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JP4351796B2 - シンクロ装置およびその伝達トルク制御装置 - Google Patents
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JP4351796B2 - シンクロ装置およびその伝達トルク制御装置 - Google Patents

シンクロ装置およびその伝達トルク制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、間隔を存して配置されかつ同一の軸線回りに相対的に回転自在の2つの回転体間でトルクを伝達するために、これら2つの回転体を互いに同期させながら連結するシンクロ装置、およびこのシンクロ装置により2つの回転体の間で伝達されるトルクを制御する伝達トルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシンクロ装置として、例えば特表平11−501104号公報に記載されたものが知られている。このシンクロ装置は、自動車用変速機に用いられ、変速機軸およびこれと同軸の変速ギヤが相対的に回転しているときに、これらを互いに同期させる同期動作を実行する。このシンクロ装置は、変速機軸と一体に回転するシンクロ体と、このシンクロ体と一体に回転し、これに対して軸線方向に摺動自在のスリーブとを備えている。また、このスリーブは、内外2つのディスクホルダと、これら2つのディスクホルダ間に配置され、外ディスクホルダに連結された摩擦板と内ディスクホルダに連結された摩擦板とが軸線方向に交互に櫛歯状に多数並んだ多板クラッチと、これらの摩擦板を軸線方向に常に付勢する円板ばねなどで構成されている。同期動作時には、ギヤ切換装置によりスリーブが変速ギヤ側に押されると、スリーブの外ディスクホルダが変速ギヤに噛み合うとともに、ギヤ切換装置により内ディスクホルダが変速ギヤ側に押圧され、円板ばねを介して多数の摩擦板を変速ギヤ側に押圧することにより、多数の摩擦板が互いに接触する。これにより生じる摩擦力によって、変速ギヤと変速機軸の同期が開始されるとともに、変速ギヤと変速機軸の間でトルクが伝達される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のシンクロ装置によれば、変速ギヤの変速機軸に対する同期動作が円板ばねの付勢力により実行されるため、同期動作中に変速ギヤと変速機軸の間で伝達されるトルクが、円板ばねの付勢力によって限界値以下に制限されてしまう。そのため、入力トルクが限界値よりも大きいときには、限界値以下の範囲でしかトルクを伝達できないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、摩擦板同士の摩擦力により、相対的に回転している2つの回転体を同期させる場合において、入力トルクが大きいほど、より大きなトルクをこれらの回転体間に伝達することができるシンクロ装置、およびその伝達トルク制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、互いに間隔を存して配置されかつ同一の軸線回りに相対的に回転自在の第1回転体(例えば実施形態における(以下、この項において同じ))ギヤ部材7)と第2回転体(入力軸4、ハブ9)との間でトルクを伝達するために、第1回転体および第2回転体を互いに同期させながら連結するシンクロ装置2であって、第1回転体と第2回転体との間に軸線方向に移動自在に設けられ、第1回転体および第2回転体の各々に対して軸線回りに相対的に回転可能な係合部材(ブロッキングリング11)と、第1回転体の外周側に配置され、第1回転体と一体に回転するとともに、第1回転体に対して軸線方向に摺動可能な第1摩擦板(摩擦板12b)と、第1摩擦板と間隔を存して対向するように、係合部材の内周側に配置され、係合部材と一体に回転するとともに、係合部材に対して軸線方向に摺動可能に設けられ、係合部材が第1回転体側に押圧されることにより、第1摩擦板と面接触することによって係合部材および第1回転体を互いに同期させる第2摩擦板(摩擦板12a)と、第2回転体と一体に回転するとともに第2回転体に対して軸線方向に移動自在で、係合部材と離間している解除位置(図1に示す位置)と、係合部材に第1回転体と反対側から当接可能な同期位置(図3(a)に示す位置)と、第1回転体に係合する連結位置(図3(c)に示す位置)とに移動可能な可動部材(スリーブ10)と、可動部材が解除位置から同期位置に移動するときに、可動部材で駆動されることにより係合部材を第1回転体側に押圧することによって、第1摩擦板および第2摩擦板を介して第1回転体と第2回転体の同期を開始させるとともに、係合部材を同期位置に位置する可動部材に当接させる同期部材(シンクロスプリング13)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
このシンクロ装置によれば、第1回転体と第2回転体は、可動部材が連結位置に位置し第1回転体と係合している状態では連結され、可動部材が解除位置に位置し係合部材と離間している状態では、連結が解除される。また、可動部材が解除位置から同期位置に移動するときに、可動部材で駆動されることによって同期部材が係合部材を第1回転体側に押圧し、それにより、第1摩擦板および第2摩擦板を介して第1回転体と第2回転体が同期し始めるとともに、係合部材が同期位置に位置する可動部材に当接し、可動部材に押圧される。この状態では、第1回転体と第2回転体が、可動部材、係合部材、第1摩擦板および第2摩擦板を介して機械的に連結される。その結果、第1回転体と第2回転体の間に伝達されるトルクは、可動部材の係合部材に対する押圧力が大きいほど、第1摩擦板と第2摩擦板の間の摩擦力がより大きくなることによって、より大きくなる。したがって、伝達されるトルクが円板ばねの付勢力によって限界値以下に制限される従来のシンクロ装置と異なり、第1回転体と第2回転体の同期動作中、入力トルクが大きいときでも、可動部材の係合部材に対する押圧力をより大きくすることにより、それに応じたより大きなトルクを両回転体間で伝達することができる。また、可動部材の係合部材に対する押圧力を制御することにより、両回転体間で伝達されるトルクを制御することが可能になる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシンクロ装置において、第1回転体および第2回転体に接触した状態で、第1回転体と第2回転体との間に設けられた軸受をさらに備え、第2回転体は、その内部に軸線方向に延びる潤滑油供給用の第1油路(油路4b)と、第1油路から径方向に延び、軸受との接触部位に開口する第2油路(貫通孔4c)とを有し、第1回転体は、軸受と第1摩擦板および第2摩擦板との間に設けられ、軸受から第1摩擦板および第2摩擦板に潤滑油を供給するための第3油路(油孔7d)を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のシンクロ装置において第1回転体と第2回転体との間で伝達されるトルクを制御するシンクロ装置2の伝達トルク制御装置1であって、可動部材(スリーブ10)を軸線方向に駆動する駆動手段(アクチュエータ24)と、第1回転体および第2回転体の少なくとも一方のトルクを検出するトルク検出手段(ECU20、入力トルク算出部20a、アクセル開度センサ21、エンジン回転数センサ22)と、可動部材が係合部材に当接しているときの駆動手段の駆動力(押圧力F)を、検出されたトルクに応じて設定する駆動力設定手段(ECU20、押圧力算出部20c)と、を備えることを特徴とする。
このシンクロ装置の伝達トルク制御装置によれば、駆動手段による可動部材の駆動力が、検出された第1回転体および/または第2回転体のトルクに応じて設定され、この設定された駆動力に応じた押圧力で可動部材が係合部材を押圧する。前述したように、このシンクロ装置では、同期動作中に第1回転体および第2回転体の間で伝達されるトルクは、可動部材の係合部材に対する押圧力により決まるので、上記の構成により、この同期動作中の伝達トルクを、入力トルクや入出力トルク差などに応じて適切に制御することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るシンクロ装置について説明する。図1は、本発明のシンクロ装置2の概略構成を示しており、このシンクロ装置2は、図示しない自動車の変速機3(図5参照)に適用されたものであり、後述する入力軸4とギヤ部材7を互いに同期させながら締結するとともに、この締結を解除するものである。なお、以下の説明において、図1の左側を「左」、右側を「右」という。
【0010】
同図に示すように、変速機3のケース3a内には、入力軸4(第1回転体)が設けられている。この入力軸4は、左右のラジアル玉軸受5,5などにより、回転自在にかつ左右方向に移動不能に支持されている。入力軸4には、ギヤ部材7が針状ころ軸受6を介して相対的に回転自在に取り付けられている。このギヤ部材7(第2回転体)は、入力軸4のフランジ部4aに取り付けられたスラスト軸受8に右方から当接しており、これにより左方に移動しないように規制されている。ギヤ部材7は、円筒状の小径部とフランジ状の大径部とからなり、その大径部の外周面には、入力軸4の軸線(以下、単に「軸線」という)方向に沿ってスプライン7aが形成されている。このスプライン7aの歯(凸の部分)の右端部すなわち歯先部には、右方に向かって先細になるように、2つの斜面部が形成されており(図3参照)、このスプライン7aには、後述するスリーブ10のスプライン10aが嵌合可能である。さらに、小径部の中央部には、その外周面に変速ギヤ3bと噛み合うギヤ歯7bが形成され、小径部の右端部の外周面には、軸線方向に沿ってスプライン7cが形成されている。また、小径部の右端部には、半径方向に貫通する多数の油孔7d(3つのみ図示)が形成されている。
【0011】
また、入力軸4には、ハブ9(第1回転体)がスプライン嵌め合いにより取り付けられている。このハブ9は、右ラジアル玉軸受5の左側面に当接するリング部材14と、針状ころ軸受6とにより両側から挟持されており、それにより、左右方向に移動しないように規制されている。また、ハブ9の外周面には、軸線方向に沿ってスプライン9aが形成されている。
【0012】
一方、前記シンクロ装置2は、スリーブ10(可動部材)、ブロッキングリング11(係合部材)、クラッチ12およびシンクロスプリング13(同期部材)などで構成されている。このスリーブ10は、リング状のものであり、その内周面には、ハブ9のスプライン9aに嵌合するスプライン10a(図3参照)が形成されている。これにより、スリーブ10は、ハブ9に対して左右方向に摺動自在である。このスプライン10aの歯(凸の部分)の左端部すなわち歯先部は、半径方向内方に若干、突出しており(図2参照)、この突出部分から左端に向かって先細になるように形成された2つの斜面部を有している(図3参照)。また、スリーブ10の外周面には、溝10bが円周方向に沿って形成されている。この溝10bには、後述するアクチュエータ24(駆動手段)の図示しない作動アームが嵌合しており、スリーブ10は、アクチュエータ24により左右方向に駆動(押圧)されることによって、左右方向に摺動する。
【0013】
さらに、ブロッキングリング11は、その左端部の外周面に形成され、軸線方向に沿って延びる外スプライン11aと、内周面に形成され、軸線方向に沿って延びる内スプライン11bとを備えている。この外スプライン11aには、スリーブ10のスプライン10aが嵌合可能である。また、この外スプライン11aの歯(凸の部分)の右端部すなわち歯先部には、スプライン7aと同様に、右方に向かって先細になるように2つの斜面部が形成されている(図3参照)。また、上記シンクロスプリング13は、リング状のものであり、ブロッキングリング11に嵌合しているとともに、ハブ9とブロッキングリング11との間に配置され、これらに当接している。
【0014】
また、上記クラッチ12は、多数の摩擦板12a,12bを有し、これらの間に潤滑油が供給される湿式多板クラッチである。これらの摩擦板12a,12bは、円環状にそれぞれ形成され、ブロッキングリング11とギヤ部材7との間に交互にかつ同心に軸線方向に沿って並んで配置されている。摩擦板12a(第2摩擦板)は、摩擦板12b(第1摩擦板)よりも若干大径に形成され、その外周面には、ブロッキングリング11の内スプライン11bに嵌合するスプライン12asが形成されている。これにより、摩擦板12aは、左右方向に摺動可能であるとともに、ブロッキングリング11と一体に回転する。また、摩擦板12bの内周面には、ギヤ部材7のスプライン7cに嵌合するスプライン12bsが形成されている。これにより、摩擦板12bは、左右方向に摺動可能であるとともに、ギヤ部材7と一体に回転する。また、ブロッキングリング11が左方に押圧されたときに、これに押された摩擦板12a,12bは、スプライン11b,7cに案内されてそれぞれ左方に摺動し、左端の摩擦板12aがギヤ部材7の大径部に当接することにより、互いに面接触する。
【0015】
一方、入力軸4には、その内部を左右方向に延びる油路4b(第1油路)が形成されている。この油路4bは、貫通孔4c(第2油路)を介して入力軸4の外周面の針状ころ軸受6(軸受)に接する部分に開口しているとともに、図示しないオイルポンプに接続されている。このオイルポンプから圧送された潤滑油は、油路4b、貫通孔4c、針状ころ軸受6の内部、ギヤ部材7とハブ9との間の隙間および前記油孔7d(第3油路)を通って、摩擦板12a,12b間に供給された後、ギヤ部材7とブロッキングリング11の隙間などを通って外部に排出される。これにより、摩擦板12a,12bは、互いに焼き付かないように潤滑される。
【0016】
次に、以上のような構成のシンクロ装置2の動作について、入力軸4とギヤ部材7を互いに同期させる動作を中心として、図2〜図3を参照しながら説明する。まず、スリーブ10がブロッキングリング11と係合しておらず、入力軸4が回転し且つギヤ部材7が停止している状態から、アクチュエータ24により、スリーブ10がブロッキングリング11側に押圧されると、スリーブ10は、ハブ9上をブロッキングリング11側に摺動しながら、そのスプライン10aの歯先部でシンクロスプリング13を左方に押圧し(図2(a)参照)、それにより、シンクロスプリング13を介してブロッキングリング11がギヤ部材7側に押圧される。その結果、クラッチ12の摩擦板12aが摩擦板12bに当接するとともに、入力軸4の回転に伴ってブロッキングリング11が回転することにより、摩擦板12aと摩擦板12bの間に摩擦力が発生し、それにより、入力軸4からギヤ部材7へのトルク伝達が開始される。
【0017】
そして、スプライン10aの歯先部がシンクロスプリング13を乗り越えると(図2(b)参照)、ブロッキングリング11の外スプライン11aとスプライン10aは、歯先部が互いにオーバーラップした位置関係になる(図3(a)参照)とともに、ブロッキングリング11がギヤ部材7の回転抵抗により入力軸4よりも緩やかに回転することによって、スプライン10aの歯の斜面部が外スプライン11aの歯の斜面部に当接する(図3(b)参照)。
【0018】
この状態で、アクチュエータ24がスリーブ10を左方に押圧し続けると、ブロッキングリング11がギヤ部材7側に押圧されることにより、摩擦板12a,12bを介して入力軸4のトルクがギヤ部材7に伝達されることによって、ギヤ部材7と入力軸4が同期状態になる。そして、ギヤ部材7と入力軸4の同期が終了すると、スプライン10aは、図3(b)に破線で示す位置に移動した後、ギヤ部材7のスプライン7aに嵌合する(図2(c)、図3(c)参照)。以上により、ギヤ部材7は、ハブ9およびスリーブ10を介して入力軸4に一体に締結された状態になり、入力軸4と一体に回転する。
【0019】
図4は、アクチュエータ24がスリーブ10をギヤ部材7側に押圧する押圧力F(駆動力)と、シンクロ装置2により入力軸4からギヤ部材7に伝達される伝達トルクTRQとの関係の一例を示す線図である。同図において、破線で示す曲線は入力軸4とギヤ部材7とのトルク差が小さい場合を、1点鎖線で示す曲線は破線で示す曲線よりもトルク差が大きい場合を、2点鎖線で示す曲線は、トルク差がさらに大きい場合をそれぞれ示している。
【0020】
同図において、押圧力Fが小さい範囲(所定値F1付近以下の範囲)は、スリーブ10のスプライン10aの歯先部がシンクロスプリング13を乗り越える際の変化を示している。また、スプライン10aの歯先部がシンクロスプリング13を乗り越えた以降、スプライン10aの歯先部とブロッキングリング11の外スプライン11aの歯先部とが当接した状態では、押圧力Fが大きいほど、伝達トルクTRQが大きくなるとともに、押圧力Fと伝達トルクTRQがほぼリニアな関係になる。したがって、スプライン10a,11aの歯先部同士が当接した状態において、アクチュエータ24の押圧力Fを制御することにより、伝達トルクTRQを制御することが可能になる。また、入力軸4とギヤ部材7が機械的に連結されることにより、伝達トルクTRQの最大値は、入力軸4とギヤ部材7とのトルク差が大きいほど、より大きい値になっており(TRQ2<TRQ3<TRQ4)、トルク差で決まる最大値以下の所定範囲(例えばF1≦F≦F2の範囲)内で、押圧力Fに応じて伝達トルクTRQを制御することが可能になる。したがって、入力軸4とギヤ部材7の同期が終了するまでの間、アクチュエータ24の押圧力Fを制御することにより、伝達トルクTRQを制御することができる。
【0021】
次に、図5に示すブロック図を参照しながら、前述したシンクロ装置2の伝達トルクTRQを制御する伝達トルク制御装置1について説明する。この伝達トルク制御装置1は、シンクロ装置2を制御することにより、自動車の発進時にエンジン19から変速機3に伝達するトルクを制御するものである。
【0022】
伝達トルク制御装置1は、ECU20、アクセル開度センサ21、エンジン回転数センサ22、車速センサ23およびアクチュエータ24などで構成されている。アクセル開度センサ21(トルク検出手段)は、エンジン19のアクセルペダル(図示せず)の付近に設けられており、アクセルペダルの開度(以下「アクセル開度」という)θAPを検出して、その検出信号をECU20に出力する。また、エンジン回転数センサ22(トルク検出手段)は、エンジン19の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを検出して、その検出信号をECU20に出力する。
【0023】
また、車速センサ23は、変速機3に設けられており、車速Vに相当する変速機3の回転軸(図示せず)の回転数を検出して、その検出信号をECU20に出力する。ECU20は、この検出信号に基づき、車速Vを算出する。
【0024】
さらに、アクチュエータ24は、前記シンクロ装置2のスリーブ10に機械的に接続され、ECU20に電気的に接続されている。アクチュエータ24は、ECU20からの駆動信号により制御され、その駆動信号に応じた押圧力Fで、前記シンクロ装置2のスリーブ10をブロッキングリング11側またはこれと逆方向に押圧する。
【0025】
一方、ECU20(トルク検出手段、駆動力設定手段)は、RAM、ROM、CPUおよびI/Oインターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。ECU20は、前記各種のセンサ21〜23からの検出信号に基づき、以下に述べるように、シンクロ装置2を介してエンジン19から変速機3に伝達される伝達トルクを制御する。なお、以下に述べる入力トルク算出部20a(トルク検出手段)、伝達トルク算出部20bおよび押圧力算出部20c(駆動力設定手段)は、ECU20により構成される。
【0026】
すなわち、まず、アクセル開度θAPとエンジン回転数NEに基づき、入力トルク算出部20aにより、エンジン19からシンクロ装置2に入力される入力トルクを算出する。この入力トルクは、例えばマップを検索することにより算出される。次に、算出した入力トルクと車速Vに基づき、伝達トルク算出部20bにより、シンクロ装置2が変速機3側に伝達すべき伝達トルクTRQを算出する。この伝達トルクTRQも、入力トルクと同様に、例えばマップを検索することにより算出される。
【0027】
次いで、算出した伝達トルクTRQに基づき、押圧力算出部20cにより、前述した図4の押圧力Fと伝達トルクTRQの関係に基づいて設定したテーブルを検索することにより、アクチュエータ24の押圧力Fを算出する。そして、この押圧力Fに基づいた駆動信号をアクチュエータ24に出力することにより、算出した伝達トルクTRQがシンクロ装置2を介して変速機3に伝達される。
【0028】
以上のように、本実施形態の伝達トルク制御装置1によれば、自動車の発進時に、エンジン19の入力トルクおよび車速Vに応じた伝達トルクTRQが変速機3に伝達されるように、シンクロ装置2を制御することができる。これにより、適切な発進トルクを得ることができ、車両を円滑に発進させることができる。
【0029】
なお、実施形態の伝達トルク制御装置1では、入力トルクに基づいて伝達トルクTRQを制御するように構成したが、これに限らず、入出力トルク差や出力トルクに基づき、伝達トルクTRQを制御するように構成してもよい。また、シンクロ装置2のスリーブ10をブロッキングリング11に対して位置決めしながら締結させるための構成は、実施形態のシンクロスプリング13に限らず、シンクロスプリング13と同じ機能を有するものであればよく、例えばシンクロスナイザーキーでもよい。さらに、本発明のシンクロ装置2は、実施形態の自動車用の変速機に限らず、様々な用途に適用可能である。例えば、トルクコンバータを持たない自動車用の変速機におけるクラッチとして用いるとともに、変速中、若干の伝達トルクTRQを常に発生させるように制御してもよい。これにより、トルクコンバータ付きの自動変速機と同様に、トルク抜けを防止することができる。また、伝達トルク制御装置1も、実施形態のエンジン19から変速機3に伝達するトルクを制御するものに限らず、様々な用途に適用可能である。例えば、電気モータで車輪を駆動するタイプの自動車において、シンクロ装置2を電気モータと差動ギヤとの間に配置し、その伝達トルクを制御するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシンクロ装置によれば、第1回転体と第2回転体は、可動部材が連結位置に位置し第1回転体と係合している状態では連結され、可動部材が解除位置に位置し係合部材と離間している状態では、連結が解除される。また、同期動作中、第1回転体と第2回転体の間に伝達されるトルクは、可動部材の係合部材に対する押圧力が大きいほど、第1摩擦板と第2摩擦板の間の摩擦力がより大きくなることによって、より大きくなる。したがって、伝達されるトルクが円板ばねの付勢力によって限界値以下に制限される従来のシンクロ装置と異なり、第1回転体と第2回転体の同期動作中、入力トルクが大きいときでも、可動部材の係合部材に対する押圧力をより大きくすることにより、それに応じたより大きなトルクを両回転体間で伝達することができる。また、本発明のシンクロ装置の伝達トルク制御装置によれば、同期動作中に第1回転体および第2回転体の間で伝達されるトルクを、入力トルクや入出力トルク差などに応じて適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る伝達トルク制御装置を適用したシンクロ装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】(a)シンクロ装置の同期開始直前(b)同期動作中および(c)同期終了後の動作を示す説明図である。
【図3】(a)シンクロ装置のスリーブおよびブロッキングリングの同期開始直後(b)同期動作中および(c)同期終了後の動作を示す説明図である。
【図4】シンクロ装置のスリーブ押圧力と伝達トルクとの関係を示す線図である。
【図5】伝達トルク制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 伝達トルク制御装置
2 シンクロ装置
4 入力軸(第2回転体)
4b 油路(第1油路)
4c 貫通孔(第2油路)
針状ころ軸受(軸受)
7 ギヤ部材(第1回転体)
7d 油孔(第3油路)
9 ハブ(第2回転体)
10 スリーブ(可動部材)
11 ブロッキングリング(係合部材)
12a 摩擦板(第2摩擦板)
12b 摩擦板(第1摩擦板)
13 シンクロスプリング(同期部材)
20 ECU(トルク検出手段、駆動力設定手段)
20a 入力トルク算出部(トルク検出手段)
20c 押圧力算出部(駆動力設定手段)
21 アクセル開度センサ(トルク検出手段)
22 エンジン回転数センサ(トルク検出手段)
24 アクチュエータ(駆動手段)
TRQ 伝達トルク
F 押圧力(駆動力)

Claims (3)

  1. 互いに間隔を存して配置されかつ同一の軸線回りに相対的に回転自在の第1回転体と第2回転体との間でトルクを伝達するために、前記第1回転体および前記第2回転体を互いに同期させながら連結するシンクロ装置であって、
    前記第1回転体と前記第2回転体との間に前記軸線方向に移動自在に設けられ、前記第1回転体および前記第2回転体の各々に対して前記軸線回りに相対的に回転可能な係合部材と、
    前記第1回転体の外周側に配置され、前記第1回転体と一体に回転するとともに、前記第1回転体に対して前記軸線方向に摺動可能な第1摩擦板と、
    当該第1摩擦板と間隔を存して対向するように、前記係合部材の内周側に配置され、前記係合部材と一体に回転するとともに、前記係合部材に対して前記軸線方向に摺動可能に設けられ、前記係合部材が前記第1回転体側に押圧されることにより、前記第1摩擦板と面接触することによって前記係合部材および前記第1回転体を互いに同期させる第2摩擦板と、
    前記第2回転体と一体に回転するとともに前記第2回転体に対して前記軸線方向に移動自在で、前記係合部材と離間している解除位置と、前記係合部材に前記第1回転体と反対側から当接可能な同期位置と、前記第1回転体に係合する連結位置とに移動可能な可動部材と、
    前記可動部材が前記解除位置から前記同期位置に移動するときに、前記可動部材で駆動されることにより前記係合部材を前記第1回転体側に押圧することによって、前記第1摩擦板および前記第2摩擦板を介して前記第1回転体と前記第2回転体の同期を開始させるとともに、前記係合部材を前記同期位置に位置する前記可動部材に当接させる同期部材と、
    を備えることを特徴とするシンクロ装置。
  2. 前記第1回転体および前記第2回転体に接触した状態で、前記第1回転体と前記第2回転体との間に設けられた軸受をさらに備え、
    前記第2回転体は、その内部に軸線方向に延びる潤滑油供給用の第1油路と、当該第1油路から径方向に延び、前記軸受との接触部位に開口する第2油路とを有し、
    前記第1回転体は、前記軸受と前記前記第1摩擦板および前記第2摩擦板との間に設けられ、前記軸受から前記前記第1摩擦板および前記第2摩擦板に潤滑油を供給するための第3油路を有していることを特徴とする請求項1に記載のシンクロ装置。
  3. 請求項1または2に記載のシンクロ装置において前記第1回転体と前記第2回転体との間で伝達されるトルクを制御するシンクロ装置の伝達トルク制御装置であって、
    前記可動部材を前記軸線方向に駆動する駆動手段と、
    前記第1回転体および前記第2回転体の少なくとも一方のトルクを検出するトルク検出手段と、
    前記可動部材が前記係合部材に当接しているときの前記駆動手段の駆動力を、前記検出されたトルクに応じて設定する駆動力設定手段と、
    を備えることを特徴とするシンクロ装置の伝達トルク制御装置。
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