〈実施例1〉
図1は、本発明に係るメモリーシートシステム及びキーレスエントリーシステムを備える自動車の回路構成の一部を概略的に示す。
本発明に係るメモリーシートシステム10は、図1に示すように、キーレスエントリーシステム11に関連して自動車のような車両12に組み込まれる。
キーレスエントリーシステム11は、従来よく知られているように、例えば、車両12のドアの施錠及び解錠のための各操作ボタン13a、13bが設けられた複数のリモートコントローラ14(図1にはその一台が示されている。)と、該リモートコントローラからの無線信号を受信可能の制御回路15とを備える。各リモートコントローラ14は、操作ボタン13a、13bが操作されたときに該操作ボタンに応じたドア施錠制御信号あるいはドア解錠制御信号と共に、各リモートコントローラ14に与えられた固有の識別信号であるID信号を制御回路15に出力する。
キーレスエントリーシステム11には、従来よく知られているように、各リモートコントローラ14のようなインテリジェントキー毎に付与されたID信号情報が予め記憶されている。制御回路15は、リモートコントローラ14からのID信号を受信すると、受信したID信号をキーレスエントリーシステム11に記憶されたそれぞれのID情報と照合することにより、受信したID信号を識別する。受信したID信号の識別により、受信したID信号が予め記憶されたID信号のうちの一つであると判断されると、制御回路15は、車両12の各ドアに設けられたドアアクチュエータ16を作動させ、これにより各ドアの施錠あるいは解錠状態を相互に切り換える。従って、図示しないキーをドアの鍵穴に差し込むことなく、またそのキー操作をすることなく、各ドアの施錠あるいは解錠状態を相互に切り換えることができる。
また、制御回路15は、従来よく知られているように、インテリジェントカードのようなインテリジェントキー(図示せず)と相互に交信可能である。制御回路15は、前記インテリジェントキーに付与された固有の識別情報を示す前記したようなID信号の受信状態下で、各ドアの操作ハンドルに組み込まれたロック・アンロックリクエストスイッチ17が人手により触れられると、このスイッチ操作によって、ドアアクチュエータ16を作動させる。これにより、前記したと同様に、図示しないキーをドアの鍵穴に差し込むことなく、またそのキー操作をすることなく、各ドアの施錠及び解錠の各状態が切り換えられる。
さらに、制御回路15は、リモートコントローラ14あるいは前記インテリジェントキーから予め記憶された固有のID信号を受信すると、その固有ID情報をメモリーシートシステム10に出力する。
制御回路15からのID情報を受けるメモリーシートシステム10は、運転席シート18の他、ステアリング角度、ミラー角度及び操作ペダルのような運転操作に関連する各可動部の位置あるいは姿勢を調整するためのアクチュエータ19と、各アクチュエータ19の作動を制御するためのメモリーシートコントローラ20とを備える。メモリーシートコントローラ20には、前記した固有のID信号毎に、それぞれの運転席シート18等の前記各可動部の位置あるいは姿勢についてのポジション情報が記憶されており、該各メモリーポジジョン情報は各ID信号に対応付けて記憶されている。このメモリーシートコントローラ20に記憶されたメモリーポジション情報と、各アクチュエータ19からの制御対象の状態を示す状態信号とに基づいて、運転席シート18については、例えば、その前後位置、高さ位置あるいは背もたれ角度が、ID信号毎に記憶された各状態に設定可能であり、その他の可動部についても、同様にID信号毎に記憶された各状態に設定可能である。
メモリーシートコントローラ20にID信号毎のメモリーポジションを記憶し、また手動操作で運転席シート18等の各メモリーポジションを再生するために、従来よく知られたメモリースイッチ21(21a〜21d)が車室内に設けられている。
前記各メモリーポジションは、前記したリモートコントローラ14のID情報毎に、メモリースイッチ21のそれぞれの操作部21a〜21cに割り当てることができる。例えば、それぞれのリモートコントローラ14を所持する者毎にメモリースイッチ21の操作部21a〜21cを選択的に押圧することにより、該各操作部を指定し、前記各可動部の位置あるいは姿勢を調整した後、セット操作部21dを操作することにより、各操作部21a〜21cに対応してそれぞれのID情報毎のメモリーポジジョンを記憶することができる。従って、メモリースイッチ21の手動操作によって各操作部21a〜21cを選択操作することで、それぞれのメモリースイッチ21a〜21cに割り当てられたID情報に対応するメモリーポジションの再生が可能となる。
また、メモリーシートコントローラ20は、該メモリーシートコントローラが制御回路15からの前記ID信号と、各ドアに設けられたロック・アンロックリクエストスイッチ17のうちの運転席ドアに設けられたロック・アンロックリクエストスイッチ17からの操作信号を受けると、メモリースイッチ21を手動操作することなく、アクチュエータ19の作動を制御することにより、運転席シート18等の各可動部の前記ID信号に対応したメモリーポジションを再生する。
図示の例では、オーディオ装置22及びエアコン装置23には、各ID情報毎に設定された各好みの作動状態で作動させるために、制御回路15から前記した固有のID情報を受け、またメモリースイッチ21からメモり信号選択信号を受ける。従って、前記した運転席シート18等のメモリーポジションの再生と同様に、例えばメモリースイッチ21を操作することにより、操作された操作部21a〜21cに対応するID情報に対応して予め記憶されたID情報毎の好みの作動状態を再現することができる。
前記メモリーシートシステム10では、前記したように、前記リモートコントローラ14の操作ボタン13a、13bの押圧操作によってドアの解錠操作が可能であり、あるいは前記インテリジェントキーを所持した乗員によるロック・アンロックリクエストスイッチ17への接触によってドアの解錠操作が可能である。このような解錠操作が行われると、メモリーシートコントローラ20は制御回路15からの固有ID信号を受け、また、運転席シート18等の前記各可動部をその固有ID信号に対応したメモリーポジションに再生する。また、オーディオ装置22及びエアコン装置23は、固有のID信号に対応して予め設定された好みの状態で作動される。
従って、解錠操作をした者が車両12の運転のために運転席に着座する限り、メモリーシートシステム10は、運転席シート18等の各可動部を確実に運転者に最適な状態に設定し、オーディオ装置22及びエアコン装置23等の付属装置を予め設定された各運転者の好みの状態で作動させることから、メモリーシートシステム10の前記したメモリーポジションの再生が誤動作となることはない。
ところが、解錠操作をした者が運転者として運転席シートに着座することなく、この解錠操作の後に、解錠操作者と異なる他の者が運転者として運転席シートに着座する場合、運転席シート18等の各操作部は解錠操作者のメモリーポジションに再生されてしまうことから、結果的に、メモリーシートシステム10は、解錠操作者が運転者であるとの誤判定を生じることとなる。
このような誤判定によって運転席シート18等の各操作部が運転者のメモリーポジションと異なるメモリーポジションに再生されてしまった場合であっても、メモリースイッチ21の操作により運転席シート18等の各操作部について運転席シート18に着座する運転者のメモリーポジションを再生することができる。
しかしながら、本発明に係るメモリーシートシステム10のメモリーシートコントローラ20では、このような誤判定に起因するメモリースイッチ21の操作の機会を少なくし、これにより、メモリースイッチ21の操作による煩わしさを軽減するために、さらに、制御回路15からの前記ID信号と、車両のドア情報とに基づいて、運転席シート18等の各可動部のメモリーポジションの自動再生が制御される。
すなわち、本発明に係るメモリーシートシステム10のメモリーシートコントローラ20は、各ドアに設けられそれぞれのドアの開閉状態を検出するドアスイッチ24a〜24dから各ドア情報信号を受ける。各ドアが開放状態にあるか閉鎖状態にあるかについてのドア情報信号は、運転席シート18等のメモリーポジションの再生と同様に、オーディオ装置22及びエアコン装置23を予め設定された好みの状態で作動させるために、これらオーディオ装置22及びエアコン装置23へも出力される。
ドアスイッチ24aは、例えば運転席ドアの開閉状態を検出するために運転席ドアに設けられ、ドアスイッチ24bは、助手席ドアの開閉状態を検出するために助手席ドアに設けられ、他の2つのドアスイッチ24c及び24dは、左右のリアドアの開閉状態を検出するためにそれぞれのリアドアに設けられる。
本発明に係るメモリーシートシステム10では、前記リモートコントローラ14の操作ボタン13bの操作あるいは前記インテリジェントキーを所持した乗員によるロック・アンロックリクエストスイッチ17への接触によって解錠操作が行われると、メモリーシートコントローラ20は、前記したように、運転席シート18等の前記各可動部のメモリーポジションへの再生を開始する。しかしながら、メモリーシートコントローラ20は、各ドアスイッチ24a〜24dから入力するドア開閉情報に基づいて、メモリーシートポジションの再生開始後に最初に開放されたドアが運転席ドアではないと判断すると、すなわち最初に開放されたドアが運転席ドア以外のドアであると判断すると、運転席シート18等のメモリーポジションへの再生を中止して元ポジションに復帰させ、あるいは再生を完了した運転席シート18等をそれぞれの元ポジションに復帰させる。
本発明に係るメモリーシートシステム10及びキーレスエントリーシステム11の前記した動作を図2に示すフローチャート110に沿って説明する。
前記したインテリジェントキーを用いたインテリジェントシステムあるいはキーレスエントリーシステムの制御回路15は、リモートコントローラ14からドア解錠制御信号と共に予め記憶された固有の識別信号に一致するID信号を受信しているか否かを判定する(ステップS10)。
制御回路15は、受信した固有のID信号が予め記録されたそれに一致すると判定すると、その固有のID信号を前記したようにメモリーシートコントローラ20と、オーディオ装置22及びエアコン装置23のような付属機器とに出力する。メモリーシートコントローラ20は、制御回路15から入力する前記ID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたID信号であるか否かを判定する(ステップS11)。
メモリーシートコントローラ20に入力したID信号がいずれかの操作部21a〜21cに対応すると判定されると、メモリーシートコントローラ20は、各アクチュエータ19から供給される状態検出信号を用いて、運転席シート18等の各可動操作部がメモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションにあるか否かを判定する(ステップS12)。
メモリーシートコントローラ20は、運転席シート18等の各可動操作部が入力したID信号のメモリーポジションにない場合、すなわち現在のシートポジション等が入力したID信号のメモリーポジションと異なる場合、要求されたメモリーポジションである前記ID信号に対応するメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動が開始され、これにより要求されたメモリーポジションの再生が開始し、この再生が完了する(ステップS13)。
ステップS13での再生の完了後、メモリーシートコントローラ20は、各ドアスイッチ24a〜24dからのドア開閉情報により、最初に開かれたドアが運転席ドアであるか否かを判定する(ステップS14)。
最初に開かれたドアが運転席ドアであると判定されると、運転席シート18等がその再生ポジションを保持され、要求されたメモリーポジションに運転席シート18等が設定される。他方、ステップS14で、最初に開かれたドアが運転席ドア以外のドアであると判定されると、再生ポジションに在る運転席シート18等は元メモリーポジションに復帰される(ステップS15)。
ステップS13では、メモリーポジションの再生を完了することなく、その後ステップS14での判断のために再生を中断し、このステップS14での判断結果に応じて、ステップS15で中断位置から元メモリーポジションに復帰させ、あるいは中断位置からメモりポジションの再生を継続させることができる。
ステップS11で、制御回路15から入力する前記ID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたID信号以外の信号であると判定され、またステップS12で、運転席シート18等の各可動操作部がメモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションにあると判定されると、制御回路15が新たなID信号の受信を待つために、ステップS10に戻る。これと同様に、ステップS14の判断結果で再生されたメモリーポジションが保持されると、あるいはステップS15での元メモリーポジションへの復帰が完了すると、ステップS10に戻り、制御回路15が新たなID信号の受信を待つ。
また、ステップS10で、制御回路15が予め記憶された固有の識別信号に一致するID信号を受信していないと判定すると、この判定に続いて、メモリーシートコントローラ20は、メモリースイッチ21の各操作部21a〜21cが操作されたか否かを該各操作部からの操作信号の有無により判定する(ステップS16)。
ステップS16で、操作部21a〜21cが操作されていないと判定されると、ステップS10に戻り、制御回路15が新たなID信号の受信を待つ。他方、ステップS16で、操作部21a〜21cが操作されたと判定されると、メモリーシートコントローラ20により、運転席シート18等の各可動操作部が、操作された操作部21a〜21cに対応するID信号のメモリーポジションにあるか否かを判定する(ステップS17)。
ステップS17で、現在のシートポジション等が入力したID信号のメモリーポジションと異なり、そのため、要求されたメモリーポジションである前記ID信号に対応するメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動が必要であると判定された場合、要求されたメモリーポジションである前記ID信号に対応するメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動が開始され、これにより要求されたメモリーポジションの再生が完了すると、ステップS10に戻り、制御回路15が新たなID信号の受信を待つ。
他方、ステップS17で、運転席シート18等の各可動操作部がメモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションにあると判定されると、ステップS10に戻り、制御回路15が新たなID信号の受信を待つ。
前記ステップS10乃至ステップS18の前記した各ループは、図示しないが従来よく知られた例えばスリープ回路により、バッテリ等の電源が取り外されない限り、エンジンの作動あるいは作動停止の如何に拘わらず反復される。
本発明に係る実施例1のメモリーシートシステム10では、前記したように、解錠操作によってキーレスエントリーシステム11の制御回路15から得られる固有の識別情報であるID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたものであるとステップS11で判定され、また引き続くステップS12で、要求されたメモリーポジションである前記ID信号に対応するメモリーポジションへ向けての運転席シート18等の移動が必要であると判定されると、ステップS13で、要求されたメモリーポジションの再生が開始され、要求されたメモリーポジションが再生される。
ステップS13に続くステップS14の判定結果で、最初に開かれたドアが運転席ドアであると判定されると、再生されたメモリーポジションが保持されることから、運転席シート18等は解錠操作をした者に最適なメモリーポジションに設定される。
従って、この場合、解錠操作をした者が車両12の運転をするときは、メモリースイッチ21の操作を行うことなく運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。また、それ以外の者が運転をしようするときは、メモリースイッチ21の操作によって運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。
他方、ステップS14の判定結果で、最初に開かれたドアが運転席ドア以外のドアであると判定されると、運転席シート18等は再生開始前のそれぞれの元ポジションに復帰されることから、運転席シート18等は解錠操作前の元ポジションに維持されることとなる。
そのため、車両12の先の運転者以外の者が運転しようとするとき、その運転者に最適なメモリーポジションを得ようとすれば、メモリースイッチ21の操作あるいは前記各操作部の手動操作による調整操作が必要になる。
しかしながら、車両12の先の運転者が今回も引き続き運転しようとするときは、運転席シート18等が最適な状態に保持されていることから、このときに最適なメモリーポジションを得るためのメモリースイッチ21の操作は不要となる。
従って、車両12の先の運転者が今回も引き続き運転しようとするとき、他者による解錠操作が行われた場合であっても、改めて従来のようなメモリースイッチ21の操作を行う必要は無くなり、これにより運転者はメモリースイッチ21の操作の煩わしさから解放されるので、運転者の誤判定による運転席シート18等の再設定の必要性が軽減し、再設定の煩わしさを軽減することが可能となる。
〈実施例2〉
実施例1では、ステップS12で、メモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションが現在のシートポジション等と異なると判定されると、ステップS14で得られるドア情報についての判断を待つことなく、ステップS12に引き続くステップS13で、要求されたメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動が開始され、メモリーポジションの再生後、ステップS14で、再生されたメモリーポジションを元メモリーポジションへ復帰させるか否かを判定した。
これに代えて、図3に示す実施例2のフローチャート120で示すように、ドア情報に基づいて再生が必要であるか否かを判断し(ステップS23)、メモリーポジションの再生が必要であるとの判定結果が得られたときに初めて、要求されたメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動を開始する(ステップS24)ことができる。
フローチャート120では、ステップS10と同様なステップS20で、制御回路15が予め記憶された固有の識別信号に一致するID信号を受信しているか否かを判定する。
受信した固有のID信号が予め記録されたそれに一致すると判定されると、前記したように固有のID信号がメモリーシートコントローラ20に出力される。メモリーシートコントローラ20は、このID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたID信号であると判断し(ステップS21)、前記したステップ12と同様なステップS22で、メモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションが現在のシートポジション等と異なると判定すると、入力したID信号のメモリーポジションの再生に先立って、ステップS22に引き続くステップS23で、ステップ14におけると同様に、ドア情報について判断する。メモリーシートコントローラ20は、この判断に基づいて、メモリーポジションの再生を実行する。
従って、フローチャート120で示す実施例2によれば、実施例1で示した再生されたメモリーポジションから元メモリーポジションへの復帰ステップS15が不要となり、メモリーシートシステム10の構成の簡素化が可能となる。
なお、ステップS20で、制御回路15が予め記憶された固有の識別信号に一致するID信号を受信していないと判定すると、ステップS16と同様なステップS25で、メモリーコントローラ20は、メモリースイッチ21の各操作部21a〜21cが操作されたか否かを該各操作部からの操作信号の有無により判定する。操作部21a〜21cが操作されていないと判定されると、実施例1におけると同様に、新たなID信号の受信を待つために、ステップS20に戻る。また、ステップS25で、操作部21a〜21cが操作されたと判定されると、ステップS17と同様なステップS26で、運転席シート18等の各可動操作部が、操作された操作部21a〜21cに対応するID信号のメモリーポジションに在るか否かを判定される。実施例1におけると同様に、在りとの判定結果が得られたときはステップS20に戻り、否との判断結果が得られたときは、ステップS18と同様なステップS27でメモリーポジションの再生が実行され、その後、新たなID信号の受信を待つために、ステップS20に戻る。
〈実施例3〉
実施例1及び実施例2は、共に施錠操作後に初めに開かれるドア情報に基づいて、メモリーポジションの再生を行うか否かを判定した例を示した。
図4に示す実施例3では、車両12の各ドアの施錠あるいは解錠のために各ドアに設けられたドアロック・アンロックリクエストスイッチ17(図1参照)からの情報に基づいて、メモリーポジションの再生を行うか否かを判定する例を示す。
図4に示すフローチャート130は、図1に示した制御回路15との交信によって固有のID信号を送出するインテリジェントキーを用いたインテリジェントキーシステムの例であり、制御回路15が前記インテリジェントキーから該インテリジェントキーに付与された識別信号であるID信号を受信しているか否かを判定する(ステップS30)。
受信している固有のID信号が予め記録されたそれに一致すると判定されると、前記したように固有のID信号がメモリーシートコントローラ20に出力される。
実施例3を示すフローチャート130では、フローチャート120のステップS21と同様なステップS31で、メモリーシートコントローラ20は、このID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたID信号であると判断すると、前記したステップ22と同様なステップS32で、メモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションが現在のシートポジション等と異なるか否かを判定する。異なると判定されると、続くステップS33で、車両12のドアの解錠のための操作が運転席ドアで行われたか否かを各ドアに設けられた前記リクエストスイッチ17からの信号により判定する。
メモリシートコントローラ20は、運転席ドアに設けられた前記リクエストスイッチ17からの信号であると判定すると、初めに運転席ドアが開放されると判断し、この判断に基づいて、前記したステップ24におけると同様なステップS34でメモリーポジションの再生を実行する。
従って、フローチャート130で示す実施例3によれば、実施例2で示した最初に開くドアが運転席ドアであるか否かの判定に代えて、運転席ドアに設けられた前記ドアリクエストスイッチ17で解錠操作されたか否かが判定され、この判定結果によって、メモリーポジションの再生を行うか否かが決定される。これにより、最初に解錠操作したものが運転席ドア以外を操作したときのメモリーポジションの再生が防止され、先の運転者によるメモリースイッチ21の操作なしに、従って、このメモリースイッチ21の操作による煩わしさを伴うことなく、当該運転者に最適なシートポジション等が得られる。
なお、メモリーシートコントローラ20が、受信した固有ID信号がメモリースイッチ17に関連付けられていないとステップS31で判定したとき、あるいはステップS32でID信号のメモリーポジションが現在のシートポジション等と異ならないと判定した時等では、実施例2におけると同様に、新たなID信号の受信を待つために、ステップS30に戻る。
また、ステップS30で、制御回路15が予め記憶された固有の識別信号に一致するID信号を受信していないと判定すると、制御回路15は、ステップS25と同様なステップS35で、メモリースイッチ21の各操作部21a〜21cが操作されたか否かを該各操作部からの操作信号の有無により判定する。操作部21a〜21cが操作されていないと判定されると、新たなID信号の受信を待つために、ステップS30に戻る。ステップS35で、操作部21a〜21cが操作されたと判定されると、ステップ26と同様なステップS36で、運転席シート18等の各可動操作部が、操作された操作部21a〜21cに対応するID信号のメモリーポジションに在るか否かを判定される。在りとの判断結果が得られたときはステップS30に戻り、否との判断結果が得られたときは、ステップS27と同様なステップS37でメモリーポジションの再生が実行され、その後、新たなID信号の受信を待つために、ステップS30に戻る。ステップ32の判定内容を除くこれら各ステップの流れは、基本的に、実施例2におけると同様である。
〈実施例4〉
実施例3は、ドアロック・アンロックリクエストスイッチ17(図1参照)からの情報に基づいて、メモリーポジションの再生を行うか否かを判定する例を示した。
図5に示す実施例4は、車両12の運転席ドアが開放されかつ図1に示した制御回路15がインテリジェントキーから予め記憶されたID信号を受信するとき、このID信号の発信源であるインテリジェントキーが運転席ドアの近傍に在るか否かに基づいて、運転シート18等の再生を行うか否かを判定する例である。
図5に示すフローチャート140は、実施例3におけると同様、図1に示した制御回路15との交信によって固有のID信号を送出するインテリジェントキーを用いたインテリジェントキーシステムの例である。
フローチャート140に示す実施例では、制御回路15またはメモリーシートコントローラ20は、車両12の運転席ドアに設けられた例えばドアスイッチ24aからのドア情報信号により、すなわちドア信号の有無により、運転席ドアが開いているか否かを判定する(ステップS40)。
運転席ドアが開いていると判定されると、制御回路15は、前記インテリジェントキーとの交信によって該インテリジェントキーから受信するID信号が予め記憶された識別信号に一致するID信号であるか否かを判定するとともに、ID信号の発信源の位置が運転席ドアの近傍にあるか否かを判定する(ステップS41)。
ステップS41の判定は、例えば各ドアに設けられたアンテナで受信されるID信号の強度の比較あるいは運転席ドアから所定の距離範囲に発信源があるか否かの判断に基づいて行うことができる。ID信号の発信源の位置が運転席ドアの近傍にあると判定されると、メモリーコントローラ20は、このID信号がメモリースイッチ21の操作部21a〜21cに関連付けられたID信号であるが否かを判定する(ステップS42)。
関連付けがあると判定されると、メモリーコントローラ20は、続いてメモリーシートコントローラ20に入力したID信号のメモリーポジションが現在のシートポジション等と異なるか否かを判定する(ステップS43)。異なると判定されると、この判定に基づいて、引き続くステップS44でメモリーポジションの再生が実行される。
ステップS40、41及び43の各ステップの判定で、否の判定が下されると、ステップS45で、メモリースイッチ21の各操作部21a〜21cが操作されたか否かを該各操作部からの操作信号の有無により判定する。操作部21a〜21cが操作されていないと判定されると、新たなID信号の受信を待つために、ステップS40に戻る。ステップS45で、操作部21a〜21cが操作されたと判定されると、ステップ36と同様なステップS46で、運転席シート18等の各可動操作部が、操作された操作部21a〜21cに対応するID信号のメモリーポジションに在るか否かを判定される。在りとの判断結果が得られたときはステップS40に戻り、否との判断結果が得られたときは、ステップS37と同様なステップS47でメモリーポジションの再生が実行され、その後、新たなID信号の受信を待つために、ステップS40に戻る。ステップ45、46及び47からステップS40に戻る流れは、実施例3におけると同様である。
フローチャート140に示す実施例4によれば、前記したように、車両12の運転席ドアが開かれかつ前記インテリジェントキーシステムの制御回路15が受信する固有のID信号の発信源が運転席ドア近傍であると判定されたときに、前記インテリジェントキーシステムが受信する前記ID信号に対応したメモリーポジションが再生され、それ以外の状況下では、メモリーポジションの再生すなわち変更が防止され、元メモリーポジションが維持される。
従って、前記運転席ドアが開かれかつ前記インテリジェントキーシステムが受信する固有のID信号の発信源が運転席ドア近傍であるときは、そのID信号に該当する前記インテリジェントキーを所持する者が運転席シート18に座ると判断することができるので、その固有ID信号に対応するメモリーポジションの再生が許される。その結果、運転者は当該運転者用にメモリーポジションが設定された運転席シート18に座ることができるので、改めてメモリースイッチ21の操作をすることなく、最適なメモリーポジションを得ることができる。
また、例えばインテリジェントキーを所持する運転者でない者がバックドアを操作したときは、メモリーポジションの再生すなわち変更が防止され、元メモリーポジションが維持される。従って、前記したと同様に、メモリーポジションへの変更を防止することができるので、先の運転者が引き続き運転する場合、メモリーポジションの再生操作の煩わしさから、運転者が解放される。
〈実施例5〉
図6に示すフローチャート150の実施例5は、基本的に、実施例1と実施例4との組み合わせを示す。
図6の符号110′で指し示されるブロック内の各ステップS10〜S15は、実施例1を示す図2のフローチャート110の主要ステップを構成する各ステップS10〜S15と同一である。また、符号140で指し示されるブロック内の各ステップS40〜S47は、実施例4を示す図5のフローチャート140を構成する各ステップS40〜S47と同一である。
両実施例1及び4の組み合わせによるフローチャート150の実施例5によれば、ステップS10〜ステップS15により、実施例1におけると同様に、制御回路15からの前記ID信号と、車両12のドア情報とに基づいて、運転席シート18等の各可動部のメモリーポジションの自動再生が制御される。また、ステップS40〜ステップS47により、実施例4におけると同様に、車両12の運転席ドア情報と、ID信号の発信源が運転席ドアの近傍に在るか否かの所在情報に基づいて、運転シート18等の自動再生が制御される。
従って、実施例1におけると同様に、解錠操作をした者が車両12の運転をするときは、メモリースイッチ21の操作を行うことなく運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。また、それ以外の者が運転をしようするときは、メモリースイッチ21の操作によって運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。
他方、ステップS14の判定結果で、最初に開かれたドアが運転席ドア以外のドアであると判定されると、運転席シート18等はそれぞれの元ポジションに復帰されることにより、運転席シート18等は解錠操作前の元ポジションに維持される。従って、車両12の先の運転者が今回も引き続き運転しようとするときは、他者による解錠操作が行われた場合であっても、改めて従来のようなメモリースイッチ21の操作を行う必要は無くなり、これにより運転者はメモリースイッチ21の操作の煩わしさから解放されるので、運転者の誤判定による運転席シート18等の再設定の必要性が軽減し、再設定の煩わしさを軽減することが可能となる。
さらに、実施例4におけると同様に、前記運転席ドアが開かれかつ前記インテリジェントキーシステムが受信する固有のID信号の発信源が運転席ドア近傍であるときは、そのID信号に該当する前記インテリジェントキーを所持する者が運転席シート18に座る限り、メモリースイッチ21の操作をすることなく、最適なメモリーポジションを得ることができる。
また、例えばインテリジェントキーを所持する運転者でない者がバックドアを操作したときは、メモリーポジションの再生すなわち変更が防止されるので、元メモリーポジションが維持されることから、先の運転者が引き続き運転する場合、メモリーポジションの再生操作の煩わしさから、運転者が解放される。
〈実施例6〉
図7に示すフローチャート160の実施例6は、基本的に、実施例2と実施例4との組み合わせを示す。
図7の符号120′で指し示されるブロック内の各ステップS20〜S24は、実施例2を示す図3のフローチャート120の主要ステップを構成する各ステップS20〜S24と同一である。また、符号140で指し示されるブロック内の各ステップS40〜S47は、実施例4を示す図5のフローチャート140を構成する各ステップS40〜S47と同一である。
両実施例2及び4の組み合わせによるフローチャート160の実施例6によれば、ステップS20〜ステップS24により、制御回路15からの前記ID信号と、車両12のドア情報とに基づいて、運転席シート18等の各可動部のメモリーポジションの自動再生が制御される。また、ステップS40〜ステップS47により、車両12の運転席ドア情報と、ID信号の発信源が運転席ドアの近傍に在るか否かの所在情報に基づいて、運転シート18等の自動再生が制御される。
従って、実施例1におけると同様に、解錠操作をした者が車両12の運転をするときは、メモリースイッチ21の操作を行うことなく運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。また、それ以外の者が運転をしようするときは、メモリースイッチ21の操作によって運転席シート18等の各操作部に最適なメモリーポジションが得られる。
他方、ステップS23の判定結果で、最初に開かれたドアが運転席ドア以外のドアであると判定されると、運転席シート18等は解錠操作前の元ポジションに維持されることから、車両12の先の運転者が今回も引き続き運転しようとするときは、他者による解錠操作が行われた場合であっても、改めて従来のようなメモリースイッチ21の操作を行う必要は無くなり、これにより運転者はメモリースイッチ21の操作の煩わしさから解放されるので、運転者の誤判定による運転席シート18等の再設定の必要性が軽減し、再設定の煩わしさを軽減することが可能となる。
この例では、実施例2におけると同様に、ステップS20〜ステップS24により、ドア情報について判断し(ステップS23)、この判断によってメモリーポジションの再生が必要であるとの判定結果が得られたときに初めて、要求されたメモリーポジションへ向けて運転席シート18等の移動を開始する(ステップS24)ことができるので、メモリーポジションの再生の中止及び中止後の元メモリーポジションへの復帰ステップS16が不要となり、メモリーシートシステム10の構成の簡素化が可能となる。
また、各ステップS40〜S47の実行により、実施例4におけると同様に、前記運転席ドアが開かれかつ前記インテリジェントキーシステムが受信する固有のID信号の発信源が運転席ドア近傍であるときは、そのID信号に該当する前記インテリジェントキーを所持する者が運転席シート18に座る限り、メモリースイッチ21の操作をすることなく、最適なメモリーポジションを得ることができる。
また、例えばインテリジェントキーを所持する運転者でない者がバックドアを操作したときは、メモリーポジションの再生すなわち変更が防止されるので、元メモリーポジションが維持されることから、先の運転者が引き続き運転する場合、メモリーポジションの再生操作の煩わしさから、運転者が解放される。
〈実施例7〉
図8に示すフローチャート170の実施例7は、基本的に、実施例3と実施例4との組み合わせを示す。
図8の符号130′で指し示されるブロック内の各ステップS30〜S34は、実施例3を示す図4のフローチャート130の主要ステップを構成する各ステップS30〜S34と同一である。また、符号140で指し示されるブロック内の各ステップS40〜S47は、実施例4を示す図5のフローチャート140を構成する各ステップS40〜S47と同一である。
両実施例3及び4の組み合わせによるフローチャート170の実施例7によれば、ステップS30〜ステップS34により、車両12の各ドアの施錠あるいは解錠のために各ドアに設けられたドアロック・アンロックリクエストスイッチ17からの情報に基づいて、運転席シート18等の各可動部のメモリーポジションの自動再生が制御される。また、ステップS40〜ステップS47により、車両12の運転席ドア情報と、ID信号の発信源が運転席ドアの近傍に在るか否かの所在情報に基づいて、運転シート18等の自動再生が制御される。
従って、実施例3におけると同様に、運転席ドアに設けられたドアリクエストスイッチ17で解錠操作されたか否かを判定することにより、メモリーポジションの再生を行うか否かが判定される。これにより、最初に解錠操作したものが運転席ドア以外を操作したときのメモリーポジションの再生が防止され、先の運転者によるメモリースイッチ21の操作なしに、従って、このメモリースイッチ21の操作による煩わしさを伴うことなく、当該運転者に最適なシートポジション等が得られる。
また、実施例4におけると同様に、例えばインテリジェントキーを所持する運転者でない者がバックドアを操作したときは、メモリーポジションの再生すなわち変更が防止されるので、元メモリーポジションが維持されることから、先の運転者が引き続き運転する場合、運転者をメモリーポジションの再生操作の煩わしさから解放することができる。
前記したところでは、運転席シート18の他、ステアリングホイール、ミラー、ペダルのような運転操作に関連する可動部あるいはオーディオ装置22及びエアコン装置23等の付属装置の自動設定にメモリーシートシステム10を適用した例を説明したが、本発明は、車両の運転操作に関連するこれら以外の種々の可動部あるいは付属装置の自動設定に適用可能である。また、本発明は、運転席シート18のみを制御対象とし、その他の制御対象を不要とすることができる。