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JP4312046B2 - 熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シート - Google Patents
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JP4312046B2 - 熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シート - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シート Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シートに関し、更に詳しくは、発熱を伴う電子部品と、放熱手段との間に装着される熱伝導部材を構成する熱伝導性樹脂組成物;当該樹脂組成物により構成される熱伝導部材である熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シートに関する。
従来、通電中の電子部品から発生する熱を、ヒートシンクなどの放熱手段へ効率的に伝えるため、発熱を伴う通電中の電子部品と放熱手段との間に熱伝導性部材を装着することが行われている。
そのような熱伝導性部材として、熱伝導性ゴムシートおよび熱伝導性グリースが知られている。
しかし、熱伝導性ゴムシートは、通電中の電子部品の発熱温度において十分な柔軟性を有するものではないために、当該電子部品との間に高い接触熱抵抗が存在し、熱伝導性能に限界がある。
一方、熱伝導性グリースは、熱伝導性能は良好であるものの、常温下においてベタツキや変形を生じやすく、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に劣り、さらに、装着後に、電子部品と放熱手段との間から流出してしまうこともある。
このような問題を解決するために、常温下では形状安定な固体であり、40〜100℃の温度領域で軟化・溶融・流動化する熱伝導性樹脂組成物からなる相変化(Phase Change)型の放熱シートが紹介されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
ここに、熱伝導性樹脂組成物としては、シロキサン系重合体(シリコーン樹脂)、アクリル系重合体、オレフィン系重合体などの樹脂成分と、熱伝導性充填剤とを含有してなるものが使用されている。
特開2003−158393号公報 特開2002−305271号公報 特開2002−121332号公報 特開2002−329989号公報
電子部品と放熱手段との間に装着される熱伝導部材においては、50〜120℃程度の比較的高い発熱温度領域(以下、単に「高温領域」ともいう。)のみでなく、例えば35〜50℃程度の比較的低い発熱温度領域(以下、単に「低温領域」ともいう。)においても熱伝導性能を発揮させることが望まれている。
しかしながら、上記の相変化型の放熱シートにあっては、これを構成する熱伝導性樹脂組成物を、低温領域(35〜50℃)において十分に軟化(流動化)させることができないために、当該低温領域における接触熱抵抗を低くする(熱伝導性能を発揮させる)ことができない。
この場合、放熱シートを構成する熱伝導性樹脂組成物の樹脂成分として、軟化点の低い(例えば30℃程度)樹脂を使用することも考えられる。
しかし、そのような軟化点の低い樹脂は、常温下における強度(形状安定性)が不十分であるため、当該樹脂を使用して構成される放熱シートは、これを電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に著しく劣るという問題がある。また、軟化点の低い樹脂を使用して構成される放熱シートを装着した後、電子部品と放熱手段との間から樹脂組成物が流出してしまうこともある。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、低温領域(例えば35〜50℃)および高温領域(例えば50〜120℃)の何れの温度領域においても、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性にも優れた熱伝導部材を構成することのできる樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、低温領域および高温領域の何れの温度領域においても、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性にも優れた熱伝導性シートおよび熱伝導性複合シートを提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、軟化点が30±5℃のテルペンフェノール共重合体(以下、「特定のテルペンフェノール共重合体」ともいう。)を含む樹脂成分と、熱伝導性充填剤とを含有してなることを特徴とする。
本発明の熱伝導性シートは、本発明の樹脂組成物からなる。
本発明の熱伝導性複合シートは、本発明の樹脂組成物が基材の少なくとも一面に形成されてなる。
本発明の樹脂組成物においては、下記の形態が好ましい。
(a)特定のテルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が100〜1,000であること。
(b)特定のテルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が200〜500であること。
(c)特定のテルペンフェノール共重合体の、JIS−K−7210のA法に準拠して、温度25℃、荷重49.03Nの条件下に測定されるメルトフローレート(以下、「MFR(25℃)」と略記する。)が0.5〜10g/10minであり、かつ、特定のテルペンフェノール共重合体の粘度(35℃)が500,000〜1,500,000cStであること。
(d)軟化点40℃以上の熱溶融性物質を、特定のテルペンフェノール共重合体100質量部に対して100質量部以下の割合で含有すること。
(e)前記熱溶融性物質としてワックスを含有すること。
(f)樹脂組成物のMFR(25℃)が0.01〜10g/10minであり、樹脂組成物の粘度(35℃)が500,000〜10,000,000cStであること。
〔作用〕
特定のテルペンフェノール共重合体の軟化点が30±5℃と低いので、これを含有してなる樹脂組成物は、低温領域(例えば35〜50℃)においても良好な流動性を示し、これにより、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができる。
しかも、テルペンフェノール共重合体は、他の種類の樹脂とは異なり、軟化点が低い(30±5℃)ものであっても、常温(25℃)における強度が比較的高くて形状安定性に優れている。従って、特定のテルペンフェノール共重合体を使用して構成される熱伝導部材(熱伝導性シート/熱伝導性複合シート)は、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に優れたものとなる。
本発明の樹脂組成物によれば、樹脂成分として、特定のテルペンフェノール共重合体を含有しているので、低温領域(例えば35〜50℃)および高温領域(例えば50〜120℃)の何れの温度領域においても、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に優れた熱伝導部材を構成することができる。
また、特定のテルペンフェノール共重合体と共に、軟化点40℃以上の熱溶融性物質が含有されている本発明の樹脂組成物(請求項5に係る樹脂組成物)によれば、その軟化温度に幅を持たせることができ、これにより、特定の温度領域において、電子部品や放熱手段に対する密着性に優れた部材を構成することができる。また、粘着性の幅を持たせることができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着した後の流動性を容易に制御することができる。
本発明の熱伝導性シートおよび本発明の熱伝導性複合シートは、低温領域および高温領域の何れの温度領域においても、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性にも優れている。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、熱伝導性充填剤とを含有してなる。
本発明の樹脂組成物を構成する樹脂成分は、特定のテルペンフェノール共重合体を必須成分とする。
<特定のテルペンフェノール共重合体>
本発明の樹脂組成物を構成する特定のテルペンフェノール共重合体としては、下記の化学構造を有する共重合体を挙げることができる。
Figure 0004312046
〔上記の式において、mおよびnは、繰り返し数を表す。〕
特定のテルペンフェノール共重合体の軟化点は、30±5℃(25〜35℃)とされ、好ましくは30±3℃(27〜33℃)とされる。ここに、「軟化点」は、ビカット軟化温度(JIS K 6730)をいうものとする。
特定のテルペンフェノール共重合体の軟化点が30±5℃であることにより、これを含有してなる本発明の樹脂組成物は、低温領域(例えば35〜50℃)においても良好な流動性を示し、これにより、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができる。 しかも、テルペンフェノール共重合体は、軟化点が低い(30±5℃)ものであっても、他の種類の樹脂(例えば、テルペン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、テルペン重合体など)と比較して、常温(25℃)における強度が比較的高くて形状安定性に優れている。従って、特定のテルペンフェノール共重合体を樹脂成分として使用して構成される熱伝導部材(熱伝導性シート/熱伝導性複合シート)は、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性にも優れたものとなる。
すなわち、特定のテルペンフェノール共重合体を含有する樹脂組成物は、常温下(25℃)においては、強度(形状安定性)が確保されて良好な取扱性を有するとともに、35℃付近において良好な流動性を示すようになり、低温領域(例えば35〜50℃)においても良好な熱伝導性能が発揮される。
テルペンフェノール共重合体の軟化点が25℃未満である場合には、得られる樹脂組成物が、常温下において十分な強度(形状安定性)を有するものとならず、グリースのような感触を示すようになり、そのような樹脂組成物から構成される熱伝導部材は、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に劣り、また、装着後に、電子部品と放熱手段との間から樹脂組成物が流出してしまうこともある。
一方、テルペンフェノール共重合体の軟化点が35℃を超える場合には、得られる樹脂組成物が、低温領域(例えば35〜50℃)において十分な流動性を示すものとならず、良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができない。また、そのような樹脂組成物から構成される熱伝導部材(熱伝導性シート/熱伝導性複合シート)は、柔軟性や粘着性にも劣る(比較例2参照)。
特定のテルペンフェノール共重合体の重量平均分子量は、100〜1,000であることが好ましく、更に好ましくは200〜500とされる。
重量平均分子量が低過ぎるテルペンフェノール共重合体は、25℃以上の軟化点を有するものとならない。一方、重量平均分子量が高過ぎるテルペンフェノール共重合体は、35℃以下の軟化点を有するものとならない。
特定のテルペンフェノール共重合体のMFR(25℃)は、0.5〜10g/10minであることが好ましく、更に好ましくは3〜7g/10minとされる。
本発明において、「MFR(25℃)」は、JIS−K−7210のA法に準拠して、温度25℃、荷重49.03Nの条件下に測定されるメルトフローレートであって、常温(25℃)下における可塑性の指標となる値である。
テルペンフェノール共重合体のMFR(25℃)が10g/10minを超える場合には、これを含有する樹脂組成物が、常温下において十分な強度(形状安定性)を有するものとならない。
一方、テルペンフェノール共重合体のMFR(25℃)が0.5g/10min未満である場合には、これを含有する樹脂組成物が、常温下において十分な柔軟性を有するものとならない。
特定のテルペンフェノール共重合体の粘度(35℃)は、500,000〜1,500,000cStであることが好ましく、更に好ましくは700,000〜1,000,000cStとされる。
テルペンフェノール共重合体の粘度(35℃)が500,000cSt未満である場合には、これを含有する樹脂組成物により構成される熱伝導部材の装着後において、電子部品と放熱手段との間から当該樹脂組成物が流出してしまうことがある。
一方、テルペンフェノール共重合体の粘度(35℃)が1,500,000cStを超える場合には、これを含有する樹脂組成物が、低温領域において十分な流動性を示すものとならず、良好な熱伝導性能を発揮することができない。
特定のテルペンフェノール共重合体の市販品としては、「YSポリスター T30」(ヤスハラケミカル(株)製)などを挙げることができる。
<熱伝導性充填剤>
本発明の樹脂組成物を構成する熱伝導性充填剤としては特に限定されるものではなく、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素材料粉末;アルミニウム、ニッケル、銀、金などの金属粉末;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ベリリウムなどの無機酸化物粉末;窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの無機窒化物粉末などを例示することができる。 熱伝導性充填剤の平均粒径は、例えば0.5〜500μmとされ、好ましくは1〜10μmとされる。
熱伝導性充填剤の含有量としては、その種類によっても異なるが、樹脂成分100質量部あたり、1〜200質量部であることが好ましく、更に好ましくは50〜150質量部とされる。
<熱溶融性物質>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲内において、軟化点40℃以上の熱溶融性物質が含有されていてもよい。
かかる熱溶融性物質としては、ワックス;アクリル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール共重合体(特定のテルペンフェノール共重合体以外のもの)、ポリオレフィン樹脂などの樹脂成分を構成する物質を挙げることができる。これらのうち、ワックスが含有されていることが好ましい。
熱溶融性物質が含有されていることにより、樹脂組成物としての軟化温度に幅を持たせることができ、この結果、特定の温度領域(例えば30〜60℃)において、電子部品や放熱手段に対する密着性に更に優れた部材を構成することができる。また、粘着性の幅を持たせることができ、しかも、電子部品や放熱手段に装着した後の流動性を容易に制御することができる。
すなわち、ある温度に達すると急激に流動が始まる熱溶融性物質(ワックス等)が含有されていることにより、電子部品や放熱手段に対する密着性の向上を図ることができる。また、その他の熱溶融性物質が含有されていることにより、樹脂組成物の過度な流動性が抑制され(但し、良好な流動性は維持される)、装着後における樹脂組成物の流出を防止することができる。
熱溶融性物質の含有量としては、特定のテルペンフェノール共重合体100質量部あたり100質量部以下とされ、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下とされる。熱溶融性物質の含有量が100質量部を超えると、得られる樹脂組成物が、低温領域において良好な流動性(特定のテルペンフェノール共重合体によって付与される流動性)を示すことができなくなる。
<任意成分>
本発明の樹脂組成物には、任意成分として、通常のゴム組成物や樹脂組成物に添加されている種々の物質が含有されていてもよい。
かかる任意成分としては、ポリブタジエン、植物油(オイル)、着色剤(チタン顔料)などを例示することができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、特定のテルペンフェノール共重合体を含む樹脂成分と、熱伝導性充填剤と、必要に応じて配合される任意成分とを、公知の混合装置(ロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー、ゲートミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサーなど)を用いて均一に混合することにより製造することができる。
<樹脂組成物のMFR(25℃)>
本発明の樹脂組成物のMFR(25℃)は、0.01〜10g/10minであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2g/10minとされる。
このようなMFR(25℃)を有する本発明の樹脂組成物は、高い強度(形状安定性)と、好適な柔軟性とをバランスよく兼ね備えたものとなる。
従って、当該樹脂組成物から構成される熱伝導部材(熱伝導性シート/熱伝導性複合シート)は、電子部品や放熱手段に装着する際に良好な取扱性を有するともに、電子部品や放熱手段に対する密着性にも優れたものとなる。
MFR(25℃)が高過ぎる樹脂組成物は、常温下において十分な強度(形状安定性)を有するものとならず、そのような樹脂組成物から構成される熱伝導部材は、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性に劣るものとなる。また、MFR(25℃)が高過ぎる樹脂組成物は熱伝導部材を作製する際の加工性(シート化)にも劣る。
一方、MFR(25℃)が低過ぎる樹脂組成物は、常温下において十分な柔軟性を有するものとならず、そのような樹脂組成物から構成される熱伝導部材は、電子部品や放熱手段に対する密着性に劣るものとなる。
この好適なMFR(25℃)は、特定のテルペンフェノール共重合体を使用したことに由来するものである。
<樹脂組成物の粘度(35℃)>
本発明の樹脂組成物の粘度(35℃)は、500,000〜10,000,000cStであることが好ましく、更に好ましくは1,000,000〜5,000,000cStとされる。
このような粘度(35℃)を有する本発明の樹脂組成物は、低温領域(例えば35〜50℃)においても良好な流動性を示すので、かかる低温領域においても良好な熱伝導性能(低い熱抵抗性)を発揮することができる。
粘度(35℃)が低過ぎる樹脂組成物は、これにより構成される熱伝導部材の装着後において、電子部品と放熱手段との間から当該樹脂組成物が流出してしまうことがある。
一方、粘度(35℃)が高過ぎる樹脂組成物は、低温領域において十分な流動性を示すものとならず、良好な熱伝導性能を発揮することができない。
<熱伝導性シート>
本発明の熱伝導性シートは、本発明の樹脂組成物を公知の成形手段(押出機、カレンダー、ロール、プレス)によりシート状に成形することにより作製することができる。
本発明の熱伝導性シートの厚みとしては、10〜500μmであることが好ましく、更に好ましくは50〜200μmとされる。
<熱伝導性複合シート>
本発明の熱伝導性複合シートは、基材の少なくとも一面に、本発明の樹脂組成物またはその溶液を、コーティングまたはライニングすることにより作製することができる。
本発明の熱伝導性複合シートを構成する基材としては、金属フィルム(金属箔)、非金属フィルムなどを挙げることができ、高い熱伝導率を有する物質から構成されているものが好ましい。基材の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、更に好ましくは30〜100μmとされる。
基材を構成する金属としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅、鉄、ステンレス、銀、金、タングステンなどを例示することができる。
基材を構成する非金属としては、グラファイトなどを例示することができる。
本発明の熱伝導性複合シートの厚みとしては、200〜500μmであることが好ましく、更に好ましくは60〜120μmとされる。
<実施例1>
下記表1に示す処方に従って、特定のテルペンフェノール共重合体100質量部と、グラファイト「Micro 450」(ASUBRY社製)100質量部とをホモミキサーに投入し、60℃で1時間にわたり攪拌混合することにより、本発明の樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物のMFR(25℃)は0.2g/10minであり、その粘度(35℃)は3,500,000であった。
<実施例2>
下記表1に示す処方に従って、特定のテルペンフェノール共重合体90質量部と、ワックス「Vyber 260」(東洋ペトロライト(株)製)10質量部と、グラファイト「Micro 450」(ASUBRY社製)100質量部とをホモミキサーに投入し、60℃で1時間にわたり攪拌混合することにより、本発明の樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物のMFR(25℃)は1.5g/10minであり、その粘度(35℃)は5,000,000であった。
<比較例1〜5> 下記表1に示す処方の配合物をホモミキサーに投入し、60℃で1時間にわたり攪拌混合することにより、比較用の樹脂組成物を調製した。
ここに、比較例1に係る樹脂組成物は、高軟化点(53℃)のオレフィン系樹脂をバインダーとするものである。
また、比較例2に係る樹脂組成物は、高軟化点(80℃)のテルペンフェノール共重合体をバインダーとするものである。
また、比較例3〜4に係る樹脂組成物は、低軟化点(30℃)の樹脂(テルペンフェノール共重合体以外の樹脂)をバインダーとするものである。
また、比較例5に係る樹脂組成物は、高軟化点(54℃)のワックス(熱溶融性物質)をバインダーとするものである。
<熱伝導性シートの製造>
実施例1〜2および比較例1〜5により得られた樹脂組成物の各々を、押出機を使用してシート化することにより、厚さ100μmの熱伝導性シート(本発明の熱伝導性シートおよび比較用の熱伝導性シート)を製造した。
<熱伝導性複合シートの製造>
実施例1〜2および比較例1〜5により得られた樹脂組成物の各々をトルエンに溶解して、固形分濃度33質量%の樹脂溶液を調製した。
得られた樹脂溶液の各々を、厚さ50μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥することにより、厚さ80μmの熱伝導性複合シート(本発明の熱伝導性複合シートおよび比較用の熱伝導性複合シート)製造した。
<樹脂組成物の評価>
実施例1〜2および比較例1〜5により得られた樹脂組成物(熱伝導性シートおよび/または熱伝導性複合シート)の各々において、下記の項目(1)〜(7)について、測定または評価を行った。結果を併せて表1に示す。
(1)シート加工性:
熱伝導性シート(単層体)を製造する際の押出成形性が良好である場合(厚みが均一でクラックなどが発生しない場合)を「○」とし、厚みのバラツキやクラックなどが発生した場合を「×」とした。
(2)柔軟性:
熱伝導性シート(単層体)および熱伝導性複合シート(積層体)のそれぞれについて、90°に曲げたときの表面状態を目視により観察し、亀裂が認められない場合を「○」とし、認められた場合を「×」とした。
(3)粘着性(タック):
熱伝導性シート(単層体)および熱伝導性複合シート(積層体)のそれぞれを、ヒートシンクの底面に装着して5分間放置した。シートの剥離脱落が認められない場合を「○」とし、認められた場合を「×」とした。
(4)装着時の取扱性:
熱伝導性シート(単層体)および熱伝導性複合シート(積層体)のそれぞれを、ヒートシンクに装着する際の取扱性について、下記の基準に基いて評価した。
(評価基準)
「○」…キズが発生せず、適度な粘着性により、剥離することなく装着できる。
「×」…キズが発生し、または、粘着性が強過ぎて装着が困難である。
(5)装着部位からの流出:
熱伝導性シート(単層体)および熱伝導性複合シート(積層体)のそれぞれを、ヒートシンクとトランジスタ(電子部品)との間に介在させ、この状態で70℃の温度環境下に5分間放置した。樹脂組成物の溶融・流出が認められない場合を「○」とし、認められた場合を「×」とした。
(6)高温時における熱伝導性能の評価(熱抵抗の測定):
熱伝導性複合シートを試料とし、TO−3型FET(スペーサー付き)と、ヒートシンクとの間に試料を挟み、M3ネジで固定した(トルク=6kgf・cm)後に、FETに電力を供給した。5分経過後、ヒートシンクの温度(T1 )およびスペーサーの温度(T2 )を測定し、下記数式より熱抵抗を算出した。この操作は、60℃(高温領域)で実施した。
数式: 熱抵抗(K・cm2 /W)=(T2 −T1 )×S/P
〔式中、T1 はヒートシンクの温度、T2 はスペーサーの温度、Sはスペーサーの温度面積(6.27cm2 )、Pは発熱量(60W)である。〕
(7)低温時における熱伝導性能の評価(熱抵抗の測定):
40℃(低温領域)の温度で、上記(6)と同様の測定を行った。

Figure 0004312046
表1中、配合量を示す数値は「質量部」である。また、配合成分は下記のとおりである。
*1):特定のテルペンフェノール共重合体
・商品名「YSポリスター T30」(ヤスハラケミカル(株)製)
・重量平均分子量=300
・軟化点=30℃
・MFR(25℃)=6.2g/10min
・粘度(35℃)=900,000cSt
*2):高軟化点のオレフィン系樹脂
・商品名「エバフレックス A702」(三井・デュポン・ポリケミカル(株)製)
・軟化点=53℃
*3):高軟化点のテルペンフェノール共重合体
・商品名「YSポリスター T80」(ヤスハラケミカル(株)製)
・軟化点=80℃
*4):低軟化点のオレフィン系樹脂
・商品名「エバフレックス EEA704」(三井・デュポン・ポリケミカル(株)製)
・軟化点=30℃
*5):低軟化点のテルペン樹脂
・商品名「YSレジン PX300」(ヤスハラケミカル(株)製)
・軟化点=30℃
・MFR(25℃)=12.6g/10min
・粘度(35℃)=700,000cSt
*6):ワックス
・商品名「Vyber 260」(東洋ペトロライト(株)製)
・軟化点=54℃
*7):グラファイト
・商品名「Micro 450」(ASUBRY社製)
・平均粒径=5μm
上記表1に示した結果から明らかなように、特定のテルペンフェノール共重合体をバインダーとする実施例1〜2に係る樹脂組成物は、低温領域(40℃)および高温領域(60℃)の何れの温度領域においても、良好な熱伝導性能を発揮することができ、しかも、シート加工性、シートの柔軟性、粘着性、電子部品や放熱手段に装着する際の取扱性にも優れており、また、装着部位からの流出も生じない。
これに対して、高軟化点のオレフィン系樹脂(テルペンフェノール共重合体以外の樹脂)をバインダーとする比較例1に係る樹脂組成物、および、高軟化点のテルペンフェノール共重合体をバインダーとする比較例2に係る樹脂組成物は、何れも、低温領域(40℃)において良好な熱伝導性能を発揮することができず、シートの柔軟性・粘着性にも劣る。
また、低軟化点の樹脂(テルペンフェノール共重合体以外の樹脂)をバインダーとする比較例3〜4に係る樹脂組成物、および、ワックス(熱溶融性物質)をバインダーとする比較例5に係る組成物は、シート加工性、シート装着時の取扱性に劣り、また、これらの組成物は、装着部位から流出してしまった。
本発明の樹脂組成物は、発熱を伴う通電中の電子部品と、ヒートシンクなどの放熱手段との間に装着される熱伝導部材(熱伝導性シート/熱伝導性複合シート)を構成する材料として好適に利用される。

Claims (9)

  1. 軟化点が30±5℃のテルペンフェノール共重合体を含む樹脂成分と、熱伝導性充填剤とを含有してなる熱伝導性樹脂組成物。
  2. 前記テルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が100〜1,000である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 前記テルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が200〜500である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. JIS−K−7210のA法に準拠して、温度25℃、荷重49.03Nの条件下に測定される前記テルペンフェノール共重合体のメルトフローレートが0.5〜10g/10minであり、当該テルペンフェノール共重合体の粘度(35℃)が500,000〜1,500,000cStである請求項2または請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 軟化点40℃以上の熱溶融性物質を、前記テルペンフェノール共重合体100質量部に対して100質量部以下の割合で含有する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. 前記熱溶融性物質としてワックスを含有する請求項5に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. JIS−K−7210のA法に準拠して、温度25℃、荷重49.03Nの条件下に測定されるメルトフローレートが0.01〜10g/10minであり、35℃における粘度が500,000〜10,000,000cStである請求項1乃至請求項6の何れかに記載の記載の熱伝導性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の樹脂組成物からなる熱伝導性シート。
  9. 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の樹脂組成物が基材の少なくとも一面に形成された熱伝導性複合シート。
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