JP4328840B2 - 表面読み出し型光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、書き換えが可能な表面読み出し型光記録媒体、特に、レーザービームと磁界によって情報の記録、再生および消去を行なう表面読み出し型光磁気記録媒体、あるいはレーザービームのみによって情報の記録、再生および消去を行なう表面読み出し型相変化型記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体は、大容量・高密度記録が可能な可搬型記録媒体であり、近年のマルチメディア化に伴なうコンピュータの大容量ファイルや動画を記録する書き換え型メディアとして需要が急増しつつある。
光記録媒体のなかでも、光磁気記録媒体は、一般にプラスチックなどの透明な円盤状の基板に記録層を含む多層膜を形成し、磁界を加えながらレーザーを照射して記録、消去を行い、レーザーの反射光で再生する。また、上記光磁気記録媒体への記録方式は、従来、固定磁界を加えて消去した後、反対方向の固定磁界を加えて記録するいわゆる光変調記録が中心であった。しかし、近年、レーザーを照射しながら、磁界を記録パターンに従って変調させる磁界変調方式が、1回転で記録(ダイレクトオーバーライト)可能でしかも高記録密度になっても正確に記録できる方式として注目を浴びている。
また、結晶相とアモルファス相との間の可逆的相変化を利用した相変化記録方式も、ダイレクトオーバーライトが可能であり、最近使用されるようになっている。
【0003】
記録再生のためのレーザーは、従来、基板を通して記録膜に照射されているが、最近、光学ヘッドを記録膜に近付けて記録再生する、いわゆる、近接場光記録が高密度化の手段として注目されている〔Appl.Phys.Lett.68,p.141(1996)〕。この記録方法では、Solid Immersion Lens(以下「SIL」と略す)ヘッドを使用しレーザービームスポットサイズを縮小することにより、光源のレーザー波長(λ)によって決まる従来の記録限界(〜λ/2NA:NAは対物レンズの開口数)より短いマークでの再生が可能であり、超高記録密度の記録再生が実現できる。
この近接場光記録では、光学ヘッドを記録媒体に近付け、通常、間隔を100nm程度以下にする必要があるために、従来の光記録媒体のように基板を通して記録膜にレーザービームを照射するのではなく、基板を通さずに直接記録膜にレーザービームを照射する方法を用いる。
【0004】
すなわち、記録膜の構成が従来の光記録媒体では基板/第1保護層/記録層/第2保護層/反射層としているのが一般的であるのに対して、近接場光記録では基板/反射層/第1保護層/記録層/第2保護層という逆構成の膜構造として膜表面側からレーザービームを照射し、記録再生を行なう(表面読み出し型記録)。また、最近では、レンズNAを1以下として薄膜上の保護コート層を通してレーザーを照射し、記録再生を行なう表面記録方式も提案されている〔J.Magn.Soc.Jpn.68,S1,p.269(1999)〕。
近接場光記録では、記録膜とSILヘッドを近付けるために浮上式のスライダーヘッドを利用することが多いが、逆構成の膜構造であることからヘッドと記録媒体の距離が非常に近くなっており(〜100nm)、ハードディスクドライブと同様なヘッドと記録媒体のインターフェイスの問題(ヘッドクラッシュなど)がある。そのため、ディスク上にごみなどの異物が存在せず、ヘッド浮上特性に優れたものが求められている。また、記録膜の表面性によるCNR(再生信号とノイズの比)などの記録再生特性低下の問題や、直接大気にさらされるため耐久性の確保が課題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低ノイズで、記録再生特性、ヘッド浮上特性に優れた、従来のものとは逆構成の膜構造を有する表面読み出し型光記録用の光記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、基板上に少なくとも反射層、記録層および保護層をこの順に積層してなる表面読み出し型光記録媒体において、反射層が特定の金属膜からなり、この金属膜のX線回折強度比Rを特定値以上とすることにより記録再生特性、ヘッド浮上性が向上することを見出し、さらに、反射層の材料を特定の合金としたり、また、特定の元素を含む金属膜下地層を基板と反射層の間に形成することによりさらに上記効果が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基板上に少なくとも反射層、記録層および保護層をこの順に積層してなる表面読み出し型光記録媒体において、反射層が貴金属および/またはCuを含む金属膜からなり、この金属膜の(200)面と(111)面とのX線回折強度比((200)/(111)〕をRとしたとき、4.0×10-3≦Rであることを特徴とする表面読み出し型光記録媒体に関する。
上記反射層は、Auに元素の周期表の第4族、第5族および第6族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜10.0原子%の範囲で含ませた合金を含むことが好ましい。
また、上記基板と反射層の間に、元素の周期表の第4族、第5族および第6族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属膜下地層が形成されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
図1に、本発明の表面読み出し型光記録媒体の一実施態様の部分断面概略図を示す。図1の光記録媒体は、基板11上に、反射層12、記録層13、保護層14が積層されている。
基板11の材料としては、機械特性などの媒体基板としての特性を満たすものであれば特に限定されず、ガラス、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、エンジニアリングプラスチックなどを用いることができる。
【0008】
反射層12は、貴金属および/またはCuを含む金属膜から構成される。本発明でいう、貴金属および/またはCuを含む金属膜とは、貴金属からなる金属膜、Cuからなる金属膜、貴金属およびCuの合金からなる金属膜、貴金属を主成分とする金属膜、Cuを主成分とする金属膜、貴金属およびCuの合金を主成分とする金属膜を意味する。なお、ここでいう貴金属とは、Au,Ag,Ptその他白金属元素であり、好ましくはAu,Ag,Pd,Ptである。また、主成分とは、当該金属あるいは合金を90原子%以上含むものをいう。
上記金属膜は、貴金属、Cu以外の元素(添加元素)を含むことが好ましい。上記添加元素を含むことにより膜の硬度が大きくなるため、ヘッド浮上特性が向上するものと考えられる。添加元素としては、元素の周期表の第4族、第5族、第6族の元素などが挙げられ、なかでもTa,Ti,W,Cr,Mo,Zrが好ましい。上記添加元素は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
添加元素の添加量は、好ましくは0.1原子%〜10.0原子%であり、10.0原子%を超えると、記録感度が高くなりすぎて実用的ではなくなる。
【0009】
本発明の反射層は、(200)面と(111)面とのX線回折強度比〔(200)/(111)〕をRとしたとき、4.0×10-3≦Rである。X線回折強度比Rが4.0×10-3以上であることは、一般的に反射層の結晶粒径が小さく粒径が平均化していることを意味する。反射層の結晶粒径が小さいことにより、光記録媒体のノイズが低下してCNRなどの記録再生特性が向上し、また、粒径が平均化することによりヘッド浮上特性が向上すると考えられる。Rが4.0×10-3未満の場合は結晶粒径が大きくなる傾向があり、光記録媒体のノイズが増大しCNRが低下する傾向がある。Rは大きい方が好ましく特に上限はないが、大きすぎると結晶配向がランダムになりヘッド浮上特性が悪くなる傾向にある。上記反射層のRは、成膜条件を調整することにより膜の配向性を変化させ、本発明の範囲内とすることができる。
上記Rは、好ましくは6.0×10-3〜1.0である。
反射層の膜厚は、20〜100nmが好ましい。膜厚が20nmより薄いと反射層としての効果が小さく、一方、100nmよりも厚いと表面粗さが大きくなりノイズが増大しCNRが低下してしまう。
【0010】
本発明の表面読み出し型光記録媒体では、元素の周期表の第4族、第5族および第6族の元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む金属膜下地層を、基板と反射層の間に形成すると、CNR向上の他、ヘッド浮上性、耐久性向上の点からも特に好ましい。金属膜下地層に含まれる元素として、好ましくは、Ti,Ta,Cr,Mo,Vである。
金属膜下地層の膜厚は、2〜20nmが好ましい。膜厚が2nmより薄いと下地層としての効果が得られず、一方、20nmよりも厚いと表面粗さが大きくなり、ノイズが増大してCNR低下の原因となる。
【0011】
記録層13の材料としては、垂直磁化で保磁力が大きい材料であればどのようなものでも良いが、TbFeCoまたはTbFeCoを主体とした材料は特に保磁力が大きいので好ましい。記録層の保磁力は、記録された情報を安定に保持するため大きいほど好ましいが、近接場光磁気記録用の光磁気記録媒体としては5kOe以上であることが好ましい。また、記録層として結晶相とアモルファス相との間の可逆的相変化を利用した相変化記録媒体も使用することができる。この場合は、記録層で発生する熱が大きいため反射層12と記録層13の間に保護層を形成することが好ましい。記録層としては、磁気超解像などの高記録密度化技術の点で、各種記録媒体のなかでも光磁気記録媒体がより好ましい。
【0012】
保護層14は、SiN、AlN、SiAlON、Ta2 O5 、ZnSとSiO2 の混合材料などの透明な誘電体で構成される。スライダーヘッドの浮上特性を良好なものとするために、保護層14は、透明な誘電体層とカーボンに水素や窒素を添加させたダイヤモンドライクカーボン(DLC)固体潤滑層との積層であっても良い。さらにこの上に、パーフルオロポリエーテルなどの液体の極薄い潤滑層を、ディップ引き上げ法などの方法で形成することによりスライダーヘッドの浮上特性がさらに良好となる。
本発明の表面読み出し型光記録媒体は、上述した構造以外に反射層12上に誘電体を形成してその上に記録層を形成したり、あるいは反射層12上に誘電体層、第2反射層を積層してその上に記録層を形成して使用することもできる。
以上の下地層、反射層、記録層、保護層、固体潤滑層の形成には、真空蒸着法やスパッタリング法などの真空薄膜形成技術を使用することができる。
【0013】
また、本発明の表面読み出し型光記録媒体は、保護層14の形成後にアクリル系紫外線硬化樹脂などからなる保護コート層を形成することによって、NAが1以下の光学系に対する表面読み出し型光記録媒体としても利用することが出来る。保護コート層の形成には、真空薄膜形成技術やディップ引き上げ法、スピンコート法などが利用できる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図2に示すような構造の表面読み出し型光磁気記録用の媒体を製造した。トラックピッチ0.45μmの案内溝の付いたポリカーボネート製の基板21上に、反射層22として膜厚50nmのAu膜を、スパッタリング法により形成した。この上にTb0.20(Fe0.76Co0.20Ta0 .04 )0.80からなる記録層23を20nmの厚みにDCスパッタリング法により形成した。
さらにその上に、SiNからなる保護層24を、ArおよびN2 の混合雰囲気中でSiターゲットを使用した反応性DCスパッタリング法で230nm厚みに形成し、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる固体潤滑層25を、ArとH2 の混合雰囲気中でCターゲットを使用した反応性RFスパッタリング法で15nm厚みに形成した。固体潤滑層を形成した後、パーフルオロポリエーテル系の潤滑層26を、ディップ引き上げ法で1nm厚み塗布して光磁気記録媒体を製造した。
【0015】
実施例2〜4
Au膜の成膜の際、スパッタリング条件を変化させることにより膜の配向性を変化させRを調整した以外は、実施例1と同様の方法で、表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
実施例5
反射層22の材料を、Au−Ta合金〔98/2(原子%)〕(Au0.98Ta0.02)に変える以外は、実施例1と同様の方法で、表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
実施例6
反射層22の材料を、Au−Ti合金〔98/2(原子%)〕(Au0.98Ti0.02)に変える以外は、実施例1と同様の方法で、表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
実施例7
反射層22の材料を、Au−W合金〔98/2(原子%)〕(Au0.98W0.02)に変える以外は、実施例1と同様の方法で、表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
【0016】
実施例8
金属膜下地層として、Tiを10nmの厚さで基板21と反射層22の間に形成する以外は、実施例1と同様の方法で表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
実施例9
金属膜下地層として、Taを10nmの厚さで基板21と反射層22の間に形成する以外は、実施例1と同様の方法で表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
実施例10
金属膜下地層として、Crを10nmの厚さで基板21と反射層22の間に形成する以外は、実施例1と同様の方法で表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
【0017】
実施例11
トラックピッチ0.55μmの基板を使用し、DLC層の形成後アクリル系紫外線硬化樹脂からなる保護コート層をスピンコート法で10μmの厚みに形成し、この後で、パーフルオロポリエーテル系の潤滑層を引き上げ法で1nm塗布する以外は、実施例1と同様の方法で表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
比較例1
Au膜の成膜の際、スパッタリング条件を変化させることにより膜の配向性を変化させ、Rを調整した以外は実施例1と同様の方法で、表面読み出し型光磁気記録媒体を製造した。
【0018】
上記実施例1〜11および比較例1の表面読み出し型光磁気記録媒体に対して、X線回折測定(膜表面側入射)を行ない、X線回折強度比(R)を求めた。
さらに、以下に示すような記録再生特性の測定を行ない、CL値、NL値、CNR値を求めた。
スピンドル上に光磁気記録媒体をセットして線速度10m/sで媒体を回転させる。薄膜面上にレーザー波長680nm、有効開口数1.2のスライダーSILヘッドを100nmの高さに浮上させ、レーザーをパルス的に照射して記録層をキュリー温度Tc以上に暖め、SILヘッド上のコイル磁界を18.5MHzで変調させながら記録した(マーク長:0.27μm)。ここで、記録する際のコイル磁界を150Oeとした。記録パワーを変化させCNRを測定し、CNRが飽和したところの値をそのサンプルのCNR値とした。再生パワーは0.8mWである。CL値およびNL値は、CNRが飽和したときの値である。
【0019】
また、上記表面読み出し型光磁気記録媒体に対して以下に示すようなグライドテストを行なった。
スピンドル上に光磁気記録媒体をセットして回転させた。はじめにワッフルバーニッシュヘッド(グライドハイト社製、フライングハイト:25nm)を用いて半径20〜60mmの間を1回シークした。次に、ピエゾ素子のついたグライドヘッド(グライドハイト社製、フライングハイト:50nm)でディスク上をシークし、ピエゾ素子に誘起される電圧値をモニターした。この電圧値が500mV以上をヒットとしてカウントした。ヒットカウント数が0〜2を非常に良好(◎)、3〜5を良好(○)、6〜9をやや良好(△)、10以上を不良(×)として表した。
表1に、X線回折測定結果、記録再生特性測定結果、およびグライドテスト結果を示す。
【0020】
【表1】
【0021】
実施例1〜10において、X線回折強度比Rを4.0×10-3以上とすることにより、ノイズが低減し、CNRが向上している。また、優れたグライドテスト結果が得られ、ヘッド浮上特性も向上している。
また、実施例11の表面読み出し型光磁気記録媒体に対して、レーザー波長680nm、有効開口数0.8の光学系を有するスライダーヘッドを使用して記録特性を測定したところ、マーク長0.4μmにおいて45dBの良好なCNR値が得られ、オーバーコートを施した表面読み出し型光磁気記録媒体としても使用可能であることが確かめられた。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、CNRなどの記録再生特性、ヘッド浮上性が向上した優れた表面読み出し型光記録媒体を得ることが可能である。本発明の光記録媒体は、表面読み出し型であるため、基板の貼り合わせ工程を必要とせずにディスク両面に記録することができる。そのため、本発明により、ディスク厚さが薄く、工業的に有利な高密度光記録媒体を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表面読み出し型光記録媒体の一例の構造を示す部分断面概略図である。
【図2】 本発明の実施例1の表面読み出し型光記録媒体の構造を示す部分断面概略図である。
【符号の説明】
11:基板
12:反射層
13:記録層
14:保護層
21:基板
22:反射層
23:記録層
24:保護層
25:固体潤滑層
26:潤滑層
Claims (3)
- 基板上に少なくとも反射層、記録層および保護層をこの順に積層してなる表面読み出し型光記録媒体において、反射層が貴金属および/またはCuを含む金属膜からなり、この金属膜の(200)面と(111)面とのX線回折強度比〔(200)/(111)〕をRとしたとき、4.0×10-3≦Rであることを特徴とする表面読み出し型光記録媒体。
- 上記反射層が、Auに元素の周期表の第4族、第5族および第6族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜10.0原子%の範囲で含ませた合金を含む請求項1記載の表面読み出し型光記録媒体。
- 上記基板と反射層の間に、元素の周期表の第4族、第5族および第6族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属膜下地層が形成されている請求項1または請求項2に記載の表面読み出し型光記録媒体。
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