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JP4347966B2 - リボルバー式挿入光源 - Google Patents
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JP4347966B2 - リボルバー式挿入光源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リボルバー式挿入光源に関するものであり、特に磁石列を真空槽に真空封止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空中において光速近くまで加速された電子ビームが磁界中で曲げられると、電子ビームの移動軌跡の接線方向に放射光を発光し、これをシンクロトロン放射光と呼んでいる。このようなシンクロトロン放射光を発生させる光源を、電子貯蔵リング(電子ビーム蓄積リング)の直線部に設置し、高指向性、高強度、高偏光性などの特性を生かした種々の技術の実用化のための研究が行われている。今日の電子貯蔵リングには、より高いビーム電流、より小さなビーム断面積による高輝度光源である挿入光源(アンジュレータ)が複数設けられている。
【0003】
ここで、挿入光源にはリボルバー式と呼ばれるものがあり、これは、多数の磁石が列状に配置された第1磁石列と、この第1磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第1支持体と、多数の磁石が列状に配置された第2磁石列と、この第2磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第2支持体とを備えている。そして、第1支持体を回転することにより複数の第1磁石列のうちの1つを選択すると共に、第2支持体を回転することにより複数の第2磁石列のうち1つを選択することにより、これら選択された第1磁石列と第2磁石列との間に形成される真空のギャップ空間を電子ビームが通過することにより、前述したシンクロトロン放射光を発生させる。上記第1磁石列と第2磁石列との組み合わせを適宜選択することにより、所望の放射光を得ることができるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術におけるリボルバー式挿入光源は、第1、第2磁石列が取り付け支持された第1、第2支持体が大気中に配置され、ギャップ空間に真空槽を配置して、この真空槽内を電子ビームが通過するようにしていた。したがって、ギャップ間隔を短くして装置を小型化したり高輝度光を得ようとしても、ギャップ空間の真空槽を配置しなければならないことから自ずと限界があった。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体の小型化に寄与できると共に従来よりも高輝度光を得ることのできるリボルバー式挿入光源を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係るリボルバー式挿入光源は、
多数の磁石が列状に配置された第1磁石列と、
この第1磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第1支持体と、
多数の磁石が列状に配置された第2磁石列と、
この第2磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第2支持体と、前記第1支持体を回転することにより前記複数の第1磁石列のうちの1つを選択すると共に、前記第2支持体を回転することにより前記複数の第2磁石列のうち1つを選択することにより、これら選択された前記第1磁石列と前記第2磁石列との間に形成される電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
前記複数の第1磁石列と前記複数の第2磁石列とを真空封止する真空槽と、
前記第1磁石列と前記第2磁石列の選択をするために前記第1支持体及び前記第2支持体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記ギャップ空間のギャップ間隔又は位置を変更するために前記第1支持体及び前記第2支持体を直線駆動する直線駆動装置とを備え、
前記回転駆動装置と前記直線駆動装置が前記真空槽の外側の大気中に設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
この構成によると、真空槽の内部に複数の第1磁石列及び第2磁石列が封止されている。したがって、選択された第1磁石列と第2磁石列との間のギャップ空間を従来に比べて小さくすることができ、装置全体の小型化に寄与できると共に従来よりも高輝度光を得ることのできるリボルバー式挿入光源を提供することができた。
【0007】
なお、前記第1支持体及び前記第2支持体を回転駆動する回転駆動装置は、真空槽の外側の大気中に設けられており、これによって複数ある第1磁石列と第2磁石列のうちの任意のものを選択することができる。また、前記第1支持体と第2支持体とを直線駆動する直線駆動装置も大気中に設けられており、これにより、ギャップ間隔又は位置を変更することができる。例えば、回転駆動装置を作動させるときに、第1磁石列と第2磁石列との干渉を防ぐために、直線駆動装置を作動させてギャップ間隔を広げるようにする。
【0008】
本発明の好適な実施形態として、前記回転駆動装置は、前記第1支持体を回転駆動する第1回転駆動装置と、前記第2支持体を回転駆動する第2回転駆動装置を備えているものがあげられる。
この構成によると、第1支持体と第2支持体とをそれぞれ独立して回転駆動することができるので、各支持体を個別に精度良く位置決め制御することができる。
【0009】
本発明の別の好適な実施形態として、前記直線駆動装置は、前記第1支持体を直線駆動する第1直線駆動装置と、前記第2支持体を直線駆動する第2直線駆動装置とを備えているものがあげられる。
この構成によると、第1支持体と第2支持体とをそれぞれ独立して直線駆動することができるので、ギャップ間隔及びギャップ位置を精度良く設定することができる。
【0010】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1直線駆動装置により上下方向に移動する第1移動ベースと、
この第1移動ベースと前記第1支持体とを連結する第1連結機構と、
前記第2直線駆動装置により上下方向に移動する第2移動ベースと、
この第2移動ベースと前記第2支持体とを連結する第2連結機構とを備え、
前記第1移動ベースに前記第1回転駆動装置が支持され、前記第2移動ベースに前記第2回転駆動装置が支持されるものがあげられる。
【0011】
この構成によると、第1直線駆動装置により第1移動ベースを上下方向に移動させ、この第1移動ベースの移動により第1連結機構を介して第1支持体を上下方向に移動させることができる。そして、この第1移動ベースに第1回転駆動装置が支持されているから、第1支持体の上下移動に連動して第1回転駆動装置も上下移動させることができる。したがって、第1支持体の上下動に関わらず、常に第1回転駆動装置からの駆動力を適切に第1支持体に対して伝達させることができる。また、第1回転駆動装置を上下動させるための機構を専用に設ける必要がないから、上記構成によりコスト低減に寄与することができる。
以上の点は、第2移動ベース、第2直線駆動装置、第2回転駆動装置に関しても同様である。
【0012】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1支持体と前記第2支持体にそれぞれ一体形成された回転駆動軸と、
この回転駆動軸の前記真空槽から突出する部分に設けられたベローズ継手と、
このベローズ継手の軸方向外側に軸方向に沿って順に配置された第2真空軸シール室及び第1真空軸シール室とを備えているものがあげられる。
【0013】
所望の高輝度光を得るためには、真空槽の内部を超高真空に維持する必要がある。しかも、大気中に設けられた回転駆動装置、直線駆動装置により真空槽内部の第1支持体、第2支持体を回転、直線駆動させる必要がある。そのために、まず、各支持体に一体形成された回転駆動軸が真空槽から突出する部分にベローズ継手を設けることで、各支持体の上下移動を可能にしている。このベローズ継手の内部空間は真空槽の内部と連通した超高真空となっており、さらに、このベローズ継手の軸方向外側に軸方向に沿って順に(少なくとも)第2真空軸シール室、第1真空軸シール室を配置する。このように、(少なくとも)二段の差動排気システムを採用することにより、真空槽内部を超高真空に保持した状態で、各支持体を大気中に設けられた回転駆動装置により回転させることができた。
【0014】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記ベローズ継手の内部空間と前記第1真空軸シール室との境界部分に、耐熱性及び耐放射線性を有する合成樹脂製のシールリングが前記回転駆動軸の外周部に設けられているものがあげられる。
真空槽及びベローズ継手の内部の超高真空を保持しつつ回転駆動軸を回転できるようにするには、ベローズ継手の内部空間と第2真空軸シール室との境界部分であって、回転駆動軸の外周部にシールリングを設ける必要がある。ただし、シールリングの素材として通常のゴムを用いたのでは、ゴムの性能劣化等により所望の超高真空を維持することができない。真空槽内部を超高真空とするための過熱排気時のベーキング温度に耐え、しかも、放射線にさらされる条件下での使用に耐えるような耐熱性及び耐放射線性を有する合成樹脂をシールリングの素材として採用することにより、所望の超高真空を維持することができる。かかる合成樹脂としては例えばポリイミドが好ましくは採用される。
【0015】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記シールリングの前記回転駆動軸の外周部に対する押圧力を調整可能に構成しているものがあげられる。これによって、真空槽の内部を常時、所望の超高真空に維持できるようにすることができる。
【0016】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記真空槽内に前記回転駆動軸を支持するベアリングを備え、前記ベアリングの少なくとも転がり接触部分に金被膜が施されているものがあげられる。
真空槽内は超高真空であるから、そこに用いられるベアリングに潤滑油を使用することはできない。そこで、ベアリングの少なくとも転がり接触部分に金被膜を施すことにより、無潤滑でベアリングを使用することができ、所望の超高真空を維持することができる。金被膜を作成する技術としては、メッキ、イオンプレーティング、蒸着、スパッタリング等があげられる。
【0017】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1磁石列及び前記第2磁石列の列方向の端部と、前記真空槽の電子ビームが導入される開口部との間のビーム路を滑らかに接続するためのビーム路形状変換部が備えられ、
このビーム路形状変換部が前記第1磁石列及び第2磁石列の前記端部に押圧される状態と、前記端部から切り離される状態とに切り換えるための着脱装置が設けられているものがあげられる。
【0018】
真空槽内にその開口部を通じて電子ビームが導入される場合に、そのビーム路の断面形状は略楕円形となっている。一方、選択された第1磁石列と第2磁石列との間に形成されるギャップ空間におけるビーム路の断面形状は略長方形である。したがって、楕円形の断面形状と長方形の断面形状を滑らかにつなぐためにビーム路形状変換部が設けられる。このビーム路形状変換部は、通常は、第1磁石列と第2磁石列の列方向の端部に押圧されている状態である。これは、第1、第2磁石列に発生する電流をビーム路形状変換部を介してアースに逃がすために設けられているものであるが、ビーム路形状変換部が各磁石列の端部に押圧された状態だと、第1、第2支持体を回転駆動することが困難である。そこで、着脱装置を設けて、ビーム路形状変換部を各磁石列の端部から切り離すことができるようにすることで、第1、第2支持体をスムーズに回転させることができる。
【0019】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記着脱装置は、前記第1移動ベースに支持される第1着脱装置と、前記第2移動ベースに支持される第2着脱装置とからなるものがあげられる。
着脱装置を第1、第2着脱装置に分けて、それぞれを第1、第2移動ベースに支持させるようにすることで、第1、第2支持体が直線駆動装置により上下駆動されたとしても、着脱装置の着脱機能を常に適切に保持することができる。
【0020】
本発明の更に別の好適な実施形態として、前記第1支持体と前記第2支持体は、それぞれ、その軸線方向の両側に前記回転駆動軸が形成されていると共に、その軸芯を貫通する冷却水通過往路と冷却水通過復路が形成され、
一方の側の前記回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分に設けられた冷却水導入部を備え、
この冷却水導入部から導入された冷却水を前記冷却水通過往路を通過させて他方の側の回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分にまで導くと共に反転させ、この反転された冷却水を前記冷却水通過復路を通過させて前記一方の側の前記回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分に設けられた冷却水排出部から排出するように構成されているものがあげられる。
【0021】
高輝度光の発生に伴い第1、第2支持体は加熱されてくるので冷却をする必要があるが、これら各支持体は真空槽内部に設けられていることから、冷却機構には特別の配慮が必要となる。そこで、第1、第2支持体にその軸線方向の両側にそれぞれ回転駆動軸を一体形成する。そして、一方の側の回転駆動軸から他方の側の回転駆動軸へと軸芯を貫通するように冷却水通過往路と冷却水通過復路からなる冷却水通路を形成する。
【0022】
冷却水は一方の側の回転駆動軸の真空槽から突出した(大気中に露出した)部分に冷却水導入部を設けて、ここから冷却水を導入する。導入された冷却水は、冷却水通過往路を通過して他方の側の回転駆動軸の真空槽から突出した部分まで導き、ここで反転させる。冷却水通路における反転させる場所はナット等により封止しておく。また、この反転させる場所は真空槽の外側であるから、仮に水漏れがあったとしても超高真空に対して影響を与えなくてすむ。反転した冷却水は、冷却水通過復路を通過して再び、一方の側の回転駆動軸の真空槽から突出した部分に戻り、冷却水排出部から排出される。
【0023】
以上のように、真空槽内部の超高真空性能に影響を与えることなく、真空槽内部に設けられた第1、第2支持体及びこれらに取り付け支持された第1、第2磁石列を冷却させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
<リボルバー式挿入光源の全体構成>
本発明に係るリボルバー式挿入光源の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、リボルバー式挿入光源の全体構成を示す正面図、図2は、同じく側面図である。
このリボルバー式挿入光源Rは、床面に設置される共通ベース1と、この共通ベース1の上に組み付けられる門型の本体フレーム2と、内部が超高真空に維持される真空槽3とを備えている。真空槽3は、支持機構16により共通ベース1に対して固定して取り付けられている。
【0025】
真空槽3の内部には、多数の磁石列が列状に配置された第1磁石列の4つが円周方向に沿って取り付け支持された第1支持体4と、同じく多数の磁石列が列状に配置された第2磁石列の4つが円周方向に沿って取り付け支持された第2支持体5とが配置される。この磁石列の構成に関して図3で説明する。
【0026】
<磁石列の構成>
図3は、磁石列の構成を模式的に示す図である。第1支持体3には、断面が正方形であり、円周方向に沿って等間隔に第1磁石列a,b,c,dが取り付け支持されている。第2支持体4にも同様に第2磁石列e,f,g,hが取り付け支持されている。これら第1、第2支持体3,4をそれぞれ回転させることにより、特定の第1、第2磁石列を選択することができる。選択された第1、第2磁石列の間には電子ビームが通過するギャップ空間が形成されている。図3では、第1磁石列dと第2磁石列hとが選択されている。
【0027】
ここで磁石列の構成を説明すると、第1磁石列aにおいては主磁石列M1と、この主磁石列M1の両側に補助磁石列M2,M3が配置されている。第2磁石列eに関しても同様に主磁石列M4と、補助磁石列M5,M6が配置されている。図3に示すように各磁石列は、多数の磁石が列状に配置されている。主磁石列M1,M2の間には吸引力が作用して、この吸引力が第1、第2支持体3,4をひずませるので、この吸引力を打ち消すような反発力を補助磁石列M2,M5及びM3,M6により発生させるようにしている。これにより、第1,第2支持体3,4の変形を防止して所望のギャップ間隔δが得られるようにしているのである。第1、第2支持体3,4の断面形状は正方形に限らず、六角形、八角形等の正多角形を採用して、より多くの磁石列を搭載できるように構成しても良い。なお、この磁石列に関しての更なる詳細は、特願平11−8183号に開示されている。
【0028】
図1,2に戻り、本体フレーム2の上部には、第1支持体4を上下方向に直線駆動させるための第1直線駆動装置6が設けられており、共通ベース1の内部には第2支持体5を上下方向に直線駆動させるための第2直線駆動装置(不図示)が設けられている。これら第1、第2直線駆動装置は、真空槽3内部で向かい合っている第1磁石列と第2磁石列との間に形成される電子ビームが通過するためのギャップ空間の間隔や位置を変更するためのものである。また、第1、第2直線駆動装置は、それぞれ独立して駆動させることができる。
【0029】
第1直線駆動装置6の概略を説明すると、本体フレーム2の上部に設けられたパルスモータ7と、減速機8,9(減速機9は一対設けられている。)と、減速機9の下方に設けられたボールネジ10と、ボールナット11と、ボールネジ10の両端を支持する一対のベアリング12が備えられている。ボールナット11に連結されたサドル13がリニアガイドにより上下方向にスムーズに移動可能に設けられており、このサドル13に対して更に上側Iビーム14(第1移動ベースに相当する。)が組み付けられている。なお、下側Iビーム15に関しても同様に構成されている。
【0030】
上側Iビーム14と、第1支持体4との連結は、昇降用シャフト17、熱伝導抑止用のサポータ18、リニアガイド19(これらは、第1連結機構に相当する。)により行なわれている。下側Iビーム15と、第2支持体5との連結を行なう第2連結機構も同様の構成である。
【0031】
また、第1支持体4を回転駆動するための第1回転駆動装置20と、第2支持体5を回転駆動するための第2回転駆動装置21とがそれぞれ設けられており、第1、第2支持体4,5は、それぞれ独立して回転駆動させることが可能である。また、第1回転駆動装置20は、上側Iビーム14に対してリニアガイド22を介して取り付け支持されており、第2回転駆動装置21は、下側Iビーム15に対してリニアガイド22を介して取り付け支持されている。つまり、第1、第2支持体4,5の上下移動に連動して第1、第2回転駆動装置20,21も連動して上下移動する。なお、リニアガイド22を介して取り付け支持するのは、真空槽3の超高真空立ち上げ時における加熱排気の際に第1、第2支持体4,5の熱膨張に対してスライド移動できるようにするためである。
【0032】
以上の構成によると、第1直線駆動装置6のパルスモータ7を駆動してボールネジ10を回転させることで、上側Iビーム14を上下移動させ、これにより第1支持体4を上下移動させることができる。また、真空槽3の内部に第1、第2磁石列を配置しているから、ギャップ間隔を0.3〜0.8mm程度まで縮めることが可能となる。ギャップ間隔を狭くすると、電子ビームの軌道が上下方向に変動した場合に、ギャップ空間の位置を追従して調整する必要があるが、直線駆動装置を上下の第1、第2直線駆動装置に分けて、第1、第2支持体4,5をそれぞれ独立して上下移動させることができるようにすることで、上記の調整を可能にしている。
【0033】
回転駆動装置20,21により、真空槽3の内部にある第1、第2支持体4,5に対して超高真空を保持しつつ回転を伝達するために二段式差動排気機構を備えており、これは真空槽3の外側に設けられた一対の上側差動排気機構23と、同じく一対の下側差動排気機構24とから構成されている。詳しくは後述するが、これにより駆動軸部の確実な真空シールを実現している。上側差動排気機構23は、支持フレーム25とリニアガイド26により上側Iビーム14に支持されている。下側差動排気機構24は、同じく支持フレーム25とリニアガイド26により下側Iビーム15に支持されている。
【0034】
<二段式差動排気機構の詳細構成>
次に、二段式差動排気機構23,24、回転駆動装置20,21等の詳細を説明する。図4は、図1の左側に位置するリボルバー式挿入光源の構成を示す図である。図5は、図1の右側に位置するリボルバー式挿入光源の構成を示す図である。図6は、差動排気機構の詳細構成を示す図である。図7は、シールリングの構成を示す拡大図である。
図4と図5において回転駆動装置20,21が設けられている点を除いて、その他の構造は基本的に同様である。
【0035】
第1支持体4及び第2支持体5の軸線方向の両側には、それぞれ、回転駆動軸30,31が一体形成されている。第1、第2支持体4,5のたわみ変形を最小に押さえるために、各支持体4,5の両端部のすぐ外側の位置に一対のベアリング32を設けている。このベアリング32は、金メッキが施された転がり軸受であり、無潤滑により各支持体4,5を支持しており、真空槽3内部に摩耗粉が飛散しないように構成している。
【0036】
また、ベアリング32は、昇降用シャフト17の端部に固定された軸受チョック33に対して軸受固定用ナット34により固定されている。つまり、昇降用シャフト17の上下移動により各支持体4,5を上下移動させることができる。また、昇降用シャフト17の周囲には公知のベローズ継手35を設けている。これにより、真空槽3の内部を超高真空に維持した状態で昇降用シャフト17の上下移動を許容している。
【0037】
また、真空槽3の両端部には、真空槽開口部蓋28が設けられており、この真空槽開口部蓋28の開口部28aと各差動排気機構23,24との間にICFフランジ方式のベローズ継手27を設けている。真空槽3の内部とベローズ継手27の内部とは連通した超高真空状態となっている。
【0038】
さて、真空槽3の内部は、10-11 Torrのレベルであると共に、真空槽3における第1、第2磁石列のギャップ間隔の位置決め精度は0.005mm、回転角度の位置決めは0.002゜のレベルの高精度が要求される。しかも、第1、第2磁石列4a,5a(第1、第2支持体4,5)を回転駆動するための回転駆動装置20,21は、真空槽3の外部の大気中にある。したがって、各支持体4,5を回転させるための回転駆動軸30,31の軸周りを真空シールする機構は重要な技術となる。
【0039】
そのために、本発明においては二段式の差動排気機構23,24を採用している。これを、図6,7を中心として説明する。つまり、この二段式の差動排気機構23は、初段目真空軸シール室(第1真空軸シール室に相当する。)40と、二段目真空軸シール室(第2真空軸シール室に相当する。)41とを備えている。真空槽3及びベローズ継手27の内部は、三段目の真空シール室に相当し、真空槽3の内部は、9×10-11 Torr以下の超高真空環境に維持される。初段目真空軸シール室40における真空排気の圧力レベルはターボ分子ポンプによる排気レベルとし、二段目真空軸シール室41における真空排気のレベルをイオンポンプによる排気レベルとする。第1支持体4から軸方向に突出した回転駆動軸30の軸線方向に沿って、真空槽3の外側にベローズ継手27が配置され、さらにその軸方向外側に二段目真空軸シール室41が配置され、更にその軸方向外側に初段目真空軸シール室40が配置されるようにしている。
【0040】
初段目真空軸シール室40の蓋としての機能を有する軸受ハウジング42が回転駆動軸30の外周部に設けられ、この軸受ハウジング42に形成された凹部に円錐コロ軸受43が軸受止め輪44により固定されている。また、回転駆動軸30の外周と軸受ハウジング42との間には、耐熱性と耐放射線性を有するOリング46が設けられている。さらに、円錐コロ軸受43の外側には押圧力調整ナット45が設けられている。
【0041】
初段目真空軸シール室40を構成するハウジング47が、軸受ハウジング42に隣接して設けられており、その凹部に針状コロ軸受48が軸受止め輪49により固定されている。軸受ハウジング42は、ボルト51によりハウジング47に対して締結されている。軸受ハウジング42とハウジング47との間には、固定用で耐熱性・耐放射線性を有するOリング52が設けられている。また、ハウジング47と回転駆動軸30との間には、運動用(回転駆動軸30が回転摺動する。)で耐熱性・耐放射線性を有するOリング53が設けられている。
【0042】
二段目真空軸シール室41を構成するハウジング50が、ハウジング47とベローズ継手27との間に設けられている。ハウジング50内には、特殊形状をしたシールリング55と、ハウジング50内にシールリング55をボルト57により取り付けるシールリング押え蓋56とが設けられている。ハウジング50は、ボルト58によりハウジング47に対して締結される。ハウジング47とハウジング50との間の壁面には、固定用で耐熱性・耐放射線性を有するOリング54が設けられている。
【0043】
二段目真空軸シール室41の低圧側は、ベローズ継手27により、真空槽3の両側に設けられた真空槽開口部蓋28に対して接続しており、これによって真空槽3の内部を所望の超高真空に保持するようにしている。ベローズ継手27は、ボルト59によりハウジング50に対して締結されている。
【0044】
初段目真空軸シール室40には、初段目真空排気口としてのICFフランジ60が設けられており、ターボ分子ポンプ系の配管が接続される。この初段目真空軸シール室40においては、ターボ分子ポンプにより真空排気できる高真空圧領域の真空レベルを維持する。
【0045】
二段目真空軸シール室41は、初段目真空軸シール室40との差圧による回転駆動軸部分の真空シールを行なうものであり、Oリング53からの真空リークや、初段目、二段目真空軸シール室40,41の間に設けられたOリング52からの真空リークや、二段目真空軸シール室41を構成する部品や材料の表面や内部からの脱ガス等をイオンポンプにより加熱排気する。二段目真空軸シール室41には、二段目真空排気口としてのICFフランジ61が設けられており、イオンポンプ系の配管が接続される。これにより、二段目真空軸シール室41の内部を超高真空状態に維持する。
【0046】
二段目真空軸シール室41と真空槽3の内部とは、図7にその形状が詳細に示される、特殊形状のシールリング55により別々の真空室として仕切られている。図7に示すように、回転駆動軸30の大径部30aと小径部30bとをつなぐ45度の傾斜部30cがあり、この部分にシールリング55が押しつけられている。シールリング55には、傾斜押圧部55aと垂直押圧部55bとが形成されており、垂直押圧部55bはシールリング押え蓋55によりハウジング50の垂直面に押圧されている。また、傾斜押圧部55aは押圧力調整ナット45(図6参照)により、回転駆動軸30の傾斜部30cに押圧される。
【0047】
シールリング55は、真空槽3の内部を9×10-11 Torr以下の超高真空を維持するために耐超高真空性を有するとともに、超高真空とするための加熱排気時のベーキング温度に耐える耐熱性を有し、また放射線にさらされる条件下での使用に耐える耐放射線性を有する必要がある。さらに、シールリング55は、無潤滑での耐摩耗性が良好で、高温におけるクリープが小さく、超高真空中での耐ガス放出性優れていて、機械要素としての物性(引張り強さ、伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、圧縮弾性率、圧縮応力−歪特性、疲労限界等の特性)に優れ、また、優れた機械加工性を持ち合わせた材料であることが要求される。そこで、本発明では、かかるシールリング55の素材として図7に示される特殊形状に加工したポリイミド樹脂を選択した。
【0048】
先ほど説明したように、ポリイミド製のシールリング55を回転駆動軸30の傾斜部30cに押圧する場合の押圧力の調整は、押圧力調整ナット45により行なうものである。この押圧力調整ナットは、差動排気機構23を構成している、軸受ハウジング42と、ハウジング47,50の全体を軸方向から押すことにより押圧力を調整するようにしている。そして、シールリング55の傾斜押圧部55aから真空リークが発生した場合においても、大気中に設けた押圧力調整ナット45の増し締めにより、傾斜部30cへの押圧力を増加させることができるので、容易に真空リークを止めることができる。なお、シールリング55の形状は図7の構成に限定されることなく,回転駆動軸30との当接部の形状等に応じて選定することが望ましい。
【0049】
円錐コロ軸受43は、上述した押圧力によるスラスト荷重、および、回転駆動軸30と差動排気機構23との間に発生するラジアル荷重を受ける。また、初段目真空軸シール室40に設けられた針状コロ軸受48は、円錐コロ軸受43と共に回転駆動軸30の軸芯に対して差動排気機構23の軸芯とを同芯となし、ラジアル荷重を回転支持する。さらに、針状コロ軸受48は、ポリイミド製のシールリング55を回転駆動軸30の傾斜部30cに押し付ける際の差動排気機構23の軸芯方向への微小運動(わずかな滑り移動)に対する案内の役割も有する。
【0050】
なお、針状コロ軸受48は超高真空環境内で使用されるので、グリス等の潤滑油の使用は厳禁され、かつ、軸受からのガス放出をなくすために無潤滑での使用を可能にするため金メッキが施されたものを使用している。これは、他の真空槽3内で用いられるベアリングについても同様である。
【0051】
なお、真空槽3の内部に設けられたベアリング32と、差動排気機構23に設けられた円錐コロ軸受43と、針状コロ軸受48とはその軸芯が同一直線上に存在するように、きわめて精度良く回転駆動軸30に支持されている。
これまでの説明では、上側の差動排気機構23に関して説明してきたが、下側の差動排気機構24に関しても同じ構成である。また、各差動排気機構23,24は、各支持体4,5の両側に設けられているが、これらの構成についても同じである(図4、図5参照)。
【0052】
<回転駆動装置>
次に回転駆動装置について説明する。図4に示されるように、第1回転駆動装置20は、バックラッシュレスのギヤードパルスモータ63と、ギヤードパルスモータ63の出力軸に取り付けられた第1ギヤ64と、第1ギヤ64と噛み合い回転軸芯が回転駆動軸30にある第2ギヤ65と、ハーモニックドライブ減速機構66と、バックラッシュレスのカップリング67とを備えている。これにより、パルスモータ63を駆動することで、回転駆動軸30、即ち、第1支持体4及び第1磁石列4aを回転させることができる。
【0053】
また、ギヤードパルスモータ63の出力軸とは反対側に設けられたスプロケット68と、絶対値型のロータリエンコーダ69に設けられたスプロケット70とにチェーン71が巻回されている。このロータリエンコーダ69により、ギヤードパルスモータ63の高精度の回転制御を行なうことができる。
【0054】
第2回転駆動装置21も同じ構成を備えており、パルスモータ63を駆動することで、回転駆動軸30、即ち、第2支持体5及び第2磁石列5aを回転させることができる。
【0055】
<各支持体の昇降機構>
すでに説明したが、第1支持体4と昇降用シャフト17との連結部の機構を図10に拡大して示す。第1支持体4と一体形成された回転駆動軸30が設けられ、回転駆動軸30を支持するためのベアリング32が取り付けられる軸受チョック33が設けられる。軸受チョック33は、昇降用シャフト17と一体的にネジ機構により連結されている。ベアリング32は、軸受固定用ナット34により軸受チョック33に固定される。
【0056】
<着脱装置>
次に、ビーム路形状変換部の着脱装置について説明する。図4に示される様に、電子ビームは左側からビーム通路74を通じて導入され真空槽3の開口部3aに至る。この開口部3aにおいては、ビーム径は略楕円形状となっている。この電子ビームは、第1支持体4において選択されている第1磁石列4aと第2支持体5において選択されている第2磁石列5aの間のギャップ空間に導かれるが、このギャップ空間においてビーム径の断面形状は略長方形である。したがって、ビーム径の断面形状が楕円形から長方形にスムーズにつながるようにビーム路形状変換部73を設けている。
【0057】
このビーム路形状変換部73の機能としては上記のほか、電子ビームによる発熱を抑制するための冷却機能と、第1、第2磁石列4a,5aに発生する電流をビーム路形状変換部73を介してアースに逃がす機能も有している。そのため、ビーム路形状変換部73の端部は、第1、第2磁石列4a,5aの端部Mに押圧するようにしている。
【0058】
ところが、第1、第2支持体4,5を回転駆動させようとすると、ビーム路形状変換部73を押圧しているために、このままでは回転させることができない。そこで、ビーム路形状変換部73を各磁石列4a,5aの端部に押圧される状態と、端部から切り離される状態とに切り換えるための着脱装置を設けている。
【0059】
このビーム路形状変換部73の詳細形状を図13に示す。この図では、通路形成部75と、この通路形成部75の外周に設けられている冷却用パイプ76とが示されている。通路形成部75は、ベリリウム銅の薄板を材料としており、これに数カ所のスリット切り込みを行なって帯状材の集合構造とし、これにより楕円形状と長方形形状を滑らかに接続している。図4においては、図13に示されるビーム路形状変換部73が上下に設けられている。
【0060】
着脱装置は、上側に位置する第1着脱装置78と、下側に位置する第2着脱装置79とに分かれており(図4参照)、第1着脱装置78は上側Iビーム14に支持されており、第2着脱装置79は下側Iビーム15に支持されている。これにより、第1、第2支持体4,5の上下移動に連動して第1、第2着脱装置78,79を上下移動させることができる。なお、第1着脱装置78と第2着脱装置79とは同じ構成である。
【0061】
<着脱装置の具体的構成>
図8は、第1着脱装置78の一部を示す正面図、図9は、第1着脱装置79の残りの一部を示す図、図11は、第1着脱装置78におけるリンク機構を示す側面図、図12は、リンク機構の構成を示す斜視図である。
エアーアクチュエータを構成するピストンロッド82の下端に熱伝導抑止サポータ81が連結され、さらに熱伝導抑止サポータ81の下端に昇降用シャフト80が連結されている。
【0062】
次にリンク機構の詳細を説明する。図11、図12に示されるように、このリンク機構は、昇降用シャフト80の下部に連結される、門型の形状をした2列リンク同期用の駆動ブラケット83と、上側の第1揺動リンク87と、下側の第2揺動リンク88と、第1、第2揺動リンク87,88を同期駆動させる駆動リンク85と、駆動リンク85と駆動ブラケット83とを連結するための連結揺動リンク84と、第1、第2揺動リンク87,88の揺動支点を定義するための支持フレーム86と、ビーム路形状変換部73の着脱プレートを駆動するための駆動リンク89とを備えている。
【0063】
支持フレーム86は、その支持部86aが軸受チョック33に固定されている。支持フレーム86に、第1、第2揺動リンク87,88の揺動支点87a,88aが設けられているが、これは固定された支点である。第1揺動リンク87の一方の腕部は支点87bにて、第2揺動リンク88の一方の腕部は支点88bにて、それぞれ相対的に揺動可能に駆動リンク85に支持されている。連結揺動リンク84は、その一端部が支点84aにより駆動ブラケット83に、他端部が支点84bにより駆動リンク85に、それぞれ相対的に揺動可能に支持されている。また、駆動リンク89には一対の第1腕部89aと第2腕部89bが形成されており、第1腕部89aの支点89cに第1揺動リンク87の他方の腕部が、第2腕部89bの支点89dに第2揺動リンク88の他方の腕部が、それぞれ相対的に揺動可能に支持されている。
【0064】
図11に示すように、駆動リンク89は溶接等の適宜の手法によりビーム路形状変換部73と着脱プレート90と連結している。この図11においては、着脱プレート90の端部と第1磁石列4aの端部との間に隙間Δが形成されており、第1支持体4を回転できる状態である。
【0065】
昇降用シャフト80を上下移動させると、第1、第2揺動リンク87,88を揺動支点87a,88a周りに揺動させる。これにより、駆動リンク89を水平方向に移動させる。駆動リンク89の水平方向の移動に連動して、着脱プレート90も水平移動する。このとき、駆動リンク85も水平移動しようとするが、連結揺動リンク84を設けることにより、駆動リンク85の水平移動を可能にしている。なお、昇降用シャフト80の一部を取り囲むようにベローズ継手77を設けており、これにより真空槽3内を超高真空に維持したまま昇降用シャフト80を上下移動可能にしている。
【0066】
したがって、着脱プレート90を端部Mに押圧したり、端部Mから切り離したりした状態とを切り換えることができる。つまり、ビーム路形状変換部73は、着脱プレート90を介して第1、第2磁石列4a,5aの端部Mに押圧されたり、端部Mから切り離したりされることになる。なお、隙間Δとしては1〜2mm程度で良い。
【0067】
なお、図示はされていないが、リンク機構を構成する各支点には、金メッキされた転がり軸受が採用されている。これにより、超高真空環境での無潤滑支持を可能としている。
【0068】
<エアーアクチュエータの構成>
次に、図9により第1着脱装置78におけるエアーアクチュエータの構成を示す。図9に示される機構は、図8に示される機構の上側に位置する。
このエアーアクチュエータは、円筒状に形成された第1ブラケット92と、この第1ブラケット92の下端部にボルト94により締結される第2ブラケット93と、第1ブラケット92の上端部に設けられたシリンダカバー95とを備えている。また、ピストンロッド82の上端部に設けられた押圧力調整ネジ96と、押圧力調整ネジ96のすぐ下側に設けられたピストン97と、ピストン97と第2ブラケット93との間に作用する圧縮バネ98とを備えている。
【0069】
シリンダカバー95と第1ブラケット92と接合部の間にはOリング99が設けられている。ピストン97の外周面と第1ブラケット92との間にはピストンシール100が、ピストン97の内周面とピストンロッド82との間にはロッドシール101が、それぞれ設けられている。第2ブラケット93の内周面とピストンロッド82との間にはダクトシール102が設けられている。第1ブラケット92の上方側面部には圧縮空気を導入するための供給ポート92aが形成されている。また、第1ブラケット92の下方側面部には排気ポート92bが設けられている。圧縮力調整ネジ96により圧縮バネ98の圧縮力及び着脱プレート90を着脱する際のストロークを調整することができる。
【0070】
第2ブラケット93のすぐ下側にベース103が設けられており、両者はボルト104により締結されている。また、ベース103には、ピストンロッド82をガイドするための案内ブッシュ105が設けられている。なお、上記ベース103と案内ブッシュ105は、ピストンロッド82の下側にも設けられている(図8参照)。
【0071】
以上の構成により、供給ポート92aから圧縮空気を導入することにより、ピストンロッド82を押し下げることができる。図9は、ピストンロッド82が押し下げられた状態を示す。これにより、サポータ81と昇降用シャフト80も下方に押し下げられる。これにより、図11において、第1、第2揺動リンク87,88を揺動支点87a,88a周りに反時計方向に回転させる。これに連動して、駆動リンク89は図11の左方向に移動するように作用するので、着脱プレート90が第1磁石列4aの端部Mから離脱する。また、圧縮空気を供給しない状態では、圧縮バネ98のバネ力によりピストンロッド82は上方に押しやられる。これにより、着脱プレート90は端部Mに押圧させられる。
【0072】
<支持体の冷却機構>
第1、第2支持体4,5を冷却するために冷却水通路が設けられている。ここで、第1、第2支持体4,5は、真空槽3の内部に取り付けられていることから、冷却水通路を構成する際には特別な配慮が必要となる。
図14により本発明特有の冷却機構について説明する。図14(a)は、第1支持体4の断面図であり、(b)は、冷却水通路の側面図を示す。
【0073】
すでに説明したように、第1支持体4の軸線方向の両側には回転駆動軸30,31が一体形成されている(図4,5参照)。この一体化された回転駆動軸30,31及び第1支持体4の軸芯を貫通するように冷却水通路用の貫通穴が形成されている。
【0074】
上記貫通穴にパイプ37が設けられ、放射方向に突出した4本の支持部37aにより第1支持体4に支持されている。パイプ37の内部は冷却水通過往路37bとして機能し、外側は冷却水通過復路37cとして機能する。長手状のパイプ37の一端部には冷却水が導入される冷却水導入部Iが設けられており、また、そのすぐ近傍に冷却水排出部Oが設けられている。冷却水導入部Iと冷却水排出部Oは、回転駆動軸31の真空槽3から突出した部分に設けられており(図5参照)、大気中から冷却水の導入・排出を行なうことができる。
【0075】
また、各磁石列を回転駆動するときに冷却水の供給源は回転してはいけないので、図14(b)に示すように固定された冷却水分配箱39を設けている。この冷却水分配箱39には、冷却水を導入する導入部39aと、冷却水を排出する排出部39bとが形成されており、さらに、回転駆動軸31の外周面との間には水漏れ防止用のOリング39cが設けられている。
【0076】
冷却水導入部Iから導入された冷却水は、冷却水通過往路37bを通過して、第1支持体4の内部を通過してもう一方の側の回転駆動軸30の端部に到達する。この端部には冷却水通路封止用の蓋部材38が設けられている。冷却水はこの部分で反転し、冷却水通過復路37cを通過して、冷却水排出部Oから排出される。蓋部材38は、回転駆動軸31の真空槽3から突出した部分、つまり大気中に設けられている。このように、真空槽3の超高真空性能に影響を与えることなく第1支持体4の冷却を行なうことができる。
【0077】
<別実施形態>
本実施形態に用いられているベアリングは金メッキが施されているが、メッキ以外にイオンプレーティング、蒸着、スパッタリング等により金被膜を施すようにしてもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上のように本発明の構成によると、真空槽3の内部に複数の第1磁石列及び第2磁石列が封止されている。したがって、選択された第1磁石列と第2磁石列との間のギャップ空間δを従来に比べて小さくすることができ、装置全体の小型化に寄与できると共に従来よりも高輝度光を得ることのできるリボルバー式挿入光源Pを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るリボルバー式挿入光源の構成を示す正面図
【図2】実施形態に係るリボルバー式挿入光源の構成を示す側面図
【図3】磁石列の構成を模式的に示す図
【図4】図1の左側に位置するリボルバー式挿入光源の構成を示す図
【図5】図1の右側に位置するリボルバー式挿入光源の構成を示す図
【図6】差動排気機構の詳細構成を示す図
【図7】シールリングの構成を示す拡大図
【図8】第1着脱装置の一部を示す正面図
【図9】第1着脱装置の残りの一部を示す図
【図10】支持体の昇降機構を示す拡大図
【図11】第1着脱装置におけるリンク機構を示す側面図
【図12】リンク機構の構成を示す斜視図
【図13】ビーム路形状変換部の詳細を示す図
【図14】支持体の冷却機構の構成を示す図
【符号の説明】
3 真空槽
4 第1支持体
4a 第1磁石列
5 第2支持体
5a 第2磁石列
6 第1直線駆動装置
14 上側Iビーム
15 下側Iビーム
20 第1回転駆動装置
21 第2回転駆動装置
23 差動排気機構
24 差動排気機構
27 ベローズ継手
30,31 回転駆動軸
37a 冷却水通過往路
37b 冷却水通過復路
40 初段目真空軸シール室
41 二段目真空軸シール室
55 シールリング
73 ビーム路形状変換部
78 第1着脱装置
79 第2着脱装置
I 冷却水導入部
O 冷却水排出部
P リボルバー式挿入光源
δ ギャップ間隔

Claims (11)

  1. 多数の磁石が列状に配置された第1磁石列と、
    この第1磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第1支持体と、
    多数の磁石が列状に配置された第2磁石列と、
    この第2磁石列の複数が円周方向に沿って取り付け支持された第2支持体と、
    前記第1支持体を回転することにより前記複数の第1磁石列のうちの1つを選択すると共に、前記第2支持体を回転することにより前記複数の第2磁石列のうち1つを選択することにより、これら選択された前記第1磁石列と前記第2磁石列との間に形成される電子ビームが通過するためのギャップ空間と、
    前記複数の第1磁石列と前記複数の第2磁石列とを真空封止する真空槽と、
    前記第1磁石列と前記第2磁石列の選択をするために前記第1支持体及び前記第2支持体を回転駆動する回転駆動装置と、
    前記ギャップ空間のギャップ間隔又は位置を変更するために前記第1支持体及び前記第2支持体を直線駆動する直線駆動装置と、
    前記第1支持体と前記第2支持体にそれぞれ一体形成された回転駆動軸と、
    この回転駆動軸の前記真空槽から突出する部分に設けられたベローズ継手と、
    このベローズ継手の軸方向外側に軸方向に沿って順に配置された第2真空軸シール室及び第1真空軸シール室とを備え、
    前記回転駆動装置と前記直線駆動装置が前記真空槽の外側の大気中に設けられていることを特徴とするリボルバー式挿入光源。
  2. 前記回転駆動装置は、前記第1支持体を回転駆動する第1回転駆動装置と、前記第2支持体を回転駆動する第2回転駆動装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載のリボルバー式挿入光源。
  3. 前記直線駆動装置は、前記第1支持体を直線駆動する第1直線駆動装置と、前記第2支持体を直線駆動する第2直線駆動装置とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のリボルバー式挿入光源。
  4. 前記第1直線駆動装置により上下方向に移動する第1移動ベースと、
    この第1移動ベースと前記第1支持体とを連結する第1連結機構と、
    前記第2直線駆動装置により上下方向に移動する第2移動ベースと、
    この第2移動ベースと前記第2支持体とを連結する第2連結機構とを備え、
    前記第1移動ベースに前記第1回転駆動装置が支持され、前記第2移動ベースに前記第2回転駆動装置が支持されることを特徴とする請求項3に記載のリボルバー式挿入光源。
  5. 前記ベローズ継手の内部空間と前記第2真空軸シール室との境界部分に、耐熱性及び耐放射線性を有する合成樹脂製のシールリングが前記回転駆動軸の外周部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリボルバー式挿入光源。
  6. 前記合成樹脂はポリイミドであることを特徴とする請求項5に記載のリボルバー式挿入光源。
  7. 前記シールリングの前記回転駆動軸の外周部に対する押圧力を調整可能に構成していることを特徴とする請求項5又は6に記載のリボルバー式挿入光源。
  8. 前記真空槽内に前記回転駆動軸を支持するベアリングを備え、前記ベアリングの少なくとも転がり接触部分に金被膜が施されていることを特徴とする請求項1、5、6、7のいずれか1項に記載のリボルバー式挿入光源。
  9. 前記第1磁石列及び前記第2磁石列の列方向の端部と、前記真空槽の電子ビームが導入される開口部との間のビーム路を滑らかに接続するためのビーム路形状変換部が備えられ、
    このビーム路形状変換部が前記第1磁石列及び第2磁石列の前記端部に押圧される状態と、前記端部から切り離される状態とに切り換えるための着脱装置が設けられていることを特徴とする請求項1、4〜8のいずれか1項に記載のリボルバー式挿入光源。
  10. 前記第1磁石列及び前記第2磁石列の列方向の端部と、前記真空槽の電子ビームが導入される開口部との間のビーム路を滑らかに接続するためのビーム路形状変換部が備えられ、このビーム路形状変換部が前記第1磁石列及び第2磁石列の前記端部に押圧される状態と、前記端部から切り離される状態とに切り換えるための着脱装置が設けられ、前記着脱装置は、前記第1移動ベースに支持される第1着脱装置と、前記第2移動ベースに支持される第2着脱装置とからなることを特徴とする請求項に記載のリボルバー式挿入光源。
  11. 前記第1支持体と前記第2支持体は、それぞれ、その軸線方向の両側に前記回転駆動軸が形成されていると共に、その軸芯を貫通する冷却水通過往路と冷却水通過復路が形成され、
    一方の側の前記回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分に設けられた冷却水導入部を備え、
    この冷却水導入部から導入された冷却水を前記冷却水通過往路を通過させて他方の側の回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分にまで導くと共に反転させ、この反転された冷却水を前記冷却水通過復路を通過させて前記一方の側の前記回転駆動軸の前記真空槽から突出した部分に設けられた冷却水排出部から排出するように構成されていることを特徴とする請求項1、5〜10のいずれか1項に記載のリボルバー式挿入光源。
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