JP4320541B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に、インク残量に応じてパージ装置におけるインクの吸引力を変更して、安定してインクを吐出することができるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクのインクを記録媒体に吐出するインクジェットヘッドとを搭載したキャリッジを、主走査方向に往復移動させることによって、記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置としてのカラーインクジェットプリンタが知られている。このカラーインクジェットプリンタでは、インク吐出面に形成されたノズルから高粘度化したインクやエア等を吸引して、インクの吐出状態を回復させるためのパージ処理が行われている。
【0003】
このパージ処理では、インクジェットヘッドのノズルが穿設されたインク吐出面に、略箱状に形成されたパージキャップを当接して、インク吐出面と密閉空間を形成する。その密閉空間をパージキャップに連結された吸引ポンプによって減圧して、ノズルから高粘度化したインクやエア等を吸引する。高粘度化されたインク等はインクと共にパージキャップの内部に貯留され、パージキャップ内に穿設された排出口から排出される。こうして、インクの吐出状態を回復させるのである。
【0004】
しかし、このパージ処理における吸引ポンプは、かなり悪い状況の不吐出を回復させることを想定して比較的高い吸引力で、ノズルから高粘度化したインクやエア等を吸引するように制御されている。よって、インクタンク内に貯留されているインクが少量になった場合、即ち、インクタンク内に多量の空気が存在する場合には、その空気が吸引ポンプの高い吸引力によってインクジェットヘッド側まで吸引され、その空気によって以後の印刷処理におけるインクの吐出を不安定するという問題点があった。
【0005】
一方、特許2564833号公報には、インクタンク内のインクの終了直前の状態を検知する検知手段を備え、その検知手段からの信号が出力された後は、パージ処理を実行する制御手段へのパージ指令信号の出力を不能にする技術が開示されている。よって、上記問題点を解決すべく、インクタンク内のインクの終了直前にはパージ処理の実行を中止することも考えられる。
【0006】
【特許文献1】
特許2564833号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにインクタンク内のインクの終了直前にパージ処理の実行を中止することとした場合、吸引ポンプの比較的高い吸引力でもインクタンク上部の空気を吸引しないように、インクタンクに所定量のインクを残した状態を終了直前としなければならない。このようにインクを残した状態でも、インクジェットヘッドでは、インクの高粘度化やエアによる不吐出を回避するためには、パージ処理を挿入したいが、そのパージ処理は、上記のように空気を吸引することを回避するために実行することができず、結局、インクタンクを交換しなければならない。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、比較的弱い吸引力でも不吐出を回復できることがあることに着目し、インク残量に応じてパージ装置におけるインクの吸引力を変更して、インク残量が少ない状況でもインクタンク内の空気をインクジェットヘッド側へ吸引することなくパージ処理を実行できるようにし、インクタンクに残留するインクを有効に使用して印刷を継続することができるインクジェット記録装置を提供することを目的としている。
【0009】
この目的を達成するために請求項1記載のインクジェット記録装置は、インクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクに貯留されているインクを吐出して、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッドと、そのインクジェットヘッドのインク吐出面に穿設されているノズルからインクを吸引して、インクの吐出状態を回復させるパージ装置とを備え、前記インクタンクに関する情報を表示する表示部を有し、且つ、使用者が前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせるように操作することが可能な操作パネルと、その操作パネルから、前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせる操作が所定時間内に2回以上行われたか否かを判断する操作判断手段と、前記インクタンク内のインク残量を検出するインク残量検出手段と、前記操作パネルから前記操作があった場合であって前記インク残量検出手段によって検出されるインク残量が所定残量以上であると判断された場合には前記パージ装置の吸引力を第1吸引力で、前記操作パネルから前記操作があった場合であって前記インク残量検出手段によって検出されるインク残量が所定残量未満であると判断された場合には前記パージ装置の吸引力を前記第1吸引力より小さい第2吸引力に変更して、前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせる吸引力変更手段と、前記インク残量検出手段によってインク残量が所定残量未満で、且つ、前記操作判断手段により前記ノズルからのインクの吸引を行わせる操作が所定時間内に2回以上行われたと判断された場合には、前記表示部にインクタンクを交換する旨の情報を表示させる情報表示手段とを備えている。
【0010】
この請求項1記載のインクジェット記録装置によれば、パージ装置によって、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッドのインク吐出面に穿設されているノズルからインクを吸引して、インクの吐出状態を回復させるパージ処理を実行する場合に、パージ装置におけるインクの吸引力は、インク残量検出手段によって検出されたインクタンクに残留するインク残量に応じて変更される。
【0011】
請求項2記載のインクジェット記録装置は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記インク残量検出手段によって検出されたインク残量が所定残量未満であるか否かを判断する判断手段を備え、前記吸引力変更手段は、前記判断手段によってインク残量が所定残量未満であると判断した場合には、前記パージ装置の吸引力を、インク残量が所定残量以上である場合の第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更する。
【0012】
この請求項2記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1に記載のインクジェット記録装置と同様に作用する上、判断手段によってインク残量が所定残量未満であると判断された場合に、パージ装置の吸引力は、インク残量が所定残量以上である場合の第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更される。
【0013】
請求項3記載のインクジェット記録装置は、請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記判断手段が判断する前記所定残量未満とは、前記第1吸引力を使用したとき前記インクタンク内から空気を吸引する可能性のある前記インクタンク内のインク残量であり、前記第2吸引力は、前記インクタンク内のインク残量がほぼ前記所定残量のときでも前記インクタンク内から空気を吸引することのない吸引力である。
【0014】
この請求項3記載のインクジェット記録装置によれば、請求項2に記載のインクジェット記録装置と同様に作用する上、インクタンク内のインク残量が第1吸引力によりから空気を吸引する可能性のある状態となったとき、空気を吸引することのない第2吸引力に変更される。
【0015】
請求項4記載のインクジェット記録装置は、請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記パージ装置は、前記ノズルが穿設されたインクジェットヘッドのインク吐出面に当接して、そのインク吐出面と密閉空間を形成するパージキャップと、そのパージキャップとインク吐出面とによって形成された密閉空間を減圧して、インク吐出面に形成されたノズルからインクを吸引する吸引ポンプと、その吸引ポンプを駆動するための駆動源とを備え、前記吸引力変更手段は、前記インク残量が所定残量未満である場合には、前記吸引ポンプを駆動するための駆動源の回転数を、インク残量が所定残量以上である場合の第1回転数から、その第1回転数より少ない第2回転数に変更することによって、パージ装置の吸引力を、前記第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更する。
【0016】
この請求項4記載のインクジェット記録装置によれば、請求項2に記載のインクジェット記録装置と同様に作用する上、パージ装置によって、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッドのインク吐出面に穿設されているノズルからインクを吸引して、インクの吐出状態を回復させるパージ処理を実行する場合には、パージキャップをインク吐出面に当接する方向に移動して、インク吐出面と密閉空間を形成する。そして、その密閉空間をパージキャップに連結された吸引ポンプによって減圧して、インク吐出面に形成されたノズルからインクを吸引する。ここで、インク残量が所定残量未満である場合には、吸引ポンプを駆動する駆動源の回転数は、インク残量が所定残量以上である場合の第1回転数から、その第1回転数より少ない第2回転数に変更される。よって、その駆動源の回転数に応じて作動する吸引ポンプの吸引力は、インク残量が所定残量以上である場合の第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更される。
【0017】
請求項5記載のインクジェット記録装置は、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記インク残量検出手段は、消費したインクのインク消費量を計数する計数手段を備え、その計数手段によって計数されたインク消費量に基づいて、前記インクタンクに残留するインク残量を検出する。
【0018】
この請求項5記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置と同様に作用する上、インク残量は計数手段によって計数されたインク消費量に基づいて検出される。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のインクジェット記録装置としてのカラーインクジェットプリンタ1を示す斜視図である。図1において、このカラーインクジェットプリンタ1は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクがそれぞれ充填されるインクカートリッジ(インクタンク)61と、用紙62に印刷するためのインクジェットヘッド6を備えるヘッドユニット63と、インクカートリッジ61およびヘッドユニット63が搭載されるキャリッジ64と、このキャリッジ64を直線方向に往復移動させる駆動ユニット65と、キャリッジ64の往復移動方向に延び、インクジェットヘッド6と対向配設されるプラテンローラ66と、パージ装置67とを備えている。
【0025】
駆動ユニット65は、キャリッジ64の下端部に配設されプラテンローラ66と平行に延びるキャリッジ軸71と、キャリッジ64の上端部に配設されキャリッジ軸71に平行に延びるガイド板72と、そのキャリッジ軸71とガイド板72との間であって、キャリッジ軸71の両端部に配設される2つのプーリー73および74と、これらのプーリー73および74の間に掛け渡されるエンドレスベルト75とからなる。
【0026】
そして、一方のプーリ73が、モータ101(図2参照)の駆動により正逆回転されると、そのプーリ73の正逆回転に伴って、エンドレスベルト75に接合されているキャリッジ64が、キャリッジ軸71およびガイド板72に沿って、直線方向に往復移動される。
【0027】
インクジェットヘッド6は、ヘッドユニット63の下方に略箱状に形成されており、インクジェットヘッド6の底面には、インクを吐出する複数のノズルが穿設されたインク吐出面6aが設けられている。そのインク吐出面6aに設けられた複数のノズルは、4色のカラーインクに対応して4列に並列して穿設されており、ノズルから吐出されるインクは、色毎に定められた1列のノズル列から吐出される。インク吐出面6aは、鉛直下方のプラテンローラ66側へ向けて形成され、インクジェットヘッド6を搭載して移動するキャリッジ64の移動方向に略平行に形成されている。
【0028】
用紙62は、LFモータ103(図2参照)の駆動によりカラーインクジェットプリンタ1の側方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙され、インクジェットヘッド6のインク吐出面6aと、プラテンローラ66との間に導入される。用紙62には、インク吐出面6aに穿設された複数のノズルから吐出されるインクにより印刷がなされ、その後、排紙される。なお、図1においては、用紙62の給紙機構および排紙機構の図示を省略している。
【0029】
キャリッジ64の移動方向に沿ったプラテンローラ66の側方には、ノズルを閉塞する高粘度化したインクやエア等を排出して、良好な吐出状態を回復させるパージ処理を実行するパージ装置67が設けられている。パージ装置67は、ヘッドユニット63がパージ実行位置にある時に、インクジェットヘッド6に対向するように配設されており、パージキャップ81と、吸引ポンプ82およびカム83と、インク貯留部84とを備えている。
【0030】
パージキャップ81は、カム83の回転によって、矢印A方向と反矢印A方向とに昇降可能に構成され、インクジェットヘッド6のインク吐出面6aに当接して、インク吐出面6aと密閉空間を形成すべく、インク吐出面6aに向け開口した略箱状に形成されている。また、パージキャップ81の底面には排出口が穿設されており、この排出口と連通して吸引ポンプ82が配設されている。吸引ポンプ82の作動は、LFモータ103(図3参照)の駆動により図示しない連結機構を介してカム83を選択的に回転させ、このカム83の回転によって吸引ポンプ82内のピストンを往復移動することにより行われる。そして、カム83が1回転する間に、吸引ポンプ82は、パージキャップ17とインク吐出面6aとによって形成された密閉空間を減圧して、インク吐出面6aに穿設されたノズルから高粘度化したインクやエア等を排出する。吸引ポンプ82に隣接して、インク貯留部84が配設されている。インク貯留部84は、略箱状に形成されており、吸引ポンプ82によってパージキャップ81からインク等は、インク貯留部84に貯留される。
【0031】
また、パージキャップ81を挟んで、プラテンローラ66側には、インクジェットヘッド6に対し相対移動可能なワイパ部材86が配設され、反対側のインク貯留部84の上方には、キャップ85が配設されている。
【0032】
ワイパ部材86は、上述したパージ処理によってインク吐出面6aに付着したしたインクを払拭するための部材である。エチレンプロピレンゴム等の弾性材料を材料として板状に形成され、その一端部はワイパホルダ90に支持されている。そして、インク吐出面6aを払拭する場合には、カム83の回転によって矢印A方向に突出するように構成されている。なお、インク吐出面6aはインクの払拭を容易にするように撥インク処理が施されている。
【0033】
キャップ85は、印刷が終了してリセット位置に戻されたキャリッジ64に搭載されるインクジェットヘッド6のインク吐出面6aに当接して、そのインク吐出面6aを被覆するものである。キャップ85は、インク吐出面6aに設けられた4列のノズル列に対向した4箇所に矩形状に突出した部位を備えており、その突出した部位がインク吐出面6aに設けられたノズルを被覆することにより、インクの蒸発を防止する。
【0034】
図2は、カラーインクジェットプリンタ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。カラーインクジェットプリンタ1を制御するための制御装置は、本体側制御基板100と、キャリッジ基板120とを備えており、本体側制御基板100には、1チップ構成のマイクロコンピュータ(CPU)91と、ROM92と、RAM94と、イメージメモリ95、ゲートアレイ(G/A)96等が搭載されている。
【0035】
演算装置であるCPU91は、ROM92に予め記憶された制御プログラムに従い、印刷処理、パージ処理、ワイプ処理等の各処理の制御を実行するものである。また、印字タイミング信号およびリセット信号を生成し、各信号を後述のゲートアレイ96へ転送する。このCPU91には、ユーザが印刷の指示や、パージの指示などを行い、且つ、プリンタの状態を表示するための操作パネル107、キャリッジ64を動作させるキャリッジモータ(CRモータ)101を駆動するためのモータ駆動回路102、用紙62を搬送する搬送モータ(LFモータ)103を動作させるためのモータ駆動回路104、用紙62の先端を検出するペーパセンサ105、キャリッジ64の原点位置を検出する原点センサ106などが接続されている。接続される各デバイスの動作はこのCPU91により制御される。ここで、LFモータ103は、ステッピングモータで構成されており、入力されるパルス信号のパルス数によってその回転数を制御可能に構成されている。
【0036】
ROM92には、CPU91により実行されるインクジェットヘッド6に対するパージ処理(図3参照)等の各処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。書換え可能な不揮発性のメモリ93には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクカートリッジ61に対応して、各インクカートリッジ61内に残留するインク残量を記憶するためのシアン残量カウンタ(C残量カウンタ)93aと、マゼンタ残量カウンタ(M残量カウンタ)93bと、イエロー残量カウンタ(Y残量カウンタ)93cと、ブラック残量カウンタ(Bk残量カウンタ)93dとを備えている。この各残量カウンタ93a〜93dに記憶されているインク残量に応じて、パージ処理における吸引ポンプ82の吸引力が変更される。
【0037】
ゲートアレイ96は、CPU91から転送される印字タイミング信号と、イメージメモリ95に記憶されている画像データとに基づいて、その画像データを記録媒体に印刷するための印刷データ(駆動信号)と、その印刷データと同期する転送クロックと、ラッチ信号と、基本印字波形信号を生成するためのパラメータ信号と、一定周期で出力される噴射タイミング信号とを出力し、それらの各信号を、ヘッドドライバが実装されたキャリッジ基板120側へ転送する。
【0038】
また、ゲートアレイ96は、コンピュータなどの外部機器からセントロ・インターフェース97を介して転送されてくる画像データを、イメージメモリ95に記憶させる。そして、ホストコンピュータなどからセントロ・インターフェース(I/F)97を介して転送されてくるセントロ・データに基づいてセントロ・データ受信割込信号を生成し、その信号をCPU91へ転送する。
【0039】
また、ゲートアレイ96は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクに対応して、各インクの消費量を計数するためのシアン計数部(C計数部)96aと、マゼンタ計数部(M計数部)96bと、イエロー計数部(Y計数部)96cと、ブラック計数部(Bk計数部)96dとを備えている。
【0040】
各計数部96a〜96dは、ゲートアレイ96からキャリッジ基板120に実装されたヘッドドライバに転送される印刷データに基づき、各色の消費ドット数を計数し、またパージ処理によって消費されるインク量を計数する。そして各インクの消費量と、予めROM92に記憶されている新品のインクカートリッジ61に充填されているインク量との差から、各インクカートリッジのインク残量がCPU91によって算出され、各残量カウンタ93a〜93dに記憶される。各残量カウンタ93a〜93dは、インクカートリッジ61を交換した場合CPU91から出力されるクリア信号を受信すると、各残量カウンタ93a〜93dのデータを初期化する。
【0041】
キャリッジ基板120は、実装されたヘッドドライバ(駆動回路)によってインクジェットヘッド6を駆動するための基板である。インクジェットヘッド6とヘッドドライバとは、厚さ50〜150μmのポリイミドフィルムに銅箔配線パターンを形成したフレキシブル配線板により接続されている。このヘッドドライバは、本体側制御基板100に実装されたゲートアレイ96を介して制御され、記録モードに合った波形の駆動パルスを各駆動素子に印加するものである。これにより、インクが所定量吐出される。
【0042】
尚、上記したCPU91と、ROM92、RAM93及びゲートアレイ96とは、バスライン99を介して接続されている。また、キャリッジ基板120とゲートアレイ96との間で通信される各信号は、両者を接続するハーネスケーブルを介して転送される。
【0043】
次に、上述のように構成されたカラーインクジェットプリンタ1におけるパージ処理を図3のフローチャートを参照して説明する。パージ処理は、操作パネル107から使用者が指示し又は所定周期で自動的に特定のノズルに対してパージ指令がなされたか否かを判断する(S1)。パージ指令がなさた場合には(S1:Yes)、キャリッジモータ102を駆動して、インクジェットヘッド6を搭載したキャリッジ64をパージ実行位置に移動すると共に、連結機構を動作してLFモータ103をカム83に連結し、そのLFモータ103の回転によりパージキャップ81をパージ実行位置に移動する(S1)。この状態で、パージキャップ81は、インクジェットヘッド6のインク吐出面6aに当接し、インク吐出面6aと密閉空間を形成する。
【0044】
次に、RAM93の各残量カウンタ93a〜93dの中から、パージ処理を実行する特定のノズルに対応するインクカートリッジのインクの残量を読み出し(S3)、その読み出したインク残量が所定の残量未満であるか否かを判断する(S4)。このS4の処理によって判断される所定の残量未満とは、後述する第1パルス信号により比較的高い吸引力によってパージ処理を行う場合に、インクカートリッジ61内から空気を吸引する可能性のあるインクカートリッジ61内のインク残量に規定されている。その結果、所定の残量以上である場合には(S4:No)、第1パルス信号をLFモータ103に出力する(S5)。
【0045】
ここで、第1パルス信号は、後述する第2パルス信号より多くのパルス数を出力するものである。よって、ステッピングモータで構成されたLFモータ103は、第2パルス信号をLFモータ103に出力する場合に比較して、多くの回転数によって駆動する。例えば、吸引ポンプ82がピストン式の構造の場合、ピストンの移動量が多いため、パージキャップ81とインク吐出面6aとによって形成された密閉空間が比較的高い吸引力で減圧され、インク吐出面6aに穿設されたノズルから比較的多量の高粘度化したインクやエア等が排出される。そして、高粘度化したインク等と共に排出されるインクは、インク貯留部84に貯留され、パージ処理を終了する。
【0046】
一方、RAM93の各残量カウンタ93a〜93dから読み出したインク残量が所定の残量未満である場合には(S4:Yes)、第2パルス信号をLFモータ103に出力する(S6)。この第2パルス信号により生ずるパージ処理するための吸引力は、インクカートリッジ61内のインク残量がほぼ所定残量のときでもインクカートリッジ61内から空気を吸引することのない吸引力に規定されている。上述したように、この第2パルス信号は、第1パルス信号より少ないパルス数を出力するものである。よって、第1パルス信号をLFモータ103に出力した場合に比較して、LFモータ103は少ない回転数で吸引ポンプ82を作動する。即ち、第2パルス信号に基づいて駆動するLFモータ103によって作動する吸引ポンプの吸引力は、第1パルス信号に基づいて駆動するLFモータ103によって作動する吸引ポンプの吸引力に比較して、弱く、且つ、吸引するインク量も少ないものとなる。その後は上記と同様に、吸引ポンプ82によってノズルから高粘度化したインク等を排出してパージ処理を終了する。尚、パージ指令がなされなかった場合には(S1:No)、パージ処理を終了する。
【0047】
以上、上記実施例において説明したように、本発明のカラーインクジェットプリンタ1によれば、パージ処理を実行する際、インクカートリッジ61内に残留するインク残量が所定残量未満であった場合には(S4:Yse)、第1パルス信号より少ないパルス数である第2パルス信号をLFモータ103に出力することによって、吸引ポンプ82は、所定残量以上ある場合の吸引ポンプ82の吸引力より弱い吸引力によって、ノズルから高粘度化したインク等を吸引する。
【0048】
よって、インクカートリッジ61内に残留するインク残量が所定残量未満である場合、即ち、インクカートリッジ61内に多量の空気が存在する場合であっても、その空気は吸引ポンプ82の吸引力によっては、インクジェットヘッド6側には吸引されず、パージ処理を実行することができ、以後の印刷処理においても安定してインクを吐出することができる。
【0049】
また、従来のように、以後のパージ処理の実行を中止するように構成したものと比較して、本実施例においては、インク残量が所定残量未満になっても、上記のパージ処理の後、印刷処理を継続し、インクカートリッジ内のインクを有効に使用することができる。
【0050】
好ましくは、インクカートリッジ61内に残留するインク残量が、前記の弱い吸引力を使用する所定残量からさらに減少し、前記の弱い吸引力を使用してもインクカートリッジ61内から空気を吸引するような僅少残量になったときには、パージ処理の指令があってもその実行を中止する、あるいは操作パネル107に「インクなし」を表示して印刷動作を中止するように構成することができる。
【0051】
尚、吸引力が弱いために1回のパージ処理では吐出が回復しない場合があるが、そのときには、使用者が操作パネル107から再度パージ処理を指示すれば良い。インク残量が所定量未満で、操作パネル107から所定時間以内に2回以上パージ処理が指示された場合には、CPU91から操作パネル107の表示部にインクカートリッジ61の交換をする旨の表示をすることが好ましい。新しいインクカートリッジ61が装着されれば、強い吸引力でパージ処理が実行され、吐出状態が回復するからである。
【0052】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0053】
例えば、本実施例ではピストン式吸引ポンプのピストンの移動量によって吸引力を変更したが、チューブ式ポンプの回転数によって吸引力を制御することもできる。
【0054】
また、本実施例では、図3のS4の処理において、インク残量が所定残量未満であるか否かによって、即ち、インク残量を2段階に分けて、LFモータ103の回転数を変更する場合について説明した。しかしながら、これに代えて、インク残量を多段階に分けて、その段階に応じてLFモータ103の回転数を変更するように構成しても良い。かかる場合には、インクの残量が多いとき、吸引ポンプ82の吸引力をより強力にしてパージ処理時間を短縮することができる。
【0055】
また、本実施例では、インクの残量を検出する手段として、ゲートアレイ96の各計数部96a〜96dにおいて計数したインクの消費量と、新品のインクカートリッジ61に充填されているインク量とから、各インクカートリッジ61のインク残量を逐次検出する場合について説明した。しかしながら、本発明の趣旨においては、ポンプの吸引力を変更する必要があるか否かの2段階でインク残量を検出すればよい。計数部や残量カウンタに代えて、特開平9−262990号公報等に示されるインクに接触する電極によってインクの電気抵抗を測定する方法、特開平10−24604号公報等に示されるように光学的手段等のセンサによってインクカートリッジ61に残留するインク残量を検出する構成を用いることもできる。
【0056】
また、本実施例では、各計数部96a〜96dは、印刷データに基づいて消費される各色のドット数を加算してゆき、その加算したデータから、インク残量を検出する場合について説明した。しかしながら、これに代えて、新品のインクカートリッジに充填されたインク量から定まる吐出可能なドット数から、消費される各色のドット数を、逐次、減算していくように構成しても良い。
【0057】
【発明の効果】
請求項1に記載のインクジェット記録装置によれば、パージ装置によってパージ処理を実行する場合に、パージ装置におけるインクの吸引力は、インク残量検出手段によって検出されたインクタンクに残留するインク残量に応じて変更される。よって、インク残量が少ない状態でも、パージ装置の吸引力を弱くすることで、インクタンク内の空気を、パージ装置の吸引力によってインクジェットヘッド側まで吸引するのを防止して、吐出状態を回復できるという効果がある。従って、以後の印刷処理において、安定してインクを吐出させると共に、インクタンク内のインクをさらに少なくなるまで有効に使用することができる。
【0058】
請求項2記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、パージ装置の吸引力は、判断手段によってインク残量が所定残量未満であると判断された場合に、インク残量が所定残量以上である場合の第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更される。よって、請求項1に記載のインクジェット記録装置の奏する効果と同様の効果を得ることができる。
【0059】
請求項3記載のインクジェット記録装置によれば、請求項2に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、インクタンク内のインク残量が第1吸引力によりから空気を吸引する可能性のある状態となったとき、空気を吸引することのない第2吸引力に変更され、以後の印刷処理において、インクジェットヘッド側へ空気を吸引するのを防止して、安定してインクを吐出させることができる。また、インクタンク内のインクをさらに少なくなるまで有効に使用することができる。
【0060】
請求項4記載のインクジェット記録装置によれば、請求項2に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、インク残量が所定残量未満である場合に、吸引ポンプを駆動する駆動源の回転数は、インク残量が所定残量以上である場合の第1回転数から、その第1回転数より少ない第2回転数に変更される。よって、パージ装置の吸引力を、第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に容易に変更することができるという効果がある。
【0061】
請求項5記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、インク残量は計数手段によって計数されたインク消費量に基づいて検出される。よって、高価なセンサ等を設置することなく、インクタンクに残留するインク残量を容易に検出することができる。
【0062】
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるカラーインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】カラーインクジェットプリンタの電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図3】パージ処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
6 インクジェットヘッド
6a インク吐出面
61 インクカートリッジ(インクタンク)
67 パージ装置
81 パージキャップ
82 吸引ポンプ
103 LFモータ(駆動源)
93a〜93d 残量カウンタ
96a〜96d 計数部(インク残量検出手段)
Claims (5)
- インクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクに貯留されているインクを吐出して、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッドと、そのインクジェットヘッドのインク吐出面に穿設されているノズルからインクを吸引して、インクの吐出状態を回復させるパージ装置とを備えたインクジェット記録装置において、
前記インクタンクに関する情報を表示する表示部を有し、且つ、使用者が前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせるように操作することが可能な操作パネルと、
その操作パネルから、前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせる操作が所定時間内に2回以上行われたか否かを判断する操作判断手段と、
前記インクタンク内のインク残量を検出するインク残量検出手段と、
前記操作パネルから前記操作があった場合であって前記インク残量検出手段によって検出されるインク残量が所定残量以上であると判断された場合には前記パージ装置の吸引力を第1吸引力で、前記操作パネルから前記操作があった場合であって前記インク残量検出手段によって検出されるインク残量が所定残量未満であると判断された場合には前記パージ装置の吸引力を前記第1吸引力より小さい第2吸引力に変更して、前記パージ装置に前記ノズルからのインクの吸引を行わせる吸引力変更手段と、
前記インク残量検出手段によってインク残量が所定残量未満で、且つ、前記操作判断手段により前記ノズルからのインクの吸引を行わせる操作が所定時間内に2回以上行われたと判断された場合には、前記表示部にインクタンクを交換する旨の情報を表示させる情報表示手段とを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インク残量検出手段によって検出されたインク残量が所定残量未満であるか否かを判断する判断手段を備え、
前記吸引力変更手段は、
前記判断手段によってインク残量が所定残量未満であると判断した場合には、前記パージ装置の吸引力を、インク残量が所定残量以上である場合の第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記判断手段が判断する前記所定残量未満とは、前記第1吸引力を使用したとき前記インクタンク内から空気を吸引する可能性のある前記インクタンク内のインク残量であり、
前記第2吸引力は、前記インクタンク内のインク残量がほぼ前記所定残量のときでも前記インクタンク内から空気を吸引することのない吸引力であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記パージ装置は、前記ノズルが穿設されたインクジェットヘッドのインク吐出面に当接して、そのインク吐出面と密閉空間を形成するパージキャップと、そのパージキャップとインク吐出面とによって形成された密閉空間を減圧して、インク吐出面に形成されたノズルからインクを吸引する吸引ポンプと、その吸引ポンプを駆動するための駆動源とを備え、前記吸引力変更手段は、前記インク残量が所定残量未満である場合には、前記吸引ポンプを駆動するための駆動源の回転数を、インク残量が所定残量以上である場合の第1回転数から、その第1回転数より少ない第2回転数に変更することによって、前記パージ装置の吸引力を、前記第1吸引力から、その第1吸引力より小さい第2吸引力に変更することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク残量検出手段は、消費したインクのインク消費量を計数する計数手段を備え、その計数手段によって計数されたインク消費量に基づいて、前記インクタンクに残留するインク残量を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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