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JP4340339B2 - 血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損モデル動物並びに該モデル動物の作製方法 - Google Patents
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血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損モデル動物並びに該モデル動物の作製方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、血液凝固因子または血液凝固制御因子欠損モデル動物に関する。詳細には、猿猴類動物を用いた血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損モデル並びに該モデル動物の作製方法に関する。より詳細には、ヒト由来の血液凝固因子または血液凝固制御因子を免疫原として猿猴類動物に各種方法で免疫し、産生させた抗体が猿猴類動物体内のヒト由来当該因子と同一機能を有する物質を中和し機能不全に陥らせることにより作製される血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損モデル並びに該モデル動物を作製する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】
血液凝固因子またはその制御因子の欠損は、正常な血液凝固反応とその制御反応のバランスがくずれ、過剰な出血と自然発生的な血栓を生じさせる。特に遺伝的な血液凝固因子の欠損疾患として、血液凝固第VIII因子(以下、FVIIIと称することがある)欠損の血友病A、血液凝固第IX因子(以下、FIXと称することがある)欠損の血友病Bがある。これら疾患は、臨床上、重篤な反復性の深部臓器出血(関節、筋肉、中枢神経系や消化管出血など)を呈するのが特徴であり、国内には約3000名の患者が存在する。
【0003】
血友病患者は常に出血の危険にさらされており、その出血の管理、つまり出血防止及び出血停止のために、プール血漿から抽出精製または遺伝子組み換え法により各種細胞に発現させたFVIIIまたはFIXを投与する補充療法が行われている。しかし、このような治療方法は元々FVIIIやFIXが欠損している患者に行われるため、患者の中には投与されたこれら血液凝固因子を異物と見なし中和抗体が産生される場合がある。このようにして補充療法が無効となる血友病インヒビター保有患者は血友病患者の約6.0%に発生すると言われており、補充療法に伴う副作用の中で最も深刻な問題の一つとなっている(松田道生、鈴木宏治編、止血・血栓・線溶、中外医学社1994年刊、神谷正、血友病 最近の話題 p.472-479)。
【0004】
上記血友病インヒビター保有患者の治療には、(1)産生された抗体を凌駕するほどの過剰な血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子を投与する。(2)血液凝固経路中のFVIIIやFIXを経由しない、つまり横道(バイパス)の経路により血液凝固を生じさせるバイパス製剤(プロプレックス(商品名)、オートプレックス(商品名)、ファイバ(商品名))の投与が行われている。しかし、欠損因子の過剰投与は量的、経済的な限界があること、バイパス製剤では、血液凝固の最終段階であるトロンビン産生力が強すぎるが故に、汎発性血管内凝固症候群(以下、DICと称することがある)の誘発をまねく危険性があり(N. Eng. J. Med. vol.303,p.421-425, 1980)、有効性と安全性を満足する新規製剤の開発が待たれている。
【0005】
製剤開発のためには実験動物を用いた薬効モデルが不可欠である。これまで各種バイパス製剤の薬効評価には先天性FVIIIまたはFIX欠損のイヌモデル(血友病犬)及び抗FVIII抗体、インヒビター患者血漿の各種動物への投与による一過性血友病インヒビターモデルが使用されてきた(Proc. Natl. Acad. Sci., vol.86,p.1382-1386, 1989; Thrombosis and Haemostasis,vol.77,p.591-599, 1997)。また、近年では、トランスジェニックマウスを用いた血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子欠損マウスの作製が行われている(Nature Genetics, vol.10,p.119-121, 1995; Blood,vol.88,p.3446-3450, 1996; Blood,vol.91,p.784-790, 1998)。しかし、これらの動物モデルではヒトとは種が離れているため、インヒビターの病態もしくは投与薬剤の血中動態、薬効評価などの点で、十分にヒトへの応用可能な試験結果を得ることができておらず、このことが新規な血友病インヒビター治療薬の開発が進展しない一因となっている。
【0006】
【問題を解決するための手段、発明の構成】
本願発明者等は上記問題点を解決するために鋭意努力を重ねた結果、ヒトの血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損状態を好適に再現する猿猴類動物を用いたモデル動物並びに当該モデル動物を簡便に作出する方法を提供する本願発明を完成した。
以下、本願発明を概説する。
【0007】
本願発明の猿猴類動物を用いたヒト血液凝固因子または血液凝固制御因子欠損状態モデル動物は、ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子を猿猴類動物に免疫することによって、動物体内で産生されたヒト免疫原に対する抗体が動物体内の血液凝固因子または血液凝固制御因子を中和する状態を好適に再現するインヒビター保有患者モデルである。加えて、本願発明はまた前記ヒト血液凝固因子または血液凝固制御因子欠損状態モデル動物を簡便に作出し得る方法を提供する。
【0008】
本願発明で用いられるヒト由来血液凝固因子には、血液凝固第XII因子、血液凝固第XIII因子、血液凝固第XI因子、血液凝固第X因子、血液凝固第IX因子、血液凝固第VIII因子、血液凝固第VII因子、血液凝固第V因子、プロトロンビン及びフィブリノーゲンがある。また、血液凝固制御因子には、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、トロンボモジュリン、TFPI(Tissue Factor Pathway Inhibitor)、AT-III(Antithrombin-III)等の一連のセリンプロテアーゼインヒビターが包含される。
本願発明において免疫原として用いられる当該因子は、ヒト由来であれば血液、細胞由来はもちろんのこと、そのアミノ酸配列を基にした化学合成ペプチドまたは遺伝子組換え技術により産生されたものを含む。また、本願発明のモデル動物としての猿猴類動物は、系統発生学的に真猿類以上の大型猿猴類、例えばカニクイザルが例示されこれらを使用することが望ましいが、本願発明の血液凝固因子または血液凝固制御因子欠損状態を呈しさえすれば特に限定されるものではない。
【0009】
免疫方法は、中和抗体を産生し得る方法であれば投与形態を問わないが、望ましくは、抗原の皮下、皮内、筋肉内への接種による免疫が推奨され、これらによれば投与する免疫原の量が静脈投与に比較して低投与量で済ますことができる。抗原の接種に当たっては免疫賦活作用を有するアジュバントを併用すれば効果的であるが、フロイントの完全アジュバントと不完全アジュバントの組み合わせでの使用が好ましい結果をもたらす。好適な抗原及びアジュバント量並びに投与スケジュールは以下のとおりである。
一般的な動物への異種蛋白質の免疫方法が適用され、数mg/kgの抗原をフロイントの完全アジュバントと混合し、皮下の複数の部位に投与する。3〜4週間後、同様に抗原をフロイントの不完全アジュバントと混合し、皮下の複数の部位に投与する。
【0010】
免疫開始後、モデルの対象となる疾患の血液学上の指標、例えば、後述する(1)組織トロンボプラスチン時間及び活性化部分トロンボプラスチン時間、(2)凝固因子活性、(3)抗ヒトFVIIaまたは抗ヒトFIX抗体、(4)中和試験、及び(5)出血時間及び出血量を経時的に測定すること、並びに同時にサルの観察を行なえば、実験動物を目標とする凝固因子または血液凝固制御因子欠乏症状態に誘導できたことが確認できる。誘導完了後、開発薬剤の投与を行えばその薬剤の薬効評価が可能となる。
【0011】
以下、疾患の血液学上の指標と当該指標の測定原理を概説する。
(1)組織トロンボプラスチン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
血液の止血反応は、血小板の血管損傷部位への粘着・凝集による一次止血反応、その後のフィブリン形成に基づく二次止血反応に分類される。凝固反応には外因系凝固反応、内因系凝固反応の2つの経路がある。PTは血漿に組織トロンボプラスチン/リン脂質/Ca2+を添加したときの凝固時間であり、APTTは血漿にアクチン/リン脂質/Ca2+を添加したときの凝固時間である。PTは外因系の血液凝固第VII因子(以下、FVIIと称することがある)の異常を、APTTは内因系凝固因子(FXII、FXI、FIX、FVIII)の異常を主に検出する。
【0012】
(2)凝固因子活性測定方法
凝固因子活性は、各凝固因子の欠乏血漿を用いて測定する。例えば、FVIIの活性を測定する場合はFVII欠乏血漿にサンプルを添加し、組織トロンボプラスチン/リン脂質/Ca2+の混合溶液によって凝固を開始させ、標準血漿を1倍としたときの活性(倍/ml)として表示する。FIXの場合も同様にFIX欠乏血漿にサンプルを添加し、アクチン/リン脂質混合溶液添加後、さらにCa2+を添加することにより凝固反応を開始させ、標準血漿を1倍としたときの活性(倍/ml)として表示する。
【0013】
(3)抗ヒトFVIIaまたは抗ヒトFIX抗体の測定
モデル動物に産生させたIgG抗体の上昇は、固相プレート上にヒトFVIIaまたはヒトFIXを固定化し、サンプルを展開後、ペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗IgG抗体と反応させた後、水解された発色基質の発色強度を測定することによって確認する。
【0014】
(4)中和試験
モデル動物に産生させた抗体が、血漿中のFVII及びFIXの中和能力を有するか否かの程度は、モデル動物標準血漿に希釈した検体を1:1に混合し、その活性が50%中和される希釈倍率を、Bethesda単位(BU)として評価する。
【0015】
(5)出血時間及び出血量の測定
モデル動物の尾にシンプレート(商品名)(オルガノンテクニカ社)で切創を作出し、30秒毎にワットマン3MM(商品名)濾紙(ワットマン社 )に血液を吸着させ吸着が停止した時間を出血時間とする。二次出血は一次出血が終了後、切創部位を脱脂綿で3回拭うことにより再出血を生じさせ、これを二次出血とする。出血量は吸着した血液をアンモニア溶液で抽出しヘモグロビン量を定量し算出する

【0016】
【発明の効果】
本願発明により、従来容易に再現することができなかったヒトの血液凝固因子もしくは血液凝固制御因子欠損状態モデル動物並びに該モデル動物の作出方法が提供される。これにより血友病インヒビター治療薬の開発の障壁が低減され、当該治療薬開発のより一層の進展が期待される。
以下に、実施例を挙げて本願発明を具体的に説明するが、本願発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0017】
【実施例】
実施例1
(猿猴類動物を用いたFIX欠損モデル)
(1)実施方法
ヒト新鮮凍結血漿60リットルを冷融解し、沈殿画分を遠心分離した上清を陰イオン交換体(DEAE-SephadexA-40、ファルマシア社)に添加した。20mM クエン酸/0.1M NaCl(pH7.0)にて充分に洗浄し、20mM クエン酸/0.5M NaCl(pH7.0)にてGlaドメインを有するビタミンK依存性凝固因子画分を溶出した。溶出液300リットルを50mM Tris/150mM NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)であらかじめ平衡化した抗FIXモノクローナル抗体固定化アフィニテイゲルに展開し、50mM Tris/2.5M NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)の緩衝液で洗浄後、50mM Tris/30mM NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)で更に洗浄し、50mM Tris/30mM NaCl/10mM EDTA・2Na(pH7.4)で溶出しFIX画分を得た。得られたFIX画分を、予め50mM Tris/30mM NaCl(pH8.0)の緩衝液で充填してあるウイルス除去膜(ベンベルグマイクロポーラスメンブレン、旭化成)に展開しろ液を得た。ろ液中に純度90%以上のヒトFIXを40mg取得した。
【0018】
上記、ヒトFIXをカニクイサル3頭(No.1雄-6歳、No.2雄-6歳、No.3雌-9歳)にヒトFIXとフロイント完全アジュバントを1:1に混合し油中型エマルジョンとして、5mg/頭になるように初回免疫した、さらに追加免疫のために、初回免疫後28日目にヒトFIXとフロイント不完全アジュバントを同様の方法で皮下に投与した。サルの凝血学的試験として、PT、APTT、FVIX活性、FIX抗体価測定を行った。また、No.1サルには、バイパス製剤の一つであるFVIIa製剤を45μg/kg投与した。FVIIa製剤の投与試験では投与前、投与30分後、投与360分後に出血時間及び出血量を測定した。
【0019】
(2)結果
カニクイザルは3頭共に、PTは免疫開始前に比べ変動しなかったが(図1)、APTTの顕著な延長(図2)と追加免疫後抗ヒトFIX抗体価の急激な上昇(図4)が認められた.FIX活性は抗体価の上昇と共に低下し(図3、4)、No.1サルの免疫開始後35日目の中和活性は12BUであった。この現象はヒトFIX抗原により誘導された抗体が自己のFIXと免疫複合体を形成することによって生じたものと考えられた。3頭のうちNo.1サルは追加免疫後3週間以上にわたってFIX活性が5%未満の状態を持続し(図3)、その間に一過性の血尿と上腕部に紫斑が観察され、血友病Bインヒビター様の症状を呈した.また、追加免疫後3週目のNo.1サルにFVIIaを45μg/kg投与した結果、出血時間の短縮、出血量の低減効果が認められた(表1)。従って、本モデルがバイパス製剤の薬効評価系として有効であることが確認された。
【0020】
【表1】
──────────────────────────────────
項 目 投与前 投与30分後 投与360分後
出血時間
一次出血時間(分,秒) 9.22 4.02 3.42
二次出血時間(分,秒) 4.15 2.29 5.27
出血量
一次出血量(μl) 93.1 56.6 35.5
二次出血量(μl) 69.5 24.3 49.0
──────────────────────────────────
試験は2回実施し、その平均値を表示した
【0021】
実施例2
(サルを用いたFVII欠損モデル)
(1)実施方法
ヒト新鮮凍結血漿3000リットルを冷融解し、沈殿画分を遠心分離した上清を陰イオン交換体(DEAE-SephadexA-40、ファルマシア社)に添加した。20mM クエン酸/0.1M NaCl(pH7.0)にて充分に洗浄し、20mM クエン酸/0.5M NaCl(pH7.0)にてGlaドメインを有するビタミンK依存性蛋白質画分を溶出した。溶出液300リットルを50mM Tris/150mM NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)であらかじめ平衡化した抗FVIIモノクローナル抗体固定化アフィニテイゲルに展開し、50mM Tris/2.5M NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)の緩衝液で洗浄後、50mM Tris/30mM NaCl/5.0mM CaCl2(pH8.0)で更に洗浄し、50mM Tris/30mM NaCl/10mM EDTA・2Na(pH7.4)で溶出しFVII画分を得た。得られたFVII画分を、予め50mM Tris/30mM NaCl(pH8.0)の緩衝液で充填してあるウイルス除去膜(ベンベルグマイクロポーラスメンブレン、旭化成)に展開しろ液を得た。得られたろ液のFVII純度は85%であった。上記、0.2mg/mlのFVII溶液50mlを予め50mM Tris/30mM NaCl(pH8.0)で平衡化したφ5.0mm、高さ5.0cmのDEAE-セファロースファーストフロウ(ファルマシア社)カラムに展開し活性化し、純度95%のFVIIaを800mg取得した。
【0022】
上記ヒトFVIIaを4歳齢のカニクイサル3頭(No.1、No.2は雄、No.3は雌)に28日間連日3.3mg/kg静脈内投与した。投与後、凝血学的試験として、PT、APTT、FVII活性、FVIIa抗体価測定を行った。また、投与28日目のNo.3サル血漿を用いFVII中和能測定を行った。
【0023】
(2)結果及び考察
ヒトFVIIaをサル3頭に28日間毎日連続投与し、投与前及び28日後の凝血学的検査を行った結果、3頭のサルは共にAPTTの変化は観られなかったが、PTの顕著な延長が認められた(表2(PTの変動)、表3(APTTの変動))。投与開始後14日目にはFVII活性の低下が認められ、28日後には検出感度以下まで低下した(表4(FVII活性の変動))。また、抗ヒトFVIIa/FVII抗体価は投与開始後14日目には上昇が確認され28日目にはさらに上昇した(図5)。また、28日目のNo.3サルの血漿の中和活性を測定したところ5BUであった。
【0024】
【表2】
Figure 0004340339
【0025】
【表3】
Figure 0004340339
【0026】
【表4】
Figure 0004340339
【0027】
上記事実は、外因系凝固因子であるサルFVIIがヒトFVIIaの投与により誘導された抗体によってその機能が中和されたか、もしくは、体内で産生された抗ヒトFVIIa抗体と免疫複合体が形成され網内系により処理され代謝されたものと推察される。また、No.3サルの血漿中に正常サル血漿のFVII活性の中和活性が認められたことから、産生された抗ヒトFVIIa抗体はサルFVII活性の中和能を有していることを強く示唆している。以上の結果は、サルにヒトFVIIaの静脈内投与を頻回行うことによりFVII欠損モデルが作出可能であることを示している。
【0028】
実施例3
(FIX欠損モデルのウサギでの考察)
(1)実施方法
ヒトFIXをウサギに免疫し精製した抗ヒトFIXウサギ抗体(ノルデディク社より購入)が正常ウサギ血漿中のFIXへの中和活性を有しているかどうかを調べた。試験は、ウサギ血漿300μlに抗ヒトFIXウサギ抗体を終濃度が0.0〜1.0mg/mlになるように添加し37℃で2時間インキュベ−トした後、残存するFIX活性を測定することによって実施した。
【0029】
(2)試験結果及び考察
残存FIX活性測定の結果、上記抗体濃度0.0〜1.0mg/ml以下ではウサギFIX活性の低下は確認されなかった(図6)。本結果は、ヒトFIXを免疫原としてウサギで産生された抗体はウサギFIXとは反応しないか、もしくはその中和活性の程度が低いことを示唆している。
【0030】
実施例4
(FIX欠損モデルのヤギでの考察)
(1)実施方法
ヒトFIXをヤギに免疫し精製した抗ヒトFIXヤギ抗体(CEDARLANE社より購入)が正常ヤギ血漿中のFIXへの中和活性を有しているかどうかを調べた。試験は、正常ヤギ血漿300μlに抗ヒトFIXヤギ抗体を終濃度が0.0〜1.0mg/mlになるように添加し37℃で2時間インキュベ−トしたのち、残存するFIX活性を測定することによって実施した。
【0031】
(2)試験結果及び考察
残存FIX活性測定の結果、上記抗体濃度0.0〜1.0mg/ml以下ではヤギFIX活性の低下は確認されなかった(図7)。本結果は、ヒトFIXを免疫原としてヤギで産生された抗体はヤギFIXとは反応しないか、もしくはその程度が低いことを示唆している。
【0032】
実施例3及び4の結果から、系統発生上サルより低い動物種ではヒト血液凝固因子を抗原として投与しても自己の凝固因子を中和する抗体が産生される可能性は極めて低いことが推定された。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトFIXをサルに投与したときのPTの変動を示す図である。
【図2】ヒトFIXをサルに投与したときのAPPTの変動を示す図である。
【図3】ヒトFIXをサルに投与したときのFIX力価の変動を示す図である。
【図4】ヒトFIXをサルに投与したときの抗ヒトFIX抗体価の変動を示す図である。
【図5】ヒトFVIIaをサルに投与したときの抗ヒトFVIIa/FVII抗体価の変動を示す図である。
【図6】抗ヒトFIXウサギ抗体によるウサギFIXの中和試験における残存FIX活性測定の結果を示す図である。
【図7】抗ヒトFIXヤギ抗体によるヤギFIXの中和試験における残存FIX活性測定の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子がビタミンK依存性因子であって、ヒト由来当該因子を猿猴類動物に投与し免疫反応を惹起させ、猿猴類動物の生体内のヒト由来当該因子と同一機能を有する血液凝固因子または血液凝固制御因子を免疫反応により中和することによって作製される、血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物。
  2. 前記猿猴類動物が、系統発生学的に真猿類以上の大型サルである請求項1に記載の血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物。
  3. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子が、血液凝固第X因子、血液凝固第IX因子、血液凝固第VII因子、プロトロンビン、プロテインCより選択される、請求項1または請求項のいずれかに記載の血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物。
  4. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子が、血液凝固第IX因子、血液凝固第VII因子より選択される、請求項1から請求項のいずれかに記載の血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物。
  5. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子がビタミンK依存性因子であって、ヒト由来当該因子を猿猴類動物に投与し免疫反応を惹起させ、猿猴類動物の生体内のヒト由来当該因子と同一機能を有する血液凝固因子または血液凝固制御因子を免疫反応により中和することによって作製される、血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物を作製する方法。
  6. 前記猿猴類動物が、系統発生学的に真猿類以上の大型サルである請求項5に記載の血液凝固因子または血液凝固制御因子インヒビター患者モデル動物を作製する方法。
  7. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子が、血液凝固第X因子、血液凝固第IX因子、血液凝固第VII因子、プロトロンビン、プロテインCより選択される、請求項5または請求項6のいずれかに記載のインヒビター患者モデル動物の作製方法。
  8. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子が、血液凝固第IX因子、血液凝固第VII因子より選択される、請求項5から請求項7のいずれかに記載のインヒビター患者モデル動物の作製方法。
  9. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子の投与方法が皮下投与または静脈投与である請求項から請求項のいずれかに記載のインヒビター患者モデル動物の作製方法。
  10. ヒト由来血液凝固因子または血液凝固制御因子の投与方法が皮下投与時に免疫賦活化剤としてフロイントの完全アジュバントまたはフロイントの不完全アジュバントを用いる方法である、請求項に記載のインヒビター患者モデル動物の作製方法。
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