JP4338295B2 - インクジェットヘッド、該インクジェットヘッドを用いた装置、及び、フィルタリング方法、装置 - Google Patents
インクジェットヘッド、該インクジェットヘッドを用いた装置、及び、フィルタリング方法、装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを噴射して記録を行うためのインクジェットヘッド、該インクジェットヘッドを用いた装置、該インクジェットヘッドにインクを充填するためのインク充填装置及びインク充填方法、更には、液体中の異物を除去するフィルタリング装置及びフィルタリング方法に関し、例えば、プリンタ,複写機,FAX等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
オンデマンド型のインクジェット記録技術には、インクを充填した液室の壁の一部に振動板を設け、該振動板を変位させ液室内の体積を変化させて該液室内の圧力を高めてインクを吐出する方式や、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高めてインクを吐出する方式が広く知られている。
【0003】
近年では、インクジェットプリンタの低価格化,高画質化、更には、一般家庭へのパソコンの普及などによりインクジェットプリンタが様々な用途で数多く使用されている。インクジェットプリンタにおける大きな技術課題の一つとして高速化があり、この課題に対しては、インク吐出用の能動素子の駆動周波数の向上やノズル数,ヘッド数の増加などが行われている。このような高速印字を実現する上で、インクジェットヘッドに供給するインク流量の増大が不可避である。
【0004】
このインク流量の増大に伴い、インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部材の流路の抵抗値を小さくする必要が生じる。インクジェットヘッドの流路は、この抵抗値を考慮して設計されるが、その他に考慮される大きな要素に気泡の問題がある。流路内に気泡があり、印字中に気泡がインクジェットヘッド内に流入すると、インクがノズルから噴射しない状態となり異常画像となる。
【0005】
このような、インクジェットヘッドへの気泡混入の他に、気泡が問題となる部位としては、特開平11−277762号公報にも記載されているように、フィルタ部がある。フィルタは、上流側からの微細なごみがインクジェットヘッドに流れ込むことによる印写不良を防止する目的でインク流路内に設けられる。通常は、数ミクロンのパーティクルをほぼ100%取り込むろ過能力を有するものがインクジェットヘッドには用いられるが、そのために、フィルタが大きな流体抵抗となる。
【0006】
前述のように、大流量のインク供給を達成する上においては、フィルタサイズを大きくすることが必要となるが、フィルタが大きくなるほどインクの充填性が悪くなりフィルタ部に気泡が多く残留する。この気泡がフィルタに接触して膜を形成すると、その部分をインクが流れなくなるため流体抵抗が大きくなり、インク供給量が不足する不具合が発生する。また、印字中にフィルタを気泡が抜けてインクジェットヘッドに流入しても印字品質に悪影響を及ぼす結果となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、インクジェットヘッドのインク供給経路中に設けられるフィルタ部のインク充填性の向上を目的とするものであり、特に、大面積フィルタを形成したフィルタ室において良好な充填性を確保することで信頼性の高い高速インクジェット記録装置、液滴吐出装置及び画像形成装置を実現することを目的とするものである。
【0008】
以下に、本発明が解決しようとする課題を具体的に列挙する。
・インクジェットヘッドに設けられるフィルタ室に中間部材を設け、フィルタ室のインク充填性を向上する。
・フィルタ室内の中間部材によりインクの流れを分割することでフィルタ近傍部の充填容積を減らし、インク充填性を向上する。
・フィルタ室内の中間部材により該フィルタ室の充填空間を分離して、インクの充填性を向上する。
・フィルタ近傍の充填空間を略等しくすることで、分割された各充填空間を平均化し、充填性を向上する。
・気泡の上昇を助長し、フィルタ近傍での気泡の残留を防止する。
・フィルタ室内壁及び中間部材の表面に沿ってインクがフィルタに到達する時間を略等しくして、フィルタ室のインク充填性を向上する。
・インクの流れ抑制機能を有する中間部材を用いてフィルタ室をインクで良好に充填するための充填方法を提供する。
・中間部材とフィルタの間隔を等しくして充填をフィルタ全面に均一に行う。
・フィルタ室が大型の場合にも良好な充填性を確保する。
・フィルタ室に容積変化を生ぜしめる中間部材を用いてフィルタ室をインクで良好に充填するための充填方法を提供する。
・充填時に充填空間を小さくすることにより充填性を向上する。
・充填時に充填空間を小さくし良好な充填性を得るとともに、充填後、充填空間を大きくして気泡トラップ空間を形成する。
・フィルタ室の充填空間を分離して、インクの充填性を向上する。
・中間部材のフィルタとの接触部を補強することにより、中間部材の耐久性を向上する。
・中間部材の変形によるインク供給路の閉塞を回避する。
・インクの充填の際の液面を適正化して充填性を向上する。
・中間部材の上流側のインク充填性を向上する。
・充填空間を狭くして充填性を向上する。
・安価で組立性の良い中間部材を実現する。
・充填信頼性が高いインクジェットヘッドを実現する。
・信頼性が高く高速記録可能なインクジェット記録装置を実現する。
・充填性の良好なフィルタリング方法及び装置を実現する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、該フィルタ室の上流側に前記フィルタ室へのインクの流れを分割する中間部材を有し、前記中間部材は上流側からフィルタ室内壁を伝わりフィルタに達する経路長と、上流側から前記中間部材を伝わりフィルタに達する経路長とが同等となる形状であることを特徴としたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記中間部材は前記フィルタに接触して設けられることを特徴としたものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記中間部材は前記フィルタ室の容積を略等分に分割することを特徴としたものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記中間部材と前記フィルタで挟まれた空間が下流ほど広がっていることを特徴としたものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記中間部材の表面と前記フィルタ室の内壁に親水処理がなされていることを特徴としたものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記中間部材と前記フィルタ室の内壁と前記フィルタで囲まれた空間がインク充填方向に対して対称形であることを特徴としたものである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記中間部材の濡れ性が前記フィルタ室の内壁の濡れ性と略等しいことを特徴としたものである。
【0017】
請求項8の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、フィルタ室外部からの圧力で該フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室内のフィルタを通して前記インク液室にインクを供給するインク充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させることを特徴としたものである。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触することを特徴としたものである。
【0019】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記中間部材は前記フィルタとの接触部に補強部材が形成されていることを特徴としたものである。
【0020】
請求項11の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であることを特徴としたものである。
【0021】
請求項12の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材の表面あるいは前記フィルタ室の内壁に凹凸あるいは溝が形成されていることを特徴としたものである。
【0022】
請求項13の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、インクの流れる複数の開口が設けられた中間部材をフィルタ室内のフィルタ上流側のインク流れ方向に複数設け、上流側ほど該中間部材の開口径が大きくなっており、前記開口にメニスカスを形成したインクが一旦保持された後にフィルタにインクが充填されることを特徴としたものである。
【0023】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記中間部材は複数の開口を有し、該開口の開口径が前記フィルタの開口径よりも大きいことを特徴としたものである。
【0024】
請求項15の発明は、請求項13又は14の発明において、前記中間部材が前記フィルタに近接して設けられることを特徴としたものである。
【0025】
請求項16の発明は、請求項13乃至15のいずれかの発明において、前記中間部材が前記フィルタに平行に設けられることを特徴としたものである。
【0027】
請求項17の発明は、請求項13乃至16のいずれかの発明において、前記中間部材が金属製であることを特徴としたものである。
【0028】
請求項18、28あるいは29の発明は、請求項1乃至17のいずれかのインクジェットヘッドを搭載したものである。
【0029】
請求項19の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材を膨張させた状態でインクの充填動作を開始し、該中間部材を収縮した後に前記インク充填動作を終了させることを特徴としたものである。
【0030】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させることを特徴としたものである。
【0032】
請求項21の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室の上流側に複数の開口を有する中間部材を前記開口の一方の側を前記フィルタに近接対向して有し、インク充填開始時、前記フィルタの下流側を負圧にし、前記開口の他方の側から前記中間部材にインクを供給して前記開口の前記一方の側にメニスカスを形成し、次いで、前記負圧を高くして前記メニスカスを形成しているインクを前記フィルタに接触させるようにしたことを特徴としたものである。
【0033】
請求項22の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側に前記フィルタ室へのインクの流れを分割する中間部材を有し、前記中間部材は上流側からフィルタ室内壁を伝わりフィルタに達する経路長と、上流側から前記中間部材を伝わりフィルタに達する経路長とが同等となる形状であることを特徴としたものである。
【0035】
請求項23の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室への液体充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させることを特徴としたものである。
【0036】
請求項24の発明は、請求項23の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触することを特徴としたものである。
【0037】
請求項25の発明は、請求項23の発明において、前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であることを特徴としたものである。
【0038】
請求項26の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング方法において、フィルタが配設されたフィルタ室内の前記フィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材によってフィルタ室の容積を小さくした状態で液体の充填を開始し、その後、前記フィルタ室の容積を大きくすることを特徴としたものである。
【0041】
請求項27の発明は、請求項26の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させることを特徴としたものである。
【0043】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用されるインクジェット記録装置の要部構成斜視図、図2は、図1に示したインクジェット記録装置の内部構成を説明するための側面構成図で、このインクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向(矢印A方向)に移動可能なキャリッジ13、該キャリッジ13に搭載したインクジェットヘッド14、該インクジェットヘッド14へインクを供給するインクカートリッジ15等で構成される印字機構部2等を収納し、記録装置本体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)4を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0044】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド14を、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0045】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じてインクジェットヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0046】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェットヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置16を配置している。回復装置16は、周知のように、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は、印字待機中は、この回復装置16側に移動されてキャッピング手段でインクジェットヘッド14がキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0047】
インクカートリッジ交換時や吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェットヘッド14の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0048】
図3は、本発明によるインクジェットヘッドの基本構成を示す分解図、図4は図3に示したインクジェットヘッドを静電駆動方式とした場合の、組立後のX−X線断面詳細図で、図中、21は液室基板、22は電極基板、23はノズル板、24は配電部材、25はインク流路を構成する第1の部材、26はインク流路を構成する第2の部材、27はフィルタ、28a,28bはインク流路、29は配電部材用貫通穴、40は中間部材で、図4に示すように、複数のインク加圧室32を含む液室基板21が電極基板22とノズル板23に接合されてインクジェットヘッド部20が形成されている。
【0049】
インクジェットヘッドの裏面にはインク供給部材の第1の部材25が接合され、インク流路28bから流体抵抗31を介して両列の加圧液室32にインクが供給される。加圧液室32の一面は振動板33を兼ねており、周知のように、電極基板22に配電部材24により電圧信号を印加することにより、電極基板22と振動板33の間に静電引力が発生し、振動板33を変位させて加圧液室32の内圧を変化させ、ノズル34からインクを吐出させる。
【0050】
本インクジェットヘッドは、小型化,高速化のため、必然的にノズル数が多くなり、それに伴い、図3に示すように、インクジェットヘッドは細長く且つ偏平な構造体となっている。インク供給部材は、第1の部材25と第2の部材26の2部品からなり、両者の間にフィルタ27が設けられてフィルタ室35を形成している。フィルタ室35を形成するインク供給部材25,26には様々な材料を用いることが可能であるが、量産性,フィルタ固定等の面で樹脂材料が優れている。フィルタ27は、インク中の異物がインクジェットヘッド20内に侵入してノズル目詰まりなどの障害が生じるのを防ぐ目的で設けられる。このフィルタ27に関しても金属フィルタ,樹脂フィルタ等を用いることができるが、金属フィルタは高耐久,安価であるだけでなく、フィルタが固定される部材が樹脂製の場合には、熱溶着等で短時間に固定でき量産性にも優れており好ましい。
【0051】
図5は、フィルタ室のフィルタ面と垂直な方向の断面(図3のY−Y線断面)の簡略図であるが、図5では、図3,図4とは上下が逆になっており、インクは上から下方向に流れる。フィルタ室35がほぼ空の状態でインクを充填する場合、図5(A)に示すように、インクは主にフィルタ室35の内壁35aを伝わる形態でフィルタ室35に流れ込む。充填の過程でフィルタ室35内の空気はフィルタ27から押し出されて徐々にインクと置換されていくが、空気が多くフィルタ室35に残っている段階でインクがフィルタ27に達すると、フィルタ表面が毛管力によって高速に濡らされて膜を形成するため、フィルタ室35内の空気がフィルタ27を通過することができなくなる。その結果として、フィルタ27より上流側に気泡36が残留する(図5(B))。
【0052】
フィルタ27の上流側に大きな気泡36が残留すると、印字の際に、気泡36の一部がフィルタ27を通過してヘッド部20に流れ、異常画像の原因となったり、図5(B)に示すように、フィルタ27に貼り付いた形で残留すると、気泡36の部分をインクが通過できないため、ベタ画像のように、インクを大量に消費する画像を印字する際にインク流量が不足し、異常画像となる。フィルタ部への気泡の残留を回避する方法として最も有効な手段は、フィルタ面積及びフィルタ室容積を小さくすることである。
【0053】
しかしながら、前者の方法は、フィルタ部の流体抵抗が大きくなるため、高速印字の場合に必要なインク流量が確保できない問題が生じる。後者の方法は、フィルタ室容量が小さいために残留気泡の絶対量は少なくなるが、図6に示すように、インク流入口から近いところと遠いところの差が大きいため、完全に充填することが難しく、また、気泡36がフィルタ27に貼り付いた形態で残留しやすく、フィルタ27に気泡が貼り付くと、その部分でインクが流れないために、実質的なフィルタ面積をロスすることになり、前述した高速印字での流量不足を招く結果となる。
【0054】
また、充填性を向上させる別の方法としては、フィルタを円形とし、その中心部にインクを供給する方法がある。この方法は、同じ面積の四角形のフィルタの場合に比べて、フィルタ室形状の対称性ゆえに、インクが均一に充填されやすく充填性は向上するが、高速印字対応のインクジェットヘッドに対応するべく大面積化した場合、四角形のフィルタに比べてフィルタ設置スペースに対して融通性に乏しく、図3に示したように、インクジェットヘッドに直接固定すると、ヘッドが大型化するデメリットが生じる。
【0055】
本発明は、高速印字に適用できる大型フィルタを搭載した小型インクジェットプリンタを実現すべく、本来、良好な充填が難しい大サイズのフィルタを有するフィルタ室の充填性を向上するものであり、その方法としては、インクがフィルタに略同時に達する中間部材をフィルタ室内部に形成するものである。
【0056】
図7は、本発明による中間部材40の一例を示すもので、図示例の場合、フィルタ室35のフィルタ27の上流側に略菱形形状の中間部材40を設けている。この中間部材40により、フィルタ室35に供給されたインクは2つに分流される。この分流により実質的に充填する空間が半分になり、フィルタ室を比較的充填が容易な小サイズとすると共に、フィルタ27を同時にインクで濡らしやすくすることができる。したがって、充填性が大幅に向上する。
【0057】
また、図6で述べたフィルタ室を扁平形状にして充填容積を減らした構成では、フィルタ27に付着した形態で気泡36が残留しやすいが、本発明の場合には、フィルタ室の高さをある程度高く保ちながらフィルタ室の容量を減らしているため、完全充填されなかった場合にも、気泡36はフィルタ27から離れた位置に浮かぶ残留形態となるため、フィルタ部の流体抵抗増加による流量低下の不具合が回避できる。
【0058】
この分流の効果をより大きくするには、図8に示すように、中間部材40をフィルタ27に接触状態で固定する方法がある。このようにすることによりフィルタ室35の上部の充填空間が完全に分離できるため、さらに充填性が向上する。
【0059】
図7,図8では、中間部材40が、フィルタ室35の容積を二等分するように配置されているが、このように等分な分割にせず、大きさの異なるフィルタ室が混在する形態とすると、各々のフィルタ室の充填速度に差が生じるため、充填速度が遅い側で大きな気泡が残留し、良好に充填できない。また、中間部材40の形状に関しては、例えば、図9に示すように、中間部材40のフィルタ27に対抗する面が水平であると、中間部材40とフィルタ27で挟まれた部分の気泡36がその部分にとどまり、フィルタ27に付着しやすくなる。
【0060】
したがって、図7,図8に示すように、中間部材40とフィルタ27で囲まれた空間は、フィルタ27に近づくほど広くなるような形状とすることが好ましい。このようにすることで、中間部材40とフィルタ27の間で気泡が生じた場合でも、気泡はその部分に残留せず浮力で上方に移動する。したがって、流量を損なわない充填状態を得ることができる。
【0061】
また、上述のように、フィルタ部で生じた気泡を上方に移動させるという目的に対して、中間部材40とフィルタ室35の内壁35aをプラズマ処理,オゾン処理,アッシングなどにより親水化する方法が有効である。親水化することにより、中間部材40及びフィルタ室の内壁35aに気泡が貼りつきにくくなり、気泡の上方への移動を容易にすることができる。
【0062】
また、中間部材40の形状としては、例えば、図10に示すような幅狭のものも考えられるが、このような構成の場合は、フィルタ室35の内壁35aを伝わるインク経路と中間部材40を伝わるインク経路でフィルタ27までの距離が異なるため、フィルタ27を略同時に濡らすことが難しい。その結果、一様なインク充填が行えず、比較的大きな気泡が残留してしまう。したがって、フィルタ室内壁側35aを伝わるインクと中間部材40側を伝わるインクが略同時にフィルタに到達するようにするには、図7,図8に示したように、中間部材40とフィルタ室内壁35aとフィルタで27囲まれた空間がインク充填方向に対して対称形であると良い。
【0063】
さらに、フィルタ室35の内壁35a及び中間部材40の表面に沿って流れるインクが略同時にフィルタ27に到達させるためには、フィルタ室内壁35a及び中間部材40上を移動するインクの流速を等しくすると良い。そのためには、フィルタ内壁35a及び中間部材40の材質や表面粗さを等しくして濡れ性を同一にする方法が有効である。
【0064】
以上に説明したように、中間部材40を用いてフィルタ室35に流れ込むインクを分流することで実効的な充填容積を減らし、フィルタ27を略同時に濡らす形態での良好な充填を実現することができる。特に、図3に示したような、高速印字が可能な多数のノズルを有する小型インクジェットヘッドにおいて、ヘッドにフィルタ室が直接固定される場合に特に効果がある。
【0065】
図11は、以上に説明した分流とは別の作用を有する中間部材41を用いてフィルタ室35内にインクを充填する場合の例を説明するための図で、図11(A)は充填前を示し、図示のように、フィルタ室35のフィルタ27の上流側に円形断面の中間部材41が設けられている。この中間部材41は、例えば、薄いゴム性のチューブであり、図11で、紙面垂直方向に気体または液体の供給口が設けられており、気体または液体の出し入れによって体積が変化する機能を有している。インク充填直前に、図11(B)に示すように、中間部材41を膨張させ、その状態でインク注入を開始する。インクの注入は、フィルタ室35の上流側から正圧でインクを押し流す方法でも良いし、フィルタ室35の下流側から負圧でインクを吸引する方法でも良い。
【0066】
図1,図2に示した記録装置では、回復装置16によりヘッドのインク吐出面をキャッピングし、ポンプを用いてキャップ内を負圧状態にしてフィルタ室も含めてインクジェットヘッドにインクを充填している。このような負圧吸引方式で充填する場合は、気体または液体の供給口を大気と連通させ、チューブ材質や厚さを適正に選択することにより、吸引負圧と大気の差圧で中間部材41を膨張収縮させることも可能である。このようにすれば、中間部材41へ気体あるいは液体を出し入れする手段が不要となり、有効である。本発明の場合には、中間部材41の膨張により充填空間が埋められ充填容積が小さくなっているため、フィルタ室35にインクが良好に充填される。
【0067】
次に、インク注入動作を継続した状態で中間部材41を徐々に収縮させていき、収縮完了後、インク注入動作を終了する。しかし、中間部材41の収縮が完了する前に、インク充填動作を終了すると、ヘッド内が外部に対して相対的に負圧になるため、インクが逆流しヘッドのインク吐出口から空気を吸い込んでしまう。したがって、中間部材41の体積増減は、回復装置16の動作と連動した形態で制御される。
【0068】
このように、中間部材41の体積変化を利用することにより、前述のインク充填段階での充填容積が小さいことによる充填性向上の効果だけでなく、充填動作終了後はフィルタ室容積が増加しているため、充填動作時に残留した気泡36がフィルタ室上方に上昇するスペースを設けることができる(図11(C))。したがって、フィルタ室35に気泡36が残留した場合、気泡残留位置をフィルタ27から離れた位置にすることができるので、印字途中でフィルタ室35内の気泡36がフィルタ27を通過してヘッドに流れ込み、インク非吐出等の不具合を回避することができる。
【0069】
中間部材の体積変化を利用する場合、図12に示すように、中間部材41が膨張時に、フィルタ27に接触するようにすると、充填時にフィルタサイズを小さくする効果があるため、充填性が向上する。このように、中間部材41をフィルタ27に接触させる場合、フィルタ27のバリやフィルタに捕束されたゴミ等により中間部材41が損傷する危険性がある。したがって、中間部材41のフィルタ27と接触する部分には補強部材41aを設けると良い。補強部材41aとしては、樹脂フィルム,ゴム板等様々なものを用いることができる。
【0070】
以上に説明してきたように、インク充填時は、充填空間を小さくすべく、中間部材の体積を極力大きくすることが望ましいが、図13に示すように、最大膨張時に中間部材41が完全にインク供給路を遮断してしまうと、インクが充填されなくなる。したがって、図13に示すように、中間部材41が大きく膨張した際にもインクが供給されるように、フィルタ室内壁35aあるいは中間部材41の表面に溝や凹凸が形成されていると良い。
【0071】
図14は、中間部材としてフィルタ室35の内壁の一部に弾性体42を設けた例を示す図で、この場合は、図14(B)のように、外部より加圧棒51を挿入するなどして弾性体(中間部材)42を変形させてインクを充填し、充填後に、図14(A)の状態に戻すことで、前述の中間部材41自体を体積変化させる場合と同様の効果を得ることができる。弾性体42の変形手段としては、図14に示したものに限られず、空気圧などを利用することもできる。また、負圧吸引充填方式の場合は、弾性体42の弾性率等を適正に選択することにより、吸引負圧と大気の差圧で弾性体を変形させることができるので、図14に示した加圧棒51なしの構成で同様の効果を得ることができる。
【0072】
図15は、インクの流れを抑制する機能を有する中間部材43を用いてフィルタ室35を充填する場合の例を説明するための図で、中間部材43には、フィルタ27よりも開口の大きな穴が多数形成されており、該中間同部材43はフィルタ27の上流側でフィルタ27から微小距離d隔てた位置に設けられている。このような構成のフィルタ室35に比較的小さい圧力で第1次の充填動作を行ってインクを供給すると、インクは、まず、図15(B)にAで示す位置に達する。このA位置においては、中間部材43の開口が大きいためメニスカス保持力が小さく塞き止められることがないため、インクは中間部材43の穴内を流れ、中間部材43の下流端(Bで示す位置)に達する。この時の充填圧が大きすぎると、インクはそのままフィルタ部27に流れ出してしまうが、充填圧を適正に設定することにより、中間部材43の内部の穴部の抵抗分に起因する圧力損失のため、中間部材43の下流端でインクがメニスカスを保持し、図15(B)に示すように、液面を停止状態にすることができる。
【0073】
次に、第2次の充填動作で圧力を一気に増加させると、中間部材43の下流端のメニスカスが破れ、インクが空気を押し出しながら中間部材43の全面からフィルタ27に向かって流れ出す。したがって、フィルタ27の全面がインクによって略同時に濡らされる状態を作り出すことができ、良好な充填状態を得ることができる。
【0074】
図15に示した方式の場合は、第2次の充填動作で中間部材43内に塞き止められたインクをフィルタ全面に略同時に到達させることを狙いとしているため、中間部材43の下流端はフィルタ27に対して平行であることが望ましい。大きく傾いて設けられた場合には、両者の距離が短い部分でインクがフィルタ27に先に到達してしまい、充填が不十分のうちにフィルタ上にインク膜が形成され、フィルタ27の上流側に気泡が残留する結果になりやすい。また、中間部材43で一旦保持されたインクを第2次の充填動作で下流側に流して充填する際、フィルタ27と中間部材43の距離が大きいと、フィルタ27の全面にインクが同時に達しにくくなり、充填不良が生じやすくなる。したがって、中間部材43とフィルタ27の距離は中間部材43にインクが保持される際に液面がフィルタ27に触れない程度に近接させることが望ましい。
【0075】
なお、図15においては、中間部材43内に形成される穴の径は上流から下流まで一定としているが、図16に示すように、上流側の径を下流側の径よりも大きくしても良い。第1次及び第2次の充填動作における圧力と中間部材のサイズ等により中間部材に形成される穴の径と長さを適正化することで良好な充填を行うことができる。
【0076】
図17は、前述のごときインクの流れを抑制する機能を有する中間部材43を複数(例えば、431,432,433,434)設けた構成を示す図で、図17に示すように、インクの流れの上流側ほど中間部材43の開口(穴径)が大きくなっている。また、上流ほど中間部材のサイズ(幅)が小さくなっている。図17では、フィルタ27の上流側に中間部材が4層(431〜434)設けられており、充填圧力を5段階に分けて大きくしながら順次充填動作を行うことでフィルタ室35内を良好に充填するものである。本構成では、中間部材でフィルタ室が小さい空間に仕切られているため、それぞれの部分での充填性を著しく向上することができる。
【0077】
なお、中間部材としては様々な材料を用いることができるが、コストや組立性を考慮すると、金属製のフィルタが望ましい。金属メッシュは、開口率の選択性が広く、打ち抜き加工で簡単に所望の形でフィルタ部品を製造でき、また、表面処理等も容易にできる。また、フィルタ室への固定も熱溶着などで短時間に簡単に行うことができる。
【0078】
なお、以上には静電方式のインクジェットを例に説明したが、本発明は、圧電方式やバブルジェット方式等他の印字方式のインクジェットヘッドにも有効である。また、本発明は、主に、インクジェットプリンタのインクのフィルタ装置に用いるものであるが、それに限られるものではなく、例えば、油圧装置等に用いられるフィルタ装置等にも適用することができる。
以下に、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
図3,図4に基づいて説明すると、液室基板21として厚さ200[μm]のシリコン基板を用い、電極基板22として厚さ1[mm]のホウケイ酸ガラスを用いた。液室基板21には予めシリコン基板の一面に振動板33の厚みに応じたボロン層を形成し、このボロン層をエッチングのストップ層とすることでウェットエッチングにより振動板33を形成した。また、電極基板22は、ウェットエッチングによって形成した溝にスパッタによってNi電極をパターニングし、その電極の上に電極保護膜としてのSiO2層をスパッタ法で製膜した。また、電極基板22の中央部にはブラスト加工により貫通穴を設けインク流路を形成した。
【0079】
次に、これらの基板21,22の電極位置と振動板33の位置を正確に位置決めして、両者を陽極接合により接合し、その後、ドライエッチングによりシリコンの中央部にインク流路としての貫通穴を形成した。このようにして、150dpiで振動板が千鳥で2列配置され、中央部にインク流路28を有する静電アクチュエータ20aを形成した。次に、電鋳工法によりノズル34、流体抵抗部31が一体的に形成されたノズル板23を接着剤を用いてアクチュエータ20aに接合し、約400ノズルのインクジェットヘッド20を形成した。
【0080】
インクジェットヘッド20の電極基板22の裏面には樹脂材料からなるインク供給部材25を接合した。インク供給部材は、図3に示すように、第1の部材25と第2の部材26からなり、両者の間にフィルタ27が内包される構成とした。フィルタ27としては、ステンレスの綾畳織方式のもので、約5[μm]のろ過精度で4mm×35mmの長方形状のものを用い、第1の部材25に熱溶着により固定した。インク供給部材のフィルタ室35の長手方向(図3のY−Y線)断面図を図5(A)に示す。フィルタ室35はフィルタ27の上流側,下流側共に略四角錘形状とし、高さh1,h2をそれぞれ7.5mm,2mmとした。また、双方の部材は、インク充填性の評価のため透明なアクリル樹脂で製作した。
【0081】
上述のようなインクジェットヘッドでノズル面に吸引装置を装着し、約−5[kPa]の圧力で5cc吸引を行った後、インク供給部材のフィルタ部27の観察を行ったところ、図5(B)に示すように、フィルタ27の上部に大きな気泡36が残留した。この状態で、図1に示したインクジェット記録装置により、ベタ画像の印写耐久試験を行ったところ、白筋と呼ばれる異常画像が発生する不具合が生じた。
【0082】
次に、図6に示すように、フィルタ室35の容積が小さい構成のヘッドに変更し、同様にインク充填を行ったところ、図6に示すように、気泡そのものは少なくなったが、薄い気泡36がフィルタ27に貼り付く形態で残留した。このヘッドをプリンタに搭載し、ベタ画像の印写耐久試験を行ったところ、先と同様の異常画像が発生した。
【0083】
次に、図7に示すように、フィルタ27の上流側中央部に断面が菱形形状の中間部材40を形成したインク供給部材を用いてインクジェットヘッドを組立て、前述と同じ条件でインク充填及び印写評価を行った。中間部材40もアクリル樹脂とした。その結果、充填後のフィルタ室35に気泡36は残留したが、中間部材40を設けない構成での気泡に比べて著しくサイズが小さく、図8に示すように、フィルタ27の上流側の空間の略中ほどに浮遊する形態で残留した。印写評価においても、異常画像が発生することなく良好な結果が得られた。
【0084】
中間部材40の形状に関して、図9,図10に示すようなものを用いて比較実験を行ったが、図9の構成では気泡のサイズ自体は小さいものであったが、多くの場合、中間部材40の下側に気泡36が残留しやい結果であった。中間部材40の底面が水平なため、気泡が上方に移動せず、フィルタ27に接触した形で残留するため、印写評価で異常画像が発生した。また、図10の構成では、印写評価では良好な結果を得ることができたが、図7の構成の場合と比較して残留する気泡が大きい結果であった。
【0085】
次に、中間部材40の位置を、水平方向,垂直方向に移動させて、充填性に対する影響を調べた。まず、中間部材40を水平方向にずらした場合は、図18に示すように、中間部材40が寄った側の充填性は良好であったが、反対側に大きな気泡36が残留した。また、中間部材40を図7に示す位置から下げて、中間部材40がフィルタ27に接触するようにしたところ、図8に示すように、残留する気泡36のサイズがさらに小さくなった。
【0086】
次に、部材の濡れ性影響について調べるため、図8に示す構成で、中間部材40及びフィルタ室35の内壁面35aに撥水材料をコートしたものと、プラズマ処理により親水処理したものを2種類準備し、比較評価を行った。その結果、親水処理したサンプルは、図8に示すように、小さい気泡36がフィルタ室35の上方に浮遊して残留し、良好な結果であったが、撥水処理したサンプルでは、図19に示すように、中間部材40やフィルタ室35の内壁35aに気泡36が貼り付いて上方に浮上せず、好ましくない位置で、フィルタ27近傍に残留する場合があった。
【0087】
さらに、中間部材40を金属に変更し、中間部材40とフィルタ室内壁35a面の濡れ性に差のある構成にしたところ、若干であるが残留する気泡が大きくなった。
【0088】
以上の実験により、大サイズのフィルタ室の充填を良好に行うために、フィルタ27の上流側に中間部材40を設ける効果が確認された。中間部材40を設けてもフィルタ室35の形状,大きさ等によっては気泡36が残留する場合があるが、中間部材40の形状,位置,濡れ性等を適正にすることにより印写特性に悪影響を与えないようにすることが可能である。
【0089】
なお、以上の実施例ではフィルタ室35を2分割する構成についてのみ説明したが、特に、フィルタサイズがさらに大きい場合には2分割以上にして、インクがフィルタ27を略同時に濡らす構成にすると良好な充填を実現することができる。
【0090】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例を図3,図4,図11に基づいて説明する。液室基板21としてはシリコン基板を用い、振動板33を異方性エッチングにより形成した。その際、シリコン基板21の一面に予め振動板33の厚みに応じたボロン層を形成し、このボロン層をエッチングのストップ層とすることで振動板33が一面に設けられた加圧液室32を形成した。また、同時に中央にインク流路28の部分もエッチングを行い、溝を形成した。電極基板22にもシリコン基板を用い、液室基板21の振動板33に対応した位置にエッチングによって深さ1[μm]以下の浅溝を設け、溝の底部にTiN電極を形成した。また、この電極の上面の液室基板21と対向する領域には電極の保護層としてのSiO2膜を形成した。電極基板22と液室基板21を直接接合法により貼り合わせた後、電極基板22の裏面からインク流路にあたる中央部溝をウェットエッチング及びドライエッチングにより加工して貫通させ、静電方式のアクチュエータ部材20aを形成した。
【0091】
ノズル板23はNiの電鋳工法により形成し、直径約25[μm]のノズル34及び幅70[μm]、長さ600[μm]、深さ20[μm]の流体抵抗31を設け、吐出面側にはNiとPTFEの共析メッキ法により撥水膜を成膜した。続いて、ノズル板23の非撥水面に2液性硬化型のエポキシ接着剤を薄膜塗布し、アクチュエータ部材20aの加圧液室32側に接着硬化した。アクチュエータ20aを駆動する電気信号を伝達する配電部材24としてはFPCを用い、電極基板22の端部に設けられた電極パッドにACFを介して接合した。最後に、インク供給部材25にアクチュエータ部材20aを接着し、インクジェットヘッド20を組立てた。
【0092】
インク供給部材25,26には、図11(A)に示すように、中央にフィルタ27を有するフィルタ室を形成した。フィルタ27には、大きさ4mm×35mmの長方形のステンレスの綾畳織方式のもので、約5[μm]のろ過精度のものを使用した。また、フィルタ室35の形状は実施例1で説明した図5(A)と同様とし、透明なアクリル樹脂で製作した。また、フィルタ室35のフィルタ27の上流側(図11(A)で上側)の略中央部に直径約5mmの穴を形成し、同部位に弾性に富んだゴムチューブを中間部材41として挿入し、両端を図示しないポンプに接続した。このような構成とし、ポンプのON−OFFにより中間部材41を図11(B)に示す膨張状態と図11(A)に示す収縮状態に自由にすることができるようにした。
【0093】
本実施例の場合は、中間部材41に厚さ100ミクロン以下のゴム材を利用し、その直径が膨張時約7mm、収縮時約5mmとなるものを用いたが、薄い樹脂フィルムを用いても同様の体積変化機能を有する中間部材41を形成できる。このような構成のインクジェットヘッドにおいて、ノズル面に吸引装置を装着し、図20に示すようなシーケンスでインクの充填を行った。
【0094】
図20で、t1,t2,t3はそれぞれ5秒,10秒,5秒とした。このようなシーケンスで中間部材41と吸引装置を駆動することにより、図11(B)に示すように、インク充填段階では充填容積を狭くし、充填後は充填容積を広くして気泡付着がなく良好な充填を実現できる。
【0095】
本実施例のインクジェットヘッドでの充填実験の結果においても、図11(C)に示すように、フィルタ室35の内部に小さい気泡36が残留したが、印字特性には影響しないフィルタ27から離れた位置で浮遊する形態であり、良好な充填状態を得ることができた。
【0096】
図20の充填シーケンスで、比較のために、t1やt2をゼロにして同様の評価を行ったところ、どちらも残留する気泡が大きくなり、図20のシーケンスの場合に対して良くない結果であった。充填経過の観察により原因を解析したところ、t1が短いと中間部材41が膨張しきる前にインク充填が開始されるため、充填容積が大きく、インクがフィルタ27に同時に達しにくくなるため気泡が大きくなることが判明した。また、t2が小さいと一旦はフィルタ室35が良好に充填されるが、吸引装置が停止し中間部材41が収縮する過程でインクが逆流し、ノズル側から気泡を吸引する現象が生じることが判明した。
【0097】
フィルタ室35や中間部材41の構成や、吸引装置等の特性等によりt1,t2,t3の適正値は異なるが、中間部材,吸引装置の駆動シーケンスを、図20に示すようにし、中間部材41が最大体積時にインク充填を開始し、中間部材41を収縮後に吸引動作を停止するようにすることで、良好な充填状態を得ることができる。
【0098】
本実施例である中間部材41は、充填時に体積膨張していることで、インク充填容積を小さくし、充填性を向上するものである。そこで、中間部材41にかける圧力を増加し、図13に示すように、フィルタ室35一杯に中間部材41を膨張させて充填性を評価した。その結果、予想に反して大きな気泡が残留した。原因は、中間部材41を大きく膨張させすぎたために中間部材41がフィルタ室35の上方のインク供給路を塞いだためであるということがわかった。そこで、中間部材41の表面に高さ0.2mm程度の突起物を適度に配置固定し、インク供給側のフィルタ内壁面に中間部材41が接触しても突起物の高さ分のインク供給路が確保されるようにしたところ、中間部材41を最大限に膨張させた場合でもインク供給がカットされることなく、良好な充填状態を得ることができた。
【0099】
なお、本実施例では中間部材41が体積変化をするが、図14に示すように、フィルタ室壁の一部を弾性部材として中間部材42とし、この中間部材42が変形することにより充填容積が変化する方法によっても同様に充填性を向上させることができる。
【0100】
(実施例3)
図12は、体積変化する中間部材の別の実施例を示すものである。本実施例のフィルタ室35では、図12中に点線で示すように、中間部材41を略楕円断面形状(長辺5mm、短辺3mm)のものとし、ややフィルタ27に寄った位置に設けている。このフィルタ室35を有するインク供給部材を実施例2と同様のインクジェットヘッドに搭載し、中間部材41に空気を送り込んで膨張させたところ、図12中に実線で示すように、中間部材41が膨張し、その下面がフィルタ27に接触し、フィルタ27の開口部の約1/3を塞ぐ形態となった。
【0101】
図20のシーケンスで吸引動作を行い、インクの充填性を評価したところ、実施例2の結果よりも残留気泡のサイズが小さくなった。しかしながら、充填評価を繰り返し中間部材41の耐久試験を実施したところ、中間部材41が破損する不具合が発生した。原因は、多数回の充填によってフィルタ表面に堆積していたダストが中間部材41に突き刺さり穴をあけたためであることが判明した。そこで、中間部材41の下面のみにゴム材41aを積層し、フィルタ27との接触部を2倍の厚さに変更した。このような変更の後、同様の耐久評価を行ったところ、中間部材41が破損する不具合が発生することがなくなり、長期にわたり良好な充填を行うことができた。
【0102】
(実施例4)
図15は、本発明の他の実施形態を説明するためのもので、アクリル樹脂で形成したフィルタ室35のフィルタ27の上流側にインクの流れを抑制する機能を有する中間部材43を設けた例を示している。この中間部材43は、内部にフィルタ27に垂直に直径約500ミクロンの穴が多数穿孔された厚さ4mmの樹脂板であり、フィルタ27と平行に1mmのギャップでフィルタ室35の内壁に接着固定されている。なお、中間部材43の上部の空間は高さを1mm程度に設定した。また、フィルタ27は実施例1〜3と同様のものを用いている。
【0103】
このフィルタ室35を有するインク供給部材を実施例2と同様のインクジェットヘッド20に接続し、ノズル面をキャッピングして吸引装置により吸引し充填を行った。吸引装置は、図21に示すようなシーケンスで動作させた。まず、圧力P1で時間t4吸引を行う。この吸引動作により、中間部材43の上側の空間にインクが流れ込む。その際、中間部材43の穴径が大きいためにメッシュの細かいフィルタとは異なり、図15(B)のAで示される部分で膜が張られることがなく、また、中間部材43の上の空間を1mm程度に狭くしたため、同空間は比較的良好にインクで満たされた。
【0104】
インクは中間部材43の内部を流れるが、中間部材43の流体抵抗による圧力損失のために、図15(B)にBで示す中間部材下流端でメニスカスを保持した形態で流れず、図15(B)の状態を保った。次に、図21に示すように、P1よりも大きい負圧P2により吸引を行ったところ、中間部材43の下流端に形成していたメニスカスが破れ、中間部材43の全面からインクが流れ出し、フィルタ27が同時に濡らされる形態で中間部材43とフィルタ27の間の空間がインクで良好に充填された。
【0105】
吸引シーケンスにおける各パラメータP1,P2,t4,t5は、フィルタ仕様,フィルタ室及び中間部材の材質,形状,インク物性等により大きく異なってくるが、本実施例では、P1=−3kPa,t4=10s,P2=−30kPa,t5=15sとした。本構成のフィルタ室においては、フィルタ27に近接して設けた中間部材43でインクを一旦塞き止めておき、中間部材43の全面から一気にインクを流し出してフィルタ部を充填するものである。したがって、中間部材43をフィルタに対して傾けて設けると充填不良となりやすくなる。
【0106】
また、フィルタ27と中間部材43の間隔を大きくしすぎてもフィルタ上部の充填空間が広くなり充填しにくくなる。一方で、間隔が小さすぎると中間部材43の下面に形成されたメニスカスがフィルタ27に接触してしまう。メニスカスがフィルタ27に接触してしまうと、その部位から毛管力でインクがフィルタ表面を濡らしてしまい充填不良となりやすい。実施例で示したフィルタ室35においては、中間部材43とフィルタ27の間隔は0.5〜1.5mm程度が適正であった。
【0107】
図17は、図15に示した実施例の変形例を示す図で、図17では、フィルタ室35の上流側の形状を略四角錘形状とし、同部に4個の中間部材431〜434を平行に形成した。ここで、中間部材としては安価で加工が容易な金属メッシュを使用し、上流側から下流側に向かってだんだんと開口が小さくなるように設定し、熱溶着で固定した。吸引は、図22に示すように、P1から段階的に吸引圧を大きくする形態とした。このような充填を行うことにより各々の中間部材431〜434でインクを塞き止めながら層状の充填空間を着実に順次充填していくことができた。このような中間部材を積層して複数設ける構成は、大サイズのフィルタ室に対して有効である。
【0108】
(実施例5)
図23は、本発明のさらに別の実施形態を説明するための図で、フィルタ27の上流側のフィルタ室35を形成する壁を厚さ約0.2mmのゴム材料(第1の中間部材42)とし、内部にフィルタ27に垂直な直径約500ミクロンの穴が多数穿孔された厚さ4mmの樹脂板(第2の中間部材43)を、フィルタ27と平行に1mmのギャップで設けた。フィルタ27は実施例1〜3と同様のものを用いた。一方、フィルタ室35壁の一部として設けたゴム材からなる第1の中間部材44を外部から加圧する加圧部材51を樹脂材料で形成し、図示しないソレノイドアクチュエータによりインク供給部材26に対して出し入れ可能な構成とした。
【0109】
このフィルタ室35を有するインク供給部材を実施例2と同様のインクジェットヘッドに接続し、ノズル面をキャッピングした後、図24に示すような吸引シーケンスで、吸引装置により吸引して充填を行った。まず、インク充填前に、加圧部材51を押し込み、第1の中間部材42としての弾性壁を内側に変形せしめ、充填空間を小さくし(図24 矢印a)、次に、圧力P1でインク吸引した(図24 矢印b)。本実施例では、P1=−3kPaとした。この充填により、第2の中間部材43の下面までインクが流れ、そこでメニスカスを張って充填が停止した(図23(B))。続いて、圧力P2(本実施例では−30kPa)で第2次の吸引を行い(図24 矢印c)、10秒後に加圧部材51をリリース状態にし(図24 矢印d)、弾性体の中間部材42が初期状態に戻った後吸引動作を終了した。その結果、図23(C)のようにフィルタ部27に気泡が付着せず良好な充填状態が得られた。
【0110】
本実施例の構成では、第1の中間部材42の変形と第2の中間部材43の液面保持により充填時のフィルタ室の実質的な容積が減少しフィルタ27部に同時にインクを流し込める構成であるため、良好なインク充填が実現できた。さらに、加圧部材51をリリースする際に、フィルタ上部に、図23(C)に矢印Aで示す流れが発生するため、加圧部材51がリリースされることによって生じる気泡トラップ空間46にフィルタ近傍に残った気泡36を積極的に押し出すことができ、信頼性の高い充填が可能となった。
【0111】
【発明の効果】
請求項1の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、該フィルタ室の上流側に前記フィルタ室へのインクの流れを分割する中間部材を有するようにしたので、フィルタ近傍部の充填容積を減らし、インクジェットヘッドのフィルタ部のインク充填性を向上することができる。
【0113】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記中間部材は、前記フィルタに接触して設けられているので、フィルタ室の充填空間が分離され、インクの充填性を向上することができる。
【0114】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記中間部材は、前記フィルタ室の容積を略等分に分割するので、分割された各充填空間を平均化でき、充填性を向上することができる。
【0115】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記中間部材と前記フィルタで挟まれた空間が下流ほど広がっているので、気泡の上昇を助長し、フィルタ近傍での気泡の残留を防止することができる。
【0116】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記中間部材の表面と前記フィルタ室の内壁に親水処理がなされているので、気泡の上昇を助長し、フィルタ近傍での気泡の残留を防止することができる。
【0117】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記中間部材と前記フィルタ室の内壁と前記フィルタで囲まれた空間がインク充填方向に対して対称形であるので、フィルタ室内壁及び中間部材表面に沿ってインクがフィルタに到達する時間を略等しくでき、フィルタ室のインク充填性を向上することができる。
【0118】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記中間部材の濡れ性が前記フィルタ室の内壁の濡れ性と略等しいので、フィルタ室内壁及び中間部材表面に沿ってインクがフィルタに到達する時間を略等しくして、フィルタ室のインク充填性を向上することができる。
【0119】
請求項8の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、フィルタ室外部からの圧力で該フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室内のフィルタを通して前記インク液室にインクを供給するインク充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させるので、充填時に充填空間を小さくし良好な充填性を得るとともに、充填後、充填空間を大きくして気泡トラップ空間を形成することができる。
【0120】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触するので、充填容積の縮小及びフィルタ室の充填空間を分離するとともに、充填時の実効的なフィルタサイズを小さくすることができ、インクの充填性が向上する。
【0121】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記中間部材は前記フィルタとの接触部に補強部材が形成されているので、中間部材の耐久性が向上する。
【0122】
請求項11の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であるので、簡単な構成で充填時の充填空間を小さくすることができ、充填性が向上する。
【0123】
請求項12の発明は、請求項8の発明において、前記中間部材の表面あるいは前記フィルタ室の内壁に凹凸あるいは溝が形成されているので、中間部材の変形によるインク供給路の閉塞を回避することができる。
【0124】
請求項13の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、インクの流れる複数の開口が設けられた中間部材をフィルタ室内のフィルタ上流側に設け、前記開口にメニスカスを形成したインクが一旦保持された後にフィルタにインクが充填されるので、インクの充填の際の液面を適正化して充填性を向上することができる。さらに、前記中間部材がインク流れ方向に複数設けられ、上流側ほど該中間部材の開口径が大きいので、フィルタ室が大型の場合にも良好な充填性を確保することができる。
【0125】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記中間部材は複数の開口を有し、該開口の開口率が前記フィルタの開口率よりも大きいので、中間部材の上流側の表面に膜が形成されにくくなり、中間部材上流側のインク充填性が向上する。
【0126】
請求項15の発明は、請求項13又は14の発明において、前記中間部材が前記フィルタに近接して設けられるので、充填空間が狭くなりインク充填性が向上する。
【0127】
請求項16の発明は、請求項13乃至15のいずれかの発明において、前記中間部材が前記フィルタに平行に設けられるので、中間部材とフィルタの間隔を等しくして充填をフィルタ全面から均一に行うことができ、充填性が向上する。
【0129】
請求項17の発明は、請求項13乃至16のいずれかの発明において、前記中間部材が金属製であるので、安価で組立性の良い中間部材を実現することができる。
【0130】
請求項18の発明は、インクジェット記録装置に請求項1乃至17のいずれかに記載のインクジェットヘッドを搭載しているので、該インクジェット記録装置は請求項1乃至17に記載の作用効果を達成することができる。
同様に、請求項28あるいは29の発明は、請求項1乃至17のいずれかに記載のインクジェットヘッドを搭載しているので、請求項1乃至17に記載の作用効果を達成することができる。
【0131】
請求項19の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材を膨張させた状態でインクの充填動作を開始し、該中間部材を収縮した後に前記インク充填動作を終了させるようにしたので、充填時に充填空間を小さくして良好な充填性を得るとともに、充填後、充填空間を大きくして気泡トラップ空間を形成することができる。
【0132】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させるようにしたので、フィルタ室の充填空間を分離するとともに充填容積を縮小し、充填時の実効的なフィルタサイズを小さくすることができ、インクの充填性が向上する。
【0134】
請求項21の発明は、インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室の上流側に複数の開口を有する中間部材を前記開口の一方の側を前記フィルタに近接対向して有し、インク充填開始時、前記フィルタの下流側を負圧にし、前記開口の他方の側から前記中間部材にインクを供給して前記開口の前記一方の側にメニスカスを形成し、次いで、前記負圧を高くして前記メニスカスを形成しているインクを前記フィルタに接触させるようにしたので、中間部材とフィルタの間隔を等しくしてインクの充填をフィルタ全面から均一に行うことができ、充填性が向上する。
【0135】
請求項22の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側に前記前記フィルタ室への液体の流れを分割する中間部材を有し、前記中間部材は上流側からフィルタ室内壁を伝わりフィルタに達する経路長と、上流側から前記中間部材を伝わりフィルタに達する経路長とが同等となる形状であるので、近傍部の充填容積を減らし、フィルタ液体充填性を向上することができる。
【0137】
請求項23の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室への液体充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させるので、充填時に充填空間を小さくし良好な充填性を得るとともに、充填後充填空間を大きくして気泡トラップ空間を形成することができる。
【0138】
請求項24の発明は、請求項23の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触するので、充填容積縮小及びフィルタ室の充填空間を分離するとともに、充填時の実効的なフィルタサイズを小さくすることができ液体の充填性が向上する。
【0139】
請求項25の発明は、請求項23の発明において、前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であるので、簡単な構成で充填時の充填空間を小さくすることができ、充填性が向上する。
【0140】
請求項26の発明は、フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング方法において、フィルタが配設されたフィルタ室内の前記フィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材によってフィルタ室の容積を小さくした状態で液体の充填を開始し、その後、前記フィルタ室の容積を大きくするようにしたので、充填時に充填空間を小さくし良好な充填性を得るとともに、充填後充填空間を大きくして気泡トラップ空間を形成することができる。
【0143】
請求項27の発明は、請求項26の発明において、前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させるので、充填容積縮小及びフィルタ室の充填空間を分離するとともに、充填時の実効的なフィルタサイズを小さくすることができ液体の充填性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用されるインクジェット記録装置の要部構成斜視図である。
【図2】 図1に示したインクジェット記録装置の内部構成を説明するための側面構成図である。
【図3】 本発明によるインクジェットヘッドの基本構成の分解図である。
【図4】 図3に示したインクジェットヘッドを静電駆動方式とした場合の、組立後の断面詳細図である。
【図5】 フィルタ室のフィルタ面と垂直な方向の断面の簡略図である。
【図6】 フィルタ室の変形例を示す図である。
【図7】 本発明による中間部材の一例を示す図である。
【図8】 中間部材をフィルタに接触状態で固定する方法を示す図である。
【図9】 中間部材の変形例を示す図である。
【図10】 中間部材の他の変形例を示す図である。
【図11】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図12】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図13】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図14】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図15】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図16】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図17】 本発明による中間部材の他の実施例を説明するための図である。
【図18】 中間部材の位置を変えた時の動作説明をするための図である。
【図19】 中間部材の位置を変えた時の動作説明をするための図である。
【図20】 インク充填時の動作説明をするためのシーケンス図である。
【図21】 インク充填時の動作説明をするためのシーケンス図である。
【図22】 インク充填時の動作説明をするためのシーケンス図である。
【図23】 本発明の他の実施例を説明するための要部構成図である。
【図24】 図23に示した実施例の動作説明をするためのシーケンス図である。
【符号の説明】
1…記録装置本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11…主ガイドロッド、12…従ガイドロッド、13…キャリッジ、14…インクジェットヘッド、15…インクカートリッジ、16…回復装置、20…インクジェットヘッド部、21…液室基板、22…電極基板、23…ノズル板、24…配電部材、25,26…インク流路部材、27…フィルタ、28,28a,28b…インク流路、29…配電部材用貫通穴、31…流体抵抗、32…加圧液室、33…振動板、34…ノズル、35…フィルタ室、35a…フィルタ室の内壁、36…気泡、40,41,42,43…中間部材、46…気泡トラップ空間、51…加圧部材。
Claims (29)
- インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、該フィルタ室の上流側に前記フィルタ室へのインクの流れを分割する中間部材を有し、前記中間部材は上流側からフィルタ室内壁を伝わりフィルタに達する経路長と、上流側から前記中間部材を伝わりフィルタに達する経路長とが同等となる形状であることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 前記中間部材は前記フィルタに接触して設けられることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材は前記フィルタ室の容積を略等分に分割することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材と前記フィルタで挟まれた空間が下流ほど広がっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材の表面と前記フィルタ室の内壁に親水処理がなされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材と前記フィルタ室の内壁と前記フィルタで囲まれた空間がインク充填方向に対して対称形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材の濡れ性が前記フィルタ室の内壁の濡れ性と略等しいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、フィルタ室外部からの圧力で該フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室内のフィルタを通して前記インク液室にインクを供給するインク充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材は前記フィルタとの接触部に補強部材が形成されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材の表面あるいは前記フィルタ室の内壁に凹凸あるいは溝が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
- インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドにおいて、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有し、かつ、インクの流れる複数の開口が設けられた中間部材をフィルタ室内のフィルタ上流側のインク流れ方向に複数設け、上流側ほど該中間部材の開口径が大きくなっており、前記開口にメニスカスを形成したインクが一旦保持された後にフィルタにインクが充填されることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 前記中間部材は複数の開口を有し、該開口の開口径が前記フィルタの開口径よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材が前記フィルタに近接して設けられることを特徴とする請求項13又は14に記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材が前記フィルタに平行に設けられることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記中間部材が金属製であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置。
- インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材を膨張させた状態でインクの充填動作を開始し、該中間部材を収縮した後に前記インク充填動作を終了させることを特徴とするインクジェットヘッドのインク充填方法。
- 前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させることを特徴とする請求項19に記載のインクジェットヘッドのインク充填方法。
- インク液室内のインクをノズルより噴射して画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インク液室にインクを供給するインク流路の途中にフィルタ室を有するインクジェットヘッドにインクを充填するインク充填方法において、前記フィルタ室の上流側に複数の開口を有する中間部材を前記開口の一方の側を前記フィルタに近接対向して有し、インク充填開始時、前記フィルタの下流側を負圧にし、前記開口の他方の側から前記中間部材にインクを供給して前記開口の前記一方の側にメニスカスを形成し、次いで、前記負圧を高くして前記メニスカスを形成しているインクを前記フィルタに接触させるようにしたことを特徴とするインクジェットヘッドにおけるインク充填方法。
- フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側に前記フィルタ室へのインクの流れを分割する中間部材を有し、前記中間部材は上流側からフィルタ室内壁を伝わりフィルタに達する経路長と、上流側から前記中間部材を伝わりフィルタに達する経路長とが同等となる形状であることを特徴とするフィルタリング装置。
- フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング装置において、前記フィルタが配設されたフィルタ室内のフィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の充填容積を変化させる中間部材を有し、該フィルタ室への液体充填時、前記中間部材により前記フィルタ室のフィルタ上流側の充填容積を減少させることを特徴とするフィルタリング装置。
- 前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材が前記フィルタに接触することを特徴とする請求項23に記載のフィルタリング装置。
- 前記中間部材が前記フィルタ室の壁面に形成された弾性体であることを特徴とする請求項23に記載のフィルタリング装置。
- フィルタを通すことによって液体中の異物を除去するフィルタリング方法において、フィルタが配設されたフィルタ室内の前記フィルタの上流側にフィルタ室外部からの圧力で前記フィルタ室の容積を変化させる中間部材を有し、該中間部材によってフィルタ室の容積を小さくした状態で液体の充填を開始し、その後、前記フィルタ室の容積を大きくすることを特徴とするフィルタリング方法。
- 前記中間部材は膨張,収縮する部材であり、膨張時に該中間部材を前記フィルタに接触させることを特徴とする請求項26に記載のフィルタリング方法。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のインクジェットヘッドを搭載した液滴吐出装置。
- 請求項1乃至17のいずれかに記載のインクジェットヘッドを搭載した画像形成装置。
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