JP4342631B2 - ハードレーザマーキングウェーハの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はハードレーザマーキングウェーハの製造方法、詳しくはウェーハ表面にハードレーザマークが刻印されたハードレーザマーキングウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のハードレーザマーキングウェーハの製造方法の一例を、図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、スライス工程(S401)では、インゴットからシリコンウェーハをスライスする。次の面取り工程(S402)では、このシリコンウェーハの外周部に面取り加工を施す。続くラッピング工程(S403)においては、ラップ盤によりそのシリコンウェーハの表裏両面にラップ加工を施す。そして、次の酸エッチング工程(S404)では、ラップドウェーハを所定のエッチング液(混酸またはアルカリ+混酸)に浸漬し、そのラップ加工での歪み、面取り工程での歪みなどを除去する。
【0003】
その後、例えばユーザ側からの要請により、シリコンウェーハの認識のために、ウェーハ表面にレーザ光線を高出力で照射して、溝の深いハードレーザマークをエッチング後に刻む(S405)。すなわち、シリコンウェーハの表面に、あらかじめ指定されたバーコード,数字,記号,図形などのマークが表示されるのである。このように、エッチング後にハードレーザマーキングを施しているので、スライス後、マーキングを実施した場合に比べマーキング深さが浅くてすみ、かつマーキング時のパーティクルの発生も抑えられる。
その後、このシリコンウェーハをワックスを用いて研磨盤に接着し、ウェーハ表面に鏡面研磨を施す(S406)。そして、シリコンウェーハの裏面に付着したワックスなどを除去した後、最終の仕上げ洗浄工程(S407)を経ることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術のハードレーザマーキングウェーハの製造にあっては、マーキング後にシリコンウェーハ表面を鏡面研磨していた。そのため、研磨後、ウェーハ表面のハードレーザマークの形成部周辺の平坦度が低下するおそれがあった。以下、図5の従来手段に係るハードレーザマーキングウェーハの製造工程を示す説明図を参照して、これを詳細に述べる。
すなわち、レーザマーキングには、マーク深さの違いでソフトレーザマーキング(マークの深さ0.1〜5μm)と、ハードレーザマーキング(マーク深さ5〜100μm)とがある。後者のハードレーザマーキングの場合は、高出力のレーザ光線がウェーハ表面に照射される。このため、刻印されたハードレーザマークの周縁には、比較的高さのある環状の隆起部aが現出することになる(図5(a))。これにより、後の研磨工程において、このウェーハ表面の隆起部a周辺にうねりが生じやすくなり、その結果、ウェーハの平坦度が低下しやすいという問題があった(図5(b))。これは、本来研磨が、開始当初のウェーハ表面の形状にならって、その面をみがくという加工特性に由来する。
【0005】
【発明の目的】
この発明は、ハードレーザマークに起因するウェーハ平坦度の低下を解消することができ、研磨時にウェーハ表面に傷がつくことを防止することができる高品質のハードレーザマーキングウェーハを作製することができるハードレーザマーキングウェーハの製造方法を提供することを、その目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、エッチング後の半導体ウェーハの表面に、ハードレーザマーキングを施す工程と、この後、この半導体ウェーハの表面を研削することにより、このハードレーザマーク形成部の周縁に形成された隆起部を除去する工程と、この研削後、このウェーハ研削面を鏡面研磨する工程とを備えたハードレーザマーキングウェーハの製造方法である。
半導体ウェーハとしては、例えばシリコンウェーハ,ガリウム砒素ウェーハなどが挙げられる。
【0007】
ここでいうハードレーザマーキングウェーハが高品質であるとは、製造後のウェーハ表面にハードレーザマーキングに起因したウェーハ表面のうねりがないウェーハであることを意味する。好ましくは、サイト平坦度、例えば25mm×25mmの面積をもつサイトで裏面基準の高さの差SBIR(Site Back-side Ideal Range)において、0.40μm以下であることを意味する。
ハードレーザマークの深さは5〜100μm、好ましくは10〜80μmである。5μm未満では、その後のウェーハ加工時にレーザマークが浅くなり、マークが判読不可能となってしまうという不都合が生じる。なお、これらの事項は、請求項2に記載の発明にも該当する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記研削工程は、#1500〜#3000のレジノイドボンド研削砥石を用いて行う請求項1に記載のハードレーザマーキングウェーハの製造方法である。
また、ハードレーザマーキングの方法は限定されない。レーザ光線のビーム径,出力,照射時間などの各種の条件は、周知のハードレーザマーキングと同じである。使用されるレーザ光線も限定されない。例えば、レーザ加工用のNd:YAGレーザ,X線レーザなどが挙げられる。
【0009】
このNd:YAGレーザは、高効率で入力エネルギも少なく、かつ連続的光励起により連続発振することもできる4準位レーザである。すなわち、Nd:YAGレーザのエネルギ準位は、大きくわけて基底状態の準位(1)と、レーザ遷移の下準位(2)と、レーザ遷移の上準位となる準安定励起状態の準位(3)と、吸収帯となる準位(4)との4準位からなる。
Nd3+:Y3Al3O12(YAG:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の結晶内では、活性イオンとなるNd3+イオンが不純物としてY3+イオンに置換され、活性イオンとなる。Nd3+:YAGのおもな吸収帯は、0.8μm帯と0.73μm帯にある。準安定状態の準位(3)の寿命は230μs,一方、準位(2)の寿命は0.1μsと短い。
【0010】
Nd:YAG準位(2)と基底準位とのエネルギ差は2300cm−1あるので、通常の常温の熱平衡状態では準位(2)の状態にある活性イオン数は0に等しい。そこで、光励起により吸収帯に励起されると、非放射遷移でただちに準位(3)に移ることから、準安定励起状態(3)の活性イオン数が増加する。下準位(2)の緩和が速いことから、準安定状態の活性イオン数が増えると、容易に準位(3)と準位(2)との間で反転分布が形成され、その準位間の遷移でレーザ発振(波長:1.06μm)が起こる。
X線レーザに用いられるX線は、波長が100オングストローム(10nm)から0.01オングストロームの極短波長である。X線レーザの励起法には、多光子励起法などがある。これは、短波長励レーザの励起法の一つで、高出力紫外レーザとしてのエキシマレーザなどを励起源とし、その多光子によりレーザ媒体を励起して、励起順位間で反転分布を形成させる方法である。
【0011】
また、ここでいう研削は、ウェーハ表面があれにくく、非ダメージ面であるシリコン表面を研削することが可能な高番手の研削砥石によることが好ましい。研削に用いられる砥石としては、例えば#1500〜#3000のレジノイド研削砥石、#1500〜#3000のビトリファイド研削砥石、#1500〜#3000のメタルボンド研削砥石などが挙げられる。レジノイド研削砥石とは、良質の合成樹脂を結合材に用いて、ダイヤモンド砥粒を結合した砥石である。また、ビトリファイド研削砥石とは、磁器質の結合材を用いて砥粒を結合したものである。さらに、メタルボンド研削砥石は、ニッケル,銅合金などの金属を結合材に用いた砥石である。
このように、研磨前にダメージが小さな研削を行うので、研削後のウェーハ表面では高平坦度(高品質)が得られる。しかも、研磨量を少なくできることから、高スループットを得ることができる。ここでの研削量は、ハードレーザマーキングの深さを考慮して5〜10μmが好ましい。ただし、このマークを完全に除去しない研削量であれば限定されない。なお、研削ダメージは、例えば2μm以下とする。ダメージが大きいと、後の表面研磨量が増大するためである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記研削による研削量は5〜10μmである請求項1または請求項2に記載のハードレーザマーキングウェーハの製造方法である。
ディスコ株式会社製のレジノイドボンド研削砥石として、例えば製品名「IF−01−1−4/6−B−M01」のレジノイドボンドの#2000の高番手の研削砥石を用いることができる。
【0013】
【作用】
この発明によれば、エッチドウェーハにハードレーザマーキングを施す。このマーキングによりハードレーザマーク形成部の周縁に、比較的高い環状の隆起部が形成される。その後、このマーキングされたウェーハ表面を研削する。この研削により、ハードレーザマーク形成部の周縁に形成された環状の隆起部が削り取られる。次いで、この表面研削された半導体ウェーハの表面を鏡面研磨する。
このように、ハードレーザマーキング工程と研磨工程との間に、新たに研削工程を組み込んだことにより、研磨時には、研削により隆起部が除去されて平坦化されたウェーハ表面を研磨することとなる。その結果、ウェーハ表面に刻印されたハードレーザマークに起因したウェーハ平坦度の低下という従来までの課題を解消することができる。しかも、研磨時に、ハードレーザマーク形成部から脱落した隆起部の破片によって、ウェーハ表面に傷がつくことを防止することもできる。
【0014】
特に、半導体ウェーハの表面の研削は、ディスコ株式会社製の#1500〜#3000番のレジノイドボンド研削砥石を用いて行う。この研削砥石は、非ダメージ面であるシリコン表面の研削が可能な高番手のレジノイドボンド研削砥石である。したがって、エッチングされてダメージの無いウェーハ表面を、この高番手の研削砥石により、ダメージを少なく(例えばダメージ深さ2μm程度)、かつ表面をあらさずに研削することができる。また、電界ドレス研削に比較して高いスループットで研削することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、この発明の一実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの製造方法を示すフローチャートである。図2は、この発明の一実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの製造工程を示す説明図である。
図1に示すように、この実施例にあっては、大略、スライス,面取り,ラッピング,エッチング,洗浄,ハードレーザマーキング,研削,研磨,洗浄の各工程を経て、高品質のハードレーザマーキングウェーハが作製される。以下、各工程を詳細に説明する。
【0016】
CZ法により引き上げられたシリコンインゴットは、スライス工程(S101)で、厚さ860μm程度の8インチのシリコンウェーハにスライスされる。
次に、このスライスドウェーハは、面取り工程(S102)で、その周縁部が面取り用の砥石を用いて所定形状に面取りされる。この結果、シリコンウェーハの周縁部は、所定の丸みを帯びた形状(例えばMOS型の面取り形状)に成形される。
次に、この面取り加工が施されたシリコンウェーハはラッピング工程(S103)でラッピングされる。このラッピング工程では、シリコンウェーハを、互いに平行に保たれたラップ定盤の間に配置し、アルミナ砥粒と分散剤と水の混合物であるラップ液をこのラップ定盤とシリコンウェーハとの間に流し込む。そして、加圧下で回転・摺り合わせを行うことにより、このウェーハ両面を機械的にラップする。シリコンウェーハのラップ量は、ウェーハの表裏両面を合わせて40〜80μm程度である。
【0017】
次いで、面取りされたシリコンウェーハをエッチングする(S104)。具体的には、フッ酸と硝酸とを混合した混酸液(常温〜50℃)中にシリコンウェーハを浸漬する。
次に、シリコンウェーハをRCA系の洗浄液によって洗浄する洗浄工程(S105)を行う。
その後、シリコンウェーハの表面に、出力10〜100WのNd:YAGレーザを用いて、ユーザ側から指定された所定形状のハードレーザマークを刻印する(S106)。このときのマーキング深さは5〜100μmである。このハードレーザマーキングにより、刻印されたハードレーザマークの形成部周辺に環状の隆起部aが形成される(図2(a)参照)。
【0018】
そして、シリコンウェーハの表面を、ディスコ株式会社製のレジノイドボンド研削砥石、製品名「IF−01−1−4/6−B−M01」を用いて所定量だけ研削する(S107)。この研削砥石は、#2000という高番手でかつ非ダメージ面を加工するために開発された特別な砥石である。この研削装置の製品名は「DFG840」である。
これにより、ハードレーザマーク形成部周縁に現出した環状の隆起部aが完全に除去される(図2(b)参照)。このように、ハードレーザマーキング工程と研磨工程との間に研削工程を組み込んだので、後の研磨工程では、隆起部aが除去された平坦なウェーハ表面を研磨することになる。その結果、ウェーハ表面に刻印されたハードレーザマークに起因するウェーハ平坦度の低下を解消することができる(図2(c)参照)。しかも、従来法では、研磨時に、ハードレーザマーク形成部から脱落した隆起部aの破片により、ウェーハ表面に傷が発生するおそれがあったが、この一実施例では、それも解消することができる。
【0019】
続いて、研削後のシリコンウェーハの表面を研磨する(S108)。この研磨量は、S106の研削工程でのダメージを除去するため、2〜8μmで足りる。
その後、この研磨されたシリコンウェーハの洗浄工程(S109)を行う。具体的にはRCA系の洗浄とする。
このような製造工程を経て、高品質のハードレーザマーキングウェーハが製造される。
【0020】
図3はこの実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの平坦度を従来例と比較して示すグラフである。
平坦度はSBIRで示す。図3から明らかなように、この実施例に係るシリコンウェーハの平坦度が従来例のそれよりも改良されていることがわかる。なお、平坦度の測定は公知の機器を用いた公知の方法による。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、ハードレーザマーキング工程と研磨工程との間に、研削工程を組み込んだので、研磨時には、研削によりハードレーザマーキングの周縁の隆起部が除去されて平坦化されたウェーハ表面が研磨され、これにより研磨後の半導体ウェーハ表面には、ハードレーザマークに起因するうねりが発生せず、よって、このうねりに起因したウェーハ平坦度の低下を解消することができる。
しかも、研磨時に、ハードレーザマーク形成部から脱落した隆起部の破片によって、ウェーハ表面に傷がつくことを防止することもできる。
【0022】
特に、請求項2に記載の発明によれば、半導体ウェーハの表面の研削工程を、#1500〜#3000のレジノイドボンド研削砥石を用いて行うようにしたので、エッチドウェーハの表面を、ダメージを少なく表面をあらさずに研削することができる。また、電界ドレス研削に比べて、高いスループットで研削することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】 この発明の一実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの製造工程を示す説明図である。
【図3】 この発明の一実施例に係るハードレーザマーキングウェーハの平坦度を従来例と比較して示すグラフである。
【図4】 従来手段に係るハードレーザマーキングウェーハの製造方法を示す説明図である。
【図5】 従来手段に係るハードレーザマーキングウェーハの製造工程を示す説明図である。
Claims (3)
- エッチング後の半導体ウェーハの表面に、ハードレーザマーキングを施す工程と、
この後、この半導体ウェーハの表面を研削することにより、このハードレーザマーク形成部の周縁に形成された隆起部を除去する工程と、
この研削後、このウェーハ研削面を鏡面研磨する工程とを備えたハードレーザマーキングウェーハの製造方法。 - 上記研削工程は、#1500〜#3000のレジノイドボンド研削砥石を用いて行う請求項1に記載のハードレーザマーキングウェーハの製造方法。
- 上記研削による研削量は5〜10μmである請求項1または請求項2に記載のハードレーザマーキングウェーハの製造方法。
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