JP4309668B2 - 熱式空気流量測定装置及びその診断方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気流量の測定方法及び装置に係り、特に内燃機関の吸入空気量検出に好適な空気流量の測定方法及び装置、診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車などの内燃機関の電子制御燃料噴射装置に設けられ吸入空気量を測定する空気流量測定装置として、熱式のものが質量空気量を直接検知できることから多数使われている。この際、発熱抵抗体は白金線をボビンに巻きつけてガラスでコーティングする、薄膜抵抗体をセラミック基板上やシリコン基板上に形成する等により構成されている。
【0003】
流量の検出方法としては発熱抵抗体を一定温度に加熱し、流れが生じた際に流れる電流を直接検出する方式と、発熱抵抗体の両側に温度検出抵抗体を配置し、温度検出抵抗体の温度差により検出する方式等が上げられる。
【0004】
特に、自動車において、4気筒以下のエンジンの低回転数、重負荷時のように、吸入空気量の脈動振幅が大きく一部逆流を伴う脈動流の場合、従来の空気流量測定装置では精度が低下するため、流れの方向に応じた出力が要求される。発熱抵抗体の両側に温度検出抵抗体を配置し、温度検出抵抗体の温度差により検出する方式は、流れの方向に応じた出力が得られるため、逆流等の出力の検出に適している。また、近年排ガス低減や燃費向上の要求に対してセンサの出力をディジタル化し、ディジタル調整による精度向上等が図られてきている。
【0005】
ここで、空気流量測定装置が故障すると電子制御燃料噴射装置によって制御される燃料噴射量が変わり、空燃比の制御が正常に出来なくなるため、空気流量測定装置の故障診断等が実施されている。この故障診断を確実に実施するために回路等に工夫をするやり方が特開平10−68647号公報(特許文献1)等に、先に述べた逆流検知機能を有する空気流量測定装置の故障診断については、特開平11−182318号公報(特許文献2)等に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−68647号公報
【特許文献2】
特開平11−182318号公報
【特許文献3】
特表平10−500490号公報
【特許文献4】
特開2000−193505号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、逆流検知機能を有する空気流量測定装置をディジタル化し、かつ故障診断を確実に実施する方法として、発熱抵抗体の両側にも設けられた温度検出抵抗体で構成したブリッジ回路を工夫するやり方については特に検討されていなかった。通常、流れの方向に応じた出力が得られるブリッジ回路の流量ゼロでの出力は、ゼロ点と呼ばれ変動が少ないことが望ましく、アナログ的にゼロ点を調整するための方策も特表平10−500490号公報(特許文献3)等に記載されている。また、ブリッジ回路を構成せず発熱抵抗体一方の側に設けた温度検出抵抗体で検出するやり方が特開2000−193505号公報(特許文献4)に記載されているが、この様な場合は抵抗のばらつきに対するゼロ点の変動が低減できるが同時に流量出力の感度が低減する。
【0008】
ブリッジ回路を構成する温度検出抵抗体にはその製造時において一定のばらつきが発生するため、抵抗ばらつきが発生してもゼロ点が変動しない様にするには抵抗の精度を上げてばらつきを低減するか、前述したブリッジ回路にゼロ点の調整手段などが必要となり、製造工程が複雑になる等コストアップの要因になる。
【0009】
本発明の目的は、(1)製造時の温度検出抵抗体の抵抗ばらつきがある場合でも、発熱抵抗体や温度検出抵抗体の断線などの故障における診断を容易にし、空気流量測定装置全体の信頼性が向上させるとともに、(2)製造時の温度検出抵抗体の抵抗ばらつきがある場合でも空気流量を高精度に検出できる空気流量測定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発熱抵抗体の上流部及び下流部または、いずれか一方に形成された測温抵抗体と、複数の測温抵抗体で構成されるブリッジ回路とを有し、このブリッジ回路の出力信号電圧により流体の流量を計測する熱式空気流量測定装置において、出力信号電圧の一方側にバイアス電圧を付与することを特徴とする。
【0011】
さらに具体的には、発熱抵抗体の上流部及び下流部または、いずれか一方に形成された測温抵抗体と、複数の前記測温抵抗体で構成されるブリッジ回路とを有し、ブリッジ回路の出力信号電圧により流体の流量を計測する熱式空気流量測定装置において、測温抵抗体の抵抗ばらつき等により計測流量がゼロ時に前記ブリッジ回路から出力されるオフセット電圧よりも大きい値のバイアス電圧を出力信号電圧に付与することを特徴とする。
【0012】
また、より具体的には、発熱抵抗体と温度補償抵抗により発熱抵抗体を定温度駆動する手段、発熱抵抗体の両側に温度検出抵抗体を配置し温度検出抵抗体の温度差により流量を検出する手段、温度検出抵抗体で構成されるブリッジ回路の一方にバイアス電圧を加える手段、発熱抵抗体の電流に応じてオフセット電圧を可変する手段、温度検出抵抗体の温度差を増幅して一定の出力特性を得るディジタル出力調整手段(ゼロ・スパン回路手段)を設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例を図1により説明する。これは、ディジタル補正回路220を用いて実現した一例である。熱線駆動回路1は電源101に接続され空気流量に応じて動作する。熱線駆動回路1は発熱抵抗体211a、温度補償抵抗211c、抵抗13、14、17からなるホイーストンブリッジ回路により、ブリッジ中点の電位差がゼロになるように差動増幅器15、トランジスタ16によって発熱抵抗体211aに流れる電流を調整するように構成されている。発熱抵抗体211aの加熱温度が低いと、差動増幅器15の出力が大きくなり、更に加熱するように動作する。この構成により空気流速によらず発熱抵抗体211aの抵抗値は一定に、すなわち温度が一定値になるように発熱抵抗体211aに流れる電流が制御される。このように、熱線駆動回路1は周囲温度Taに対して、発熱抵抗体の温度Thを一定温度差dTh(=Th−Ta)で動作させるために用いられている。
【0014】
一方、発熱抵抗体211aの両側に温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gを配置し、空気流量に応じて発熱抵抗体211aの両側に生じる温度分布の差を、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gでブリッジを構成し、ブリッジに一定電圧を印可して電位差として検出している。発熱抵抗体211aは一定温度差dThで駆動されているため、周囲温度Taによらず空気流量と流れの方向に応じた出力信号を温度差信号dV(=Vb1−Vb2)として得ることができる。
【0015】
ここで発熱抵抗体211aは、例えば板型のガラスやセラミック、半導体基板上に、発熱体として白金やタングステンの薄膜や厚膜が形成されたものである。ここでは特に、発熱抵抗体211aはシリコンなどの半導体基板上に、発熱体として白金やタングステンの薄膜や厚膜、ポリシリコン抵抗体や、単結晶シリコンの抵抗体が形成された場合について説明する。
【0016】
発熱抵抗体211aをシリコン半導体基板上211に薄膜で構成された場合のパターンの一例を図2に示す。発熱抵抗体211aは縦長で抵抗が折り返したパターンで、この両側に温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gが配置された構造となっている。この、発熱抵抗体211aと、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gは、例えばシリコン基板211の裏面からエッチングされ熱容量が小さなダイヤフラム構造部に抵抗体が配置されたものである。温度補償抵抗211cは、発熱抵抗体211aの加熱による温度影響が受けにくい場所に配置されている。この場合、流れの向きは温度補償抵抗211c側が順流で、逆側が逆流の流れとなる。特にポリシリコン抵抗体を発熱抵抗体211aと、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211g等に用いた場合は、通常の半導体プロセスで抵抗体を製造できるので、白金などの薄膜を用いた場合に比べ、製造コストが安くできるなどの特徴がある。
【0017】
断面構造を図3に示す。抵抗パターンのある場所が最も厚みがある構造となっている。発熱抵抗体211a、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gは自動車等の内燃機関の吸気通路内に設けられ、吸気通路に流れる空気流量に対応した温度差信号dVが得られる。これをディジタル補正回路220により抵抗体の温度差を増幅して出力するのが温度差を検出するタイプの熱式空気流量測定装置の構成である。ここで、本実施例では温度検出抵抗体211gとグランド間に抵抗18を設け、ブリッジ中点の電位Vb1にプラスのオフセット電圧を加える構成としている。この抵抗18は、先のシリコン半導体基板上211に温度検出抵抗体と同様にパターンニングされたものであっても構わない。
【0018】
抵抗18を含む温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gのブリッジ中点の電位Vb1、Vb2を、ディジタル補正回路220に入力する。ディジタル補正回路220は、2つのアナログ・ディジタル変換器221aを有し、流量に応じた電圧値をディジタル値に変換して読み取り、ディジタル量として演算により調整し、ディジタル・アナログ変換器224の出力電圧Voutとしてエンジンコントロールユニット等に信号を送るものである。ここでディジタル補正回路220は、CPU222a、RAM222b、ROM222cからなる演算回路222と、発振器226、PROM223、シリアルコミュニケーションインターフェイス(SCI)227、タイマー243,I/O242等により構成される。ここでPROM223は、個別センサの出力感度のばらつき等を調整値として一回以上記録することができるものであればよく、電気的な書き換え可能なEEPROMやフラッシュROM等にのみ限定されるものではない。
【0019】
また、外部から供給される電圧Vccを電源として内部の電源・保護回路228に入力し、外部電圧Vccに依存した電源電圧Vref1としてスイッチ225aを介し、アナログ・ディジタル変換器221a、ディジタル・アナログ変換器224に接続され基準として用いられている。ここでスイッチ225aは、ディジタル補正回路220の内部の基準電圧回路229で発生した電圧Vref2と、先の外部電圧Vccに依存した電源電圧Vref1を切り替えるものである。
【0020】
ここでアナログ・ディジタル変換器221aは、ブリッジ回路の出力Vb1、Vb2等を直接入力しているため精度が必要となるが、精度を確保し、かつ回路規模を小さくするには例えばΔΣ型のアナログ・ディジタル変換器を用いればよい。
【0021】
この際、ディジタル補正回路220出力電圧Voutに着目すると、出力の範囲が0V〜Voutの最大電圧(例えば電圧Verf1、5V等)といった単電源出力であるとすると、図4の流量とブリッジ電圧dVの特性に相似であるが図5に示す様に目標とする出力特性は、流量ゼロで出力がオフセット(Voff)する出力となる。
この際、コントロールユニットなどとの接続線やコネクタ、各種抵抗体への信号を供給する信号の断線等の場合に、コントロールユニットでの読み取り信号が、例えば出力信号線Voutが断線すればローレベル(例えば0Vに近いレベル)に、GND接続線が断線すればハイレベル(最大電圧、Verf1、5V等に近いレベル)側に信号が固定された状態で検出され、本来通常の想定した流量入力がある場合に出力する信号が出力されないことを受けて、空気流量測定装置又はその接続線に何らかの異常があるとみなすことができる。実際には異常の状態に応じて確実に診断が可能なように、ある一定域の診断領域(誤診断を少なくするために一定の幅を設けたレベル)を設け、エンジン装置の起動時や、空気流量測定装置の正常な動作範囲での出力が期待される場合(アイドルなどの一定の空気流量がある場合)などに一定時間診断領域に信号が張り付いている場合を、故障などと判断することになる。
特に逆流量を検知する場合は、通常のハイレベルや、ローレベルといった上下限レベル以外に、入力される流量がゼロと同じ場合と同じ一定電圧Voff近辺で出力信号が固定される場合も考慮する必要がある。(通常の順流側のみの場合は、ローレベル側と、流量ゼロレベルが同一の診断領域で判断できる場合が多いが、逆流領域を有する逆流検知可能な場合は、ローレベルと流量ゼロのレベルが異なるため、通常の動作と異常の場合を分離する必要があるため)
しかしながら、図4に示したようにブリッジ電圧に±dV0のオフセットが発生し、出力電圧Voutに対してブリッジの出力電圧dVの出力感度が小さいとすると、ディジタル補正回路220ではゼロ点、出力ゲインの調整が必要となり、常に一定のゼロ・スパン調整(ゼロ点とゲインの調整)がディジタル的になされることになる。
一例として図4で、流量ゼロで±dV0のオフセット電圧出力がある場合でもゼロ・スパン調整によって、流量ゼロで−dV0の入力信号が出力電圧がVoffに調整されていることになる。一方、ブリッジ出力dVの流量ゼロから最大流量入力に対する出力幅はゼロ・スパン調整のスパン調整によって最大出力がVmaxになるように調整される。代表的な式で書くと次のように現される。
Vout=Gain*(dV−dVzero)+Voff ………式1
ここでGainは出力ゲインを、dVzeroは±dV0等のゼロ点のオフセット電圧である。
【0022】
エンジンコントロールユニット等では一般に、エンジンの状態を知るのに種々のセンサ等を用いている。各種のセンサ等に不具合があると正確なエンジン制御が出来なくなるため、一例としてエンジンの始動直前に各センサの動作状態をチェックする診断をする場合がある。これは、各センサ等の正常な動作状態に対して何らかの異常な状態にあるかどうかを検知して、異常な場合は診断後に警報ランプなどを点灯し、運転者やサービスマンなどに異常を知らせ、事前に修理などを促すためのものである。
【0023】
エンジンコントロールユニットでアナログ・ディジタル変換器を用いて電圧を入力する場合、アナログ・ディジタル変換器の入力電圧範囲外の信号は入力できない。ここでアナログ・ディジタル変換器の基準電圧が0V基準に5V程度の電源電圧(Vcc)である場合、入力電圧範囲は最大でも0V〜5Vとなる。電圧信号を伝達する信号線や、0Vのグランドレベルを伝える配線等が断線等を起こすと、エンジンコントロールユニットのアナログ・ディジタル変換器で読みとる信号のレベルが変化せず、なおかつ入力レベルの最大(5V)や最小(0V)等に張り付く場合がある。この様な場合は、実際に活用する信号の入力範囲を最小、最大レベルの内側に設定し、診断領域を設けることで、入力信号により各種の診断などが図れる様になる。最小、最大レベル近い範囲であれば例えば、一つの診断レベルで最大、最小側のいずれの診断も可能になるなど、(0V+Vs1、5V−Vs1等。レベルはVs1の一通り)診断に必要なエンジンコントロールユニットの制御ソフトが小さく等々診断が容易という特徴がある。
【0024】
同様に、エンジンコントロールユニットの接続に電圧などのアナログ信号を用いずに、パルス状の信号として周波数信号などを用いる場合もある。そのような場合でも、エンジンコントロールユニットで入力周波数の読み取りに限界があるため、入力周波数に上下限を設けて、先の電圧信号と同様に診断ができることが望ましい。
【0025】
次にディジタル補正回路220によるばらつき調整及び本発明の動作原理を具体的に図4により説明する。ここで抵抗18が無く、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gの抵抗値がいずれも同じでばらつきが無いとすると、電圧Vref1が印可されることで得られる理想の特性は、図中に中心特性で示す様に流量ゼロでブリッジ電圧dVがゼロとなる点を通る特性となる。
【0026】
実際の温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gはパターンニングのずれや、抵抗体を形成するポリシリコンの形状、抵抗率等の分布等でばらつきを生じる。抵抗体を構成する際のプロセスやパターン精度を向上することで改善はできるが、抵抗パターンが大きくなり熱容量が増加して応答性が悪くなったり、プロセスコストが増えるなどのデメリットがある。低コストで製造するには抵抗体の製造ばらつき等を一定量許容することが望ましい。抵抗のばらつきをプラス側マイナス側で最大を考えると、図に示す様にばらつきがブラスの場合は流量ゼロで+dV0のオフセット電圧が、ばらつきがマイナスの場合は−dV0のオフセット電圧が生じる。
【0027】
この際、ディジタル補正回路220出力電圧Voutに着目すると、出力の範囲が0V〜Voutの最大電圧(例えば電圧Verf1、5V等)といった単電源出力であるとすると、図4の流量とブリッジ電圧dVの特性に相似であるが図5に示す様に目標とする出力特性は、流量ゼロで出力がオフセット(Voff)する出力となる。この際、コントロールユニットなどとの接続線やコネクタ、各種抵抗体への信号を供給する信号の断線等の場合に、コントロールユニットでの読み取り信号が、例えば出力信号線Voutが断線すればローレベル(例えば0Vに近いレベル)に、GND接続線が断線すればハイレベル(最大電圧、Verf1、5V等に近いレベル)側に信号が固定された状態で検出され、本来通常の想定した流量入力がある場合に出力する信号が出力されないことを受けて、空気流量測定装置又はその接続線に何らかの異常があるとみなすことができる。実際には異常の状態に応じて確実に診断が可能なように、ある一定域の診断領域(誤診断を少なくするために一定の幅を設けたレベル)を設け、エンジン装置の起動時や、空気流量測定装置の正常な動作範囲での出力が期待される場合(アイドルなどの一定の空気流量がある場合)などに一定時間診断領域に信号が張り付いている場合を、故障などと判断することになる。特に逆流量を検知する場合は、通常のハイレベルや、ローレベルといった上下限レベル以外に、入力される流量がゼロと同じ場合と同じ一定電圧Voff近辺で出力信号が固定される場合も考慮する必要がある。(通常の順流側のみの場合は、ローレベル側と、流量ゼロレベルが同一の診断領域で判断できる場合が多いが、逆流領域を有する逆流検知可能な場合は、ローレベルと流量ゼロのレベルが異なるため、通常の動作と異常の場合を分離する必要があるため)
しかしながら、図4に示したようにブリッジ電圧に±dV0のオフセットが発生し、出力電圧Voutに対してその出力感度が小さいとすると、ディジタル補正回路220ではゼロ点、出力ゲインの調整が必要となり、常に一定のゼロ・スパン調整(ゼロ点とゲインの調整)がディジタル的になされることになる。一例として図4で、流量ゼロで±dV0のオフセット電圧出力がある場合でもゼロ・スパン調整によって、流量ゼロで−dV0の入力信号が出力電圧がVoffに調整されていることになる。一方、ブリッジ出力dVの流量ゼロから最大流量入力に対する出力幅はゼロ・スパン調整のスパン調整によって最大出力がVmaxになるように調整される。代表的な式で書くと次のように現される。
Vout=Gain*(dV−dVzero)+Voff ………式1
ここでGainは出力ゲインを、dVzeroは±dV0等のゼロ点のオフセット電圧である。
【0028】
ここで入力のVb1,Vb2が短絡した場合や、Vref1が断線して差動出力dV=0となると、入力のゼロ点を調整した±dV0のオフセット電圧がゲイン倍した出力信号として通常の出力動作レベルと同等な信号が現れる事になる。これは次のように現される。ばらつきマイナスで−dV0入力があった場合に、入力dV=0となると、
Vom1=Gain*(−(−dV0))+Voff ………式2
となり、ばらつきプラスで+dV0入力があった場合に、入力dV=0となると、
Vop1=Gain*(−(+dV0))+Voff ………式3
となる。これは通常の動作領域と同じような中間電位固定レベルの信号となる。抵抗体のばらつきが小さく、ブリッジ電圧出力dVの感度が大きければ(ゲインが小さければ)変動が小さいが、先に述べた様にゼロ点の変動を押さえるのは一般的に難しく、この様な場合に通常動作と区別して診断することが困難となる。
【0029】
本発明では、以上の様に抵抗体が製造ばらつき等でばらついて調整されていても確実に診断可能(診断しやすい)な出力電圧レベルを有する空気流量測定装置を提供するものである。
【0030】
具体的な発明の内容を図6に示す。先の抵抗18によってブリッジ電圧dVの中心特性に対して流量ゼロでdVbiの電圧レベルをプラス側に偏向(バイアス)させる。こうすることで、マイナスのばらつき(オフセット)であっても流量ゼロでdVbim(=dVbi−dV0)のプラス側の出力電圧が確保できる。式で表すと次のようになる。
【0031】
Vout=Gain*((dV+dVbi)−dVzero)+Voff ………式4
この際の出力電圧のレベルを図7に示すが、入力ゼロでばらつきマイナス、プラスともに0V張り付き診断レベルを超えた出力として、中間電位に固定される様な故障モードも、0V張り付き診断として確実に診断することが可能となる。
【0032】
一般に、逆流側の流量の計測範囲は順流側よりも小さく設定される場合が多いため、プラス側にバイアス電圧を加える方が加える電圧レベルを小さくできるが、マイナス側にバイアス電圧を設けて電源電圧側の張り付き診断レベルで診断することも可能である。その際は、温度検出抵抗体211eとグランド間に抵抗18を設ければよい。同様の効果を得るには、抵抗18の代わりにダイオード等を用いて電圧降下によりバイアス電圧を設けても構わない。また、プラスのバイアス電圧を設けて同様の効果を得るには、温度検出抵抗体211f、211gの抵抗値を等しく、温度検出抵抗体211d、211eの抵抗を等しくして、温度検出抵抗体211d、211eの抵抗値に対して温度検出抵抗体211f、211gの抵抗を一定割合以上大きくすることでも達成できる。その場合、各温度検出抵抗体にばらつき以上に抵抗値を大きくすることで、確実なバイアス電圧を得ることが出来る様になる。この場合は、製造ばらつきを把握してから抵抗値を設計しないと作り込みが必要になる等時間がかかる場合もあるが、抵抗18を設けるよりも部品点数を減らせるなどの効果がある。
【0033】
本実施例によれば、特に、温度検出抵抗体にばらつきがある様な場合であっても、確実に温度検出抵抗体の断線等の診断が実施できるため、空気流量測定装置全体の診断が向上するといった効果がある。
【0034】
次に本発明の第2の実施例を図8により説明する。これは、先の図1の実施例と同様に発熱抵抗体211aを差動増幅器15、トランジスタ20を用いてリニア駆動した場合に、定電圧Vcc2が印可される温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gからなるブリッジ回路の温度差出力dVに対して感度補償を施した一例である。
【0035】
具体的には、リニア駆動したブリッジ回路の電圧V1に応じた電流値Irefを温度補償抵抗211b、抵抗39、ダイオード動作のNPNトランジスタ41に流れる電流として得、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gのブリッジ中点の電位Vb1、Vb2をアナログ・ディジタル変換器221aへ入力する際に抵抗34を介した実際の電圧dV2を、電流値Irefに応じてNPNトランジスタ42、PNPトランジスタ43、44、によって伝達された電流Ipにより増減することで、アナログ・ディジタル変換器221aへの入力電圧を直接的に感度補正を施すものである。
【0036】
ここで、電圧V1に応じた電流値Irefに対し、ダイオード動作のNPNトランジスタ41のベース電圧をNPNトランジスタ42のベースに接続し、電流値Irefに比例したカレントミラー電流(吸い込み)を得、これを電源Vcc2に接続されたダイオード動作のPNPトランジスタ43に伝達し、PNPトランジスタ43、44のカレントミラー動作(流し込み)により電流Ipを得ている。
【0037】
ここで、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gの抵抗値に対して抵抗34の抵抗値Ri1が十分大きく、抵抗34流れる電流Ipが十分小さいとすると、抵抗34抵抗値Ri1に対する電圧降下が、温度検出抵抗体211d、211e、211f、211gからなるブリッジ回路の温度差出力dVに対しての主な変動要因とすることができる。ここで、先の実施例と同様に電圧V1に応じた電流値Irefによってバイアス電圧dVbiを設けることで、中間電位となるような場合の故障モードを無くすことが出来る様になる。特に、発熱抵抗体211aへの配線のみが断線し、温度検出抵抗体の断線や短絡モードと異なる様な特別な故障モードであっても、電圧V1に応じた電流値Irefの供給が無くなることで入力に付加されるバイアス電圧dVbiが無くなり、診断に適した出力電圧を得ることができる。
【0038】
図9に、センサの出力電圧の感度を示す。本実施例では、流量がプラス方向の場合により感度を大きくするように動作し、流量がマイナスの場合はより感度が減少するように動作することができる。具体的に、ブリッジ回路の温度差出力dVは流れの方向に対しプラスマイナスの極性を有し、ゼロ点を通る対象な出力電圧の動作となる。これに対し、電圧V1に応じた電流値Irefは、流量ゼロでも一定の電流が流れるようにオフセットし流量の極性によらずプラス側にのみ電流が流れる。この電流値Irefに比例した電流Ip、と、抵抗34の抵抗値Ri1との電圧降下が、流量がプラス側では加算方向に、マイナス側では減算方向に動作することにより流量の極性によって非対称な感度出力を得ることができる。またこれは、電圧V1に応じた電流値Irefにより同時にプラス側の高流量の感度を向上させることになる。
【0039】
通常の自動車等に使われる空気流量計おいては、一般的に逆流側よりも順流側の方がセンサとしても動作検出領域が広い場合が多い。これは、あくまでも逆流がエンジンの吹き返しという特定の条件において生じるためで、通常は順流側のみの検出すればよく逆流側の動作領域を広くとる必要はない。しかし、通常センサの感度は順流逆流共に感度が等しいため、センサの信号を直接アナログ・ディジタル変換器に入力すると、順流側の有効な分解能を一部損なうことになる。本実施例のようにアナログ・ディジタル変換器の入力部にオフセットを設けることで、流れの方向に応じたセンサ感度の最適化を図ることが可能となる。感度の必要な順流側を大きく、逆流側を小さくする事で、逆流に対応した自動車用の空気流量計として良好な性能を得ることが可能となる。本実施例によれば特に、感度の最適化が図れるという効果がある。また、アナログ・ディジタル変換器の入力感度の最適化を低コストで実現できるといった効果がある。
【0040】
また、本実施例ではアナログ・ディジタル変換器の入力感度の調整に、トランジスタのカレントミラーによる定電流源を用いた一例を説明したが、抵抗等を用いても同様に実現することができる。ただし、集積化する際に抵抗の場合は高抵抗が得にくいためトランジスタのカレントミラーが集積化に適しているといえる。
他の実施例として、図11に出力に周波数を用いた場合の診断の一例を示す。先の実施例の図7で電圧で説明してきた出力動作を、周波数に置き換えたものである。出力が周波数であるため、流量のゼロのレベルがfoffと、周波数の一定のレベルで、最大周波数としては周波数の上限レベルをfmax(例えば10kHz等)としてそれより高い周波数をハイレベルの診断領域とし、周波数の下限値としてはflow(例えば100Hz等)としてそれより低い周波数を、ローレベルの診断領域とすることで、電圧と同様の診断を確実に実現することが可能となる。本発明は、周波数出力の空気流量測定装置に対しても先の実施例と同様な効果を得ることができるのが解る。
【0041】
本実施例のように出力に周波数を用いてエンジンコントロールユニッに信号を伝達する場合、電圧を用いた場合の例えばグランド信号レベルの浮きなどによる誤診断に対して、より確実な診断ができる(グランドインピーダンスの影響を提言できる)などの特徴がある。
【0042】
これまでの実施例は、発熱抵抗体や温度検出抵抗体を用いた熱式空気流量計としての一例であるが、本実施例における駆動方式や感度補償に関してはエンジンコントロールユニット等に組み込むように一体化し、コンパクトで配線の合理化や機能の向上を実現可能である。その際、ディジタル補正回路の機能がエンジンコントロール回路に内に組み込まれることにより熱式空気流量計としての機能をさらに向上させることを実現することができる。その結果、部品の共有により部品点数を大幅に削減でき低コスト化が図りやすいという効果がある。
【0043】
以上の様な発熱抵抗体や温度検出抵抗体といったエレメントの感度を駆動回路とともに最適化したことにより、感度が良好で精度の良い空気流量測定装置計を得ると同時に、確実な診断が出来ることで自動車のエンジン制御における信頼性の向上や最適化が図られエンジンからの排ガスを低減できるといった効果がある。
【0044】
本実施例によれば、発熱抵抗体や温度検出抵抗体の断線などの故障における診断を容易にし、空気流量測定装置全体の信頼性を確保できるといった効果がある。
【0045】
また、ディジタル調整手段によっては、特性補正が容易となり性能が向上するといった効果がある。流れの量や方向に応じたセンサ感度の最適化を図ることが可能となり、使い勝手がよくなるという効果がある。
【0046】
空気流量測定精度が向上し、自動車のエンジン制御に用いる際にはエンジンの排ガスを低減できる効果がある。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、発熱抵抗体や温度検出抵抗体の断線などの故障における診断を容易にし、空気流量測定装置全体の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による熱線駆動回路図。
【図2】本発明に係るもので、シリコン基板上に形成された抵抗体のパターン図。
【図3】本発明に係るもので、シリコン基板上に形成された抵抗体の断面図。
【図4】本発明に係るもので、流量に対するブリッジ電圧の出力特性を示す図。
【図5】本発明に係るもので、流量に対する出力特性と診断レベルを示す図。
【図6】本発明の実施例による流量に対するブリッジ電圧の出力特性の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例による流量に対する出力特性と診断レベルの一例を示す図。
【図8】本発明の第2の実施例による熱線駆動回路図。
【図9】本発明の実施例による流量に対するブリッジ電圧の出力特性の一例を示す図。
【図10】本発明の実施例による流量に対する出力特性と診断レベルの一例を示す図。
【図11】本発明の実施例による流量に対する周波数出力特性と診断レベルの一例を示す図。
【符号の説明】
1…熱線駆動回路、101…電源、211…シリコン基板、211a…発熱抵抗体、211b,211c…温度補償抵抗、211d,211e,211f,211g…温度検出抵抗体、13,14,17,18,34,39…抵抗、15…差動増幅器、16,34…トランジスタ、,41,42…NPNトランジスタ、43,44…PNPトランジスタ、47,…コンデンサ、40…電源リセット回路、50…温度差増幅回路、60…定電圧回路、220,240…ディジタル補正回路、221a…アナログ・ディジタル変換器、222…演算回路、222a…CPU、222b…RAM、222c…ROM、223…PROM、224…ディジタル・アナログ変換器、225a…スイッチ、226…発振器、227…シリアルコミュニケーションインターフェイス、228…電源・保護回路、229…基準電圧、242…デジタル・周波数変換、243,245…調整回路。
Claims (6)
- 測定流体中に配置される発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体の上流部及び下流部に形成された4個の測温抵抗体で構成されるブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の出力信号であるブリッジ電圧を取り込んで前記ブリッジ電圧とは直接相互作用を持たずに独立して、前記測定流体の流量がゼロの時の出力電圧を所定のオフセット電圧値に調整するゼロ点調整と、前記出力電圧の最大値を調整するゲイン調整とを行うデジタル補正回路とを有し、
前記デジタル補正回路の出力電圧を出力する熱式空気流量測定装置であって、前記出力電圧を読み取るエンジンコントロールユニット側で異常診断を行うようにした熱式空気流量測定装置において、
前記測定流体の流量がゼロの時に前記測温抵抗体の抵抗ばらつき等により前記ブリッジ回路から出力される前記ブリッジ電圧のオフセット電圧よりも大きい値のバイアス電圧を前記ブリッジ電圧に付与したことを特徴とする熱式空気流量測定装置。 - 請求項1記載の熱式空気流量測定装置において、
前記ブリッジ回路に加えられたバイアス電圧が、発熱抵抗体に流れる電流に応じて変化することを特徴とする熱式空気流量測定装置。 - 請求項1または2のいずれか一つに記載された熱式空気流量測定装置において、
前記発熱抵抗体および前記測温抵抗体が、シリコン基板上に配置されたポリシリコン抵抗体であることを特徴とする熱式空気流量測定装置。 - 請求項1から3のいずれか一つに記載された熱式空気流量測定装置において、
前記熱式空気流量測定装置がエンジンコントロールユニットに一体化されていることを特徴とする熱式空気流量測定装置。 - 請求項1から4のいずれか一つに記載された前記熱式空気流量測定装置を内燃機関に用いたことを特徴とする内燃機関用熱式空気流量測定装置。
- 請求項1から4のいずれか一つに記載された熱式空気流量測定装置において、
前記ブリッジ回路は、入力を加える一対の入力端子と、前記出力信号電圧を取り出す一対の出力端子を有し、前記入力端子から見て少なくとも一方のブリッジ回路側にバイアス抵抗を直列に設けたことを特徴とする熱式空気流量測定装置。
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