JP4331285B2 - 地盤監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は地盤における土砂崩れ等の災害の発生を事前に予知可能な地盤監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大雨などによる地盤の緩みにより発生する土砂崩れなどの災害発生を事前に予知可能な地盤監視システムの開発が急務となっている。
従来、地盤の緩みなどを検出する手段としては、地上にワイヤーを張設しておき、該ワイヤーが地盤の変動で切断されたことをもって検知するようにしたものがある。しかし、この方式は広範囲に亘ってワイヤーを張設しなければならないため、多くの手間と時間がかかるばかりでなく、地盤の変位場所や変位方向を特定することが難しく、しかもその変位度合を予測できないという問題がある。
【0003】
そこで、最近では種々の測定計を用いた地盤検出器が開発され、その一例として重りをスプリングを介して水平にケースに支持するようにしたサーボ傾斜計やパイプ歪計を用いて地盤の変位や地すべり面の深さ及びすべり量を推定するようにしたものがある。
【0004】
上記サーボ傾斜計による地盤検出器は、地中に設けられたボーリング孔にパイプを埋設すると共に、このパイプ内にサーボ傾斜計を巻上げ可能に多段的に挿入し、これらサーボ傾斜計の巻上げを行いながらスプリングの変位により傾斜角を連続的に自動計測するようにしたもので、側方変位を測定することで地盤や連続地中壁の変位、つまり地すべりなどの計測が可能である。
【0005】
また、パイプ歪計による地盤検出器は、地中に設けられたボーリング孔に適宜の部位にひずみゲージを貼付けた多数の塩化ビニールパイプを中間パイプで継ぎ足しながら垂直に順次挿入し、その周囲に砂を充填して固定するようにしたもので、深度毎に各塩化ビニールパイプを検出器として順次切換えて曲げひずみ量を計測することで、その量からすべりの大きさと深さが推定可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらサーボ傾斜計やパイプ歪計を用いた地盤検出器においては、地盤の側方変位や曲げひずみ量の計測は可能であるが、埋設された個々の地盤検出器自身の位置が検出できないため、地盤全体が変位したような場合には検出することができない。
【0007】
そこで、本発明者等は地盤の変位により外力が加わるとその大きさ及び方向と検出部自身の傾きから衝撃的加速度を検出するジャイロ式の検出器を用いて、その検出データから地盤全体に変位がある場合でも的確に検出可能な地盤監視装置を発明して先に出願している。
【0008】
しかし、このジャイロ式の検出器を用いても、絶対角度や加速度の検出に誤差が生じると、その誤差が時間の経過と共に累積され、本来地盤が変位していないにもかかわらず、あたかも地盤が変位しているかのような検出信号を送出してしまい、地盤変位の検出精度に問題がある。
【0009】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、地盤の変位を検出精度に左右されずに的確に検出でき、地盤における土砂崩れ等の災害の発生を事前に予知することができる地盤監視装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により地盤監視装置を構成する。
請求項1に対応する発明は、地中に埋設可能であって、上部開口部を閉塞する蓋体を有する筒体と、前記筒体に収納され、地盤の変位により外力が加わるとその大きさ及び方向、加速度を検出するジャイロセンサと、前記筒体に収納され、直交する2軸の傾き角と傾き方向を検出する2軸の傾斜計と、前記筒体の外周面であって軸方向に適宜の間隔で設置された複数の水位検出計と、前記筒体に収納され、前記ジャイロセンサ、傾斜計並びに水位検出計からの検出信号を演算処理し、この演算処理した結果を記憶するメモリを有する演算部と、前記筒体に収納された送信部と、前記筒体に収納され、駆動電源となるバッテリと、前記蓋体に取り付けられた送信用アンテナと、前記筒体から離間した位置に設置され、基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値を記憶したデータ処理部、及び前記演算部にて演算処理し前記送信部並びに送信用アンテナを介して送信されたデータと前記データ処理部に記憶されている前記基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値とを比較する判別部とを備えた基地局とを具備し、前記演算部においては、前記ジャイロセンサのデータを一定時間毎に前記メモリに記憶し、前記傾斜計のデータを前記ジャイロセンサのデータと同期させて前記メモリに記憶し、前記基地局の判別部においては、前記送信部並びに前記送信用アンテナを介して送信された前記演算部のメモリに記憶されている前記ジャイロセンサのデータ、前記傾斜計のデータ、並びに前記水位検出計のデータと前記基地局のデータ処理部に記憶されている前記基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値とを比較し警報を発するか否かを判定する。
【0011】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の地盤監視装置において、前記筒体は、傾斜面に沿って複数配置されるものである。
【0012】
請求項3に対応する発明は、請求項1又は請求項2に対応する発明の地盤監視装置において、前記蓋体には前記バッテリを充電する太陽電池が配置されている。
【0013】
従って、上記請求項1乃至請求項3に対応する発明の地盤監視装置にあっては、地盤の変位を検出精度に左右されずに的確に検出でき、地盤における土砂崩れ等の災害の発生を事前に予知することができる。また、太陽電池を駆動源とすれば、低消費電力で済み、寿命が半永久的でメンテナンスフリー化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明による地盤監視装置の第1の実施の形態に用いられる検出器の構成例を示すものである。
【0022】
図1において、1は地中に埋設される筒体で、この筒体1は地中への埋設深さに応じて適宜長さの筒部1aを複数本連結したもので、この筒体1内には検出部としてソリッド型ジャイロセンサ2及び2軸の傾斜計3が筒部1aの内壁面に取付け固定された支持板4を介してそれぞれ設けられている。また、この筒部1a内には駆動電源としてバッテリ5、ジャイロセンサ2、傾斜計3より出力される検出信号を増幅して演算する演算部6及びこの演算部6で処理された検出信号を送信する送信部7がそれぞれ筒体1の内壁面に取付け固定された支持板4を介して設けられている。
【0023】
さらに、筒体1の外周面に複数個の水位検出計8が軸方向に適宜の間隔を存してそれぞれ取付け固定されている。
一方、9は筒体1の上部開口部を閉塞する蓋体で、この蓋体9の上面にはバッテリ5の充電用電源として太陽電池10が取付けられている。また、蓋体9には演算部6で処理された検出信号を送信部7より図示しない基地局に電波として送信する送信アンテナ11が取付けられている。
【0024】
上記ジャイロセンサ2は図2に示すように三角柱2aの各側面に3軸方向の外力を検出する圧電素子2bがそれぞれ取付けられ、各圧電素子2bに加速度αが加わると、その加速度に応じた大きさの電圧を発生するものであり、この電圧は演算部6に入力される。
【0025】
なお、上記ではジャイロセンサ2の構成として圧電素子を用いたが、半導体歪みセンサー又は光ファイバージャイロ、或いは流体式ジャイロ、機械式ジャイロ等を用いてもよい。
【0026】
また、上記2軸の傾斜計3は、直交2軸の傾斜角度を計測し、その計測信号は演算部6に入力される。
さらに、水位検出計8は埋設部位の土中に水分があると電気抵抗が変化することを検出して演算部6に入力される。
【0027】
ここで、上記ジャイロセンサ2、傾斜計3及び水位検出計8の各機能と演算部6の機能について図3及び図4により述べる。
図3に示すようにジャイロセンサ2の各圧電素子より加速度αに応じて発生する電圧が入力されると、これらの電圧信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その電圧信号から加速度を演算により求めた後、各軸方向の加速度を同時に検出し、これらの値から変位の方向、大きさ、衝撃力、検出器の姿勢を判別する。そして、地球の自転に伴う加速度をカットした後、修正した変位、加速度及び衝撃力を出力データFaとして演算部6へ出力する。
【0028】
また、2軸の傾斜計3により計測された計測信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その計測信号から直交する2軸の傾斜角度と傾き方向を求め、これら各軸の傾き角度と傾き方向を出力データFbとして演算部6へ出力する。
【0029】
さらに、水位検出計8で検出された検出信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その値から各センサの電気抵抗を測定した後、土中の水分にてどのセンサまで電気抵抗が変化(減少)したかを判別する。そして、電気抵抗値が変化したセンサまでの位置を土中の浸透水の水位として判別し、その水位を出力データFcとして演算部6へ出力する。
【0030】
一方、演算部6にこれらジャイロセンサ2、傾斜計3及び水位検出計8の各出力データFa,Fb,Fcが入力されると、この演算部6では図4に示すようにジャイロセンサ2からのデータを一定時間毎にメモリに記憶し、そのデータからジャイロの加速度値を積分して角度を求める。
【0031】
また、2軸の傾斜計で求められた角度値とジャイロセンサで求められた角度値とを比較し、誤差がある場合にはジャイロセンサの角度値を補正する。この補正されたジャイロセンサの角度値を再び微分して加速度値を計算し、この加速度値をメモリに順番に記憶する。さらに、ジャイロセンサの変位、衝撃力、位置等の他のデータを同様にメモリに記憶する。
【0032】
そして、2軸の傾斜計のデータをジャイロセンサと同期をとり、一定時間毎にメモリに記憶する。また、水位検出センサのデータをジャイロセンサと同期をとり、一定時間毎にメモリに記憶する。これらメモリに蓄えられたデータを一定時間毎に送信部7へ出力する。
【0033】
一方、図5は各検出器で検出されたジャイロセンサ2による変位、加速度及び衝撃力のデータ、傾斜計3による傾き角と方向のデータ、水位検出計8による土中の水位データを基地局に伝送し、特定範囲の地盤の状態を監視するためのシステム構成を示すブロック図である。
【0034】
図5において、各検出計側はジャイロセンサ2、2軸の傾斜計3、水位検出計8、演算部6及び送信部7から構成され、基地局側は受信部12、データ処理部13及び判定部14から構成されている。
【0035】
ここで、基地局側のデータ処理部13の機能について図6により説明する。
データ処理部13は、図6に示すようにS61にてジャイロセンサ2からの計測信号に対して各ポイント及び時間毎に変位、加速度、衝撃力についてデータ整理する。次いで、S62にて各ポイントに加わる力の方向を計算してS63にて単位時間当たりの基準加速度値と比較計算を実施し、S64にて基準加速値を超えたデータを整理してメモリに記憶する。そして、S65にて基準加速度値を超えたデータにおいて、力の加わった方向と加速度値より傾き角を計算する。
【0036】
また、2軸の傾斜計3からの計測信号に対してS66にて各ポイント及び時間毎に傾き角と方向についてデータ整理する。次いでS67にて単位時間当たりの基準傾斜角値と比較計算を実施し、S68にて基準傾斜角を超えたデータを整理してメモリに記憶する。
【0037】
さらに、水位検出計8からの計測信号に対してS69にて各ポイント及び時間毎に土中の水位データを整理する。次いで、S70にて基準水位との比較計算を実施し、S71にて基準水位を超えたデータを整理してメモリに記憶する。そして、S72にて地上の水位についても同様に整理してメモリに記憶する。
【0038】
また、判定部14はこのデータ処理部13により処理されたデータをもとに詳細を後述する各種の判定処理が実施され、地滑りの発生要因とその規模に応じてその旨を警報又は表示するものである。
【0039】
次に上記のような構成の地盤監視装置の作用を述べる。
まず、土砂崩れの可能性のある山間部などの地中に図7に示すように複数個の検出器、ここでは地滑り地帯の傾斜面に沿ってNo.1〜No.5の検出器を適宜の距離を存してそれぞれ配し、図8に示すような状態で埋設する。
【0040】
このような状態で埋設された各検出器において、地盤の各測定ポイントのジャイロセンサ2、傾斜計3及び水位検出計8でそれぞれ計測された信号に対して図3に示すような処理が行われて演算部6に取込まれると、この演算部6では図4に示すような演算により補正された加速度値、傾斜計3のデータ及び水位検出計8のデータが、それぞれ送信部7より送信アンテナ11を介して基地局に伝送される。
【0041】
基地局では、図6に示すように各検出器から伝送されたデータを受信部12により受信すると、データ処理部13ではこれらのデータを処理して図6に示すように基準加速値を超えたデータと、基準傾斜角を超えたデータ及び基準水位を超えたデータと地上水位のデータについてそれぞれ整理し、これらのデータは判定部14に取込まれる。
【0042】
ここで、判別部14での各種の判定処理について、図9乃至図11により詳細に説明する。
図9に示すように、S91にて基準加速値を超えたジャイロセンサ2からのデータにおいて、力の加わった方向、傾斜角と、傾斜計3より求めた方向、傾斜角とを比較し、ジャイロセンサ2からのデータと傾斜計3からのデータがほぼ一致しているか否かを判定する。そして、S92にて両データが一致していると判定されると、S93にて水位検出計8の土中のデータが基準値を超えているか否かを判定する。
【0043】
ここで、水位検出計8の土中のデータが基準値を超えていないと判定されると、S94にて地上部での異常発生(落石等)と判定し、S95にてどの位置の検出器が衝撃基準値を超えているかを確認する。
【0044】
そして、S96にてすべての検出器が基準値を超えていることが確認されると、S97にて大規模の崩落、落石が発生と判定して非常警報を発令する。また、S98にて上流又は下流域の少数の検出器のみ基準値を超えていることが確認されるとS99にて小規模の崩落、落石が発生と判定して緊急警報を指令する。
【0045】
上記S93にて水位検出計8の土中のデータが基準値を超えていると判定されると、図10に示すような判定処理に移る。図10に示すようにS100にて地上の水位データが基準値を超えているか否かを判定する。
【0046】
ここで、地上の水位データが基準値を超えていないと判定されると、S101にて地下水による地滑り発生と判定し、この地滑りがS102にてすべての検出器が基準値を超えていないことが確認されると、S103にて大規模地滑り発生と判定して非常警報を発令する。また、地滑りがS104にて上流又は下流域の少数のみ基準値を超えていることが確認されると、S105にて上流又は下流域にて小規模地滑り発生と判定し、緊急警報を発令すると共に、地滑り範囲を表示する。
【0047】
上記S100にて地上の水位データが基準値を超えていると判定されると、S106にて降雨による地滑り発生と判定し、S107にてどの位置の検出器が基準値を超えているかを確認する。そして、S108にてすべての検出器が基準値を超えていることが確認されると、S109にて大規模地滑り発生と判定し、非常警報を発令する。また、S110にて上流又は下流域の少数の検出器のみ基準値を超えていることが確認されると、S111にて上流又は下流域にて小規模地滑り発生と判定し、緊急警報を発令すると共に、地滑り範囲を表示する。
【0048】
一方、図9のS92において、ジャイロセンサ2のデータと傾斜計3のデータがほぼ一致していないと判定されると、図11に示すような判定処理に移行する。
【0049】
図11において、S113にてジャイロセンサ2からのデータが基準値を超え、傾斜計3のデータが基準値以下になっているか否かを判定し、基準値以下になっていなければS114にて水位検出計8のデータが基準値を超えているか否を判定し、超えていなければ引続き計測を実行し、超えていれば要監視データとしてメモリに登録、保存する。
【0050】
また、上記S113にてジャイロセンサ2からのデータが基準値を超え、傾斜計3のデータが基準値以下になっていると判定されると、S115にてジャイロセンサ2の加速度値が基準値を超えているか否かを判定し、基準値を超えていなければS116にて水位検出計8の土中のデータが基準値を超えているか否かを判定し、超えていなければS117にて地滑りに発展する可能性が少ないと判定してメモリに要監視データを登録、保存する。またS116にて水位検出計8の土中のデータが基準値を超えていると判定されると、S118にて地滑りに発展する可能性があるとして注意警報を発令する。
【0051】
上記S115において、ジャイロセンサ2の加速度値が基準値を超えていると判定されると、S119にてジャイロセンサ2の衝撃値が基準値を超えているか否かを判定し、超えていなければS120にて傾斜計3の傾き方向とジャイロセンサ2の力の方向とが一致しているか否かを判定し、一致していなければセンサ異常と判定する。
【0052】
また、S120にて傾斜計3の傾き方向とジャイロセンサ2の力の方向とが一致していると判定されると、S121にてどの位置の検出器が加速度基準値を超えているかを確認する。
【0053】
そして、S122にてすべての検出器が基準値を超えていることを確認すると、S123にて深層部又は広域にて地盤全体が移動していることを確認し、S124にて深層部又は広域の地滑りと判定して緊急警報を発令する。
【0054】
また、S125にて上流又は下流域の小数の検出器のみ基準値を超えていることを確認すると、S126にて上流又は下流域にて小規模な滑り発生と判定し、警戒警報を発令する。
【0055】
このように本実施の形態では、変位、加速度及び衝撃力を検出するジャイロセンサ2、直交する2軸の傾き角と傾き方向を検出する2軸の傾斜計3、土中及び地上の水位を検出する水位検出計8と、これらジャイロセンサ2の角度値を傾斜計3の角度値に基づいて補正された加速度値、傾斜計3のデータ及び水位データを演算処理する演算部6と、太陽電池10を駆動電源とするバッテリ5とを備えた検出器を監視したい箇所の地中にボーリングされた孔に埋設し、この検出器によりそれぞれ検出された各データを基地局に伝送し、基地局ではその受信データをデータ処理部13によりリアルタイムで処理して各測定ポイント毎の基準加速度値を超えたデータのうち、力の加わった方向と加速度値より傾き角度を求め、基準傾斜角を超えたデータと、基準水位を超えたデータ及び地上の水位データを求め、このデータ処理部13により処理された各データをもとに判定部14で各種の判定処理が実施され、地滑りの発生要因とその規模に応じてその旨を警報又は表示を行なって地盤の状態を監視するようにしたものである。
【0056】
従って、山間部などの広範囲に亘る多数の箇所に孔を掘って検出器を埋めるだけで、地盤の変位を検出精度に左右されずに的確に検出でき、地盤における土砂崩れ等の災害の発生を事前に予知することができる。
【0057】
次に本発明による地盤監視装置の第2の実施の形態に用いられる検出器の構成例について説明する。
図12は水位検出計のみを備えた検出器を地中に埋設した状態を示すものである。図12に示すように筒体1の外周面に複数個の水位検出計8が軸方向に適宜の間隔を存してそれぞれ取付け固定され、また筒体1内には図示していないが各水位検出計8からの計測信号を取込んで演算を実行する演算部、送信部及び太陽電池を電源とするバッテリが設けられている。
【0058】
ここで、演算部の機能について図13により述べるに、各水位検出計8で検出された検出信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その値から各センサの電気抵抗を測定した後、土中の水分にてどのセンサまで電気抵抗が変化(減少)したかを判別する。そして、電気抵抗値が変化したセンサまでの位置を土中の浸透水の水位として判別し、その水位を出力データとして送信部へ出力する。
【0059】
図12(a)は傾斜面に埋設された検出器において、雨水が地中に浸透していない状態を示し、同図(b)は降雨により雨水が粘土層の上層部まで浸透している状態を示し、同図(c)は雨水が粘土層の近傍まで浸透している状態を示している。
【0060】
ここで、図12(a)の状態にあっては、すべての水位検出計8の電気抵抗が大きくなっているが、同図(b)においては地上より粘土層の上層部までの間に設けられている水位検出計8の電気抵抗が小さく(黒丸にて示す)、さらに同図(c)においては地上より粘土層までの間に設けられている水位検出計8の電気抵抗が小さく(黒丸にて示す)なっている。これらの信号は演算部に入力されることにより前述したような演算が実行され、そのデータが送信部より基地局側に送信される。
【0061】
一方、基地極側のデータ処理部では図6の水位検出計に対応するデータ処理S69〜S71が実行され、さらに判定部では図14に示すような判定処理が実行される。
【0062】
即ち、図14において、S141にて水位計の土中のデータは基準値を越えているか否かを判定し、土中のデータが基準値を越えていないと判定されると、継続監視を行う。また、土中のデータが基準値を越えていると判定されると、S142にて降雨量が規定値より多いか否かを判定する。
【0063】
そして、S142にて降雨量が規定値より多くないと判定されると、S143にてどの検出器が基準値を越えているかを確認し、全ての検出器が規定値を越えていれば、S144にて地下水の水位が異常と判定して警戒警報を発令する。また、上流又は下流の検出器のみ基準値を越えていれば、S145にて部分的な出水と判定して注意報を発令する。
【0064】
一方、上記S142にて降雨量が規定値より多いと判定されると、S146にてどの検出器が基準値を越えているかを確認する。
そして、S146にて全ての検出器が規定値を越えていることが確認されると、S147にて降雨により地中の水位が広範囲で危険値に達していると判定し、S148にて大規模の地すべり発生の可能性があるとして緊急警報を発令する。また、S146にて上流又は下流の検出器のみ基準値を越えていることが確認されると、S149にて降雨により地中の水位が狭い範囲で危険値に達していると判定し、S150にて小規模の地すべり発生の可能性があるとして警戒警報を発令する。
【0065】
従って、このように水位検出計8のみをセンサとして設けた複数個の検出器を観測範囲となる地中に適宜の距離を存してそれぞれ埋設し、土中の水位を計測して地中に浸透した雨水の浸透度を判別し、これを基地局側でデータ処理及び判定処理することにより崩落などの発生の有無及びその規模を予測することが可能となる。
【0066】
上記のような構成の検出器において、地表より露出する筒体部にも水位検出計8を設けて地表面の雨水の量(水位)を測定し、この測定データを基地局側に送信して、局地的な豪雨による危険な状態かどうかの判定を行わせるようにしても良い。この場合、地表より露出する筒体部に取付けられる水位検出計8に対しては、直接降雨により濡れないようにするため、各水位検出計8の上部に対応する筒体部に傘部が設けられる。
【0067】
一方、基地極側のデータ処理部では前述同様の処理が実行された後、図10のS100〜S111の判定処理が実行される。
このように水位検出計のみを設けた検出器であっても、地盤の状態を予測判定することが可能となる。
【0068】
次に本発明による地盤監視装置の第3の実施の形態に用いられる検出器の構成例について説明する。
図15はジャイロセンサと水位検出計とを備えた検出器の機能を示すものである。図15において、ジャイロセンサ2の各圧電素子より加速度αに応じて発生する電圧が入力されると、これらの電圧信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その電圧信号から加速度を演算により求めた後、各軸方向の加速度を同時に検出し、これらの値から変位の方向、大きさ、衝撃力、検出器の姿勢を判別する。そして、地球の自転に伴う加速度をカットした後、修正した変位、加速度及び衝撃力を出力データFaとして演算部6へ出力する。
【0069】
また、水位検出計8で検出された検出信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その値から各センサの電気抵抗を測定した後、土中の水分にてどのセンサまで電気抵抗が変化(減少)したかを判別する。そして、電気抵抗値が変化しているセンサまでの位置を土中の浸透水の水位として判別し、その水位を出力データFcとして演算部6へ出力する。
【0070】
一方、演算部6にこれらジャイロセンサ2及び水位検出計8の各出力データFa,Fcが入力されると、この演算部6ではジャイロセンサ2からのデータを一定時間毎にメモリに記憶し、そのデータからジャイロの加速度値を積分して角度を求める。
【0071】
また、水位検出センサのデータをジャイロセンサと同期をとり、一定時間毎にメモリに記憶する。これらメモリに蓄えられたデータを一定時間毎に送信部へ出力する。
【0072】
一方、各検出器で検出されたジャイロセンサ2による変位、加速度及び衝撃力のデータ、水位検出計8による土中の水位データが基地局に伝送されると、基地局ではデータ処理部により各測定ポイント毎の検出データをリアルタイムで処理して各測定ポイント毎の基準加速度値を超えたデータと、基準水位を超えたデータ又は基準水位を超えたデータ及び地上の水位データを求め、判定部によりデータ処理手段で処理されたデータをもとに各種の判定処理を実行して、地滑りの発生要因とその規模に応じてその旨を警報又は表示して地盤の状態を監視する。
【0073】
このようにジャイロセンサ2と水位検出計8を設けた検出器であっても、検出精度に左右されることなく地滑り発生の有無とその規模を予測判定することが可能となる。
【0074】
次に本発明による地盤監視装置の第4の実施の形態に用いられる検出器の構成例について説明する。
図16は2軸の傾斜計と水位検出計とを備えた検出器の機能を示すものである。図16において、2軸の傾斜計3により計測された計測信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その計測信号から直交する2軸の傾斜角度と傾き方向を求め、これら各軸の傾き角度と傾き方向を出力データFbとして演算部6へ出力する。
【0075】
また、水位検出計8で検出された検出信号はアンプにより演算処理に適した信号レベルに増幅され、その値から各センサの電気抵抗を測定した後、土中の水分にてどのセンサまで電気抵抗が変化(減少)したかを判別する。そして、電気抵抗値が変化したセンサまでの位置を土中の浸透水の水位として判別し、その水位を出力データFcとして演算部6へ出力する。
【0076】
一方、演算部6にこれら傾斜計3及び水位検出計8の各出力データFb,Fcが入力されると、演算部6では傾斜計のデータを一定時間毎にメモリに記憶し、次いで水位検出計8のデータを傾斜計と同期を取り、一定時間毎にメモリに記憶する。そして、メモリに蓄えられたデータを一定時間毎に送信部に出力する。
【0077】
一方、各検出器で検出された水位検出計8による土中の水位データが基地局に伝送されると、基地局ではデータ処理部により各測定ポイント毎の検出データをリアルタイムで処理して各測定ポイント毎の基準加速度値を超えたデータと、基準水位を超えたデータ又は基準水位を超えたデータ及び地上の水位データを求め、判定部によりデータ処理手段で処理されたデータをもとに各種の判定処理を実行して、地滑りの発生要因とその規模に応じてその旨を警報又は表示して地盤の状態を監視する。
【0078】
このようにジャイロセンサ2と水位検出計8を設けた検出器であっても、検出精度に左右されることなく地滑り発生の有無とその規模を予測判定することが可能となる。
【0079】
なお、上記した各実施の形態において、基地局側の判定部によるデータ判定処理としてはジャイロセンサ2、2軸の傾斜計3及び水位検出計8の組合せに応じて種々変形して実施することができるものである。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、地盤の変位を検出精度に左右されずに的確に検出でき、地盤における土砂崩れ等の災害の発生を事前に予知することができる地盤監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による地盤監視装置の第1の実施の形態における検出器の要部を破断して示す構成図。
【図2】同実施の形態における検出器内にセンサとして設けられる圧電素子を用いたソリッド型ジャイロの構成例を示す斜視図。
【図3】同実施の形態における検出器内に設けられるジャイロセンサ、2軸の傾斜計及び水位検出計からの信号処理機能を説明するためのブロック図。
【図4】同実施の形態における検出器内に設けられる演算部での信号処理機能を説明するためのブロック図。
【図5】同実施の形態の地盤監視装置全体のデータ処理系を示すブロック図。
【図6】図5のデータ処理部の機能を説明するためのブロック図。
【図7】同実施の形態における検出器が山間部の傾斜面に沿って配置された一例を示す図。
【図8】同実施の形態における検出器を地中に埋設した状態を示す図。
【図9】図5の判定部での第1の判定処理を説明するための流れ図。
【図10】同じく判定部での第2の判定処理を説明するための流れ図。
【図11】同じく判定部での第3の判定処理を説明するための流れ図。
【図12】本発明による地盤監視装置の第2の実施の形態に用いられる検出器を地中に埋設した状態を示す図。
【図13】同実施の形態における検出器内の水位検出計からの信号処理機能を説明するためのブロック図。
【図14】同じく基地局側の判定部での判定処理を説明するための流れ図。
【図15】本発明による地盤監視装置の第3の実施の形態に用いられる検出器の信号処理機能を説明するためのブロック図。
【図16】本発明による地盤監視装置の第4の実施の形態に用いられる検出器の信号処理機能を説明するためのブロック図。
【符号の説明】
1……筒体
1a……筒部
2……ソリッド型ジャイロセンサ
3……2軸の傾斜計
5……バッテリ
6……演算部
7……送信部
10……太陽電池
11……送信アンテナ
12……受信部
13……データ処理部
14……判定部
Claims (3)
- 地中に埋設可能であって、上部開口部を閉塞する蓋体を有する筒体と、
前記筒体に収納され、地盤の変位により外力が加わるとその大きさ及び方向、加速度を検出するジャイロセンサと、
前記筒体に収納され、直交する2軸の傾き角と傾き方向を検出する2軸の傾斜計と、
前記筒体の外周面であって軸方向に適宜の間隔で設置された複数の水位検出計と、
前記筒体に収納され、前記ジャイロセンサ、傾斜計並びに水位検出計からの検出信号を演算処理し、この演算処理した結果を記憶するメモリを有する演算部と、
前記筒体に収納された送信部と、
前記筒体に収納され、駆動電源となるバッテリと、
前記蓋体に取り付けられた送信用アンテナと、
前記筒体から離間した位置に設置され、基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値を記憶したデータ処理部、及び前記演算部にて演算処理し前記送信部並びに送信用アンテナを介して送信されたデータと前記データ処理部に記憶されている前記基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値とを比較する判別部とを備えた基地局とを具備し、
前記演算部においては、前記ジャイロセンサのデータを一定時間毎に前記メモリに記憶し、前記傾斜計のデータを前記ジャイロセンサのデータと同期させて前記メモリに記憶し、
前記基地局の判別部においては、前記送信部並びに前記送信用アンテナを介して送信された前記演算部のメモリに記憶されている前記ジャイロセンサのデータ、前記傾斜計のデータ、並びに前記水位検出計のデータと前記基地局のデータ処理部に記憶されている前記基準加速度値、基準傾斜角値並びに基準水位値とを比較し警報を発するか否かを判定することを特徴とする地盤監視装置。 - 前記筒体は、傾斜面に沿って複数配置されることを特徴とする請求項1記載の地盤監視装置。
- 前記蓋体には前記バッテリを充電する太陽電池が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地盤監視装置。
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