JP4334191B2 - コレステリック層を備えた基板およびその基板を備えた表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型の液晶表示装置及びその液晶表示装置に使用される基板に関する。
【0002】
【従来技術】
液晶表示装置はノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータのモニター、カーナビゲーションシステム、関数電卓、小〜中型テレビジョンセット、家庭用電化製品など様々な分野に応用されている。なかでも反射型液晶表示装置は、バックライトが不要であることから低消費電力、かつ薄型軽量といった特長を活かして、モバイルPC等の携帯機器用ディスプレイヘの応用が始められている。しかしながら、従来の反射型液晶表示装置は、外光を利用して表示するものなので、使用される環境が暗いと表示画面も暗くなる。特に暗闇では全く表示画面を見ることができず、使用に耐えない。
【0003】
こうした問題に対し、暗い環境では透過型液晶表示装置として利用できるように、反射板を半透過反射板、例えばハーフミラーとして、バックライトを備えた半透過型液晶表示装置が開発されてきている。このようなハーフミラーを形成する方法として、図1にその使用例が示されているように、真空蒸着法等で製造した光半透過性の金属薄膜を反射面全面に配置する方法(以下において「金属薄膜法」という。)と、図2に示されているように、反射電極として配置したアルミニウム等の全反射金属板部分と透過電極として配置した透明部分とを交互に設け、両者の面積率に応じて反射と透過とをコントロールする方法(以下において「面積分割法」という。)とがある。このような金属薄膜法による半透過性の膜を利用した表示装置は廉価タイプのゲーム機などに実用化されている。また、面積分割法によるハーフミラーは、屋外使用機会の多いデジタルカメラ、携帯電話等の表示装置に実用化されている。さらに、これらの液晶表示装置では、カラーフィルタを具備することにより、カラー表示が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、金属薄膜法においては、光の利用効率が50%未満であり、表示画面の明るさは透過型表示装置あるいは反射型表示装置と比べて著しく劣るという問題があった。また、面積分割法に使用される金属板では、いわゆる色つき現象があり、反射光の色調の質が低下するという問題もあった。さらに、これらの金属薄膜や、金属板には導電性があるため、それらに直接接触する形で電気回路を設けることが不可能であり、表示装置設計上の制約となっていた。
【0005】
また、図2に示すように従来の半透過型カラー液晶表示装置では、透過表示時と反射表示時で、カラーフィルタを通過する光路に差が生じるため、透過時と反射時とで表示の明るさが異なるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、色付きがなく色調の質が高い、かつ明るい表示画面を実現することができ、電気回路を設けるにあたって制約の少ない基板、およびその基板を備えた表示装置を提供するとともに、半透過型カラー液晶表示装置においても、透過表示時と反射表示時との色コントラストに優れる液晶表示基材およびその基材を備えた表示装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。近年コレステリック液晶、又はカイラルネマチック液晶を薄膜形成し、それをポリマー化したフィルム(本願において「コレステリック層」という。)が入手可能となった。このようなコレステリック層は、液晶ディスプレーセル製造工程時の210〜240℃前後の高温にさらされた後でも物理的、光学的、化学的に安定した性能を示す。コレステリック層により構成された反射層は、その一主面に到達する入射光のうち左円偏光成分又は右円偏光成分を選択反射し、残りの成分を透過する機能を有している。また、螺旋ピッチの異なる層を積層することにより、反射光の波長バンド幅を広帯域にして、いわゆる色付きのない反射層(以下において「白色反射層」という。)を形成することができる。
【0008】
本発明の第1の態様では、光透過性基材(3b)上に所定のパターンにしたがって光学的窓が設けられたコレステリック層(9)が形成された基板を提供して前記課題を解決する。
【0009】
この第1の態様の基板によれば、金属板を使用して反射をする際に現れる色付き現象がなく、質の高い白色反射光を得ることができる。また、金属薄膜を半透過性材料として使用した場合と比較した場合、光の吸収がほとんどないので、光利用効率の高い反射層を実現することができる。
【0010】
上記基板において、コレステリック層の円偏光反射率は90〜100%とすることが好ましい。このような高い反射率の設定により十分な反射を得ることができ、光利用効率を高めることが可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様では、前記第1の態様にかかる基板を備えた半透過型液晶表示装置(D)により前記課題を解決する。
【0012】
この第2の態様の液晶表示装置によれば、反射光に色付き現象がなく、光利用効率の高い液晶表示装置を得ることができる。
【0013】
前記態様の液晶表示装置においてコレステリック層の光透過性基材側に電気回路を設けてもよい。
【0014】
このように構成した場合には、コレステリック層自体が電気的に絶縁性を有しているので、反射層として金属板や金属薄膜を使用した場合のように、電気回路との間に絶縁層を設ける必要がない。したがって、液晶表示装置の必要構成を簡素化、軽減化することができ、同時に設計上の自由度を高めることができる。
【0015】
また、第3の態様の表示装置によれば、前記コレステリック層の上部に配置された第一カラーフィルタ層と、さらに前記光学的窓が設けられた部分の上部に配置された第二カラーフィルタ層とを備えることができる。また、前記の第二カラーフィルタ層を、コレステリック層中の前記光学的窓が設けられた部分に配置することが好ましい。このように、カラーフィルタ層を配置することにより、透過時のカラーフィルタを通過した光の色調と、反射時のカラーフィルタを通過した光の色調を調整することができる。
【0016】
さらに、コレステリック層の上部にカラーフィルタ層を備え、前記光学的窓を有する部分の前記カラーフィルタ層の光透過率を、前記光学的窓を有しない部分の前記カラーフィルタ層の光透過率よりも高くすることによっても、透過表示時と反射表示時との表示色調を調整することもできる。
【0017】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。本発明にかかる基板を備えた表示装置は、例えば半透過型液晶表示装置として構成することが可能である。以下における実施形態では、本発明を半透過型液晶表示装置に適用した場合の一例について説明する。はじめに白色反射層を構成する広帯域反射型コレステリック層を基板上に形成する方法について説明する。次に基板上のコレステリック層が透明層と所定の面積比となるようにパターンを形成する方法について述べる。そして、その後にコレステリック層による白色反射層を備えた半透過型液晶表示装置の構成等について説明することとする。
【0019】
(広帯域反射型コレステリック層(白色反射層)の形成方法)
コレステリック層により形成された反射層は、その一主面に到達する入射光のうち左円偏光成分又は右円偏光成分を選択反射し、残りの成分を透過する機能を有している。このような反射層の層厚を所定厚以上に保つことにより、選択反射されるべき偏光成分のほぼ全量を反射させることができる。また、螺旋ピッチの異なる液晶層を積層することにより、反射光の波長バンド幅を広帯域にして、いわゆる色付きのない白色反射層を形成することができる。これらについては特開2001−4843の公報において、本願発明者らにより詳細な開示がなされている。
【0020】
図3に示されるように、本発明にかかる実施形態の一例である白色反射層20は、光透過性基材22と、この光透過性基材22上に形成された積層体24とから構成されている。この積層体24は、例えばコレステリック液晶等(カイラルネマチック液晶を含む。)のコレステリック規則性を有する複数の液晶層25A、25B、25C・・・を、各液晶層における液晶分子の旋回方向が同一で、分子螺旋軸が前記液晶層を厚さ方向に横断するように積層したものである。前記各液晶層25A、25B、25C・・・は、その分子螺旋の1ピッチ(ヘリカルピッチ)当たりの距離が相互に異なる。また、各液晶層25A、25B、25C・・・の厚さは、入射する対応波長光の右旋又は左旋円偏光成分の一方を最大反射率で反射するための必要厚さ以上に形成されている。積層体24は、一方の円偏光成分を最大反射率で反射し、かつ、右旋又は左旋円偏光成分の他方を透過する。
【0021】
上記液晶層25A、25B、25C、・・・を形成する工程を、図4を参照しつつ説明する。図4に示される方法は、一対の基板34A、34B間にコレステリック液晶又はカイラルネマチック液晶を注入する際に、予め目的とする液晶層の厚さと等しい直径のビーズ36をスペーサとして分散させることによって、基板34A、34B間の隙間を目的の厚さとするものである。基板34Aに代えて光透過性基材22を用いてもよい。前記基板34A、34Bの少なくとも一方の液晶側面は、予めポリイミド膜等からなる配向膜(図示省略)を形成しておく。この基板34A、34B間の隙間にコレステリック規則性を有する光重合型液晶等の放射線硬化型液晶又は高温に保った液晶ポリマーを注入して未硬化状態のコレステリック液晶膜を形成する。これによって、両者間に注入された液晶の分子螺旋軸が液晶層を厚さ方向に横断するように配向される。液晶分子を配向させる手段として、延伸PETを前記配向膜の代わりに用いても良い。
【0022】
コレステリック液晶膜の材料としては、重合性モノマー分子、重合性オリゴマー分子又は液晶ポリマー等を使用することができる。
【0023】
コレステリック液晶膜の材料として、重合性モノマー分子、又は重合性オリゴマー分子を使用した場合には、配向された前記液晶分子を三次元架橋してポリマー化し、コレステリック層を形成する。三次元架橋する方法として、例えば、液晶分子に光重合開始剤を添加して紫外線照射によって硬化する方法がある。また、直接電子線を照射して硬化させる方法を用いることもできる。このようにして液晶分子を三次元架橋して硬化させた後、一方の基板に配向膜を残して、あるいは配向膜と共に除去して、第1層である液晶層25Aを完成させる。
【0024】
一方、コレステリック層の材料として、液晶ポリマーを使用した場合には、配向された液晶ポリマーを冷却してガラス状態にしてコレステリック層を形成する。このようにしてコレステリック層を形成後、一方の基板に配向膜を残してあるいは配向膜と共に除去して、第1層である液晶層25Aを完成させる。
【0025】
また、第2の液晶層25Bは、前記硬化形成された液晶層25Aを一方の基板として、前記と同様の手順で形成し、これを順次繰り返して全部の液晶層25A、25B、25C、・・・を積層して、積層体24を完成させる。このような状態にすることによってコレステリック液晶の状態を光学的に固定することができ光学膜としての取扱いが容易な、常温で安定したフィルム状の膜であるコレステリック層を形成することができる。また、螺旋ピッチの異なるコレステリック層を多数積層することによって、色付きのないコレステリック層(白色反射層)を得ることができる。
【0026】
なお、配向された液晶を形成するに際して、重合性モノマー分子若しくは重合性オリゴマー分子、又は液晶ポリマーを溶剤に溶解してコーティング液とし、基板上の配向膜に塗布するようにしてもよい。その場合には三次元架橋又は、冷却前に乾燥工程を行う必要がある。
【0027】
(基板上のパターニング)
上記のように形成される白色反射層を用いて半透過型液晶表示装置を構成するには、例えば図5に示されるように光透過性基材22(通常はガラス基板により構成する。)上の一面側に白色反射層と透明層とを交互に配置して所定の面積割合となるようにパターン形成する必要がある。このようなパターン形成の方法として、以下に概要を説明するレーザー法(特願2001−100975及び特願2001−101004参照)と、溶剤法(特願2001−317965参照)とがある。
【0028】
<レーザー法>
レーザー法は、コレステリック層に対して当該コレステリック層が選択的に反射する旋光方向とは逆方向の円偏光成分を主成分として含むレーザー光、又は当該コレステリック層の選択反射波長帯域外の波長を有するレーザー光を照射し、当該コレステリック層の一部を部分的に蒸発させて取り除くことにより、コレステリック層のパターニングを行うものである。ここに使用されるレーザー光は、可視光より短い波長を有するものが好ましい。このようなレーザー光によりパターニングが行われたコレステリック層は、レーザー光の熱により、コレステリック層のうち、取り除かれた部分近傍の架橋密度が他の残された部分より高くなる。また、コレステリック層の、レーザー光の入射側が先端側より多く取り除かれ、コレステリック層がガラス基板に接する面積が、コレステリック層表面部の面積より大きくなっている。したがって、コレステリック層をガラス基板から剥離しにくいものとすることができる。
【0029】
<溶剤法>
溶剤法は、コレステリック層の材料として、重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子が使用されている場合に適用することができる。具体的にはマスク露光により、透明層を形成すべき部分を除外して白色反射層となるべき部分にのみ選択的に紫外線照射等を行う。すなわち、透明層部分では三次元架橋が行われないように、かつ他の部分は三次元架橋が行われるように紫外線等を照射する。その後コレステリック層をアセトン等の溶剤に浸漬させると、三次元架橋が行われていない部分の重合性モノマー分子又は重合性オリゴマー分子が溶剤中に溶出して、その部分の層が除去され、透明層となるべき部分の基板が露出される。このようにして、基板上に白色反射層を所望のパターンにて形成することができる。
【0030】
(表示装置の構成)
次に図6を参照しつつ、本発明にかかる実施形態としての一例である半透過型液晶表示装置について説明する。半透過型液晶表示装置Dは、観察者側から順に、前面側円偏光板、前面側ガラス基板、ブラックストライプ、及びカラーフィルター層が形成されている。前面側円偏光板は、直線偏光板と、固定リターダ層であるλ/4位相差板が組み合わされて構成され、自然光を右回りの円偏光に変換する。
【0031】
これらの後方には透明電極としてのITO層が形成され、さらにITO層の後方には液晶層が設けられている。さらにITOの液晶層側には不図示の配向膜が設けられている。液晶層は垂直配向型液晶層として構成されている。
【0032】
液晶層と、その後方の背面側ガラス基板との間は、白色反射層としてのコレステリック層が形成されている部分と、形成されていない部分とが前記背面側ガラス基板上に交互に配置されている。コレステリック層が形成されている部分には、コレステリック層と液晶層との間にITO層が配置されている。さらにITOの液晶層側には不図示の配向膜が設けられている。
【0033】
コレステリック層が形成されていない部分では、ガラス基板上にITO層が直接設けられて、さらにITOの液晶層側には不図示の配向膜が設けられており、その上面が液晶層に接している。なお、コレステリック層内部にはTFTやTFDなど、液晶を駆動するための素子等が設けられている。このような構成においては、TFTやTFDは、コレステリック層により絶縁が行われているので、あらためてその周囲に絶縁層を設けなくてもよい。
【0034】
ガラス基板にはコレステリック層に接するように不図示の導電層が設けられ、これからTFTやTFDへの電気の供給、ITO層等への導通などが行われる。
背面側ガラス基板のさらに後方には、背面側円偏光板が配置されている。背面側円偏光板は、直線偏光板と、固定リターダ層であるλ/4位相差板が組み合わされて構成され、自然光を左回りの円偏光に変換する。
【0035】
背面側円偏光板の後方には、バックライトが、バックライトの後方には拡散反射層が設けられている。
【0036】
なお、
d=λ/2
とした場合、図6の左側に示すように、液晶層の上面からコレステリック層上面までの液晶層の厚さがd、コレステリック層の厚さがndとなるように各層厚が形成されている。ここにnは正の整数(1・2・3…)である。このように構成することにより可変リターダ層である液晶層による円偏光の変換が下記のように行われる。
【0037】
(光学的作用)
以上の構成を備えた液晶表示装置Dの光学的作用を、図7及び8を参照しつつ以下に説明する。なお図7及び8は、図6に示される液晶表示装置Dの光学的作用を説明するため、必要な構成部分を抜き出し、またさらに一部の構成を追加して模式的に示したものである。
【0038】
図7は、液晶駆動回路のスイッチ15が閉じられて、垂直配向型液晶層8に電源14から電圧が印加されたオン状態、正確には液晶の閾値以上の電圧印加状態を示している。この場合、垂直配向型液晶分子は図の上側から下側に向けて基板に水平な方向に配列するホモジニアス配向となる。この状態において、図上方の観察者側から入射してくる自然光(外光)Lf1は、前面側偏光板1f及び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを介して、右回りの円偏光として垂直配向型液晶層8に入射する。そしてこの垂直配向型液晶層8で位相がλ/2遅延されることにより、左回りの円偏光に変換されて白色反射層であるコレステリック層9に到達する。コレステリック層9に到達した左回りの円偏光はコレステリック層9により反射され、左回りの円偏光として再び垂直配向型液晶層8に入射する。そして、再び垂直配向型液晶層8により位相がλ/2遅延されることにより、右回りの円偏光に変換されて出射される。この光が再び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを通過することにより、前面側偏光板1fの偏光軸に沿った直線偏光となり、前面側偏光板1fを通過して出射される光R1となって、明状態の表示が得られる。
【0039】
一方、図上方の観察者側から入射し、白色反射層9に隣接する透明層に入射する自然光(外光)Lf2は、Lf1の場合と同様に、前面側偏光板1f及び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを介して、右回りの円偏光として垂直配向型液晶層8に入射する。そしてこの垂直配向型液晶層8で位相がλ/2遅延されることにより、右回り、又は左回りの円偏光に変換されて背面側ガラス基板3bを透過し、背面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2bにいたる。
【0040】
この光が背面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを通過することによって、背面側偏光板1bの偏光軸に沿った直線偏光となり、背面側偏光板1bを通過して拡散反射層13dにより反射されて、上向きの光になる。そして再び背面側偏光板1b及び背面側固定リターダ層2bを通過することにより左回りの円偏光に変換される。この光はさらに左回りの性質を保ちつつ、垂直配向型液晶層8、前面側ガラス基板3f等を通過して、再び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを通過する。前面側固定リターダ層2fを通過することによって、前面側偏光板1fの偏光軸に沿った直線偏光となり、前面側偏光板1fを通過して出射される光R2となって、明状態の表示が得られる。
【0041】
図8は、液晶駆動回路のスイッチ15が開かれて、垂直配向型液晶層8に閾値以下の電圧が印加されたオフ状態を示している。この場合、垂直配向型液晶層8は液晶分子が基板に垂直に配列し、入射光を位相変調しない状態となっている。この状態において、図上方から入射してくる自然光(外光)Lf1は、図7において説明した場合と同様に、前面側偏光板1f及び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを介して、右回りの円偏光として垂直配向型液晶層8に入射する。しかし、垂直配向型液晶層8では液晶分子が基板に垂直に配列しているので、入射された右回りの円偏光は位相変調されず、右回りの円偏光のままコレステリック層9に到達する。コレステリック層9を構成する分子は右回りの円偏光を透過する性質を有しており、この右回りの円偏光は、表示装置Dの背面側に向けて透過される。そして、背面側位相差板2bで背面側偏光板1bの吸収軸に沿った振動成分をもつ直線偏光に変換され、背面側偏光板1bにて吸収される。その結果、観察者側には光は戻らず、暗状態の表示が得られる。
【0042】
また、図上方の観察者側から入射し、白色反射層9に隣接する透明層に入射する自然光(外光)Lf2は、Lf1の場合と同様に、前面側偏光板1f及び前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを介して、右回りの円偏光として垂直配向型液晶層8に入射する。そしてこの垂直配向型液晶層8では位相が遅延されることなく、右回りの円偏光のまま背面側ガラス基板3bを透過し、背面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2bにいたる。そして背面側位相差板2bで背面側偏光板1bの吸収軸に沿った振動成分をもつ直線偏光に変換され、背面側偏光板1bにて吸収される。その結果、観察者側には光は戻らず、ここでも暗状態の表示が得られる。
【0043】
次にコレステリック層9の背面に面光源としてのバックライト13を配置した場合の動作について再び図7及び図8を参照しつつ説明する。バックライト13は、透明材料の平板により形成される導光板13tと、その側面に配置された線状光源13s、及び導光板13tの背面に配置された拡散反射層13dにより構成される。
【0044】
図7の状態、即ち液晶駆動回路のスイッチ15が閉じられて、垂直配向型液晶層8に電源14から電圧が印加されたオン状態では、バックライト13から出光される光Lb1は背面側偏光板1b及び背面側位相差板2bにより左回り円偏光となり、コレステリック層9下面で反射される。コレステリック層9を構成する分子は左回りの円偏光は反射する性質を有しており、右回りの円偏光を透過するからである。
【0045】
コレステリック層9下面で反射された光は左回りの円偏光なので、背面側リターダ層2b、背面側偏光板1bを透過する。そして拡散反射層13dに反射されて再び背面側偏光板1bと背面側位相差板2bとを通過し、再び左円偏光となってコレステリック層9又は透明層に達する。
【0046】
コレステリック層9に達した左円偏光は再びコレステリック層9の下面において反射され、上記した作用が繰り返される。また、透明層に入射した光は垂直配向型液晶層8により位相がλ/2遅延されることにより、右回りの円偏光に変換されて出射される。この光が前面側固定リターダ層であるλ/4位相差板2fを通過することによって、前面側偏光板1fの偏光軸に沿った直線偏光となり、前面側偏光板1fを通過して出射される光R3となって、明状態の表示が得られる。したがってバックライトの光が十分に有効利用されて、明るい明状態の表示が可能となる。
【0047】
一方図8の状態、即ち液晶駆動回路のスイッチ15が開かれて、垂直配向型液晶層8に閾値以下の電圧が印加されたオフ状態では、バックライト13から出光された光は、コレステリック層9下面にて反射される。コレステリック層9下面で反射された光は左回りの円偏光なので、背面側リターダ層2b背面側偏光板1bを透過する。そして拡散反射層13dに反射されて再び背面側偏光板1bと背面側位相差板2bとを通過し、再び左円偏光となってコレステリック層9又は透明層に達する。
【0048】
コレステリック層9に達した左円偏光は再びコレステリック層9の下面において反射され、上記した作用が繰り返される。また、透明層に入射した光はその後垂直配向型液晶層8を通過するがここでは位相の遅延を受けることがないので、左回りの性質を保持したまま、前面側位相差板2fに入射する。そして、前面側位相差板2fで前面側偏光板1fの吸収軸に沿った振動成分をもつ直線偏光に変換され、前面側偏光板1fにて吸収される。その結果、観察者側には光は戻らず、暗状態の表示が得られる。
【0049】
このようにして同一構造の表示装置を用いて、外光を利用する場合でも、バックライトを利用する場合でも、光をリサイクルすることによって、ともに極めて光利用効率の高い表示を得ることができ、明るい表示が可能となる。
【0050】
また、コレステリック層により構成された白色反射層と、透明層とを交互に配置することにより、半透過型液晶表示装置を構成することができる。また、白色反射層と、透明層との面積の比を変化させることにより、任意の透過率(反射率)を備えた半透過型液晶表示装置を提供することができる。
【0051】
このように構成された半透過型液晶表示装置は、従来の金属反射板を備えた半透過型液晶表示装置と比較して、表示色の色調を改善することができる。図9は、可視光付近の波長域におけるコレステリック層による反射率と、金属板による反射率とを比較して示す図である。縦軸に反射率R(%)、横軸に反射光の波長λ(nm)をとって、白色反射層による反射と、金属板による反射とを比較して表している。図からも明らかなように、金属板による反射の場合、波長400nm付近以下において、徐々に反射率の低下が見られる。これがいわゆる色付き現象の原因であり、金属反射板を使用した場合、黄色みを帯びた反射光として観察されるものである。これに対して、コレステリック層による白色反射層の場合、各波長域において平均して反射率が高く、また、波長400nm付近から始まる反射率の低下も見られない。したがって、前波長域にわたって反射率の高い、かつ色付き現象が発生することのない反射を実現することができる。
【0052】
次に、本発明の別の態様として、透過表示時と反射表示時との色コントラストに優れる液晶表示装置について説明する。図10は、反射表示時と透過表示時とのカラーフィルタを通過する光の光路長を調整することにより、透過時と反射時との表示色調が同じになるようにしたものである。
【0053】
自然光を利用して表示する場合(以下、反射表示という。)では、上記のように光は第一カラーフィルタ層を透過し、コレステリック層で反射されて、再度第一カラーフィルタ層を透過して出射される。一方、バックライトを利用して表示する場合(以下、透過表示という。)では、光源の光がコレステリック層の光学的窓が設けられた部分である透明層を透過し、第二のカラーフィルタを通過して、続いて第一のカラーフィルタを通過する。第二のカラーフィルタの厚さは、第一のカラーフィルタを光が往復する光路長と第一および第二のカラーフィルタを通過する光の光路長が等しくなるよう調整されている。その結果、透過表示時と反射表示時とで光の透過率が等しくなり、表示色調に斑のない優れた表示装置となる。なお、本発明にかかる半透過型液晶表示装置が、図11に示すように面積分割型以外の半透過型液晶表示装置に応用できることは言うまでもない。すなわち、所定パターンの光学的窓が設けられていないコレステリック層を設けた光透過性基材を用いた半透過型液晶表示装置であっても、コレステリック層上部に第一のカラーフィルタ層を設け、当該コレステリック層下部に第二のカラーフィルタ層を設けることにより、かかる半透過型液晶表示においても、透過表示時と反射表示時とで、表示される色調に差がなくなり、表示コントラストに優れた表示装置を得ることができる。
【0054】
また、図12は、本発明の別の態様として、第二のカラーフィルタを、コレステリック層の光学的窓が設けられた部分である透明層部分に配置したものである。このように配置することにより、液晶表示装置自体を薄くできる。なお、本発明の別の態様として図13に示すように、第一のカラーフィルタを、液晶層の下側に配置してもよい。
【0055】
図14は、本発明の別の態様の表示装置の断面概略図を示したものであり、第一のカラーフィルタの光透過率を部分的に調整している。すなわち、バックライト光が透過する光学的窓部分の上部に位置するカラーフィルタの光学密度(透過率)を、光学的窓が設けられてないコレステリック層部分の上部に位置するカラーフィルタの光学密度よりも高くしている。その結果、透過表示時と反射表示時で、表示色調が異なることなく、優れた色調の表示画面を実現できる。かかるカラーフィルタは、図15に示すように、液晶層の上部に配置してもよい。
【0056】
かかるカラーフィルタは、通常のものと同様な方法で、アクリル樹脂等の透明媒体中に顔料や染料を分散させたものや、インクジェット方式により透明媒体に印刷することにより得られる。カラーフィルタの光学密度を、顔料等の含有量や顔料の種類により調整することで、本発明で使用するカラーフィルタを簡単に得ることができる。例えば、R、G、Bそれぞれで濃色と薄色とを備えたカラーフィルタ(6色カラーフィルタ)を用いることことができる。
【0057】
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコレステリック層を備えた基板、及びその基板を備えた表示装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0058】
【発明の効果】
以上に説明したように、光透過性基材上に所定のパターンにしたがって光学的窓が設けられたコレステリック層が形成た基板によれば、金属板を使用して反射をする際に現れる色付き現象がなく、質の高い白色反射光を得ることができる。また、金属薄膜を半透過性材料として使用した場合と比較した場合、光の吸収がほとんどないので、光利用効率の高い反射層を実現することができる。
【0059】
前記基板を備えた半透過型液晶表示装置によれば、反射光に色付き現象がなく、光利用効率の高い液晶表示装置を得ることができる。
【0060】
前記態様の液晶表示装置においてコレステリック層の光透過性基材側に電気回路を設けて構成した場合には、コレステリック層自体が電気的に絶縁性を有しているので、反射層として金属板や金属薄膜を使用した場合のように、電気回路との間に絶縁層を設ける必要がない。したがって、液晶表示装置の必要構成を簡素化、軽減化することができ、同時に設計上の自由度を高めることができる。
【0061】
また、別の態様の液晶表示装置では、透過表示時と反射表示時とのカラーフィルタを透過する光の光路が調整されているので、バックライト使用時と自然光利用時とで、表示の色調に差がない優れた表示装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属薄膜型半透過型液晶表示装置の断面を示す図である。
【図2】面積分割型半透過型液晶表示装置の断面を示す図である。
【図3】コレステリック層の構造を示す略示断面図である。
【図4】コレステリック層の製造工程を示す略示断面図である。
【図5】基板上における白色反射層と透明層との配列の一例を示す平面図である。
【図6】コレステリック層を反射層として用いた半透過型液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図7】図6に示される液晶表示装置Dの光学的構成を液晶駆動電源が「ON」の状態で模式的に示した図である。
【図8】図6に示される液晶表示装置Dの光学的構成を液晶駆動電源が「OFF」の状態で模式的に示した図である。
【図9】可視光付近の波長域におけるコレステリック層による反射率と、金属板による反射率とを比較して示す図である。
【図10】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図11】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図12】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図13】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図14】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図15】本発明の別の態様の半透過型液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
D 半透過型液晶表示装置
3b 背面側ガラス基板(光透過性基材)
9 コレステリック層
Claims (5)
- 光透過性基材上に、所定のパターンにしたがって光学的窓が設けられたコレステリック層が形成された基板を備えた半透過型液晶表示装置であって、
前記コレステリック層の前記光透過性基材側には電気回路が設けられており、
前記コレステリック層は、その一主面に到達する入射光のうち左円偏光成分又は右円偏光成分を選択反射し残りの成分を透過する機能を有する、広帯域反射型コレステリック層である、半透過型液晶表示装置。 - 前記コレステリック層の円偏光反射率は、90〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の半透過型液晶表示装置。
- 前記コレステリック層の上部に配置された第一カラーフィルタ層と、さらに前記光学的窓が設けられた部分の上部に配置された第二カラーフィルタ層とを備える、請求項1または2に記載の半透過型液晶表示装置。
- 前記第二カラーフィルタ層が、前記コレステリック層中の前記光学的窓が設けられた部分に配置されてなる、請求項3に記載の半透過型液晶表示装置。
- 前記コレステリック層の上部にカラーフィルタ層を備え、前記光学的窓を有する部分の前記カラーフィルタ層の光透過率が、前記光学的窓を有しない部分の前記カラーフィルタ層の光透過率よりも高い、請求項1に記載の液晶表示装置。
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