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JP4352014B2 - 燃料噴射システム - Google Patents
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JP4352014B2 - 燃料噴射システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射量を調節するラックの駆動制御を行う燃料噴射システムに関する。
従来から、ディーゼルエンジンのシリンダに対して燃料を噴射する燃料噴射ポンプ、燃料噴射時期の位相を変化するための油圧式タイマユニット、燃料噴射量を調節するガバナ等を駆動制御する燃料噴射システムがある(例えば、特許文献1参照)。
このような燃料噴射システムにおいては、ガバナに内蔵されるラックが駆動制御され、そのラック位置が調節されることにより燃料噴射量が調節されるが、この燃料噴射量の調節は、一般的にエンジン回転数や過給機の吸気圧力などに応じて行われる。そして、エンジン回転数に基づき燃料噴射量が調節される場合においては、例えば、エンジン回転数に応じた最大燃料噴射量と最小燃料噴射量とが予め定められ、これらの範囲内において燃料噴射量が調節される。すなわち、この場合、エンジン回転数と、最大燃料噴射量及び最小燃料噴射量とのそれぞれの関係が、燃料噴射システムにおけるECM等の制御手段に予め記憶されており、これらの関係に基づいて燃料噴射量が制御される。
特開2004−218636号公報
ところで、前述したような燃料噴射システムにおいては、耐エンスト性能を向上させる等の理由から、エンジン回転数が、予め設定される最低設定回転数よりも低回転側にある場合は、エンジン回転数が低くなるほど燃料噴射量を増加させる制御を行うものがある。すなわち、アイドリング時などのように、エンジン回転数が前記最低設定回転数にある状態から、例えばクラッチ嵌入などによってエンジンに負荷がかかった場合、エンジン回転数が最低設定回転数よりも低下してエンストを引き起す可能性が考えられるが、最低設定回転数よりも低回転側でエンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させることによりエンストを防止する。
このような燃料噴射システムにおいて、最低設定回転数よりも低回転側でエンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させるための、エンジン回転数と燃料噴射量との関係は、予め設定されるある最低設定回転数に応じて、前述の如く制御手段に予め記憶される。このため、最低設定回転数の設定が変更された場合、次のような不具合が生じる可能性が考えられる。
すなわち、前記最低設定回転数は、操縦者によるスロットルの操作などによって調節可能な範囲での最低エンジン回転数であり、通常アイドリング時のエンジン回転数となるため、例えば、最低設定回転数が高回転側に設定変更された場合、アイドリング時に、クラッチ嵌入などによってエンジンに負荷が投入された際、操作性や運転フィーリングが損なわれることが考えられる。つまり、最低設定回転数よりも低回転側においてエンジン回転数の低下にともない増加される燃料噴射量は、ある最低設定回転数に応じて定められるエンジン回転数と燃料噴射量との関係に基づくものであるため、最低設定回転数が高回転側に設定変更された場合においては、負荷投入によるエンジン回転数の低下の落ち幅が大きくなったり、負荷投入によるエンジン回転数の低下が、燃料噴射量が十分に増加されるまでに至らなかったりする現象が生じる。このような現象が生じると、負荷投入によるエンジン回転数の低下が回復するまでにある程度の時間を要するので、操作性や運転フィーリングが損なわれることとなる。
逆に、最低設定回転数が低回転側に設定変更された場合は、アイドリング時などに不必要な燃料が過剰に噴射され、未燃の燃料の排出が増加する等の不具合が発生することが考えられる。
そこで、本発明は、設定変更可能な最低設定回転数よりも低回転側で、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させる構成の燃料噴射システムにおいて、耐エンスト性能を維持するとともに、最低設定回転数の設定変更にともなう操作性・運転フィーリングの低下や未燃燃料の排出の増加を防止することができる燃料噴射システムを提供することを目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、設定変更可能な最低設定回転数よりも低回転側で、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させる、エンジン回転数と燃料噴射量との関係を定めた低回転側燃料噴射量特性曲線に基づいて、燃料噴射ポンプの燃料噴射量を制御する制御手段を具備する燃料噴射システムであって、前記制御手段は、前記設定変更による前記最低設定回転数の増減に応じて、前記低回転側燃料噴射量特性曲線の燃料噴射量に対応するエンジン回転数を増減するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、耐エンスト性能を維持するとともに、最低設定回転数の設定変更にともなう操作性・運転フィーリングの低下や未燃燃料の排出の増加を防止することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の本発明を実施するための最良の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は燃料噴射システムの概略構成を示したブロック図、図2は燃料噴射ポンプ40とそれに関連する装置等の概略構成図、図3はエンジン回転数と燃料噴射量との関係を示すグラフ、図4は同じく一部拡大グラフである。
<概略構成>
先ず、図1を用いて本発明の燃料噴射システム1の概略構成について説明する。
尚、ここで説明する燃料噴射システム1は、例えば船舶が具備するエンジンの燃料噴射ポンプの制御システムとして採用する場合について説明するが、本システムを利用することで同様の効果が得られるものであれば如何なるものに採用しても良い。
燃料噴射システム1は、図1に示すように、操作部10とエンジン20とに大別される。
操作部10は、船舶の運転室に設けられるものであって、例えば表示部11、主スロットル12、副スロットル13等が設けられるものである。
表示部11は、本システムを採用する船舶の状態や警告等を表示するものであり、スピーカ等を内蔵することによって音声による警告を発することも可能なものである。
主スロットル12は、例えばエンジン20のスロットルバルブ29を操作するものであって船舶が正常運転状態である場合に操作されるものであり、例えばレバー式のものである。
副スロットル13は、主スロットル12と同様にスロットルバルブ29を操作するものであるが、船舶が正常運転状態でない場合に操作されるものである点で主スロットル12とは使用態様が異なる。また、この副スロットル13の形状は、例えばつまみ式(ボリューム式)のスイッチである。
また、表示部11及び主スロットル12は各々独自の制御部を具備しており、エンジン20側の制御部であるECM21(Engine Control Module)と通信することによって、操作部10とエンジン20との全体制御を行っている。
尚、操作部10とエンジン20とでプロトコル等の通信方式が異なる場合には、図1に示すように通信方式の整合を図るための通信中継器15を設ける。
また、副スロットル13は、エンジン20側のECM21に直接接続される構成となっており、通信方式はエンジン20側と同じである。
エンジン20は、例えばディーゼルエンジンであり、ECM21、クランク軸回転数センサ22、カム軸回転数センサ23、遅角用電磁弁24、進角用電磁弁25、ラック28等が設けられるものである。
ECM21は、エンジン20に関するセンサや上述した操作部10等の操作系の状態に基づいて、エンジン20に関するアクチュエータ等を制御するものである。
クランク軸回転数センサ22は、エンジン20のクランク軸の回転数を検出するものであって、その検出結果をクランク軸パルスとしてECM21に出力している。
カム軸回転数センサ23は、エンジン20のカム軸の回転数を検出するものであって、その検出結果をカム軸パルスとしてECM21に出力している。
また、クランク軸回転数センサ22及びカム軸回転数センサ23は光学センサで構成することが可能であり、例えばクランク軸やカム軸の軸自体又はギヤ等に予め製造時に所定間隔で所定数のマークを記しておくことで、このマークを上記光学センサ検出することによって、ECM21はクランク軸とカム軸41の回転数を算出することができる。
遅角用電磁弁24及び進角用電磁弁25は、図2に示すような燃料噴射ポンプ40のカム軸の位相を変化させるための油圧式タイマユニットのタイマピストンを、進角側又は遅角側に摺動させる油圧を制御するための油圧制御弁である。
ラック28は、燃料噴射ポンプ40から噴射する燃料の量を調節するものである。
<燃料噴射ポンプ>
次に、図2を用いて燃料噴射ポンプ40とそれに関連する装置等の概略構成について説明する。
尚、この図2における油圧式タイマユニット50に関しては断面を示している。
特に、タイマピストン52に関しては便宜的に一点鎖線で上下に2分割した状態で示しており、遅角側位置に移動した状態をタイマピストン52aで示し、他方、進角側位置に移動した状態をタイマピストン52bで示している。
勿論、実際のタイマピストン52は、上述のように一点鎖線で2分割されるものではなく一体的に形成されるものであって、図2においてはあくまでもタイマピストン52の移動状態を説明するために一点鎖線で2分割しているのである。
燃料噴射ポンプ40は、燃料タンクに貯蔵される燃料をエンジン20のシリンダに設けた噴射ノズルへ圧送するためのものであり、カム軸41により駆動され、該カム軸41の先端部分にはカム軸カップリング51をカム軸41に固定するためのカップリング固定部材42が固設されている。
また、燃料噴射ポンプ40には、エンジン20のシリンダへ燃料を供給するための供給口43が気筒分設けられており、図2に示す例においては6気筒ある場合を示している。
更に、燃料噴射ポンプ40には、ガバナ30及び油圧式タイマユニット50が一体的に設けられている。
ガバナ30は、上記ラック28を具備し、該ラック28はECM21によって駆動制御される比例ソレノイドによって駆動される構造となっている。
油圧式タイマユニット50は、カム軸カップリング51の外周面にストレートでスプライン嵌合するタイマピストン52が設けられており、更に該タイマピストン52の外周面にヘリカルでスプライン嵌合するポンプ駆動歯車53が設けられている。
このポンプ駆動歯車53は、エンジン20のクランク軸からの回転力を受ける受歯車55とボルト56によって固設されている。
このように構成されているので、クランク軸の回転によってカム軸41を回転させることが可能となると共に、タイマピストン52をカム軸カップリング51のスプライン方向(図2に向って左右方向)に摺動させることによって、カム軸カップリング51とポンプ駆動歯車53との位相差を変化させることが可能となる。
尚、ここでは既に上述したとおり、タイマピストン52を52a側へ摺動させることでカム軸は遅角し、52b側へ摺動させることで進角するようにスプライン嵌合のヘリカル形状を構成している。
また、ポンプ駆動歯車53と嵌合するタイマピストン52の外周側にできる空間を遅角室57a、他方、カム軸カップリング51と嵌合するタイマピストン52の内周側の空間を進角室57bと各々称する。
この場合に、遅角室57aに圧油を圧送することでタイマピストン52を遅角側(52a側)へ摺動させることができ、他方、進角室57bに圧油を圧送することでタイマピストン52を進角側(52b側)へ摺動させることができる。
また、遅角室57aへ通じる遅角用圧油経路58aと、進角室57bへ通じる進角用圧油経路58bにはそれぞれ上述した遅角用電磁弁24及び進角用電磁弁25が配設されて、該遅角用電磁弁24と進角用電磁弁25をECM21で制御して作動し、圧油を送油してタイマピストン52を摺動させるのである。
このように構成されているので、ECM21は、エンジン20の状況に応じてタイマピストン52を油圧で制御する制御手段として機能し、エンジン20のクランク軸とカム軸41との位相差を自在に遅角又は進角させることが可能となる。
以上のように構成される燃料噴射システム1においては、燃料噴射ポンプ40の燃料噴射量、即ち本実施形態では前記ガバナ30におけるラック28の位置(以下、単に「ラック位置」という。)は、エンジン20の回転数(以下、単に「エンジン回転数」という。)や過給機の吸気圧力などに基づき調節される。すなわち、その位置が調節されることにより燃料噴射量を調節するラック28は、エンジン回転数や過給機の吸気圧力などに応じて駆動制御され、これらの関係は、制御手段の一例であるECM21に予め記憶されている。
エンジン回転数と燃料噴射量(ラック位置)との関係は、具体的には、図3に示すグラフのようになる。すなわち、本発明に係る燃料噴射システム1においてエンジン回転数に対する燃料噴射量は、エンジン回転数と最大燃料噴射量との関係を定めた最大燃料噴射量特性曲線A(以下、単に「最大特性曲線A」という。)と、エンジン回転数と最小燃料噴射量との関係を定めた最小燃料噴射量特性曲線B(以下、単に「最小特性曲線B」という。)とに基づいて制御される。
そして、ECM21は、設定変更可能な最低設定回転数Noよりも低回転側で、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させる、エンジン回転数と燃料噴射量との関係を定めた低回転側燃料噴射量特性曲線b(以下、単に「低回転側特性曲線」という。)bに基づいて、最低設定回転数Noよりも低回転側における燃料噴射ポンプの燃料噴射量を制御する。
最大特性曲線Aは、エンジン回転数と燃料噴射量との関係において、各エンジン回転数に基づいて算出される最大燃料噴射量を示したものであり、言わば燃料噴射量の上限ラインである。
最小特性曲線Bは、エンジン回転数と燃料噴射量との関係において、各エンジン回転数に基づいて算出される最小燃料噴射量を示したものであり、言わば燃料噴射量の下限ラインである。
最低設定回転数Noは、操縦者による前記主スロットル12の操作などによって調節可能な範囲での最低エンジン回転数であり、通常アイドリング時のエンジン回転数となり、ECM21にて予め設定される。なお、図3に示すグラフ中、Nmは最高設定回転数を示しており、該最高設定回転数Nmは、主スロットル12の操作などによって調節可能な範囲での最高エンジン回転数であり、ECM21にて予め設定される。
また、前述の如く、ECM21は、エンジン回転数が最低設定回転数Noよりも低回転側となった場合、低回転側特性曲線bに基づいて燃料噴射量を制御する。この低回転側特性曲線bは、最小特性曲線Bについての低回転側の一部をなすものであり、エンジン回転数が最低設定回転数Noよりも低回転側にある場合に、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させるための燃料噴射量特性を示すものである。
この低回転側特性曲線bは、図3のグラフに示すように、最低設定回転数Noよりも低回転側でのあるエンジン回転数において、最大特性曲線Aと交差する点(交点X)を有しており、この交点Xよりも低回転側では、最大特性曲線Aにより定められる値を越えて燃料噴射量が増加される。
すなわち、ECM21は、基本的には、最大特性曲線Aと、低回転側特性曲線bを含む最小特性曲線Bとの間に示される範囲内で、負荷などに応じてラック位置を制御して燃料噴射量を制御する。そして、エンジン回転数の低回転側においては、低回転側特性曲線bに従うように制御することにより、エンジン回転数の低下にともなって燃料噴射量を増加させる。この際、最低設定回転数Noよりも低回転側でのあるエンジン回転数(前記交点Xでのエンジン回転数)よりもさらに低回転側においては、低回転側特性曲線bに沿って燃料噴射量を増加させる。
このように、本発明に係る燃料噴射システム1は、予め設定される最低設定回転数Noよりも低回転側において、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加することにより、耐エンスト性能の向上を図っている。つまり、アイドリング時などのように最低設定回転数Noでの運転中において、例えばクラッチ嵌入時などの負荷投入時にエンジン回転数が低下した際、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させることでエンストを防止している。
また、本発明に係る燃料噴射システム1は、エンジン20の汎用性を向上させるためや、共振による騒音を防止する観点から、最低設定回転数Noが設定変更可能に構成されている。すなわち、最低設定回転数Noを設定変更可能にすることにより、アイドリング時におけるエンジン回転数を変更することができ、操縦者による所望の運転状況に対応することが可能となる。また、アイドリング時のエンジン回転数が変更可能となることにより、船舶などのアイドルング時における共振を回避することができ、エンジン20の運転にともなう共振による騒音を防止することができる。
この最低設定回転数Noは、基本的には、燃料噴射システム1が採用される船舶などの納品時に設定されるが、操作部10に設けられる操作パネル等により、操縦者によって設定変更可能に構成される。具体的には、例えば、最低設定回転数Noは、700〜800[rpm]の範囲で20[rpm]刻みで設定変更可能に構成される。
このように、最低設定回転数Noが設定変更可能に構成される燃料噴射システム1において、制御手段としてのECM21は、前記設定変更による最低設定回転数Noの増減に応じて、前記低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数を増減する。
すなわち、例えば、最低設定回転数がNoからNo1に増加するように高回転側に設定変更された場合、ECM21は、最低設定回転数の増加に応じて低回転側特性曲線bの対応するエンジン回転数を増加する。この場合、図3のグラフ上では、最小特性曲線Bの低回転側特性曲線のb部分が、高回転側(右側)に略平行移動されることとなる(b1参照)。逆に、最低設定回転数がNoからNo2に減少するように低回転側に設定変更された場合、ECM21は、最低設定回転数の減少に応じて低回転側特性曲線bの対応するエンジン回転数を減少する。この場合、同グラフ上では、最小特性曲線Bの低回転側特性曲線のb部分が、低回転側(左側)に略平行移動されることとなる(b2参照)。
ここで、前述した設定変更により最低設定回転数Noが増減された場合、該最低設定回転数Noの増減に応じて、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増減されるのであるが、これは、単に低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増減されるだけに限らず、例えば、設定される最低設定回転数Noに応じて燃料噴射量特性が変更される場合も含む。つまり、グラフ上において低回転側特性曲線bがその形状を保ったまま略平行移動される場合に限られず、最低設定回転数Noの設定変更に応じて曲線の形状が変更されてもよい。さらに言うと、エンジン回転数の所定の範囲内で設定可能なそれぞれの最低設定回転数Noに対応した複数の低回転側特性曲線bを予めECM21に記憶させておき、操縦者などにより設定された最低設定回転数Noに対応した低回転側特性曲線bに基づいて燃料噴射量が制御される構成でもよい。
このように、最低設定回転数Noの設定変更に応じて、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数を増減させることにより、耐エンスト性能を維持するとともに、最低設定回転数Noの設定変更にともなう操作性・運転フィーリングの低下や未燃燃料の排出の増加を防止することができる。
すなわち、最低設定回転数Noが高回転側に設定変更された場合は、アイドリング時などに負荷が投入された際に、エンジン回転数の低下にともなって適切に燃料噴射量が増加されることとなるので、エンジン回転数の落ち幅の増加を防止することができ、操作性や運転フィーリングの低下を防止することができる。また、最低設定回転数Noが低回転側に設定変更された場合は、アイドリング時などに不必要な燃料が過剰に噴射されることがなくなり、未燃燃料の排出の増加を防止することができる。
以下、図4に示す一部拡大グラフを用いて、エンジン回転数及び燃料噴射量の変化の態様の具体例を示すとともに、前述した効果について説明する。ここで、設定変更される前の最低設定回転数をNoとし、該最低設定回転数Noに対応する低回転側特性曲線をbとする。
始めに、最低設定回転数Noが高回転側のNo1に設定変更された場合について説明する。
まず、設定変更による最低設定回転数のNoからNo1への増加により、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増加されない(低回転側特性曲線bが移動されない)として、エンジン回転数が最低設定回転数No1の状態でアイドリング運転していたとする。つまり、グラフ上では、低回転側特性曲線b上でのエンジン回転数がNo1となる点p1に対応する状態となる。この状態から、クラッチ嵌入などによりエンジン20に負荷が投入されると、その状態でのエンジン回転数(No1)での最大燃料噴射量に噴射量が増加される。つまり、グラフ上では、点p1から最大特性曲線A上の点p2へと移動する。また、投入された負荷によりエンジン回転数は低下するため、グラフ上では点p2から最大特性曲線Aに沿って低回転側へと移動する。
そして、エンジン回転数がある値まで低下すると、その値から低回転側では低回転側特性曲線bに基づいて燃料噴射量が増加される。つまり、グラフ上では、点p2から最大特性曲線Aと低回転側特性曲線bとの交点Xに達すると、この交点Xにおけるエンジン回転数よりも低回転側では、低回転側特性曲線bに沿って燃料噴射量が増加されることとなる。その後、負荷が解除されることにより、エンジン回転数は増加して最低設定回転数No1に戻り点p1に対応する状態となる。
つまり、設定変更により最低設定回転数がNoからNo1に増加されても、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増加されない(低回転側特性曲線bが移動されない)とすると、アイドリング時からエンジン回転数が低下することによって、最大特性曲線Aに基づく噴射量を超えて低回転側特性曲線bに基づいて燃料噴射量が増加されるまでに、エンジン回転数はNo1から交点Xにおけるエンジン回転数まで低下することとなる。
一方、本発明のように、設定変更による最低設定回転数のNoからNo1への増加により、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増加されるとして、同じくエンジン回転数が最低設定回転数No1の状態でアイドリング運転していたとする。つまり、設定変更により最低設定回転数がNoからNo1へ増加されることで、低回転側特性曲線bがb1へと移動され、移動後の低回転側特性曲線b1上でのエンジン回転数がNo1となる点p3に対応する状態となる。この状態から、クラッチ嵌入などによりエンジン20に負荷が投入されると、前述と同様に、噴射量が増加され、グラフ上では点p3から最大特性曲線A上の点p2へと移動し、投入された負荷によりエンジン回転数は低下して、グラフ上では点p2から最大特性曲線Aに沿って低回転側へと移動する。
そして、エンジン回転数がある値まで低下すると、その値から低回転側では低回転側特性曲線b1に基づいて燃料噴射量が増加される。つまり、グラフ上では、点p2から最大特性曲線Aと低回転側特性曲線b1との交点X1に達すると、この交点X1におけるエンジン回転数よりも低回転側では、低回転側特性曲線b1に沿って燃料噴射量が増加されることとなる。その後、負荷が解除されることにより、エンジン回転数は増加して最低設定回転数No1に戻り点p3に対応する状態となる。
つまり、設定変更により最低設定回転数がNoからNo1に増加されることにより、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が増加されて低回転側特性曲線b1に移動されることから、アイドリング時からエンジン回転数が低下することによって、最大特性曲線Aに基づく噴射量を越えて低回転側特性曲線b1に基づいて燃料噴射量が増加されるまでに、エンジン回転数はNo1から交点X1におけるエンジン回転数まで低下することとなる。
これらを比較すると、設定変更後の最低設定回転数No1でのアイドリング時から、負荷投入によってエンジン回転数が低下された場合の、低回転側特性曲線b(またはb1)に基づいて燃料噴射量が増加されるまでのエンジン回転数のNo1からの落ち幅が、交点Xにおけるエンジン回転数までとなるところが、低回転側特性曲線bがb1に移動されることにより、交点X1におけるエンジン回転数までに抑えられることとなる。すなわち、交点X1におけるエンジン回転数と交点Xにおけるエンジン回転数との差ΔN分だけ、エンジン回転数の落ち幅を低減することができる。言い換えると、負荷投入により低下されるエンジン回転数の回復を、前記差ΔN分だけ早めることができる。これにより、アイドリング時などに負荷が投入された際の操作性や運転フィーリングの低下を防止することができる。
次に、最低設定回転数Noが低回転側のNo2に設定変更された場合について説明する。
この場合、設定変更による最低設定回転数のNoからNo2への減少により、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が減少されない(低回転側特性曲線bが移動されない)とすると、エンジン回転数が最低設定回転数No2の状態でのアイドリング時に対応するのは、グラフ上で低回転側特性曲線b上でのエンジン回転数がNo2となる点p4となり、その状態での燃料噴射量をF0とする。
一方、本発明のように、設定変更による最低設定回転数のNoからNo2への減少により、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が減少されることで、低回転側特性曲線bがb2へと移動されると、エンジン回転数が最低設定回転数No2の状態でのアイドリング時に対応するのは、グラフ上で移動後の低回転側特性曲線b2上でのエンジン回転数がNo2となる点p5となり、その状態での燃料噴射量をF2とする。
つまり、これらを比較すると、設定変更による最低設定回転数Noの減少にともない、低回転側特性曲線bの燃料噴射量に対応するエンジン回転数が減少されて、低回転側特性曲線bがb2に移動されることにより、設定変更後の最低設定回転数No2でのアイドリング時における燃料噴射量が、F0からF2まで減少することとなる。これにより、不必要な燃料が過剰に噴射されることがなくなり、未燃燃料の排出の増加を防止することができる。
燃料噴射システムの概略構成を示したブロック図。 燃料噴射ポンプ40とそれに関連する装置等の概略構成図。 エンジン回転数と燃料噴射量との関係を示すグラフ。 同じく一部拡大グラフ。
符号の説明
1 燃料噴射システム
20 エンジン
21 ECM
40 燃料噴射ポンプ
A 最大燃料噴射量特性曲線
B 最小燃料噴射量特性曲線
b 低回転側燃料噴射量特性曲線

Claims (1)

  1. 設定変更可能な最低設定回転数よりも低回転側で、エンジン回転数の低下にともない燃料噴射量を増加させる、エンジン回転数と燃料噴射量との関係を定めた低回転側燃料噴射量特性曲線に基づいて、燃料噴射ポンプの燃料噴射量を制御する制御手段を具備する燃料噴射システムであって、
    前記制御手段は、前記設定変更による前記最低設定回転数の増減に応じて、前記低回転側燃料噴射量特性曲線の燃料噴射量に対応するエンジン回転数を増減することを特徴とする燃料噴射システム。
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