JP4352203B2 - 浮島ユニットおよび植生浮島 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は植生浮島に係り、その主体構造に廃タイヤを用いることで、十分な弾力性と強度とを備え、水生植物の生育に好ましい環境を提供できる浮島構造を実現するとともに、製品リサイクルに寄与できるような植生浮島に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、湖岸や河岸の水環境、植生環境の回復を目的としてビオトープ等を導入する水辺の設計が多く計画されるようになってきた。そのなかで岸辺近くに人工の浮島を浮かべ、浮島全体に水生植物を繁茂させるようにした植生浮島が種々提案されている。植生浮島を設置することで、小動物や各種生物の生息空間の提供、浮島周辺の水辺の修景、ヨシ等の抽水植物の生物作用による水質浄化の効果を期待できる。
【0003】
従来、この種の植生浮島としては、浮体構造のフレーム本体に水生植物の根の一部を活着させることが可能な粒状の土壌材を詰めたり、マット状の植生基盤材等を組み込んだ浮力体構造が知られている。これらの植生浮島は岸辺から離れた比較的広い範囲の水面を占有するように施工しないと、上述のような効果が得られない。このため、多くの植生浮島ではユニット化した植生浮島を所定個数連結して使用するようになっている。このため、ユニット同士の連結作業の容易性が求められている。
【0004】
ところで、上述の植生浮島の主体構造としてのフレーム本体は、浮力をもたせるために発泡樹脂成形して製作された棒材等を接合して組み合わせたものでは、長期間にわたり浮遊させて使用していると、風波による揺動の影響を受けて破損してしまう等、耐久性に問題がある。一方、鋼材等でフレームを構築し、浮力体を付加したような構造では、ユニットを構成する植生浮島の剛性が高すぎて各ユニットの連結部分に過度の負荷がかかるという問題があり、この種のユニットには連結された植生浮島全体としての柔軟性と、ある程度の剛性が求められている。
【0005】
また、河川や船着き場等の近くに植生浮島を設置することを想定した場合、浮島に船舶が接触したり、流木等が衝突するおそれもある。このためある程度の耐衝撃性を備える必要もある。この場合、衝撃に耐える剛な構造とするより衝撃を吸収可能なクッション性に富んだものが好ましい。このような構造特性を備えた植生浮島を考案する場合、各ユニットにおいて主構造体となる部材を決定する必要がある。
【0006】
本発明では、この主構造体を実現可能な部材を選定する際に、廃タイヤのリサイクルに着目した。廃タイヤは、年間1億本以上発生しており、傷みの少ない一部は更正タイヤとして所定の再生作業を経た後、タイヤとして再利用される。また、約半数はセメント製造工程等における熱源及びセメント原料の一部として利用さる。しかし、二酸化炭素発生量の削減の意味から他の用途への転用が求められている。このため、廃タイヤを機械的処理することによりリサイクルする方法が種々実施されている。たとえば廃タイヤをカットしてタイヤチップとしたり、粉砕して再生ゴムや、ゴム粉を各種工業用品、資材に利用することも行われている。しかし、加工工程が必要な上、市場での材料使用量はそれほど多くない。また、廃タイヤを原形利用(プロダクトリサイクル)するものとして法面山留め材、遊具、防舷材としての用途もあるが、さらにその利用量は少ない。
【0007】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、植生浮島のユニットの主構造部材として、プロダクトリサイクル品としての廃タイヤを用い、植生基盤の構成を併せ持つようにした植生浮島を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は廃タイヤの周囲に、外縁の所定位置に連結部を有する発泡浮力体を形成するとともに、タイヤの一方の開口をメッシュ材で閉塞して底部を構成した前記廃タイヤ内に植生基盤材を充填してなることを特徴とする。
【0009】
上述の浮島ユニットを所定平面形状に連結するとともに、植生基盤材に抽水植物を植栽して植生浮島として設置水域に定置することを特徴とする。
【0010】
前記発泡浮力体は、1辺が前記廃タイヤの直径にほぼ等しい略矩形形状の側板と廃タイヤとの間の空間で発泡成形させて形成することが好ましい。
【0011】
前記廃タイヤの内部から前記発泡浮力体の外縁まで貫通して設けられた連結ピンにより前記浮島ユニットが互いに連結させることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の植生浮島の一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、複数個の浮島ユニットを連結して構成された植生浮島の一部を模式的に示した斜視図である。図2(a)は浮島ユニット2(以下、ユニット2と記す)を示した斜視図である。以下、このユニット2の構成について説明する。ユニット2は、図3(a),(b)に2方向の断面を示したように、廃タイヤ10と、1辺の辺長が廃タイヤ10の直径よりわずかに大きい寸法を有する略正方形状の樹脂製の側板11と、この側板11と廃タイヤ10との間に充填発泡させた発泡浮力体12と、横置きされた状態の廃タイヤ10の下面開口を塞ぐ底面メッシュ13と、各ユニット2を連結するための連結ピン14とから構成され、廃タイヤ10内部に植生基盤材15が充填されている。
【0013】
ここで使用される廃タイヤ10とは、車両用タイヤとして使用され、トレッドパターンの摩耗により乗用に不適とされ廃棄されたタイヤのうち、原形利用(プロダクトリサイクル)を意図してリサイクルされるタイヤをいう。原形利用される廃タイヤ10には各種のサイズがあるが、側板11の1辺を一般的な乗用車用タイヤの最大のもの(たとえば70cm程度)が収容できるように設定しておくことで、各種の廃タイヤ10をリサイクルできるようにしておくことが好ましい。このときタイヤ幅は様々であるが、図3各図に示したように、ユニット2の厚みはタイヤ幅に応じて異なっても問題はない。
【0014】
側板11は、後述する発泡浮力体12の発泡成形時の型枠となるとともに、ユニット2組立時に互いのユニット2を連結する際のガイドおよび保形材として機能する。また、植生浮島1全体が完成した際に外周縁は防舷材としての役割も果たす。本実施の形態では側板11の外形形状を略正方形状とし、その四隅に大きな曲率で丸面取りが施されている。これにより、植生浮島1の組み立て時の角部での位置ずれを調整する必要が無く、また角部が欠けたり変形したりするのを防止できる。側板11の材質としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂、耐水、耐腐食加工されたカードボード、樹脂含浸により保形された不織布シート等も使用することができる。
【0015】
この側板11と廃タイヤ10とは図3(b)に示したように、連結ピン14で仮固定することが好ましい。廃タイヤ10の直径が側板11の内法にほぼ等しい場合(図3(b))には連結ピン14によって側板11と廃タイヤ10とを直接連結できる。廃タイヤ10の直径が側板11の内法より小さい場合には連結ピン14に所定長さのスリーブ(図示せず)を嵌挿して廃タイヤ10を側板11内の所定位置に位置保持することが好ましい。この連結ピン14としては鋼製ボルトが好適である。
【0016】
発泡浮力体12としては、廃タイヤ10と側板11との間に発泡成形された発泡ポリスチレン樹脂が使用されている。発泡浮力体12を型内に発泡させる際、樹脂が廃タイヤ10のトレッドと側板11内面とに密着するので構造上、底板を必要としない。図3(a)では発泡浮力体12の厚さが廃タイヤ10のトレッドと等しく設定されているが、植生浮島1としての喫水、すなわち植栽する水生植物の生育環境にふさわしい浸水条件が実現できるようにその深さを考慮して側板11及び浮力体12の成形厚さを設定することが好ましい。図4は、浮力を確保するために廃タイヤ10内にも浮力体12を形成した変形例を示してる。ゴム肉厚のあるトラック用タイヤ等では廃タイヤ10の周辺に浮力体12を設けただけでは実用的な浮力が確保できない場合がある。そのような場合は図示したように、廃タイヤ10内に発泡体を充填してリング状の付加浮力体16を付加させることも好ましい。この発泡浮力体12を成形する際には底面メッシュ13(後述)の周縁をビード10aの内面部分に一体的に固定してしまうことができる。
【0017】
一方、廃タイヤ10内に植生基盤材15を収容するために廃タイヤ10の下面開口には底面メッシュ13が取り付けられている。この底面メッシュ13として本実施の形態では、粒状の植生基盤材15を通過させない程度の目開きからなるポリエチレン樹脂製の延伸成形された格子状メッシュが使用されている。底面メッシュ13の周縁は廃タイヤ10のビード10aの内面に接着されている。このときタイヤ10内に粒状の基盤材15を詰めて水面に浮かせた場合にも十分な強度が得られるようにメッシュの材質、接着強度等を適切に設定することが好ましい。メッシュの目開きとしては基盤材をタイヤ内に保持でき、かつ水生植物の根が十分通過できるように十分粗くすることが好ましく、1.0〜3.0mm程度のメッシュを使用することが好ましい。なお、粗目のメッシュを複数枚重ねることで目開き調整するようにしてもよい。
【0018】
このように構成された複数個のユニット2を、連結ピン14を用いて連結して所定平面形状の植生浮島1のベースとなる浮体構造を構築する(図1参照)。この浮体構造の各廃タイヤ10部分に植生基盤材15を充填し、植生基盤部する。この植生基盤材15としては人工軽量骨材や焼成粒状材等が用いられている。さらにこれらにチップ状にしたヤシ繊維や水ごけ等の有機基盤材を所定割合で混合することが好ましい。このようにして形成された植生基盤部20に、抽水植物21を植栽する。抽水植物21としては、植生浮島1を設置する湖沼等の湖岸の水域に根ざしている在来種を選定することが好ましいが、植生浮島1の植生基盤部20の下方の水中に活根しやすく、水上では葉茎が繁茂しやすい植物であることが好ましい。たとえば一年草イネ科の植物が好ましく、ヨシ、マコモ、ガマ等がよく生育する。また、このような抽水植物の生育において、水域における栄養塩の減少、溶存酸素の増加等の作用により水質浄化に寄与することが確認されている。
【0019】
図5,図7は植生浮島1を所定水域に設置し、一定期間が経過した植生浮島1を示した部分断面図と全体斜視図である。植生浮島1は図5に示したように、アンカーケーブル3により、設置水域に定置されている。植物20がある程度生育した植生浮島1では、水上において葉茎21aが十分生育するとともに、根21bが植生基盤の底面メッシュ13を通過して水中に十分伸長している。設置後、さらに期間が経過した植生浮島1の区画(図7B部)では、植物20が植生浮島1全体を完全に覆い隠すように繁茂し、自然環境にきわめて近い景観となっている。このようにこの植生浮島1では、既設の植生浮島1に対して新設の植生浮島1部分を連結して植生浮島1全体の増設を容易に行うことができる。
【0020】
図2(b)は、変形例として平面形状を六角形とした側板11を用いて製造したユニット2を示している。このユニット2を連結することで、図6に示したように、この変形例による植生浮島1では、浮力体12部分を小さくし、廃タイヤ10部分を接近させた植生浮島1を構築することができるため、植生浮島1の設置当初より植物を密植させることができ、比較的短期間で植物が植生浮島1全体を覆うようになるため、自然環境に近い植生浮島1を早期に実現することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上に述べたように、植生浮島ユニットの主体構造に廃タイヤを用いることで、十分な弾力性と強度とを備え、水生植物の生育に好ましい環境を提供できる浮島構造を実現することができるとともに、廃タイヤの原形利用による製品リサイクルに寄与できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による植生浮島の一実施の形態を示した部分斜視図。
【図2】本発明の浮島ユニットを一例を示した斜視図。
【図3】図2に示した浮島ユニットを2方向の断面線に沿って示した断面図。
【図4】変形例として付加浮力体を備えた浮島ユニットの断面図。
【図5】定置された植生浮島において植物が生育した状態を示した部分断面図。
【図6】変形例として側板を六角形形状とした植生浮島の部分斜視図。
【図7】定置された植生浮島において植物が生育した状態を示した全体斜視図。
【符号の説明】
1 植生浮島
2 浮島ユニット
10 廃タイヤ
11 側板
12 発泡浮力体
13 底面メッシュ
14 連結ピン
15 植生基盤材
20 植生基盤部
21 抽水植物
Claims (4)
- 廃タイヤの周囲に、外縁の所定位置に連結部を有する発泡浮力体を形成するとともに、タイヤの一方の開口をメッシュ材で閉塞して底部を構成した前記廃タイヤ内に植生基盤材を充填してなることを特徴とする浮島ユニット。
- 請求項1の浮島ユニットを所定平面形状に連結するとともに、植生基盤材に抽水植物を植栽して設置水域に定置されることを特徴とする植生浮島。
- 前記発泡浮力体は、1辺が前記廃タイヤの直径にほぼ等しい略矩形形状の側板と廃タイヤとの間の空間で発泡成形されたことを特徴とする請求項1記載の浮島ユニット。
- 前記廃タイヤの内部から前記発泡浮力体の外縁まで貫通して設けられた連結ピンにより前記浮島ユニットが互いに連結されたことを特徴とする請求項2記載の植生浮島。
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