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JP4331102B2 - 熱レンズ分光分析装置 - Google Patents
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Description

本発明は、微量試料の分析,検出を簡便に行う分析装置等に好適に用いられる熱レンズ分光分析装置に関する。
医療診断に必要な測定を患者近傍で行うベッドサイド診断用の分析(POC(point of care )分析)や、河川や廃棄物中の有害物質の分析を河川や廃棄物処理場等の現場で行うこと(POU( point of use )分析)や、食品の調理,収穫,輸入の各現場における汚染検査等のような、分析・計測が必要とされる現場又は現場の近傍で分析・計測を行うこと(以下、これらを「POC分析等」と総称する)の重要性が注目されている。そして、近年、このようなPOC分析等に適用される検出法や検出装置の開発が重要視されつつある。
このようなPOC分析等に適用される検出法や検出装置においては、低コストで分析が行われることと装置が小型であることが要求される。また、医療診断や環境分析においては、国が定める基準値との比較を精度良く行うために、一般的に高感度且つ高精度な分析が行われることが求められる。
このようなPOC分析等に適した検出法としては、溶液中の色素等の物質が光を吸収して、その緩和過程で発生する熱量を測定する光熱変換分光分析法がある。この光熱変換分光分析法は高感度な濃度測定法として知られており、特に、発生した熱により生じた温度分布による屈折率分布を利用する熱レンズ分光分析法は、透過光量を測定する吸光光度法と比較して、100倍以上高感度であることが知られている(非特許文献1を参照)。
特開2000−356611号公報 特開2001−66510号公報 特開2002−214175号公報 特開2002−365251号公報 特開2002−365252号公報 Manabu Tokeshi et al.,J. Lumin. Vol.83-84, 261-264, 1999
しかしながら、熱レンズ分光分析法を用いた装置(熱レンズ分光分析装置)は、光学台上に光学部品を並べたもの(特許文献1を参照)や顕微鏡を改造したもの(特許文献2を参照)など、従来は大型のものがほとんどであり、POC分析等には適していなかった。また、小型化した熱レンズ分光分析装置として、光学部分を小型にすることを目的に熱レンズが形成される領域でのレーザー光のスポットサイズやレンズ系をロッドレンズ(セルフォックレンズ(商品名))で構成したものが報告されているが(特許文献3〜5を参照)、信号処理部分も含めて考えると必ずしもシステム全体の小型化を実現したとは言えなかった。
熱レンズ分光分析装置には、光学部分とともに信号処理のためのロックインアンプが必要であるが、このロックインアンプは高価であるとともに重さ及び大きさが携帯に適しているとは言い難い。医療診断,環境分析等のPOC分析等やオンサイト測定においては、光学部分及び信号処理部分を含む分析装置全体が携帯可能な重さ及び大きさであることが強く求められるので、従来の熱レンズ分光分析装置はPOC分析等に適しているとは言えなかった。
そこで、本発明は上記のような従来の熱レンズ分光分析装置が有する問題点を解決し、高精度な分析を行うことが可能で、且つ、携帯可能な重さ及び大きさである熱レンズ分光分析装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の熱レンズ分光分析装置は、励起光の入射によって試料に生じた熱レンズにプローブ光を入射し、その際の前記プローブ光の前記熱レンズによる変化に基づいて前記試料の分析を行う熱レンズ分光分析装置であって、ロックインアンプは備えておらず、前記励起光の光源を構成する第一半導体レーザー発光手段と、前記プローブ光の光源を構成する第二半導体レーザー発光手段と、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光してその光強度に応じた電気信号を出力する受光手段と、前記ロックインアンプに代わって前記電気信号を処理し分析結果を出力する信号処理手段と、前記第一半導体レーザー発光手段及び前記信号処理手段に共通して使用される変調信号を発生させる変調信号発生手段と、を備え、前記信号処理手段は、前記第一半導体レーザー発光手段において前記励起光の変調に使用された前記変調信号に同期した前記変調信号を使用しつつ、前記ロックインアンプにおいて使用されるアルゴリズムと同等の信号処理を行うソフトウエアを実行するパーソナルコンピュータであり、前記変調信号発生手段は、前記第一半導体レーザー発光手段,前記第二半導体レーザー発光手段,前記受光手段と前記信号処理手段との間のインターフェイス機能を兼ね備え、該インターフェイス機能においては入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項の熱レンズ分光分析装置は、請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記第一半導体レーザー発光手段及び前記第二半導体レーザー発光手段が組み込まれた半導体レーザー発光ユニットを備えるとともに、該半導体レーザー発光ユニットは縦85mm,横80mm,高さ25mmの直方体内に収納可能な形状であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項の熱レンズ分光分析装置は、請求項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記半導体レーザー発光ユニットと、前記受光手段と、前記第一半導体レーザー発光手段及び前記第二半導体レーザー発光手段の出力を制御する電気部品類と、前記受光手段から出力された電気信号を加工する信号加工部品と、が組み込まれた光学ユニットを備えるとともに、該光学ユニットは縦200mm,横140mm,高さ85mmの直方体内に収納可能な形状であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項の熱レンズ分光分析装置は、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記受光手段は、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光する受光部と、受光した前記プローブ光を検出してその光強度に応じた電気信号を出力する検出部と、を備えており、前記受光部は、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光して前記検出部に導く光ファイバーを備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項の熱レンズ分光分析装置は、請求項に記載の熱レンズ分光分析装置において、前記プローブ光の光路を変化させる光路変化手段を前記光ファイバーの受光面の手前に配したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項の熱レンズ分光分析装置は、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置において、バッテリーにより作動可能となっていることを特徴とする。
本発明の熱レンズ分光分析装置は、高精度な分析を行うことが可能であるとともに、小型・軽量であるため携帯可能である。
本発明に係る熱レンズ分光分析装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の熱レンズ分光分析装置は、熱レンズ測定を行う光学部分と、熱レンズ信号の処理を行う信号処理部分とで構成されている。まず、光学部分について、図1を参照しながら説明する。
熱レンズ分光分析装置の光学部分は、励起光Eの光源である第一レーザー発光手段1と、プローブ光Pの光源である第二レーザー発光手段2と、励起光E及びプローブ光Pを集光する集光レンズ5と、試料溶液Sを収納する試料セル6と、プローブ光Pを受光する光ファイバー8(本発明の構成要件である受光部に相当する)と、プローブ光Pを検出してその光強度に応じた電気信号を出力する受光素子9(本発明の構成要件である検出部に相当する)と、を備えている。なお、2つの集光レンズを設けて、励起光Eとプローブ光Pとをそれぞれ別の集光レンズで集光する構成としてもよい。
このような熱レンズ分光分析装置の光学部分においては、励起光Eが第一レーザー発光手段1から出力されるとともに、プローブ光Pが第二レーザー発光手段2から出力され、プローブ光Pが反射板3で反射されてビームスプリッタ4に入射される。そして、ビームスプリッタ4において励起光Eとプローブ光Pとが同軸とされ、集光レンズ5に導かれる。
この集光レンズ5によって小さいビーム径に集光された励起光Eは、試料溶液Sに集光され、これにより図示しない熱レンズが形成される。そして、集光レンズ5によって小さいビーム径に集光されたプローブ光Pは、前記熱レンズに集光され、熱レンズ効果により発散又は集光される。
試料セル6を透過した励起光E及びプローブ光Pは、励起光カットフィルタ7により励起光Eのみが除去され、熱レンズを透過したプローブ光Pのみが光ファイバー8の受光面に受光される。そして、プローブ光Pは、光ファイバー8により受光素子9に導かれて、その発散度又は集光度が測定される。
試料セル6に試料を含む溶液(試料溶液S)が収納されている場合と、試料を含まない溶液が収納されている場合とにおいて、それぞれ測定を行い、受光素子9から出力される電気信号の差を熱レンズ信号とすればよい。通常、この熱レンズ信号は、熱レンズの度、すなわち試料溶液Sの濃度に比例する。
ここで、このような熱レンズ分光分析装置の光学部分の前記各部品について説明する。第一半導体レーザー発光手段1,第二半導体レーザー発光手段2,反射板3,ビームスプリッタ4,及び集光レンズ5は、一体的なユニットとされている(以降は、このユニットを「半導体レーザー発光ユニット」と称する)。この半導体レーザー発光ユニットの形状は特に限定されるものではないが、熱レンズ分光分析装置を携帯可能とするためには、縦85mm,横80mm,高さ25mmの直方体内に収納可能な形状であることが好ましい。
励起光Eの光源である第一レーザー発光手段1として用いられるレーザーの種類は特に限定されるものではなく、ガスレーザー,固体レーザー等を問題なく用いることができるが、熱レンズ分光分析装置を携帯可能とするため及び安価であることから半導体レーザーが望ましい。ただし、半導体レーザーを用いる場合には、各光学部品からの反射光が再び励起光Eの光源に入射すると出力変化によるノイズとなるので、半導体レーザーに高周波重畳をかけるか、又は偏光依存ビームスプリッタと4分の1波長板との組み合わせによる光アイソレータを組み込むことが望ましい。なお、レーザーではないが、熱レンズ測定において十分な感度を実現できるならば、発光ダイオードを励起光Eの光源として用いることもできる。
また、プローブ光Pの光源である第二レーザー発光手段2として用いられるレーザーの種類も特に限定されるものではなく、励起光Eと波長が異なるものであれば、第一レーザー発光手段1と同様のレーザーを用いることができる。また、発光ダイオードをプローブ光Pの光源として用いることもできる。
さらに、反射板3はプローブ光Pをビームスプリッタ4に導くためのものであり、プローブ光Pの波長において十分な反射率を有するものであれば問題なく用いることができる。ただし、100%に近い反射率であることが望ましい。
さらに、ビームスプリッタ4は、励起光Eとプローブ光Pとを同軸にするためのものであり、プローブ光Pに対して反射率が十分高く、励起光Eに対して透過率が十分高いものであればよい。ただし、プローブ光Pに対して100%に近い反射率を有し、励起光Eに対して100%に近い透過率を有することが好ましい。例えば、励起光とプローブ光との波長が異なることを利用するもの、励起光とプローブ光との偏光面が異なることを利用するものなどがあげられる。
さらに、集光レンズ5は、試料セル6に収納されている試料溶液Sに励起光Eを集光し、励起光Eによって試料溶液Sに生じた熱レンズにプローブ光Pを集光するためのものである。励起光Eが試料溶液Sに集光されることによって熱レンズが形成され、そこに同軸で透過したプローブ光Pは熱レンズ効果によって発散又は集光される。熱レンズ信号の感度は一般的に集光位置のビーム径が小さくなるほど向上することが知られているので、高感度を得るためには集光レンズ5の開口数は大きいことが望ましい。ただし、開口数を大きくして集光の程度を強くすると、プローブ光Pを受光する光ファイバー8の受光面と試料セル6との間の距離が短くなるため、試料セル6の形状に制限が生じたり、プローブ光Pを受光する光ファイバー8の受光面と試料セル6との間の距離のわずかな変化が熱レンズ測定に大きな影響を与えるおそれがある。
前記光学部分の部品のうち半導体レーザー発光ユニット以外のものとしては、試料セル6,励起光カットフィルター7,光ファイバー8,及び受光素子9があるが、半導体レーザー発光ユニットと、励起光カットフィルタ7,光ファイバー8,及び受光素子9とは、一つの基台に取り付けられて一体的なユニットとされている(以降は、このユニットを「光学ユニット」と称する)。この光学ユニットの形状は特に限定されるものではないが、熱レンズ分光分析装置を携帯可能とするためには、縦200mm,横140mm,高さ85mmの直方体内に収納可能な形状であることが好ましい。
試料セル6は、測定する試料溶液Sを収納するためのものであり、光学ユニットに対して着脱可能であることが好ましい。試料セル6の素材は、励起光E及びプローブ光Pに対して透明であれば特に限定されるものではないが、励起光E及びプローブ光Pの透過率がなるべく高いことが望ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリカーボネート(PC),ポリスチレン(PS),シクロオレフィン系樹脂等の樹脂材料やガラスなどがあげられる。また、試料セル6の形状も特に限定されるものではないが、励起光E及びプローブ光Pが入射し透過する位置に平坦面が存在することが好ましい。
また、励起光カットフィルター7としては、励起光Eを十分に除去できるものであれば問題なく使用することができるが、光学濃度が5以上であるものが好ましい。例えば、色ガラスフィルター,干渉フィルター等があげられる。なお、本実施形態においては、励起光カットフィルター7は光ファイバー8と一体とされているが、別体であっても差し支えない。
さらに、光ファイバー8の種類は特に限定されるものではなく、SI(Step Index)型,GI(Graded Index)型等を用いることができる。また、導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれでも差し支えない。ただし、曲げに対する許容度が要求される場合には、その許容度が高いことからマルチモードが好ましい。光ファイバー8の材質も特に限定されるものではなく、樹脂製,ガラス製など、いずれも問題なく用いることができる。低コスト化が可能であるという点を考えると、マルチモード導波型のプラスチック製光ファイバーが最も好ましい。
さらに、受光素子9の種類は、プローブ光Pに対して十分な感度を有していれば特に限定されるものではなく、例えばフォトダイオードがあげられる。また、受光素子9が光増幅機能を備えていれば、光ファイバー8による光量の減衰を補ってノイズを低減することができる。ただし、光増幅機能を備える受光素子は、サイズが大きくなる場合がある。本実施形態においては、受光素子9は光ファイバー8と一体とされているが、別体であっても差し支えない。また、試料セル6の近傍でスペース的な問題が発生しないのであれば、光ファイバー8を用いることなく受光素子9でプローブ光Pを直接受光してもよい。
なお、光ファイバー8の取り付け方向は、半導体レーザー発光ユニットから出射され試料セル6(熱レンズ)を透過したプローブ光Pを受光できれば、特に限定されるものではない。ただし、図1のように、プローブ光Pが試料セル6を透過する際の進行方向に沿って光ファイバー8を配置すると、光学部分(光学ユニット)のサイズが大きくなるため、熱レンズ分光分析装置を携帯可能な大きさとする上で支障となるおそれがある。光ファイバー8を湾曲した状態で配置する方法も採用可能であるが、光ファイバー8の曲げに対する許容度の影響から、光学部分の小型化に限界が生じる。
そこで、図2(同一又は相当する部分には図1と同一の符号を付してある)に示すように、プローブ光Pが試料セル6を透過する際の進行方向に対してほぼ直角をなすように光ファイバー8を配置した上、プリズム,ミラー等の光路変化手段10を光ファイバー8の受光面の手前に配することが好ましい。このようにして、試料セル6を透過したプローブ光Pの光路を光路変化手段10により屈曲させ、プローブ光Pを光ファイバー8の受光面に導くようにすれば、光学部分のサイズを小さくすることができる。もちろん、光ファイバー8を用いることなく受光素子9でプローブ光Pを直接受光してもよく、その場合は光ファイバー8の曲げに対する許容度を考慮する必要はない。
なお、図2においては、励起光Eがビームスプリッタ4によりプローブ光Pと同軸とされており(反射板は用いていない)、また、励起光E及びプローブ光Pの入射角度の関係が図1の場合とは逆になっているが、このような構成であっても熱レンズ分光分析装置としての動作には問題はない。この場合のビームスプリッタ4は、プローブ光Pに対して透過率が十分高く、励起光Eに対して反射率が十分高い方がよいことは言うまでもない。
次に、熱レンズ分光分析装置の信号処理部分について説明する。信号処理部分は、受光素子9から出力された電気信号を処理する信号処理手段(例えばパーソナルコンピュータ)と、第一半導体レーザー発光手段1及び信号処理手段に共通して使用される変調信号を発生させる変調信号発生手段と、を備える。この変調信号発生手段は、第一半導体レーザー発光手段1,第二半導体レーザー発光手段2,受光素子9と信号処理手段との間のインターフェイス機能を兼ね備え、該インターフェイス機能においては、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。この変調信号発生手段が、例えば信号処理手段が備えるスロット等に挿入可能な形態を有していれば、熱レンズ分光分析装置の小型化に対して有効である。
このような構成によれば、大型であるロックインアンプを用いることなく、熱レンズ分光分析装置を構成することができるので、熱レンズ分光分析装置の重さ及び大きさを携帯可能なものとすることができる。また、受光素子9から出力された電気信号により、熱レンズによるプローブ光Pの変化を直接読み取ることは、ノイズの問題から困難である。そこで、変調信号発生手段で発生させた変調信号の周波数に応じて励起光Eの強度を変動させて(ON・OFFを切り替えて)、熱レンズの大きさを前記周波数で変動させる。すると、プローブ光Pの強度も前記周波数で変動することとなる。そして、前記変調信号に同期するプローブ光Pの変化のみを、前記信号処理手段により取り出すことで、熱レンズ信号に対するノイズの影響を除去することができる。
この熱レンズ分光分析装置の駆動源は特に限定されるものではないが、熱レンズ分光分析装置を携帯可能とするためには、熱レンズ分光分析装置がバッテリーにより作動可能となっていることが好ましい。このバッテリーは、熱レンズ分光分析装置に内蔵されていてもよいし、内蔵されていなくてもよい。また、第一レーザー発光手段1,第二レーザー発光手段2と信号処理手段とを、共通のバッテリーで駆動してもよい。
このような熱レンズ分光分析装置は、光学部分とともに信号処理部分も小型であるので、小型・軽量であり携帯可能である。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。図3は、本実施例の熱レンズ分光分析装置の構成を説明する構成図であり、図4は、図3の熱レンズ分光分析装置のうち光学部分(光学ユニット)の構成を説明する図である。なお、本実施例の熱レンズ分光分析装置の構成は前述とほぼ同様であるので、同様の部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。また、本実施例において使用されるレンズ等の光学部品は、同様の特性を有するものであれば、市販品でも自作のものでも差し支えない。
本実施例の熱レンズ分光分析装置は、熱レンズ測定を行う光学部分(光学ユニット)と、熱レンズ信号の処理を行う信号処理部分と、で構成されている。バッテリー等の電源は、内蔵していてもよいし、内蔵していなくてもよい。
光学ユニットは、半導体レーザー発光ユニットと、プローブ光を受光して検出しその光強度に応じた電気信号を出力する受光手段と、第一半導体レーザー発光手段及び第二半導体レーザー発光手段の出力を制御する電気部品類(レーザードライバー)と、受光手段から出力された電気信号を増幅する等の加工を行う信号加工部品と、を備えている。
また、信号処理部分は、信号処理手段であるパーソナルコンピュータと、第一半導体レーザー発光手段,第二半導体レーザー発光手段,受光手段とパーソナルコンピュータとを連結するインターフェイス部と、で構成されている。このインターフェイス部は、受光手段から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して、パーソナルコンピュータに取り込ませる機能を備えるとともに、前述の変調信号発生手段としての機能も備えている。なお、半導体レーザー発光ユニットは、縦85mm,横80mm,高さ25mmの直方体状のケースに収められている。また、半導体レーザー発光ユニットと、受光手段と、第一半導体レーザー発光手段及び第二半導体レーザー発光手段の出力を制御する電気部品類と、受光手段から出力された電気信号を増幅する等の加工を行う信号加工部品とが組み込まれた光学ユニットは、縦200mm,横140mm,高さ70mmの直方体状のケースに収められている。なお、図3には示されていないが、電気部品類は、インターフェイス部を介してパーソナルコンピュータにより動作をコントロールできる形態とすることも可能である。
パーソナルコンピュータにおける信号処理は、従来のロックインアンプにおいて使用されているアルゴリズムをソフトウエア上に流用すればよい。励起光の変調のため及び信号処理の際に励起光の変調に対して同期を取るために使用されるクロックについては、パーソナルコンピュータに搭載されているクロックをそのまま流用してもよいが、信号処理や別ソフトウエアの稼働状況によってはクロック信号に揺らぎが発生し、それによってうまく同期が取れない場合がある。このような場合には、本発明のようにインターフェイス部に変調信号発生手段としての機能を保持させることにより、前記問題点を解決することができる。
励起光の光源21(第一半導体レーザー発光手段)には、波長658nm、定格出力60mWの半導体レーザー発光装置(ML101J17、三菱電機株式会社製)を用いた。また、プローブ光の光源22(第二半導体レーザー発光手段)には、波長782nm、定格出力80mWの半導体レーザー発光装置(DL−7140−201S、三洋電機株式会社製)を用いた。これら半導体レーザー発光装置は、自作のレーザードライバー(LDドライバー)により、出力制御及び電流制御ができるようになっている。実際の出力の調整は、半導体レーザー発光装置に設けられている可変抵抗の値を変更することにより行うことができる。
このLDドライバーは、インターフェイス部であるPCIカード(DAQCard6062E、ナショナルインスツルメンツ社製)を介してパーソナルコンピュータに接続されており、半導体レーザー発光装置の出力や電流,変調周波数をパーソナルコンピュータによって調整できる機能を備えている。また、励起光及びプローブ光ともに350MHzの高周波を重畳し、戻り光により発生するノイズの影響を小さくした。
励起光用のコリメータレンズ23には、有効径5mm、焦点距離20mmのレンズを用いた。そして、プローブ光用コリメータレンズ24には、有効径5mm、焦点距離25mmのレンズを用いた。
さらに、励起光とプローブ光とを同軸にするためのビームスプリッタ26には、p偏光に対する透過率がほぼ100%であり、s偏光に対する反射率がほぼ100%である偏光依存ビームスプリッタを用いた。なお、この場合には、励起光はs偏光になっており、プローブ光はp偏光となっているため、このビームスプリッタ26におけるパワーロスは、ほぼ0となっている。
さらに、励起光及びプローブ光を集光する集光レンズ27には、開口数0.1、焦点距離25mmのレンズを用いた。この集光レンズ27は、プローブ光用コリメータレンズ24と同一の光学特性を有している。なお、ビームスプリッタ26を通過した励起光及びプローブ光を集光レンズ27に導くため、前記両光を90°屈折させる自作の反射板プリズム28を使用した。
また、半導体レーザー発光装置は温度等の影響を受けて出力パワーが変動し、出力パワーの変動は熱レンズ信号の変動につながるため、熱レンズ検出系に半導体レーザ発光装置を用いる場合は何らかの安定化手段を取ることが望ましい。図4に示すように、本実施例においては出力パワーの安定化のために励起光,プローブ光ともにフロントモニタを採用している。励起光は反射率4%のビームスプリッタ31でSi PINフォトダイオード32(S2506−02、浜松ホトニクス株式会社製)に導かれ、出力がモニターされて変動を抑制するフィードバックが施される。プローブ光についても同様に、ビームスプリッタ33でSi PINフォトダイオード34に導かれ、出力がモニターされて変動を抑えるフィードバックが施される。
次に、前記受光手段に使用されている光学系について説明する。試料セルを透過した励起光は、光ファイバーの受光面の手前に設置された図示しない励起光カットフィルター(03FCG115、メレスグリオ社製)により除去される。そして、励起光カットフィルターを透過したプローブ光は、コア径500μmの光ファイバーにより受光素子に導かれ、電気信号に変換される。なお、受光素子には、プリアンプ付きSiフォトダイオード(S7998、浜松ホトニクス株式会社製)を用いた。ただし、受光素子の種類は、プローブ光を光強度に応じた電気信号に変換するものであれば、特に限定されない。
図5は、熱レンズ分光分析装置全体における信号の流れを示す図である。フォトダイオード(受光素子)からの出力信号は、フォトダイオードに直接バンプ接続実装されたプリアンプ(前述の信号加工部品に相当する)によりI/V変換されて出力され、且つその交流成分のみACアンプにより増幅され出力されるが、さらにノイズ除去を目的としてアンチエイリアシングフィルタ(fc=10kHz)を通過して出力され、SMBケーブルを介してパーソナルコンピュータとのインターフェイス部に送られる。フォトダイオードからの出力信号は、このインターフェイス部において12−Bitの精度でA/D変換された後、信号処理手段としてのパーソナルコンピュータに送られる。このパーソナルコンピュータは携帯を想定するのであればノート型が好ましいが、特に限定されるものではなくデスクトップ型でも構わない。
パーソナルコンピュータに取り込まれた熱レンズ信号は、ソフトウェア(LABVIEW6.0、ナショナルインスツルメンツ社製)によって、ロックインアンプに用いられるアルゴリズムと同等の信号処理がなされ、パーソナルコンピュータの表示画面に表示され、信号値及び信号値の経時変化が記録される。ここで、ロックインアンプと同様の信号処理のためには、励起光を変調する変調信号に同期した変調信号を利用する必要がある。
パーソナルコンピュータ内部にはクロック機能が備えられており、このクロック機能を励起光の変調及び信号処理のための同期信号に用いることは可能であるが、前述したようにロックインアンプと同様の機能は容易に実現されない。すなわち、パーソナルコンピュータから受け取るクロック信号は、パーソナルコンピュータが行う各種処理に影響を受けるため、ロックインアンプと同等の精密な信号処理に用いるには不適である。そこで、フォトダイオードからの出力をA/D変換しパーソナルコンピュータに取り込むために設けたインターフェース部に、クロック発信源としての機能も備えさせることにより、前述のような問題点が解決された。
分析に際しては、試料セルとして光路長2mmのガラスセル(株式会社水戸理科ガラス製)を用い、試料として濃度5μmol/Lのブリリアントグリーン水溶液を用いた。図6に分析結果の一例を示す。図6のグラフには、本実施例の結果(パーソナルコンピュータ上のソフトウェアで信号処理を行ったもの)と、市販のハードウェアであるロックインアンプ(5610B、NF回路ブロック社製) で信号処理を行った場合の結果とを、プロットしてある。図6から分かるように、いずれの場合もほぼ同様の結果が得られた。
本発明の熱レンズ分光分析装置の一実施形態を示す構成図である。 実施形態の熱レンズ分光分析装置の変形例を示す構成図である。 実施例の熱レンズ分光分析装置の構成を説明する構成図である。 図3の熱レンズ分光分析装置のうち光学部分(光学ユニット)の構成を説明する図である。 熱レンズ分光分析装置全体における信号の流れを示す図である。 実施例の熱レンズ分光分析装置による分析結果を示す図である。
符号の説明
1 第一レーザー発光手段
2 第二レーザー発光手段
6 試料セル
8 光ファイバー
9 受光素子
10 光路変化手段
E 励起光
P プローブ光
21 励起光の光源
22 プローブ光の光源

Claims (6)

  1. 励起光の入射によって試料に生じた熱レンズにプローブ光を入射し、その際の前記プローブ光の前記熱レンズによる変化に基づいて前記試料の分析を行う熱レンズ分光分析装置であって、
    ロックインアンプは備えておらず、
    前記励起光の光源を構成する第一半導体レーザー発光手段と、前記プローブ光の光源を構成する第二半導体レーザー発光手段と、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光してその光強度に応じた電気信号を出力する受光手段と、前記ロックインアンプに代わって前記電気信号を処理し分析結果を出力する信号処理手段と、前記第一半導体レーザー発光手段及び前記信号処理手段に共通して使用される変調信号を発生させる変調信号発生手段と、を備え
    前記信号処理手段は、前記第一半導体レーザー発光手段において前記励起光の変調に使用された前記変調信号に同期した前記変調信号を使用しつつ、前記ロックインアンプにおいて使用されるアルゴリズムと同等の信号処理を行うソフトウエアを実行するパーソナルコンピュータであり、
    前記変調信号発生手段は、前記第一半導体レーザー発光手段,前記第二半導体レーザー発光手段,前記受光手段と前記信号処理手段との間のインターフェイス機能を兼ね備え、該インターフェイス機能においては入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力することを特徴とする熱レンズ分光分析装置。
  2. 前記第一半導体レーザー発光手段及び前記第二半導体レーザー発光手段が組み込まれた半導体レーザー発光ユニットを備えるとともに、該半導体レーザー発光ユニットは縦85mm,横80mm,高さ25mmの直方体内に収納可能な形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱レンズ分光分析装置。
  3. 前記半導体レーザー発光ユニットと、前記受光手段と、前記第一半導体レーザー発光手段及び前記第二半導体レーザー発光手段の出力を制御する電気部品類と、前記受光手段から出力された電気信号を加工する信号加工部品と、が組み込まれた光学ユニットを備えるとともに、該光学ユニットは縦200mm,横140mm,高さ85mmの直方体内に収納可能な形状であることを特徴とする請求項2に記載の熱レンズ分光分析装置。
  4. 前記受光手段は、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光する受光部と、受光した前記プローブ光を検出してその光強度に応じた電気信号を出力する検出部と、を備えており、前記受光部は、前記熱レンズを透過した前記プローブ光を受光して前記検出部に導く光ファイバーを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置。
  5. 前記プローブ光の光路を変化させる光路変化手段を前記光ファイバーの受光面の手前に配したことを特徴とする請求項4に記載の熱レンズ分光分析装置。
  6. バッテリーにより作動可能となっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱レンズ分光分析装置。
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