JP4340331B2 - スラリー再汚染を低減させた炭化水素合成スラリー中の触媒再生方法 - Google Patents
スラリー再汚染を低減させた炭化水素合成スラリー中の触媒再生方法 Download PDFInfo
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Description
本発明の分野
本発明は、スラリー汚染を低減させたスラリー中の固形触媒粒子の再生方法に関する。特に、該粒子、炭化水素液およびガス泡を含む3相のフィッシャートロプシュタイプ炭化水素スラリー中に分散した固形触媒粒子を、スラリー中のままで触媒不活性化化学種によるスラリー本体の再汚染を低減させて再生させる方法および手段に関する。
本発明の背景
スラリー炭化水素合成(HCS)方法は既知のものである。スラリーHCS方法では、H2およびCOの混合物を含む合成ガス(syngas)は、第3相として反応器中のスラリーを通過して泡立たされる。反応器においては、スラリー液は合成反応の炭化水素生成物を含み、分散され懸濁された固形物は適切なフィッシャートロプシュタイプの炭化水素合成触媒を含む。このような3相のスラリーを含有する反応器は、米国特許第5,348,982号で開示されるように「バブルカラム」と称されることがある。スラリー反応器が分散床またはスランプベッド(slumped bed)として操作されるかどうかには関わりなく、スラリー中の混合条件は、典型的にはプラグ流れおよび逆混合の2つの理論的な条件の間のどこかにある。窒素(すなわち天然ガス)または窒素含有化合物(すなわち残油、石炭、シェール、コークス、タールサンドなど)を含有する炭化水素原料油からできた合成ガスは、反応性スラリーを汚染して、触媒を急速にしかし可逆的に不活性化するHCN、NH3を必ず含有する。スラリー中にHCS反応の副生物として形成される特定の含酸素化合物および炭素質化合物もまた、急速な不活性化を引き起こすと考えられる。これらの化学種によるこのような触媒の不活性化は可逆的であり、不活性化した触媒を水素に接触させることで触媒活性は回復される(触媒は再生される)。反応性スラリーの中のHCS触媒活性は、例えば米国特許第5,260,239号および同第5,268,344号で開示されたように、スラリーを水素または水素含有ガスに接触させて再生触媒のスラリーを形成して、断続的にまたは連続的に再生される。
触媒再生方法は、副生物として触媒を不活性化する化学種を含有する再生オフガスを生成することが、現在知られている。先行技術方法では、オフガスを含有する再生スラリーが、反応性スラリーに戻される。スラリー本体へのオフガスの接触および混合を許すと、それは触媒不活性化化学種で再汚染されるので、触媒再生方法の全体的な効率が制限される。従って、再生オフガス中に存在する触媒不活性化化学種による再汚染なしにスラリー中で触媒が再生できれば、本技術分野における改善となる。
本発明の要約
本発明は、再生プロセスによって生成されたオフガス中の触媒不活性化化学種によるスラリー再汚染を低減させることにより、固形触媒粒子を3相炭化水素合成(HCS)スラリー中のままで再生させる方法および手段に関するものである。簡単には、本発明の方法は、再生域からの再生触媒スラリーをガス分離域に通過させ、そこでオフガスはガスを低減されたスラリーと共に再生スラリーから分離され、ガスを低減されたスラリーはスラリー本体に戻されることを含む。スラリーは、スラリー液体中に分散されたガス泡および触媒粒子を含む。ガス泡、未反応の合成ガスおよびHCS反応のガス生成物を含む。スラリー液体は、反応条件で液体であるHCS反応の炭化水素生成物を含む。HCS反応器のまたは別のHCSスラリー触媒再生容器中のスラリー本体と、触媒不活性化化学種を含有する再生オフガスとを接触させることは、再生のためにより多くの水素が必要になることで、または低減した活性を相殺して生産性を保持するために反応器をより高温で操作しなくてはならないことで、触媒再生方法の全体的な効率を制限する。水素は高価であり、より高い反応器温度では、ガスの生成が増して液体生成物に対する選択性が低下する。本発明の方法において、有用な適切な手段の一例は、先行技術で開示されたタイプの単純な垂直再生チューブまたは域を含むが、そこではスラリー出口は、出口を包囲する囲いなどのようなガス分離手段と液体でつながり(in fluid communication)、そこで再生域を出る触媒再生スラリーからオフガスを分離し、オフガスを低減したスラリーをスラリー本体に戻す。従って一実施態様では、本発明は、少なくとも一部の触媒が可逆的に不活性化されたHCS炭化水素スラリー液体中に懸濁された微粒HCS触媒を再生させる方法に関し、本方法は、スラリー本体からのスラリーの一部を触媒再生域を通して循環させ、その中で触媒再生性ガスと液体中の触媒とが接触して少なくとも一部の触媒を再生させて、再生触媒スラリーと、触媒不活性化化学種を含有する再生オフガスとを形成する工程、および再生スラリーからオフガスを分離して、オフガスの少ない再生スラリーを形成する工程を含む。オフガスは、ガス離脱域(disengaging zone)と称されることもあるガス分離域でスラリーから分離される。さらに別の実施態様では、オフガスの少ない再生スラリーは、スラリー本体に戻る。本発明の方法の結果、液体生成物に対する生産量が増大して選択性がより大きくなり、工程中で必要な触媒の保有量(inventory)および再生がより少なくなる。しかし、本発明の実施は、炭化水素スラリー液体中のHCS触媒をそのままで再生させるのに特定の使い道がある一方で、この特定の実施態様に限定することは意図されない。
スラリー本体は、先行技術で開示されたスラリータイプのHCS反応域におけるような、触媒粒子および反応性ガス泡が分散された炭化水素液体を含む3相スラリーなどの、スラリー反応域中の反応性スラリーでも良く、あるいは上述の第’239号特許で開示されるように反応域から分離されていても良い。「スラリー本体(slurry body)」という用語はここでは、一部分が抜き取られてそれが再生域に通されるスラリー本体、または再生スラリーが通されるスラリー本体(これらはどちらも同一の本体でも良い)を指し、再生域中のスラリーおよび再生域を出る再生スラリーと区別する。触媒再生域は、スラリー本体から分離される一方、いくつかの実施態様では、その全部または少なくとも一部はスラリー本体中に位置しても良い。本発明に関して、「触媒不活性化化学種」という用語は、触媒を可逆的に不活性化する化学種を含むことを意味し、この場合触媒活性はスラリー液体中のままで再生性ガスとの接触によって回復される(触媒再生される)。先行技術で実証されるように、水素または水素含有ガスはこのような再生に有用である。最期に、HCN、NH3および特定のタイプの含酸素材料および炭素質材料は触媒を不活性化するが、本発明はこれらの化学種のみに対して使用することに制限することは意図されず、あらゆる不活性化化学種に対して使用することに有用である。
触媒再生スラリーを再生生成物オフガスから分離するためのガス分離域は、再生域と流体でつながった状態にあるが、スラリー本体とは必ずしもつながっておらず、スラリー本体から離れた再生域出口の単なる延長でも良い。別の実施態様では、それは底部がスラリー中に浸漬されて、反応器上端に最も近い反応器ガス出口の近くに上端が位置する両端の明いたチューブなどの単純な導管手段を含んでも良い。さらに別の実施態様では、下で詳細に述べるように、オフガスは再生域から直接反応器の外へ、オフガス導管を通じて送られる。別の実施態様では、1つ以上の再生域からのオフガスは、再生域から直接マニホルド中に通され、反応器の外に送られる。特にスラリーHCS方法に関する実施態様においては、本発明の方法は、
(a)触媒不活性化化学種の存在下に、水素および一酸化炭素の混合物からなる合成ガスを、固形微粒炭化水素合成触媒と炭化水素スラリー液体とガス泡とを含むスラリー本体中(slurry body)に分散されている該触媒と、合成ガスから炭化水素を形成するのに効果的な反応条件下で接触させる工程であって、該化学種は、該スラリー中の触媒を少なくとも部分的に可逆的に不活性化し、該炭化水素液体は、該反応条件下で液体であるHCS反応生成物を含む工程、
(b)該スラリー本体からの一部の該スラリーを、触媒再生域に通過させる工程、
(c)該再生域の該スラリーを、触媒再生ガスと接触させ、該触媒再生ガスは、そこで少なくとも部分的に触媒を再生して、(i)再生触媒スラリーおよび(ii)該触媒を不活性化する化学種を含む再生オフガスを形成する工程、および
(d)スラリーからのガス分離域において、再生触媒スラリーから再生オフガスを分離する工程
を含む。
さらに別の実施態様では、ガスの少ない再生スラリーを、スラリー本体またはその少なくとも一部がスラリー本体に戻される再生スラリーを含む本体に通過させる。分離されたオフガスは、さらに処理工程に送られるか、あるいは燃料として消費される。さらに別の実施態様では、不活性化された触媒を含有するスラリーが抜き取られるスラリー本体は、触媒再生の妨げになるガス泡も含有し、ガス泡は再生域を通過させる前に最初にスラリーから分離される。これは、下で詳細に述べるように、ガス離脱手段あるいはスラリー中に浸漬されたカップをはじめとするあらゆる適切な手段によって達成される。さらに、スラリー中に存在する不活性化触媒は、再生域を通過させる前に、下で詳しく述べるガス離脱をはじめとする手段によって、スラリー液体中に濃縮することもできる。スラリー反応器は、再生中に操作でき、またはオフラインにしてバッチ再生できる。HCS反応器がオンライン中にあって炭化水素液体が生成する一方再生が起こるとき、液体の一部は反応器から連続的に抜き取られる。これらの液体はさらに有用な生成物に加工される。さらに別の実施態様では本発明は、窒素または窒素含有化合物を含有する適切な炭化水素を部分燃焼することによって、H2およびCO混合物と、またフィッシャートロプシュタイプの炭化水素合成触媒を可逆的に不活性化する窒素化学種(例えばHCNおよびNH3)および/またはその他の化学種も含有する合成ガスを生成することを含む。フィッシャートロプシュタイプの炭化水素合成触媒に関して、可逆的に不活性化するということは、触媒活性がスラリー液体中で触媒を水素または水素含有ガスに接触させることによって回復することを意味する。
【図面の簡単な説明】
図1(a)、図1(b)および図1(c)は、本発明に従って、再生スラリーからオフガスを分離する手段を含むHCSスラリー反応器、およびこのような2つの手段の詳細を、それぞれ模式的に図解する。
図2は、先行技術に従って、スラリー中に完全に浸漬された再生チューブを含むHCS反応器を模式的に図解する。
図3は、本発明の別の実施態様に従って、オフガス分離手段を含むスラリー反応器の部分的な模式的横断面である。
図4は、オフガスが再生域から直接反応器外に送られる、本発明の実施態様の部分的横断面模式図を示す。
図5は、ガス離脱手段を有する再生チューブと組み合わせた、本発明のオフガス分離手段を模式的に示す。
詳細な説明
フィッシャートロプシュスラリーHCS方法では、H2およびCOの混合物を含む合成ガスが反応性スラリー中に泡立てられ、反応性スラリー中で触媒的に炭化水素および好ましくは液体炭化水素に転化される。水素の一酸化炭素に対するモル比は、大まかに約0.5〜4の範囲であるが、より典型的には約0.7〜2.75の範囲であり、好ましくは約0.7〜2.5である。フィッシャートロプシュHCS反応のための化学量論的モル比は2.0である。しかし、当業者には既知であるように、化学量論的比以外を使用する数多くの理由があるが、その考察は本発明の範囲を超えている。スラリーHCS方法では、H2とCOのモル比は典型的には約2.1/1である。合成ガスは、コークスまたは石炭などの熱した炭素質材料を水蒸気と接触させることをはじめとする様々な手段によって、あるいはメタンを含む供給材料から形成できる。便宜性、清浄さ、そして処理廃棄すべき大量の灰を残さないことから、メタンを含む供給材料が好ましい。メタンを含むガス供給材料は、天然ガスから、または石炭、タール、液体炭化水素などを燃焼させることによって得られ、合成ガス発生器に供給される。部分酸化、水蒸気改質またはそれらの組み合わせのいずれかによる、メタンからの合成ガス生成については周知であり、例えば米国特許第4,888,131号で開示されている。多くの場合、例えば米国特許第4,888,131号および同第5,160,456号で開示されるように、流動床合成ガス発生ユニット(FBSG)中で、メタンを触媒的に部分酸化および水蒸気改質することが好ましい。合成ガス発生器に供給されるメタン含有ガス中には、メタン源に関わりなく窒素または窒素含有化合物が存在し、そのいくらかは合成ガス形成中にNH3およびHCNに転換される。これらは、特にCoを触媒金属として含むフィッシャートロプシュHCS触媒を不活性化する。先行技術が教示するように、これらの化学種による不活性化は可逆的であり、触媒はそれを水素と接触させることで再生できる。この可逆的に不活性化された触媒の触媒活性の回復は、触媒再生(catalyst rejuvenation)と称される。例えば、上述の特許第5,260,239号および第5,268,344号で開示された先行技術の再生方法は、合成ガス中の窒素化学種濃度が低い場合、またはオフガスがCH4、H2Oなどを主に含有し、これらはHCS方法から生成される場合に適切なものであり、また主に含酸素化合物および炭素質化合物による不活性化のための再生である。しかし、合成ガスが、HCNおよびNH3などの不活性化化学種を感知できるほどの総量
で含有する場合、再生オフガスは、合成ガス中に存在するものと同じ触媒不活性化化学種をいくつかを含有し、その結果最初の段階で触媒不活性化が起こること(例えばNH3およびHCN)、またオフガスが反応性スラリーにもどされる先行技術再生方法は、実用可能レベルの触媒活性の保持には十分でないことが知られている。正味の影響は、再生方法によって得られる利点の減退であるので、触媒不活性化化学種によるスラリー本体の汚染または再汚染なしに、オフガスを再生スラリーから除去する方法を見つけなくてはならない。本発明はこの問題を解決する。
ここで図1(a)および図1(b)について述べると、円筒型スチール容器12、合成ガスを反応器の底部に供給するためのガスライン16、上端にはフィッシャートロプシュタイプHCS反応のガス生成物、未反応の合成ガス、および触媒を再生させるオフガスを除去するためのガス生成物ライン18を含み、内部に3相スラリー14を含有するスラリータイプのHCS反応器10が模式的に示される。スラリーは、その中に微粒HCS触媒とガス泡を分散させ懸濁させた炭化水素液体を含む。スラリー液体は、スラリー反応条件下で液体であるHCS反応炭化水素生成物を含み、ガス泡は、HCS反応のガス生成物と共に、上昇する合成ガスを含み、そのかなりの部分は蒸気または水蒸気を含む。合成ガスは、反応器底部近くにあるガスおよび液体不浸透性のトレー20の表面を横切って位置する、適切なガス分配手段を通じてスラリー14の底に泡立てられる。反応性スラリー14中の1つ以上の液体フィルター、あるいは反応器外にある1つ以上の濾過装置などの濾過手段は示されない。このような濾過手段は、炭化水素スラリー液体を濾液として触媒粒子から分離し、濾液はさらに加工され品質改良される。先行技術で開示されるように、触媒粒子が磁性または常磁性であれば、触媒粒子を炭化水素液体生成物から分離するのに磁性手段も使用できる。簡便さと単純化のために、濾過手段はその他のいずれの図でも示されない。中空のチューブ24を含む触媒再生手段の内側22は、触媒再生域を画定する。チューブ24は、水素または水素含有触媒再生ガスを触媒再生域22に注入するための、チューブ底近くに位置するガスライン26を含む手段を有する。反応器は1つ以上の触媒再生手段を含有するが、簡便さのためにうち1つ(24)だけを示す。円錐などのバッフル板27が、再生チューブ底部の下側に位置して、合成ガスが触媒再生域に入って、触媒再生を妨害するのを妨げる。再生チューブ24の上端28は、反応性スラリー14の最上部34を超えて伸び、チューブの外面と囲いの内面との間に環状流路32を提供する中空で円筒型の囲い、あるいはチューブまたはパイプの形態の導管30に囲まれる。この実施態様では、囲いの底部はスラリーの中まで伸びるが、これらはスラリーの最上部に再接近していても良い。導管またはチューブ30内部の上部は、その中でオフガスが再生触媒スラリーから放出され、反応器のガス離脱および収集域42中に送られ、そこでガスライン18を経由して反応器から除去されるオフガス離脱域31を画定する。連続的または断続的のどちらかで操作される触媒再生中では、触媒再生性ガスが触媒再生域22中に注入され、そこでスラリー中の触媒に接触することで、その触媒活性の少なくとも一部が回復して再生触媒スラリーおよび再生オフガスを生成する。再生ガスもまた揚力ガスとして作用し、チューブ中のスラリーを含有する触媒に正味の上向き速度を与え、再生性ガスが再生域中に注入される間は、矢印15で示すようにスラリー本体14からチューブの底へのスラリーの連続的循環がある。そこに存在する触媒の少なくとも一部が少なくとも部分的に可逆的に不活性化されるスラリー本体14は、再生チューブおよび域を取り囲む。したがってこの実施態様では、再生域はスラリー本体14の中に位置するが、再生チューブ24の外壁によってそれから分離されている。域22中に生成した再生触媒スラリーは、チューブを通過して上端28から出ていき、そこで泡立ってガス離脱域31を通じてオフガスを放出し、オフガスの少ない再生触媒スラリーを形成する。オフガスの少ない触媒再生スラリーは、矢印33で示すように環状流路32中を通ってスラリー本体14に戻る間に、より多くのガスを放出する。環状流路中のガスの少ないスラリーの存在も障壁の役目をして、放出されたオフガスが下のスラリー本体に接触するのを防止する。放出されたオフガスは矢印40で示すように、導管30中の域31を昇って反応器上端のガス収集域42に入り、そこでライン18を経由して反応器から除去される。上昇するガスは、スラリーの上端から連続的に放出され、オフガスがスラリー本体の上部に接触する前にそれを上向きに反応器の外に押し出す役目を果たす。したがってオフガスは、先行技術の方法のようにスラリー本体14には導入されない。図1(c)に示す別の実施態様では再生チューブ24の上端28は、スラリー本体の上部34を超えてさらに上に伸びるので、スラリーによって放出されたオフガスがチューブ上端から出ていってスラリー本体に落ちて戻ると、スラリー上部から十分遠くに放出されるので、スラリー本体の上部に接触する前にスラリー本体の上部から立ちのぼるガスによって上向きに反応器の外に押し出される。したがってこれによってオフガスとスラリー本体との接触が防止され、または少なくとも最小化される。スラリー反応器の操作中に、その中の上昇するガス泡のために、連続的に上向きに反応器の外に出るスラリー表面からのガスの流れがある。この流れは、オフガスが下のスラリーに接触する前に、上向きに反応器外に押し出すのに十分である。
図2は、HCSスラリータイプの反応器50が、少なくとも1つの触媒スラリー再生チューブ24を含有する先行技術の模式図である。反応器50およびスラリー14は上述の反応器10およびスラリー14と同一であり、それ以上の説明は不要である。反応器50は、上述のような同一の触媒スラリー再生チューブ、再生性ガス注入手段および下方バッフル27を含有する。しかし再生チューブ24の上端28は、スラリー本体中に完全に浸漬されている。その結果、オフガスおよび触媒再生スラリーの双方がスラリー本体14に直接送られて、そこでオフガス中に存在する触媒不活性化化学種が、スラリー本体中の触媒の一部を不活性化して触媒再生の有効性を低下させる。
図3は、本発明を実施するための別の実施態様の単純な部分横断面模式図である。図3について述べると、HCSスラリータイプの反応器60の上部は、その中で合成ガスの上向きの気泡が、スラリー中に懸濁された微粒触媒と接触して、少なくともその一部がスラリー反応条件で液体である炭化水素生成物を形成する3相の反応性HCSスラリー64をその中に含有する円筒型外殻62を含む。反応器60およびスラリー64は、上述の反応器10と本質的に同一である。しかし触媒再生チューブ66は、その他の観点では上述のチューブ24と同様であるが、チューブの上部69が異なり、そこではそれはスラリーから上に伸び、曲がって側方に伸びて横行部分70を形成し、オリフィス74を経由して垂直方向の中空の導管72に開いている。導管72は、触媒再生スラリーからオフガスを離脱するためのガス離脱手段であり、その内部76は、上方の反応器中のガス収集域78と液体でつながった上向きに上昇するオフガス離脱域、およびオフガスの少ない触媒再生スラリーをスラリー本体に戻すスラリー流路の役割りを果たす、スラリー本体と液体でつながった下向きに伸びる下部の双方を画定する。したがって、触媒再生スラリーおよびオフガスの双方は、再生チューブを通過してオリフィス74から出て域76に入り、その中でスラリーから漏れたガスが上昇して反応器上端のガス収集域78に入り、そこからガスライン79を経由して除去される。ガスの少ない触媒活性化されたスラリーは、導管72を通じてスラリー本体に戻される。図4は、全ての観点で上述の反応器10とほぼ同様である円筒型外殻82を含みその中に反応性3相HCSスラリー84を含有し、合成ガスがスラリーを通って泡立つスラリー反応器80上部の部分横断面模式図である。この実施態様では、囲いまたは中空のガス離脱導管87が、反応器を出て反応器外のガス抜き取りライン89に入る延長管88の手段によって排気されること以外は、触媒再生チューブ85および囲い87は上述の図1に示して説明したのと同様である。ガス離脱域83および環状スラリー流路81は、その他の点では図1の実施態様と同一である。この実施態様では、反応器上端近くにあるガス収集域86に放出される代わりに、触媒再生スラリーから放出されたオフガスは、スラリー本体から上昇するガスと混合されずに直接反応器外に送られる。
図5に示した実施態様では、再生チューブ、スラリーおよび反応器は、スラリー本体から抜き取られ再生チューブに送られた触媒不活性化スラリーが、再生域22に入る前に脱気されること以外は、図1(a)および図1(b)に示したのと同一である。本発明の実施においては、スラリー中に存在し、触媒再生法に悪影響を与える合成ガスをスラリーが触媒再生域に送られる前に除去されることが好ましい。図5に示して説明する実施態様では、これは再生チューブ24外壁と中空で円筒型のカップまたはバッフル94内壁との間の環状空間として画定されるガス離脱域92中で達成される。カップ94は、スラリーが再生チューブに入る前にそれを脱気する際のガス離脱手段として機能する。したがって図5について述べると、カップ94の垂直な上壁96は、触媒再生チューブ24の底部を囲んでその中に環状空間92を画定する。カップの底部97は再生チューブの開放底の下で窄まり、中央に位置するオリフィス98になってそこで終端部になる。傾斜する底の角度は、スラリー液体中の触媒粒子の安息角(angle of repose of the catalyst particles)よりも大きい。触媒再生性ガスを再生域22に注入した際、それはその中でスラリーに対して正味の上向き速度を与えるので、矢印99で示すようにスラリー本体14からカップ94の上端に入るスラリーの連続流れを作る。カップの外壁は、上向きの合成ガス泡が、チューブ外面とカップ内面との間の環状経路92を流れ落ちる脱気スラリーに接触するのを妨げるバッフルとして作用する。したがって環状流路は、合成ガスが内側のスラリーに接触するのを妨げるバッフルの作用をする周囲のカップが存在するために、その中でガス泡がそれを通過するスラリーから離脱され、上向きの合成ガス泡によって置換されない静止域である。この結果、矢印101で示すように、再生チューブの底に入るガス低減スラリーが得られる。オリフィス98はスラリーから離脱された触媒粒子が、環状流路を通って再生チューブ内に流れ落ちるのを許容し、蓄積してチューブ内へのスラリーの流れを遅延さたり塞いだりしない大きさに設定される。環状域を通過するスラリー流速に関してそれがどのような大きさに設定されるか、それが再生チューブに入るための所用時間、カップの高さおよび再生チューブの直径に対するカップの直径次第では、離脱カップ94は、再生域に入るスラリー中の触媒を濃縮することもできる。さらに別の実施態様(図示せず)では、米国特許第5,382,748号で開示されるように、スラリーを再生域に供給する前にそれからガス泡を離脱するガス離脱域の付いた降下管も使用できる。このようなガス離脱カップは適切な大きさにすれば、再生域に入るスラリー中の触媒濃度がスラリー本体中よりも大きくなるように、降下管に入る触媒の濃縮をすることも最近分かった。降下管は脱気し、そして要すればスラリー中の触媒を濃縮して、それは次に触媒再生域に送られる。
本発明の実施において、COが消費され尽くすまでスラリー中のCOの存在が触媒再生を妨げることが分かっているので、スラリー再生域の再生ガスに接触する前に、少なくとも部分的にそれが脱気することは有益であり好ましい。高いCO濃度と、再生域中で短い滞留時間がそろった最悪のケースでは、再生は全く起こらない。さらに別の考慮すべき事項は、再生域にCOが存在する場合、貴重なCOが主にメタンになる無駄な消費である。スラリーが再生域に入る前にCOが全くなくなるように、それからCOが全て除去されるのが最善のケースである。再生域に注入される水素再生性ガスは、H2対COのモル比を実質的に2.1〜1の化学量論的モル比よりも大きくする。これは再生域中のCOを望ましくより価値のある液体生成物の代わりに、より分子量の低いガス(主にメタン)に転換する傾向がある。さらにメタンから合成ガスを生成するHCS方法で最も高価なユニット操作の1つは、合成ガス製造で必要とされる酸素の生成である。再生域中の合成ガスからのメタン生成の正味の結果は、純粋な酸素およびメタンをメタンおよびH2Oに転換して戻すことである。未反応の合成ガスに加えて、反応性スラリー本体中のガス泡は、炭化水素、低分子量酸素添加化合物、および水素再生ガスに対して希釈剤として作用することにより、触媒の再生におけるその有効性をさらに低下させるかなりの量の水蒸気(水蒸気は50%までのガス状反応生成物を含んでも良い)を含むガス状炭化水素合成反応の生成物も含む。したがって、これらの理由により、スラリーが再生にはいる前にそれからできるだけ多くの合成ガスを除去することが有益である。本発明の実施において、ガス離脱手段を用いることで、スラリーが再生域に入る前にそれからCOおよびその他のガスを含有する90容積%までのガス泡を除去できる。上で述べた降下管の実施態様では、ガス離脱手段は再生域に流れ込むスラリー中の触媒の濃縮もするので、それによってスラリー密度がさらに増大して、特定の再生ガス流速でスラリーが再生域に流れ込む速度が増大する。一方、再生域またはチューブ中の再生ガスの速度は、再生域を上向きに通過するスラリーの循環を確実にするために、その中のスラリー密度が反応器中のスラリー本体の密度を超えないようにする速度である。再生域に注入される水素または水素含有触媒再生ガスは、水素を含み、H2対COのモル比がCOを除去して触媒の少なくとも一部を再生させるのに十分でさえあれば、窒素、CO2、H2O、CH4、C2-4+炭化水素、およびCOなどのその他のガスを含有しても良い。
米国特許第5,288,673号で開示されるように、触媒再生の程度は、周囲のHCS反応域中のスラリーの主要本体温度に関係なく、再生域中のスラリー温度を独立に調節して調節できる。この特許では、再生域またはチューブ中の温度調節が、再生反応の発熱性を用いるように域中のスラリー滞留時間を増大または減少させること、再生チューブを断熱すること、域中に加熱剤または冷却剤を導入すること、再生させるガスを余熱することなどのどれか1つ以上によって達成されることを開示している。’673特許では再生域中の温度は、CO除去および少なくとも部分的に触媒を再生させるのに十分高くなければならず、メタン形成およびワックス(〜C20+アルカン)加水分解を最小化するのに十分低くなければならないないことが教示されている。これらの教示は本発明にも当てはまる。
HCS方法では、シフトまたは非シフト条件下で、特に触媒金属がCo、Ruまたはそれらの混合物を含む場合は、好ましくは水ガスシフト反応がほとんどあるいは全く生じない非シフト条件下で、H2およびCOの混合物を含む合成ガスと、適切なフィッシャートロプシュタイプのHCS触媒とを接触させて液体およびガス状炭化水素生成物が形成される。適切なフィッシャートロプシュタイプ反応タイプの触媒は、例えばFe、Ni、Co、RuおよびReなどの1つ以上のVII族触媒金属を含む。一実施態様では触媒は、触媒的に効果的な量のCoと、好ましくは1つ以上不応性の酸化金属を含む適切な無機担体材料上のRe、Ru、Fe、Ni、Th、Zr、Hf、U、Mg、Laの1つ以上を含む。特にその中でより高い分子量の主にパラフィン系液体炭化水素生成物が望ましいスラリーHCS方法を用いる場合は、Co含有触媒の好ましい担体はチタニアを含む。有用な触媒およびそれらの調製方法については既知であり、例証となるが制限を意図しない例は、例えば米国特許第4,568,663号、同第4,663,305号、同第4,542,122号、同第4,621,072号、および同第5,545,674号にある。
本発明に従ってHCS方法によって生成される炭化水素は、C5+炭化水素の全部または一部を分別および/または転化することで、典型的にはより価値のある生成物に品質改良される。転化とは、少なくとも一部の炭化水素の分子構造を変化させる1つ以上の操作を意味し、非触媒的処理(例えば水蒸気分解)および分画と適切な触媒とを接触させる触媒処理(例えば接触分解)の双方を含む。反応物として水素が存在する場合、このような方法工程は典型的には水素化転化と称され、例えば水素化異性化、水素化分解、水素化脱ろう、水素化精製を含み、より過酷な水素化精製は水素処理と称され、パラフィンに富んだ炭化水素供給材料を含めた炭化水素供給材料の水素化転化に関する文献でいずれも周知の条件下で行われる。転化によって生じるより価値のある生成物の例証となるが制限を意図しない例としては、1つ以上の合成石油、液体燃料、オレフィン、溶剤、潤滑剤、工業または医療用オイル、ワックス質炭化水素、窒素および酸素含有化合物などが挙げられる。液体燃料としては自動車用ガソリン、ジーゼル燃料、ジェット燃料、および灯油の1つ以上が挙げられるのに対し、潤滑油としては例えば自動車、ジェット、タービン、および金属作業油が挙げられる。工業用オイルとしては、削井流体、農業用オイル、熱伝導流体などが挙げられる。
上述の本発明の範囲と精神を逸脱しない、本発明の実施における様々なその他の実施態様および修正は、当業者には明らかであり容易に実施できる。したがってこに付記した請求の範囲が、上で述べた正確な説明に限定されることは意図せず、請求は本発明に関係のある当業者によってそれらの同等物として扱われる全ての特徴および実施態様を含めて、本発明に存在する特許可能な新規性のあらゆる特徴全般を包含する。
Claims (11)
- 触媒、スラリー液体、およびガス泡を含む3相スラリーに分散された触媒微粒子を再生する手段を含む反応器であって、該反応器は、下記(イ)〜(ニ)からなる該手段を含むことを特徴とするスラリー反応器。
(イ)該スラリーを通過させるための入口と出口を有する中空の流体導管
(ロ)該スラリーの出口
(ハ)該導管内部にガスを注入する手段
(ニ)該導管出口近くに位置し、また該導管の内部と流体でつながり、該導管を出る該スラリー液体から該ガスを分離するためのガス分離手段 - 該触媒再生手段は、該スラリーが該スラリー導管に入る前にそれからガスを離脱させるためのガス離脱手段を有することを特徴とする請求項1記載のスラリー反応器。
- 請求項1又は2に記載のスラリー反応器を用いて、少なくともその一部分が液体である炭化水素を形成するためのスラリー炭化水素合成方法であって、
該方法は、下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とするスラリー炭化水素合成方法。
(a)触媒不活性化化学種の存在下に、水素および一酸化炭素の混合物からなる合成ガスを、固形微粒炭化水素合成触媒と炭化水素スラリー液体とガス泡とを含むスラリー本体中(slurry body)、該触媒と、合成ガスから炭化水素を形成するのに効果的な反応条件下で接触させる工程であって、該化学種は、該スラリー中の触媒を少なくとも部分的に可逆的に不活性化し、該炭化水素液体は、該反応条件下で液体であるHCS反応生成物を含む工程
(b)該スラリー本体からの一部の該スラリーを、触媒再生域に通過させる工程
(c)該再生域の該スラリーを、触媒再生ガスと接触させ、該触媒再生ガスは、そこで少なくとも部分的に触媒を再生して、(i)再生触媒スラリーおよび(ii)該触媒を不活性化する化学種を含む再生オフガスを形成する工程
(d)スラリーからのガス分離域において、再生触媒スラリーから再生オフガスを分離する工程 - オフガスの少ない再生スラリーは、工程(d)で形成され、該スラリー本体(slurry body)に戻ることを特徴とする請求項3に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該スラリー本体から抜き取られた該スラリーは、該再生域に通される前に、該スラリーから少なくとも一部のガス泡を除去するためのガス離脱域に通されることを特徴とする請求項4に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該スラリー本体は、炭化水素合成反応器中に反応性スラリーを含むことを特徴とする請求項5に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該再生ガスとオフガスの分離は、該反応器内で起こることを特徴とする請求項5に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該触媒は、担体上にコバルトを含むことを特徴とする請求項5に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該担体は、チタニアを含むことを特徴とする請求項8に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該炭化水素生成物は、炭素数5以上の炭化水素を含み、少なくともその一部は、さらに、触媒的若しくは非触媒的転化により、または分別と触媒的若しくは非触媒的転化との両方により、転化されることを特徴とする請求項6に記載のスラリー炭化水素合成方法。
- 該転化は、水素存在下の接触転化であることを特徴とする請求項10に記載のスラリー炭化水素合成方法。
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