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JP4353489B2 - 鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法に関し、より詳しくは、出発原料として鉄ニッケル磁性合金粉末を用いて、磁気特性、特に最大透磁率に優れた鉄ニッケル磁性合金製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性体製品は磁性金属の溶融体の流し込み、磁性金属体の切削加工、プレス加工等の種々の方法によって製造されている。また、磁性金属体粉末を用いた粉末冶金法又は金属粉末射出成形(Metal Injection Molding 、MIM)法によって磁性体製品を製造することも提案されている。例えば、特開平6−136404号公報には金属粉末射出成形法を利用した鉄系軟磁性材料焼結体の製造方法が開示されている。また鉄ニッケル磁性合金の磁気特性を改善するために高温の水素雰囲気中で熱処理することも公知である。
【0003】
粉末冶金法及び金属粉末射出成形法による製品の製造方法は一般的には経済性及び量産性に優れていると言える。しかしながら、出発原料として鉄ニッケル磁性合金粉末を用い、粉末冶金法又は金属粉末射出成形法によって作製した焼結体は、高温の水素中で熱処理したとしても、磁性合金製品の用途によっては磁気特性、特に最大透磁率の点で必ずしも満足できるものではなく、それで一層高い最大透磁率の磁性合金製品が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、出発原料として鉄ニッケル磁性合金粉末を用い、粉末冶金法又は金属粉末射出成形法を採用しても、一層高い最大透磁率の磁性合金製品を製造することのできる製造方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を達成するために種々検討を重ねた結果、高温の水素中での熱処理を温度を変えて2段階で実施することにより、磁気特性、特に最大透磁率に優れた鉄ニッケル磁性合金製品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明の第一の態様の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法は、鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理して得られるグリーン成形体、又は鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して得られるグリーン成形体を、水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間焼結し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第二の態様の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法は、鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理し、焼結して得られる焼結体、又は鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して成形体を形成し、該圧縮成形体を焼結して得られる焼結体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の第三の態様の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法は、鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理し、焼結して焼結体を得、該焼結体を加工して得られる加工体、又は鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して成形体を形成し、該圧縮成形体を焼結して焼結体を得、該焼結体を加工して得られる加工体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法で用いる鉄ニッケル磁性合金はパーマロイと総称されているFe−Ni系合金であり、一般的にはNiを35〜85%程度含むものである。本発明の製造方法においてはこの鉄ニッケル磁性合金を、平均粒径が好ましくは0.5〜25μm程度、一層好ましくは2〜8μm程度の粉末として用いる。
【0010】
本発明の製造方法を金属粉末射出成形法を採用して実施する場合には、金属粉末射出成形法で一般的に用いられている有機バインダーは何れも用いることができ、そのような有機バインダーとしてはパラフィンワックスや、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー等を挙げることができる。
【0011】
鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとの加熱混練も金属粉末射出成形法で一般的に用いられている条件下で実施することができ、その加熱温度は有機バインダーの融点によって決まる温度であり、混練方法は均一に混練できればいかなる方法、装置でもよく、それらは当業者には容易に決定できる事項である。
【0012】
鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとの加熱混練物の射出成形も金属粉末射出成形法で一般的に用いられている条件下で実施することができ、基本的にはプラスチックの射出成形技術と同じであるが、緻密な射出成形体が得られるように、射出温度、射出速度、射出圧力、金型温度等を適切に設定することが望ましい。
【0013】
本発明の製造方法を金属粉末射出成形法を採用して実施する場合の脱バインダー処理は、用いた有機バインダーの種類に関連するが、一般的には加熱分解法(常圧、減圧、真空、加圧)や、溶解法(溶媒抽出、加熱溶解、超臨界法)等で実施することができる。どのような脱バインダー処理を採用すればよいかは、当業者には容易に決定できる事項である。このような脱バインダー処理によってグリーン成形体が得られる。
【0014】
本発明の製造方法を粉末冶金法を採用して実施する場合には、粉末冶金法で一般的に用いられている条件下で、例えば、鉄ニッケル磁性合金粉末を必要に応じて潤滑剤等と混合し、圧縮成形する。この圧縮成形においては、例えば、鉄ニッケル磁性合金粉末を金型に充填し、上下のポンチで加圧してグリーン成形体を得る。
【0015】
本発明の第一の態様の製造方法においては、上記のように金属粉末射出成形法又は粉末冶金法を採用して得られたグリーン成形体を水素雰囲気中、1100〜1350℃、好ましくは1250〜1340℃で2〜5時間焼結して、焼結と第一熱処理段階とを同時に実施する。次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理する。このように熱処理を2段階で実施することにより本発明で目的としている最大透磁率に優れた鉄ニッケル磁性合金製品を製造することができる。なお、このような2段階の熱処理が終了した後、必要に応じて、表面を滑らかにするために又は寸法精度を上げるために研磨処理を施してもよい。
【0016】
本発明の第二の態様の製造方法においては、上記のようにして得られたグリーン成形体を焼結して焼結体を得る。この焼結は、従来の金属粉末射出成形法又は粉末冶金法と同様に、不活性あるいは還元性の雰囲気中で、又は真空雰囲気中で実施することができる。この焼結の際の温度、時間の条件は用いている鉄ニッケル磁性合金粉末の種類、平均粒径等によって異なるが、当業者には容易に決定できる事項である。なお、本発明の第二の態様又は第三の態様の製造方法においては、脱バインダー処理と焼結とを同一の炉内で実施することもできる。
【0017】
本発明の第二の態様の製造方法においては、上記のように焼結して得た焼結体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃、好ましくは1250〜1340℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理する。このように熱処理を2段階で実施することにより本発明で目的としている最大透磁率に優れた鉄ニッケル磁性合金製品を製造することができる。なお、このような2段階の熱処理を実施する前に又は2段階の熱処理が終了した後、必要に応じて、表面を滑らかにするために又は寸法精度を上げるために研磨処理を施してもよい。
【0018】
また、本発明の第三の態様の製造方法においては、上記のように焼結して得た焼結体を所望に応じて加工し、このようにして得られた加工体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃、好ましくは1250〜1340℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理する。なお、ここで言う加工はプレス加工、曲げ加工、切削加工等を含むものであり、加工によっては内部応力が発生するので、そのような場合には内部応力を除去するために第一熱処理段階を焼鈍で行うことが好ましい。このように熱処理を2段階で実施することにより本発明で目的としている最大透磁率に優れた鉄ニッケル磁性合金製品を製造することができる。なお、このような2段階の熱処理を実施する前に又は2段階の熱処理が終了した後、必要に応じて、表面を滑らかにするために又は寸法精度を上げるために研磨処理を施してもよい。
【0019】
本発明の製造方法においては、第一段階の熱処理及び第二段階の熱処理における処理温度及び処理時間が上記の範囲内にあることが好ましい。各段階の熱処理温度が上記の温度範囲よりも高くても低くても本発明で目的としている効果が得られず、また各段階の熱処理時間が上記の時間範囲よりも短い場合には本発明で目的としている効果が得られず、またそれよりも長くてもそれに見合った効果は得られない。
【0020】
本発明の製造方法においては、第一段階の熱処理及び第二段階の熱処理の後の冷却は炉を開放して炉内で自然冷却させても、炉内で徐冷しても、炉外に出して大気中で放置冷却しても、あるいは急冷してもよい。また、第一段階の熱処理温度まで上昇させた後、所定時間の間その温度に維持し、その後第二段階の熱処理温度まで降下させ、所定時間の間その温度に維持し、その後室温まで降下させることがエネルギー効率の面で好ましいが、第一段階の熱処理温度まで上昇させた後、所定時間の間その温度に維持し、その後室温まで冷却させ、その後同じ場所又は別の場所で第二段階の熱処理温度まで上昇させ、所定時間の間その温度に維持し、その後室温まで降下させても、本発明で目的としている効果を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1及び比較例1
50%Ni−50%Feからなる平均粒径5μmの鉄ニッケル磁性合金粉末とパラフィンワックスからなる有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して厚さ2mm、外径45mm、内径33mmのリングを形成した。このリングを高温、減圧下で脱バインダー処理してグリーン成形体を得た。このグリーン成形体を水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間焼結し且つ熱処理し、次いで炉内の温度を500℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで500℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、30000であった。なお、水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間焼結し且つ熱処理し、その後室温まで放冷した(即ち、水素雰囲気中、500℃で1.5時間の熱処理を実施しなかった)リングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、10000であった。
【0022】
実施例2
粉末冶金法に従って、50%Ni−50%Feからなる平均粒径5μmの鉄ニッケル磁性合金粉末から圧縮成形によって実施例1と同じ形状のリングを形成し、実施例1と同じ条件下で焼結し且つ2段階で熱処理した。得られたリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、31000であった。
【0023】
実施例3及び比較例2
50%Ni−50%Feからなる平均粒径5μmの鉄ニッケル磁性合金粉末とパラフィンワックスからなる有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して厚さ2mm、外径45mm、内径33mmのリングを形成した。このリングを高温、減圧下で脱バインダー処理してグリーン成形体を得た。このグリーン成形体を真空雰囲気下1320℃で焼結させ、冷却して焼結体を得た。この焼結体を水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、次いで炉内の温度を500℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで500℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、30000であった。なお、水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、その後室温まで放冷した(即ち、水素雰囲気中、500℃で1.5時間の熱処理を実施しなかった)リングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、10000であった。
【0024】
実施例4
実施例3の場合と同様にして焼結体を作製し、この焼結体を水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、次いで炉内の温度を600℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで600℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、30000であった。
【0025】
比較例3
実施例3の場合と同様にして焼結体を作製し、この焼結体を水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、次いで炉内の温度を400℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで400℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、10000であった。
【0026】
比較例4
実施例3の場合と同様にして焼結体を作製し、この焼結体を水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、次いで炉内の温度を700℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで700℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、23000であった。
【0027】
実施例5
粉末冶金法に従って、50%Ni−50%Feからなる平均粒径5μmの鉄ニッケル磁性合金粉末から圧縮成形によって実施例3と同じ形状のリングを形成し、実施例3と同じ条件下で焼結し、更に実施例3と同じ条件下で2段階で熱処理した。得られたリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、31000であった。
【0028】
実施例6
50%Ni−50%Feからなる平均粒径5μmの鉄ニッケル磁性合金粉末とパラフィンワックスからなる有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して厚さ3mmで、45mm×45mmの直方体を形成した。この直方体を高温、減圧下で脱バインダー処理してグリーン成形体を得た。このグリーン成形体を真空雰囲気下1320℃で焼結させ、冷却して焼結体を得た。この焼結体をプレスして厚さを2mmとし、打ち抜きによって厚さ2mm、外径45mm、内径33mmのリングを形成した。このリングを水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、次いで炉内の温度を500℃に降下させ、水素雰囲気を維持したままで500℃で1.5時間熱処理した。このリングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、30000であった。なお、水素雰囲気の炉内で1300℃で3時間熱処理し、その後室温まで放冷した(即ち、水素雰囲気中、500℃で1.5時間の熱処理を実施しなかった)リングについて最大透磁率(μm )を測定したところ、10000であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、出発原料として鉄ニッケル磁性合金粉末を用い、粉末冶金法又は金属粉末射出成形法を採用して、一層高い最大透磁率の鉄ニッケル磁性合金製品を製造することができる。

Claims (8)

  1. 鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理して得られるグリーン成形体を水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間焼結し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  2. 鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して得られるグリーン成形体を水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間焼結し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  3. グリーン成形体を水素雰囲気中、1250〜1340℃で2〜5時間焼結することを特徴とする請求項1又は2記載の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  4. 鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理し、焼結して得られる焼結体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  5. 鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して成形体を形成し、該圧縮成形体を焼結して得られる焼結体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  6. 鉄ニッケル磁性合金粉末と有機バインダーとを加熱混練し、射出成形して成形体を形成し、該射出成形体を脱バインダー処理し、焼結して焼結体を得、該焼結体を加工して得られる加工体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  7. 鉄ニッケル磁性合金粉末を圧縮成形して成形体を形成し、該圧縮成形体を焼結して焼結体を得、該焼結体を加工して得られる加工体を、第一熱処理段階として水素雰囲気中、1100〜1350℃で2〜5時間熱処理し、次いで第二熱処理段階として水素雰囲気中、500〜600℃で1〜5時間熱処理することを特徴とする鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
  8. 第一熱処理段階として水素雰囲気中、1250〜1340℃で2〜5時間熱処理することを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の鉄ニッケル磁性合金製品の製造方法。
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