JP4357110B2 - ハニカムフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガス中のパティキュレート等を除去するフィルタとして用いられるハニカムフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
この排気ガスを多孔質セラミックを通過させるたとにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するハニカムフィルタが種々提案されている。
【0003】
このようなハニカムフィルタは、通常、図1に示したハニカムフィルタ10のように、炭化珪素等からなる多孔質セラミック部材30が複数個結束されてセラミックブロック15を構成し、このセラミックブロック15の周囲にシール材層12が形成されている。また、この多孔質セラミック部材30は、図2に示したように、長手方向に多数の貫通孔31が並設され、貫通孔31同士を隔てる隔壁33がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】
即ち、多孔質セラミック部材30に形成された貫通孔31は、図2(b)に示したように、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材32により目封じされ、一の貫通孔31に流入した排気ガスは、必ず貫通孔31を隔てる隔壁33を通過した後、他の貫通孔31から流出されるようになっている。
【0005】
排気ガス浄化装置では、このような構成のハニカムフィルタ10が内燃機関の排気通路に設置され、内燃機関より排出された排気ガス中のパティキュレートは、このハニカムフィルタ10を通過する際に隔壁33により捕捉され、排気ガスが浄化される。
【0006】
このようなハニカムフィルタ10を製造する際には、まず、原料であるセラミック粒子の他に溶剤やバインダー等を含む混合組成物を調製し、この混合組成物を用いて押出成形等を行いセラミック成形体を作製する。そして、このセラミック成形体に乾燥、脱脂、焼成の各処理を施すことで多孔質セラミック部材30を製造する。
【0007】
次に、この多孔質セラミック部材30を接着層14となる接着剤ペーストを介して積層することによりセラミック積層体を組み上げ、乾燥後、所定形状に切削してセラミックブロック15を作製する。そして、このセラミックブロック15の外周部にシール材層13を形成することによりハニカムフィルタ10を製造していた。
【0008】
しかしながら、このような方法でハニカムフィルタ10を製造しようとすると、上記セラミック積層体の組み上げ工程において、多孔質セラミック部材30の側面に塗布した接着剤ペーストが多孔質セラミック部材30の端面部分にはみ出し、貫通孔31が形成されている部分に付着し、貫通孔31を塞いでしまうことがあった。
【0009】
また、同様の問題がシール材層13を形成する工程においても発生する場合があった。即ち、セラミックブロック15の外周部にシール材層13となるシール材ペーストを塗布し、シール材ペースト層を形成すると、上記シール材ペーストがセラミックブロック15の端面にはみ出して貫通孔31が形成されている部分に付着し、貫通孔31を塞いでしまうことがあった。
このように上記接着剤ペーストや上記シール材ペーストが、貫通孔31を塞いでしまうと、貫通孔31は目詰まりとなり、ハニカムフィルタのフィルタとしての機能が低下してしまう。
【0010】
そこで、多孔質セラミック部材30の両端面にガムテープやビニールテープを貼り付けて、このような貫通孔の目詰まりの防止図っていたが、このようなガムテープやビニールテープは、その耐熱性や耐久性に劣るものであったため、ハニカムフィルタ10の製造過程で、破損、分解、剥離等してしまうことがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けたマスキング材が、ハニカムフィルタの製造途中で容易に破損、分解、剥離してしまうことがないため、ハニカムフィルタの貫通孔にシール材等が侵入することなく、良好な特性を有するハニカムフィルタを製造する製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接着層を介して複数個結束されてセラミックブロックを構成するとともに、その外周部がシール材層によりコーティングされ、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成されたハニカムフィルタの製造方法であって、
上記多孔質セラミック部材を製造した後、その硬度が50〜150°、耐熱温度が120℃以上の基材フィルム上に粘着剤層が形成され、その粘着力が500〜2000gf/19mm幅のマスキング材を、上記多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けるマスキング材貼り付け工程と、上記マスキング材を貼り付けた多孔質セラミック部材の側面に、接着剤ペーストを塗布し、上記接着剤ペーストの上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り返して、セラミック積層体を組み上げ、上記セラミック積層体を加熱して上記接着剤ペーストを乾燥、硬化させるセラミック積層体作製工程と、上記セラミック積層体の一部を切削するとともに上記セラミック積層体の端面に接着された上記マスキング材を上記セラミック積層体が切削された部分の形状に切削して上記セラミックブロックを作製するセラミックブロック作製工程と、上記セラミックブロックの外周部にシール材層を形成してハニカムフィルタとするシール材層形成工程と、上記マスキング材の粘着力よりも強い粘着力を有する剥離用シートを上記ハニカムフィルタの端面に押し当て、上記剥離用シートに上記マスキング材を接着し、その後、上記剥離用シートを引き離すことにより、上記マスキング材を上記ハニカムフィルタの端面から剥離させるマスキング材剥離工程とを含むことを特徴とするハニカムフィルタの製造方法である。
以下、本発明のハニカムフィルタの製造方法について説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のハニカムフィルタの製造方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接着層を介して複数個結束されてセラミックブロックを構成するとともに、その外周部がシール材層によりコーティングされ、上記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成されたハニカムフィルタの製造方法であって、
上記多孔質セラミック部材を製造した後、その硬度が50〜150°、耐熱温度が120℃以上の基材フィルム上に粘着剤層が形成され、その粘着力が500〜2000gf/19mm幅のマスキング材を、上記多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けるマスキング材貼り付け工程と、上記マスキング材を貼り付けた多孔質セラミック部材の側面に、接着剤ペーストを塗布し、上記接着剤ペーストの上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り返して、セラミック積層体を組み上げ、上記セラミック積層体を加熱して上記接着剤ペーストを乾燥、硬化させるセラミック積層体作製工程と、上記セラミック積層体の一部を切削するとともに上記セラミック積層体の端面に接着された上記マスキング材を上記セラミック積層体が切削された部分の形状に切削して上記セラミックブロックを作製するセラミックブロック作製工程と、上記セラミックブロックの外周部にシール材層を形成してハニカムフィルタとするシール材層形成工程と、上記マスキング材の粘着力よりも強い粘着力を有する剥離用シートを上記ハニカムフィルタの端面に押し当て、上記剥離用シートに上記マスキング材を接着し、その後、上記剥離用シートを引き離すことにより、上記マスキング材を上記ハニカムフィルタの端面から剥離させるマスキング材剥離工程とを含むことを特徴とするものである。
【0014】
本発明のハニカムフィルタの製造方法においては、まず、多孔質セラミック部材を製造するが、その製造方法については、上記従来の技術において説明した通りであるので、ここでは、その詳しい説明を省略する。
また、多孔質セラミック部材の原料であるセラミックは特に限定されず、種々のセラミックが挙げられるが、これらのなかでは、耐熱性が大きく、機械的特性に優れ、かつ、熱伝導率も大きい炭化珪素が好ましい。
【0015】
上記多孔質セラミック部材は、平均粒径が2〜150μmのセラミック結晶からなるものであることが望ましく、10〜70μmがより望ましい。上記セラミック結晶の平均粒径が2μm未満であると、多孔質セラミック部材の内部に存在する気孔の気孔径が小さくなりすぎ、直ぐに目詰まりを起こすため、フィルタとして機能することが困難となる。一方、上記セラミック結晶の平均粒径が150μmを超えると、その内部に存在する気孔の気孔径が大きくなりすぎ、多孔質セラミック部材の強度が低下してしまうおそれがある。また、所定の割合の開放気孔を有し、平均粒径が150μmを超えるようなセラミック結晶を有する多孔質セラミック部材を製造すること自体が余り容易でない。
【0016】
次に、上記製造した多孔質セラミック部材の両端面に、基材フィルム上に粘着剤層が形成されたマスキング材を貼り付ける。
【0017】
上記基材フィルムの硬度は50〜150°であるので、後述するセラミック積層体に切削加工を施す工程において、千切れたり、剥がれたり、伸び過ぎたりすることなく、切削された部分の形状にマスキング材も切断される。
上記硬度が50°未満であると、基材フィルムが柔らかすぎるため、セラミック積層体に切削加工を施した際、切削された部分と同様の形状に切断されず、マスキング材が伸び、後述するシール材層の形成工程の邪魔となったり、シールすべき部分のマスキング材が千切れて無くなってしまう等の不都合が生ずる。一方、上記硬度が150°を超えると、硬くなりすぎるため、多少の凹凸が形成された端面にしっかりと貼り付けることができず、剥がれやすくなる。
【0018】
また、上記基材フィルムの耐熱温度は120℃以上であるので、後述するシール材層の乾燥工程で変質したり、分解したりすることはない。
上記耐熱温度が120℃未満であると、後の乾燥工程等において、上記基材フィルムが分解してしまうおそれがある。上記耐熱温度は150℃以上であることが望ましい。
【0019】
上記粘着剤としては特に限定されず、例えば、ポリイソブチレン、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム等のゴム系粘着剤、その他、アクリル系粘着剤等を挙げることができる。
【0020】
このような粘着剤を塗布した上記マスキング材の粘着力は、500〜2000gf/19mm幅であるため、後述する剥離シートを用いてマスキング材を剥離する工程で、容易に剥離することができ、かつ、ハニカムフィルタの製造途中で剥離することはない。上記粘着力が500gf/19mm幅未満であると、その粘着力が不充分であり、ハニカムフィルタの製造途中で上記マスキング材が剥離してしまうことがある。一方、上記粘着力が2000gf/19mm幅を超えると、後のマスキング材の剥離工程で、上記マスキング材を完全に剥離することが困難となる。上記粘着力は1000〜1500gf/19mm幅であることが望ましい。
【0021】
上記基材フィルムとしては、樹脂系フィルムであることが望ましい。耐熱性及び耐久性に優れ、上記各特性を略満たすことができるからである。
また、このような樹脂系フィルムのなかでは、ポリエステルフィルムであることが望ましく、特に、PETフィルムであることが望ましい。上述した各特性を満たすことができ、特に、耐熱性及び耐久性に優れるからである。
【0022】
このような基材フィルム及び粘着剤層からなるマスキング材の厚みは、10〜500μmであることが望ましい。厚みが10μm未満であると、その強度が低下して容易に破損してしまう。一方、厚みが500μmを超えると、硬度が高くなり取扱い性に劣り、また、上述したように、端面の形状に追従しにくくなるため、剥がれやすくなる。上記マスキング材の厚みは10〜100μmであることがより望ましい。
【0023】
上記多孔質セラミック部材の両端面に上記マスキング材を貼り付ける方法としては特に限定されず、例えば、予めマスキング材を多孔質セラミック部材の端面と同形状にカットしておき、機械アーム等を用いて自動的に貼り付けてもよく、手で張りつけてもよい。生産性を考慮すると機械アーム等を用いて自動的に貼り付ける方法が望ましい。
【0024】
次に、上記マスキング材を貼り付けた多孔質セラミック部材の側面に、接着剤ペーストを塗布し、上記接着剤ペーストの上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り返して、セラミック積層体を組み上げるセラミック積層体作製工程を行う。
【0025】
このセラミック積層体作製工程においては、図3に示したように、断面がV字形状に構成された台60の上に、斜めに傾斜した状態で載置した多孔質セラミック部材30の上側を向いた2つの側面30a、30bに、上記接着剤ペーストを、例えば、刷毛、スキージ、ロール等を用いて印刷して、所定の厚さの接着剤ペースト層61を形成する。
【0026】
次に、この接着剤ペースト層61の上に他の多孔質セラミック部材30を積層する。そして、このような多孔質セラミック部材30の側面に接着剤ペースト層61を形成してから、他の多孔質セラミック部材30を積層する工程を繰り返して行い、所定の大きさの角柱状のセラミック積層体を作製する。
【0027】
上記接着剤ペーストとしては、耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、有機バインダー、無機バインダー、無機繊維及び無機粒子を含むものを挙げることができる。このような組成からなる接着剤ペーストは、多孔質セラミック部材との馴染みがよく接着強度に優れるとともに、熱伝導率にも優れたものとなる。
【0028】
上記有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダーのなかでは、カルボキシセルロースが好ましい。
【0029】
上記無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダーのなかでは、シリカゾルが好ましい。
【0030】
上記無機繊維としては、例えば、シリカーアルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、シリカーアルミナファイバーが好ましい。
【0031】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等が挙げられ、具体的には、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等からなる無機粉末又はウィスカー等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化珪素が好ましい。
【0032】
この接着剤ペースト中には、接着剤ペースト層を柔軟にし、流動性を付与して塗布しやすくするため、上記した有機バインダー、無機バインダー、無機繊維及び無機粒子のほかに、およそ総重量の35〜65重量%程度の水分や他のアセトン、アルコール等の溶剤等が含まれている。この接着剤ペーストの粘度は、15〜25Pa・s(1万〜2万cps(cP))が好ましい。
【0033】
この接着剤ペーストを、多孔質セラミック部材の側面に付着させる方法としては特に限定されず、例えば、接着剤ペーストをチューブ等を用いて輸送し、接着剤ペーストの塊を上記チューブより流出させて、多孔質セラミック部材の側面に付着させる方法等が挙げられる。
【0034】
次に、このようにして作製したセラミック積層体を、例えば、50〜150℃、1時間の条件で加熱して上記接着剤ペースト層を乾燥、硬化させ、接着層とした後、上記セラミック積層体の一部を切削し、上記セラミックブロックを作製するセラミックブロック作製工程を行う。
【0035】
上記セラミック積層体の一部を切削する方法としては特に限定されず、例えば、ダイヤモンドカッター等を用いて、上記セラミック積層体の外周部を切削する方法等を挙げることができる。
このとき、上記セラミック積層体の端面に接着されたマスキング材は、上述した特性を有するので、切削部分のマスキング材が伸びたり、千切れたり、剥がれたりすることなく、切削部分と同様の形状に切削される。従って、後述するシール材層の形成工程で、シール材ペーストが多孔質セラミック部材の貫通孔に浸入するのを防止することができる。
【0036】
次に、このようにして作製したセラミックブロックの外周部にシール材ペーストを塗布し、乾燥させ、シール材層を形成し、ハニカムフィルタを作製する。
【0037】
上記シール材ペーストとしては特に限定されず、例えば、上記接着剤ペーストと同様の組成からなるペーストを挙げることができる。
【0038】
また、上記シール材層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上記セラミックブロックをその回転軸方向に軸支、回転させ、上記接着層を形成した場合と同様に、チューブ等を用いて、上記シール材ペーストの塊を、回転しているセラミックブロックの外周部に付着させる。そして、板状部材等を用いてシール材ペーストを引き延ばし、シール材ペースト層を形成する方法を挙げることができる。
このとき、シール材ペーストが端面に付着する場合があるが、本発明では、端面にマスキング材が貼り付けられているため、シール材ペーストが多孔質セラミック部材の貫通孔に侵入することはない。
この後、例えば、120℃以上の温度で乾燥させることにより、水分を蒸発させてシール材層とするが、本発明で用いたマスキング材は、120℃以上の耐熱性を有するので、この乾燥工程で柔らかくなりすぎ、縮んだり、分解したりすることはない。
【0039】
次に、このようにして作製したハニカムフィルタの両端面に貼り付けられている上記マスキング材を剥離するマスキング材剥離工程を行うことにより、本発明のハニカムフィルタの製造方法を終了する。
【0040】
上記マスキング材を剥離する方法としては特に限定されず、例えば、上記マスキング材の粘着力よりも強い粘着力を有する粘着剤を塗布した剥離用シートを、上記ハニカムフィルタの端面に押し当て、上記剥離用シートに上記マスキング材を接着し、その後、上記剥離用シートを引き離すことにより、複数の上記マスキング材を上記ハニカムフィルタの端面から剥離させる方法や、へらやカッター等を用いて手作業で剥離する方法等を挙げることができるが、剥離用シートを用いる方法が好ましい。
【0041】
上記マスキング材の粘着力よりも強い粘着力を有する粘着剤を塗布した剥離用シートとしては、例えば、ポリエステルフィルムにゴム系粘着剤を塗布したもの等を挙げることができる。
【0042】
上記剥離用シートの粘着力は、3000〜8000g/25mm幅であることが望ましい。粘着力が3000g/25mm幅未満であると、粘着力が不充分であり、マスキング材をハニカムフィルタの端面から完全に剥離することができない場合がある。一方、粘着力が8000g/25mm幅を超えると、粘着力が強すぎるため、取り扱い性に劣り、また、マスキング材を剥離するのに充分な粘着力を有するものであり、これ以上の粘着力を有する剥離用シートは、製造コストの高騰を招く。なお、上述した粘着力を有する上記マスキング材は、ハニカムフィルタの製造途中の熱や外的要因によって容易に剥離することはないが、上記マスキング材よりも強い粘着力を有する上記剥離用シートにより容易にハニカムフィルタの端面から剥離することができる。
【0043】
また、上記剥離用シートの形状は、ハニカムフィルタの端面と略同形状、矩形状等任意の形状のものを挙げることができるが、そのサイズとしては、ハニカムフィルタの端面を完全に覆うことができるものであることが望ましい。ハニカムフィルタの端面の略全面に貼り付けたマスキング材を完全に接着することができるからである。
【0044】
このような剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てる方法としては特に限定されず、任意の方法で押し当てることができるが、ローラをハニカムフィルタの端面に沿って転がす方法が望ましい。ローラとハニカムフィルタの端面とが成す角度は常に一定であるので、均一な押圧力で剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てることができるからである。
【0045】
上記ローラの直径は、押し当てる対象であるハニカムフィルタの端面の直径に合わせて適宜調整されるが、50〜200mm程度であることが望ましい。直径が50mm未満であると、ローラをハニカムフィルタの端面の一端部から中心を挟んだ他端部まで転がすのに時間がかかり、生産性の低下を招く。一方、直径が200mmを超えると、均一な押圧で剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てることが困難となる。
【0046】
また、上記ローラの幅は特に限定されず、ハニカムフィルタの端面の直径よりも少し大きくなるように調整されることが望ましい。上記ローラをハニカムフィルタの端面に沿って転がす回数を一度だけにすることができるからである。
【0047】
また、少なくとも上記ローラの表面は、40〜90°の硬度を有する弾性体であることが望ましい。上記ローラを用いて剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てた際、剥離用シート、マスキング材及びハニカムフィルタの端面の破損を防止するためである。
【0048】
上記弾性体は、上記ローラの表面から少なくとも5mmの厚さで形成されていることが望ましい。弾性体の厚さが5mm未満であると、ローラをハニカムフィルタの端面に押し当てた際、上記弾性体が変形し、ローラの弾性体非形成部分にまで押圧がかかり、剥離用シート、マスキング材及びハニカムフィルタの端面が破損するおそれがある。
なお、「少なくとも」であるから、上記ローラの全体が上記弾性体からなるものであってもよい。
【0049】
上記弾性体としては、ウレタン系発泡ゴム又はクロロプレン系スポンジゴムであることが望ましい。適度な硬度を有するものであり、剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てた際、ハニカムフィルタの端面と接触している部分が適度に変形し、剥離用シートと接着シートとを確実に貼り付けることができるからである。
【0050】
また、上記弾性体としては、ネオプレンスポンジゴムであることが最も望ましい。50°と好適な硬度を有し、ハニカムフィルタの端面に押し当てた際、剥離用シート、マスキング材及びハニカムフィルタの端面を傷つけることがなく、また、ハニカムフィルタの端面と接触する上記ネオプレンスポンジゴムが適度に変形し、確実にマスキング材全体を剥離用シートに貼り付けることができるからである。また、その加工性にも優れる。
【0051】
その他の弾性体の例としては、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムやポリイソブチレン、ポリエチレン等のエラストマー、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体、その他、天然ゴム、スポンジゴム等を挙げることができる。
【0052】
以上説明した通り、本発明のハニカムフィルタの製造方法は、製造した多孔質セラミック部材の両端面に、耐熱性及び耐久性に優れたマスキング材を貼り付けているため、貼り付けたマスキング材が、ハニカムフィルタの製造途中で容易に破損、分解、剥離してしまうことがなく、その結果、ハニカムフィルタの貫通孔にシール材等が侵入することなく、良好な特性を有するハニカムフィルタを製造することができる。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
実施例1
炭化珪素粉末に有機バインダー、水等を加えて混練した後、押し出し成形を行い、ハニカム形状の生成形体を作製し、続いて、乾燥、脱脂、焼成を行うことにより、図2に示したような平均気孔径が1〜40μmで、セル数が31個/cm2 で、隔壁の厚さが0.3mmの多孔質セラミック部材を製造した。
【0055】
次に、上記多孔質セラミック部材の両端面に、粘着剤として熱硬化性ゴム系粘着剤を塗布したPETフィルムからなるマスキング材(日東電工社製:No.315)を貼り付けた。
なお、上記マスキング材は、硬度が110°、耐熱温度が150℃、粘着力が1200g/19mm幅であった。
【0056】
次に、上記多孔質セラミック部材を、無機繊維や無機粒子等を含む耐熱性の接着剤を用いて多数結束させてセラミック積層体を作製し、続いて、ダイヤモンドカッターを用いて切削してセラミックブロックを作製した後、上記接着剤と同じ成分からなるシール材をその外周部に形成し、130℃で乾燥することにより、図1に示したような円柱形状のハニカムフィルタを製造した。
【0057】
そして、剥離用シートとして、ゴム系粘着剤を塗布したポリエステルフィルム(スコッチ社製:No.859)を上記ハニカムフィルタの端面に押し当てて、上記マスキング材を上記剥離用シートに接着し、上記剥離用シートをハニカムフィルタの端面から引き離すことで、上記マスキング材をハニカムフィルタの端面から剥離させた。
なお、この剥離用シートの粘着力は5000gf/25mm幅であり、該剥離用シートをハニカムフィルタの端面に押し当てる際、その表面にネオプレンゴムが形成されたローラを使用した。
【0058】
本実施例1において、多孔質セラミック部材に貼り付けたマスキング材は、上記セラミックブロック作製工程でも、千切れたり、伸びたり、剥離したりすることなく、切削した形状と同様の形状に切削された。また、乾燥工程においても、変質や分解することはなかった。さらに、剥離シートにより、剥離工程でも、容易に剥離された。良好な特性を有するハニカムフィルタを製造することができた。また、製造したハニカムフィルタの端面の状態を目視にて観察したところ、特に目詰まりが発生している貫通孔はなかった。
【0059】
比較例1
多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けるマスキング材を、市販されているガムテープとした他は、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを製造した。
【0060】
本比較例1において、上記マスキング材として多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けたガムテープは、ハニカムフィルタの製造の途中において、一部に破損及び剥離が見られ、上記多孔質セラミック部材の端面を完全に覆うことができなかった。また、製造したハニカムフィルタの端面の状態を目視にて観察したところ、ハニカムフィルタの貫通孔の一部に接着剤ペースト及びシール剤ペーストが侵入し、目詰まりをおこしている部分があり、本比較例1に係るハニカムフィルタは、フィルタとしての機能に劣るものであった。
【0061】
【発明の効果】
本発明のハニカムフィルタの製造方法は、上述の通りであり、マスキング材は、耐熱性に優れるとともに、適度な硬度や粘着性を有するので、ハニカムフィルタの端面部分に貼り付けられたマスキング材が、ハニカムフィルタの製造途中で、一部が剥離したり、破損したり、分解や変質が発生しない。従って、ハニカムフィルタの貫通孔が目詰まりをおこすことがなく、良好にハニカムフィルタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハニカムフィルタの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【図2】(a)は、ハニカムフィルタを構成する多孔質セラミック部材を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
【図3】セラミックブロックを作製する様子を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
10 ハニカムフィルタ
13 シール材層
14 接着層
15 セラミックブロック
30 多孔質セラミック部材
30a、30b 側面
31 貫通孔
32 充填材
33 隔壁
60 台
61 接着剤ペースト層
Claims (12)
- 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された角柱形状の多孔質セラミック部材が接着層を介して複数個結束されてセラミックブロックを構成するとともに、その外周部がシール材層によりコーティングされ、前記貫通孔を隔てる隔壁が粒子捕集用フィルタとして機能するように構成されたハニカムフィルタの製造方法であって、前記多孔質セラミック部材を製造した後、その硬度が50〜150°、耐熱温度が120℃以上の基材フィルム上に粘着剤層が形成され、その粘着力が500〜2000gf/19mm幅のマスキング材を、前記多孔質セラミック部材の両端面に貼り付けるマスキング材貼り付け工程と、前記マスキング材を貼り付けた多孔質セラミック部材の側面に、接着剤ペーストを塗布し、前記接着剤ペーストの上に他の多孔質セラミック部材を積層する工程を繰り返して、セラミック積層体を組み上げ、前記セラミック積層体を加熱して前記接着剤ペーストを乾燥、硬化させるセラミック積層体作製工程と、前記セラミック積層体の一部を切削するとともに前記セラミック積層体の端面に接着された前記マスキング材を前記セラミック積層体が切削された部分の形状に切削して前記セラミックブロックを作製するセラミックブロック作製工程と、前記セラミックブロックの外周部にシール材層を形成してハニカムフィルタとするシール材層形成工程と、前記マスキング材の粘着力よりも強い粘着力を有する剥離用シートを前記ハニカムフィルタの端面に押し当て、前記剥離用シートに前記マスキング材を接着し、その後、前記剥離用シートを引き離すことにより、前記マスキング材を前記ハニカムフィルタの端面から剥離させるマスキング材剥離工程とを含むことを特徴とするハニカムフィルタの製造方法。
- 基材フィルムは、PETフィルムからなる請求項1記載のハニカムフィルタの製造方法。
- マスキング材の厚みは、10〜500μmである請求項1または2記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記マスキング材貼り付け工程において、予めマスキング材を多孔質セラミック部材の端面と同形状にカットしておき、機械アームを用いて自動的に貼り付ける1〜3のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記シール材層形成工程において、前記シール材ペーストを前記セラミックブロックの外周部に付着させてシール材ペースト層を形成し、120℃以上の温度で乾燥させる請求項1〜4のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記シール材層形成工程において、前記セラミックブロックをその回転軸方向に軸支、回転させ、板状部材を用いて前記シール材ペーストを引き延ばしシール材ペースト層を形成する請求項5に記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記剥離用シートの粘着力は、3000〜8000gf/25mm幅である請求項1〜6のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記マスキング材剥離工程において、ローラをハニカムフィルタの端面に沿って転がすことにより、前記剥離用シートを前記ハニカムフィルタの端面に押し当てる請求項1〜7のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 少なくとも前記ローラの表面は、40〜90°の硬度を有する弾性体である請求項8に記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記弾性体は、前記ローラの表面から少なくとも5mmの厚さで形成されている請求項9に記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記弾性体は、ウレタン系発泡ゴム又はクロロプレン系スポンジゴムである請求項9又は10に記載のハニカムフィルタの製造方法。
- 前記弾性体は、ネオプレンスポンジゴムである請求項11に記載のハニカムフィルタの製造方法。
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