JP4356129B2 - バッテリ用電槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に搭載されている電気機器などに供給する電力を貯蔵しておくためのバッテリ用電槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ハイブリッド車または電気自動車には、動力源としての電動機が搭載されているとともに、照明装置、ワイパー、スタータモータなどを含む補機が搭載されており、これらの電動機または補機に対して、バッテリから電力が供給される。このバッテリは電気エネルギを化学エネルギに変換して貯蔵するとともに、必要に応じて電気エネルギを取り出すことが可能であり、このバッテリは、電解液および極板ならびにセパレータを有する電槽を備えている。
【0003】
ところで、バッテリは放電・充電により発熱が生じるとともに、電槽を液密に密封しているために、電槽の内部温度が上昇し易い。すると、発電要素の劣化や性能低下が生じたり、内圧が高まって電槽本体の強度が低下する可能性もある。そこで、電槽内部の熱を外部に放熱するために、電槽の外表面に放熱フィンを形成した発明の一例が特開平9−199093号公報に記載されている。
【0004】
この公報に記載されたバッテリ用電槽は、合成樹脂または金属からなる電槽本体と、電槽本体の外表面に対して接着剤を介して接合された放熱部材とを備えており、この放熱部材には、放熱部材の厚さ方向に突出した複数の突条部が、電槽本体の外表面に沿って並設されている。そして、各突条部同士の間には凹部が形成されている。この公報に記載されたバッテリ用電槽によれば、突条部同士の間に形成された放熱路に空気を流通することにより、強制対流により放熱がおこなわれるるとともに、突条部により電槽本体の放熱面積が増大されて放熱効率が高められ、温度上昇による問題を防止できるものとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報によれば、各突条部同士の間に形成されている放熱面の形状がほぼ矩形であるために、電槽全体として肉厚が平面方向においてほぼ均一になっている。この公報に記載された発明において、内圧の上昇に対する電槽の厚さ方向の強度を向上させるためには、電槽全体の肉厚を増加することも考えられる。しかしながら、この構成を採用した場合には、電槽が重量化するとともに、放熱フィンに各突条部同士の間における熱抵抗が高まり、バッテリの冷却性能が悪化する。また、各突条部の基端部がほぼ直角に形成されているため、放熱路を通過する空気流に澱みが生じ、冷却性能上、不利であった。
【0006】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、冷却機能を損なうことなく強度を向上させ、かつ、軽量なバッテリ用電槽を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するためこの発明は、蓄電機能を有する発電要素を収容し、かつ、両端を保持部材により保持された電槽本体と、この電槽本体の外側に一方の保持部材側から他方の保持部材側に向けて配置され複数の放熱フィンと、各放熱フィンの間に形成された凹部とを有するバッテリ用電槽において、前記電槽本体自体に前記放熱フィンおよび前記凹部が形成されており、前記電槽本体における前記凹部に臨む領域が、前記電槽本体の内部に向けて突出する方向に湾曲されて湾曲面を形成しているとともに、前記湾曲面のほぼ中央で前記電槽本体の厚さ方向の肉厚が最も薄い構成であることを特徴とするものである。
【0008】
したがって、この発明によれば、湾曲面により放熱フィンの基端部側の断面積が拡大されて熱抵抗が小さくなるため、電槽の内部から電槽を介して外部に伝導される熱通過量(熱貫流量)が増加する。また、湾曲面が形成されているため、凹部に冷却流を発生させた場合に、冷却流の澱みが抑制される。さらに、電槽本体の内部の温度上昇により電槽本体の内圧が上昇すると、電槽本体の両端が保持されているため、電槽本体に対して厚さ方向に作用する荷重の一部が、湾曲面に沿う方向の成分に変換される。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図1はバッテリ(組電池)1の部分的な平面図、図2は図1の部分的な拡大図、図3はバッテリ1の全体構成を示す平面図、図4は図3の側面図である。バッテリ1は、複数の電槽(セル)2と、これらの電槽2の配列方向の両端に配置された2枚のエンドプレート3と、各電槽2の両側を挟持するように配置され、かつ、エンドプレート3に対してボルト4により固定された拘束バンド(保持部材)5とを有する。このエンドプレート3は、例えばアルミニウム、鉄などの金属材料により構成され、拘束バンド5は、例えば鉄などの金属材料により構成されている。
【0010】
前記各電槽2の電槽本体6は熱伝導率の低い合成樹脂材料、例えばポリプロピレン樹脂などにより構成されている。具体的には電槽本体6はほぼ長方形の底板7と、底板7の2つの長辺に立設された側板8と、底板7の2つの短辺に立設され、かつ、側板8の長手方向の両端同士を接続した接続板9とを有する。このようにして、電槽本体6の平面的な外周形状がほぼ長方形に構成されている。そして、電槽本体6の内部には電解液、陰極板、陽極板などの発電要素(図示せず)が収納され、電槽本体6の開口部が、蓋10により液密に密閉されている。
【0011】
さらに、各電槽2は、幅方向に直列に配列された、いわゆる積層型の電槽であり、各電槽2の側板8同士が当接されている。そして、電槽2の長手方向の両端、つまり各接続板9に対して拘束バンド5が当接されている。このようにして、拘束バンド5により、各電槽2における長手方向の相対移動が規制されている。また、エンドプレート3により、拘束バンド5同士の間隔(電槽2の長手方向の間隔)が設定されている。
【0012】
一方、各側板8の外側にはその長手方向に沿って所定間隔おきに放熱フィン11が複数形成されている。すなわち、各放熱フィン11は側板8の厚さ方向に突出しており、各放熱フィン11同士の間には凹部12が形成されている。そして、各放熱フィン11同士の間における凹部12に臨む領域には、アーチ形に湾曲された湾曲面(言い換えれば円弧面)13がそれぞれ形成されている。各湾曲面13は、電槽本体6の内部に向けて突出する方向に湾曲している。さらに、各電槽本体6の長手方向における各放熱フィン11および各凹部12ならびに各湾曲面13の配置位置が同一に設定されている。
【0013】
上記構成に加えて、隣接する電槽本体6同士の各放熱フィン11の先端同士が当接し、隣接する電槽本体6同士の湾曲面13が対面している。そして、隣接する電槽本体6同士の凹部12同士の間に通気路A1が形成されている。つまり、通気路A1は電槽本体6の深さ方向に形成されている。なお、各電槽2の配列方向の両端に位置する電槽2は、その放熱フィン11の先端がエンドプレート3に当接し、エンドプレート3と凹部12との間に通気路B1が形成されている。さらに、各電槽2には正極端子および負極端子(いずれも図示せず)が取り付けられている。そして、これらの端子が発電機もしくは補機に接続され、かつ、接地されている。なお、バッテリ1の近傍には、通気路A1,B1に空気を強制的に送り込むファン(図示せず)が設けられている。
【0014】
上記構成のバッテリ1においては、発電機により発電された電気エネルギが化学エネルギに変換されて貯蔵されるとともに、必要に応じて電気エネルギとして取り出し、電気機器に供給される。そして、電槽2は、その充電・放電により発熱するとともに、電槽2の内部の熱が電槽本体6を通過して外部に放熱される。ここで、ファンにより通気路A1,B1に対して空気が送り込まれており、電槽2が強制対流により冷却される。
【0015】
以下、電槽2における伝熱状態を具体的に説明する。まず、電槽2の内部から側板8に対して熱Qが伝達される。すると、図5に示すように、電槽本体6において肉厚が最も厚い各放熱フィン11に対応する領域の熱は、矢印q1で示すように、側板8の内面8Aに対してほぼ直交して放熱フィン11側に伝導され、通気路A1,B1に放熱される。さらにまた、電槽本体6で肉厚が最も薄い湾曲面13のほぼ中央に対応する領域の熱は、矢印q2で示すように、内面8Aに対してほぼ直交して湾曲面13側に伝導され、通気路A1,B1に放熱される。
【0016】
ところで、放熱フィン11以外の領域と、放熱フィン11に相当する領域との間には、湾曲面13が形成されていることにより、放熱フィン11以外の領域と、放熱フィン11に相当する領域とを接続する熱伝導領域E1が形成されている。言い換えれば、内面8Aと平行な平面方向の断面積(熱伝導面積)が可及的に拡大されている。このため、放熱フィン11以外の領域と、放熱フィン11に相当する領域との間の熱が、矢印q3で示すように放熱フィン11側に誘導されて電槽2の熱抵抗が小さくなり、電槽2の熱通過量(熱貫流量)が多くなり、放熱フィン11による放熱作用が促進される。さらにまた、凹部12に面して湾曲面13が配置されているため、通気路A1,B1を通過する冷却流(空気)の澱みが抑制される。上記の作用により、電槽2の冷却性能が向上する。
【0017】
つぎに、電槽2の強度について説明する。電槽2の内部温度の上昇にともない、側板8の内面8Aに対して、図2のように内圧P1が作用する。しかしながら、電槽本体6には湾曲面13が形成されて、かつ、電槽本体6の長手方向の両端が拘束バンド5により挟持されているため、内圧P1に対応する荷重が、側板8の内部において厚さ方向成分C1と水平方向成分D1とに分散される。つまり、側板8の内部に水平方向成分D1同士による圧縮荷重が発生し、厚さ方向成分C1の荷重(鉛直荷重)が弱められる。このようにして、電槽本体6の厚さ方向(図2の上下方向)の耐圧強度が向上する。また、電槽2の肉厚を抑制してバッテリ1の軽量化を図ることができる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、湾曲面により放熱フィンの基端部側の断面積が拡大されて熱抵抗が小さくなるため、電槽の内部から電槽を介して外部に伝導される熱通過量(熱貫流量)が増加する。また、湾曲面が形成されているため、凹部に冷却流を発生させた場合に、冷却流の澱みが抑制される。したがって、電槽の冷却機能が向上する。
【0019】
さらに、電槽本体の内部の温度上昇により電槽本体の内圧が上昇すると、電槽本体の両端が保持されているため、電槽本体に対して厚さ方向に作用する荷重の一部が、湾曲面に沿う方向の成分に変換される。言い換えれば、電槽本体の内部で長手方向の圧縮荷重が発生する。したがって、電槽本体の内部における厚さ方向の荷重が、湾曲面に沿う方向の荷重により弱められ、厚さ方向の耐圧強度が向上する。その結果、電槽の肉厚が抑制されバッテリの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のバッテリ用電槽の部分的な平面図である。
【図2】 図1に示すバッテリ用電槽の拡大平面図である。
【図3】 図1に示すバッテリ用電槽の全体的な平面図である。
【図4】 図3に示すバッテリ用電槽の全体的な平面図である。
【図5】 図2に示すバッテリ用電槽の拡大平面図である。
【符号の説明】
1…バッテリ、 2…電槽、 5…拘束バンド、 6…電槽本体、 11…放熱フィン、 13…湾曲面。
Claims (1)
- 蓄電機能を有する発電要素を収容し、かつ、両端を保持部材により保持された電槽本体と、この電槽本体の外側に一方の保持部材側から他方の保持部材側に向けて配置された複数の放熱フィンと、各放熱フィンの間に形成された凹部とを有するバッテリ用電槽において、
前記電槽本体自体に前記放熱フィンおよび前記凹部が形成されており、前記電槽本体における前記凹部に臨む領域が、前記電槽本体の内部に向けて突出する方向に湾曲されて湾曲面を形成しているとともに、前記湾曲面のほぼ中央で前記電槽本体の厚さ方向の肉厚が最も薄い構成であることを特徴とするバッテリ用電槽。
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