である。しかし、表示欠陥となる傷の、補填補修はさらなる改良、向上が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−42309号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画像表示パネルのパネル基板上の表示欠陥となる傷を、粘着型光学フィルムの粘着剤層によって埋めることにより、パネル基板表面の傷による表示欠陥を解消した画像表示装置を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
また当該製造方法により得られる、表示欠陥を解消した画像表示装置を提供することを目的とする。また、画像表示装置の製造方法に用いる、前記表示欠陥を消失させうる粘着型光学フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、粘着型光学フィルムの粘着剤層の物性について鋭意研究したところ、下記粘着型光学フィルムを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、光学フィルムの片面に、画像表示パネルのパネル基板に貼着するための粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムを、表示欠陥となる傷を有する、画像表示パネルの基板表面上に貼着する工程を有する、画像表示装置の製造方法であって、
前記粘着型光学フィルムを、前記パネル基板に10mm角の接着面積にて500gの荷重を負荷した場合の23℃における1時間後のクリープズレ量(mm)をX、
前記粘着型光学フィルムの粘着剤層の厚さ(mm)をYとし、かつ、Yは0.002〜0.1mmであり、
画像表示パネルのパネル基板表面の傷長辺は0.5mm以下であり、当該傷長辺(mm)/2をZ、とするとき、
式:Y×(0.97X+0.45)>0.19Z−0.006
を満足するように、画像表示パネルに応じて、粘着型光学フィルムを選択して用いることを特徴とする画像表示装置の製造方法、に関する。
【0010】
また本発明は、表示欠陥となる傷を有するパネル基板表面を有する、画像表示パネルの基板表面上に、画像表示パネルに応じた粘着型光学フィルムが貼着されていることを特徴とする、上記製造方法により得られる画像表示装置、に関する。
【0011】
さらには本発明は、上記画像表示装置の製造方法に用いられる、光学フィルムの片面に、画像表示パネルのパネル基板に貼着するための粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムであって、
前記粘着型光学フィルムは、パネル基板に10mm角の接着面積にて500gの荷重を負荷した場合の23℃における1時間後のクリープズレ量(mm)をX、
前記粘着型光学フィルムの粘着剤層の厚さ(mm)をYとし、かつ、Yは0.002〜0.1mmであり、
画像表示パネルのパネル基板表面の傷長辺は0.5mm以下であり、当該傷長辺(mm)/2をZ、とするとき、
式:Y×(0.97X+0.45)>0.19Z−0.006
の関係を満足することを特徴とする粘着型光学フィルム、に関する。
【0012】
(作用効果)
上記本発明は、画像表示パネル(たとえば、液晶表示パネル)のパネル基板表面の傷により表示不良が発生するのは、パネル(ガラス)−空気、空気−光学フィルムの屈折率が大きく異なるためであること、また粘着型光学フィルムの粘着剤層の屈折率は、パネル(ガラス)や光学フィルムに対して影響を与えないものが用いられることから、粘着剤層を形成する粘着剤が十分な柔らかさをもち、パネル表面の傷を塞ぐことができれば、パネルの傷は表示欠点にならないと考えた。その結果、上記で定義される、粘着型光学フィルムの物性に係わるクリープズレ量(mm):X、粘着剤層の厚さ(mm):Yと、パネル基板表面の傷長辺(mm)/2:Z、が上記式を充足する場合に、画像表示パネルのパネル基板上の傷を埋めて、表示欠陥を消失させる効果が著しいことが判明した。
【0013】
したがって、本発明の粘着型光学フィルムは、画像表示パネルのパネル基板上の表面の傷長辺(mm)/2:Z、に応じて、クリープズレ量(mm):X、粘着剤層の厚さ(mm):Yが、上記式を満足するように粘着型光学フィルムが選択して用いられる。
【0014】
クリープズレ量(mm):Xは、パネル基板に10mm角の接着面積にて500gの荷重を負荷した場合の23℃における1時間後のズレ量であり、詳しくは実施例に記載の方法により測定される値である。クリープズレ量(mm):Xは、通常、0.05〜2mm、より好ましくは0.075〜1.5mm、さらに好ましくは0.1〜1mmである。0.05mm未満では、粘着剤層が十分な柔らかさを有さず、表示欠陥を十分に消失し難い。一方、2mmを超える場合には粘着剤のはみ出し、漏れなどが発生し易くなる点から好ましくない。
【0015】
また、粘着剤層の厚さ(mm):Yは、0.002〜0.1mm、より好ましくは0.005〜0.06mm、さらに好ましくは0.01〜0.04mmである。0.002mm未満では、光学フィルムの剥がれを生じやすくなる点から好ましくない。一方、0.1mmを超える場合には粘着剤のはみ出し、漏れなどが発生し易くなる点から好ましくない。
【0016】
また、傷長辺(mm)/2:Zは、画像表示パネルのパネル基板上の表面の 傷のなかで、最長辺(mm)を2で除した値である。最長辺(mm)は、詳しくは実施例に記載の方法により測定される値である。傷長辺(mm)/2:Zは、その値が多くなりすぎると、表示欠陥を十分に消失し難い場合があるため、通常0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である場合に有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着型光学フィルムの粘着剤層を形成する粘着剤は、適用する画像表示パネルのパネル基板との関係で、上記クリープズレ量(mm):X、粘着剤層の厚さ(mm):Y、傷長辺(mm)/2:Zが前記式を満足するものを特に制限なく使用することができる。ズレ量(mm):Xは、粘着剤のベースポリマの平均分子量、粘着剤の組成、架橋度合い等で任意に制御することができる。
【0018】
前記粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の各種のものを例示できる。これら粘着剤のなかでもベースポリマーとしてアルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーと多官能性化合物を含有してなるものを好ましく使用できる。前記アクリル系ポリマーは多官能性化合物と反応しうる官能基を有するモノマーユニットを含有してなり、これらアクリル系ポリマーと多官能性化合物は粘着剤層において架橋している。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0019】
アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度のものであり、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組合せて使用できる。
【0020】
官能基を有するモノマーとしては、たとえば、カルボキシル基含有モノマー、があげられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等があげられる。また、無水マレイン酸や無水イタコン酸等の酸無水物モノマーがあげられる。
【0021】
また、官能基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
【0022】
さらに(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロバン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマ−;N−シクロへキシルマレイミド、N−インプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマーなどがあげられる。
【0023】
加えて、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピぺリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリレートなどがあげられる。アクリル系ポリマー中の前記官能基を有するモノマーユニットの割合は特に制限されない。
【0024】
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、30万〜300万程度であるのが好ましい。より好ましくは、40万〜250万、特に好ましくは、60万〜250万である。重量平均分子量はGPCにより測定される。
【0025】
前記アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の方法により製造でき、たとえば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用でき、反応温度は通常50〜85℃程度、反応時間は1〜8時間程度とされる。また、前記製造法のなかでも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等の極性溶剤が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
【0026】
多官能性化合物としては、前記アクリル系ポリマーと架橋しうる有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤などのカルボキシル基、水酸基等の官能基と反応する官能基を1分子中に2つ以上有しているものがあげられる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0027】
多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。これらのなかでも、Al、Zr、Tiが好ましい。また、共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0028】
アクリル系ポリマーと多官能性化合物の配合割合は特に制限されず、アクリル系ポリマー中の官能基を有するモノマーユニットの割合や種類、多官能性化合物の種類等により決定される。
【0029】
さらには、前記粘着剤組成物には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。
【0030】
本発明の粘着型光学フィルムは、図1に示すように、光学フィルム1の片面には、画像表示パネルのパネル基板(好ましくはガラス基板)に貼着するための粘着剤層2が設けられている。また、粘着剤層2には離型シート3を設けることができる。
【0031】
光学フィルム1としては液晶表示装置等の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学フィルムとしては偏光フィルム(偏光板)があげられる。偏光フィルムは偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0032】
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0033】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0034】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。透明保護フィルムの厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
【0035】
透明保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
【0036】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0037】
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0038】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0039】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0040】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0041】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0042】
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等が用いられる。
【0043】
本発明の光学フィルムは、前記偏光板に、実用に際して他の光学層を積層して用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2 や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0044】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0045】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0046】
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0047】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0048】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1 /4 波長板(λ/4 板とも言う)が用いられる。1 /2 波長板(λ/2 板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0049】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0050】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0051】
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0052】
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0053】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0054】
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0055】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0056】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0057】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0058】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0059】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0060】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0061】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0062】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0063】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0064】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0065】
前述した光学フィルム1への粘着剤層2の形成方法としては、特に制限されず、粘着剤組成物(溶液)を塗布し乾燥する方法、粘着剤層2を設けた離型シート3により転写する方法等があげられる。
【0066】
なお、離型シート3の構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シート3の表面には、粘着剤層2からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理な剥離処理が施されていても良い。
【0067】
なお本発明の粘着型光学フィルムの光学フィルムや粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0068】
本発明の粘着型光学フィルムは、表示欠陥となる傷を有するパネル基板(好ましくはガラス基板)表面を有する、画像表示パネルの基板表面上に貼着され、各種画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。画像表示装置としては、たとえば、液晶表示装置があげられる。
【0069】
補修対象の液晶表示パネルについては特に限定はない。たとえば、図2に示すように、2枚のパネル基板11を介し液晶層12を封入してなるものがあげられう。液晶表示パネルは、液晶の配向形態に基づいてTN型やSTN型、垂直配向型やHAN型、OCB型の如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶パネルなどがあげられる。また液晶の駆動方式についても特に制限はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの各種の駆動方式を採用できる。
【0070】
補修対象の液晶表示パネルは、パネル基板11の一方又は両方の外表面に表示欠陥となる傷を有する。パネル基板11はガラス基板や樹脂基板(アクリル板、ベークライト板)、その表面にハードコート層を設けたものなどのがあげらる。なお、液晶表示パネルは、透明電極や配向膜等を設けたパネル基板を介して液晶層を封入したものが一般的である。
【0071】
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶表示パネルと粘着型光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。
【0072】
液晶表示パネルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0073】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0074】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0075】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0076】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0077】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0078】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0079】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0080】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0081】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はそれによって何等限定されるものではない。各例中、部は重量部である。
【0082】
実施例1
(粘着剤の調製)
アクリル酸ブチル100部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.2部、アクリル酸2部、アゾビスイソブチロニトリル2部を酢酸エチル100部中で撹拌しながら、60℃で10時間反応させて重量平均分子量130万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記ポリマー溶液にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL)を、ポリマー固形分100部あたり0.5部を加えて粘着剤溶液を調製した。
【0083】
(粘着型光学フィルムの作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち乾燥させ、両側にトリアセチルセルロースフィルムを接着剤を介して接着し、偏光フィルムを得た。
【0084】
上記により作製された粘着剤溶液を、35μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーン系剥離剤の表面コートを設けてなる離型フィルム上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが40μmとなるよう塗布し、これを上記により作製された偏光フィルムにラミネートし粘着型偏光フィルムを得た。
【0085】
実施例2
(粘着剤の調製)
実施例1において、架橋剤量を0.3部に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤溶液を調製した。
【0086】
(粘着型光学フィルムの作製)
実施例1において、粘着剤溶液として、上記で調製した粘着剤溶液を用いたこと、また粘着剤層の厚みが25μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして粘着型偏光フィルムを得た。
【0087】
実施例3
(粘着剤の調製)
アクリル酸2−エチルヘキシル80部、アクリル酸ブチル19部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1部、アゾビスイソブチロニトリル2部を酢酸エチル100部中で撹拌しながら、60℃で10時間反応させて重量平均分子量120万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記ポリマー溶液にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL)を、ポリマー固形分100部あたり0.05部加えて粘着剤溶液を調製した。
【0088】
(粘着型光学フィルムの作製)
実施例1において、粘着剤溶液として、上記で調製した粘着剤溶液を用いたこと、また粘着剤層の厚みが15μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして粘着型偏光フィルムを得た。
【0089】
比較例1
(粘着型光学フィルムの作製)
実施例1において、粘着剤層の厚みが30μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして粘着型偏光フィルムを得た。
【0090】
比較例2
実施例2と同様の粘着型偏光フィルムを用いた。ただし、評価で用いるガラス基板としては、実施例2とは傷長辺の大きさが異なるものを用いた。
【0091】
比較例3
(粘着剤の調製)
実施例3において、架橋剤量を1部に変えたこと以外は、実施例3と同様にして、粘着剤溶液を調製した。
【0092】
(粘着型光学フィルムの作製)
実施例3において、粘着剤溶液として、上記で調製した粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして粘着型偏光フィルムを得た。
【0093】
上記実施例および比較例で得られた粘着型偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0094】
(クリープズレ量(mm):X)
10mm×50mmのサイズに切断した粘着型偏光フィルムを、ガラス板(コーニング社製,無アルカリガラス1737)に10mm角の接着面積にて貼合わせ、50℃、5気圧のオートクレーブ中にて30分間放置した。その後、23℃において、500gの荷重を垂直方向に負荷した場合の1時間後のズレ量(mm)を測定した。測定は、詳しくは図3に示す。A:ベーク板、m:初期接着位置、n:1時間後の接着位置、t:ズレ量(mm)である。結果を表1に示す。
【0095】
(表示特性)
粘着型偏光フィルムを、表1に示す傷長辺を表面に有するガラス基板の表面に接着した。なお、傷長辺は、顕微鏡またはCCDカメラ等で拡大し測定した値であり、Zはその1/2である。
【0096】
そのガラス板の他面に偏光フィルムがクロスニコルとなるように別個の粘着型光学部材を接着して、それを50℃、5気圧、30分間の条件によるオートクレーブ処理を行った。その後、バックライト上で光の漏れ状態を、下記基準で評価した。
○:傷が完全に埋まり表示不良なし。
×:傷が完全に埋まらず表示不良発生。
【0097】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着型光学フィルムの断面図である。
【図2】本発明の粘着型光学フィルムをパネル表面の片面に貼着した断面図である。
【図3】粘着型光学フィルムのクリープズレ量を測定する概念図である。
【符号の説明】
1 光学フィルム
2 粘着剤層
3 離型シート
Claims (1)
- 光学フィルムの片面に、画像表示パネルのパネル基板に貼着するための粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムを、表示欠陥となる傷を有する、画像表示パネルの基板表面上に貼着する工程を有する、画像表示装置の製造方法であって、
前記粘着型光学フィルムを、前記パネル基板に10mm角の接着面積にて500gの荷重を負荷した場合の23℃における1時間後のクリープズレ量(mm)をX、
前記粘着型光学フィルムの粘着剤層の厚さ(mm)をYとし、かつ、Yは0.002〜0.1mmであり、
画像表示パネルのパネル基板表面の傷長辺は0.5mm以下であり、当該傷長辺(mm)/2をZ、とするとき、
式:Y×(0.97X+0.45)>0.19Z−0.006
を満足するように、画像表示パネルに応じて、粘着型光学フィルムを選択して用いることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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