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JP4339074B2 - 光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法 - Google Patents
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JP4339074B2 - 光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法 - Google Patents

光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不斉合成反応における不斉触媒の配位子として有用な1,2−ジアリール−1,2−エタンジアミン類の一種である光学活性トランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造法に関する。
光学活性な1,2−ジアリール−1,2−エタンジアミン類は、一般にラセミ体のトランス−1,2−ジアリール−1,2−エタンジアミン類の光学分割により製造できる。例えば、下記式(A)のルートで示されるようにラセミ体のトランス−1,2−ジアリール−1,2−エタンジアミンを合成した後、エタノール溶媒中、光学活性酒石酸を用いる光学分割によって光学活性体を製造する方法が提案されている(非特許文献1)。
Figure 0004339074
しかし、この方法をラセミ体のトランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンに適用した場合、該ジアミンの溶媒への溶解性が低いため光学分割の容積効率が低くなり、分割効率の面で十分とはいえない。
また、不斉合成により直接的に光学活性トランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを製造する方法が開示されているが(非特許文献2)、この方法では、トランス−スチルベン誘導体から得られた光学活性ジオールの水酸基に脱離基を挿入し、アジド化反応の後にさらに還元してアミノ基に変換するという、煩雑な工程を経なくてはならない。
一方、トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンは、ラセミ体の製造方法は報告されているものの(特許文献1)、光学分割に関する報告例はない。
Tetrahedron Asymmetry, 6巻, 3頁 (1995) Synlett,356頁,(1994) 特開2002−338531号公報
本発明の目的は、不斉合成反応の触媒の配位子として、また光学分割剤として優れた機能が期待される、光学活性1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの工業的な製造方法を提供することである。
そこで本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを光学活性な酒石酸を用いて光学分割することにより、光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを回収し、脱ベンジル化することにより前記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを光学分割し、得られた光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化することを特徴とする、光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを、光学活性な酒石酸を用いて光学分割することにより、光学活性N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを高回収率かつ高い光学収率で得ることができる。さらに、この光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化することにより、不斉触媒、あるいは不斉触媒の配位子としてさらに有用な光学活性1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを、容積効率が改善された工業的に有利な方法により得ることができる。
以下、本発明の光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法について、詳細に説明する。
(光学分割工程)
本発明におけるラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの光学分割工程(以下、「本発明の光学分割工程」という)において、光学分割剤として光学活性ヒドロキシカルボン酸誘導体を用いることが好ましい。光学活性ヒドロキシカルボン酸誘導体としては、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸等の光学活性酒石酸類、マンデル酸、O−アセチルマンデル酸等の光学活性マンデル酸類、光学活性りんご酸等が挙げられ、好ましくは光学活性酒石酸が挙げられる。また、光学活性酒石酸のうち、右旋性の酒石酸(L−(+)−酒石酸)と左旋性の酒石酸(D−(−)−酒石酸)を使い分けることにより、(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンと(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを分割することができる。すなわち、L−(+)−酒石酸を分割剤として使用した場合には(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンが、一方、D−(−)−酒石酸を使用した場合には(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンが得られる。
また、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンと光学活性酒石酸による造塩反応における光学活性酒石酸の使用量は、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンに対して0.7モル当量以上である。トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの収率及び光学純度が高い点で0.9〜1.1モル当量が好ましい。
ジアステレオマーの晶析の際に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール系溶媒、並びにこれらの混合物が好ましく用いられ、適度な溶解性を有し、かつ高い光学純度で目的物が収率よく得られる点から2−プロパノールが特に好ましく用いられる。
本発明の光学分割工程において、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンと酒石酸による造塩反応、及びそれに続く分別晶析は、例えば次に示す方法で実施する。前記アルコール溶媒に、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン、および1.0モル当量の光学活性酒石酸を加え、加熱溶解させる。溶解後、徐冷により難溶性のジアステレオマー塩を晶出させる。晶析には、徐冷する途中で、あらかじめ用意しておいた目的のジアステレオマー塩を種結晶として加えることができる。析出した結晶を濾別、洗浄することにより、L−(+)−酒石酸を分割剤として使用した場合には(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン/L−(+)−酒石酸塩が、一方、D−(−)−酒石酸を使用した場合には(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン/D−(−)−酒石酸塩が得られる。得られた塩は必要に応じて再結晶によりさらに精製することができる。
こうして得られた塩は、水酸化ナトリウム等の塩基を用いて分解し、ジクロロメタン、酢酸エチル、エーテル、トルエン等の有機溶剤により抽出した後、溶媒を留去することにより、高い光学純度を有する(−)−または(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンとして、酒石酸塩より定量的に回収できる。この時塩基性水溶液中に存在する光学活性酒石酸は、酸処理することにより光学純度の低下を伴うことなく定量的に回収、再使用できる。
次に、本発明の光学分割工程において、原料として用いられるラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法について説明する。ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンは、下記式(B)に示す工程に従って調製される(特許文献1)。
Figure 0004339074
すなわち、硫酸マグネシウム存在下、テトラヒドロフラン溶媒中で3,5−ジメチルベンズアルデヒド(e)にベンジルアミン(f)を加えて室温で攪拌を続けた後、硫酸マグネシウムを濾別、除去し、濾液を減圧濃縮するとN−ベンジル−3,5−ジメチルベンズアルジミン(g)が収率よく得られる。次に、テトラヒドロフラン溶媒中、0℃でN−ベンジル−3,5−ジメチルベンズアルジミン(g)に0.83モル当量のチタンテトライソプロポキシド、次いで2.1モル当量のイソプロピルマグネシウムクロリドを加えた後、室温で反応させる。その後、大過剰の50質量%水酸化カリウム水溶液、次いで大過剰のフッ化ナトリウムとセライトを加え、固体を濾別、除去し、濾液を減圧濃縮すると、トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)が収率よく得られる。この粗生成物には、目的物であるトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)のほかにシス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)が含まれているが、このシス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)はアルコール溶媒に難溶であるため、得られた粗生成物にアルコール溶媒を加え、析出した固体を分離することにより除去できる。
シス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)を除去する工程で用いられるアルコール溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。これらのうち、トランス体とシス体に対してそれぞれ適切な溶解度を有するエタノールが特に好ましい。
シス体(i)を除去する工程で使用するアルコール溶媒の量は、操作上問題がない限り特に制限はないが、好ましくは上記方法で得られる粗生成物に対して、質量比で0.5〜10の範囲である。これ以上少なければ目的物であるトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)の回収率が下がる場合があり、またこれ以上の量を使用しても効果がなく不経済である。
析出したシス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)は、濾過や遠心分離等の通常の操作で除去することができる。
こうして得られたラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)は、そのまま前記光学分割工程で使用することができる。
(脱ベンジル化工程)
次に、本発明の光学分割工程で得られた光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化する工程(以下、「本発明の脱ベンジル化工程」という)について、詳細に説明する。光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(j)は、下記式(C)に示す工程に従って製造される。
Figure 0004339074
本発明の光学分割工程で得られた、光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h’)を、脱ベンジル化反応条件で処理することにより、光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(j)を製造することができる。この際、脱ベンジル化反応としては、水素添加による方法が代表的である。触媒を用い、水素源を供給して撹拌することにより、脱ベンジル化反応を進行させることができる。
ここで用いる触媒としては、パラジウムカーボン、塩化パラジウム、水酸化パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物が代表例として挙げられ、反応後の触媒分離の利便性より、好ましくはパラジウムカーボンが挙げられる。水素源としては、水素ガス、ギ酸アンモニウム等が挙げられ、後処理の容易さから水素ガスが用いられる。
本発明の脱ベンジル化工程に用いる溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、2−プロパノールが挙げられる。なお、これらの溶媒は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
反応温度に特に制限はないが、0〜100℃程度で行うのがよい。水素源として水素を用いる場合、水素圧は常圧でも加圧下でもよく、窒素などの不活性ガスとの混合物を使用しても良い。また、反応時間は圧力の影響を受けるが、通常0.1〜200時間程度である。
脱ベンジル化反応終了後は、水を加えるとともに、適当な溶媒により目的物を抽出し、溶媒を減圧濃縮して粗生成物を得ることができる。あるいは、触媒を濾別、アルコール溶媒または水等により洗浄し、得られた粗生成物を、抽出、濃縮、蒸留、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法により精製し、光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを単離することができる。
なお、本発明の脱ベンジル化工程で原料として用いた、光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの旋光度と、得られた光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの絶対立体配置の相関について、実験データ、及び文献値(非特許文献1)との比較により以下の通りであることが判明した。即ち、(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化して得られた(+)−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンは(1R,2R)−(+)−体であり、一方、(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化して得られた(−)−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンは(1S、2S)−(−)−体である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
N−ベンジル−3,5−ジメチルベンズアルジミン(g)の製造
窒素雰囲気下、3,5−ジメチルベンズアルデヒド(e)5.39g(40.2mmol)とベンジルアミン(f)4.27g(39.9mmol)、硫酸マグネシウム4.0g、テトラヒドロフラン40mLを加え、室温で5時間攪拌した。その後、反応混合物をセライト濾過し、残渣をさらにテトラヒドロフラン20mLで2回洗浄した。その後、濾洗液を減圧下濃縮することでN−ベンジル−3,5−ジメチルベンズアルジミン(g)の粗物8.69g(粗収率98%)が得られた。
(製造例2)
トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(ラセミ体)(h)の製造
窒素雰囲気下、参考例1で得られたN−ベンジル−3,5−ジメチルベンズアルジミン(g)の粗物1.00g(4.48mmol)のテトラヒドロフラン溶液(50mL)に、チタンテトライソプロポキシド1.05g(3.69mmol)を加え、0℃に冷却した。これにイソプロピルマグネシウムクロリドの2mol/Lテトラヒドロフラン溶液4.6mL(9.2mmol)を10分間かけてゆっくり滴下した。この反応混合物を0℃で30分間攪拌した後、30分かけて室温まで昇温した。さらに室温で3時間攪拌した後、50質量%水酸化カリウム水溶液3mLをゆっくり加え、室温で30分間攪拌した。その後、フッ化ナトリウム1gとセライト1gを加え、さらに室温で30分間攪拌した。反応混合物を濾過し、残渣をテトラヒドロフラン20mLで2回洗浄した後、得られた濾洗液を減圧下濃縮することで、黄色のオイル状物質0.997gが得られた。このオイル状物質0.931gにエタノール1gを加え、室温で15分ほど攪拌すると、白色の固体が析出した。この固体を濾別後、エタノール1gで2回洗浄し、得られた濾洗液を減圧下濃縮することにより、ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)の粗物0.85gが得られた(粗収率90%)。NMR分析より、このトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(h)の粗物中にはシス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)は検出されなかった。また、濾別した白色固体を減圧下乾燥することにより、得られたシス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン(i)の収率は5%(0.05g)であることがわかった。
トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンのラセミ体12.87g(28.7mmol)とL−(+)−酒石酸4.31g(28.7mmol)をフラスコに取り、2−プロパノール125mLを加え、70℃で加熱溶解した後、室温まで冷却した。一晩静置後、析出した結晶を濾別し、2−プロパノール20mLで二回洗浄後、真空乾燥するとトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの酒石酸塩4.96gが得られた。ラセミ体の酒石酸全量に対する回収率は29%であった。
実施例1で得られた酒石酸塩4.96gのうち、550mgを別の反応器に取り出しジクロロメタン30mLを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液15mLで2回、水15mLで一回分液抽出後、得られたジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ジクロロメタン30mLで洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮すると、目的とする光学活性(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン384mgが得られた。仕込んだ酒石酸塩に対する回収率は93%であった。
比旋光度 [α] 30=−33.6°(c 1.116,CHCl)(crude)、
HPLC分析による光学純度=97%ee。
HPLC測定条件
使用カラム:CHIRALPAK AD−H φ4.6mm X 250mm 二本連結
(ダイセル化学工業社製)
移動相:ヘキサン/2−プロパノール=90/10 ジエチルアミン0.1体積%添加
カラム温度 : 35℃
流速 : 0.5mL/分
検出波長 :254nm
実施例1で得られた酒石酸塩4.96gのうち、4.34gを別の反応器に取り出し、再び2−プロパノール150mLを加え、70℃で加熱溶解した後、室温まで冷却した。一晩静置後、析出した結晶を濾別し、2−プロパノール20mLで二回洗浄後、真空乾燥するとトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの酒石酸塩3.38gが得られた。仕込んだ酒石酸塩4.34gに対する回収率は78%であった。
得られた酒石酸塩3.38gにジクロロメタン250mLを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液125mLで2回、水125mLで一回分液抽出後、得られたジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ジクロロメタン250mLで洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮すると、光学活性(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン2.44gが得られた。仕込んだ酒石酸塩3.38gに対する回収率は96%であった。また、実施例1のはじめに仕込んだラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン全量に対する通算収率は22%(理論量に対する収率は44%)であった。
比旋光度 [α] 30=−37.4°(c 1.032,CHCl)(crude)、
HPLC分析による光学純度>99%ee。
実施例1で得られた母液を減圧濃縮して回収した塩15.1gにジクロロメタン200mLを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液150mLで二回、水150mLで一回分液抽出後、得られたジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ジクロロメタン30mLで洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮すると、トランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン9.46gが得られた。このトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンに2−プロパノール105mLとD−(−)−酒石酸3.16gを加え、70℃で加熱溶解した後、室温まで冷却した。一晩静置後、析出した結晶を濾別し、2−プロパノール20mLで二回洗浄後、真空乾燥するとトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの酒石酸塩3.91gが得られた。仕込んだ酒石酸塩に対する回収率は31%であった。
ここで得られた酒石酸塩3.91gにジクロロメタン300mLを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液150mLで二回、水150mLで一回分液抽出後、得られたジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ジクロロメタン300mLで洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮すると、目的とする光学活性(+)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン2.94gが得られた。仕込んだ酒石酸塩3.91gに対して定量的に回収できた。また、実施例1のはじめに仕込んだラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン全量に対する回収率は23%(理論量に対する収率は46%)であった。
比旋光度[α] 30=+35.3°(c 1.044,CHCl)(crude)、
HPLC分析による光学純度>99%ee。
水素雰囲気下、10質量%Pd/C(50質量%含水品)50mgにエタノール2mLを加え、常圧、60℃で1時間激しく攪拌した。その後、実施例3で得られた光学活性(−)−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンのうち0.225g(0.50mmol)を量り取ってエタノール溶液(3mL)を加え、60℃でさらに7.5時間激しく攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、濾過し、残渣をエタノール2mLで2回洗浄した。得られた濾洗液を減圧下濃縮することにより、(+)−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタン−1,2−ジアミンの粗物0.135gが得られた(粗収率100%)。
比旋光度 [α] 29=+39.0°(c 1.256,CHCl)(crude)、
(文献値;[α] 23=−43.4°(c 0.82,CHCl), (S,S), 非特許文献1)
光学純度>99%ee(シフト試薬として(S)−マンデル酸を、得られたトランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタン−1,2−ジアミンに対し2.5mol倍使用し、H NMR(CDCl)で分析した。)。
(比較例1)
トランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンのラセミ体427mg(1.59mmol)とL−(+)−酒石酸239mg(1.59mmol)をフラスコに取り、体積比1/1のエタノール/水混合液110mLを加え(酒石酸塩の濃度14.5mmol/L)、70℃に加熱したが、完全には溶解しなかった。更に70℃でエタノールを徐々に追加していったところ、55mL追加した時点で溶解した。その後、室温まで冷却し、一晩静置したが、ほとんど結晶は析出しなかった。そこで溶液を0℃に冷却したところ、白色粉末状固体が析出した。析出した固体を濾別し、エタノール10mLで二回洗浄後、真空乾燥するとジアミンの酒石酸塩247mgが得られた。
得られた塩247mgにジクロロメタン30mLを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液15mLで2回、水15mLで一回分液抽出後、得られたジクロロメタン相を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別し、ジクロロメタン30mLで洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮すると、ジアミン136mgが得られた。このジアミンの比旋光度は[α] 32=−5.3°(c 1.360,CHCl)であった。仕込んだラセミ体のトランス−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミン全量に対する回収率は32%であった。比旋光度の文献値を基に算出した光学純度=12%ee。
本発明の方法によって得られる光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンは不斉合成反応における不斉触媒の配位子及び光学分割剤として有用である。

Claims (4)

  1. ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを光学分割し、得られた光学活性なN,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンを脱ベンジル化することを特徴とする、光学活性な1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの製造方法。
  2. ラセミ体のトランス−N,N’−ジベンジル−1,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−1,2−エタンジアミンの光学分割を、該ジアミンと光学活性ヒドロキシカルボン酸誘導体のジアステレオマー塩を晶析することにより行う請求項1記載の方法。
  3. 前記光学活性ヒドロキシカルボン酸誘導体が、光学活性な酒石酸である請求項2に記載の方法。
  4. ジアステレオマー塩の晶析の際に用いる溶媒が、アルコール化合物である請求項2または3に記載の方法。
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