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JP4336507B2 - 居住環境制御システム - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、居住空間における温度、湿度、気圧等の環境を変化させることが可能な空気調和機を制御するための居住環境制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機を制御するための居住環境制御システムは、居住空間を快適な環境とするため、外界の気象とは係わりなく、居住空間を一定の温度や一定の湿度となるように制御するようにされていた。また、病院等のように居住者の健康を第一に考えるべき居住空間においても、居住者の疾病を悪化させないような、一定の温度や一定の湿度となるよう空気調和機の制御がなされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、人は本来、気象の変化の中で生活をしているのであり、人の健康状態と気象の変化とは深い関わりがある。発明者らの研究によれば、例えば、図1に示すように、一日の気象変化において、尿管結石は夜から早朝に多く、図2に示すように、脳梗塞は午前中に多く、図3に示すように、過呼吸症候群は朝から夜間にかけて多いことが明らかとなっている。また、夏期に多く発生するといわれている疾病(これを「夏山型疾患」と定義する)について、気象と救急車による一日の救急搬送数との相関関係を調べた結果、図4に示すように、熱中症や脱水症等の多くの疾病に対して有意な相関関係が認められた。さらに、冬場に多く発生すると言われている疾病(これを「冬山型疾患」と定義する)について、同様の相関関係を調べた結果、図5に示すように、急性心不全や一過性脳虚血等の疾病に対して有意な相関関係が認められた。このように、発明者らは、多くの疾病において気象の変化と疾病の発生との間には深い関わりがあり、その関わりも疾病ごとに異なることを明らかにしてきた。こうした研究結果から、疾病を防止して健康に暮らすためには、居住空間を単に病気にならないための一定の環境となるように制御するだけでは足りず、気象の変化を考慮し、居住空間の環境も経時的に最適な状態となるように変化させていくことが必要となる。これに対して、上記従来の居住環境制御システムでは、そのような気象の変化を考慮した空気調和機の制御を行うことはできなかったため、疾病防止の効果が十分に得られなかった。
【0004】
一方、快適性とともに省エネルギーの観点も取り入れ、外界の温度を考慮した居住環境制御システムも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開平1−137243号公報
【0005】
この居住環境制御システムによれば、快適性だけでなく、空気調和機の省エネルギー運転を実現することができる。しかし、この居住環境制御システムは、疾病予防につては考慮されていないため、やはり疾病防止の効果を十分に得ることはできない。また、空気調和機の省エネルギー運転を実施するためには、快適性がある程度犠牲とされるため、居住者の満足度は低いものとなってしまう。
【0006】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、疾病予防の効果を十分得ることができ、省エネルギーも実現可能であり、居住者の満足度も高い居住環境制御システムを提供することを解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の居住環境制御システムは、居住空間の環境を変化させることが可能な空気調和機を制御するための居住環境制御システムにおいて、過去の気象データと過去の疾病データと気象予報とを入力するためのデータ入力手段と、入力された該過去の気象データ及び入力された該過去の疾病データを解析することにより、気象の変化と疾病との相関関係を求める相関関係解析手段と、該相関関係と入力された該気象予報とに基づき、疾病を予防するために最適な居住環境シーケンスを作成することが可能なシーケンス作成手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、データ入力手段によって過去の気象データと過去の疾病データと気象予報とが入力される。入力される過去の気象データとしては、例えば気象庁から公表された気象データ等を用いることができる。また、気象予報としては、現在民間の気象予報会社が提供している、一定区域ごとの気象予報等を用いることができる。こうして入力された過去の気象データと過去の疾病データとが相関関係解析手段によって解析され、疾病と気象との間の相関関係が求められる。さらに、居住環境解析手段によって、相関関係と気象予報とから疾病を予防するために最適な居住環境シーケンスを求めることができる。ここで、最適な居住環境シーケンスとは、居住空間の外の気象の変化に対応し、疾病を予防するための時々刻々変化する一連の最適な環境を提供するためのシーケンスのことをいう。こうして、求められた居住環境シーケンスに基づき空気調和機が制御され、疾病予防にとって必要なタイミングで必要な居住環境が提供されることとなる。このため、単に温度や風量や湿度を調整するだけの既存の空気調和機を、疾病を予防するために最適な居住環境シーケンスに基づいて運転することが可能となる。なお、ここでいう空気調和機とは、居住空間の環境を変化させることが可能なすべての装置をいい、具体的にはエアコン、ファンヒータ、扇風機、電気ストーブ、石油ストーブ等を含む広い概念である。また、これらの空気調和機は自動車や航空機等の交通手段に備えられるものも含む。
【0010】
本発明の居住環境制御システムは、必ずしも制御される空気調和機の近傍に備える必要はない。例えば気象予報会社の社屋内に設置し、そこで求められた住居環境シーケンスをラジオ波やパケット通信網によって送信し、空気調和機側に備えられた受信機を内蔵するリモコンで受信することにより、空気調和機の制御を行うこともできる。こうであれば、空気調和機のユーザがデータ入力手段、相関関係解析手段及びシーケンス作成手段のすべてを用意する必要がなく、ユーザの設備費の負担が軽減される。
【0011】
本発明の居住環境制御システムによってなされる空気調和機の制御は、疾病予防にとって最適な制御となり、疾病予防の効果を十分に得ることができる。また、従来の快適性を求めた制御の場合のように、冷房や暖房が過剰に行われてしまうこともないため、省エネルギーが実現できる。さらに、居住者は疾病予防という強いインセンティブが働くため、制御に対する満足度も高くなる。
【0012】
したがって本発明の居住環境制御システムによれば、疾病予防の効果を十分得ることができ、省エネルギーも実現可能であり、居住者の満足度も高いものとなる。
【0013】
相関関係解析手段としては、例えば、相関を求めるための一般的な統計ソフトであるSPSSを搭載したコンピュータを用いることができる。こうであれば、気象の変化と疾病との相関関係について、単純相関分析や回帰分析等を行うことによって相関関係を求めることができる。また、データ数が多い場合には重回帰分析をしたり、データ数が少ない場合には主成分分析をしたりして、相関関係を求めることもできる。相関関係解析手段として、事例データから相関関係を求めることが可能なエキスパートシステムを用いることもできる。このようなエキスパートシステムとしては、例えば事例学習型エキスパートシステム、帰納学習型エキスパートシステム等がある。相関関係解析手段がエキスパートシステムであれば、気象の変化と疾病との相関関係を人間が分析して推論したりすることなく、過去の事例を元に解答を自動的に見つけることが可能となる。このため、自動的に学習してルール化する知識ルールベース自動生成機能を確立することができ、人の操作を介さない自律制御が可能となる。
【0014】
気象データには気温、湿度及び気圧の少なくとも1つのデータが含まれているとすることができる。発明者らの解析結果によれば、気温、湿度及び気圧の変化は、疾病と大きな相関を示すため、これらの気象データを考慮することにより、疾病予防の効果が高くなる。
【0015】
データ入力手段は、制御される居住空間に居住する人の健康状態に関する健康データを入力することが可能とされており、シーケンス作成手段は入力された該健康データに基づき個別の健康状態を考慮した最適の居住環境シーケンスを求めることが可能とされていることが好ましい。こうであれば、その居住空間に居住する人の個々の健康状態にとって最適な、テーラーメイドの居住環境の制御を行うことが可能となる。
【0016】
データ入力手段により入力される過去の疾病データとしては、救急車によって搬送された病人に関する救急搬送データや病院のカルテ等を採用することができる。この中でも、救急搬送データは緊急的に搬送を必要とされる疾病患者のデータであるため、発病時と搬送時との間で生じるタイムラグが短く、データ数も多いため、気象の変化と疾病との相関関係を調べるために極めてふさわしい。
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜3を図面6〜12を参照しつつ説明する。
【0017】
(実施形態1)
実施形態1の居住環境制御システムは、オフィスや家庭で使用される汎用のエアコンを制御するためのものであり、図6に示すように、気象予報会社A内に設置されたシーケンス送信部2と、エアコン20を制御するためのリモコン3とからなる。シーケンス送信部2は、図7に示すように、データ入力手段としてのデータ用コンピュータ2aと、データ用コンピュータ2aとネットワークで結ばれた制御用コンピュータ2bと、制御用コンピュータ2bに接続された送信部2cとから構成されている。
【0018】
データ用コンピュータ2aには、一定時間毎の過去の気象データ(気温、湿度等)と、疾病データとして救急医療センターから配信される救急車の救急搬送データとが記録されており、これらのデータは、図示しない外部情報網から絶えず蓄積可能とされている。さらに、データ用コンピュータ2aは、現在の気象データをもとに、一定区域における一定時間後の気象予報を作成可能とされている。
【0019】
制御用コンピュータ2bには、過去の気象データと過去の疾病データとから気象の変化と疾病との相関関係を求めることが可能となるようなエキスパートシステム(株式会社ソラ・ユニバーサルアーカイブス製 商品名「SORA Thinkeye」)が組み込まれている。このエキスパートシステムは、データ用コンピュータ2aから取得した一定時間毎の過去の気象データと、疾病データとして救急医療センターから配信される救急車の救急搬送データとに基づき、気象データと疾病との関係を編集し、事例集積し、事例学習を自動で行い、気象の変化と疾病との相関関係を求めることが可能とされている。さらにこのエキスパートシステムは、こうして求められた気象の変化と疾病との相関関係及び一定区域における一定時間後の気象予報から、疾病を予防するために最適な住居環境とするための空気調和機の一定時間毎の居住環境シーケンスを作成することも可能とされている。
【0020】
送信部2cは、制御用コンピュータ2bによって作成された居住環境シーケンスをFMラジオ波よって送信可能とされている。
【0021】
リモコン3には、図8に示すように、受信部3aとメモリ3bとシーケンサ3cと赤外線発光部3dと温湿度センサ3eとが設けられている。受信部3aは、気象予報会社Aの送信部2cから送信されたシーケンス信号を受信可能とされており、メモリ3bは受信部3aで受信した住居環境シーケンスを記憶可能とされている。また、シーケンサ3cはメモリ3bに記憶された住居環境シーケンスを具現化するためのシーケンス信号を発信可能とされている。さらに、赤外線発光部3dはシーケンス信号に基づいてエアコン20(図7参照)の赤外線受光部20aに赤外線信号を放射可能とされている。また、温湿度センサ3eはエアコン20(図7参照)の設置場所の温度及び湿度を感知し、シーケンサ3cにフィードバックするようにされている。
【0022】
以上のように構成された実施形態1の居住環境制御システムでは、図7に示す制御用コンピュータ2bがデータ用コンピュータ2aに記憶されている一定時間毎の過去の気象データと、疾病データとしての救急車の救急搬送データと、一定時間毎の気象予報とを取り込む。そして、これらのデータを元に、気象の変化と疾病との相関関係が求められ、さらに、図9に示す、空気調和機の一定時間毎の最適温度シーケンスと、図10に示す、空気調和機の一定時間毎の最適湿度シーケンスとからなる居住環境シーケンスとが一定区域ごとに作成される。こうして作成された居住環境シーケンスが送信部2cによってFMラジオ波で送信される。そして、図8に示す、リモコン3の受信部3aによって、その住居環境シーケンスが受信され、メモリ3bに記憶される。さらにメモリ3bに記憶された住居環境シーケンスをシーケンサ3cが読み込み、シーケンス信号が発信され、赤外線発光部3dから、赤外線信号が放射されてエアコン20の受光部20aで受光され、エアコン20が制御される。また、温湿度センサ3eによって感知された温度及び湿度がシーケンサ3cにフィードバックされる。
【0023】
こうして、実施形態1の居住環境制御システムは、疾病予防にとって最適な居住環境シーケンスに基づいてエアコン20を制御することが可能となり、疾病予防の効果を十分に得ることができる。また、従来の快適性を求めた制御の場合のように、冷房や暖房が過剰に行われがちとなることもないため、省エネルギーが実現できる。さらに、居住者は疾病防止という強いインセンティブがはたらくため、制御に対する満足度も高くなる。
【0024】
なお、上記実施形態1の居住環境制御システムの変形例として、赤外線発光部3dによる赤外線を用いたエアコン20の制御の替わりに、無線送信によってエアコン20を制御することも可能である。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2の居住環境制御システムは、実施形態1における送信部2cとリモコン3の受信部3aとがパケット通信によって送受信可能とされている。その他の構成は、実施形態1と同じである。
【0026】
実施形態2の居住環境制御システムは、パケット通信によってエアコンが制御されることとなる。このため、住居環境シーケンスを供給する気象予報会社が、ユーザであるエアコン使用者から使用料を徴収する場合、パケット通信を有料とすることにより、容易にその使用料を徴収することができる。また、リモコン3を外出先から携帯電話によって作動させることも可能となる。
【0027】
(実施形態3)
実施形態3の居住環境制御システムは、図6に示すように、気象予報会社A内に設置された気象予報送信部4と、エアコン20を制御するためのリモコン5とからなる。気象予報送信部4は、図11に示すように、データ入力手段としてのデータ用コンピュータ4aと、データ用コンピュータ4aに接続された送信部4bとから構成されている。
【0028】
データ用コンピュータ4aは、実施形態1におけるデータ用コンピュータ2aと同様の機能を有している。また、送信部4bは、データ用コンピュータ4aに記憶されている一定時間毎の気象予報をFMラジオ波又はパケット通信によってリモコン5に送信可能とされている。
【0029】
リモコン5には、図12に示すように、受信部5aとメモリ5bとシーケンス生成部5cとシーケンサ5dと赤外線発光部5eとが設けられている。受信部5aは、気象予報会社Aの送信部2bから送信された気象予報を受信可能とされており、メモリ5bは気象予報を記憶可能とされている。また、シーケンス生成部5cは、気象予報及びエアコン使用者の個人的な健康データを入力することにより、エアコン使用者にとって最適な住居環境シーケンスを求めるための相関関係式がプログラムされている。さらに、赤外線発光部5eは居住環境シーケンスに基づいてエアコン20の赤外線受光部20aに赤外線信号を放射可能とされている。
【0030】
以上のように構成された実施形態3の居住環境制御システムでは、気象予報送信部4から送信された気象予報をリモコン5の受信部5aが受信し、メモリ5bに記憶される。そして、その気象予報をもとにシーケンス生成部5cが住居環境シーケンスをシーケンサ5dに送信する。さらに、その住居環境シーケンスに基づいて、赤外線発光部3dからエアコンを制御する赤外線信号が放射される。また、温湿度センサ3eによって感知された温度及び湿度がシーケンサ3cにフィードバックされる。
【0031】
こうして、実施形態3の居住環境制御システムは、エアコン使用者の健康状態にとって最適な、テーラーメイドの居住環境の制御を行うことが可能となる。また、シーケンス生成部5cにプログラムされている相関関係式は、データの蓄積とともに見直しを行ったバージョンの相関関係式をダウンロードすることによって更新され、さらにエアコン使用者の健康保持にとって効果的な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】救急車で搬送された尿管結石患者における時間と搬送数との関係を示すグラフである。
【図2】救急車で搬送された脳梗塞患者における時間と搬送数との関係を示すグラフである。
【図3】救急車で搬送された過呼吸症候群患者における時間と搬送数との関係を示すグラフである。
【図4】救急車で搬送された夏山型疾患の日搬送数と各気象要素の日平均値との相関を示す表である。
【図5】救急車で搬送された冬山型疾患の日搬送数と各気象要素の日平均値との相関を示す表である。
【図6】実施形態1及び3に係る居住環境制御システムの模式図である。
【図7】実施形態1に係るシーケンス送信部のブロック図である。
【図8】実施形態1に係るリモコンの模式図である。
【図9】気温予測値と最適温度シーケンスとを示すグラフである。
【図10】湿度予測値と最適温度シーケンスとを示すグラフである。
【図11】実施形態3に係る気象予報送信部のブロック図である。
【図12】実施形態3に係るリモコンのブロック図である。
【符号の説明】
2a、4a…データ入力手段(データ用コンピュータ)
2b、4b…相関関係解析手段(制御用コンピュータ)
2b、5c…シーケンス作成手段(シーケンス生成部)
20…空気調和機(エアコン)

Claims (4)

  1. 居住空間の環境を変化させることが可能な空気調和機を制御するための居住環境制御システムにおいて、
    過去の気象データと過去の疾病データと気象予報とを入力するためのデータ入力手段と、入力された該過去の気象データ及び入力された該過去の疾病データを解析することにより気象の変化と疾病との相関関係を求める相関関係解析手段と、該相関関係と入力された該気象予報とに基づき疾病を予防するために最適な居住環境シーケンスを作成することが可能なシーケンス作成手段とを備えており、
    前記相関関係解析手段は事例データから相関関係を求めることが可能なエキスパートシステムであることを特徴とする居住環境制御システム。
  2. 気象データには気温、湿度及び気圧の少なくとも1つのデータが含まれていることを特徴とする請求項1記載の居住環境制御システム。
  3. データ入力手段は制御される居住空間に居住する人の健康状態に関する健康データを入力することが可能とされており、シーケンス作成手段は入力された該健康データに基づき個別の健康状態を考慮した最適の居住環境シーケンスを求めることが可能とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の居住環境制御システム。
  4. 疾病データは救急車によって搬送された病人に関する救急搬送データであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の居住環境制御システム。
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