角速度の検出を軽量で簡便に行うことを可能にする技術として、振動式の角速度センサが知られている。図15は、特許文献1に開示される従来の振動式の角速度センサの全体構成図である。この従来の角速度センサ151は、センシング部100と周辺回路とを有している。センシング部100は、基板71を有しており、基板71の上に固定された固定部材72a〜72dに基端側が連結された弾性支持部材74a〜74dよって、振動子73が基板71の主面から距離をおいて支持されている。振動子73は、弾性支持部材74a〜74dに支持されることにより、基板71の主面に平行なX−Y座標面内において変位可能となっている。振動子73の側面には、櫛歯状の可動電極77a〜77d、78a〜78dが設けられている。
基板1の上には、固定電極79a〜79d、82a〜82dが、可動電極77a〜77d、78a〜78dの一方の面に対向するように立設されており、固定電極80a〜80d、83a〜83dが、可動電極77a〜77d、78a〜78dの他方の面に対向するように立設されている。固定部材72a〜72dと基板71との間、及び固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dと基板71との間は、互いに電気的に絶縁されている。
スイッチング制御回路86は、スイッチSW1〜SW4をオンし、スイッチSW5〜SW8をオフすることにより、振動子73を強制振動させる励振モードと、スイッチSW1〜SW4をオフし、スイッチSW5〜SW8をオンすることにより、振動子73を自由振動させるとともに角速度を検出する角速度検出モードとの、2つの動作モードを交互に実現する。励振モードでは、励振信号発生回路85が生成する交流の励振信号が固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dに入力される。このとき、固定電極79a〜79d、80a〜80dと、固定電極82a〜82d、83a〜83dとには、互いに逆相の励振信号が入力される。その結果、可動電極77a〜77d、78a〜78dと固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dとの間に発生する静電力により、振動子73がX軸方向に振動する。
振動子73がX軸方向に振動しているときに、Z軸周りの角速度、即ち角速度のZ軸成分が作用すると、Y軸方向のコリオリ力が振動子73に作用する。それにより、振動子73には、Z軸周りの角速度の大きさに応じた振幅の振動がY軸方向に発生する。
動作モードが励振モードから角速度検出モードへ切り替わると、固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dには、励振信号発生回路85からの励振信号は入力されなくなるので、振動子73は自由振動することとなる。角速度検出モードでは、固定電極79a〜79d、82a〜82dは、C−V(容量−電圧)変換器88へ接続され、固定電極80a〜80d、83a〜83dは、C−V変換器89へ接続される。演算回路90は、C−V変換器88及びC−V変換器89が出力する電圧信号を受けることにより、可動電極77a〜77d、78a〜78dと固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dとの間の静電容量の変化量として振動子73のY軸方向の変位量を捉え、それによりZ軸周りの角速度を検出する。
この従来技術は、励振モードと角速度検出モードとを一定周期毎に切り替えることにより、励振モードにより発生した電荷変化がノイズとして角速度の検出に影響を及ぼすことを抑制している。しかしながら上述の通り、角速度検出モードでは、振動子73のX軸方向の振動は自由振動である。このため、角速度検出モードでは、振動子73のX軸方向の振幅は時間の経過と共に減衰する。Y軸方向のコリオリ力は、X軸方向の振動の速度に比例するので、間接的にX軸方向の振動の振幅に比例する。従って、角速度検出モードにおいて、振動子73のX軸方向の振幅が減衰するのに伴い、Y軸方向のコリオリ力が減衰する。それにより、振動子73のY軸方向の変位が減衰するので、検出される角速度も減衰する。このように、特許文献1に記載の従来技術は、励振モードと角速度検出モードとを互いに異なる周期で実現するので、角速度の検出感度が低いという問題点を有していた。
これに対して、特許文献2は、同一周期内で励振モードと角速度検出モードとを微小時間毎に切り替える技術を開示している。図16は、特許文献2に開示される従来の振動式の角速度センサの全体構成図である。この従来の角速度センサ152は、センシング部に、振動子101、可動電極101a〜101d、モニタ(励振振動検出)用固定電極102a、102b、角速度検出用固定電極102c、102d、及び駆動用固定電極112a、112bを備えている。又、角速度センサ152は、周辺回路として、C−V(容量−電圧)変換回路部104、サンプルホールド回路部105a〜105d、差動増幅回路部106、107、同期検波回路部108、感度調整回路部109、励振信号発生回路部110、及びスイッチング制御回路部111を備えている。
各種の固定電極102a〜102d、112a及び112bは、振動子101に設けられた可動電極101a〜101dに対向するように設けられている。これらのうち、励振用固定電極112a及び112bは、可動電極101a及び101bにそれぞれ対向し、静電引力を作用させることにより振動子101を振動方向Xへ励振するための固定電極である。モニタ用固定電極102a及び102bは、可動電極101a及び101bにそれぞれ対向し、互いの間の容量変化を通じて振動子101の振動方向Xの変位をモニタするための固定電極である。角速度検出用固定電極102c及び102dは、可動電極101c及び101dにそれぞれ対向し、互いの間の容量変化を通じて振動子101の検知方向Yの変位を検知する固定電極である。検知方向Yの最大の変位の大きさ、即ち検知方向Yの振幅を通じて角速度が検出される。
C−V変換回路部104は、容量変化を電圧信号へ変換する回路部である。サンプルホールド回路部105a〜105dは、C−V変換回路部104が出力する電圧信号の最大値を保持する回路部である。差動増幅回路部106は、一対のサンプルホールド回路部105a及び105bが出力する電圧信号の差分X1を出力する回路部である。同様に、差動増幅回路部107は、一対のサンプルホールド回路部105c及び105dが出力する電圧信号の差分X2を出力する回路部である。感度調整回路部109は、出力信号の感度調整、即ち補正を行う回路部である。励振信号発生回路部110は、励振信号を発生する回路部である。又、スイッチング制御回路部111は、電圧信号DR1、DR2、PW1〜PW4、及びS1〜S5等を通じて、各部の制御を行うものである。
スイッチング制御回路部111は、図17のタイミングチャートに示すように、励振モード、モニタモード、及び角速度検出モードの3通りの動作モードを、同一周期内で実現する。3つの動作モードは、同時に行われるのではなく、時分割により択一的に実行される。
励振モードは、振動子101に振動方向Xに静電引力を印加することにより振動を誘起する動作モードである。励振モードの区間では、スイッチSW1はオフし、スイッチSW2はオンする。励振信号発生回路部110は、スイッチSW1を介して励振用固定電極112a、112bに接続されている。振動子101が振動方向Xの図16上左向きに変位すべき状態にあるときには、スイッチング制御回路部111は、励振用固定電極112aに必要な電圧を印加すべく電圧信号DR1及びDR2を制御し、それにより励振用固定電極112aと可動電極101aとの間に静電引力を作用させる。逆に、振動子101が振動方向Xの図16上右向きに変位すべき状態にあるときには、スイッチング制御回路部111は、励振用固定電極12bに必要な電圧を印加すべく電圧信号DR1及びDR2を制御し、それにより励振用固定電極12bと可動電極101bとの間に静電引力を作用させる。
モニタモードは、モニタ用固定電極102a及び102bと、それぞれ対向する可動電極101a及び101bとの間の静電容量(それぞれCa及びCbと仮に記す)を通じて、振動子101の振動方向Xの変位を検出する動作モードである。モニタモードの区間では、スイッチSW1はオンし、スイッチSW2はオフする。
振動子101の電位を基準電位(Va/2と仮に記す)として、スイッチング制御回路部111は、ある区間ではモニタ用固定電極102aの電位をVaとし、モニタ用固定電極102bの電位を0とし、次の区間ではモニタ用固定電極102aの電位を0とし、モニタ用固定電極102bの電位をVaとするように、電圧信号PW1及びPW2を制御する。それにより、C−V変換回路部104は、静電容量Caと静電容量Cbとの差分を電圧信号として出力する。この電圧信号の最高値及び最低値は、サンプルホールド回路部105a及び105bによってそれぞれ検出され、更に差動増幅回路部106によって最高値と最低値との差分が増幅される。従って、差動増幅回路部106は差分X1として、振動子101の振動方向Xの振幅に対応した信号を出力する。
角速度検出モードは、モニタ用固定電極102c及び102dと、それぞれ対向する可動電極101c及び101dとの間の静電容量(それぞれCc及びCdと仮に記す)を通じて、振動子101の検知方向Yの変位を検出する動作モードである。角速度検出モードの区間ではモニタモードの区間と同様に、スイッチSW1はオンし、スイッチSW2はオフする。
スイッチング制御回路部111は、ある区間では角速度検出用固定電極102cの電位をVaとし、角速度検出用固定電極102dの電位を0とし、次の区間では角速度検出用固定電極102cの電位を0とし、角速度検出用固定電極102dの電位をVaとするように、電圧信号PW3及びPW4を制御する。それにより、C−V変換回路部104は、静電容量Ccと静電容量Cdの差分を電圧信号として出力する。この電圧信号の最高値及び最低値は、サンプルホールド回路部105c及び105dによってそれぞれ検出され、更に差動増幅回路部107によって最高値と最低値との差分が増幅される。従って、差動増幅回路部107は差分X2として、振動子101の検知方向Yの振幅に対応した信号を出力する。検知方向Yの振幅は、振動方向X及び検知方向Yの双方に垂直なZ軸方向の角速度成分に依存する。従って、差動増幅回路部107は、角速度のZ軸方向成分に対応する信号を差分X2として出力する。
このように、特許文献2に開示される従来技術は、同一周期を微小に分割した区間毎に、励振モード、モニタモード、及び角速度検出モードの3通りの動作モードを交互に実現する。一般に、振動子101を励振するために励振用固定電極112a、112bに印加される電圧により、振動子101内に発生する電荷移動の量は、角速度の作用による振動子101の検知方向Yの変位に起因する電荷移動の量に比べて、数千倍乃至それ以上である。従って、励振による電荷移動が残留している期間に角速度の検出が実行されると、励振による電荷移動がノイズとして、角速度による電荷移動に混合することとなる。その結果、振動子101が検知方向Yにあたかも大きく変位したかのように検知されることとなる。特許文献2に開示される従来技術では、同一周期を細分化した区間毎に、3通りの動作モードが実行されることにより、励振モードの区間と角速度検出モードの区間とが近接しているために、角速度検出への励振によるノイズの影響が避けられないという問題点があった。
なお、特許文献2に開示される従来技術では、振動子101とC−V変換回路104との間に配置されたスイッチSW1が、一見有効に機能するかのように見える。しかしながら、振動子101とC−V変換回路104等の検出回路とを接続する信号線は、振動型の角速度センサにおいては、最も敏感な部位である。従って、かかる信号線には、外来ノイズの侵入は言うに及ばず、寄生容量の形成を招くような素子の挿入は現実的・実用的ではない。
特開2000−81335号公報
特開2003−83749号公報
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態による角速度センサの構成を示す図である。この角速度センサ201は、図1に示す振動子A1がZ軸方向に励振振動し、角速度のX軸方向成分によってもたらされる振動子A1のY軸方向の変位を通じて、角速度のX軸方向成分を検出するように構成されている。
角速度センサ201は、センシング部200とその周辺回路301とを備えている。図1は、センシング部200の斜視図(図1(a))、部分平面図(図1(b))、及び断面図(図1(c))である。図1(c)は、図1(a)のX−X切断線に沿った断面図である。また、図2は周辺回路301の構成を示すブロック図である。なお、以下の第1〜第5の実施形態による各角速度センサ201〜205において、センシング部は、図1のセンシング部200と同一に構成される。
図1に示すように、センシング部200では、基板10の上に固定された固定部材A22〜A25に基端側が連結された弾性支持部材A2〜A5よって、振動子A1が基板10の上に弾性的に支持されている。振動子A1は、基板10の上方に浮遊した状態で、かつその上面および底面が基板10の主面に平行になるように支持されている。振動子A1は、弾性支持部材A2〜A5に支持されることにより、基板10の主面に垂直なZ軸方向にも、当該主面に平行なX−Y座標面内にも変位可能となっている。
振動子A1は略直方体をなしており、その内側にはZ軸方向に上面から底面まで貫通する貫通孔が設けられている。振動子A1の外周側面には、櫛歯状の駆動用可動電極A11、A13、及び櫛歯状の駆動検出用可動電極A10、A12が設けられている。又、振動子A1の内周側面には、櫛歯状の角速度検出用可動電極A14が設けられている。
基板10の上には、駆動用可動電極A11及びA13にそれぞれ対向する櫛歯状の突起を有する駆動用固定電極A7及びA9が立設されている。又、基板10の上には、駆動検出用可動電極A10及びA12にそれぞれ対向する櫛歯状の突起を有する駆動検出用固定電極A6及びA8が立設されている。更に、基板10の上には、角速度検出用可動電極A14に対向する櫛歯状の突起を有する角速度検出用固定電極A15及びA16が立設されている。可動電極A10〜A14、及び固定電極A6〜A9、A15、A16の櫛歯の個数は、図1に例示するものに限られず、好ましくは、駆動力及び検出感度を高めるために遙かに大きく設定される。
図1(c)に示すように、角速度センサ201では製造上の容易さの観点等から、基板10の上面を基準とした振動子A1の上端の高さと駆動用固定電極A7及びA9の上端の高さとが合わせ込まれている。即ち、振動子A1の上端の高さと駆動用固定電極A7及びA9の上端の高さとが略一致する。ここで、「略」とは、製造誤差及び重力の作用による振動子A1の平衡位置のずれを許容する趣旨である。従って、振動子A1が、図1(c)に示す静止状態にあるときの位置、即ち平衡位置よりZ軸正の方向に変位するほど、駆動用可動電極A11及びA13と駆動用固定電極A7及びA9との間の対向面積は減少する。一方、振動子A1が、平衡位置からZ軸負の方向に変位しても、それらの電極間の対向面積に変化はない。
従って、駆動用固定電極A7及びA9に駆動信号が入力されたときに、振動子A1が平衡位置からZ軸正の方向に変位しておれば、対向面積を拡大する方向、即ちZ軸負の方向に振動子A1を引き込むような静電引力が生じる。又、駆動用固定電極A7及びA9に駆動信号が入力されたときに、振動子A1が平衡位置からZ軸負の方向に変位していても、駆動用可動電極A11及びA13の上端と下端とに作用する静電引力の差によって、Z軸負の方向に振動子A1を引き込むような静電引力が生じる。このように、駆動用固定電極A7及びA9に駆動信号が入力されたときには、振動子A1のZ軸方向の位置に依存して大きさは異なるものの、いずれの位置にあってもZ軸負方向の駆動力が振動子A1に付与される。以上の通り、角速度センサ201は、振動子A1がZ軸方向に励振振動(参照振動、或いは駆動振動とも称される)するように構成されている。
又、上述したように、振動子A1が平衡位置よりも上方にあるときには、振動子A1がZ軸負の方向に変位するほど、即ち平衡位置に接近するほど駆動用可動電極A11及びA13と駆動用固定電極A7及びA9との間の対向面積が増加する。従って、駆動信号の印加によって生じるZ軸負方向の駆動力は、振動子A1が平衡位置よりも上方に位置するときの方が、下方に位置するときに比べて大きい。角速度センサ201は、後述するように振動子A1が平衡位置乃至それよりも上方に位置する期間に、駆動信号を印加するように構成される。角速度センサ201は、それにより大きな駆動力を効果的に得ている。
センシング部200は、半導体微細加工プロセスを用いて一体的に製造可能であり、基板10及び基板10の上に設けられる振動子A1を含む各部材は、例えばシリコンを材料としている。各固定電極A6〜A9、A15、A16と基板10との間は、例えばシリコン酸化物を材料とする図略の絶縁膜によって、互いに電気的に絶縁されている。振動子A1は、弾性支持部材A2〜A5及び固定部材A22〜A25を通じて、基板10に接地されている。更に、各可動電極A10〜A14は、振動子A1の一部として、振動子A1の他の部分と同一材料で構成され、かつ一体的に連結している。
なお、振動子A1の電位、即ち基板10の電位は、周辺回路301の負側電源電位と一致していてもよいが、一致しなくても良い。一般に、振動子A1の電位は、周辺回路301の電源電位に対して一定の電位、即ち安定電位にあればよく、例えば図3を参照して後述する増幅回路の基準電位V0であってもよい。
図2に示すように、周辺回路301は、スイッチI〜Q、角速度検出用C−V(容量−電圧)変換回路B、復調回路C、補正回路D、温度センサG、ゲイン調整回路F、駆動信号発生回路E、スイッチ制御回路H、及び駆動検出用C−V(容量−電圧)変換回路Wを備えている。スイッチM及びN、ゲイン調整回路F、駆動信号発生回路E、並びにスイッチ制御回路Hは、駆動用固定電極A7及びA9へ駆動信号を印加する駆動回路2を構成する。スイッチK、L、O及びQ、駆動検出用C−V変換回路W、復調回路C、補正回路D、温度センサG、並びにスイッチ制御回路Hは、駆動検出用可動電極A10及びA12と駆動検出用固定電極A6及びA8との間の静電容量を通じて励振の強さを検出する駆動検出回路3を構成する。又、スイッチI、J、P及びQ、角速度検出用C−V変換回路B、復調回路C、補正回路D、温度センサG、並びにスイッチ制御回路Hは、角速度検出用可動電極A14と、角速度検出用固定電極A15及びA16との間の静電容量を通じて、角速度のX軸方向成分を検出する角速度検出回路4を構成する。
スイッチ制御回路Hは、駆動検出用C−V変換回路Wの出力信号に基づいて、振動子A1のZ軸方向の励振振動の位相を把握する。スイッチ制御回路Hは、把握した位相に基づいて、振動子A1の励振振動に同期した形態でスイッチI〜Qのオン・オフ動作を制御する。
図3は、角速度検出用C−V変換回路B及び駆動検出用C−V変換回路Wの構成例を示す回路図である。図3(a)に示すように、角速度検出用C−V変換回路Bは、例えば縦続接続された全差動増幅器20と差動増幅器22とを有する。全差動増幅器20の負帰還ループには、互いに静電容量の等しい容量素子C1及びC2が介挿される。これにより、角速度検出用可動電極A14と角速度検出用固定電極A15との間の静電容量C15と、角速度検出用可動電極A14と角速度検出用固定電極A16との間の静電容量C16との差に比例した電圧が、全差動増幅器20が出力する電圧信号の差(V1―V2)として現れる。差動増幅器22は、全差動増幅器20が出力する電圧信号の差を増幅して、電圧信号V3として出力する。
振動子A1がY軸方向に変位すると、静電容量C15と静電容量C16との間に偏差が生じる。角速度検出用C−V変換回路Bは、この偏差に比例した電圧信号V3を出力する。即ち、角速度検出用C−V変換回路Bは、静電容量C15及びC16の間の偏差を通じて、振動子A1のY軸方向に沿った変位を検出する。なお、角速度検出用C−V変換回路Bの基準電位V0は、角速度検出用C−V変換回路Bの正側電源電位と負側電源電位との中間に設定された安定電位であればよい。
一方、図3(b)に示すように、駆動検出用可動電極A10と駆動検出用固定電極A6との間の静電容量C6と、駆動検出用可動電極A12と駆動検出用固定電極A8との間の静電容量C8とは、振動子A1のZ軸方向の変位に伴って、互いに同位相で変化する。従って、駆動検出用C−V変換回路Wは、例えば増幅器41及び42により、静電容量C6及びC8を、それぞれ電圧信号V4及びV5へ変換した後、加算器43によりこれらの電圧信号の和を増幅し、電圧信号V6として出力するように構成すると良い。
これにより、駆動検出用C−V変換回路Wは、静電容量C6及びC8の変化を通じて、振動子A1のZ軸方向に沿った変位を検出する。基準電位V0は、駆動検出用C−V変換回路Wの正側電源電位と負側電源電位との中間に設定された安定電位であればよい。なお、駆動検出用C−V変換回路Wは、増幅器41及び42のうち、一方のみを有することにより、静電容量C6とC8とのうち、一方のみを電圧変換するように構成しても良い。
周辺回路301は、センシング部200の基板10に集積回路として形成されても良く、基板10とは別の基板に集積回路として形成されても良い。後者の場合、それらの基板は中継部材を用いて機構的及び電気的に接続されるとよい。また、周辺回路301は、集積回路としてではなく、個別回路素子を回路基板の上に配置することにより構成してもよい。周辺回路301に含まれる他の回路の構成及び動作については、角速度センサ201の動作についての以下の説明の中で適宜説明する。なお、各固定電極A6〜A9、A15、及びA16の全体を、固定電極1と仮称する。
図4は、角速度センサ201の動作説明図であり、説明の便宜のために波形図及びタイミングチャートの双方を併記している。スイッチI〜Qのタイミングチャートに付される「0」は、スイッチオフを表し、「1」はスイッチオンを表す。角速度センサ201は、振動子A1の共振周期T毎に、同一の動作を反復する。共振周期Tは、振動子A1の質量及び弾性支持部材A2〜A5のバネ定数によって定まる。
図4において、区間P1は−(1/4)×T〜0、言い換えると(3/4)T〜1×Tの期間内に設定され、区間P2は(1/2)×Tの時期を含む期間として設定され、区間P3は(3/4)×Tの時期を含む期間として設定される。又、区間P1〜P3は、互いに重複しないように設定される。区間P3が(3/4)×Tの時期、言い換えると−(1/4)×Tの時期を含むので、区間P1は−(1/4)×Tを含まず、−(1/4)×Tよりは0に近い時期から0までの期間に含まれる区間として設定されることとなる。
(区間P1の動作)
区間P1では、駆動回路2によって駆動信号が駆動用固定電極A7及びA9に印加される。従って、スイッチ制御回路Hは、スイッチMをオンすべく制御する。スイッチI〜Qのうち、スイッチM以外はすべてオフしている。駆動信号発生回路Eは駆動信号を生成する。駆動信号は、例えばパルス信号である。生成された駆動信号は、ゲイン調整回路Fにより、適切な高さの電圧にゲイン調整される。調整された駆動信号はスイッチMを通じて駆動用固定電極A7及びA9へ印加される。
駆動信号が駆動用固定電極A7及びA9へ印加されると、駆動用固定電極A7及びA9と、駆動用可動電極A11及びA13との間に静電引力が発生する。その結果、振動子A1がZ軸負方向に引き寄せられる。この静電引力が共振周期T毎に作用することにより、振動子A1はZ軸方向に定常的に励振振動する。区間P1は、−(1/4)×T〜0の期間内、即ち、基板10の主面を基準として振動子A1が平衡位置乃至それよりも上方に位置する期間に設定されている。このため、印加された駆動信号が効果的にZ軸負方向の駆動力を生じる。
ゲイン調整回路Fは、駆動検出回路3が検出する励振振動の振幅が一定となるように、駆動信号のゲインを調整する。それにより、振動子A1の安定した励振振動が実現する。ゲイン調整を幅広く行うことを可能にするために、角速度センサ201の動作初期、即ち駆動回路2が駆動用固定電極A7及びA9への駆動信号の印加を開始した直後においては、印加される駆動信号は、ゲイン調整回路Fが制御可能な電圧範囲の中央付近に設定するのが望ましい。例えば、ゲイン調整回路Fが制御可能な電圧範囲が0〜15Vであれば、動作初期における駆動信号は5〜10V程度の電圧に設定するのが望ましい。
(区間P2の動作)
区間P1の終了から区間P2の開始までの期間では、スイッチ制御回路Hは、スイッチI〜Qの全てをオフする。区間P2では、角速度検出回路4が、振動子A1のY軸方向の変位を通じて角速度のX軸方向成分を検出する。従って、スイッチ制御回路Hは、スイッチI,J,P,及びQをオンすべく制御する。スイッチI〜Qのうち、スイッチI,J,P,及びQ以外はすべてオフしている。これにより、角速度検出用固定電極A15及びA16と角速度検出用C−V変換回路Bとが接続される。角速度検出用C−V変換回路Bは、上述したように角速度検出用固定電極A15及びA16と、角速度検出用可動電極A14との間の静電容量を通じて、振動子A1のY軸方向の変位を検出する。
振動子A1がZ軸方向に励振振動を行っているときに、角速度のX軸方向成分ωxが作用すると、Y軸方向にコリオリ力が作用する。Y軸方向のコリオリ力Fyは、角速度のX軸方向成分ωxと励振振動の速度Vzと振動子4の質量Mとの積に比例し、より詳細には、
Fy=−2M・ωx・Vz ・・・・(式1)
で表される。
従って、角速度のX軸方向成分ωxは、振動子A1のY軸方向への振動を誘起する。角速度のX軸方向成分ωxがゼロであれば、振動子A1のY方向の変位はゼロである。このとき、角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号V3は、基準電位V0に等しくなる。一方、角速度のX軸方向成分ωxが大きいほど、振動子A1のY方向の振幅は大きくなる。それに伴い、角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号V3は、基準電位V0を中心として大きく変動する。
コリオリ力Fyと振動子A1のY軸方向の変位との間では、位相が一致する。従って、図4において、コリオリ力の波形図は、そのまま振動子A1のY軸方向の変位の波形図に相当する。又、図4に示すように、コリオリ力と振動子A1のZ軸方向の励振振動の変位との間で位相は90°ずれるので、振動子A1のY軸方向の変位とZ軸方向の励振振動の変位との間で、位相は90°ずれる。従って、振動子A1がZ軸方向の平衡位置にあるときにY軸方向の変位は最大となり、Z軸方向の変位が最大であるときにY軸方向の変位はゼロとなる。なお、図4においてコリオリ力の波形図は、位相が180°異なる2つの波形を実線及び波線で同時に描いている。
図2に戻って、復調回路Cは、振動子A1のY方向の変位に伴って変化する角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号V3の最高値又は最低値(即ち、最大値)を出力する。言い換えると、復調回路Cは、振動子A1のY方向の振幅に対応した信号、即ち角速度のX軸方向成分ωxに対応した信号を出力する。そのためには、復調回路Cは一種の検波回路として構成することができる。例えば、復調回路Cは、縦続接続されたサンプルホールド回路とローパスフィルタとを有するように構成することができる。
角速度検出用C−V変換回路Bが、例えばΔΣ型のAD変換回路のように出力信号V3をデジタル信号に変換するAD変換回路を有する場合には、復調回路Cは、入力信号を一時的に保持するレジスタ及び比較回路を有する最大値検出回路と、デジタルフィルタとを有するデジタル回路として構成することが可能である。ローパスフィルタ或いはデジタルフィルタの時定数は、例えば、振動子A1の1共振周期毎の振幅の変動に追随し得る大きさに設定される。
復調回路Cの出力信号は、補正回路Dへ入力される。補正回路Dは、センシング部200及び/又は周辺回路301の温度特性を補償するための回路である。そのために、補正回路Dは、温度センサGが出力する温度データに基づいて、復調回路Cの出力信号に対して温度補正を加える。温度センサGは、例えばセンシング部200の温度、或いは周辺回路301の温度を感知するように配置される。補正回路Dは、例えば温度センサGが出力する温度データに基づいてゲイン調整を行う増幅回路を有するように構成することができる。
復調回路Cの出力信号がデジタル信号である場合には、補正回路Dは、レジスタ或いはEEPROM(電気的消去可能なROM)等の半導体メモリその他の記憶装置を有するように構成してもよい。記憶装置には、予め復調回路Cの出力信号の温度特性を補償するためのデータを、テーブルとして保持させておくとよい。この場合には、補正回路Dは、温度センサGが出力する温度データに対応するデータをテーブルから読み出し、読み出したデータに基づいて復調回路Cの出力信号に補正を加える回路を、更に有するように構成すると良い。
区間P2は、振動子A1のY軸方向の変位が最大となる(1/2)×Tの時期を含むように設定されている。このため、復調回路C及び補正回路Dは、1共振周期毎に、Y軸方向の振幅に対応する信号、即ち角速度のX軸方向成分ωxに対応する信号を出力することが可能となる。
(区間P3の動作)
区間P3では、駆動検出回路3が、振動子A1のZ軸方向の変位を検出し、それにより励振振動の強さ、即ち励振振動の振幅を検出する。従って、スイッチ制御回路Hは、スイッチK,L,N,及びOをオンすべく制御する。スイッチI〜Qのうち、スイッチK,L,N,及びO以外はすべてオフしている。これにより、駆動検出用固定電極A6及びA8と駆動検出用C−V変換回路Wとが接続される。駆動検出用C−V変換回路Wは、上述したように駆動検出用固定電極A6及びA8と、駆動検出用可動電極A10及びA12との間の静電容量を通じて、振動子A1のZ軸方向の変位を検出する。
駆動検出用C−V変換回路Wの出力信号は、復調回路Cへ入力される。従って、復調回路Cは、振動子A1のZ方向の変位に伴って変化する駆動検出用C−V変換回路Wの出力信号V6の最高値又は最低値(即ち、最大値)を出力する。言い換えると、復調回路Cは、振動子A1のZ方向の振幅に対応した信号を出力する。区間P3は、振動子A1のZ軸方向の変位が最大となる(3/4)×Tの時期を含むように設定されている。このため、復調回路Cは、1共振周期T毎に、Z軸方向の振幅に対応する信号を出力することが可能となる。
復調回路Cの出力信号は、ゲイン調整回路Fへ入力される。ゲイン調整回路Fは、復調回路Cの出力信号を基準値と比較し、復調回路Cの出力信号が基準値に一致するように、駆動信号の強さを調整する。これにより、振動子A1のZ軸方向の励振振動が、予め定められた一定の振幅をもって安定的に継続する。
以上の通り、角速度センサ201によれば、駆動信号の印加、角速度の検出、及び励振振動の振幅の検出が、1共振周期T内で行われる。このため、自由振動の減衰を抑えつつ、角速度を感度良く検出することができる。また、駆動信号を印加する期間が、1共振周期T内で(1/4)T以下の長さの区間に限られており、しかも、区間P1〜P3が互いに重複しないように設定されているので、励振のための駆動信号の角速度検出への影響が抑制され、駆動検出回路3による検出結果への影響も抑制される。その結果、角速度の検出精度が向上する。
特に、駆動信号の印加は0×Tの時期、乃至それ以前(図4の例では、0×Tの時期)に終了しており、それ以後、角速度の検出において最も重要なY軸方向の最大の変位を捕捉する(1/2)×Tの時期までに、少なくとも半周期(=(1/2)×T)の期間が経過する。このため、駆動信号の印加による角速度検出への影響を効果的に抑制することができる。また、駆動検出回路による励振振動の検出は、更にその後に行われるため、駆動信号の印加による励振振動の検出への影響も、効果的に抑制することができる。
更に、駆動信号を印加する区間P1は、−(1/4)×T〜0の期間内、即ち、基板10の主面を基準として振動子A1が平衡位置乃至それよりも上方に位置する期間に設定されている。このため、印加された駆動信号によってZ軸負方向に大きな駆動力が得られる。即ち、角速度センサ201は、駆動信号を印加する区間P1として、最も効果的に振動子A1を励振する区間を選択している。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態による角速度センサの周辺回路の構成を示すブロック図である。この角速度センサ202の周辺回路302は、スイッチI及びJが、状態「1」において角速度検出用固定電極A15及びA16を角速度検出用C−V変換回路Bへ接続し、状態「0」において、振動子A1と等電位である接地電位に接続するように構成されている点において、図2に示した周辺回路301とは異なっている。スイッチI及びJは、本発明の第1放電回路の具体例に該当する。スイッチI及びJは、状態「0」において、接地電位に限らず、振動子A1と等電位であれば、一般に安定電位に接続するものであってもよい。
図6は、角速度センサ202の動作説明図である。角速度センサ202の動作は、区間P1と区間P2との間に区間Psubが設定され、この区間PsubにおいてスイッチI及びJが状態「0」となることにより、角速度検出用固定電極A15及びA16と振動子A1との間で放電が行われる点において、図4に示した角速度センサ201の動作とは異なっている。
区間Psubでは、スイッチ制御回路Hは、スイッチI及びJを含めて、スイッチI〜Qのすべてを状態「0」(スイッチI,J以外は、オフに相当)に設定する。従って、区間Psubでは、駆動信号の印加、角速度の検出、及び励振振動の振幅の検出の何れも行われず、角速度検出用固定電極A15及びA16と振動子A1との間の静電容量の放電が専ら行われる。
周辺回路302の角速度検出用C−V変換回路Bは、図5(b)に示すように、前段の全差動増幅器21の帰還容量C1及びC2をそれぞれ放電するためのスイッチ25及び26を有する。区間Psubでは、スイッチ制御回路Hは、スイッチ25及び26をオンすることにより、帰還容量C1及びC2をも放電させる。区間Psubでは、角速度検出用可動電極A15及びA16は、角速度検出用C−V変換回路Bから切り離されているので、帰還容量C1及びC2を放電させても、センシング部200には何ら影響を及ぼさない。また、スイッチPがオフしているので、後段の復調回路C等への影響も回避される。
このように角速度センサ202では、角速度を検出する区間P2の直前に、角速度検出用固定電極A15及びA16と振動子A1との間の静電容量の放電が行われることにより、当該静電容量に残留する電荷が解消される。それにより、角速度の検出の精度が高められる。角速度検出用固定電極A15及びA16と振動子A1との間の静電容量の放電は、区間Psubで行われれば足りる。但し、角速度センサ202は、放電のための機構をスイッチI及びJを用いて簡素に構成している。そのために、角速度センサ202では、区間Psubだけでなく、スイッチI,Jが「0」の状態にあるすべての期間、即ち区間P2及びP4以外の全ての期間において放電を行っている。
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態による角速度センサの周辺回路の構成を示すブロック図である。この角速度センサ203の周辺回路303は、角速度検出回路4にスイッチV及びオフセットホールド回路Uを有する点において、図5に示した周辺回路302とは異なっている。オフセットホールド回路Uは、図7(b)に例示するように、周知のサンプルホールド回路32を有する。これにより、オフセットホールド回路Uは、スイッチVがオンしている期間における角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号を保持する。
図8は、角速度センサ203の動作説明図である。角速度センサ203の動作は、(1/4)×Tの時期を含む期間として設定された区間Pbにおいても、角速度検出回路4が角速度検出用可動電極A14と角速度検出用固定電極A15及びA16との間の静電容量を検出する点において、図6に示した角速度センサ202の動作とは異なっている。図8の例では、区間Pbは区間Psubと区間P2との間に設定されている。
区間Pbでは、区間P2と同様に、スイッチ制御回路Hは、スイッチI及びJをオンする。但し、スイッチ制御回路Hは、区間P2とは異なり、スイッチP及びQをオフし、代わりにスイッチVをオンする。
区間Pbでは、スイッチVがオンすることにより、角速度検出用C−V変換回路Bの出力がオフセットホールド回路Uへ入力される。区間Pbは、振動子A1のY軸方向の変位がゼロとなる(1/4)×Tの時期を含む期間として設定されているため、区間Pbにおける角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号の基準電位V0からのずれは、センシング部200又は角速度検出用C−V変換回路Bによって発生するオフセットを反映したものとなる。区間Pbが終了し、スイッチVがオフした後は、サンプルホールド回路32は、スイッチVがオフする直前の角速度検出用C−V変換回路Bの出力信号を保持する。
区間Pbの次に到来する区間P2では、補正回路Dは、温度補償の他に、サンプルホールド回路32が保持するオフセットをも補償するように、復調回路Cの出力信号に補正を加える。即ち、補正回路Dは、オフセットホールド回路Uの出力信号が基準電位V0から異なっておれば、その差分だけ復調回路Cの出力信号をシフトする。例えば、補正回路Dの出力信号が、基準電位2.5Vを中心として、角速度に応じて正方向又は負方向に変化する場合に、オフセットホールド回路Uの出力が2.3Vである場合を想定する。このとき、補正回路Dは、復調回路Cの出力信号に対して、温度センサGからの温度データに基づく補正を加えた後、基準電位V0とオフセットホールド回路Uの出力信号との間の差分である0.2Vだけ補正後の出力信号を上昇させる。
このように、角速度センサ203は、センシング部200及び/又は角速度検出用C−V変換回路Bによって発生するオフセットを、角速度検出結果に対して補償するので、角速度検出の精度が高められる。サンプルホールド回路32が保持する値は、例えば、区間P2の終了時期又は区間Pbの開始時期において、スイッチ制御回路Hの制御によりリセットされる。
図8に点線で例示するように、区間Pbは、(3/4)×Tを含む期間である区間Pcに置き換えることも可能である。区間Pcは、区間P1と重複しないように設定される。図8に例示する区間Pcは、区間P3と同一区間に設定されている。区間Pcでは、区間Pbと同様に、スイッチ制御回路Hは、スイッチI及びJをオンし、スイッチP及びQをオフし、スイッチVをオンする(図示略)。但し、区間Pcが区間P3と重複するため、スイッチ制御回路Hは、区間Pcにおいて区間P3と同様に、スイッチK、L、N及びOをオンする。
(3/4)×Tの時期においても、(1/4)×Tの時期と同様に、振動子A1のY軸方向の変位がゼロとなる。このため、区間Pcにおいて角速度検出回路4が角速度検出用可動電極A14と角速度検出用固定電極A15及びA16との間の静電容量を検出した場合においても、サンプルホールド回路32はオフセットを保持することができる。区間Pcの次に到来する区間P2では、補正回路Dは、温度補償の他に、サンプルホールド回路32が保持するオフセットをも補償するように、復調回路Cの出力信号に補正を加える。サンプルホールド回路32が保持する値は、例えば、区間P2の終了時期又は区間Pcの開始時期において、スイッチ制御回路Hの制御によりリセットされる。
このように、オフセットを検出するための区間は、区間Pb及び区間Pcの何れにも設定することができる。しかしながら、区間Pbは、角速度を検出する区間P2の直前に設定されることから、オフセットを検出するための区間を区間Pbに設定することにより、角速度の検出結果に直前のオフセットを反映させることができる。この点で、オフセットを検出するための区間は区間Pbに設定する方が、角速度の検出精度をより一層高めることができる点で有利である。
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態による角速度センサの周辺回路の構成を示すブロック図である。この角速度センサ204の周辺回路304は、スイッチMが、状態「1」において駆動用固定電極A7及びA9をゲイン調整回路Fへ接続し、状態「0」において、振動子A1と等電位である接地電位に接続するように構成されている点において、図5に示した周辺回路302とは異なっている。スイッチMは、本発明の第2放電回路の具体例に該当する。スイッチMは、状態「0」において、接地電位に限らず、振動子A1と等電位であれば、一般に安定電位に接続するものであってもよい。
図10は、角速度センサ204の動作説明図である。また、図11は、図9に示した周辺回路304に、図7と同様のオフセットホールド回路Uを設けた場合の動作説明図である。角速度センサ204の動作は、区間P1を除く期間内に設定された区間において、スイッチMが状態「0」となることにより、駆動用固定電極A7及びA9と振動子A1との間で放電が行われる点において、図6に示した角速度センサ202の動作、及び図8に示した角速度センサ203の動作とは異なっている。
このように角速度センサ204では、駆動信号が印加される区間P1を除く期間内に設定された区間に、駆動用固定電極A7及びA9と振動子A1との間の静電容量の放電が行われることにより、当該静電容量に残留する電荷が解消される。それにより、角速度の検出の精度が高められる。駆動用固定電極A7及びA9と振動子A1との間の静電容量の放電は、区間P1を除く、適度な範囲の区間で行われれば足りる。但し、角速度センサ204は、放電のための機構をスイッチMを用いて簡素に構成している。そのために角速度センサ204では、スイッチMが「0」の状態にあるすべての期間、即ち区間P1以外の全ての期間において放電を行っている。
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態による角速度センサの周辺回路の構成を示すブロック図である。この角速度センサ205の周辺回路305は、スイッチK及びLが、状態「1」において駆動検出用固定電極A6及びA8を駆動検出用C−V変換回路Wへ接続し、状態「0」において、振動子A1と等電位である接地電位に接続するように構成されている点において、図9に示した周辺回路304とは異なっている。スイッチK及びLは、本発明の第3放電回路の具体例に該当する。スイッチK及びLは、状態「0」において、接地電位に限らず、振動子A1と等電位であれば、一般に安定電位に接続するものであってもよい。
図13は、角速度センサ205の動作説明図である。また、図14は、図12に示した周辺回路305に、図7と同様のオフセットホールド回路Uを設けた場合の動作説明図である。角速度センサ205の動作は、区間P3を除く期間内に設定された区間において、スイッチK及びLが状態「0」となることにより、駆動検出用固定電極A6及びA8と振動子A1との間で放電が行われる点において、図10及び図11に示した角速度センサ204の動作とは異なっている。
周辺回路305の駆動検出用C−V変換回路Wは、図12(b)に示すように、前段の増幅器45及び46の帰還容量C3及びC4をそれぞれ放電するためのスイッチ27及び28を有する。スイッチK及びLによる放電が行われる区間では、スイッチ制御回路Hは、スイッチ27及び28をオンすることにより、帰還容量C3及びC4をも放電させる。この区間では、駆動用可動電極A6及びA8は、駆動検出用C−V変換回路Wから切り離されているので、帰還容量C3及びC4を放電させても、センシング部200には何ら影響を及ぼさない。また、スイッチOがオフしているので、後段の復調回路C等への影響も回避される。
このように角速度センサ205では、励振振動の検出が行われる区間P3を除く期間内に設定された区間に、駆動用固定電極A6及びA8と振動子A1との間の静電容量の放電が行われることにより、当該静電容量に残留する電荷が解消される。それにより、角速度の検出の精度が高められる。駆動用固定電極A6及びA8と振動子A1との間の静電容量の放電は、区間P2を除く、適度な範囲の区間で行われれば足りる。但し、角速度センサ205は、放電のための機構をスイッチK及びLを用いて簡素に構成している。そのために角速度センサ205では、スイッチK及びLが「0」の状態にあるすべての期間、即ち区間P3以外の全ての期間において放電を行っている。
(その他の実施形態)
(1) 上記の各実施形態では、センシング部200が、振動子A1を基板10の主面に垂直なZ軸方向に励振振動させるように構成された例を示した。しかしながら、本発明の角速度センサは、振動子A1の励振方向をZ軸方向に限るものではない。例えば、センシング部が基板10の主面に平行な方向に振動子A1を励振する角速度センサに対しても、本発明は適用可能である。
(2) 上記の各実施の形態では、固定電極1の中で、駆動用固定電極A7、A9、駆動検出用固定電極A6、A8、及び角速度検出用固定電極A15、A16が、互いに電気的に絶縁された別体のものとして構成された。しかしながら、固定電極A6〜A9、A15及びA16のうち、時分割により択一的に使用されるものについては、互いに固定電極1の中の同一部分として構成してもよい。例えば、第1の実施の形態による角速度センサ201においては、固定電極A6及びA8を、3種の固定電極の共通電極とすることが可能である。別の例として、第3の実施の形態による角速度センサ203においては、固定電極A6及びA8を駆動用固定電極と駆動検出用固定電極との共通電極とすることも、固定電極A15及びA16を駆動用固定電極と角速度検出用固定電極との共通電極とすることも可能である。