JP4336914B2 - 食物繊維の定量法及びそのキット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食物繊維の定量法および食物繊維定量キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食物繊維の定量法としては、Proskyらによって提唱された方法が、AOAC(Association of Official Analytical Chemists)により公定法として採用され(AOAC Method 985.29, 991.42, 991.43, 993.19)、米国をはじめ日本を含めた多くの国で基準法に採用されている。また、同法はAACC(American Association of Cereal Chemists)にも採用されている(AACC Method 32-05, 32-07, 32-21)。同法は、試料中の食物繊維以外の成分を酵素処理によって分解し、エタノール沈殿によって得た分解残渣から非消化性蛋白質と灰分及び試薬ブランクの重量を減算して、食物繊維の総量を算出することを基本としている。
【0003】
しかしながら、同法においては、上記の酵素処理操作の煩雑さが問題視されている。具体的には、該酵素処理においては、耐熱性α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼの3種の酵素を使用しているが、該酵素反応を行うために試料溶液を各々異なったpHに調整し、また、異なった温度で試料溶液を処理するため、酵素処理が3段階となり、さらには各段階でpH調整が必要であるという煩雑さを招いている。
【0004】
この方法の改良として、耐熱性α−アミラーゼの代わりに圧力鍋を用いた加熱処理にてでんぷん分解を行う手法も知られている(矢野ら、日本栄養・食糧学会誌、vol.43, No.3, 209〜214頁、1990)が、作業性が改善されるまでには至っていない。また、AOAC Method 991.43やAACC Method 32-07では、MES/Tris緩衝液(pH8.2)を使用し、耐熱性α−アミラーゼ処理及びプロテアーゼ処理間のpH調整を省略した方法となっているが、大きな作業性の改善には至っておらず、(即ち、アミログルコシダーゼを作用させる際に再度pH調整をする必要があり、)、特に、果実類を扱う場合、酸度が高く弱アルカリへのpH調整に苦慮する上、弱アルカリ条件下で分解しやすいペクチンのような物質を定量するには問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、より簡便に食物繊維を定量できるようにすべく、煩雑さ及び処理時間を改良した食物繊維の定量法及びキットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
より簡便な定量法の条件として、(1)定量操作の煩雑さを改善する、及び(2)全反応を短時間で完了する、を挙げて鋭意検討を重ねた。
【0007】
その結果、本発明者らは、これまで用いられていたアルカリ性プロテアーゼに代えて、中性プロテアーゼを使用することにより、初めて上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明者等は、アルカリ性プロテアーゼに代えて中性プロテアーゼを用いることによって、3種類の酵素を同じpH域で作用させることが可能となり、更には、中性プロテアーゼでの処理とアミログルコシダーゼでの処理を同時に行うことも可能となって、定量操作を簡略化できた。更に、定量操作を簡略化できたことによって、酵素処理液の総量が少量化できたため、副次的に沈殿操作に要するエタノール量が削減され、加えて濾過に要する時間が短縮されることとなった。
【0009】
即ち、本発明は、耐熱性α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを用いて食物繊維を定量する方法において、プロテアーゼが中性プロテアーゼである食物繊維の定量法及びその方法に係る定量キットを提供する。
【0010】
詳しくは、(1)試料に耐熱性α−アミラーゼを作用させ、次いで、
(2)中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを同時に作用させる定量法を提供するものである。
【0011】
また、キットとして、本発明は、耐熱性α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを含む食物繊維定量用キットを提供するものである。
【0012】
更に、耐熱性α−アミラーゼとして耐酸耐熱性α−アミラーゼを使用すると、試料が酸性のものの場合であっても試料の影響による若干の酸性へのシフトによる酵素への悪影響は小さくなり、pH調整が容易となるのに加え、高温処理時の緩衝液のpHドロップによる酵素反応への悪影響も抑制されることとなり、より正確に試料中の食物繊維を測定できることが可能となった。
【0013】
これらのことにより、反応操作も簡便になり、処理溶液も少なく済み、反応時間及び作業時間も短縮され、作業性が大幅に改善された。
【0014】
これら上記定量法は、種々の試料の食物繊維を定量することが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる中性プロテアーゼとしては、公知の中性プロテアーゼであれば、特に限定されない。例えば、エンド型の中性プロテアーゼであって、60℃程度で使用可能な耐熱性の中性プロテアーゼが挙げられる。該酵素の由来としては、特に問題ではなく、例えば、動物由来、微生物(バクテリア等、例えば、Bacillus thermoproteolyticus等)由来のものが挙げられる。また、遺伝子工学的に改変されたものや化学修飾されて製造されたものでもよい。例えば、改変された中性プロテアーゼは、その製造方法を含めBIO INDUSTRY vol. 15, No.5, p39-46(1998)に開示されている。
【0016】
より具体的には、市販されているサモアーゼ C160(大和化成株式会社製)、プロテアーゼTD「アマノ」(天野製薬株式会社製)、プロナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、サーモリシン(大和化成株式会社製、Bacillus thermoproteolyticus Rokkoの生産する中性のエンド型の金属プロテアーゼ)等が挙げられる。
【0017】
但し、該酵素は夾雑酵素を含まない中性プロテアーゼが好ましい。より好ましくは、プロテアーゼ結晶品であるサーモリシン(大和化成株式会社製)がよい。
【0018】
本発明に使用する耐熱性α−アミラーゼは、公知のものが使用できる。例えば、エンド型で沸騰浴中(95℃)で充分使用可能な耐熱性α−アミラーゼが挙げられる。該酵素の由来としては、例えば、微生物由来のものが挙げられ、例えば、Bacillus subtilis、Bacillus stearothermophilusやBacillus licheniformis由来の耐熱性α−アミラーゼが例示できる。また、遺伝子工学的に改変されたものや、化学修飾されたものであってもよい。
【0019】
より具体的には、市販品として、例えば、クライスターゼT(大和化成株式会社製)、ターマミル120L(ノボノルディスク社製)、A−3306(シグマ社製)、E−BLAAM(メガザイム社製)等が挙げられる。
【0020】
但し、夾雑酵素のない耐熱性α−アミラーゼが好ましい。
【0021】
特に好ましくは、耐酸性をも併せ持つ耐酸耐熱性α−アミラーゼが好ましい。該酵素の由来としても上記と同様のものが挙げられ、耐酸耐熱性α−アミラーゼの市販品としては、例えば、クライスターゼY(大和化成株式会社製)、GC521(ジェネンコア社製)やターマミルLC(ノボノルディスク社製)等が挙げられる。
【0022】
但し、夾雑酵素のない耐酸耐熱性α−アミラーゼが好ましい。
【0023】
本発明に使用するアミログルコシダーゼは、公知のものが使用できる。該酵素はα1,4及びα1,6グルコシル結合に共に作用するグルコシダーゼであり、60℃で使用できる酵素であれば特に限定されない。由来としても、通常使用されているものであれば、特に限定されないが、通常、カビ由来(例えば、Aspergillus属)のものが産業的に利用される。また、遺伝子工学的に改変されたものや、化学修飾されたものであってもよい。
【0024】
該酵素の市販品としては、コクゲンG(大和化成株式会社製)、A−9913(シグマ社製)、E−AMGDF(メガザイム社製)、アミログルコシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)等が挙げられる。
【0025】
但し、夾雑酵素のないアミログルコシダーゼが好ましい。
【0026】
上記各酵素は、できるだけ高純度のものが好ましい。また、各酵素の使用量や濃度は、試料の種類、量、酵素の力価、反応pH、反応温度等に応じて、適宜選択され、特に限定されないが、例えば、試料1gに、上記3種の酵素が加えられた最終的な酵素処理液中での各成分の濃度としては、以下の範囲で使用できる。
【0027】
耐熱性α−アミラーゼ :17,400〜122,000 JLU/L
(耐酸耐熱性α−アミラーゼ:13,000〜54,000 LJ/L)
中性プロテアーゼ:443,000〜1,770,000 PU/L
アミログルコシダーゼ:13,100〜52,600 JGU/L。
【0028】
上記各成分の好ましい範囲としては、以下の通りである。
【0029】
耐熱性α−アミラーゼ :31,400〜66,900 JLU/L
(耐酸耐熱性α−アミラーゼ:24,000〜30,000 LJ/L)
中性プロテアーゼ:797,000〜974,000 PU/L
アミログルコシダーゼ:23,700〜28,900 JGU/L。
【0030】
上記濃度として挙げられている各単位の意味は以下の通りである。
JLU:JISのK7001-1990に定められている細菌α−アミラーゼ活性測定法による。
LJ:旧JISのK7001-1972に定められる細菌α−アミラーゼ活性測定法による。
PU:細菌プロテアーゼ活性測定法によって測定されたものであり、乳製カゼインにプロテアーゼを35℃で作用させるときに、反応初期の1分間に1μgのチロジンに相当する非蛋白性のFolin試薬呈色物質の増加をもたらす酵素量を1PUとする。
JGU:JISのK7001-1990に定められているグルコアミラーゼ活性測定法による。
【0031】
本発明の方法に用いられる試料としては、特に限定されることなく、種々の穀類、野菜類、果実類等の食物全般が適用できる。試料の調製は、従来より行われている方法であれば特に限定されることなく、試料の特徴に応じて調製することが好ましい。定量に用いる検体量としては、適宜選択できる。
【0032】
本発明の定量方法は、上記3種の酵素を用いることを必須とする。上記酵素を用いる酵素処理は、(a)耐熱性α−アミラーゼ、(b)中性プロテアーゼ及び(c)アミログルコシダーゼの順で行ってもよいし、又は(a)耐熱性α−アミラーゼで処理後、(b)中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼで処理を行ってもよい。
【0033】
以下に好ましい方法を例にとって、図1を用いて本発明を詳述する。
【0034】
図1において、まず、調製された試料に、適当な緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、MES/Tris緩衝液等を添加して、pHを調整する。好ましくは、0.05〜0.1 mol/LのMES/Tris緩衝液がよい。好ましいpH域は、約5.5〜6.5である。
【0035】
次に、上記試料懸濁液に、耐熱性α−アミラーゼを添加して混合後、沸騰浴中(90〜100℃)で、所定時間反応させ、試料中の澱粉を分解させる。所要時間としては、約15〜30分程度である。
【0036】
続いて、温度を60〜65℃に冷却後、中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを添加して、所定時間反応させ、試料中に含まれる蛋白質やデキストリンを分解させる。所要時間としては、約30分程度である。
【0037】
得られた酵素処理液は、従来から行われている方法に従い処理することによって、総食物繊維を算出する。例えば、Prosky法(AOAC Method 985.29)やProsky変法(AOAC Method 991.43)があるが、Prosky法に従う場合には、具体的には以下の通りである(図2参照)。Prosky法に従って処理を行う場合には、試料は酵素処理後非消化性蛋白質量と灰分を各々定量する必要があるので、1回の分析について少なくとも2点を採って同時に上記操作に供させる。
【0038】
上記酵素処理液に、95vol%エタノールを加えて、食物繊維を沈殿させる。当該添加量としては、沈殿するのに十分な量を添加するのが好ましく、具体的には、酵素処理液の4倍量程度である。所要時間としては、室温で一晩程度であるが、あらかじめ60℃程度に加温した95vol%エタノールを使用すると、所要時間の短縮が図れるので好ましい。その場合、具体的には、室温で1時間程度で沈殿する。
【0039】
次に、あらかじめ、表面に均一なセライト層を形成しておいたるつぼ型濾過器(例えば、ガラス製等)を用いて吸引濾過を行う。濾過器上の捕集された残渣を(例えば、エタノールやアセトンで)洗浄後、乾燥させる。
【0040】
残渣中の蛋白質の定量は、一点のるつぼ型濾過器の捕集された残渣の全量を、セライトともにかき取り、例えば、ケルダール法で残渣中の窒素含量を測定する。得られた窒素含量値に、係数6.25を乗じることによって蛋白質質量とする。
【0041】
また、残渣中の灰分の定量は、他の一点のるつぼ型濾過器ごと、灰化処理を行い(例えば、525℃±5℃で5時間)、放冷、乾燥させた後、灰分の量を測定する。
【0042】
試料を含まない系(ブランク)、即ち、緩衝液及び酵素のみを、少なくとも2点を採って、上記操作を同様に行う。上記の結果から、試料中の食物繊維含有量をProsky法に従って算出する。
【0043】
本発明の食物繊維の測定原理は上記の通りであるが、本発明は、これまで使用されていたアルカリ性プロテアーゼに代えて、中性プロテアーゼを使用した結果、これまで煩雑であった酵素処理におけるpH調整が初めて簡略され、中性プロテアーゼによる酵素処理とアミログルコシダーゼによる酵素処理を同時に行うことも可能となり酵素反応に要する時間も短縮できることを見出した。
【0044】
本発明の方法は、キットを用いて好適に実施することができ、本発明はかかるキットも包含する。
【0045】
本発明のキットとしては、基本的には耐熱性α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを含んでいる。耐熱性α−アミラーゼは、好ましくは、耐酸耐熱性α−アミラーゼが好ましい。
【0046】
また、上記成分に加えて、酵素の熱安定性向上のため各酵素を含む試薬中にNaClやCaCl2等の塩を含有させることができる。
【0047】
また、上記各酵素の安定化のために、各酵素を含む試薬中に糖、糖アルコールやグリセリン等を配合していてもよい。
【0048】
キットに含まれる各酵素は、粉末(凍結乾燥品)の状態で、使用時に緩衝液や水を加えることによって調製しても良いが、好ましくは溶液の状態が良い。添加する水又は緩衝液を、キット中に、試薬として含んでいても良い。
【0049】
また、セライトを含む試薬を、キット中の試薬としても良い。
【0050】
その他、キット中に一般的に使用されている試薬を、本発明のキットに含んでいても良い。
【0051】
これら試薬中の各成分は、キット中有効量含まれ、当業者であればその各成分の有効量を設定することができる。
【0052】
上記酵素反応は、上述したように、調製された試料に、適当な緩衝液、例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、MES/Tris緩衝液等を添加して、pHを調整する。これらは、キット中の試薬として含まれていても良い。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、3種の異なる酵素を同じpH域で作用させることが可能となり、更には、中性プロテアーゼでの処理とアミログルコシダーゼの処理を同時に行うことも可能となって、定量操作を簡略化できた。更に、定量操作を簡略化できたことによって、酵素処理液の総量が少量化できたため、副次的に沈殿操作に要するエタノール量が削減され、加えて濾過に要する時間が短縮されることとなった。
【0054】
更に、耐熱性α−アミラーゼとして耐酸耐熱性α−アミラーゼを使用すると、試料が酸性のものの場合であっても反応液の若干の酸性シフトにも影響を受けることなく、反応させることが可能となり、より正確に試料中の食物繊維を測定できることが可能となった。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を用いて、より詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0056】
比較試験例1 従来法による小麦粉中の食物繊維の定量
市販の小麦粉(商品名:日清の小麦粉フラワー、日清製粉株式会社製)を、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採った。その値をW1及びW2とし、その差は20mg以内とした。
【0057】
採取した各試料に0.08mol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)を50mL加え、耐熱性α−アミラーゼ溶液(食物繊維定量用試薬キットTDF-100、シグマ社製)(30,400 JLU/g)0.1mLを加えてよく振り混ぜ、アルミ箔で覆い、5分間隔でビーカーを振り混ぜつつ、沸騰水浴中で30分間加熱した。
【0058】
室温まで冷却後、0.275mol/L水酸化ナトリウム溶液約10mLを加え、pH7.5に調整した。これにプロテアーゼ溶液(食物繊維定量用試薬キットTDF-100、シグマ社製)(72,500 PU/mL)0.1mLを加えて、アルミ箔で覆い、60℃の水浴中で振り混ぜながら30分間反応させた。
【0059】
室温まで放冷後、0.325mol/L塩酸約10mLを加え、pH4.5に調整した。これに、アミログルコシダーゼ溶液(食物繊維定量用試薬キットTDF-100、シグマ社製)(3,240 JGU/g)0.3mLを加えて、アルミ箔で覆い、60℃の水溶液中で振り混ぜながら30分間反応させた。
【0060】
得られた酵素処理液の4倍量(約280mL)の95vol%エタノールを加え、室温で一晩放置して食物繊維を沈殿させた。あらかじめ、るつぼ型ガラス濾過器(孔径2G2、(株)相互理化学硝子製作所製)にセライト(食物繊維定量用試薬キットTDF-100、シグマ社製)0.5gを加えて130℃で1時間加熱後デシケーター中で放冷し、恒量を0.1mg単位まで定めて、使用直前に78vol%エタノールを用いて均一なセライト層を作成しておき、これを用いて吸引濾過を行った。ガラス濾過器上に捕集された残渣を78vol%エタノール(20mL×3回)、95vol%エタノール(10mL×2回)及びアセトン(10mL×2回)で順次洗浄した。残渣をガラス濾過器ごと105℃で一晩乾燥し、シリカゲルを入れたデシケーター中で約1時間放冷した後秤量した。ここで、一方の蛋白質測定用残渣の重量をR1、もう一方の灰分測定用残渣の重量をR2とした。
【0061】
残渣R1の全量をセライトと共にかき取り、ケルダール法(ケルダール窒素分解−蒸留装置(三田村理研工業株式会社製)を使用した。)によって窒素含量を測定し、得られた窒素含量に係数6.25を乗じて残渣中の蛋白質の質量P1とした。
【0062】
また、残渣R2を濾過器ごと525℃で5時間灰化処理を行い、シリカゲルを入れたデシケーター中で約1時間放冷した後秤量し、残渣中の灰分A1とした。
【0063】
ブランクについても試料を含まない以外は上記操作と同様に行い、るつぼ型濾過器に捕集されたブランク残渣の各重量r1及びr2、ブランク残渣中の蛋白質量p1、及びブランク残渣中の灰分a1を求めた。
【0064】
これらの値を下記式
【0065】
【数1】
【0066】
に当てはめることによって、小麦粉中の食物繊維の定量を行った。結果を表1に示す。
【0067】
実施例1 本発明の方法による小麦粉中の食物繊維の定量
市販の小麦粉(商品名:日清の小麦粉フラワー、日清製粉株式会社製)を、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採った。その値をW1及びW2とし、その差は20mg以内とした。
【0068】
採取した各試料に0.05mol/L MES/Tris緩衝液(pH6.3)を50mL加え、耐酸耐熱性α−アミラーゼ(クライスターゼY(大和化成株式会社製)を精製して結晶化したもの)水溶液(13,400 LJ/mL)0.1mLを加えてよく振り混ぜ、アルミ箔で覆い、5分間隔でビーカーを振り混ぜつつ、沸騰水浴中で30分間加熱した。
【0069】
60℃まで冷却後、中性プロテアーゼ(サーモリシン(大和化成株式会社製))水溶液(443,000 PU/mL)0.1mL及びアミログルコシダーゼ(コクゲンG(大和化成株式会社製)を精製したもの)水溶液(438 JGU/mL)3mLを加えて、アルミ箔で覆い、60℃の水浴中で振り混ぜながら30分間反応させた。
【0070】
得られた酵素処理液の4倍量(約213mL)の95vol%エタノール(あらかじめ60℃に加温しておく)を加え、室温で1時間放置して食物繊維を沈殿させた。あらかじめ、るつぼ型ガラス濾過器(孔径2G2、(株)相互理化学硝子製作所製)にセライト(食物繊維定量用試薬キットTDF-100、シグマ社製)0.5gを加えて130℃で1時間加熱後デシケーター中で放冷し、恒量を0.1mg単位まで定めて、使用直前に78vol%エタノールを用いて均一なセライト層を作成しておき、これを用いて吸引濾過を行った。ガラス濾過器上に捕集された残渣を78vol%エタノール(20mL×3回)、95vol%エタノール(10mL×2回)及びアセトン(10mL×2回)で順次洗浄した。残渣をガラス濾過器ごと105℃で一晩乾燥し、シリカゲルを入れたデシケーター中で約1時間放冷した後秤量した。ここで、一方の蛋白質測定用残渣の重量をR1、もう一方の灰分測定用残渣の重量をR2とした。
【0071】
残渣R1の全量をセライトと共にかき取り、比較試験例1と同様にケルダール法によって窒素含量を測定し、得られた窒素含量に係数6.25を乗じて残渣中の蛋白質の質量P1とした。
【0072】
また、残渣R2を濾過器ごと525℃で5時間灰化処理を行い、シリカゲルを入れたデシケーター中で約1時間放冷した後秤量し、残渣中の灰分A1とした。
【0073】
ブランクについても試料を含まない以外は上記操作と同様に行い、るつぼ型濾過器に捕集されたブランク残渣の各重量r1及びr2、ブランク残渣中の蛋白質量p1、及びブランク残渣中の灰分a1を求めた。
【0074】
これらの値を上記数1に当てはめることによって、小麦粉中の食物繊維の定量を行った。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例1の方法における変動係数は比較試験例1のそれに比べ低い値となり、精度が改良されていることが判る。
【0077】
比較試験例2 従来法による大麦中の食物繊維の定量
市販の大麦(押麦)(商品名:押麦、(株)はくばく製)を粉砕し、0.35mm目(42メッシュ)のふるい通過物を試料として、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採り、比較試験例1と同様の方法によって大麦中の食物繊維の定量を行った。結果を表2に示す。
【0078】
実施例2 本発明による大麦中の食物繊維の定量
市販の大麦(押麦)(商品名:押麦、(株)はくばく製)を粉砕し、0.35mm目(42メッシュ)のふるい通過物を試料として、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採り、実施例1と同様の方法によって大麦中の食物繊維の定量を行った。結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例2の方法における変動係数は比較試験例2のそれに比べ低い値となり、精度が非常に改良されていることが判る。
【0081】
実施例3 本発明の方法による大豆中の食物繊維の定量
市販の大豆(きな粉)(商品名:きな粉、日本流通産業株式会社製)を、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採り、実施例1と同様の方法によって大豆中の食物繊維の定量を行った。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例4 本発明の方法によるにんじん中の食物繊維の定量
市販のにんじんを粗く粉砕し凍結乾燥後、更に均一に粉砕し、0.35mm目(42メッシュ)のふるい通過物を試料として、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採り、実施例3と同様の方法によってにんじん中の食物繊維の定量を行った。結果を表4に示す。但し、乾燥試料から乾燥前試料への換算は下記式にて行った。
【0084】
【数2】
【0085】
【表4】
【0086】
実施例5 本発明の方法によるキャベツ中の食物繊維の定量
市販のキャベツを粗く粉砕し凍結乾燥後、更に均一に粉砕し、0.35mm目(42メッシュ)のふるい通過物を試料として、1gずつ(0.1mg単位まで)500mL容のトールビーカーに2点量り採り、実施例3と同様の方法によってキャベツ中の食物繊維の定量を行った。結果を表5に示す。但し、乾燥試料から乾燥前試料への換算は上記数2に記載の式にあてはめて行った。
【0087】
【表5】
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい方法を示す図である。
【図2】酵素処理液を用いて食物繊維を定量する方法を示す図である。
Claims (6)
- 耐熱性α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを用いて食物繊維を定量する方法において、pH5.5〜6.5の間で
(1)試料に耐熱性α−アミラーゼを作用させ、次いで、
(2)中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼを同時に作用させることを特徴とする、食物繊維の定量法。 - 耐熱性α−アミラーゼが、耐酸耐熱性α−アミラーゼであることを特徴とする請求項1に記載の定量法。
- 請求項1または2に記載の方法を実施するためのキットであって、耐熱性α−アミラーゼ、中性プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼ含む食物繊維定量用キット。
- 請求項1または2に記載の方法を実施するためのキットであって、中性プロテアーゼとアミログルコシターゼの混合液と、耐熱性α−アミラーゼを含む食物繊維定量用キット。
- pHを5.5〜6.5に調節するための緩衝液を含む請求項3または4に記載の食物繊維定量用キット
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載のキットであって、耐熱性α−アミラーゼが耐酸耐熱性α−アミラーゼであることを特徴とするキット。
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