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JP4304882B2 - 船体構造 - Google Patents
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JP4304882B2 - 船体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は船体構造に係わり、特に船体のロンジが平行でない部分の骨組の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は船底部分の船体構造の部分平面図、図4は図3のA−A矢視図、図5は図3のB矢視図である。これらの図において、1は船底板、2はトランスフレーム、3はロンジである。トランスフレーム2は船体の幅方向に延在し、長手方向に所要の間隔で船底板1に溶接して設けられている。ロンジ3は上端に面板3aを有するT字状をしている。トランスフレーム2はロンジ3の3ないし4倍の高さを有し、その下方にはロンジ3が貫通するT字状の溝が設けられている。ロンジ3はトランスフレーム2の下方を貫通して船体の長手方向に延在し、幅方向に所要の間隔で船底板1に溶接して設けられている。トランスフレーム2とロンジ3とにより碁盤目状の骨組を形成している。
【0003】
船体は船首または船尾の方向に船底の幅が狭まっている部分では図3に示すように、外側に近いロンジ3を内側に折り曲げてロンジ3間の間隔を狭めているが、干渉を防ぐため一部のロンジ3bは間引いている。間引かれたロンジ3bは、トランスフレーム2間の中間位置で先端をヘッダ4に接合して止めている。ヘッダ4は中間で止めたロンジ3bにかかる荷重を、ヘッダ4の両端に接合する両側のロンジ3c、3cで分担させるために設けたもので、ヘッダ4は一様高さのフラットバーまたはその遊辺(上辺)に補強用の面材を設けたものである。5はカーリングで、間引いたロンジ3bのトランスフレーム2の向こう側の部分ではロンジ3c、3c間の間隔が広くなるので、それを補うために複数本設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4、図5に示す一様な高さのヘッダ4の高さは、次のような要素を基にして決定する。
(1)ヘッダ4とロンジ3bとの接合部(溶接部)8のせん断強度から要求される接合部8の要求高さ、
(2)ヘッダ4自身が受ける曲げモーメントに対抗するために必要な断面係数を得るための要求高さ、
(3)ヘッダ4自身が受けるせん断力に対抗するために必要な断面積を得るための要求高さ、
ヘッダ4の高さは、これらの要求高さの最大値が必要である。
(1)はヘッダ4とロンジ3bとの接合部8のみに必要であり、(2)はヘッダ4とロンジ3bとの接合部8で最大であり、両端に向かって減少して行く、(3)はヘッダ4を全長にわたって一様に必要である。
【0005】
一般には(1)、(2)が大きく、(3)は小さい。従来の一様高さのヘッダ4の場合、(1)または(2)を満足させるため全体が高めになる。一例を示せばロンジ3bの高さが450mmに対してヘッダ4の高さは350mmである。また、その高さに対して座屈しないようにするために板厚を厚くしなければならない。たとえば、高さ350mmのヘッダの肉厚は17.5mm必要である。さらに、(1)を満足するために単位長さ当たりの溶接の強度を十分に取る必要があり、設計の手間がかかる。ヘッダ4を低くするため、図5に示すように、ロンジ3bの先端に切り欠き3dを設ける必要があり、その手間がかかるばかりでなく、ロンジ3bの先端とヘッダ4の接合面のなす角度が鋭角αになるので、ロンジ3b先端の上面とヘッダ4の接合面8との溶接が困難になり、その部分のせん断応力もぎりぎりになるので、その部分からロンジ3bの先端に図5に示すようなクラックcなどの損傷が発生しやすい。
【0006】
本発明は従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、ヘッダの形状を工夫することにより、(1)ロンジ先端部の切り欠きをなくしてその手間を省き、(2)ヘッダとロンジとの接合部のせん断応力を低下させて損傷を発生しにくくし、(3)ヘッダに座屈上要求される板厚を薄くすることができ、(4)接合部のせん断応力上要求されるヘッダの高さを計算する手間を省くことができる、ヘッダの形状を有する船体構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の船体構造は、船体の幅方向に延在し、長手方向に所要の間隔で船底板に溶接して設けられたトランスフレームと、トランスフレームの下方を貫通して船体の長手方向に延在し、幅方向に所要の間隔で船底板に溶接して設けられたロンジとを有してなる船体構造において、船首または船尾の方向に船底の幅が狭まっている部分で各ロンジの間隔を狭めるとともに、ロンジの本数を間引いて行く際に、間引かれるロンジの終端に接合してトランスフレームとほぼ平行に設けられるヘッダを有してなり、ヘッダの形状ははロンジと接合する部分ではロンジとほぼ同じ高さであり、両側のロンジと接合する両端に向かって徐々に低くなっている。
【0008】
上記ヘッダはロンジと接合する中間部に高い平坦部を有し、その両側に外方向に向かって下降する傾斜部を有し、さらにその両側に低い平坦部を有してなるのが好ましい。
【0009】
上記傾斜部の水平との角度はほぼ30°であるのが好ましい。
【0010】
次に本発明の作用を箇条書きで説明する。
(1)ヘッダがロンジと接合する部分ではヘッダとロンジの高さがほぼ等しいので、ロンジの先端部分を切り欠く必要がなく、切り欠きの手間が省ける。
(2)ヘッダは必要な所だけ高く、両端の部分ではヘッダ自身が受けるせん断力に対抗する高さでよい。したがって、全体的に高さが低くなり、ヘッダとロンジの接合部とヘッダの端部との中間の座屈しやすい部分の高さが低くなるので、座屈上から要求される肉厚を薄くすることができる。このため、物量が減少し、両端部の溶接長さが短くなるので、コスト低減になる。
(3)ロンジ先端の上辺とヘッダの接合面とのなす角度は直角になるので、溶接がしやすい。また、溶接長さが十分とれるので溶接部分のせん断応力も小さくできて強度が増し、損傷も減らすことができる。したがって、溶接部のせん断力から必要とされるヘッダ高さを計算しなくてもよく、その手間が省ける。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図3は本発明の船体構造の部分平面図で、従来例としてすでに説明したものと共通である。図1は図3のA−A矢視図、図2は図3のB矢視図である。なお、これらの図において、従来例を説明するために用いた図3ないし図5に示すものと共通の部分には同一の符号を付しており、重複した説明は省略する。これらの図において、7は本発明の船体構造に用いられるヘッダである。ヘッダ7はロンジ3bと接合する部分で最も高くなっており、その高さはロンジ3bとほぼ同じである。そして両側のロンジ3cと接合する両端に向かって徐々に低くなっている。ヘッダ7上辺の形状を計算した応力に対応した曲線にすると製作が困難になるので、実用的な形状として、図1に示すように、ロンジ3bと接合する中間部の高い平坦部7a、その両側の外方に向かって下降する傾斜部7b、7bおよびその両側の低い平坦部7c、7cを有してなる。また、傾斜部7bと低い平坦部との間には応力集中を避けるため150mm程度のRを付けている。ロンジ3b、3cとヘッダ7との接合は通常の隅肉溶接である。高い平坦部の幅は100mm程度、傾斜部の水平線とのなす角度は30°程度が好ましい。
【0012】
本実施形態の作用を箇条書きで説明する。
(1)ヘッダ7がロンジ3bと接合する部分8ではヘッダ7とロンジ3bの高さがほぼ等しいので、図5に示すようなロンジ3bの先端部分の切り欠き3dの必要がなく、切り欠き3dの手間が省ける。
(2)ヘッダ7は必要な所だけ高く、低い平坦部7cではヘッダ7自身が受けるせん断力に対抗する高さでよい。したがって、全体的に高さが低くなり、ヘッダ7とロンジ3bの接合部8とヘッダ7の端部7dとの中間の座屈しやすい部分、たとえば、傾斜部7bと低い平坦部7cとの境界の近傍の高さが低くなるので、座屈上から要求される肉厚を薄くすることができる。このため、物量が減少し、両端部7dの溶接長さが短くなるので、コスト低減になる。
(3)ロンジ3b先端の上辺とヘッダ7の接合部8とのなす角度は直角になるので、溶接がしやすい。また、溶接長さが十分とれるので、溶接部分のせん断応力も小さくできて、強度が増し、損傷も減らすことができる。したがって、溶接部のせん断力から必要とされるヘッダ7高さを計算しなくてもよく、その手間が省ける。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の船体構造のヘッダ7の具体的形状について、計算式を用いて説明する。ヘッダの長さをlとし、図6に示すようなヘッダを考える。なお、図6は図7のA−A矢視図である。簡単のため、荷重点はスパンlの中央とする。
曲げモーメントMは、
M=Px/2 (1)
せん断力Fは、
F=P/2 (2)
ヘッダの肉厚をt(一定値)、高さをd(x)(xの関数)とすると、断面係数Z(x)(xの関数)は、
Z(x)=td(x)/3
なお、この断面係数Z(x)はヘッダ7と船底板1の適当な幅を切り取って合成した逆T字状断面状についての断面係数の上辺における近似値として経験上与えられるものである。
したがって、引張(圧縮)応力σは、
σ=M/Z(x)=3Px/2td(x)
よって、
d(x)=√(3Px/2tδ) (3)
一方、せん断応力τは、
τ=F/td(x)=P/2td(x)
よって、
d(x)=P/2tτ (4)
最適形状は、(3)式と(4)式の大きい方を結んだもので、後に説明するように図8の実線のような形状になる。
【0014】
典型的な例として図7の平面図に示す寸法の船底の船体構造についてヘッダ7の寸法の試算をする。船底板1に200KN/m圧力がかかる場合を考える。この荷重はロンジ3bとその両側のロンジ3c、3cにより等分に受け持つから、ロンジ3bにかかる荷重は単位長さあたり、200×(1.6+1.2)/2×2= 200×0.7KN/mである。ロンジ3bはトランスフレーム2側は固定支持により、ヘッダ7側は回転支持により支持されていると考えられるから、ロンジ3bにかかる全荷重の5/8はトランスフレーム2側で負担し、3/8はヘッダ7側で負荷する。
したがって、
P=200×0.7m×4m×3/8=210KN
ヘッダ7の厚さを16mmとし、引張(圧縮)許容応力σ、せん断許容応力をτとし、それぞれ
δ=120N/mm
Z=70N/mm
として以下計算する。
これを(3)式に当てはめると、
d(x)=√(3×210×10x/2×16×120)=12.8√x(mm)、(4)に当てはめると、
d(x)=210×10/2×16×70=94(mm)、
以上をグラフに示すと図8の実線のようになる。すなわち、x=0からx=54mmについては、d(x)=94mm、x=54mmからx=600mmについてd(x)=12.8√xであり、x=600mmからx=1200mmについてはx=0からx=600mmの線対称形である。
【0015】
しかし、上記実線のような形状は製作しにくく、実用的ではないので、現実的には図8の一点鎖線に示す形状にする。すなわち、中央の高い平坦部7aの高さはロンジ3bの高さと同じ350mm、幅は100mmとし、その両側に外方向に向かって下降する傾斜部7bを有し、さらにその両側に低い平坦部7cを有している。低い平坦部の高さは250mmとする。傾斜部7bと低い平坦部7cとの間には応力集中を避けるため150mm程度のRを付ける。傾斜部7bの傾き角は30°とする。
【0016】
次に傾斜部の勾配を計算する。
d(x)=√(3Px/2tσ)だから微分すると、
d´(x)=√(3P/8tσx) (5)
となる。したがって、Pが大きく、t・σ・xが小さいとき急勾配となる。
考えられるPの最大値Pmaxを求める。
船底板1にかかる圧力を300KN/m、トランスフレーム2間の間隔を6000mmとする。梁に一様な分布荷重がかかっている場合の最大モーメントは、梁の両端が固定支持のときはM=wl/12であり、梁の一端が固定支持で他端が回転支持の場合はM=wl/8だから最大モーメントを等しくするためにはヘッダ7とトランスフレーム2の間隔は、トランスフレーム2間の間隔の√(2/3)であればよい。ロンジ3bにかかる単位長さ当たりの荷重を計算するための船底板の幅(ロンジ3c、3c間の平均の幅の1/2)を950mmとすると、
Pmax=300×√(2/3)×6.0×0.95×(3/8)=524KNヘッダの厚さtの最小値をtminとし、
tmin=12mm
許容引張(圧縮)応力の最小値σmin(軟鋼)をσmin=120N/mmとする。ロンジ3bとロンジ3cの最小の間隔は、溶接作業性の関係で450mmであるから、ロンジ3bとヘッダ7との接合部分における傾斜はxmin=450mmのとき最大値となる。これらの数値を数式(5)に代入すると最大傾斜は、
√(3×524×10/8×12×120×450)=0.551
tan−1(0.551)=28.8
したがって、傾斜角度を30°に選んで設計し、傾斜部7bの足元で曲げ応力を満足させるようにすれば、図8の一点鎖線が実線の下に食い込むことがなく、強度的に満足できるヘッダであることがわかる。
【0017】
本発明は、以上述べた実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。たとえば、実施形態では船底板について適用した例について説明したが、船底板に限らず、アッパデッキ、内底板、縦通隔壁などについても適用可能である。さらに、横置隔壁に適用する場合には長手方向と読み替えて適用可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の船体構造は、ヘッダとロンジとの接合部分はロンジとほぼ同じ高さで、両側のロンジと接合する両端に向かって徐々に低くなる形状のヘッダを有しているので、次のような優れた効果を有する。
(1)ヘッダがロンジと接合する部分ではヘッダとロンジの高さがほぼ等しいので、ロンジの先端部分を切り欠く必要がなく、切り欠きの手間が省ける。
(2)ヘッダは必要な所だけ高く、両端の部分ではヘッダ自身が受けるせん断力に対抗する高さでよい。したがって、全体的に高さが低くなり、ヘッダとロンジの接合部とヘッダの端部との中間の座屈しやすい部分の高さが低くなるので、座屈上から要求される肉厚を薄くすることができる。このため、物量が減少し、両端部の溶接長さが短くなるので、コスト低減になる。
(3)ロンジ先端の上辺とヘッダの接合面とのなす角度は直角になるので、溶接がしやすい。また、溶接長さが十分とれるので溶接部分のせん断応力も小さくできて、強度が増し、損傷も減らすことができる。したがって、溶接部のせん断力から必要とされるヘッダ高さを計算しなくてもよく、その手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の船体構造のヘッダの正面図である。
【図2】本発明の船体構造のヘッダとロンジの側面図である。
【図3】船底部分の船体構造の部分平面図である。
【図4】従来の船体構造のヘッダの正面図である。
【図5】従来の船体構造のヘッダとロンジの側面図である。
【図6】本発明の船体構造のヘッダの正面図で、ヘッダの寸法計算のための図面である。
【図7】船底部分の船体構造の部分平面図で、ヘッダの寸法計算のための図面である。
【図8】ヘッダの典型的な形状の図面である。
【符号の説明】
1 船底板
2 トランスフレーム
3 ロンジ
7 ヘッダ
7a 高い平坦部
7b 傾斜部
7c 低い平坦部
8 接合部

Claims (3)

  1. 船体の幅方向に延在し、長手方向に所要の間隔で設けられたトランスフレームと、トランスフレームの下方を貫通して船体の長手方向に延在し、幅方向に所要の間隔で設けられたロンジとを有してなる船体構造において、船首または船尾の方向に幅が狭まっている部分で外側に近いロンジを内側に折り曲げてロンジの間隔を狭めるとともに、干渉を防ぐためロンジの本数を間引いて行く際に、間引かれるロンジの終端に接合してトランスフレームとほぼ平行に設けられるヘッダを有してなり、ヘッダの形状は上記間引かれるロンジと接合する部分ではそのロンジとほぼ同じ高さであり、両側のロンジと接合する両端に向かって徐々に低くなっていることを特徴とする船体構造。
  2. 上記ヘッダは上記間引かれるロンジと接合する中間部に高い平坦部を有し、その両側に外方向に向かって下降する傾斜部を有し、さらにその両側に低い平坦部を有してなる請求項1記載の船体構造。
  3. 傾斜部の水平との角度はほぼ30°である請求項2記載の船体構造。
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