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JP4349864B2 - トルクリミッタ - Google Patents
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Description

この発明は、永久磁石とヒステリシス材との間に生じるヒステリシストルクによってトルクを伝達するトルクリミッタに関するものである。
ヒステリシストルクを利用したトルクリミッタは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の給紙分離装置や、オーディオ・ビデオ機器のリール台駆動装置などに用いられている。
図1は、特開平6−235447号公報(特許文献1)に開示されたトルクリミッタを示している。トルクリミッタ3は、給紙用摩擦ローラ(ゴムローラ)1に適用されている。
トルクリミッタ3は、円筒状外周部7を有する第1回転体8と、円筒状内周部9を有する第2回転体10とを備える。第2回転体10は、有底円筒状の本体部10aと、蓋体10bとからなる。このトルクリミッタ3は、第2回転体10の本体部10b中に第1回転体8を挿入し、次いで蓋体10bを取付ける手順で組み立てられている。
第1回転体8は金属製のシャフト11を通して図示しない駆動機構と連結しており、また第2回転体10は底部でゴムローラ1と嵌合している。第1回転体8と第2回転体10とは同軸上に設置されており、摺動部12a,12bでの当接によって半径方向および軸方向の位置決めがなされていて、かつ互いに回転可能となっている。
第1回転体8の円筒状外周部7には、円筒状の永久磁石13が接着剤により固着されている。また、第2回転体10の円筒状内周部9には、円筒状の半硬質磁性体(ヒステリシス材)5aが圧入によって固着されている。円筒状永久磁石13と円筒状半硬質磁性体5aとの間に所定の間隙Gがあり、両者の間に生じるヒステリシストルクによって上記の両回転体間でトルクを伝達する。
特開平6−235447号公報(図1)
特開平6−235447号公報に開示されたトルクリミッタにおいては、第1回転体8の軸方向への位置ずれを防止するために、摺動部12a,12bにおけるあたり止めによって第1回転体8の上下の動きを規制している。
スムーズな回転運動を実現するためには、円筒状半硬質磁性体5aの中心軸線と、上方の摺動部12aの中心軸線と、下方の摺動部12bの中心軸線とを完全に一致させるべきである。しかしながら、実際の製品では製造上のやむを得ない各部の寸法誤差により、上記の3箇所間で互いに多少の芯ずれが生じている。
このような芯ずれが生じているため、第1回転体8は、動作中、上方の摺動部12aの中心軸線を半硬質磁性体5aの中心軸線に合わせようとしたり、下方の摺動部12bの中心軸線を半硬質磁性体5aの中心軸線に合わせようとする。そのため、第1回転体8は横揺れをしながら回転するので、上下の摺動部12a,12bのあたり止め部分に間歇的に接触し、コトコト音を発生する。
具体的には、スリップ時(第1回転体8が固定され第2回転体10が回転する状態、または第2回転体10が固定され第1回転体8が回転する状態)、半硬質磁性体5aおよび永久磁石13間での吸引力により第2回転体10の軸受10cと第1回転体8の軸8aとが接触して回転周期毎にコギング(コトコト音)が発生し、ジャム(紙詰まり)や重送の原因となっている。
この発明の目的は、コギング(コトコト音)が発生しない信頼性の高いトルクリミッタを提供することである。
この発明に従ったトルクリミッタは、円筒状外周部を有する第1回転体と、円筒状外周部に対向する円筒状内周部を有していて、第1回転体と同軸上で互いに対して回転可能に設けられた第2回転体と、円筒状外周部および円筒状内周部のうちの一方に固着された円筒状永久磁石と、円筒状外周部および円筒状内周部のうちの他方に固着され、永久磁石との間にヒステリシストルクを発生する円筒状ヒステリシス材と、円周状に対向する円筒状永久磁石と円筒状ヒステリシス材との間の吸引力を、円周方向の一部の領域で局所的に強くする吸引力増強手段とを備える。
上記構成の本発明によれば、吸引力増強手段の作用により、第1回転体は常に吸引力の強い領域に向かって付勢されて第2回転体に接触するので、第1回転体の回転中のガタを防止できる。したがって、第1回転体は振動しなくなり、安定した特性が得られる。
一つの実施形態では、吸引力増強手段は、第2回転体の円筒状内周部に固着された一方のヒステリシストルク発生要素に設けられている。例えば、一方のヒステリシストルク発生要素は、円筒状ヒステリシス材である。この場合、円筒状ヒステリシス材は、円周方向の一部に局所的に吸引力を高めることのできる異形部を有している。
上記の異形部の一つの例は、円筒状ヒステリシス材の軸方向の一方端から半径方向内方に向かって突出した凸部である。異形部の他の例は、円筒状のヒステリシス材の厚みを増加した厚肉部である。厚肉部の厚みは、軸方向の一方端から他端に向かって次第に厚くなるようにしてもよい。
異形部のさらに他の例は、円筒状ヒステリシス材の軸方向長さを局所的に長くした部分である。
他の実施形態では、吸引力増強手段は、円筒状永久磁石に設けられている。例えば、吸引力増強手段は、円筒状永久磁石の円周方向の一部の領域の磁力を強くした磁力増強部である。
図2は、この発明の一実施形態を示す断面図である。図示するトルクリミッタは、円筒状外周部を有する第1回転体21と、第1回転体21と同軸上で互いに対して回転可能に設けられた第2回転体22と、第1回転体21の外周部に固着された円筒状永久磁石23と、第2回転体22の内周部に固着された円筒状ヒステリシス材24とを備える。円筒状永久磁石23と円筒状ヒステリシス材24との間に発生するヒステリシストルクによって、第1回転体21と第2回転体22との間でのトルクを伝達する。
第2回転体22は、底壁と上端開放の円筒壁とからなる下部ハウジング部材22bと、円筒壁の上端に取付けられる上部ハウジング部材22aとを含む。第1回転体21には、図示していないシャフトを挿通する中心穴25が形成されている。
図示した実施形態では、第1回転体21は、そのほぼ中央領域に、径を拡大した円柱状の中央張出部30を含む。また、第2回転体22の下部ハウジング部材22bは、第1回転体21の下方部分を取り囲む円筒立壁31を含む。円筒立壁31は、中央張出部30を下から支持し、かつ第1回転体21の下方部分の外周部に摺接する。
トルクリミッタ20は、円周状に対向する円筒状永久磁石23と円筒状ヒステリシス材24との間の吸引力を、円周方向の一部の領域で局所的に強くする吸引力増強手段を備える。図示した実施形態では、吸引力増強手段は、第2回転体22の円筒状内周部に固着されたヒステリシストルク発生要素であるヒステリシス材24に設けられている。具体的には、円筒状ヒステリシス材24は、円周方向の一部に局所的に吸引力を高めることのできる異形部を有している。
図3は、図2の線A−Aに沿って見たヒステリシス材24の断面を示している。この図から明らかなように、ヒステリシス材24は、軸方向の一方端から径方向内方に向かって突出した凸部24aを含む。凸部24aは、永久磁石23の下方端面に所定の隙間を持って対面する。
図4は、第1回転体21の中央張出部30と第2回転体22の円筒立壁31との当接部分を拡大して示している。凸部24aが存在している領域では、永久磁石23とヒステリシス材24との間の吸引力が局所的に強くなっている。そのため、第1回転体21は、図4中の矢印Dで示すように、常に吸引力の強い領域に向かって付勢されて第2回転体22に接触する。具体的には、円筒立壁31と中央張出部30とは破線Bで囲む領域で接触し、円筒立壁31と第1回転体21の下方部分の外周部とは破線Cで囲む領域で接触する。

こうして、第1回転体21の回転中のガタを防止できる。したがって、第1回転体21が振動しなくなり、安定した特性を得ることができるようになる。
なお、下部ハウジング部材22bの円筒立壁31の一部には、常に局所的に負荷が作用するので、この部分の強度および耐摩耗性を高めるためにコーティング等を施してもよい。円周方向の一部にコーティングを施すことは実用的ではないので、円筒立壁31の上方端面および内周面全体にコーティングを施してもよい。
図5は、異形部を有するヒステリシス材の他の例を示しており、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図示する円筒状ヒステリシス材40は、部分的に厚みを増加した厚肉部41を有している。この厚肉部41の位置する領域では、永久磁石とヒステリシス材40との間の吸引力が強くなる。
図6は、異形部を有するヒステリシス材のさらに他の例を示しており、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図示する円筒状ヒステリシス材50は、部分的に厚みを増加した厚肉部51を有している。この実施形態では、厚肉部51の厚みは、軸方向の一方端から他端に向かって次第に厚くなっている。すなわち、厚肉部51の下方部分が上方部分に比べて厚くなっているので、第1回転体に対して斜め下方に向く吸引力が作用する。したがって、第1回転体は第2回転体に対して局所的に安定して接触し、回転中のガタが防止される。
図7は、異形部を有するヒステリシス材のさらに他の例を示している。第1回転体71には永久磁石72が固着されており、円筒状ヒステリシス材60は、永久磁石72の周りを所定の隙間を持って取り囲んでいる。ヒステリシス材60は、一端部を斜め方向に切断することにより、異形部を持つようにされている。すなわち、この実施形態では、異形部は、円筒状ヒステリシス材60の軸方向長さを局所的に長くした部分である。第1回転体71は局所的に長くした部分に向かって付勢され、さらに上下のバランスをとるように下方への付勢力も作用するので、結果的に、第1回転体は斜め下方(図7では左下方)に向かうように付勢される。したがって、第1回転体は、第2回転体に対して局所的に安定して接触し、回転中のガタ防止される。
以上のように本発明によれば、吸引力増強手段の作用により、第1回転体は常に吸引力の強い領域に向かって付勢されて第2回転体に接触するので、第1回転体の回転中のガタを防止できる。こうして、コギング(コトコト音)の発生がなく、ジャムや重送といった不良動作の発生も防止し得る。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
例えば、前述した各実施形態と異なり、第1回転体にヒステリシス材を固着し、第2回転体に永久磁石を固着するようにしてもよい。この場合、永久磁石に前述したような異形部を設けるようにしてもよい。シャフトを通す第1回転体は良好な回転バランスを必要とするので、第1回転体に固着されるヒステリシストルク発生要素に異形部を設けるのは避けたい。したがって、第2回転体に固着されるヒステリシストルク発生要素に異形部を設けるのが好ましい。
吸引力増強手段は、異形部に限られない。例えば、円筒状永久磁石の円周方向の一部の領域の磁力を強くした磁力増強部によって吸引力増強手段を形成するようにしてもよい。
従来のトルクリミッタを示す断面図である。 本発明の一実施形態を示す断面図である。 図2の線A−Aに沿って見たヒステリシス材の断面図である。 図2の一部を拡大して示す断面図である。 ヒステリシス材の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 ヒステリシス材のさらに他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 ヒステリシス材のさらに他の例を示す断面図である。
符号の説明
20 トルクリミッタ、21 第1回転体、22 第2回転体、22a 上部ハウジング部材、22b 下部ハウジング部材、23 永久磁石、24 ヒステリシス材、24a 凸部、25 中心穴、30 中央張出部、31 円筒立壁、40 ヒステリシス材、41 厚肉部、50 ヒステリシス材、51 厚肉部、60 ヒステリシス材、71 第1回転体、72 永久磁石。

Claims (9)

  1. 円筒状外周部を有する第1回転体と、
    前記円筒状外周部に対向する円筒状内周部を有していて、前記第1回転体と同軸上で互いに対して回転可能に設けられた第2回転体と、
    前記円筒状外周部および前記円筒状内周部のうちの一方に固着された円筒状永久磁石と、
    前記円筒状外周部および前記円筒状内周部のうちの他方に固着され、前記永久磁石との間にヒステリシストルクを発生する円筒状ヒステリシス材と、
    円周状に対向する前記円筒状永久磁石と前記円筒状ヒステリシス材との間の吸引力を、円周方向の一部の領域で局所的に強くする吸引力増強手段とを備える、トルクリミッタ。
  2. 前記吸引力増強手段は、前記第2回転体の円筒状内周部に固着された一方のヒステリシストルク発生要素に設けられている、請求項1に記載のトルクリミッタ。
  3. 前記一方のヒステリシストルク発生要素は、前記円筒状ヒステリシス材であり、
    前記円筒状ヒステリシス材は、円周方向の一部に局所的に吸引力を高めることのできる異形部を有している、請求項2に記載のトルクリミッタ。
  4. 前記異形部は、円筒状ヒステリシス材の軸方向の一方端から半径方向内方に向かって突出した凸部である、請求項3に記載のトルクリミッタ。
  5. 前記異形部は、円筒状のヒステリシス材の厚みを増加した厚肉部である、請求項3に記載のトルクリミッタ。
  6. 前記厚肉部の厚みは、軸方向の一方端から他端に向かって次第に厚くなっている、請求項5に記載のトルクリミッタ。
  7. 前記異形部は、円筒状ヒステリシス材の軸方向長さを局所的に長くした部分である、請求項3に記載のトルクリミッタ。
  8. 前記吸引力増強手段は、前記円筒状永久磁石に設けられている、請求項1または2に記載のトルクリミッタ。
  9. 前記吸引力増強手段は、前記円筒状永久磁石の円周方向の一部の領域の磁力を強くした磁力増強部である、請求項8に記載のトルクリミッタ。
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